JP3479292B2 - パッキン - Google Patents

パッキン

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パッキンに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、気密性や液密性が要求される
箇所に介装されるパッキンとして、長尺な線状体で、配
設時に所要寸法に切断して使用するものが知られてい
る。この種のパッキンは、介装箇所に適合する形状に成
形された専用のパッキンよりも汎用性が高いため、量産
性が高く、比較的低価格での提供が可能である、といっ
た利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなパッキンは、柔軟な上に細長くて、形状がきわめ
て不安定であったため、介装箇所の適正な位置にパッキ
ンを配置する作業が容易ではなく、さらに、適正な位置
にパッキンを配置できた場合でも、パッキンを挟み込も
うとした時点でパッキンの位置がずれてしまうなど、挟
み込み作業が難しいという欠点があった。
【0004】特に、近年、電気製品の小型化、薄型化が
進んでおり、そのような小型薄型の電気製品において採
用されるパッキンは、パッキンそのものも細くて腰のな
いものになりやすいため、上記のようなパッキンの配置
作業や挟み込み作業がきわめてやりにくいという問題が
あった。
【0005】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、介装箇所の適正な位置に
パッキンを配置する作業やパッキンを挟み込む作業が従
来品よりも容易なパッキンを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段、および発明の効果】上述
の目的を達成するために完成された本発明のパッキン
は、長尺な線状体で、所要寸法に切断されて介装箇所に
適合するように曲げられた状態で配設されるパッキンで
あって、外力を加えて任意の形状に曲げることができ、
その曲げた後の形状を維持可能な金属線からなる芯線
と、該芯線の外周を被覆するゲル状樹脂材料製の弾性変
形部とを備え、前記介装箇所に挟み込まれた際に、前記
弾性変形部が圧縮されるのに伴って該弾性変形部の切断
端面が膨出し、該膨出部分が前記芯線の切断端面を包み
込むように構成されていることを特徴とする。
【0007】 このパッキンにおいて、芯線は、例えば
作業者が手作業で外力を加えれば容易に曲げることがで
きる程度の柔軟性があり、且つ、外力を取り去った後
は、弾性変形部の弾性変形に伴って生じる弾性力が作用
していても、曲げた後の形状が維持される程度の剛性が
ある金属線が選ばれる。また、長手方向に引っ張っても
容易には伸長しないようなものが望ましい。
【0008】属線を構成する金属の種類については
特に限定されず、鋼線、銅線など何でもよい。弾性変形
部は、ゲル状樹脂材料でできている。ゲル状樹脂材料
は、ベースポリマーが三次元的な網目状組織を形成し、
その網目状組織のなす間隙に流動性成分を包含して全体
としての流動性を失った状態になっている樹脂材料であ
る。
【0009】ベースポリマーとしては、例えば、スチレ
ン系、エステル系、アミド系、ウレタン系などの各種熱
可塑性エラストマー、並びに、それらの水添、その他に
よる変性物、あるいは、スチレン系、ABS系、オレフ
ィン系、塩化ビニル系、アクリル酸エステル系、メタク
リル酸エステル系、カーボネート系、アセタール系、ア
ミド系、ハロゲン化ポリエーテル系、ハロゲン化オレフ
ィン系、セルロース系、ビニリデン系、ビニルブチラー
ル系、アルキレンオキサイド系などの熱可塑性樹脂、お
よびこれらの樹脂のゴム変性物などが利用される。これ
らの各種熱可塑性高分子有機材料は、単独で用いても、
2種以上をブレンドして用いてもよい。
【0010】流動性成分としては、通常、室温で液体ま
たは液状の材料が用いられ、例えば、鉱物油系、植物油
系、合成系等の各種ゴム用または樹脂用軟化剤を使用で
きる。これらの軟化剤は1種を単独で用いてもよく、互
いの相溶性が良好であれば2種以上を混合して用いても
よい。また、親水性、疎水性のいずれの軟化剤でも使用
できる。流動性成分の添加量が多いほどゲル状樹脂材料
の硬度は低いものとなるので、所望の硬度となるように
調製すればよい。
