JP2014180139A - ワイヤハーネス - Google Patents

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Abstract

【課題】電線束とグロメットとの間の止水構造を有するワイヤハーネスにおいて、電線の先通しを必要とする止水用チューブを用いずに、グロメットを共用して外径の異なる電線束に容易に対応できること。
【解決手段】弾性シート材2は、電線束90の周囲に巻かれて筒状に形成される。弾性シート材2は、電線束90とグロメット1の小径筒部12との間の隙間を埋める。形状維持部材3は、電線束90の外周に沿って湾曲した変形可能な部材からなる。形状維持部材3は、外力が加わらない状態において弾性シート材2の弾性力に抗して弾性シート材2を電線束90の外周に沿って湾曲した形状に維持する。
【選択図】図3

Description

本発明は、電線束及び電線束が貫通したグロメットを備えるワイヤハーネスに関する。
自動車などの車両に搭載されるワイヤハーネスは、電線束が貫通したグロメットを備える場合がある。
グロメットは、電線束が通される筒状の弾性部材からなり、車両のボディなどの支持体における貫通孔が形成された部分に取り付けられる。グロメットは、電線束を保護するとともに、支持体の貫通孔の部分における止水及び防塵の機能を果たす。
グロメットは、大径筒部とその大径筒部に連なった小径筒部とを有する。大径筒部は、支持体の貫通孔の縁部に接しつつその貫通孔を覆う。大径筒部には、支持体の貫通孔の縁部が嵌り込む環状のくびれ部が形成されている。小径筒部は、大径筒部よりも小さな外径で形成された部分である。
通常、グロメットの小径筒部は、止水のために電線束の外周面に密接する必要がある。そのため、グロメットが取り付けられる支持体の貫通孔の形状が同一であっても、電線束の外径ごとに異なるグロメットが用意される必要があった。
一方、特許文献1及び特許文献2には、グロメットが取り付けられる支持体の貫通孔の形状が同一で電線束の外径が異なる場合に、グロメットを共用するための構造が提案されている。
特許文献1には、加熱されることによって外径を維持しつつ内径が小さくなる熱収縮チューブが、電線束とグロメットの小径筒部との間の隙間を埋める構造が示されている。
また、特許文献2には、共用される大径筒部と電線束の外径に応じて用意される小径筒部とが組み合わされたグロメットが示されている。
特開2008−257926号公報 特開2011−259599号公報
特許文献1に示される構造が採用される場合、熱収縮チューブへの電線束の先通しが必要となる。電線束の先通しとは、コネクタの接続などの電線の末端処理が施される前に、電線束がチューブに通されることである。
しかしながら、ワイヤハーネスの製造手順の自由度が損なわれないことが望ましく、そのためには、電線束とグロメットとの間の止水において電線束の先通しを必要としないことが望ましい。
また、特許文献2に示されるグロメットが採用される場合、結局、電線束の径ごとに、射出成形の金型を製造し、その金型を用いてグロメットの小径筒部(ゴムチューブ)を製造する必要がある。しかしながら、グロメットを備えたワイヤハーネスにおいて、より容易に電線束の径の違いに対応できることが望まれている。
本発明は、電線束とグロメットとの間の止水構造を有するワイヤハーネスにおいて、電線の先通しを必要とする止水用チューブを用いずに、グロメットを共用して外径の異なる電線束に容易に対応できることを目的とする。
本発明の第1態様に係るワイヤハーネスは、以下に示される各構成要素を備えている。
(1)第1の構成要素は電線束である。
(2)第2の構成要素はグロメットである。このグロメットは、上記電線束が貫通した弾性材料からなる筒状の部材である。また、上記グロメットは、外周面に環状のくびれ部が形成された大径筒部と該大径筒部よりも小さな外径で形成された小径筒部とを有する。
(3)第3の構成要素は弾性シート材である。この弾性シート材は、上記電線束の周囲に巻かれて筒状に形成されたシート状の弾性部材からなる。上記弾性シート材は、上記電線束と上記グロメットの上記小径筒部との間の隙間を埋める。
