JP2014204649A - グロメットの止水構造 - Google Patents

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幹夫 藤下
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Abstract

【課題】特別な冶具や設備を必要とすることなく、グロメットの小径筒部に挿通される電線が相互に重なり合って隙間が形成される不具合を、簡単な構造で有利に達成することができる、新規のグロメットの止水構造を提供すること。
【解決手段】ワイヤハーネス12が挿通されるグロメット10の止水構造であって、相互に離隔して平行に延びる複数の電線収容溝18が並設された電線保持部材16を有し、電線保持部材16の複数の電線収容溝18に対して、ワイヤハーネス12を構成する複数の電線24がそれぞれ収容保持されている一方、電線保持部材16を表裏両側から可撓性シート26で挟み込み、ロール状に巻き込むことで電線束28を構成し、電線束28の外周面30に対してグロメット10の小径筒部14を圧着するようにした。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両等の隔壁に穿設した挿通穴にワイヤハーネスを挿通組付する際に使用されるグロメットの止水構造に関するものである。
従来から、車体パネル等の隔壁を貫通してワイヤハーネスを配索する場合には、隔壁に設けた貫通穴にゴム製のグロメットを装着し、このグロメット内にワイヤハーネスを挿通することにより防水や防音の対策を図っている。すなわち、グロメットの一端側には隔壁に設けた貫通穴の周縁部に嵌合する大径筒部が設けられ、グロメットの他端側には挿通されるワイヤハーネスの電線束の外周面に装着される小径筒部が設けられていることから、貫通穴を通じた水や騒音等の流入がグロメットにより阻止されるのである。
ところで、このようなグロメットを用いた場合でも、ワイヤハーネスの電線束が挿通される小径筒部から、雨水等が浸入する場合がある。そこで、電線束の外周面に装着された小径筒部の端部を、ビニールテープ等によりテープ巻きすることで、電線束の外周面と小径筒部の内周面の間の隙間を塞いで、止水性の向上を図ることが行われている。
ところが、電線束を構成する各電線は、略円形の断面形状を有している場合が多く、隣接する電線間にワイヤハーネスの延出方向に延びる隙間が生じ易く、かかる隙間を通じて浸水するおそれがあった。そこで、例えば実開平3−112984号公報(特許文献1)の図2に記載されているように、クッション材の片面上に、所定間隔を隔てて電線を配置し、クッション材をロール状に巻いて、グロメットの小径筒部に圧入装着して小径筒部端部をテープ巻きした後、クッション材の隙間にシール剤を充填することにより、止水性を高めるグロメットの止水構造が提案されている。
しかしながら、上記構成では、クッション材をロール状に巻く際に、電線同士が相互に近づいて重なり合いそれらの間に隙間が発生するおそれがあった。それ故、クッション材の隙間にシール剤を充填することが必要となり、止水性を確保するための構造や工程が複雑であるという問題があった。
これに対して、例えば特開2000−165061号公報(特許文献2)の図5に記載されているように、まず、グロメットを挿通させる電線群を配置冶具を用いて所要間隔をあけて平行配線し、これら電線群の上下両側より独立気泡を有する発泡シートを圧接冶具を用いて押圧して、電線群を挟持すると共に電線間の隙間は上下発泡シートを圧接し、ついで、上記電線群を挟持した発泡シートをロール状に巻く或いは折り畳み、この状態でグロメットの小径筒部に挿通して小径筒部内に密嵌するグロメットの止水構造が提案されている。
しかしながら、上記構成では、クッション材の隙間にシール剤を充填することは不要となるものの、配置冶具や圧接冶具といった冶具や、圧接のための設備が必要とされることから、コストの増加や対応に時間が掛かるという問題があって望ましい対策とは言い難かった。
実開平3−112984号公報 特開2000−165061号公報
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、特別な冶具や設備を必要とすることなく、グロメットの小径筒部に挿通される電線が相互に重なり合って隙間が形成される不具合を、簡単な構造で有利に達成することができる、新規のグロメットの止水構造を提供することにある。
以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
本発明の第一の態様は、ワイヤハーネスが挿通されるグロメットの止水構造であって、相互に離隔して平行に延びる複数の電線収容溝が並設された電線保持部材を有し、前記電線保持部材の複数の前記電線収容溝に対して、前記ワイヤハーネスを構成する複数の電線がそれぞれ収容保持されている一方、前記電線保持部材を表裏両側から可撓性シートで挟み込み、ロール状に巻き込むことで電線束を構成し、前記電線束の外周面に対して前記グロメットの小径筒部を圧着したことを特徴とする。
本態様によれば、電線保持部材により、複数の電線が相互に離隔した状態で保持できることから、電線保持部材の上下を可撓性シートで挟み込んでロール状に巻き込む際に、従来の如き電線同士が重なり合って長手状の隙間ができてしまうことを有利に防止することができる。
しかも、電線保持部材の上下を可撓性シートで挟み込んでロール状に巻き込むことで構成された電線束を、小径筒部の内径よりも大きくすることで、電線束に対してグロメットの小径筒部を圧着させる。これにより、電線保持部材や電線に対して可撓性シートを密着させ、それらの間に隙間が形成されることを一層確実に防止できるのである。
