JP3480063B2 - 楽音合成装置 - Google Patents

楽音合成装置

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JP3480063B2
JP3480063B2 JP23451994A JP23451994A JP3480063B2 JP 3480063 B2 JP3480063 B2 JP 3480063B2 JP 23451994 A JP23451994 A JP 23451994A JP 23451994 A JP23451994 A JP 23451994A JP 3480063 B2 JP3480063 B2 JP 3480063B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遅延フィードバックル
ープに対称型FIR(Finite Impulse Response )フィ
ルタを備える楽音合成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】減衰音等の合成を目的とした遅延フィー
ドバック合成方式においては、音色の時間的変化を与え
るためのループフィルタとして、大きく分けてFIR型
とIIR(Infinite Impulse Response )型が一般に用
いられている。対称型のFIRフィルタをループフィル
タに用いた、従来の楽音合成装置の構成を図4に示す。
この図において、FIRフィルタは、ディレイ手段10
2、乗算係数Cn-i ,・・Cn-1 ,Cn ,Cn+1 ,・・
n+i を乗算する乗算係数器、合成器105により構成
されており、ループはこのFIRフィルタと、加算器1
01、小数ピッチ用APF(All Pass Filter )103
とを縦続に接続して構成されている。なお、ディレイ手
段102のnタップ位置と、乗算係数Cn-i ,・・C
n-1 ,Cn ,Cn+1 ,・・Cn+i のFIR係数値、およ
び小数ピッチ用APF103のAPF係数は制御手段1
04により設定されている。
【0003】このように構成されている楽音合成装置に
おいて、制御手段104よりの発音指示信号により入力
信号発生手段100が入力信号を発生し、この入力信号
は加算器101に入力され、加算器101の出力信号は
ディレイ手段102に供給される。ディレイ手段102
には、n−i,・・n−1,n,n+1,・・n+iの
位置にタップが設けられており、このタップ位置から出
力された遅延信号は、それぞれ乗算係数器において乗算
係数Cn-i ,・・Cn-1 ,Cn ,Cn+1 ,・・Cn+i
乗算されて合成器105により合成される。合成器10
5で合成された信号は小数ピッチ用APF103により
微少遅延されて、加算器101にフィードバックされ
る。
【0004】ところで、ループから出力される楽音信号
のピッチは、ループ内の全遅延時間で決定されることか
ら、制御手段104は、楽音発生装置から発生すべき楽
音信号のピッチ情報の整数部からディレイ手段102の
ディレイ長を演算し、中央のタップ位置nとしてディレ
イ手段102に設定していると共に、発生すべき所望の
音色の楽音信号が得られるように乗算係数Cn-i ,・・
n-1 ,Cn ,Cn+1,・・Cn+i を各係数乗算器に設
定している。さらに、ピッチ情報の小数部に応じてAP
F係数を小数ピッチ用APF103に設定して、所定の
ピッチが得られるようにループ内の総遅延時間を微調整
している。なお、楽音信号は加算器101の出力から例
えば取り出されているが、ループ内であればどこからで
も取り出すことができる。
【0005】次に、DCFのIIR型のフィルタをルー
プフィルタとして用いた従来の楽音合成装置を図5に示
す。この図において、IIR型フィルタは、係数乗算器
114−1と、ループ状に接続された加算器114−
2、遅延手段114−3、係数乗算器114−4から構
成されており、ループはこのIIRフィルタと、加算器
111、ディレイ手段112、およびピッチ補正用AP
F113が縦続接続されて構成されている。なお、ディ
レイ手段112の遅延量nと、乗算係数a,(1−a)
