JP2000346200A - ガスケット及びガスケットシール構造 - Google Patents

ガスケット及びガスケットシール構造

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JP2000346200A
JP2000346200A JP11156505A JP15650599A JP2000346200A JP 2000346200 A JP2000346200 A JP 2000346200A JP 11156505 A JP11156505 A JP 11156505A JP 15650599 A JP15650599 A JP 15650599A JP 2000346200 A JP2000346200 A JP 2000346200A
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gasket
gel
sealing material
cylinder head
opposing surfaces
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JP11156505A
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Satoru Yasuki
哲 安木
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シール対象となる対向面間の面圧分布の変化に
起因して変位が生じる部位においても、充分なシール性
能を確保可能なガスケット及びガスケットシール構造を
提供する。 【解決手段】シリンダヘッド10とシリンダブロック1
1との対向面間に介設され、これら対向面間をシールす
るシリンダヘッドガスケット1の金属板2上には、ゲル
状のシール材6がコーティングされている。このゲル状
のシール材6は、燃焼室12内の燃焼圧などによる対向
面間の面圧分布の変化に起因するクリアランスの発生
を、自身の粘性や流動性によって柔軟に吸収可能なよう
に充分な厚みを有して設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対向する2面間を
シールするガスケット及びガスケットシール構造に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】内燃機関のシリンダヘッドとシリンダブ
ロックとの締結面間には、燃焼室中の燃焼ガスなどの漏
れを防止するためのシリンダヘッドガスケットが介設さ
れている。
【0003】こうしたシリンダヘッドガスケットとして
は、例えば実開昭63−180770号公報にみられる
ように、シリコン粘着剤やフッ素粘着剤などからなるミ
クロシール剤をガスケットの表裏面にコーティングし
て、その表面に固着させたものが知られている。
【0004】シリンダヘッドガスケットを狭持するシリ
ンダヘッド及びシリンダブロックの締結面には、加工時
のツールマークなどによって10μm程度の微小な凹凸
が存在し、シール性能を低下させる要因の一つとなって
いる。この点、上記公報に記載のガスケットでは、その
表裏面にコーティングした極軟質で粘着性を有するミク
ロシール剤が上記凹凸に入り込み、シリンダヘッド及び
シリンダブロックの当接面とガスケットとの密着性が確
保されるようになっている。ちなみに、こうした密着性
の確保のためには、上記締結面の凹凸の大きさ(10μ
m程度)よりも大きな10〜30μm程度のミクロシー
ル剤のコーティング層を設けておけば充分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、ガスケッ
トの表裏面にミクロシール剤をコーティングして密着性
を確保することで、こうした対向面の微小な表面粗さに
起因するシール性能の低下を防止することはできる。
【0006】ただし、内燃機関ではその稼働中、燃焼圧
や熱歪み、あるいは内燃機関の稼動に伴う振動などによ
って、ガスケットを狭持する対向2面間の面圧分布が大
きく変化し、シリンダヘッドの対向面にはこれに起因し
て同対向面の表面粗さよりも大きな変位が生じてしま
う。上記公報に記載のガスケットのミクロシール剤は、