【0011】 このように構成されたパッキンによれ
ば、ゲル状樹脂材料製の弾性変形部は、きわめて柔軟に
変形するので、介装箇所に対する密着性が高く、パッキ
ンとしての機能がきわめて高い。また、芯線は、任意の
形状に曲げられた際にその形状を維持するので、弾性変
形部がゲル状樹脂材料で形成されているにもかかわら
ず、パッキンの形態は安定し、芯線がない場合に比べパ
ッキンが長手方向へ伸長することも抑制される。したが
って、パッキンを介装箇所の適正な位置に容易に配置で
きるようになり、挟み込み作業が簡単になる。また、こ
のパッキンは、前記介装箇所に挟み込まれた際に、前記
弾性変形部が圧縮されるのに伴って該弾性変形部の切断
端面が膨出し、該膨出部分が前記芯線の切断端面を包み
込むように構成されている。このパッキンにおいて、膨
出部分の膨出量は弾性変形部の径が大きいほど多くなる
ので、芯線の径を基準にして、弾性変形部の膨出部分が
十分に芯線の切断端面を包み込む程度まで膨出するよう
に弾性変形部の径を大きくすれば、膨出部分が芯線の切
断端面を包み込むように構成することができる。このよ
うに構成されたパッキンによれば、弾性変形部の外周面
が圧縮されると弾性変形部の切断端面は軸方向へ膨出す
る。一方、芯線は外周から加圧されても軸方向へ伸長す
ることはないので、芯線の切断端面は弾性変形部の膨出
部分の内部に取り込まれた状態になり、さらにその弾性
変形部膨出部分自体も外周から圧縮されるので、膨出部
分の軸心付近にある穴(元々は芯線が通っていた穴)は
潰され、芯線の切断端面は完全に弾性変形部の内部に埋
没することになる。したがって、芯線は外気から遮断さ
れた状態になり、その結果、芯線がより錆びにくくなっ
て芯線の機能が長期間にわたって損なわれない。
【0012】なお、本発明のパッキンは、さらに次のよ
うな構成を備えていると望ましい。まず、芯線が金属線
である場合、前記ゲル状樹脂材料が、防錆能力のあるオ
イル成分を包含しているとよい。このように構成された
パッキンによれば、ゲル状樹脂材料に包含される流動性
成分として、防錆能力のあるオイル成分が包含されてい
るので、ゲル状樹脂材料表面に滲み出たオイル成分が芯
線の表面に付着し、その結果、芯線表面が錆びにくくな
って芯線の機能が長期間にわたって損なわれない。ま
た、芯線に錆が発生することを考慮して太めの芯線を採
用するといったことは不要となるので、その分だけ芯線
の細径化を図ることができ、これに伴って弾性変形部も
含めてパッキン全体が細径化され、小型薄型の機器にお
いて採用するパッキンとして好適なものとなる。
【0013】
【0014】
【0015】また、前記弾性変形部が、粘着性を有する
ものであってもよい。このようなパッキンによれば、弾
性変形部の粘着性によってパッキンを介装箇所に対して
仮止めすることができるので、作業中にパッキンがずれ
にくくなり、パッキンの取り付け作業における作業性が
向上する。
【0016】また、両端の切断端面が互いに対向して全
体が環をなす状態で前記介装箇所に挟み込まれた際に、
前記弾性変形部が圧縮されるのに伴って該弾性変形部の
両端にある切断端面が膨出し、両切断端面が互いに粘着
するように構成されていてもよい。
【0017】このようなパッキンによれば、両切断端面
が互いに粘着することにより、芯線の切断端面が完全に
弾性変形部の内側に封入されてしまうので、芯線が金属
線であっても錆が発生しにくく、芯線の機能が長期間に
わたって損なわれない。また、前記弾性変形部を形成す
るゲル状樹脂材料の一部が、前記芯線のなす空隙または
凹部に入り込んで、該芯線が前記弾性変形部に対して長
手方向へ相対的に変位するのを防止する状態になってい
てもよい。
【0018】このようなパッキンを構成するには、例え
ば、溶融状態にある樹脂材料の一部が流れ込むような空
隙または凹部を有する芯線を金型内に設置しておいて、
溶融状態にある樹脂材料を金型内に射出してインサート
成形を行えばよい。芯線の空隙または凹部は、樹脂材料
が入り込むことによって投錨効果が現れるような形態の
ものであればどのような形態であってもよく、例えば、
複数の金属繊維を縄状またはその他の網組状に編んだも
の、細長い金属帯を空洞となる中心部の周囲に螺旋を描
くように巻いたもの、細長い金属帯を捻ったものなど
は、いずれも所期の空隙または凹部を有する芯線として
利用可能である。
【0019】このようなパッキンによれば、芯線が弾性
