JP3420649B2 - シリンダヘッドガスケット - Google Patents

シリンダヘッドガスケット

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JP3420649B2
JP3420649B2 JP03081095A JP3081095A JP3420649B2 JP 3420649 B2 JP3420649 B2 JP 3420649B2 JP 03081095 A JP03081095 A JP 03081095A JP 3081095 A JP3081095 A JP 3081095A JP 3420649 B2 JP3420649 B2 JP 3420649B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ライナ付きシリンダブ
ロックとシリンダヘッドとの間に介装される、ビード部
付きかつシム付きのシリンダヘッドガスケットに関す
る。
【0002】
【従来の技術】特開平5−126257号公報は、シリ
ンダブロックとシリンダヘッドの間に介装され、ビード
部とその内周側に設けたシムとを有する金属製シリンダ
ヘッドガスケットを開示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】たとえば図9に示すよ
うに、上記シリンダヘッドガスケット21を、鋳鉄製ラ
イナ22、アルミ製ブロック23のライナ付きシリンダ
ブロック24と、シリンダヘッド25との間に介装し、
ビード部26をシリンダブロック上に、シム27をライ
ナ上に配すると、機関の冷熱サイクルにおいて鋳鉄製ラ
イナとアルミ製ブロックとの熱膨張差によってライナ上
面とブロック上面との間に段差28が繰返し生じ、この
段差によってシリンダヘッドガスケットのビード部とそ
の近傍に繰り返し応力が生じ、ビード部に亀裂が発生し
てガス漏れを起すおそれがある。本発明は、ライナ付き
シリンダブロックの上面にライナとブロックとの間に熱
膨張による段差が生じても、ビード部に繰り返し生じる
応力を大幅に軽減できるシリンダヘッドガスケットを提
供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は次の通りである。 (1) リンダブロックと該シリンダブロックより熱
膨張率が小さいライナからなり機関の冷熱サイクル中に
シリンダブロック上面とライナ上面との間にシリンダブ
ロックとライナの熱膨張差による段差が繰り返しあらわ
れるライナ付きシリンダブロックとシリンダヘッドとの
間に介装され、ビード部とシムを有し、前記ビード部を
シリンダブロック上に配したシリンダヘッドガスケット
において、前記シムを前記ビード部より内周側でシリン
ダブロック上に配し、前記シムより内周側で前記ライナ
上に追加シムを有し、高さ関係をシリンダヘッドガスケ
ットの自由状態にてシム<追加シム<ビード部に設定し
たことを特徴とするシリンダヘッドガスケット。 (2) リンダブロックと該シリンダブロックより熱
膨張率が小さいライナからなり機関の冷熱サイクル中に
シリンダブロック上面とライナ上面との間にシリンダブ
ロックとライナの熱膨張差による段差が繰り返しあらわ
れるライナ付きシリンダブロックとシリンダヘッドとの
間に介装され、ビード部とシムを有し、前記ビード部を
シリンダブロック上に配したシリンダヘッドガスケット
において、前記シムを前記ビード部より内周側でシリン
ダブロック上に配し、前記シムより内周側で前記ライナ
上にハーフビードを有し、高さ関係をシリンダヘッドガ
スケットの自由状態にてシム<ハーフビードに設定した
ことを特徴とするシリンダヘッドガスケット。
【0005】
【作用】上記()のシリンダヘッドガスケットにおい
ては、ライナとシリンダブロックとの間に熱膨張差に起
因した段差が生じても、シリンダヘッドガスケットはシ
ムによって支持され過大に変形せず、ビード部に過大な
繰り返し応力がかかることが防止されるという作用が得
られる他、ライナ上面とシリンダヘッド下面との間のデ
ッドスペースを追加シムによって埋め、内燃機関燃焼時
の未燃焼成分が減少するという作用がある。上記(
のシリンダヘッドガスケットにおいては、ライナとシリ
ンダブロックとの間に熱膨張差に起因した段差が生じて
も、シリンダヘッドガスケットはシムによって支持され