上記対向面の微小な表面粗さに起因するクリアランスに
対応するだけのものであり、同対向面上に固着されてい
るため、こうした対向面間の面圧変動に起因する変位に
柔軟に対応して流動することはできない。また、シリン
ダヘッドの上記対向面は、燃焼室での爆発に応じて短い
周期で繰り返し変位するため、上記対向面の微小なクリ
アランスを塞ぐ程度のミクロシール剤ではこうした変位
に追従できず、上記対向面より剥離してしまうおそれが
ある。
【0007】なお、こうした変位は、シリンダヘッドと
シリンダブロックとの締結力をより強固にすることで、
ある程度低減することはできる。しかしながら、近年、
内燃機関の軽量化のため、アルミニウム合金などの比較
的軟らかな金属によってシリンダヘッドやシリンダブロ
ックが製造されることがあり、こうした場合、締結用ボ
ルトの座面などの変形を回避するため、こうした締結力
の強化にも自ずと限界がある。しかも近年、内燃機関の
出力向上のため、燃焼圧の高圧化が促進されており、充
分なシール性能を確保することが益々困難となってい
る。
【0008】こうしたシリンダヘッドガスケットに限ら
ず、ガスケットを狭持する対向面間の圧力分布の変化に
起因して変位が生じる部位においては、上記従来のガス
ケットを採用したとしても、充分なシール性能を確保す
ることができないおそれがある。
【0009】本発明は、こうした実情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、シール対象となる対向面間
の面圧分布の変化に起因してその対向面が変位する部位
にあっても、充分なシール性能を確保することのできる
ガスケット及びガスケットシール構造を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段及びその作用効果について記載する。請求
項1に記載の発明は、ガスケットの表面にゲル状のシー
ル材をコーティングしたものである。
【0011】ガスケットのシール対象となる対向面間の
面圧分布の変化に起因して、この対向面に変位が生じる
ことがある。こうした場合、この請求項1に記載の構成
では、ガスケットの表面にコーティングされて、同表面
上を流動可能に塗布されたゲル状のシール材がその粘性
及び流動性によって上記変位を柔軟に吸収するため、ガ
スケットと対向面との密着性が保持されるようになる。
【0012】したがって、この請求項1に記載の構成に
よれば、シール対象となる対向面が面圧分布の変化等に
起因してその対向面に変位が生じる部位にあっても、そ
の変位に起因するシール性能の低下を抑制可能とするこ
とができる。
【0013】また、請求項2に記載の発明は、対向する
2面間をガスケットを介してシールするガスケットシー
ル構造において、前記ガスケットと前記対向する2面と
の間にゲル状のシール材を介設させるようにしたもので
ある。
【0014】この請求項2に記載の構成では、シール対
象となる対向する2面とガスケットとの当接面間にゲル
状のシール材が介在されるようになる。このため、この
構成では、対向する2面が面圧分布の変化によってそれ
ら対向する2面に変位が生じた場合にも、上記当接面間
に介在されたゲル状のシール材の粘性及び流動性によっ
て、その変位を柔軟に吸収して、ガスケットと対向する
2面との密着性が保持されるようになる。
【0015】したがって、この請求項2に記載の構成に
よれば、シール対象となる対向面に面圧分布の変化に起
因する変位が生じる部位においても、充分なシール性能
を確保可能となる。
【0016】また、請求項3に記載の発明は、請求項2
に記載のガスケットシール構造において、前記ゲル状の
シール材を、少なくとも前記ガスケットとこれを狭持す
る前記対向する2面との当接面に介設させるようにした
ものである。
【0017】この請求項3に記載の構成では、少なくと
もシール対象となる対向する2面とガスケットとの当接
面には、ゲル状のシール材が介在されているようにな
る。このため、たとえこの当接面以外の部位にゲル状の
シール材が介設されていなくとも、上記対向する2面の
面圧分布の変化に起因する変位を吸収可能とすることが
できる。
【0018】したがってこの請求項3に記載の構成によ