のIIR係数値、およびピッチ補正用APF113のA
PF係数はピッチ補正手段115により設定されてい
る。
【0006】このように構成されている楽音合成装置に
おいて、制御手段116により発音指示されて入力信号
が入力信号発生手段110より発生され、加算器111
に入力されると共に、加算器111の出力信号はディレ
イ手段112に供給される。ディレイ手段112の遅延
時間は発音すべきピッチに応じたnに設定されており、
遅延された信号はピッチ補正用APF113により微少
遅延されて、IIRフィルタに入力される。このIIR
フィルタの出力信号は加算器111にフィードバックさ
れて、ループ内の信号は何度もループを循環しながら減
衰すると共に、、IIRフィルタにより高域の周波数特
性が逐次減衰されていく。このループ内の信号を取り出
して出力信号としているが、取り出す位置はループ内の
どこでもよく、図5においては加算器111の出力から
取り出している。
【0007】ところで、ループから出力される楽音信号
のピッチは、ループ内の全遅延時間で決定されることか
ら、ピッチ補正手段115は、楽音発生装置から発生す
べき楽音信号のピッチ情報の整数部からディレイ手段1
12のディレイ長を演算し、遅延時間としてパラメータ
nをディレイ手段102に設定していると共に、発生す
べき所望の音色の楽音信号が得られるような乗算係数
a,(1−a)をそれぞれ係数乗算器114−1,11
4−4に設定している。さらに、ピッチ情報の小数部に
応じてAPF係数をピッチ用APF113に設定して、
所定のピッチが得られるようにループ内の総遅延時間を
微調整している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記図4に示す対称型
のFIRフィルタを用いる楽音合成方式においては、音
色を変更するためにFIR係数を変更してFIRフィル
タの特性を変化させても、FIRフィルタの群遅延特性
がフラットなため、ループの遅延量は変化せず、音色を
変更してもピッチ変化がおきないというメリットがあ
る。しかしながら、低域成分まで遮断する特性とするた
めにはFIRフィルタの次数を高くしなければならず、
このため構成が複雑になるだけでなく音程に応じた段数
や係数の制御が複雑になるという問題点があった。
【0009】一方、前記図5に示すIIRフィルタを用
いる楽音合成装置においては、遮断周波数の可変範囲が
広く取れると共に、次数が低くても急峻な遮断特性とす
ることができるメリットがある。しかしながら、音色を
変更するためにIIR係数を変更してIIRフィルタの
特性を変化させると、IIRフィルタの遮断周波数と共
に群遅延特性も変化するため、ピッチを一定に保つこと
ができないと共に、倍音も非調和とされるようになる。
このため、IIRフィルタを用いた場合には、ディレイ
長やピッチ補正用APF113によるピッチ補正を行う
必要があり、ピッチ補正のための複雑な演算またはテー
ブルが必要とされるという問題点がある。さらに、II
Rフィルタを用いた場合、このようにしてピッチ補正を
行っても完全にはピッチ補正を行うことが困難であり、
非調和性を完全に補正できないという問題点がある。
【0010】通常シンセサイザーなどでは、ピッチベン
ドやポルタメントなどの機能を実現するためにピッチの
連続制御が欠かせないため、ループフィルタのためのピ
ッチ補正も同時に合わせて行うようにしている。さら
に、電子ピアノなどのプリセット楽器ではピッチを連続
的に変える必要はなく、複雑で演算量の多いピッチの連
続制御はあまり用いられない。また、ギターシンセサイ
ザなどではピッチ変化範囲が限られているため、ピッチ
の制御にはサンプリング変換等による簡易な方法が通常
用いられている。
【0011】そこで、本発明はピッチ補正が不要で低域
成分まで遮断することができる、簡易な構成のフィルタ
を用いた楽音合成装置を提供することを目的としてい
る。さらに、本発明は自然楽器に似た音色変化の得られ
る楽音合成装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の楽音合成装置は、入力信号が供給される加
算器と、該加算器の出力信号が入力されると共に、複数
