JP2008223582A - 金属ガスケット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃焼室孔1が開口していると共に板外周端部側に複数のボルト孔8が開口している金属板からなる基板からなる。上記複数のボルト孔のうちの少なくとも1つのボルト孔8Aよりも外側に油孔9が開口している。そのボルト孔8Aと油孔9との間の基板部分を切除して両者8A、9を連通させる。
【選択図】 図1
Description
なお、この特許文献1では、下記の関係となるようにガスケットの総板厚を調整することで、接合面に傾斜をつけて外周側での対向する接合面間の間隙を小さくしている。
また、金属ガスケットは、一枚の基板から構成されるもの以外にも、複数の基板を積層して構成されるものや、1枚又は2枚以上の基板と副板を積層したり、シム板を介装したりして構成される。
また、内燃機関の進化と共に、高性能化、軽量化、排ガス浄化技術の希薄燃焼化ハイメカ化等でエンジンの熱負荷は増加している。
この現象に対し、通常では、積層する基板枚数を増加させ変形追随量を増大することでオイル漏れに対応している。
また、本発明者らは、上記エンジンの温度差による熱変形を抑えるために、ボルト孔より外側にある油孔側の外周端部にシム板を増設することで、ボルト締付け初期から、ボルト孔より外側の接合面部分に矯正的に反り方向の変形をさせておき、熱変形による反り変形量を低減する技術も発明したが、この技術では、シム板の増設と取付けが必要である。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、より簡易な構成によってボルト孔外側にある孔からの流体の漏れを防止可能な金属ガスケットを提供することを課題としている。
上記第2の孔が外側に配置されるボルト孔を、隣接ボルト孔と定義すると、
上記隣接ボルト孔が形成された金属板のうちの少なくとも1枚の金属板について、その隣接ボルト孔に続く第2の孔側部分を切り欠いて、当該隣接ボルト孔における第2の孔側の開口を広くしたことを特徴とするものである。
そして、シリンダブロックとシリンダヘッドの対向する接合面間に金属ガスケットを介挿し、ボルト孔に挿通されたボルトで締め付けたときに、上記接合面は、ボルト位置で対向する接合面間の間隙が一番狭くなるように変形する。
このように、初期状態で、接合面におけるボルトよりも外周側部分に、矯正的な反りを付与しておくことで、上述のような運転初期の熱変形による口開きの変化量をゼロか小さく抑えることが出来る。
本発明によれば、少なくとも1枚の金属板について、隣接ボルト孔と第2の孔とが連通、つまりその間の板部材を切り欠いて除去しているので、隣接ボルト孔の広げた外側部分の総板厚よりも板厚が厚い部分が、第2の孔よりも外側部分だけとなってボルトからの距離が大きくなることで、より隣接ボルト孔外側に位置する接合面に付与する強制的な反り方向の変形量を稼ぐ事が出来る。
また、単に連通するように切欠いた形状とするので金属体の加工も容易となる。
上記第2の孔が外側に配置されるボルト孔を、隣接ボルト孔と定義すると、
上記隣接ボルト孔の周りの総板厚について、隣接ボルト孔に挿通されるボルトを挟んだ第2の孔側の総板厚が、当該第2の孔とは反対側の総板厚よりも小さいことを特徴とするものである。
第1の実施形態は、1枚の金属板で金属ガスケットを構成する例である。
図1は、その一部破断した状態を示す平面図であって、図2は、そのA−A断面図である。
まず構成について説明する。
鋼材などバネ力を発生可能な弾性金属板からなる1枚の基板2を備え、その基板2には、図1及び図2に示すように、エンジンの燃焼ガスを爆発させる燃焼室(ボア)に対応して設けられた複数の燃焼室孔1が、長手方向に並んで開口している。金属板としてはステンレス鋼板、軟鋼板等が例示でき、本実施形態ではステンレス鋼板を使用している。