れば、ゲル状のシール材を介設させる部位を低減した場
合にも、請求項2に記載の発明と同等の効果を得ること
ができるようになる。
【0019】また、請求項4に記載の発明は、請求項2
または3に記載のガスケットシール構造において、前記
ゲル状のシール材を耐熱性材料で構成するようにしたも
のである。
【0020】この請求項4に記載の構成では、シール対
象となる対向する2面とガスケットとの当接面間に耐熱
性材料にて構成されたゲル状のシール材が介在されるよ
うになる。したがって、この請求項4に記載の構成によ
れば、請求項2または3に記載のガスケットシール構造
を、高温環境下においても適用することができるように
なる。
【0021】また、請求項5に記載の発明は、請求項2
〜4のいずれかに記載のガスケットシール構造におい
て、前記ゲル状のシール材に金属粉末を混入させるよう
にしたものである。
【0022】この請求項5に記載の構成では、シール対
象となる対向する2面とガスケットとの当接面間に金属
粉末が混入されたゲル状のシール材が介在されるように
なる。この構成では、ゲル状のシール材に高い圧力が作
用した場合、その圧力により上記シール材内部に作用す
る圧縮力を混入された金属粉末が受け持つようになる。
このため、高い圧力が作用した場合にも、ゲル状のシー
ル材自体に作用する圧縮力が大きく低減されるようにな
り、ゲル状のシール材の過剰な流動が防止されるように
なる。
【0023】したがって、この請求項5に記載の構成に
よれば、請求項2〜4のいずれかに記載のガスケットシ
ール構造を、高圧環境下においても適用することができ
るようになる。
【0024】また、請求項6に記載の発明は、請求項2
〜5のいずれかに記載のガスケットシール構造におい
て、前記ガスケットを内燃機関のシリンダヘッドガスケ
ットとして、前記対向する2面を当該機関のシリンダヘ
ッドとシリンダブロックとの対向面として適用したもの
である。
【0025】この請求項6に記載の構成では、内燃機関
のシリンダヘッドとシリンダブロックとの対向面間に介
設されるシリンダヘッドガスケットと、これらシリンダ
ヘッド及びシリンダブロックの対向面との当接面間にゲ
ル状のシール材が介在されるようになる。こうしたシリ
ンダヘッドガスケットでは、内燃機関稼働中の燃焼圧な
どによってそのシール対象となる対向面間の面圧分布が
大きく変化し、これに起因して上記対向面の変位が生じ
る。この点、上記構成では、ゲル状のシール材の粘性及
び流動性によって、こうした変位を吸収し、シリンダヘ
ッドガスケットとシリンダヘッド及びシリンダブロック
の対向面との密着性を保持することができるようにな
る。
【0026】したがって、この請求項6に記載の構成に
よれば、燃焼圧等による面圧分布の変化に起因して変位
が生じる内燃機関のシリンダヘッドとシリンダブロック
との対向面間においても、シール性能を確保可能とな
る。
【0027】ちなみに、こうしたシリンダヘッドガスケ
ットシール構造において、請求項4に記載のようなゲル
状のシール材として耐熱材料を用いる構成や、請求項5
に記載のゲル状のシール材に金属粉末を混入する構成を
適用した場合、高温且つ高圧環境となる内燃機関の燃焼
室周りにおいても、シール性能をより好適に確保可能と
なる。
【0028】また、請求項7に記載の発明は、請求項6
に記載のガスケットシール構造において、前記シリンダ
ヘッドとシリンダブロックとの対向面に臨む燃焼室の周
囲に、該対向面間からはみ出した前記ゲル状のシール材
を溜めるゲル溜め用のクリアランスを形成したものであ
る。
【0029】シリンダヘッドとシリンダブロックとの締
結時の締め付けなどによって高まった面圧によって、ゲ
ル状のシール材が流動してこれらの対向面間から燃焼室
内へとはみ出すことがある。こうして燃焼室内へと溢れ
出したゲル状のシール材は、内燃機関のピストンや機関
バルブなどと干渉するおそれがあり、あまり望ましいも
のではない。
【0030】この点、この請求項7に記載の構成では、
上記締め付けなどによって流動し、はみ出したゲル状の
シール材は、まず燃焼室の周囲に形成されたゲル溜め用
のクリアランス内に入り込むようになる。したがって、
この請求項7に記載の構成によれば、ゲル状のシール材