のタップからの出力にフィルタ係数が乗算されて合成さ
れ、該合成された信号を前記加算器に供給するようにし
た遅延手段とを備える楽音合成装置において、出力すべ
き出力信号のピッチに応じてタップ位置が選定される中
央タップが前記遅延手段に設けられていると共に、前記
中央タップの両側の対称位置にタップ位置を可変するこ
とのできる第2タップおよび第3タップがそれぞれ設け
られており、対称位置に設けられている前記第2タップ
および第3タップからの遅延信号に乗算されるフィルタ
係数が、同一の係数値とされるようにしたものである。
【0013】また、前記楽音合成装置において、前記第
2タップおよび第3タップの位置を、対称性を保持しな
がら時間的に変化させることにより、音色を変化させる
ようにしても良いものである。
【0014】
【作用】本発明においては、対称型のFIR型フィルタ
を用いて、中央タップの両側に配置される第2タップと
第3タップの位置を可変することができるようにしたの
で、ピッチ補正が不要で低域成分まで遮断することがで
きる、簡易な構成のフィルタを用いた楽音合成装置とす
ることができる。また、前記第2タップと第3タップの
位置を時間的に変化させるようにすると、倍音の減衰が
刻々と変化するため、きわめて豊かで自然楽器に似た音
色変化を得ることができるようになる。
【0015】
【実施例】本発明の対称型のFIR型フィルタを用いた
楽音合成装置の構成を図1に示す。この図において、1
は操作子等の楽音の発音を指示する楽音発生指示部、2
は楽音発生指示部1よりの発音指示を受けて楽音を合成
して出力する制御を実行する制御部、3は入力信号を発
生して後続するループ部に供給する入力信号発生部、4
は加算器、5は主に発生される楽音のピッチを決定する
と共に、FIRフィルタのためのタップが設けられてい
るディレイ部、6はピッチを微調整する小数ピッチ用A
PF、7は音色を時間的に変化させるためのLFO(Lo
w FrequencyOscillator)、8はピッチ情報と音色情報
が供給されてディレイ部5のタップパラメータ等を出力
するディレイ制御部である。
【0016】また、10,11はディレイ部5の(n−
i−1)のタップ位置と(n−i)のタップ位置にそれ
ぞれ接続されている係数乗算器、14はディレイ部5の
nタップ位置出力にフィルタ係数を乗算する係数乗算
器、16,17はディレイ部5の(n+i+1)のタッ
プ位置と(n+i)のタップ位置にそれぞれ接続されて
いる係数乗算器、12は係数乗算器10,11の出力を
合成する加算器、18は係数乗算器16,17の出力を
合成する加算器、13は加算器12の出力にフィルタ係
数を乗算する係数乗算器、19は加算器18の出力にフ
ィルタ係数を乗算する係数乗算器、20は係数乗算器1
3,14,19の出力を合成してFIRフィルタの出力
を生成する加算器である。
【0017】なお、FIRフィルタは、ディレイ部5の
一部、係数乗算器10,11,13,14,16,1
7,19および加算器12,18,20により構成され
ている。また、ループ部は加算器4、ディレイ部5、F
IRフィルタ、小数ピッチ用APF6が縦続接続されて
構成されている。このように構成された楽音合成装置に
おいて、楽音発生指示部1から発音指示が制御部2に与
えられると、制御部2は入力信号発生部3が入力信号を
発生するよう制御する。この入力信号発生部3は波形メ
モリ方式音源、高調波合成方式音源、FM音源、物理モ
デル音源等のいずれかの方式の音源を備えており、発生
された入力信号は加算器4に入力される。
【0018】なお、楽音発生指示部1からは発生すべき
楽音のノート情報および音色情報も制御部2に与えられ
ており、制御部2はノート情報に基づいてピッチ情報P
を作成しディレイ制御部8に供給すると共に、ピッチ小
数部からなるAPF係数を小数ピッチ用APF6に供給
して、ループ部から出力される楽音のピッチを微調整し
ている。FIRフィルタは、基本ピッチを決定する中央
タップnと、その両側に中央タップn間との遅延量が等
しく、小数遅延を実現するためにディレイ補間を施した
2組の第2タップ,第3タップを備えている。すなわ