(4)第4の構成要素は形状維持部材である。この形状維持部材は、上記電線束の外周に沿って湾曲した変形可能な部材からなる。また、上記形状維持部材は、外力が加わらない状態において上記弾性シート材の弾性力に抗して上記弾性シート材を上記電線束の外周に沿って湾曲した形状に維持する。
本発明の第2態様に係るワイヤハーネスは、第1態様に係るワイヤハーネスの一態様である。第2態様に係るワイヤハーネスにおいて、上記形状維持部材は上記弾性シート材に内蔵されている。
本発明の第3態様に係るワイヤハーネスは、第1態様又は第2態様に係るワイヤハーネスの一態様である。第3態様に係るワイヤハーネスにおいて、上記弾性シート材はシート状の水膨張ゴム部材からなる。
本発明の第4態様に係るワイヤハーネスは、第1態様から第3態様のいずれかに係るワイヤハーネスの一態様である。第4態様に係るワイヤハーネスは、発泡ゴムシート材をさらに備える。この発泡ゴムシート材は、シート状の発泡ゴム部材からなる。上記発泡ゴムシート材は、上記弾性シート材の内側において上記電線束の周囲に巻かれて筒状に形成されている。そして、上記発泡ゴムシート材は、上記電線束と上記弾性シート材との間の隙間を埋める。
本発明の第5態様に係るワイヤハーネスは、第4態様に係るワイヤハーネスの一態様である。第5態様に係るワイヤハーネスは、流動状態で上記電線束に塗布された後に固化した弾性材料からなる充填材をさらに備える。この充填材は、上記電線束を構成する複数の電線の間の隙間を埋める。
上記の各態様によれば、電線束の周囲に巻かれて筒状に形成された弾性シート材が、電線束とグロメットの小径筒部との間の隙間を埋める。従って、電線束の外径とグロメットの小径筒部の内径との差に応じた厚みの弾性シート材が用意されれば、グロメットを共用しつつ、外径の異なる電線束に対応して電線束とグロメットとの間を止水することができる。
さらに、電線束の先通しを必要とする止水用チューブを必要としない。そのため、ワイヤハーネスの製造手順の自由度は損なわれない。
上記の各態様においては、湾曲した形状維持部材が、弾性シート材の弾性力に抗して弾性シート材を電線束の外周に沿って湾曲した形状に維持する。この場合、弾性シート材への結束材の巻き付け作業は不要である。従って、弾性シートの弾性力が強い場合であっても電線束の径の違いに容易に対応できる。さらに、弾性シート材を電線束に巻かれた状態に維持するための作業のばらつきに起因する止水品質のばらつきが生じにくい。
また、上記第2態様においては、形状維持部材が弾性シート材に内蔵されている。この場合、部品点数が少なくなり、止水のための作業がより簡素化される。
また、上記第3態様においては、弾性シート材はシート状の水膨張ゴム部材からなる。このような弾性シート材は、グロメット内へ浸入しようとする液体を吸収して膨張する。その結果、電線束とグロメットの小径筒部との間の止水性が向上する。また、水膨張ゴム部材からなる弾性シート材は、電線束の外径とグロメットの小径筒部の内径との差に応じた程度に膨張する。そのため、電線束の外径が多少異なる場合においても同種の弾性シート材を共用でき、弾性シート材の種類を少なくできる点で好適である。
また、第4態様においては、電線束の周囲に巻かれた発泡ゴムシート材が、電線束と水膨張ゴムの弾性シート材との間の隙間を埋める。電線束の外周面は、各電線の外径及び結束の状態によって比較的ピッチの狭い凹凸を形成している場合がある。発泡ゴムシート材は、水膨張ゴムなどからなる弾性シート材に比べ、接触する相手部材におけるピッチの狭い凹凸に沿って変形する凹凸追従性に優れている。そのため、水膨張ゴムの弾性シート材の内側において発泡ゴムシートが電線束に巻かれることにより、弾性シート材と電線束との間の止水性がより向上する。
また、第5態様においては、流動状態で電線束に塗布された後に固化した弾性材料からなる充填材が、複数の電線の間の隙間を埋める。これにより、電線間の止水性が向上する。
本発明の実施形態に係るワイヤハーネス10の斜視図である。 ワイヤハーネス10の縦断面図である。 ワイヤハーネス10の横断面図である。 ワイヤハーネス10が備えるグロメットの縦断面図である。 ワイヤハーネス10が備える筒状弾性シート及び形状維持部材の斜視図である。 変形した筒状弾性シート材及び発泡シート材が巻かれた電線束の斜視図である。 筒状弾性シート材が取り付けられた電線束の斜視図である。 ワイヤハーネス10に適用可能な応用例に係る筒状弾性シート材の斜視図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