が燃焼室内まで溢れ出すことを効果的に抑制できるよう
になる。
【0031】また、請求項8に記載の発明は、請求項7
に記載のガスケットシール構造において、前記ゲル溜め
用のクリアランスを、前記燃焼室側に向かうほどその幅
が大きくなる楔形状に形成したものである。
【0032】この請求項8に記載の構成によれば、上記
シリンダヘッドとシリンダブロックとの締結時の締め付
け力などによって高まった面圧によって、これらの対向
面間からはみ出したゲル状のシール材は、燃焼室側に向
かうほどその幅が大きくなる楔形状に形成されたゲル溜
め用のクリアランス内に入り込むようになる。こうして
上記対向面に臨む燃焼室の周囲に形成された楔形状のク
リアランス内に入り込んだゲル状のシール材は、同燃焼
室で発生する燃焼圧を楔効果によって効率的に支持する
ようになる。
【0033】したがって、この請求項8に記載の構成に
よれば、燃焼室内の燃焼圧を効率的に支持することがで
きるようになり、この燃焼圧によるゲル状のシール材の
過剰な流動や変形を効果的に低減することができるよう
になる。
【0034】また、請求項9に記載の発明は、請求項2
〜8のいずれかに記載のガスケットシール構造におい
て、前記ゲル状のシール材を、前記ガスケットを狭持す
る対向する2面間での面圧分布の変化に伴うクリアラン
スの発生を抑制し得る厚さをもって介設させるようにし
たものである。
【0035】この請求項9に記載の構成では、ゲル状の
シール材が充分な厚さをもって介設されているため、ガ
スケットを狭持する対向する2面間での面圧分布の変化
に起因して生じるこれら対向する2面の変位に伴うクリ
アランスの発生が確実に抑制されるようになる。
【0036】したがって、この請求項9に記載の構成に
よれば、シール対象となる対向する2面間での面圧分布
が大きく変化するような部位に適用されるガスケットシ
ール構造であれ、そのシール性能を確実に確保すること
ができるようになる。
【0037】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発
明を、内燃機関のシリンダヘッドとシリンダブロックと
の当接面間に介設されるシリンダヘッドガスケット及び
同当接面間のガスケットシール構造として具体化した第
1の実施の形態について詳細に説明する。
【0038】図1は、本実施の形態についてそのシリン
ダヘッドガスケット1のシリンダブロック側からみた平
面構造を、図2は、図1のII−II線に沿った同ガスケッ
ト1の部分断面構造を示している。以下、これら図1及
び図2に基づいて、このガスケット1の構成について説
明する。
【0039】このガスケット1は、主に金属板2によっ
て構成されており、図1に示すように、適用される内燃
機関の燃焼室に対応して複数の(同図1では4つの)燃
焼室孔3が形成されている。また、各燃焼室孔3の周囲
には、内燃機関のシリンダヘッドとシリンダブロック
(図示略)との間にこのガスケット1を介設させて締結
する際に、締結ボルト(図示略)が挿通される複数のボ
ルト孔4が形成されている。
【0040】更に、このガスケット1のシリンダブロッ
クと対向する側の面において上記各燃焼室孔3の周縁に
は、シム5が形成されている。このシム5は、ガスケッ
ト1を上記締結ボルトにて締結し、内燃機関に組み付け
たときに、シリンダブロックとの当接面における上記燃
焼室周縁の面圧を高めるために設けられている。こうし
て燃焼室周縁の面圧を高めることで、内燃機関の稼働中
に燃焼室にて発生する燃焼ガスの漏れを効果的に抑制さ
せるようにしている。また更に、こうして高められた面
圧によってシリンダブロックの燃焼室周縁に予変形を与
えておくことで、該燃焼室内の燃焼圧が作用した際のシ
リンダヘッド及びシリンダブロックの変形量を低減させ
るようにしている。
【0041】なお、図2に示すように、このガスケット
1において、そのシール対象となるシリンダヘッド及び
シリンダブロックの対向面との当接面となる金属板2の
上下表面には、ゲル状のシール材6がコーティングされ
ている。
【0042】このゲル状のシール材6は、高い粘性及び
流動性を有しており、このシール材6が介設される対向
面の面圧変化などに起因してこれら対向面に生じる変位
