JP3477723B2 - 紫外線吸収剤及びそれを含む紫外線吸収組成物 - Google Patents

紫外線吸収剤及びそれを含む紫外線吸収組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な紫外線吸収剤及び
紫外線吸収組成物並びに該組成物から製造される光学材
料、特に眼内レンズ、コンタクトレンズおよび眼鏡レン
ズ等に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、樹脂用紫外線吸収剤として
は、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリア
ゾール系、シアノアクリレート系等の化合物が知られて
おり、用途、目的に応じて種々選択して用いられてい
る。
【0003】従来より、紫外線吸収剤を重合組成物に添
加して用いる場合、その加工の場面或いは使用の場面に
おいて重合組成物からのプリードアウトによる性能劣化
及び、生体への毒性が問題となることから、この様な問
題を改善するため、重合可能な骨格を有する紫外線吸収
剤を用い、これを単独重合、あるいは重合性モノマーと
共重合させる方法が用いられている。例えば、2,4−
ジヒドロキシベンゾフェノンとアクリル酸とのエステル
(特公昭36−6771号)を重合性モノマーと共重合
させる方法が報告されている。しかしながら、ベンゾフ
ェノン系誘導体のアクリル酸エステルでは、最大吸収波
長が比較的短く、地上における太陽光線の紫外線領域の
中で、その積算エネルギーの大きい波長領域(320〜
400nm)を吸収するには不十分であった。そのた
め、長波長領域での紫外線吸収効果が高く、より長い最
大吸収波長をもつベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤で
重合組成物からの溶出、ブリードアウトのない紫外線吸
収剤が望まれていた。また、これらの方法においても、
重合体に対して相溶性が悪い場合には、重合時あるいは
使用時に未反応の紫外線吸収剤がブリードアウトして性
能の劣化や変質をきたしたりする場合があった。また、
紫外線吸収剤が重合組成物において相溶性が悪い場合に
は、紫外線吸収剤が重合体中で相分離を起こし、透明性
の低下、機械的強度の低下など重合組成物自身の物性を
低下する場合があった。
【0004】一方、日光がヒトの目に、特に白内障の形
成に関して、障害をもたらすことは周知である。これに
最も関与する日光の部分は、300〜400nmの近紫
外領域である。この紫外線(UV)バンドは水晶体、網
膜に化学変化を引き起こすことによって目に障害をもた
らすことが知られている。この近紫外線によって引き起
こされる目の障害の問題は無水晶体患者においてとりわ
け大きい。本来、UV吸収フィルターとしての役割を果
している水晶体を摘出しているため、近視外線が引き起
こし得る光化学障害を受けやすいからである。かかる問
題を回避し、ヒトの目を保護するという面において米国
特許第3,141,869号明細書にあるように、紫外
線が目に達するのを防止するために紫外線吸収剤を眼鏡
レンズ中に混入することがなされていた。この様な目的
には300〜400nmの波長領域での紫外線吸収能に
優れる紫外線吸収剤が望まれることから、ベンゾトリア
ゾール系紫外線吸収剤が最適であると言える。
【0005】しかしながら、この様な光学材料、特に眼
科領域での医療用光学材料においても、上記の様な、紫
外線吸収剤のブリードアウト、溶出、および重合体との
相溶性不良による物性の低下などが問題になっていた。
特に、酸素透過性コンタクトレンズや軟質眼内レンズに
眼機能および眼組織を保護するために紫外線吸収能を付
与した場合、これらはケイ素原子を含有する重合体、特
にシロキサン含有重合体よりなるため、PMMAに代表
される従来の医療用光学材料とは異なり、紫外線吸収剤
のレンズ基材からの溶出、ブリードアウト、紫外線吸収
特性の劣化などの問題が顕著である。つまり、シリコー
ンのガラス転移点が常温より低く、常温ではゴム状高分
子であることから分るように、シロキサン化合物の重合
体においてはシロキサン領域の分子運動が大きく、この
部分に存在する紫外線吸収剤がブリードアウトや溶出し
やすい傾向にあった。このため、長期間の使用により紫
外線吸収特性がなくなったり、紫外線吸収剤が溶出する
ことによる安全上の問題があった。そして、酸素透過性
や柔軟性を高めるためにシロキサン化合物の含有量を多
くすればするほど、上記の安全性や紫外線吸収能の劣化
の問題点が顕著になっていた。
【0006】また、特に酸素透過性コンタクトレンズ、
軟質眼内レンズなどの医療用材料にあっては素材中にシ
リコーンの様な疎水性成分と生体親和性を高める親水性
成分とからなるため、添加した紫外線吸収剤が相分離し
やすく、素材の物性を低下させるという問題もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するためになされたものであり、300〜400
nmの波長領域での紫外線吸収能に優れ、溶出、ブリー
ドアウトがなく、重合体に相溶性の良い紫外線吸収剤お
よびその重合組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ベンゾトリア
ゾール系紫外線吸収剤の骨格を分子内に有し、かつ重合
可能な不飽和二重結合を分子内に有し、かつアルキレン
鎖に挟まれたウレタン結合を分子内に有することを特徴
とする紫外線吸収剤を提供する。また、本発明は、分子