また、基板2には、燃焼室孔1を無端状に囲むように燃焼室孔側ビード3が成型されている。その燃焼室孔側ビード3は、基板2自体を板厚方向に変形加工してなるフルビードである。もっともステップ状のハーフビードであっても良い。
そして、本実施形態では、上記隣接ボルト孔8Aと油孔9との間に位置する基板2部分を切り欠いて除去することで、当該隣接ボルト孔8Aと油孔9とを連通状態としている。隣接ボルト孔8Aの切欠き部分は、好適には、挿通されるボルト50軸中心位置よりも油孔9側の部分を切り欠くことが好ましいが、切欠き部分は、それよりも小さくても構わない。
本実施形態では、上記油孔9が第2の孔を構成する。第2の孔は油孔に限定されない。
1枚の基板2に開口された燃焼室孔1、ボルト孔8、油孔9、水孔等の孔周囲であってシールを必要とする部位に凹凸状又はステップ状のビードを成型してシールラインが形成されて、シールすべき孔周りがシールされている。
これに対して、本実施形態では、基板2の外周端部にシム板や基板2の折り返し等による増厚部形成の加工をすること無く、ボルト孔8と油孔9間の基板2の部分を切除して連通するだけで、上述の熱膨張差によって発生する接合面の反り変形による油漏れが防止される。
シリンダブロック51とシリンダヘッドの対向する接合面間に上記構造の金属ガスケット10を介挿し、ボルト孔8に締付けボルト50を挿通して締め付けることで当該金属ガスケット10を装着する。
締付けボルト50による荷重によって、ボルト孔8周りで一番接合面間の間隙が小さくなるが、図2のように、油孔9と連通するように隣接ボルト孔8Aの外側が切り欠かれていることから、隣接ボルト孔8A周りの外側部分の総板厚(=0)よりも、相対的に油孔9の外側の総板厚の方が大きくなるので、隣接ボルト孔8Aよりも外側に位置する接合面S1,S2を、模式図である図3のように、僅かに反り方向に変形させる予圧が付与される。なお、図3では、油漏れ防止用ビード5のボルト締付けによる変形前の形状で図示され、接合面S1、S2の反り方向の変形も分かりやすくするためにオーバーに図示している。
なお、ボルト孔8の外側に油孔9などのシールすべき第2の孔が存在しない場合には、そのボルト孔8の外側に位置する基板2部分は短いので、上記エンジン稼働初期の温度差による口開きが発生しても、ボルト孔8からの張出量が小さいので影響はない。
(1)上記実施形態では、一枚の基板2によって金属ガスケット10を構成した場合を例示したが、これに限定されない。例えば図4のように、燃焼室周りにシム板12を介挿して燃焼室孔1周りの総板厚が一番厚くなるように設定しても良い。
このようにすると、ボルト締付け時に、燃焼室孔1周りの面圧が高くなって燃焼ガスのシール性が向上する。
また燃焼室孔1側の総板厚が厚くなる分、接合面間も燃焼室孔1側の間隙も大きくなる分、燃焼室孔1からボルト孔8間の接合面の傾斜が強くなる結果、隣接ボルト孔8Aより外側の上記矯正的な反りを発生させる予圧が大きくなって、上記エンジン稼動初期における温度差による反り方向の変形をより小さくすることが出来る。
(3)また、隣接ボルト孔8Aと油孔9の間の基板2部分を除去する代わりに、その隣接ボルト孔8Aと油孔9の間の基板2部分の板厚を薄くすることで、上記作用効果を実現しても良い。例えば、隣接ボルト孔8Aと油孔9の間の基板2部分を直接削って若しくは圧して薄くしたり、基板2表面全体に膜をコーティングし、上記隣接ボルト孔8Aと油孔9の間の基板2部分だけ当該コーティングをしないことで薄くしたりする。
次に、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記実施形態と同様な部材については同一の符号を付して説明する。
本実施形態は、複数枚の金属板にて金属ガスケット10を構成する場合を例示している。