まず、図1〜3を参照しつつ、本発明の実施形態に係るワイヤハーネス10の構成について説明する。ワイヤハーネス10は、自動車のボディなどの支持体8における貫通孔に通される。ワイヤハーネス10は、電線束90、グロメット1、弾性シート材2及び形状維持部材3を備えている。さらに、ワイヤハーネス10は、発泡ゴムシート材4及び充填材5も備えている。
<電線束>
電線束90は、複数の電線9の束である。電線9各々は絶縁電線である。
<グロメット>
グロメット1は、電線束90が貫通した弾性材料からなる筒状の部材である。グロメット1は、自動車のボディなどの支持体8における貫通孔が形成された部分に取り付けられる。なお、図2,4において支持体8が仮想線(二点鎖線)で描かれている。
グロメット1は、電線束90を保護するとともに、支持体8の貫通孔の部分における止水及び防塵の機能を果たす。
グロメット1は、大径筒部11とその大径筒部11に連なった小径筒部12とを有する。さらに、グロメット1は、舌片状の電線留め片13を備えている。電線留め片13は、大径筒部11に対し小径筒部12が形成されている側の反対側に形成されている。
大径筒部11は、外周面に環状のくびれ部111が形成された筒状の部分である。くびれ部111は、支持体8における貫通孔の縁部81が嵌り込む部分である。小径筒部12は、大径筒部11よりも小さな外径で形成された筒状の部分である。
大径筒部11は、支持体8における貫通孔の縁部81に接しつつその貫通孔を覆う。小径筒部12は、電線束90の外周面に沿うように大径筒部11よりも小さな外径及び内径で形成されている。
小径筒部12の内側面には、それぞれ周方向に沿う稜線をなす複数の環状の凸部121が形成されている。小径筒部12の内側面は、グロメット1を貫通する部材に対して環状の凸部121において集中的に密着する。そのため、小径筒部12とグロメット1を貫通する部材との間の止水性が高まる。
電線束90の外径が小径筒部12の内径とほぼ等しいもしくは小さい場合、電線束90のみがグロメット1に通されると、グロメット1と電線束90との間における十分な止水性を確保することができない。そのような場合に弾性シート材2が用いられる。
また、電線留め片13は、粘着テープなどの結束材62によってグロメット1を貫通する電線束90と結束される部分である。電線束90と電線留め片13とが結束されることにより、グロメット1に対する電線束90の位置ずれが防止される。
<充填材>
図2,3に示されるように、充填材5は、電線束90を構成する複数の電線9の間の隙間を埋めるシール材である。充填材5は、流動状態で電線束90に塗布された後に固化した弾性材料からなる。例えば、充填材5は、シリコーン系の合成樹脂からなる止水材である。
充填材5が電線9間の隙間を埋めることにより、電線9間の止水性が向上する。充填材5は、特に優れた止水性が求められる場合に採用される。
<発泡ゴムシート材>
発泡ゴムシート材4は、シート状の発泡ゴム部材からなる。発泡ゴムシート材4は、弾性シート材2の内側において電線束90の周囲に巻かれて筒状に形成されている。そして、発泡ゴムシート材4は、電線束90と弾性シート材2との間の隙間を埋める。例えば、発泡ゴムシート材4は、発泡ポリエチレン部材又は発泡ウレタン部材などからなる。
本実施形態においては、発泡ゴムシート材4は、その両端部において粘着テープなどの結束材61によって電線束90に固定されている。
電線束90の外周面は、電線9各々の外径及び結束の状態によって比較的ピッチの狭い凹凸を形成している場合がある。これに対し、発泡ゴムシート材4は、接触する相手部材におけるピッチの狭い凹凸に沿って変形する凹凸追従性に優れている。そのため、発泡ゴムシート材4が電線束90に巻かれることにより、電線束90の外周面における止水性が向上する。
なお、発泡ゴムシート材4は、平坦な形状を維持しようとする弾性力が弱い。そのため、発泡ゴムシート材4を電線束90に巻くことは容易である。