中に重合可能な不飽和二重結合を有する単量体に上記本
発明の紫外線吸収剤を共重合して得られるポリマを含有
する紫外線吸収組成物を提供する。さらに、本発明は、
上記本発明の組成物から成り、光学的に透明な光学材料
を提供する。また、本発明は、上記本発明の組成物から
なるヒドロゲルを提供する。さらに、本発明は、上記本
発明の組成物からなるプラスチックフィルムを提供す
る。さらに本発明は、上記本発明の組成物からなるコー
ティング材料を提供する。
【0009】本発明の紫外線吸収剤は、ウレタン結合を
介してアルキレン鎖を有するため多くの重合体との相溶
性を高めることができ、共有結合を介して重合体に配合
され、これを含む重合体に紫外線吸収能を付与すること
ができる。ウレタン結合自身は極性基であり、このウレ
タン結合を挟むアルキレン鎖は極性が低く疎水性のた
め、このアルキレン鎖の長さを調節することにより、紫
外線吸収剤分子全体の極性をコントロールできる。こう
することにより多くの重合体に対して最適の相溶性を得
ることができる。この結果、紫外線吸収剤が重合体のモ
ノマとより完全に反応し、このことにより抽出可能な未
反応単量体量を低下させることができる。本発明の紫外
線吸収剤は、特に300〜400nm程度の波長領域の
紫外線吸収能に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤の骨格を分子内に有する。ここで、ベンゾトリアゾー
ル系紫外線吸収剤の骨格とは、ベンゾトリアゾール環の
2位の窒素原子にフェノール環が結合したものを意味す
る。そして、他の重合可能なモノマーとの共重合又はそ
れ自身での単独重合を可能にする、重合可能な不飽和二
重結合を分子内に有する。かつ、多くの重合体に対して
最適の相溶性を与えることを可能にする、アルキレン鎖
にはさまれたウレタン結合を有する。
【0010】本発明の紫外線吸収剤の好ましい例とし
て、下記式[I]で示される2−{2´−ヒドロキシ−
5´−β−[N−(β−(メタ)アクリロイルオキシア
ルキル)カルバモイルオキシ]アルコキシフェニル}−
2H−ベンゾトリアゾールを挙げることができる。
【0011】
【化2】 (ただし、式中、R1 はH、ハロゲン、炭素原子数1〜
10のアルコキシ基または炭素数1〜10のアルキル基
であり、R2 はH、CH3 および炭素原子数1〜10の
アルキル基からなる群から選択され、且つXは −O−R3 −O−CO−NH−R4 −O−CO−C(R5 )=CH2 (ここでR3 およびR4 は直鎖または枝分れ鎖のいずれ
でも良いC2 〜C20のアルキレン基であり、且つR5
H又はCH3 である)) 特に好適な上記構造の物質は、R1 はアルキル基、特に
CH3 、塩素又はCH3O、R2 はt−ブチル、XはR
3 が−C2 4 −または−C3 6 −でありかつR4
−C2 4 −または−C3 6 −である場合のものであ
る。中でも特に好適な化合物は、式[II]で示される2
−{2´−ヒドロキシ−5´−{β−[N−(β−メタ
クリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ]エトキ
シ}−3´−t−ブチルフェニル}−5−メチル−2H
−ベンゾトリアゾールである。
【0012】
【化3】 上記式[I]で示される紫外線吸収剤は、所望のR2
−OR3 OHを有するフェノール誘導体と所望のR1
有するニトロアニリンとを反応させてニトロフェニルア
ゾフェノール誘導体にし、これをアルカリ処理して所望
のR1 、R2 及び−OR3 OHを有するフェニル−2H
−トリアゾール誘導体にした後、これに所望のR4 及び
5 を有するOCN−R4 −O−CO−C(R5 )=C
2 で表されるイソシアネート誘導体を反応させること
により製造することができる。これらの個々の工程は、
公知の有機化学反応に基づき行うことができ、また、好
ましい具体的な条件は下記実施例に詳細に記載されてい
る。
【0013】本発明の紫外線吸収剤は多くの不飽和単量
体と共重合させて所望の紫外線吸収特性を有する組成物
を提供できる。本発明の紫外線吸収組成物は、本発明の
紫外線吸収剤のホモポリマまたはコポリマのみから成っ
ていてもよいし、さらに他のポリマ及び/又は種々の添
加剤や着色料を含むものであってもよい。すなわち、本
発明の紫外線吸収剤の単独重合体あるいは共重合体は紫
外線吸収特性を付与するため、広範囲の重合体に対する
添加剤として使用することもできる。本発明の紫外線吸
収剤が共重合成分として含有されるのに適当な代表的重
合体及び共重合体並びに該紫外線吸収性ポリマとブレン
ドするのに適当な代表的重合体及び共重合体には、次の
様なものがある。
【0014】(1)モノーまたはジオレフィンから由来す
る重合体:例えば、任意に架橋してあってもよいポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリイソブ
チレン、ポリメチルブテン−1、ポロメチルペンテン−
1、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリ−4−メ
チルペンテン。
【0015】(2)(1) に挙げた単独重合体の混合物:例
えばポリプロピレンとポリエチレン、ポリプロピレンと
ポリイソブテン、ポリプロピレンとポリブテン−1 。
【0016】(3)(1) に挙げた重合体に基づく単量体の
共重合体:例えば、エチレン−クロロピレン共重合体、
プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−イソブ
チレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、およ
びエチレンとプロピレンとのジエン、例えばヘキサジエ
ン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンと
の三元共重合体、並びにアルファ−オレフィン例えばエ
チレンと(メタ)アクリル酸との共重合体。
【0017】(4)スチレン又はα−メチルスチレンの共
重合体:例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチ
レン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロ
ニトリル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、衝撃
強度を付与するためにアクリル酸エステル重合体で変性
したスチレン−アクリロニトリル共重合体並びにブロッ
ク共重合体、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブ
ロック共重合体。
【0018】(5)スチレンのグラフト共重合体:例えば
ポリブタジエンへのスチレンのグラフト共重合体、一般
にアクリトニトリル−ブタジエン−スチレンまたはAB
S樹脂と呼ばれるポリブタジエンおよび(4) に挙げた共
重合体とポリブタジエンの混合物へのスチレンとアクリ
ロニトリルのグラフト共重合体。
【0019】(6)ポリオルガノシロキサンの様なシリコ
ーン重合体。
【0020】(7)ハロゲン含有ビニル重合体:例えば、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニ
ル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロプレン、塩化ゴ
ム、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共
重合体。
【0021】(8)α、β−不飽和有機酸及びその誘導
体:ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸のエステ
ル、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル、ポリアクリル
アミド及びポリアクリロニトリル。本発明の紫外線吸収
剤は(メタ)アクリル酸及び一つ以上のその誘導体の共
重合体からなる熱硬化性アクリル樹脂ラッカーおよびメ
ラミン−ホルムアルデヒド樹脂中で有利に使用すること
ができる。
【0022】(9)不飽和アルコールおよびアミンから由
来する重合体、並びにそれらのアシル重合体、例えばポ
リビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン
酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニ
ル、ポリビニルブチラール、ポリフタル酸アリル、ポリ
アリルメラミン及び他のビニル化合物との共重合体。例
えばエチレン−酢酸ビニル共重合体。
【0023】(10) エポキシドから由来する単独重合体
及び共重合体:例えば、ポリエチレンオキシド又はビス
グリシジルエーテルから由来する重合体。
【0024】(11) ポリアセタール:例えばポリオキシ
メチレン、及び共重合体としてエチレンオキシドを含有
するポリオキシメチレン。
【0025】(12) ポリアルキレンオキシド:例えばポ
リオキシエチレン、ポリプロピレンオキシド又はポリブ
チレンオキシド。
【0026】(13) ポリフェニレンオキシド (14) ポリウレタン及びポリ尿素 (15) ポリカーボネート (16) ポリスルホン (17) ジアミンとジカルボン酸から及び/又はアミノカ
ルボン酸又は相当するラクタムから由来するポリアミド
及びコポリアミド:例えば、ポリアミド6、ポリアミド
6/6、ポリアミド6/10、ポリアミド11、ポリア
ミド12、m−ビニルラクタム及びポリ−m−フェニレ
ン−イソフタルアミド。
【0027】(18) ジカルボン酸とジアルコールから及
び/又はヒドロキシスルホン酸又は相当するラクトンか
ら由来するポリエステル:例えば、ポリエチレングリコ
ールテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘ
キサンテレフタレート。
【0028】(19) 一方においてアルデヒドから及び他
方においてフェノール、尿素及びメラミンから由来する
架橋した重合体:例えば、フェノール−ホルムアルデヒ
ド、尿素−ホルムアルデヒド及びメラミン−ホルムアル
デヒド。
【0029】(20) アルキド樹脂:例えばグリセリン−
フタル酸樹脂及びそれらのメラミン−ホルムアルデヒド
樹脂との混合物。
【0030】(21) 飽和及び不飽和ジカルボン酸と多価
アルコールのコポリエステルから並びに架橋剤としての
ビニル化合物から由来する不飽和ポリエステル且つまた
そのハロゲン含有難燃性変性物。
【0031】(22) 天然重合体:例えば、セルロース、
ゴム。
【0032】(23)(22) の化学的に変性した同族誘導
体:例えば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、
及び酢酸セルロース並びにセルロースエーテル、例えば
メチルセルロース。
【0033】特に有用な組成物は、本発明の紫外線吸収
剤と例えばスチレン、メチルスチレン、ケイ素原子と不