に応じて柔軟に流動することができる。このゲル状のシ
ール材6は、その粘性によって金属板2上に付着してい
るものの完全には固着されておらず、上記変位に応じて
その表面上を柔軟に流動可能なように塗布されている。
なお、このゲル状のシール材6は、1.0〜2.0Pa
・Sの粘度を有しており、充分な流動を許容しながらも
上記対向面上に適宜に付着して、対向面の変位に伴うク
リアランスの発生を効果的に抑制可能となっている。
【0043】また、このゲル状のシール材6は、耐熱性
材料によって構成されているため、燃焼室周辺の高温環
境下での使用にも充分に応えることができる。更に、こ
のゲル状のシール材6には、金属粉末が混入されてお
り、シール材6の内部に作用する圧縮力をこの金属粉末
に受け持たせるようにしている。この結果、高い圧力が
作用したときにもゲル状のシール材6の過剰な変形や流
動が抑制されるようになっており、燃焼圧が作用する燃
焼室周りでの使用にも充分に耐えうるようになってい
る。
【0044】なお、このゲル状のシール材6のコーティ
ング層は、そのシール対象となるシリンダヘッド及びシ
リンダブロックの対向面での、燃焼圧等による面圧分布
の変化に伴う変形によって生じるクリアランスの発生を
抑制し得るだけの充分な厚さに設定されている。ちなみ
に、このゲル状のシール材6の厚みを30〜150μm
の範囲とすることで、こうしたクリアランスの発生を効
果的に抑制できることが、発明者らによって確かめられ
ている。
【0045】図3は、このガスケット1を介して締結さ
れたシリンダヘッド10及びシリンダブロック11の部
分断面構造を示している。この図3に示すように、シー
ル対象となるシリンダヘッド10及びシリンダブロック
11の両対向面と上記ガスケット1の金属板2とは、こ
の金属板2にコーティングされたゲル状のシール材6を
介して当接されている。このゲル状のシール材6の粘性
及び流動性によって、ガスケット1とシリンダヘッド1
0及びシリンダブロック11の両対向面との当接面は密
着されている。
【0046】ここで、同図3に2点鎖線にて示すよう
に、燃焼室12内の燃焼圧Pによってその燃焼室12の
上面にあたるシリンダヘッド10の底面が持ち上げられ
るような変位が生じた場合、ゲル状のシール材6は、こ
うした変位に応じて、同図3に矢印にて示すように流動
する。こうして流動したシール材6は、この変位によっ
て対向面間の幅が広がった部分Cにも入り込む。この結
果、ガスケット1とシリンダヘッド10及びシリンダブ
ロック11の両対向面との当接面は、密着されたまま保
持されるようになり、そのシール性能は充分に確保され
るようになる。
【0047】しかも、ゲル状のシール材6は高い流動性
を有しているため、内燃機関の稼働中、こうした変形が
短い周期にて繰り返し生じたとしても、それに充分に追
従して流動することができる。このため、こうしたゲル
状のシール材6をコーティングしたガスケット1を備え
るガスケットシール構造を採用することで、シール対象
となる対向面が短い周期で繰り返し変位が生じるシリン
ダヘッドガスケット部においても、充分なシール性能を
確保することができるようになる。
【0048】ちなみに、上述のようにアルミニウム合金
などの比較的軟らかな金属によって製造されたシリンダ
ヘッドを備える内燃機関では、締結ボルト用の座面陥没
等の変形のおそれがあるため、シリンダヘッドとシリン
ダブロックとの締結力の強化には限界がある。このた
め、こうした内燃機関では、これらの締結力の強化によ
って燃焼圧などによるシリンダヘッドの変位を抑制する
ことが困難である。しかしながら、本実施の形態のガス
ケットシール構造では、シリンダヘッドとシリンダブロ
ックとの締結力を高めて変位を抑えずとも充分なシール
性能が確保されるため、上述のように締結力の強化に限
界のあるアルミニウム合金製のシリンダヘッドやシリン
ダブロックの設計等を容易とすることができるようにも
なる。
【0049】また一方、内燃機関の高出力化を図るべく
燃焼圧を高めると、当然ながらシリンダヘッドに生じる
変位は大きくなる。本実施の形態のガスケットシール構
造では、このようなシリンダヘッドに生じる変位の大き
な内燃機関においても、充分なシール性能を確保するこ
とができる。