ち、(n−i−1)のタップ位置に接続された係数乗算
器10に係数kを設定し、(n−i)のタップ位置に接
続された係数乗算器11に係数(1−k)を設定し、両
係数乗算器10,11の出力を合成することにより直線
ディレイ補間を施した1組の第2タップを構成し、同様
の構成がタップ位置(n+i+1),(n+i)にも設
けられて直線ディレイ補間を施した他方の1組の第3タ
ップが構成されている。
【0019】このFIRフィルタの周波数特性は図3に
示すようになるが、通過レベルがゼロとなる零点の周波
数は、中央タップnとその両側のタップとの遅延量で決
まり、遅延量をディレイ部5における最小遅延単位
「1」とした場合は通常の3段の対称型FIRフィルタ
となるが、遅延量を十分大きくするとコーム(Com
b)フィルタ特性となり、多くの零点を有する特性とな
る。すなわち、中央タップnとその両側のタップとの遅
延量を「1」とすると、図3に実線で示すようにサンプ
リング周波数をfsとした時、fs/2近傍の周波数成
分ほど速く減衰し、低い周波数成分はほとんど減衰しな
い。また、前記遅延量を十分大きくすると、破線で示す
特性に移行し、低い周波数成分まで減衰するようにな
る。
【0020】このように、遅延量を変えると零点が動
き、その結果DC近傍を除いたあらゆる周波数を減衰す
ることができるようになり、その結果倍音の減衰量が変
化して音色を変化することができるようになる。また、
FIRフィルタの減衰特性は、係数乗算器13,14,
19に設定するフィルタ係数に応じて決定されるが、こ
れらのフィルタ係数の和は「1」とされていると共に、
係数乗算器13と係数乗算器19とのフィルタ係数は対
称型フィルタとされているため同じ値とされる。すなわ
ち、係数乗算器14のフィルタ係数は、例えば(1−
a)とされており、係数乗算器13,1のフィルタ係数
は、例えば(a/2)の同一の係数とされている。ここ
で、フィルタ係数の和は、 (1−a)+(a/2)+(a/2)=1 とされている。
【0021】なお、一般的に高次倍音は速く減衰し、低
次倍音はゆっくり減衰するため、本発明において発音開
始時の中央タップnとその両側の第2タップ,第3タッ
プ間の遅延量は「1」とされ、時間の経過と共に遅延量
を大きくし、遅延量がある値に達すると遅延量を減少す
る制御を行うようにしている。このように遅延量が常に
変化するよう制御しているのは、遅延量の変化が停止さ
れると減衰特性も変化しなくなり、音色が突然変化した
ように聞こえてしまうためである。このように遅延量を
変化させるためにLFO7が設けられており、LFO7
には変化スピードを決めるLFO信号の周波数パラメー
タfL とLFO信号の初期位相を決めるパラメータPL
が供給されている。
【0022】LFO7は供給されているパラメータf
L ,PL に基づき、制御部2よりリセット信号として印
加される発生開始指示タイミングによりLFO信号を発
生する。このLFO信号は、例えば図示するように「−
1」と「1」とをピークとする三角波とされており、加
算器21において「1.0」が加算されてオフセットさ
れ、さらに係数乗算器22により係数「0.5」が乗算
されて、その振幅が半分とされることにより、LFO信
号は「0」ないし「1」の間を変化する信号LFOとされ
る。この信号LFOは係数乗算器23において、LFO変
調分係数aL が乗算され、基準値とされたフィルタ係数
c が加算器24で加算されることにより、フィルタ係
数データが生成されている。なお、フィルタ係数ac
音色情報より求められた基準のFIRフィルタ係数であ
り、制御部2より供給されているパラメータ、LFO変
調分係数aL は音色情報より求められて、制御部2より
出力されているパラメータである。
【0023】さらにFIRフィルタにフィルタ係数を供
給するため、加算器24よりのフィルタ係数データは加
算器26において、「1.0」から減算されて(1−
a)(ただし、aはLFO・aL とac との和である。)
となり、係数乗算器14のフィルタ係数とされる。ま
た、加算器24よりのフィルタ係数データは、係数乗算
器25において係数「0.5」が乗算されて(a/2)
(ただし、a=LFO・aL+ac )となり、係数乗算器