<弾性シート材>
弾性シート材2は、電線束90の周囲に巻かれて筒状に形成されたシート状の弾性部材からなる。弾性シート材2は、電線束90とグロメット1の小径筒部12との間の隙間を埋める。
本実施形態においては、弾性シート材2は、電線束90の周囲に巻かれた発泡ゴムシート材4の外側から、電線束90の周囲に巻かれている。従って、弾性シート材2は、発泡ゴムシート材4とともに、電線束90とグロメット1の小径筒部12との間の隙間を埋める。
例えば、弾性シート材2がシート状の水膨張ゴム部材からなることが望ましい。水膨張ゴム部材は、水分を吸収して膨張し、一旦膨張すると膨張した状態を長期間維持する。水膨張ゴム部材は、例えばクロロプレン系合成ゴムの部材であることが考えられる。
弾性シート材2は、外力が加わらない状態(自然状態)においては平坦である。従って、外力が加わって弾性シート材2が曲げられた場合、弾性シート材2の弾性力が、弾性シート材2を平坦な状態へ戻すように作用する。即ち、弾性シート材2は、平坦な形状に戻ろうとする弾性力の作用により、それ単独では電線束90に巻かれた湾曲形状を維持することができない。
電線束90がグロメット1に通される際、弾性シート材2が電線束90に巻かれた状態で維持されている必要がある。弾性シート材2が電線束90に巻かれた状態とは、弾性シート材2が電線束90の外周に沿って湾曲した状態のことである。
<形状維持部材>
図5に示されるように、形状維持部材3は、湾曲した変形可能な部材である。例えば、形状維持部材3は、円弧状に湾曲した棒状の金属部材であることが考えられる。また、形状維持部材3が、合成樹脂からなる同様の形状の部材であることも考えられる。図5に示される例では、形状維持部材3は、円弧状に湾曲した扁平な棒状の部材である。
本実施形態における形状維持部材3は、弾性シート材2に内蔵されている。例えば、弾性シート材2が、形状維持部材3をインサート部とするインサート成形によって成形されることにより、形状維持部材3が弾性シート材2内に埋め込まれた状態となる。
また、形状維持部材3が弾性シート材2に形成された孔に挿入されることにより、形状維持部材3が弾性シート材2に内蔵されることも考えられる。
図5に示されるように、形状維持部材3は、外力が加わらない状態において弾性シート材2の弾性力に抗して弾性シート材2を湾曲した形状に維持する。
より具体的には、形状維持部材3は、弾性シート材2を筒状もしくは概ね筒状に維持する。弾性シート材2が筒状もしくは概ね筒状であるとは、弾性シート材2における相互に反対側に位置する一対の縁部21,22が近接して湾曲した形状であることを意味する。
以下の説明において、形状維持部材3と組み合わされた弾性シート材2のことを筒状弾性シート材20と称する。筒状弾性シート材20は、外力が加わらない状態においては湾曲した形状に維持される。
また、形状維持部材3は、弾性シート材2を湾曲形状に維持できる程度に硬質の部材であるが、力が加えられることにより変形可能である。例えば、形状維持部材3は、その両端を引き離す方向の力が加わると弾性変形する。
従って、図6に示されるように、筒状弾性シート材20は、その一対の縁部21,22を引き離す方向の力が加わると、一対の縁部21,22が離隔するよう変形する。筒状弾性シート材20は、そのように変形させられることによって電線束90に取り付けられる。即ち、電線束90は、変形した筒状弾性シート材20における一対の縁部21,22の間から中空部へ挿入される。
図7に示されるように、筒状弾性シート材20が電線束90に取り付けられた状態において、形状維持部材3は、形状維持部材3の作用により、電線束90の外周に沿って湾曲した形状で維持される。
<効果>
ワイヤハーネス10においては、電線束90の周囲に巻かれて筒状に形成された弾性シート材2が、電線束90とグロメット1の小径筒部12との間の隙間を埋める。従って、電線束90の外径とグロメット1の小径筒部12の内径との差に応じた厚みの弾性シート材2が用意されれば、グロメット1を共用しつつ、外径の異なる電線束90に対応して電線束90とグロメット1との間を止水することができる。