加えて、本発明の止水構造は、電線保持部材の電線収容溝に電線を収容した後、表裏両面から可撓性シートで挟み込んでロール状に巻き上げて電線束を構成し、かかる電線束をグロメットの小径筒部に圧着するだけの簡単な作業で構成できる。従って、特別な設備や冶具も不要でありコストの低減が図れる。さらに、電線保持部材やシート状の可塑性物質等の部品さえあれば、どのような場所でも作業が可能であることから、一層コスト低減が可能であり、また迅速に対応することが可能となるのである。
なお、可撓性シートとしては、例えば、塩化ビニル等からなる防水シート上にブチルゴム系の粘着剤が塗布されたブチルパッドや、発泡性のウレタン樹脂又はポリウレタン樹脂からなるシート状の発泡シート等が採用可能であるが、その他、電線や電線保持部材間の隙間を充填し得るものであれば何れでもよい。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記電線保持部材の各前記電線収容溝が、溝幅寸法が底部側から開口部側に向かって次第に広がる樋形状を有しており、隣接する前記電線収容溝が前記開口部側で相互に連接されている一方、前記底部側が外側になるように前記ロール状に巻き込まれているものである。
本態様によれば、電線保持部材は、電線収容溝が、溝幅寸法が底部側から開口部側に向かって次第に広がる樋形状とされていることから、各電線を電線収容溝に嵌め込む作業が容易に行い得る。しかも、隣接する電線収容溝は、開口部側で相互に連接されており、底部側が外側になるようにロール状に巻き込まれていることから、ロール状に巻き込む際に、電線収容溝の底部側が相互に離隔するように変形させることができ、ロール巻の作業を容易に行い得るようになっている。
本発明においては、電線保持部材により、複数の電線が相互に離隔した状態で保持できることから、電線保持部材の上下を可撓性シートで挟み込んでロール状に巻き込む際に、従来の如き電線同士が重なり合って長手状の隙間ができてしまうことを有利に防止できる。しかも、ロール状に巻き込むことで構成された電線束を、小径筒部の内径よりも大きくすることにより、電線保持部材や電線に対して可撓性シートを密着させ、隙間の形成を一層確実に防止できる。加えて、本発明の止水構造は、簡単な作業で構成できることから、特別な設備や冶具も不要でありコストの低減が図れる。
本発明の一実施形態としての電線保持部材の斜視図。 図1のII−II断面図。 図2に示す電線保持部材に複数の電線を保持し、上下を可撓性シートで挟み込んた状態を示す断面図。 図1に示す電線保持部材を用いて構成された電線束を有するワイヤハーネスを、グロメットに装着する方法について説明する斜視図(装着前)。 図1に示す電線保持部材を用いて構成された電線束を有するワイヤハーネスを、グロメットに装着する方法について説明する斜視図(装着後)。 図5のVI−VI断面図。 図5のVII−VII断面拡大図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜7には、本発明の一実施形態に従うグロメット10の止水構造を用いて、ワイヤハーネス12(図4〜6参照)が挿通されるグロメット10の小径筒部14を止水する構造が示されている。
先ず、図1〜2には、本実施形態としてのグロメット10の止水構造に用いられる電線保持部材16が、示されている。電線保持部材16は、相互に離隔して平行に延びる複数の電線収容溝18が並設された構造とされている。電線保持部材16の各電線収容溝18は、溝幅寸法が底部20側から開口部22側に向かって次第に広がる樋形状を有している一方、隣接する電線収容溝18が開口部22側で相互に連接されるようになっている。電線保持部材16は、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、SI(シリコンゴム)等のゴム材料からなる一体成形部材であり、長手状に連続したベルト状部材として有利に形成することができる。そして、かかるベルト状部材を任意の長さにカット(本実施形態では5つの電線収容溝18を含むようにカット)して用いることができる。なお、グロメット10についても、電線保持部材16と同様のゴム材料により一体成形で形成されている。
このようにして形成された電線保持部材16を用いて、グロメット10の小径筒部14を止水する方法について、図3〜7を用いて、説明する。先ず、図3に示されているように、電線保持部材16の複数の電線収容溝18に対して、ワイヤハーネス12を構成する複数の電線24をそれぞれ収容保持する。次に、電線保持部材16を表裏両側から可撓性シート26でコの字状に挟み込み、矢印(図3参照)の方向に、底部20側が外側になるようにロール状に巻き込むことにより、電線束28(図4〜7参照)を構成する。この際、電線束28の外径寸法が、グロメット10の小径筒部14の内径寸法よりもやや大きくなるように形成する。なお、可撓性シート26としては、例えば、塩化ビニル等からなる防水シート上に、ブチルゴム系の粘着剤が塗布されたブチルパッドや、発泡性のウレタン樹脂又はポリウレタン樹脂からなるシート状の発泡シート等が採用可能であるが、その他、電線24や電線保持部材16間の隙間を充填し得る可撓性のシート材であれば何れでもよい。
以上に述べた方法により、図4に示されているように、ワイヤハーネス12の所定の位置に、電線束28を構成する。そして、このようにして準備されたワイヤハーネス12を、グロメット10の小径筒部14側から挿し入れ、図5に示されているように、ワイヤハーネス12の電線束28をグロメット10の小径筒部14に来るように配設する。ここで、ワイヤハーネス12の電線束28の外径寸法は、グロメット10の小径筒部14の内径寸法よりもやや大きくなるように形成されていることから、図5〜7に示すように、挿通後にワイヤハーネス12の電線束28の外周面30に対してグロメット10の小径筒部14の内面32に有利に圧着させることができるようになっている。