すなわち、図6及び図7のように、上記第1実施形態で説明した構成と同様な構成の2枚の基板2を積層して金属ガスケット10としている。図6では、2枚の基板2の間であって燃焼室孔1周りにシム板12を配置して燃焼室孔1周りが一番総板厚が厚くなるように設定した場合を例示している。
ただし、2枚の基板2のうち、1枚の基板2でだけ、隣接ボルト孔8Aを外側の油孔9と連通するように、隣接ボルト孔8Aと油孔9との間の基板2部分を切除している。図7では、上側の基板2側でだけ実施した場合を例示している。
その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第2実施形態の金属ガスケット10であっても、隣接ボルト孔8A位置周囲に着目すると、ボルト50が貫通する部分の外側部分のガスケット10の総板厚が1枚の基板分の厚さしかないのに対し、油孔9の外側のガスケット10の総板厚が2枚の基板分の厚さとなって相対的に厚いことから、第1実施形態と同様に、ボルト締付け時によりボルト50よりも外側に位置する接合面部分に反り方向に矯正変形を付与出来る。
これによって第1実施形態と同様な効果を得ることが出来る。
(1)2枚の基板2のうち1枚でだけ隣接ボルト孔8Aと油孔9が連通するようにしているが、2枚の基板2で共に隣接ボルト孔8Aと油孔9が連通するようにして良い。
(2)また、図8のように、2枚の基板2の間に副板13が介装されて3枚の金属板を積層して金属ガスケット10が構成されている場合に、基板2ではなく、副板13に形成して隣接ボルト孔8Aと油孔9とを連通するように構成しても良い。
この補助的なビード20,21は、燃焼室孔1側のシール性を向上させる役割も有する。また、副板13を軟質の材質で形成し、その副板13に補助的ビードを設けた場合には、負荷される面圧に応じて上記補助ビードが塑性変形する結果、燃焼室孔1の円周方向に沿ったシール圧の平均化を図ることが可能となる。
2 基板
3 燃焼室孔側ビード
4 水漏れ防止用ビード
5 油漏れ防止用ビード
8 ボルト孔
8A 隣接ボルト孔
9 油孔
10 ガスケット
11 冷却水孔
12 シム板
13 副板
50 ボルト
51 シリンダブロック
S1,S2 接合面
Claims (4)
- 燃焼室孔が開口していると共に板外周端部側に複数のボルト孔が開口している金属板を1枚又は複数枚、有して構成され、上記ボルト孔が開口した金属板には、上記複数のボルト孔のうちの少なくとも1つのボルト孔よりも外側にシールを必要とする第2の孔が開口している金属ガスケットにおいて、
上記第2の孔が外側に配置されるボルト孔を、隣接ボルト孔と定義すると、
上記隣接ボルト孔が形成された金属板のうちの少なくとも1枚の金属板について、その隣接ボルト孔に続く第2の孔側部分を切り欠いて、当該隣接ボルト孔における第2の孔側の開口を広くしたことを特徴とする金属ガスケット。 - 上記隣接ボルト孔が形成された金属板のうちの少なくとも1枚の金属板について、その隣接ボルト孔と第2の孔とを連通させたことを特徴とする請求項1に記載した金属ガスケット。
- 燃焼室孔が開口していると共に板外周端部側に複数のボルト孔が開口している金属板を1枚又は複数枚、有して構成され、上記ボルト孔が開口した金属板には、上記複数のボルト孔のうちの少なくとも1つのボルト孔よりも外側にシールを必要とする第2の孔が開口している金属ガスケットにおいて、
上記第2の孔が外側に配置されるボルト孔を、隣接ボルト孔と定義すると、
上記隣接ボルト孔の周りの総板厚について、隣接ボルト孔に挿通されるボルトを挟んだ第2の孔側の総板厚が、当該第2の孔とは反対側の総板厚よりも小さいことを特徴とする金属ガスケット。 - 燃焼室孔周りの総板厚が、ボルト孔周りの総板厚よりも大きいことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した金属ガスケット。
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