さらに、ワイヤハーネス10においては、電線束90の先通しを必要とする止水用チューブを必要としない。そのため、ワイヤハーネスの製造手順の自由度は損なわれない。
前述したように、弾性シート材2は、平坦な形状に戻ろうとする弾性力の作用により、それ単独では電線束90に巻かれた湾曲形状を維持することができない。
一方、電線束90がグロメット1に通される際、弾性シート材2が電線束90に巻かれた状態で維持されている必要がある。弾性シート材2が電線束90に巻かれた状態とは、弾性シート材2が電線束90の外周に沿って湾曲した状態のことである。例えば、粘着テープなどの結束材を弾性シート材2に巻き付けることにより、弾性シート材2を電線束90に巻かれた状態に維持することが考えられなくはない。
しかしながら、結束材が電線束90に巻き付けられる場合、結束材の巻き付き状態のばらつきが生じやすい。結束材の巻き付き状態のばらつきは、電線束90とグロメット1の小径筒部12との間の止水の品質のばらつきの原因となり好ましくない。また、弾性シート材2は、その厚みが大きいほど平坦な形状に戻ろうとする弾性力が強い。そのため、弾性シート材2の厚みが大きいほど、弾性シート材2への結束材の巻き付け作業が難しくなる。
ワイヤハーネス10においては、湾曲した形状維持部材3が、弾性シート材2の弾性力に抗して弾性シート材2を電線束90の外周に沿って湾曲した形状に維持する。この場合、弾性シート材2への結束材の巻き付け作業は不要である。従って、弾性シート材2の弾性力が強い場合であっても電線束90の径の違いに容易に対応できる。さらに、弾性シート材2を電線束90に巻かれた状態に維持するための作業のばらつきに起因する止水品質のばらつきが生じにくい。
また、ワイヤハーネス10においては、形状維持部材3が弾性シート材に内蔵されている。即ち、形状維持部材3が弾性シート材2と合体している。この場合、部品点数が少なくなり、止水のための作業がより簡素化される。
また、弾性シート材2がシート状の水膨張ゴム部材からなる場合、弾性シート材2は、グロメット1内へ浸入しようとする液体を吸収して膨張する。その結果、電線束90とグロメット1の小径筒部12との間の止水性が向上する。また、水膨張ゴム部材からなる弾性シート材2は、電線束90の外径とグロメット1の小径筒部12の内径との差に応じた程度に膨張する。そのため、電線束90の外径が多少異なる場合においても同種の弾性シート材2を共用でき、弾性シート材2の種類を少なくできる点で好適である。
また、水膨張ゴムの弾性シート材2と弾性シート材2の内側において電線束90に巻かれる発泡ゴムシート材4との両方を採用することは、さらに止水性向上に寄与する。この場合、電線束90の周囲に巻かれた発泡ゴムシート材4が、電線束90と水膨張ゴムの弾性シート材2との間の隙間を埋める。
即ち、電線束90の外周面が比較的ピッチの狭い凹凸を形成している場合、凹凸追従性に優れた発泡ゴムシート材4が、電線束90の外周面が形成するピッチの狭い凹凸に沿って変形する。そのため、水膨張ゴムの弾性シート材2の内側において発泡ゴムシート材4が電線束90に巻かれることにより、弾性シート材2と電線束90との間の止水性がより向上する。さらに、複数の電線9の間の隙間を埋める充填材5が採用されることにより、電線9間の止水性が向上する。
<応用例>
次に、図8を参照しつつ、ワイヤハーネス10に適用可能な応用例に係る筒状弾性シート材20Aについて説明する。図8は筒状弾性シート材20Aの斜視図である。
筒状弾性シート材20Aは、弾性シート材2Aと形状維持部材3とを含む。弾性シート材2Aは、弾性シート材2と同様に、電線束90の周囲に巻かれて筒状に形成されるシート状の弾性部材からなる。例えば、弾性シート材2は、シート状の水膨張ゴム部材である。
筒状弾性シート材20においては、形状維持部材3が弾性シート材2Aに内蔵されていた。しかしながら、筒状弾性シート材20Aにおいては、弾性シート材2A及び形状維持部材3は、それぞれ独立した部材として用意される。
そして、弾性シート材2A及び形状維持部材3は、弾性シート材2Aが電線束90に取り付けられる際又はその前に組み合わされる。弾性シート材2A及び形状維持部材3が組み合わされることにより、弾性シート材2Aは、外力が加わらない状態において電線束90の外周に沿って湾曲した形状に維持される。
