JP3477566B2 - 過電流保護機能を有するゲート駆動回路 - Google Patents

過電流保護機能を有するゲート駆動回路

Info

Publication number
JP3477566B2
JP3477566B2 JP08943896A JP8943896A JP3477566B2 JP 3477566 B2 JP3477566 B2 JP 3477566B2 JP 08943896 A JP08943896 A JP 08943896A JP 8943896 A JP8943896 A JP 8943896A JP 3477566 B2 JP3477566 B2 JP 3477566B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
voltage
diode
current
power element
overcurrent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP08943896A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09284109A (ja
Inventor
潤一 西澤
一石 出崎
牧人 今
泰義 土岐
Original Assignee
財団法人半導体研究振興会
株式会社電研
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 財団法人半導体研究振興会, 株式会社電研 filed Critical 財団法人半導体研究振興会
Priority to JP08943896A priority Critical patent/JP3477566B2/ja
Publication of JPH09284109A publication Critical patent/JPH09284109A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3477566B2 publication Critical patent/JP3477566B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Power Conversion In General (AREA)
  • Electronic Switches (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は過電流保護回路に利用
し、導電損失の小さい静電誘導型トランジスタ(以下、
「SIT」と記す。)、静電誘導サイリスタ(以下、
「SIThy」と記す。)又はMOSトランジスタ等が
ほぼ定格電流値以上で、負の温度特性を有する電力スイ
ッチング素子の過電流による破損を高速なターンオフで
防止する過電流保護機能を有するゲート駆動回路に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】SITなどの電力素子の過電流耐量限界
において連続駆動を行う場合、電力素子応用装置の信頼
性を維持するためには過電流に対する保護対策が必要不
可欠である。従来の技術における過電流保護回路には、
ダイオードを検出素子として利用する回路が知られてい
る。図10は、従来の過電流保護回路を一部に含む電力
素子応用装置の一例を示す回路図である。図10におい
て、電源7及び負荷9と直列に接続された電力素子8が
オン・オフ信号に基づいてゲート駆動回路2により制御
されているが、過電流保護回路10は、所定電位を設定
する抵抗器3と直列接続された順方向の検出ダイオード
6が電力素子8のアノード側5に接続され、検出ダイオ
ード6のアノード側4の所定電位がターンオフ信号とし
てゲート駆動回路2に入力されるように構成されてい
る。なお、ゲート駆動回路の電源は図示を省略した。
【0003】この電力素子応用装置に過電流が流れる
と、電力素子8の順方向降下電圧が過電流により上昇す
ることによって、検出ダイオード6の順方向電流が阻止
され、検出ダイオード6のアノード側4の電位が上昇
し、この電位によって過電流が検出され、ターンオフ信
号としてゲート駆動回路2に入力されて電力素子8がオ
フにされることにより電力素子応用装置が保護されてい
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高速電
力スイッチング回路で用いられるSIThyやノーマリ
オフSITのような順方向降下電圧の極めて小さい高速
スイッチング電力素子に対する過電流保護のためには、
上記従来の過電流保護回路を適用すると以下のような解
決すべき課題が生じる。
【0005】先ず、上記のような電力素子の過電流を検
出すべき領域の順方向降下電圧が極めて小さいため、図
10で示したような従来の技術ではこの小さな電圧変化
に対応して過電流を検出することが困難であった。つま
り、過電流の検出に従来のような構成で検出ダイオード
6を用いた場合、過電流を検出するダイオードの順方向
特性の小電流領域における電流の小さな電圧変化に対応
した緩やかな電流変化によっては、電力素子8の順方向
降下電圧の上昇によるダイオード電流の阻止を検出する
ことは困難である。
【0006】また、この順方向に降下した微小電圧差を
検出するために増幅器を用いた場合、このような増幅器
を含めた過電流保護回路の利得を大きくすると、保護回
路全体の利得の得られる周波数の上限が制限されるた
め、ターンオフのための高速な保護動作を行うことがで
きず、SIThyなどの順方向降下電圧の極めて小さい
高速スイッチング電力素子に対する過電流保護ができな
い。