【0050】以上説明したように、本実施の形態によれ
ば、以下に記載する効果を得ることができるようにな
る。 (1)ガスケット1にコーティングしたゲル状のシール
材6の粘性及び流動性によって、ガスケット1とシリン
ダヘッド10及びシリンダブロック11との当接面の密
着性が保持される。このため、燃焼圧などによるこれら
当接面での面圧分布が変化等に起因して発生するクリア
ランスを効果的に抑制し、充分なシール性能を確保する
ことができるようになる。
【0051】(2)ゲル状のシール材6が耐熱性材料に
よって構成されているため、高温となる燃焼室12の周
囲部においても充分なシール性能を発揮することができ
るようになる。
【0052】(3)ゲル状のシール材6に金属粉末が混
入されており、その内部に作用する圧縮力をこの金属粉
末に受け持たせて、同シール材6の過剰な変形や流動を
低減できるため、高圧の燃焼圧がかかる燃焼室12の周
囲部においても充分なシール性能を発揮することができ
るようになる。
【0053】(4)ゲル状のシール材6によってシール
性能を確保することで、燃焼圧等による面圧分布の変化
に起因して生じるシリンダヘッド10等の変位がある程
度まで許容されるため、シリンダヘッド10とシリンダ
ブロック11との締結力をあまり強化する必要がなくな
る。したがって、締結力の強化に限界のあるアルミニウ
ム合金などの比較的軟かい金属によって製造されるシリ
ンダヘッドやシリンダブロックの設計等も容易となる。
【0054】(5)燃焼圧が高くなり、シリンダヘッド
10等の変位が大きくなったとしても、ゲル状のシール
材6によってシール性能が確保されるため、内燃機関の
高出力化が容易に図られるようにもなる。
【0055】(第2の実施の形態)続いて、本発明を具
体化した第2の実施の形態について説明する。先の図3
に示すように、第1の実施の形態のガスケットシール構
造では、シリンダヘッド10とシリンダブロック11と
は、ゲル状のシール材6がコーティングされたシリンダ
ヘッドガスケット1を介して締結されている。こうした
ガスケットシール構造では、締結時の締め付けによって
高まった上記ガスケット1表面の面圧により、ゲル状の
シール材6が流動して燃焼室12内に溢れ出すおそれが
ある。こうして燃焼室12内へと流入したシール材6
は、内燃機関のピストンや機関バルブなどと干渉するお
それがあるため、あまり好ましいものではない。
【0056】そこで本実施の形態のガスケットシール構
造では、シリンダヘッドとシリンダブロックとの対向面
に臨む燃焼室の周囲に、溢れ出たゲル状のシール材を溜
めるゲル溜め用のクリアランスを設けるようにしてい
る。
【0057】なお、このガスケットシール構造には、先
の第1の実施の形態と同様の構成のシリンダヘッドガス
ケットが採用されている。そこで、このガスケットの各
部構成については、同一の符号を付してその説明を省略
する。
【0058】図4は、この実施の形態のガスケットシー
ル構造についてそのシール対象であるシリンダヘッド2
0及びシリンダブロック21の対向面付近の部分断面構
造を示している。以下、この図4に基づき、このガスケ
ットシール構造について説明する。
【0059】この図4に示すように、この実施の形態に
おいても、シリンダヘッド20及びシリンダブロック2
1は、先の第1の実施の形態と同じくゲル状のシール材
6がコーティングされたシリンダヘッドガスケット1を
介して締結されている。
【0060】上述のように、上記ガスケット1を介して
対向するシリンダヘッド20とシリンダブロック21と
の対向面に臨む燃焼室22の周囲には、ゲル溜め用のク
リアランス23,24がそれぞれ形成されている。ここ
では、これらのクリアランス23,24をこれら対向面
に臨む燃焼室22の周縁部を切り欠いて形成している。
このため、これらクリアランス23,24は、燃焼室2
2側へ向かうほどその幅が大きくなる楔形状とされてい
る。
【0061】こうしたゲル溜め用のクリアランス23,
24が設けられているため、このガスケットシール構造
では、シリンダヘッド20とシリンダブロック21との
締結に際して、締め付けによりこれらの対向面からはみ
出したゲル状のシール材6は、まずこれらクリアランス
23,24内に広がるように流入する。このように、は