変形部に対して長手方向へ相対的に変位しないので、芯
線と弾性変形部との相対的なずれを防止できる。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
一例を挙げて説明する。図1に示すパッキン1は、長手
方向に垂直な断面に同一の断面構造が現れる長尺な線状
体で、芯線3と、芯線3の外周を被覆する弾性変形部5
とを備えている。
【0021】芯線3は、本実施形態においては銅線であ
り、作業者が手作業で外力を加えると任意の形状に曲げ
ることができ、外力を加えるのをやめれば、弾性変形部
5の弾性変形に伴って生じる弾性力が作用していても、
曲げた後の形状が維持される程度の剛性がある。また、
芯線3は、長手方向に引っ張っても容易には伸長しない
伸縮性の低いものである。
【0022】弾性変形部5は、本実施形態においてはス
チレン系熱可塑性エラストマーをベースポリマーとし、
このベースポリマーの網目状組織のなす間隙に流動性成
分であるパラフィン系オイルを包含するゲル状樹脂材料
によって形成されている。流動性成分とベースポリマー
の配合比は、通常、1:1〜20:1の範囲内で調製さ
れ、この配合比によって弾性変形部5の物性(例えば、
弾性変形部5の硬度等)が調節されている。この弾性変
形部5は、表面にいくらか粘着性がある。また、弾性変
形部5の表面には、ごく微量のパラフィン系オイルが滲
み出る状態にあり、その滲み出たオイルが芯線3の表面
に付着するため、芯線3の表面と空気との接触が断た
れ、芯線3が錆びにくい状態になっている。
【0023】このようなパッキン1は、押出成形によっ
て製造可能であり、具体的には、芯線3を金型の中心に
ある貫通孔に導き、芯線3の外面を樹脂組成物で被覆し
ながら押し出すことによって、長尺なパッキン1を連続
的に製造することができる。以上のようにして製造され
たパッキン1は、通常は図示しないリールに巻かれて提
供され、使用する際に所要寸法に切断されて、介装箇所
に適合するような形状に曲げて配設される。この時、芯
線3は、曲げた後の形状を維持するとともに、パッキン
1の長手方向への伸長も抑制するので、パッキン1を所
期の形態で安定させることができ、パッキン1を介装箇
所の適正な位置に容易に配置することができる。
【0024】パッキン1を配設する際には、図2(a)
に示すように、まず、パッキン1が介装箇所となる一方
の部材Aの上に載置される。弾性変形部5の表面には粘
着性があるため、この粘着性によってパッキン1が部材
Aに対して仮止めされる状態となり、パッキン1が簡単
にすれてしまうようなことが無く、以降の作業を容易に
進めることができる。
【0025】こうして一方の部材A上にパッキン1を載
置したら、図2(b)に示すように、パッキン1を一方
の部材Aともう一方の部材Bとの間に挟み込む。挟み込
まれた弾性変形部5は、きわめて柔軟に変形するので、
介装箇所に対する密着性が高く、パッキンとしてきわめ
て高い性能を発揮する。また、弾性変形部5が圧縮され
るのに伴って弾性変形部5の切断端面5aが膨出し、一
方、芯線3は弾性変形部5が圧縮されても伸長しないの
で、膨出部分5bが芯線3の切断端面3aを包み込む状
態となる。そのため、芯線3は外気から遮断された状態
になり、その結果、芯線3がより錆びにくくなって芯線
3の機能が長期間にわたって損なわれない。
【0026】なお、上述のように芯線3の切断端面3a
は、パッキン1を介装箇所に挟み込むだけでも、弾性変
形部5の膨出部分5bに包み込まれるが、パッキン1を
環状に配設した場合には、図2(c)に示すように、両
端の切断端面5aが互いに対向するので、弾性変形部5
が圧縮されるのに伴って両端にある切断端面5aが膨出
すると、両切断端面5aが互いに粘着する。したがっ
て、この場合は、弾性変形部5の膨出量が比較的小さく
ても芯線3の切断端面3aを弾性変形部5の内側に封入
できるので、弾性変形部5の膨出量を小さくしてもよい
分だけ弾性変形部5の細径化も可能であり、より小型薄
型の機器にパッキン1を適用できるようになる。
【0027】以上、本発明の実施形態について説明した
が、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、
この他にも種々の形態で実施することができる。例え
ば、上記実施形態においては、芯線として銅線を用いる
例を示したが、図3(a)に示す芯線11のように、細