13,19のフィルタ係数とされる。これにより、所望
の減衰特性を有する対称型のFIRフィルタが構成され
る。また、ディレイ部5における第2タップ,第3タッ
プ間の直線補間を利用して、前記した中央タップnとそ
の両側の第2タップ,第3タップとの遅延量を時間変化
させるために、信号LFOは係数乗算器27においてディ
レイ変調量パラメータbが乗算され、さらに加算器28
において「1.0」が加算されることにより、(b・L
FO+1)とされる。
【0024】この(b・LFO+1)の整数部をi、小数
部をkとして、 i+k=(b・LFO+1) と置き換え、(i+k)をディレイ制御部8に供給して
いる。ディレイ制御部8には制御部2よりピッチ情報パ
ラメータPも供給されており、ディレイ制御部8は、ピ
ッチ情報パラメータP(ただし、パラメータPは整数部
nと小数部mから構成されている。)の整数部を分解し
て中央タップ位置nを求め、ディレイ部5に中央タップ
位置nを設定している。また、ディレイ制御部8におい
てパラメータ(i+k)の整数部iと小数部kとを分解
し、ディレイ部5を整数部iにより制御することによ
り、ディレイ部5に(n−i−1),(n−i)の第2
タップ位置、及び(n+i+1),(n+i)の第3タ
ップ位置がそれぞれ設定されている。さらに、小数部k
を係数乗算器10,17に供給し、演算して求めた(1
−k)を係数乗算器11,16に供給している。
【0025】これにより、パラメータkに応じて(n−
i−1)と(n−i)の第2タップ間を直線補間した遅
延量を係数乗算器12の出力に得ることができ、(n+
i+1)と(n+i)の第3タップ間を直線補間した遅
延量を係数乗算器18の出力に得ることができるように
なる。この場合、パラメータ(i+k)は時間と共に変
動しているため、中央タップnの両側の第2タップ,第
3タップ位置および直線補間された遅延量が時間と共に
変化するようになり、前記したように自然楽器に似た音
色変化が得られるようになる。
【0026】この様子を図2に概略的に示す。この図に
おいて、可変ディレイ30は図1における(n−i−
1)と(n−i)の第2タップ間を直線補間した遅延量
を有するものであり、可変ディレイ31は図1における
(n+i+1)と(n+i)の第3タップ間を直線補間
した遅延量を有するものである。この可変ディレイ30
と可変ディレイ31との遅延量は時間変化しているもの
の、互いに等しくされており3タップよりの出力を所定
の係数で結合する結合回路32に入力することにより対
称型のFIRフィルタが構成されている。この場合、可
変ディレイ30,31の遅延量を大きくしていくと図3
に矢印で示すように低域の成分まで遮断するようにFI
Rフィルタの周波数特性が変化していく。なお、ディレ
イ部5のタップ位置nまでの遅延量がループ部より発生
される楽音のピッチの整数部分に相当するものとされ
る。
【0027】本発明は以上説明したように構成されてお
り、ディレイ部5で遅延された信号は、ディレイ部5に
設定されている第2タップ、中央タップn、第3タップ
からそれぞれ出力されて、第2タップ及び第3タップの
出力にディレイ直線補間のための係数k,(1−k)が
それぞれ係数乗算器10,11及び係数乗算器16,1
7で乗算されて、加算器12,18で加算されている。
さらに、加算器12,18よりのディレイ直線補間出力
にフィルタ係数a/2が係数乗算器13,19で乗算さ
れると共に、中央タップnよりの出力にフィルタ係数
(1−a)が係数乗算器14により乗算されて、信号は
フィルタリングされている。
【0028】このようにして、FIRフィルタでフィル
タリングされた信号は少数ピッチ用APF6でピッチが
微調整されて加算器4にフィードバックされる。このル
ープ部より出力される楽音のピッチはディレイ部5の中
央タップnまでの遅延量、FIRフィルタの遅延量、及
び少数ピッチ用APF6の遅延量の和であるループ部の
総遅延時間により決定されている。ループ部内を循環す
る信号は減衰しつつ、その高域成分がFIRフィルタで
減衰されていくようになるが、この減衰はLFO7によ
り倍音の減衰率が時間的に変化されるようになる。しか