過大に変形せず、ビード部に過大な繰り返し応力がかか
ることが防止されるという作用が得られる他、ハーフビ
ードを設けたことによって、シリンダヘッドガスケット
のライナへの追従性が上がり、シールがより確実になる
という作用がある。
【0006】
【実施例】本発明の実施例を、図面を参照して説明す
る。図1は本発明の何れの実施例にも適用可能であり、
図2図5は本発明の第実施例に係わり、図〜図
は本発明の第実施例に係わる。本発明の全実施例にわ
たって共通な構成部分には、全実施例にわたって同じ符
号を付してある。まず、本発明の全実施例にわたって共
通な構成部分を、たとえば図1、図2を参照して説明す
る。図1、図2に示すように、本発明実施例のシリンダ
ヘッドガスケット1は、弾性金属板2とシム4とからな
る。シリンダヘッドガスケット1の弾性金属板2は、少
なくとも1つの燃焼室孔(ボア孔)5を有し、燃焼室孔
5を囲繞するように形成されたビード部6を有する。ビ
ード部6は弾性金属板2を厚さ方向に湾曲突出させるこ
とにより弾性金属板2に一体に形成される。シム4は、
ビード部6の内径より小さい外径を有する環状金属板
で、弾性金属板2に溶接または接着により固定されてい
る。シム4は弾性金属板2の、ビード部6が突出してい
る側の面にとりつけられる。
【0007】シリンダヘッドガスケット1は、内燃機関
のライナ付きシリンダブロック7とシリンダヘッド8と
の間に介装される。この場合シム4がとりつけられてい
る面をライナ付きシリンダブロック7の方に向ける。ラ
イナ付きシリンダブロック7は、ライナ9とシリンダブ
ロック10とからなり、ライナ9の熱膨張係数とシリン
ダブロック10の熱膨張係数とは互いに異なっており、
ライナ9の熱膨張係数はシリンダブロック10の熱膨張
係数より小とされている。たとえば、ライナ9は鋳鉄製
で、シリンダブロック10はアルミ合金である。ライナ
9は室温でシリンダブロック10に圧入され、その状態
でライナ付きシリンダブロック7の上面が面一に切削加
工される。
【0008】つぎに、本発明の各実施例の特有な構成に
ついて説明する
【0009】本発明の第実施例においては、図〜図
に示すように、シリンダヘッドガスケット1は、もう
一つのシム(追加シム)3を有する。追加シム3は環状
金属板で、シム4の内径より小さい外径を有し、シム4
より内周側に配される。シム3は弾性金属板2の、シム
4がとりつけられている面と同じ側の面に、溶接または
接着により固定される。2枚のシム3、4の径および弾
性金属板2へのとりつけ位置は、シリンダヘッドガスケ
ット1をライナ付きシリンダブロック7とシリンダヘッ
ド8との間に介装したときに、内周側のシム3はライナ
9上にあり、外周側のシム4はシリンダブロック10上
にあるように設定される。また、内周側のシム3の内径
と弾性金属板2の燃焼室孔5は同径とされることが望ま
しい。シリンダヘッドガスケットの自由状態においてビ
ード部6の弾性金属板平坦面からの高さ(ビード部6
の、弾性金属板2のビード部突出側の平坦面からの高
さ)hは、内周側のシム(追加シム)3の厚さt1 より
大で、内周側のシム3の厚みt1 は外周側のシム4の厚
みt2 より大に設定されている。
【0010】本発明の第実施例においては、図〜図
に示すように、シリンダヘッドガスケット1は、内周
側端部近傍にハーフビード(ビード部6の半分の形状の
ビード)13を有する。ハーフビード13は弾性金属板
2をビード部6と同じ側に突出させることにより弾性金
属板2と一体に形成されており、ハーフビード13自
体、弾性を有している。ハーフビード13は、シム4の
内径より小さい外径を有し、シム4より内周側に配され
る。ハーフビード13とシム4の弾性金属板2における
位置は、シリンダヘッドガスケット1をライナ付きシリ
ンダブロック7とシリンダヘッド8との間に介装したと
きに、ハーフビード13はライナ9上にあり、シム4は
シリンダブロック10上にあるように設定される。ま
た、ハーフビード13の内径端は弾性金属板2の内径端
を構成し、ライナ9の内径とほぼ同径とされている。シ
リンダヘッドガスケットの自由状態において、ハーフビ
ード13の、弾性金属板平坦面からの高さ(弾性金属板
2のビード部6突出側の平坦面からの高さ)h´は、シ
ム4の厚みt2 より大に設定されている。ハーフビード
13とビード部6の高さは何れが大であってもよい。