み出したゲル状のシール材6をゲル溜め用のクリアラン
ス23,24内に溜めることで、燃焼室22内に流入す
るシール材6の量を効果的に低減することができるよう
になる。
【0062】また、この実施の形態では、こうしたゲル
溜め用のクリアランス23,24は、燃焼室22側ほど
その幅が大きくなる楔形状に形成されている。このた
め、ゲル状のシール材6の燃焼室22に面した部位に作
用する燃焼圧pを楔効果によって効率的に支持できるた
め、燃焼圧pによるシール材6の過剰な変形や流動が抑
制されるようになる。
【0063】以上説明した本実施の形態によれば、上記
(1)〜(5)に記載した効果に加え、以下の効果を得
ることができるようになる。 (6)シール対象となるシリンダヘッド20とシリンダ
ブロック21との対向面に臨む燃焼室22の周囲にゲル
溜め用のクリアランス23,24が形成されているた
め、締結時にゲル状のシール材6が燃焼室22内に溢れ
出すことを効果的に抑制することができるようになる。
【0064】(7)このゲル溜め用のクリアランス2
3,24が燃焼室22側ほどその幅が大きくなる楔形状
に形成されているため、ゲル状のシール材6は燃焼室2
2内の燃焼圧Pを楔効果によって効果的に支持すること
ができ、こうした燃焼圧pによるシール材6の過剰な変
形や流動を抑制することができるようになる。
【0065】なお、以上説明した各実施の形態のガスケ
ット及びガスケットシール構造は、以下のように変更す
ることもできる。 ・上記第2の実施の形態では、ゲル溜め用のクリアラン
ス23,24を燃焼室22側に向かうほどその幅が広く
なる楔形状に形成する構成としているが、こうしたゲル
溜め用のクリアランスの形状は上記楔形状に限らず任意
である。要は、シリンダヘッド20とシリンダブロック
21との締結時の締め付けなどによってこれらの対向面
間からはみ出したゲル状のシール材6を収容可能なクリ
アランスが、これら対向面に臨む燃焼室の周囲に形成さ
れていれば、上記(6)に記載したようなシール材6の
燃焼室22内への流入を効果的に抑制することはできる
ようになる。
【0066】・また、上記各実施の形態では、ガスケッ
ト1の金属板2上にゲル状のシール材6をコーティング
する構成としたが、シリンダヘッド10,20及びシリ
ンダブロック11,21の対向面側にゲル状のシール材
をコーティングする構成とするようにしてもよい。すな
わち、要はシール対象となる対向する2面とガスケット
との間にゲル状のシール材が介設されるよう構成しさえ
すれば、上記(1)〜(7)に記載したようなシール性
能にかかる優れた効果を得ることができる。ちなみに、
上記各実施の形態のように、ガスケット側にゲル状のシ
ール材をコーティングする構成とする場合には、こうし
たガスケットシール構造の設置などにかかる、その取り
扱いが容易ともなる。
【0067】・上記各実施の形態では、本発明にかかる
ガスケット及びガスケットシール構造を内燃機関のシリ
ンダヘッドガスケット及びそれが設けられるシリンダヘ
ッドとシリンダブロックとの対向面間のガスケットシー
ル構造として適用した場合について説明した。しかしな
がら、こうした本発明にかかるガスケット及びガスケッ
トシール構造は、こうしたシリンダヘッドガスケット部
に限らず、如何なる部位においても適用することができ
る。こうしたシリンダヘッドガスケット部以外のガスケ
ットシール構造においても、シール対象となる対向する
2面とガスケットとの間にゲル状のシール材を介在させ
るようにすれば、これら対向する2面間の面圧分布の変
化などに起因するクリアランスの発生を低減し、効果的
にシール性能を確保可能となる。
【0068】・また、上記各実施の形態では、ゲル状の
シール材に金属粉末を混入させる構成としたが、作用す
る圧力をゲル状のシール材自体で充分に支持することが
可能であれば、金属粉末を混入せずとも充分なシール性
能を発揮することができるようになる。
【0069】・また、上記各実施の形態では、ゲル状の
シール材を耐熱材料によって構成するようにしている
が、ガスケット及びガスケットシール構造が上記各実施
の形態のような高温環境に適用されない場合には、耐熱
材料とせずとも充分なシール性能を発揮することができ
るようになる。