しながら、この減衰は単調減衰とされているため変調感
が生じることはなく、倍音の減衰が刻々と変化するため
に、極めて豊かで自然楽器に似た音色変化が得られるよ
うになる。
【0029】なお、LFO7より発生される信号は「0
〜1.0」に変換して用いているが、ディレイ変調に用
いる場合は、指数的に振れるように変換して用いると、
より制御しやすくすることができる。また、LFO7よ
り発生される信号は三角波に限ることはなく、単調関数
であればどのような波形でもよい。また、初期位相パラ
メータPL は、通常は負の最大値になるように設定し、
さらに、パラメータkとパラメータ(1−k)にフィル
タ係数a/2をおり込むことにより、係数乗算器13,
19を省略するようにしてもよい。さらにまた、LFO
7に変えてノイズ発生器よりの出力をフィルタリングし
て用いたり、複雑な動作をするエンベロープジェネレー
タなどを用いることもできる。なお、本発明の楽音合成
装置はハードウェアにより構成できることはもちろんの
こと、DSP(Digital Signal Processor)により構成
するようにして良いものである。
【0030】
【発明の効果】本発明は以上のように、対称型のFIR
型フィルタを用いて、中央タップの両側に配置される第
2タップと第3タップの位置を可変することができるよ
うにしたので、ピッチ補正が不要で低域成分まで遮断す
ることができ、構成の簡易なフィルタを用いた楽音合成
装置とすることができる。また、前記第2タップと第3
タップの位置を時間的に変化させるようにすると、倍音
の減衰が刻々と変化するため、きわめて豊かで自然楽器
に似た音色変化を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の楽音合成装置の構成を示す図であ
る。
【図2】 本発明のFIRフィルタを概略的に示す図で
ある。
【図3】 本発明のFIRフィルタの周波数特性を示す
図である。
【図4】 従来のFIRフィルタを用いた楽音合成装置
の構成を示す図である。
【図5】 従来のIIRフィルタを用いた楽音合成装置
の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 楽音発生指示部、2 制御部、3 入力信号発生
部、4 加算器、5 ディレイ部、6 小数ピッチ用A
PF、7 LFO、8 ディレイ制御部、10,11,
13,14,16,17,19,23,25,27 係
数乗算器、12,18,20,21,24,26,28
加算器、ac FIRフィルタの係数、aL FIR
フィルタのLFO変調分係数、fL LFOの周波数パ
ラメータ、PL LFOの初期位相、b LFOによる
ディレイ量係数、P ピッチ情報

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力信号が供給される加算器と、該加
    算器の出力信号が入力されると共に、複数のタップから
    の出力にフィルタ係数が乗算されて合成され、該合成さ
    れた信号を前記加算器に供給するようにした遅延手段と
    を備える楽音合成装置において、 出力すべき出力信号のピッチに応じてタップ位置が選定
    される中央タップが前記遅延手段に設けられていると共
    に、前記中央タップの両側の対称位置にタップ位置を可
    変することのできる第2タップおよび第3タップがそれ
    ぞれ設けられており、対称位置に設けられている前記第
    2タップおよび第3タップからの遅延信号に乗算される
    フィルタ係数が、同一の係数値とされていることを特徴
    とする楽音合成装置。
  2. 【請求項2】 前記第2タップおよび第3タップの位
    置を、対称性を保持しながら時間的に変化させることに
    より、音色を変化させるようにしたことを特徴とする請
    求項1記載の楽音合成装置。
JP23451994A 1994-09-05 1994-09-05 楽音合成装置 Expired - Lifetime JP3480063B2 (ja)

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