加えて、図6に仮想線で示されているように、グロメット10の小径筒部14と小径筒部14から突出するワイヤハーネス12に跨るように、結束テープ34を巻回して両者を固定するようになっている。また、図6に示すように、グロメット10は、グロメット10の大径筒部36の外周面の周方向に形成された環状溝部38に対して、図示しない車体パネル等に形成された円環状の突起40が嵌合されて、車体パネル等に固定されるようになっている。
上述の如き本実施形態のグロメット10の止水構造によれば、電線保持部材16の各電線収容溝18に、ワイヤハーネス12を構成する複数の電線24を相互に離隔した状態で収容保持できるようになっていることから、電線保持部材16の表裏両側を可撓性シート26で挟み込んでロール状に巻き込む際に、従来の如き電線束を構成する電線同士が密着することがなくなる。それ故、電線同士の密着により長手状の隙間ができてしまうことを有利に防止することができる。しかも、電線収容溝18は、溝幅寸法が底部20側から開口部22側に向かって次第に広がる樋形状とされていることから、各電線24を電線収容溝18に嵌め込む作業を容易に行うことができるのである。
また、電線保持部材16を表裏両側から可撓性シート26で挟み込んでロール状に巻き込むことで構成された電線束28の外径が、小径筒部14の内径よりも大きくされていることにより、電線束28に対してグロメット10の小径筒部14を圧着させることができる。それ故、図7に示されているように、電線保持部材16や電線24に対して可撓性シート26を密着させることができると共に電線保持部材16に対して電線24を押付けることができるので、それらの間に隙間が形成されることを一層確実に防止できるのである。
しかも、隣接する電線収容溝18は、開口部22側で相互に連接されていると共に、底部20側が外側になるようにロール状に巻き込まれていることから、図7に示されているように、ロール状に巻き込む際に、電線収容溝18の底部20側が相互に離隔するように変形させることができる。これにより、ロール巻の作業を容易に行うことができる。しかも、この結果として電線収容溝18の溝の深さが浅くなることから、電線保持部材16を表裏両側から可撓性シート26で隙間なく挟み込みことを容易に実現することが可能となる。
以上の結果、グロメット10の小径筒部14に配設されたワイヤハーネス12の電線束28から、有利に隙間を無くすることができるようになっているのである。
加えて、本発明の止水構造は、電線保持部材16の電線収容溝18に電線24を収容した後、表裏両面から可撓性シート26で挟み込みでロール状に巻き上げて電線束28を構成し、かかる電線束28をグロメット10の小径筒部14に圧着するだけの簡単な作業で構成できる。従って、特別な設備や冶具も不要でありコストの低減が図れる。さらに、電線保持部材16や可撓性シート26等の部品さえあれば、どのような場所でも作業が可能であることから、一層コスト低減が可能であり、また迅速に対応することが可能となるのである。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、本実施形態では、電線保持部材16は、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、SI(シリコンゴム)等のゴム材料からなる一体成形部材としたが、発泡性のウレタン樹脂又はポリウレタン樹脂等の可撓性材料から構成されていてもよい。これにより、より一層電線24間を可撓性材料で充填でき、隙間ができることを一層有利に防止することができる。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
10:グロメット、12:ワイヤハーネス、14:小径筒部、16:電線保持部材、18:電線収容溝、20:底部、22:開口部、24:電線、26:可撓性シート、28:電線束、30:外周面

Claims (2)

  1. ワイヤハーネスが挿通されるグロメットの止水構造であって、
    相互に離隔して平行に延びる複数の電線収容溝が並設された電線保持部材を有し、
    前記電線保持部材の複数の前記電線収容溝に対して、前記ワイヤハーネスを構成する複数の電線がそれぞれ収容保持されている一方、
    前記電線保持部材を表裏両側から可撓性シートで挟み込み、ロール状に巻き込むことで電線束を構成し、
    前記電線束の外周面に対して前記グロメットの小径筒部を圧着した
    ことを特徴とするグロメットの止水構造。
  2. 前記電線保持部材の各前記電線収容溝が、溝幅寸法が底部側から開口部側に向かって次第に広がる樋形状を有しており、
    隣接する前記電線収容溝が前記開口部側で相互に連接されている一方、
    前記底部側が外側になるように前記ロール状に巻き込まれている請求項1に記載のグロメットの止水構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020036449A (ja) * 2018-08-29 2020-03-05 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 ハーネス固定具、及び該ハーネス固定具を使用したハーネス固定構造

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