飽和二重結合とを有する化合物、アクリル酸エステル、
メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニト
リル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ビ
ニルラクタム、エチレン、プロピレン及びそれらの混合
物の様な、他の共重合性不飽和二重結合を有する単量体
との共重合体を含むものである。
【0034】また、本発明の組成物中に含まれるポリマ
の好ましいものとして、ケイ素原子を含有するものがあ
る。ここで、ケイ素原子を含有するポリマとは、ポリマ
の主鎖および/または側鎖にケイ素原子を含有していれ
ばよく、例えばシロキサン結合や、トリメチルシリル基
などの有機シラン基を含有するポリマを主成分としてな
る重合体である。これら、ケイ素原子を含有するポリマ
ーにおいて酸素透過性の点、および/または柔軟性の点
からケイ素原子がシロキサン結合によりポリマ中に含有
される長鎖状のものが好ましい。かかる重合体の具体例
としては、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピ
ルメタクリレート、両末端に二重結合を持ったポリジメ
チルシロキサン、シリコーン含有(メタ)アクリレート
などを用いたホモポリマ、あるいはこれらのモノマと他
のモノマとのコポリマなどが挙げられる。共重合可能な
モノマとしては、(メタ)アクリルモノマ、芳香族ビニ
ルモノマ、ヘテロ環ビニルモノマなどの単官能モノマ、
あるいはジ−、トリ−、テトラ−(メタ)アクリルモノ
マ、芳香族ジビニルモノマ、芳香族ジアリルモノマなど
の多官能モノマなどが挙げられる。(メタ)アクリルモ
ノマとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートな
どのアルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリ
ル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアル
キル(メタ)アクリレート類、トリフロロエチル(メ
タ)アクリレート、テトラフロロエチル(メタ)アクリ
レートなどのハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート
類、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロ
アルキル(メタ)アクリレート類などが挙げられる。中
でも、メチルメタクリレートを用いると、機械的特性に
おいて良好なものとなる。また、フロロアルキル(メ
タ)アクリレートを用いると、酸素透過性と機械的特性
の両機能を満足する重合体とすることができる点から好
ましい。また、芳香族ビニルモノマとしては、ビニルベ
ンゼン、ビニルナフタレン、ビニルエチルベンゼンなど
の例を挙げることができる。さらに、ヘテロ環ビニルモ
ノマとしては、ビニルカルバゾール、マレイミド、無水
マレイン酸などの例を挙げることができる。これら共重
合可能なモノマとしては、共重合性、透明性などの点か
ら(メタ)アクリレートモノマが好ましい。中でも、機
械的特性、透明性、酸素透過性の点からメチル(メタ)
アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリル酸が最も好ましい。共重合可能な
多官能性モノマについて説明する。ジ(メタ)アクリル
モノマの例としては、エチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチ
レンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレ
ートおよびそのウレタン変性ジ(メタ)アクリレート、
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセ
ロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。トリ(メ
タ)アクリルモノマとしては、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ
(メタ)アクリレート、などの例が挙げられる。テトラ
(メタ)アクリルモノマとしては、テトラメチロールメ
タンテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。芳
香族ジビニル化合物としては、o−、m−、p−のジア
リルフタレートなどが挙げられる。その他の多官能モノ
マの例としては、ビスマレイミド、アリル(メタ)アク
リレートなども挙げることができる。共重合性、透明性
などの点からジ−、トリ−、テトラ−、(メタ)アクリ
レートモノマが好ましい。中でも、機械的特性、透明性
の点からトリ(メタ)アクリレートが最も好ましい。
【0035】以上のことより、透明性、酸素透過性、機
械的特性の点からケイ素原子を含有する重合体として、
二重結合を有するシロキサン化合物と(メタ)アクリロ
イル基を有する化合物の共重合体であることが最も好ま
しい。
【0036】ケイ素原子を含有する重合体と共重合可能
なモノマとを共重合する場合、通常、それぞれの組成
は、ケイ素原子を含有する重合体10〜90重量部、共
重合可能なモノマ10〜90重量部の範囲で選択される
が、とくに限定されるものではない。ケイ素原子を含有
する重合体が9重量部以下の場合、酸素透過性が不足
し、また91重量部以上の場合、強度が低下するなど、