【0070】・更に、ゲル状のシール材の材料について
は任意であり、要はそれが充分な粘性や流動性を有して
いて、シール対象となる対向する2面間の面圧分布に起
因する変形を充分に吸収可能な材料であれば、適用され
るガスケット及びガスケットシール構造のシール性能を
確保可能である。
【0071】・また、シール対象となる対向する2面と
ガスケットとの間に介設されるゲル状のシール材層の厚
さについても任意であり、要は上記対向する2面間の面
圧分布に起因するクリアランスの発生を充分に抑制可能
な厚さを有していさえすれば、充分なシール性能を確保
することができる。ちなみにこのゲル状のシール材層の
厚さについては、適用される対向する2面間の面圧の大
きさやその変化量に応じてその適正な範囲は変化する
が、先述した実開昭63−180770号公報に記載の
ガスケットにおけるミクロシール剤のコーティング層の
ように対向面の凹凸に起因して生じるクリアランスを防
止する目的のシール材に比べて、充分に厚くしなければ
確実なシール性能の確保が困難となることは云うまでも
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態についてそのガスケット
の平面構造を示す平面図。
【図2】図1のII-II線に沿ったガスケットの部分断面
図。
【図3】同ガスケットのシール対象となる内燃機関のシ
リンダヘッドガスケットシール部の部分断面図。
【図4】本発明にかかるの第2実施形態についてシール
対象となる内燃機関のシリンダヘッドガスケットシール
部の部分断面図。
【符号の説明】
1…シリンダヘッドガスケット、2…金属板、3…燃焼
室孔、4…ボルト孔、5…シム、6…ゲル状のシール
材、10,20…シリンダヘッド、11,21…シリン
ダブロック、12,22…燃焼室、23,24…ゲル溜
め用のクリアランス。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16J 15/10 F16J 15/10 H

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面にゲル状のシール材がコーティングさ
    れてなるガスケット。
  2. 【請求項2】対向する2面間をガスケットを介してシー
    ルするガスケットシール構造において、 前記ガスケットと前記対向する2面との間にゲル状のシ
    ール材が介設されてなることを特徴とするガスケットシ
    ール構造。
  3. 【請求項3】前記ゲル状のシール材は、少なくとも前記
    ガスケットとこれを狭持する前記対向する2面との当接
    面に介設されてなる請求項2に記載のガスケットシール
    構造。
  4. 【請求項4】前記ゲル状のシール材は、耐熱性材料で構
    成されてなる請求項2または3に記載のガスケットシー
    ル構造。
  5. 【請求項5】前記ゲル状のシール材には、金属粉末が混
    入されてなる請求項2〜4のいずれかに記載のガスケッ
    トシール構造。
  6. 【請求項6】前記ガスケットは内燃機関のシリンダヘッ
    ドガスケットであり、前記対向する2面は当該機関のシ
    リンダヘッドとシリンダブロックとの対向面である請求
    項2〜5のいずれかに記載のガスケットシール構造。
  7. 【請求項7】前記シリンダヘッドとシリンダブロックと
    の対向面に臨む燃焼室の周囲には、該対向面間からはみ
    出した前記ゲル状のシール材を溜めるゲル溜め用のクリ
    アランスが形成されてなる請求項6に記載のガスケット
    シール構造。
  8. 【請求項8】前記ゲル溜め用のクリアランスは、前記燃
    焼室側に向かうほどその幅が大きくなる楔形状に形成さ
    れてなる請求項7に記載のガスケットシール構造。
  9. 【請求項9】前記ゲル状のシール材は、前記ガスケット
    を狭持する対向する2面間での面圧分布の変化に伴うク
    リアランスの発生を抑制し得る厚さをもって介設されて
    なる請求項2〜8のいずれかに記載のガスケットシール
    構造。
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