図8に示される例では、弾性シート材2が、筒状に曲げられた状態において湾曲した形状維持部材3の内側に嵌め入れられる。換言すれば、湾曲した形状維持部材3が、その内側面が筒状に曲げられた弾性シート材2の外周面に沿う状態で弾性シート材2に組み付けられる。
また、図8に示される例では、弾性シート材2の表面に、形状維持部材3が嵌め入れられる凹部23が形成されている。凹部23は、弾性シート材2に組み付けられる形状維持部材3を予め定められた位置に案内する。また、凹部23は、弾性シート材2に対する形状維持部材3の位置ずれを防ぐ。
さらに、凹部23は、弾性シート材2に組み付けられた形状維持部材3とその周囲における弾性シート材2の外周面との間の段差を小さくする、又は段差をなくすことにも寄与する。段差が小さいほど、弾性シート材2とグロメット1の小径筒部12との間の隙間が生じにくくなり、止水性がより高まる。
ワイヤハーネス10において、筒状弾性シート材20Aが、筒状弾性シート材20の代わりに採用されてもよい。
<その他>
ワイヤハーネス10において、発泡ゴムシート材4及び充填材5のうちの一方又は両方が省略されることも考えられる。また、ワイヤハーネス10において、弾性シート材2が水膨張ゴムではないエラストマーなどからなる弾性部材であることも考えられる。
また、形状維持部材3が、弾性変形及び塑性変形の両方で変形する部材であることも考えられる。例えば、形状維持部材3が、弾性シート材2を湾曲形状に維持できる程度に硬質であるとともに、作業者が加える力によって弾性変形及び塑性変形する針金であることも考えられる。
なお、本発明に係るワイヤハーネスは、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された実施形態及び応用例を自由に組み合わせること、或いは実施形態及び応用例を適宜、変形する又は一部を省略することによって構成されることも可能である。
1 グロメット
2,2A 弾性シート材
3 形状維持部材
4 発泡ゴムシート材
5 充填材
8 支持体
9 電線
10 ワイヤハーネス
11 大径筒部
12 小径筒部
13 電線留め片
20,20A 筒状弾性シート材
23 凹部
61,62 結束材
81 支持体の貫通孔の縁部
90 電線束
111 くびれ部
121 環状の凸部
20A 筒状弾性シート材
21,22 弾性シート材の一対の縁部

Claims (5)

  1. 電線束と、
    前記電線束が貫通した弾性材料からなる筒状の部材であり、外周面に環状のくびれ部が形成された大径筒部と該大径筒部よりも小さな外径で形成された小径筒部とを有するグロメットと、
    前記電線束の周囲に巻かれて筒状に形成されたシート状の弾性部材からなり、前記電線束と前記グロメットの前記小径筒部との間の隙間を埋める弾性シート材と、
    前記電線束の外周に沿って湾曲した変形可能な部材からなり、外力が加わらない状態において前記弾性シート材の弾性力に抗して前記弾性シート材を前記電線束の外周に沿って湾曲した形状に維持する形状維持部材と、を備えるワイヤハーネス。
  2. 請求項1に記載のワイヤハーネスであって、
    前記形状維持部材は前記弾性シート材に内蔵されている、ワイヤハーネス。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネスであって、
    前記弾性シート材はシート状の水膨張ゴム部材からなる、ワイヤハーネス。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のワイヤハーネスであって、
    シート状の発泡ゴム部材からなり、前記弾性シート材の内側において前記電線束の周囲に巻かれて筒状に形成され、前記電線束と前記弾性シート材との間の隙間を埋める発泡ゴムシート材をさらに備える、ワイヤハーネス。
  5. 請求項4に記載のワイヤハーネスであって、
    流動状態で前記電線束に塗布された後に固化した弾性材料からなり、前記電線束を構成する複数の電線の間の隙間を埋める充填材をさらに備える、ワイヤハーネス。
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