【0011】つぎに、作用を説明する。まず、本発明の
全実施例に共通な作用について、たとえば図3、図
参照して、説明する。機関の運転と停止による冷熱サイ
クルにおいて、ライナ付きシリンダブロック7の上面
は、ライナ9とシリンダブロック10との熱膨張差によ
り、図に示すように段差11が生じたり、図3に示す
ように面一になったりし、段差11がある状態と面一と
なる状態が繰り返しあらわれる。段差がない状態では、
シム4とビード部6が、図3に示すように、ライナ付き
シリンダブロック7の上面に押圧されて、ライナ付きシ
リンダブロック7とシリンダヘッド8間をシールする。
一方、熱膨張差に起因する段差11が生じた状態でも、
シム4とビード部6が、図に示すように、シリンダブ
ロック10の上面に押しつけられ、シリンダブロック1
0とシリンダヘッド8間をシールする。ここで、段差1
1が生じた状態で、従来は図に示すようにシムがライ
ナに当るまでシリンダヘッドガスケットが変形される
が、本発明では、シリンダヘッドガスケット1はシム4
で支えられ、それ以上シリンダヘッドガスケット1はラ
イナ側に変形しないので、ビード部6の変形は小さく、
ビード部6とその近傍に発生する応力は小さい。そのた
め、シリンダヘッドガスケット1のビード部6とその近
傍に、過大応力による亀裂が発生することが抑制され
る。また、少なくとも段差11の高さがシム4の高さを
超えない間は、弾性金属板2が段差11の角に当たるこ
とはなく、従って段差11の角に当たって弾性金属板2
が破損することもない。なお、ライナ上にシムとビード
部を配すると、ライナとシリンダヘッド間の隙間が大に
なったときに、シムが効かなくなり、ビード部の押圧力
も減少して、シール性が損なわれるので、そのような構
成はとることは許されない。
【0012】つぎに、本発明の各実施例に特有の作用に
ついて説明する
【0013】本発明の第実施例においては、段差11
が生じない状態では、図に示すように、ビード部6と
追加シム3がライナ付きシリンダブロック7とシリンダ
ヘッド8間に挾持、押圧され、ライナ付きシリンダブロ
ック7とシリンダヘッド8間をシールする。一方、段差
11が生じた状態では、図に示すように、シム4がシ
リンダブロック上面に当たった位置以上にはシリンダヘ
ッドガスケット1は変形しないので、ビード部6の近傍
に過大な応力がかかることが防止される。また、図
示すように、ライナ上面とシリンダヘッド下面との間の
デッドスペース12は追加シム3と弾性金属板2の内周
端部によって埋められるので、混合気の未燃焼分が少な
くなる。
【0014】本発明の第実施例においては、段差11
が生じない状態では、図に示すように、ビード部6と
シム4とハーフビード13がライナ付きシリンダブロッ
ク7とシリンダヘッド8間に挾持、押圧され、ライナ付
きシリンダブロック7とシリンダヘッド8間をシールす
る。一方、段差11が生じた状態では、図に示すよう
に、シム4がシリンダブロック上面に当たった位置以上
にはシリンダヘッドガスケット1は変形しないので、ビ
ード部6の近傍に過大な応力がかかることが防止され
る。この場合、ハーフビード13は、段差11の高さが
ハーフビード13の弾性範囲内ではライナの上面に追従
してシールに寄与し、シール性が向上する。ただし、段
差11の高さがハーフビード13の弾性範囲を超えると
ハーフビード13の下面とライナの上面との間には隙間
が生じる。また、図に示すように、ライナ上面とシリ
ンダヘッド下面との間のデッドスペースはハーフビード
13と弾性金属板2の内周端部によって大部分埋められ
るので、混合気の未燃焼分が少なくなる。
【0015】
【発明の効果】求項のシリンダヘッドガスケットに
おいては、シムとビード部をシリンダブロック上に配し
たので、ライナとシリンダブロックとの間に熱膨張差に
起因した段差が生じても、シリンダヘッドガスケットは
シムによって支持されビード部に過大な繰り返し応力が
かかることが防止されるという効果が得られる他、追加
シムを設けたので、ライナ上面とシリンダヘッド下面と
の間のデッドスペースを追加シムによって埋め、内燃機
関燃焼時の未燃焼成分を減少させるという効果も得られ
る。請求項のシリンダヘッドガスケットにおいては、
シムとビード部をシリンダブロック上に配したので、ラ
イナとシリンダブロックとの間に熱膨張差に起因した段