好ましくない場合がある。一般にケイ素原子を含有する
重合体と他のモノマとの共重合体において、ケイ素原子
を含有する重合体の割合が増加するにつれて酸素透過性
が大きくなり、強度が低下する傾向にある。
【0037】重合体におけるケイ素原子の存在は、ポリ
マ全体に均一であっても、いわゆるミクロ相分離構造を
有する不均一系であっても良い。
【0038】ケイ素原子を含む上記組成物の酸素透過係
数は10×10-11 cm3 (STP) ・ cm/cm 2 ・ sec ・ mmHg
以上であることが好ましい。ここでいうところの酸素透
過係数の測定は電極法真空法、加圧法など公知の方法に
ておこなわれる。本発明の紫外線吸収組成物をコンタク
トレンズに適用した場合、酸素透過係数10×10-11
cm3 (STP) ・ cm/cm 2 ・ sec ・ mmHgより小さければ、角
膜表面よりレンズを介して角膜に必要な酸素を十分には
供給できることができず、長期装用した場合、角膜の生
理的負担が大きくなり、好ましくない。また、連続装用
した場合、角膜の浮腫が生じ、視力障害を引き起こす可
能性があり好ましくない。添加する紫外線吸収剤の濃度
は、原料モノマーの混合液の重量に対して0.01〜1
0重量%の範囲が望ましい。濃度が0.01重量%以下
であれば十分な紫外線吸収能を得ることができない。ま
た、添加量が10重量%を越えると重合率の低下、機械
的強度の低下をもたらすことがあり、好ましくない。コ
ンタクトレンズ、眼内レンズにあっては、200〜40
0nmの紫外線領域内の最大吸収波長における透過率が
20%未満であることが望ましい。これを得るため、レ
ンズの厚さとのかね合いから適当な紫外線吸収剤の濃度
が決められる。
【0039】本発明の紫外線吸収組成物は短波長を透過
しないことから、カットフィルターとして広く光学材料
として使用することができる。光学材料に用いる場合、
紫外線吸収剤を単独で用いても良いし、可視光線領域の
吸収特性を調整するために着色剤を添加しても良い。用
いられる着色剤としては、直接染料、油溶性染料、酸性
染料、塩基性染料、分散染料、バット染料、有機顔料な
どにおけるモノアゾ系、ビスアゾ系、アントラキノン
系、キノナフタロン系、キサンテン系、ピラゾール系、
トリフェニルメタン系、インジゴイド系、フルオラン
系、キノリン系などの有機染料が挙げられるが、これに
限定されるものではない。
【0040】本発明の紫外線吸収組成物を光学材料とし
て用いる場合、眼鏡レンズ、眼内レンズ、コンタクトレ
ンズ等医療用光学材料の他、分光光度計用集光レンズ、
光ファイバー、太陽エネルギー集光器、蛍光拡散器など
が挙げられるが、特に好適なものはコンタクトレンズ、
眼内レンズである。
【0041】本発明の紫外線吸収組成物はまた、ヒドロ
ゲルの形態にあることができる。ここで“ヒドロゲル”
とは、約10〜90%の平衡含水率を有する架橋ポリマ
を意味する。このヒドロゲルを与えるモノマとして挙げ
られるものは、ヒドロキシ低級アルキル(C1 〜C9
(メタ)アクリレートであり、これは相当する(メタ)
アクリレートのジエステル、例えばエチレングリコール
ジメタクリレート数%で架橋され、ヒドロゲルとなる。
他の適当な親水性モノマの例はN−ビニル複素環式モノ
マであり、このモノマの例としてはN−ビニル−2−ピ
ロリドン、N−ビニルピリジン及びN−ビニルカプロラ
クタムが好適な例として挙げられる。更に、他の親水性
のモノマの例は重合性オレフィン酸及びアミドであり、
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マ
レイン酸、クロトン酸、アクリルアミド、メタクリルア
ミド及びN−(1,1−ジメチル−3−オキソブチルア
クリルアミド)が好適な例として挙げられる。親水性モ
ノマのその他の適当な群はメチル及びエチルビニルエー
テルのような低級アルキルビニルエーテルである。本発
明において好ましい紫外線吸収ヒドロゲルはヒドロキシ
エチルメタクリレーと共重合したものである。なお、こ
のヒドロゲルはソフトコンタクトレンズや眼内レンズと
して好適に用いることができる。
【0042】本発明の紫外線吸収組成物はまた、プラス
ティックフィルムの形態であることができ、これは透明
プラスティックフィルム、包装材料、ビニル窓被覆、内
装カバー等に適用できる。
【0043】本発明の紫外線吸収組成物はまた、コーテ
ィング材料として用いることもでき、これは重合コーテ
ィング、自動車塗料、インテリア被覆、眼鏡レンズコー
ティング等に適用できる。
【0044】以下に実施例をあげて本発明をより具体的
に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるもので
はない。
【0045】
【実施例】
実施例1 2−{2´−ヒドロキシ−5´−{β−[N−(β−メ
タクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ]エト
キシ}−3´−t−ブチルフェニル}−5−メチル−2
H−ベンゾトリアゾールの合成 まず、中間体2−t−ブチル−4−(2’−ヒドロキシ
エトキシ)フェノールの合成を以下のとおり行った。
【0046】メカニカルスタラー、ジムロートコンデン
サーを付けた500ml三口フラスコにてアルゴン雰囲
気下、t−ブチルハイドロキノン、42.8gを150
mlメタノールに溶解し、この溶液に10.3gの水酸
化ナトリウム、50mlの水、20.6gの2−クロロ
−1−エタノール及び0.3gヨウ化カリウムを添加。