長い金属帯を空洞となる中心部の周囲に螺旋を描くよう
に巻いたものを用いて、この芯線11の周囲にゲル状樹
脂材料で弾性変形部を形成してパッキンを構成してもよ
い。あるいは、図3(b)に示す芯線13のように、複
数の金属繊維を編んだものを用いて、この芯線13の周
囲にゲル状樹脂材料で弾性変形部を形成してパッキンを
構成してもよい。このような構造の芯線11,13を用
いれば、芯線11、13をインサート品としてインサー
ト成形を行う際に、溶融状態にある樹脂材料の一部が芯
線11,13内の空隙または凹部に入り込んで冷却され
るので、投錨効果によって芯線11,13が弾性変形部
に対して長手方向へ相対的に変位しなくなり、芯線1
1,13と弾性変形部との相対的なずれを防止できるよ
うになる。
【0028】また、上記実施形態においては、単に一方
の部材Aともう一方の部材Bとの間に挟み込む場合を例
示したが、上記部材Aおよび部材Bの内、いずれか一方
または両方に溝を形成しておいて、その溝内にパッキン
1を嵌め込むように配設してもよい。この場合、パッキ
ン1が部材A−B間に挟み込まれても、弾性変形部5は
溝の内面に規制されて側方へはほとんど変形できないた
め、弾性変形部5が長手方向へ大きく変形することにな
り、その結果、芯線3は弾性変形部5の奥深くに包み込
まれる状態となるので、芯線3に対する防錆効果が高く
なる。また、パッキン1を環状に配置して端面同士を対
向させてある場合には、弾性変形部5が長手方向へ大き
く変形することによって、弾性変形部5の端面が相互に
強く圧接することになるので、パッキン1の継ぎ目にお
ける気密性・水密性を高める効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態として例示したパッキンの
斜視図である。
【図2】 パッキンの配設状態を説明するための断面図
である。
【図3】 芯線の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1・・・パッキン、3・・・芯線、5・・・弾性変形
部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2001−254835(JP,A) 特開2000−346200(JP,A) 特開2001−32940(JP,A) 特表 平10−505894(JP,A) 特表2000−511619(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16J 15/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長尺な線状体で、所要寸法に切断されて介
    装箇所に適合するように曲げられた状態で配設されるパ
    ッキンであって、 外力を加えて任意の形状に曲げることができ、その曲げ
    た後の形状を維持可能な金属線からなる芯線と、 該芯線の外周を被覆するゲル状樹脂材料製の弾性変形部
    を備え、 前記介装箇所に挟み込まれた際に、前記弾性変形部が圧
    縮されるのに伴って該弾性変形部の切断端面が膨出し、
    該膨出部分が前記芯線の切断端面を包み込むように構成
    されている ことを特徴とするパッキン。
  2. 【請求項2】前記ゲル状樹脂材料が、防錆能力のあるオ
    イル成分を包含していることを特徴とする請求項1に記
    載のパッキン。
  3. 【請求項3】前記弾性変形部が、粘着性を有することを
    特徴とする請求項1または請求項2に記載のパッキン。
  4. 【請求項4】両端の切断端面が互いに対向して全体が環
    をなす状態で前記介装箇所に挟み込まれた際に、前記弾
    性変形部が圧縮されるのに伴って該弾性変形部の両端に
    ある切断端面が膨出し、両切断端面が互いに粘着するよ
    うに構成されていることを特徴とする請求項3に記載の
    パッキン。
  5. 【請求項5】前記弾性変形部を形成するゲル状樹脂材料
    の一部が、前記芯線のなす空隙または凹部に入り込ん
    で、該芯線が前記弾性変形部に対して長手方向へ相対的
    に変位するのを防止する状態になっていることを特徴と
    する請求項1〜請求項4のいずれかに記載のパッキン。
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