差が生じても、シリンダヘッドガスケットはシムによっ
て支持されビード部に過大な繰り返し応力がかかること
が防止されるという効果が得られる他、ハーフビードを
設けたので、シリンダヘッドガスケットのライナへの追
従性が上がり、シールがより確実になるとともに、ライ
ナ上面とシリンダヘッド下面との間のデッドスペースを
ハーフビードによって埋め、内燃機関燃焼時の未燃焼成
分を減少させるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のシリンダヘッドガスケット
の平面図である。
【図2】本発明の第実施例のシリンダヘッドガスケッ
トの、図1のA−A線に沿う断面に対応する部位の、拡
大断面図である。
【図3】ライナとシリンダブロックが面一の状態にある
ときの、本発明の第実施例のシリンダヘッドガスケッ
トとライナ付きシリンダブロックとの圧接関係を示す断
面図である。
【図4】ライナとシリンダブロックとの間に段差がある
ときの、本発明の第実施例のシリンダヘッドガスケッ
トとライナ付きシリンダブロックとの圧接関係を示す断
面図である。
【図5】本発明の第実施例のシリンダヘッドガスケッ
トで、ライナとシリンダヘッド間に生じる小さなデッド
スペースを示す断面図である。
【図6】本発明の第実施例のシリンダヘッドガスケッ
トの、図1のA−A線に沿う断面に対応する部位の、拡
大断面図である。
【図7】ライナとシリンダブロックが面一の状態にある
ときの、本発明の第実施例のシリンダヘッドガスケッ
トとライナ付きシリンダブロックとの圧接関係を示す断
面図である。
【図8】ライナとシリンダブロックとの間に段差がある
ときの、本発明の第実施例のシリンダヘッドガスケッ
トとライナ付きシリンダブロックとの圧接関係を示す断
面図である。
【図9】ライナとシリンダブロック間に段差が生じたと
きに従来のシリンダヘッドガスケットに生じる変形を示
す断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッドガスケット 2 弾性金属板 3 (追加)シム 4 シム 5 燃焼室孔 6 ビード部 7 ライナ付きシリンダブロック 8 シリンダヘッド 9 ライナ 10 シリンダブロック 11 段差 12 デッドスペース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−241116(JP,A) 実開 平6−32830(JP,U) 実開 昭61−14748(JP,U)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リンダブロックと該シリンダブロック
    より熱膨張率が小さいライナからなり機関の冷熱サイク
    ル中にシリンダブロック上面とライナ上面との間にシリ
    ンダブロックとライナの熱膨張差による段差が繰り返し
    あらわれるライナ付きシリンダブロックとシリンダヘッ
    ドとの間に介装され、ビード部とシムを有し、前記ビー
    ド部をシリンダブロック上に配したシリンダヘッドガス
    ケットにおいて、前記シムを前記ビード部より内周側で
    シリンダブロック上に配し、前記シムより内周側で前記
    ライナ上に追加シムを有し、高さ関係をシリンダヘッド
    ガスケットの自由状態にてシム<追加シム<ビード部に
    設定したことを特徴とするシリンダヘッドガスケット。
  2. 【請求項2】 リンダブロックと該シリンダブロック
    より熱膨張率が小さいライナからなり機関の冷熱サイク
    ル中にシリンダブロック上面とライナ上面との間にシリ
    ンダブロックとライナの熱膨張差による段差が繰り返し
    あらわれるライナ付きシリンダブロックとシリンダヘッ
    ドとの間に介装され、ビード部とシムを有し、前記ビー
    ド部をシリンダブロック上に配したシリンダヘッドガス
    ケットにおいて、前記シムを前記ビード部より内周側で
    シリンダブロック上に配し、前記シムより内周側で前記
    ライナ上にハーフビードを有し、高さ関係をシリンダヘ
    ッドガスケットの自由状態にてシム<ハーフビードに設
    定したことを特徴とするシリンダヘッドガスケット。
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