この溶液を24時間加熱環流した後、反応液を放置、冷
却して、室温とし、300mlの水で希釈した。この溶
液からジクロロメタンで生成物を抽出した。無水硫酸ナ
トリウムにより乾燥した後、溶媒を留去し、この生成物
をトルエンから再結晶して精製し、15.3gの生成物
を得た。
【0047】次いで、中間体2−t−ブチル−4−
(2’−ヒドロキシエトキシ)−6−(4’−メチル−
2−’ニトロフェニルアゾ)−フェノールの合成を以下
のとおり行った。
【0048】メカニカルスターラーを付けた500ml
三口フラスコにて8.2gの98%4−メチル−2−ニ
トロアニリンと18mlの濃塩酸を室温で撹拌し溶解し
た。この溶液を50mlの氷水で希釈した。この溶液を
氷で冷却し4℃以下に保ちながら水15mlに溶解した
97%亜硝酸ナトリウム3.8gを滴下した。滴下終了
後、更に冷却を続けながら1時間撹拌した。その後、泡
が発生しなくなるまでスルファミン酸を加え、過剰な亜
硝酸ナトリウムを分解した。この反応液をろ過し、ろ液
を得た。10.7gの2−t−ブチル−4−(2’−ヒ
ドロキシエトキシ)フェノールと6gの水酸化ナトリウ
ムを水200mlに溶解した溶液に、氷で冷却し4℃以
下に保ち撹拌しながら上記ろ液を滴下した。ジアゾニウ
ム溶液の約1/3を加えた後、40mlの10%水酸化
ナトリウム水溶液を同時に滴下した。この反応溶液を引
続き4℃以下で2時間撹拌し、その後室温になるまで放
置した。塩酸を加え、酸性としてアゾ染料の結晶を得、
ろ過によって分離した。
【0049】次いで、2−[2´−ヒドロキシ−5´−
{β−ヒドロキシエトキシ}−3´−t−ブチルフェニ
ル]−5−メチル−2H−ベンゾトリアゾールの合成を
以下のとおり行った。
【0050】上記によって得た2−t−ブチル−4−
(2’−ヒドロキシエトキシ)−6−(4’−メチル−
2−’ニトロフェニルアゾ)−フェノールをメカニカル
スターラーを付けた500ml三口フラスコ中、150
mlのエタノールに溶解した。アルゴン雰囲気下、室温
にて2N水酸化ナトリウム水溶液150mlにグルコー
ス18gを溶解した溶液を30℃以下に保ちながら滴下
した。この反応溶液に亜鉛粉末12gを少しずつ加え
た。反応液を室温で4時間撹拌した後、100mlの水
で希釈した。生成した沈殿をろ過により分離し、沈殿を
水洗した。この沈殿をエタノールで洗い、生成物を溶解
して亜鉛と分離した。エタノールをエバポレータにより
留去し、生成物を真空乾燥した。この生成物をヘプタン
により再結晶して精製し、9.4gの生成物を得た。
【0051】2−{2´−ヒドロキシ−5´−{β−
[N−(β−メタクリロイルオキシエチル)カルバモイ
ルオキシ]エトキシ}−3´−t−ブチルフェニル}−
5−メチル−2H−ベンゾトリアゾールの合成 ジムロートコンデンサーを取り付けた300ml三口フ
ラスコに2−[2´−ヒドロキシ−5´−{β−ヒドロ
キシエトキシ}−3´−t−ブチルフェニル]−5−メ
チル−2H−ベンゾトリアゾール2.4g、テトラヒド
ロフラン50ml、ジ−n−ブチルスズジラウレート1
0μl、ハイドロキノン10mgを取り、マグネチック
スタラーで60℃にて撹拌した。これにメタクリロイル
オキシエチルイソシアネート1.52gを滴下しながら
加た。60℃にて9時間撹拌を続け、薄層クロマトグラ
フィーにてメタクリロイルオキシエチルイソシアネート
が消失したことを確認した後、反応を終了し、テトラヒ
ドロフランを留去した。固形分をジエチルエーテルに溶
解後、水で洗浄し、エーテル層を回収し、エーテルを留
去した。固形分を120mlメタノール+60mlジク
ロルメタンに溶解、再結晶により精製し、2.6gの生
成物を得た。この精製物の融点は105℃であった。
【0052】図1にこの紫外線吸収剤の紫外可視吸収ス
ペクトルを示す。スペクトルに示されるように紫外線領
域で十分大きな吸収が得られた。また、図2にこの紫外
線吸収剤の赤外吸収スペクトルを示す。
【0053】実施例2 撹拌装置、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入口を備え
た四ツ口フラスコに、2,6−ジイソシアナートカプロ
ン酸−β−イソシアナートエチルエステル53.4重量
部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート52重量部、
ジ−n−ブチルスズジラウレート0.01重量部を仕込
み、赤外線吸収スペクトルで水酸基の吸収が消失するま
で、50℃、窒素雰囲気下で撹拌した。平均分子量94
6を有する次式で表される両末端アルコール変性ポリジ
メチルシロキサン94.6重量部を上記四ツ口フラスコ
中に添加し、赤外吸収スペクトルのイソシアナート基の
吸収が消失するまで、50℃、窒素雰囲気下で撹拌し、
両末端に各二個の二重結合を有する、下記式[III]で示
されるシロキサンマクロマーを主成分とする反応生成物
を得た。
【0054】
【化4】 この反応生成物(主成分がシロキサンマクロマー)10
重量部に対して、トリフルオロエチルメタクリレート3
重量部添加すると共に、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート0.055重量部、アゾビスメチルバレロ
ニトリル0.004重量部を添加した。このモノマー混
合液に対して紫外線吸収剤2−{2´−ヒドロキシ−5
´−{β−[N−(β−メタクリロイルオキシエチル)
カルバモイルオキシ]エトキシ}−3´−t−ブチルフ
ェニル}−5−メチル−2H−ベンゾトリアゾール0.
5重量%添加し、各組成物を混合・溶解して均一な透明
原液を得た。この原液を棒状ガラス容器に入れ脱気し、
窒素雰囲気とした後密栓した。これを恒温水槽中で40
℃、40時間、50℃、24時間、60℃、16時間、
70℃、4時間、90℃、2時間の条件で反応をおこな
わせた。更に循環乾燥器中で130℃、3時間加熱をお
こない、棒状重合体を得た。得られた重合体は、ショア
ーD硬度74であって硬く、切削性、研磨性とも良好で
機械加工性は良好であった。
【0055】この重合体をミキサーにより細片とし、こ
の細片1gを蒸留水50gに浸漬し、100℃にて30
時間加熱抽出した。この抽出液において紫外線吸収剤の
溶出は分光学的に認められなかった。
【0056】この重合体を直径17mm、厚さ5mmの
ディスクに加工後、真空減圧下、120℃、16時間加
熱処理したが、ブリードアウトによる色調、吸光度の変
化は認められなかった。
【0057】この重合体を直径9mm、厚さ0.2mm
のディスクに加工後、真空減圧下、120℃、16時間
加熱処理した。本ディスクを常温にてフェードメータに
よる照射試験をおこなった。フェードメータによる照射
200時間照射後でさえ吸光度は照射前の吸光度の9
5.8%が認められ、紫外線吸収能の劣化はなく優れた
耐光性を示した。
【0058】この重合体の酸素透過係数を製科研式フィ
ルム酸素透過率計によって求めた37℃での酸素透過係
数は32×10-11 cm3 (STP) ・ cm/cm 2 ・ sec ・ mmHg
であった。
【0059】この重合体を切削研磨してレンズ系9.0
mm、ベースカーブ8.0mm、レンズパワー−3.0
0Dのコンタクトレンズに加工することができた。
【0060】実施例3 トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリ
レート50重量部、トリフロロエチルメタクリレート5
0重量部、アゾビスイソブチルニトリル0.05重量
部、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル0.15重
量部を混合し重合原液とした。このモノマー混合液に対
して紫外線吸収剤として2−{2´−ヒドロキシ−5´
−{β−[N−(β−メタクリロイルオキシエチル)カ
ルバモイルオキシ]エトキシ}−3´−t−ブチルフェ
ニル}−5−メチル−2H−ベンゾトリアゾールを0.
5重量%添加・溶解して均一な透明原液を得た。溶解
後、試験管に封入して、60℃から110℃まで24時
間かけて昇温させた後、110℃にて4時間保持し重合
体を得た。
【0061】この重合体をミキサーにより細片とし、こ
の細片1gを蒸留水50gに浸漬し、100℃にて30
時間加熱抽出した。この抽出液において紫外線吸収剤の
溶出は分光学的に認めれなかった。
【0062】この重合体を直径17mm、厚さ5mmの
ディスクに加工後、真空減圧下、120℃、16時間加
熱処理し、ブリードアウトによる吸光度の減少を分光学
的に調べた。その結果、ブリードアウトによる色調、吸
光度の変化は認められなかった。
【0063】この重合体を直径9mm、厚さ0.2mm
のディスクに加工後、真空減圧下、120℃、16時間
加熱処理した。本ディスクを常温にてフェードメータに
よる照射試験をおこなった。フェードメータによる照射
200時間照射後でさえ吸光度は照射前の吸光度の9
7.2%が認められ、紫外線吸収能の劣化はなく優れた
耐光性を示した。
【0064】この重合体の酸素透過係数を製科研式フィ
ルム酸素透過率計によって求めた37℃での酸素透過係
数は30×10-11 cm3 (STP) ・ cm/cm 2 ・ sec ・ mmHg
であった。
【0065】この重合体は機械加工性が良好であり、切
削研磨してレンズ系9.0mm、ベースカーブ8.0m
m、レンズパワー−3.00Dのコンタクトレンズに加
工することができた。
【0066】実施例4 両末端に二重結合を有するポリジメチルシロキサン45
重量部、トリフルオロエチルメタクリレート47.5重
量部、メタクリル酸3重量部、トリメチロールプロパン
トリメタクリレート4.5重量部を均一に混合し、これ
にアゾビスイソブチロニトリル0.05重量部、アゾビ
スシクロヘキシルカルボニトリル0.15重量部を添加
した。このモノマー混合液に対して紫外線吸収剤として
2−{2´−ヒドロキシ−5´−{β−[N−(β−メ
タクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ]エト
キシ}−3´−t−ブチルフェニル}−5−メチル−2
H−ベンゾトリアゾールを0.5重量%添加し、各組成
物を混合・溶解して均一な透明原液を得た。この原液を
棒状ガラス容器に入れ脱気し、窒素雰囲気とした後密栓
した。これを、60℃から110℃まで24時間かけて
昇温させた後、110℃にて4時間保持し重合体を得
た。得られた重合体は、ショアーD硬度70であって硬
く、切削性、研磨性とも良好であった。
【0067】この重合体をミキサーにより細片とし、こ
の細片1gを蒸留水50gに浸漬し、100℃にて30
時間加熱抽出した。この抽出液における紫外線吸収剤の
溶出を分光学的に観察した。この結果、紫外線吸収剤の
溶出は分光学的に認められなかった。
【0068】この重合体を直径17mm、厚さ5mmの
ディスクに加工後、真空減圧下、120℃、16時間加
熱処理し、ブリードアウトによる吸光度の減少を分光学
的に調べた。この結果、ブリードアウトによる色調、吸
光度の変化は認められなかった。
【0069】この重合体を直径9mm、厚さ0.2mm
のディスクに加工後、真空減圧下、120℃、16時間
加熱処理した。本ディスクを常温にてフェードメータに
よる照射試験をおこなった。フェードメータによる照射
200時間照射後でさえ吸光度は照射前の吸光度の9
5.2%が認められ、紫外線吸収能の劣化はなく優れた
耐光性を示した。
【0070】この重合体の酸素透過係数を製科研式フィ
ルム酸素透過率計によって求めた37℃での酸素透過係
数は130×10-11 cm3 (STP) ・ cm/cm 2 ・ sec ・ mm
Hgであった。
【0071】この重合体を切削研磨してレンズ径9.0
mm、ベースカーブ8.0mm、レンズパワー−3.0
0Dのコンタクトレンズに加工することができた。
【0072】図3に厚さ0.2mmのディスクの紫外可
視吸収スペクトル(透過率)を示す。スペクトルに示さ
れるように紫外線領域で十分大きな吸収が得られた。
【0073】この重合体を切削研磨してレンズ系9.0
mm、ベースカーブ7.0mm、レンズパワー−3.0
0Dのコンタクトレンズに加工した。このレンズを日本
白色家兎10羽において15日間の連続装用をおこな
い、ドレーズ法による兎眼粘膜刺激試験をおこなった。
片眼にこのコンタクトレンズを装用し、片眼を非装用眼
とした。その結果、15日間の連続装用後でも、角膜の
混濁・浮腫、眼瞼結膜の充血・浮腫、球結膜の充血・浮
腫、分泌物は軽度であった。、ドレーズ法による評点の
合計は、装用眼2.1、非装用眼1.7と装用眼におい
ても眼粘膜に無刺激と判定された。この結果、本コンタ
クトレンズは安全に連続装用可能なものであった。
【0074】実施例1、2、3、4の結果より、本発明
によって得られる紫外線吸収剤は300〜400nmの
波長領域での紫外線吸収能に優れ、溶出、ブリードアウ
トがなく、重合体に相溶性の良い紫外線吸収剤であり、
その結果、重合組成物は安定した紫外線吸収能を有し、
幅広い用途に用いることができることが分る。
【0075】
【発明の効果】本発明により、300〜400nmの波
長領域での紫外線吸収能に優れ、溶出、ブリードアウト
がなく、重合体に相溶性の良い紫外線吸収剤、およびそ
の重合組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得られた本発明の紫外線吸収剤の紫外
可視吸収スペクトルである。
【図2】実施例で得られた本発明の紫外線吸収剤の赤外
吸収スペクトルである。
【図3】実施例で得られた重合体の紫外可視吸収スペク
トル(透過率)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08J 5/18 C08J 5/18 C09D 183/08 C09D 183/08 G02C 7/04 G02C 7/04 (56)参考文献 特開 昭60−166369(JP,A) 特開 昭63−185969(JP,A) 特開 平3−257420(JP,A) 特開 昭52−84258(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 3/00 104 C07D 249/18 - 249/20 C08F 220/36 C08F 246/00 C08G 77/388 C08J 5/18 C09D 183/08 C02C 7/04

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式[I] 【化1】 (ただし、式中、R1 はH、ハロゲン、炭素原子数1〜
    10のアルコキシ基または炭素数1〜10のアルキル基
    であり、R2 はH、CH3 および炭素原子数1〜10の
    アルキル基からなる群から選択され、且つXは −O−R3 −O−CO−NH−R4 −O−CO−C(R
    5 )=CH2 (ここでR3 およびR4 は直鎖または枝分れ鎖のいずれ
    でも良いC2 〜C20のアルキレン基であり、且つR5
    HまたはCH3 である))で示される紫外線吸収剤。
  2. 【請求項2】R1 がアルキル基である請求項記載の紫
    外線吸収剤。
  3. 【請求項3】R1 がCH3 である請求項記載の紫外線
    吸収剤。
  4. 【請求項4】R2 がt−ブチル基である請求項記載の
    紫外線吸収剤。
  5. 【請求項5】2−{2´−ヒドロキシ−5´−{β−
    [N−(β−メタクリロイルオキシエチル)カルバモイ
    ルオキシ]エトキシ}−3´−t−ブチルフェニル}−
    5−メチル−2H−ベンゾトリアゾールである請求項
    記載の紫外線吸収剤。
  6. 【請求項6】分子中に重合可能な不飽和二重結合を有す
    る単量体に請求項1記載の紫外線吸収剤を共重合して得
    られるポリマを含有する紫外線吸収組成物。
  7. 【請求項7】該ポリマが、ケイ素原子を含有するポリマ
    であることを特徴とする請求項記載の紫外線吸収組成
    物。
  8. 【請求項8】酸素透過係数が10×10-11 cm 3 (STP)・
    cm/cm2・sec・mmHg以上であることを特徴とする請求項
    記載の紫外線吸収組成物。
  9. 【請求項9】紫外線吸収剤を0.05〜10.0重量%
    含有することを特徴とする請求項記載の紫外線吸収組
    成物。
  10. 【請求項10】請求項記載の組成物から成り、光学的
    に透明な光学材料。
  11. 【請求項11】コンタクトレンズ、眼内レンズまたは眼
    鏡レンズである請求項10記載の光学材料。
  12. 【請求項12】請求項記載の組成物からなるヒドロゲ
    ル。
  13. 【請求項13】ヒドロゲル生成モノマーが、ヒドロキシ
    アルキルメタクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレ
    ト、N−ビニル複素環式モノマー、重合性オレフィン
    酸、重合性オレフィンアミド、並びに炭素数1〜5のア
    ルキルビニルエーテルからなる群から選ばれる請求項
    記載のヒドロゲル。
  14. 【請求項14】請求項記載の組成物からなるプラスチ
    ックフィルム。
  15. 【請求項15】請求項記載の組成物からなるコーティ
    ング材料。
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