【0007】さらに、従来の過電流保護回路には電力素
子の温度が上昇した場合に、その温度における適切な過
電流保護動作電流とすることが考慮されていなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、本発明の過電流保護機能を有するゲート駆動回路
は、電力素子の導通状態における順方向降下電圧を検出
するダイオードを電力素子のアノード側に接続し、過電
流時の順方向降下電圧の上昇によるダイオード電流の阻
止を検出することで電力素子の過電流防止を行うゲート
駆動回路において、電力素子のアノードに逆方向に接続
した検出ダイオードと、電力素子遮断状態のときに逆流
電流を防止する逆流防止ダイオードと、逆流防止ダイオ
ードの順方向降下電圧,検出ダイオードの逆降伏電圧及
び過電流時の電力素子の順方向降下電圧の加算値から過
電流の検出値を決定するレベルシフト電圧部と、過電流
検出のときにレベルシフト電圧部及び検出ダイオードに
流れる電流を抑制するための電流制限素子を備えてお
り、検出ダイオードの降伏現象における電流の停止信号
を、ゲート駆動回路のターンオフ信号とする構成とし
た。
【0009】この過電流保護機能を有するゲート駆動回
路は電力素子に過電流が流れると、電力素子のアノード
・カソード間電圧がわずかに上昇し、この電圧と、逆流
防止ダイオードの順方向降下電圧と、検出ダイオードの
降伏電圧との加算値が、適切に設定されたレベルシフト
電圧部の電圧値より大きくなると、電流制限素子によっ
て制限された検出ダイオード及び逆流防止ダイオードに
流れる電流が停止し、この電流はレベルシフト電圧部を
通ってターンオフ制御部に急激に流れ、電力素子を高速
でターンオフ制御する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の過電流保護機能を有する
ゲート駆動回路は、過電流発生時の電力素子のわずかな
順方向降下電圧を検出するために、従来とは逆方向に電
力素子のアノード側に接続した検出ダイオードと、電力
素子遮断状態の際に逆流電流を防止する逆流防止ダイオ
ードと、逆流防止ダイオードの順方向降下電圧、検出ダ
イオードの逆降伏電圧及び過電流時の電力素子の順方向
降下電圧の加算値から、過電流の検出値を決定するレベ
ルシフト電圧部と、検出ダイオード及び過電流検出の際
にレベルシフト電圧部に流れる電流を抑制するための、
定電流ダイオード、抵抗等を含む電流制限素子とを備え
ている。
【0011】この検出ダイオードは、逆方向降伏がトン
ネル現象によるダイオードであり、電力素子と熱的に結
合されている。なお、ここで熱的に結合とは、素子が同
程度の温度に保たれている場合や同程度の温度に保たれ
ていなくても素子の温度係数を考慮して組み合わせる構
成を含む意味である。
【0012】さらに、レベルシフト電圧部自体、或いは
レベルシフト電圧部の基準電圧発生部に逆方向降伏がト
ンネル現象によるダイオードを用い、電力素子と熱的に
結合させるのがよい。SITやSIThyのような電力
素子は、素子の温度が上昇しほぼ連続的に通流される直
流定格電流値以上で電流の温度係数が負に変わるので、
素子温度が高いほど、過電流保護を行うべき電流領域で
は順方向電圧降下は大きくなる。したがって、過電流検
出電圧は温度上昇に伴い大きくする必要がある。これに
対応すべくトンネル現象を有するツェナーダイオードの
逆方向降伏電圧の温度係数が負であることを応用して、
過電流保護を行うべき電流値を一定電流値に定めること
ができる。
【0013】また、ツェナーダイオードの代わりにアバ
ランシェダイオードを用いると逆方向降伏電圧の温度係
数を正にできるので、検出ダイオードの特性をトンネル
効果とアバランシェ効果とを適宜組み合わせて所望の温
度特性を得て、過電流保護を行う動作点電流を設定でき
る。さらに、アバランシェダイオードは、逆方向降伏現
象に雪崩現象を生じるので、検出ダイオードやレベルシ
フト電圧部或いはレベルシフト電圧部の基準電圧発生源
に用いてもよい。なお、ここで用いられる電力素子はS
ITの代わりにSIThy,MOSトランジスタ,IG
BT,GTO及びバイポーラトランジスタであってもよ
い。
【0014】以上のような構成の過電流保護機能を有す
るゲート駆動回路では、ダイオードの逆方向特性におけ
る逆方向耐圧付近での、小さな電圧変化がトンネル現象
を引き起こし極めて大きな電流変化を高速に誘発する現
象に着目し、また降伏電圧の負の電圧値が温度の上昇と
ともに小さくなることを積極的に応用している。また、
過電流の検出ダイオードを従来とは逆方向に接続するこ
とにより、従来用いられる順方向の電流立上がり特性よ
りも急峻な降伏電圧付近の小さな電圧変化による大きな
電流変化を応用できる。
【0015】すなわち、オン状態のSIThyなどの電
力素子に過電流が流れた際、アノード・カソード間の電
圧がわずかに上昇する。この電圧と、逆流防止ダイオー
ドの順方向降下電圧と、検出ダイオードの降伏電圧との
加算値が、レベルシフト電圧部の電圧値より大きくなる
と、電流制限素子によって制限された検出ダイオード及
び逆流防止ダイオードに流れる電流が停止する。
【0016】これによって、検出ダイオード及び逆流防
止ダイオードを流れていた電流は、レベルシフト電圧部
を通ってゲート駆動回路のターンオフ制御部に急激に流
れ、電力素子を高速でターンオン制御する。この際、検
出ダイオードが電力素子と熱的に結合されているので、
電力素子の温度が上昇していると、検出ダイオードの降
伏電圧は小さくなる。したがって、過電流保護を行うべ
き電流値を温度変化にかかわらず一定電流値に設定でき
る。
【0017】また、電力素子の特性によっては、トンネ
ル現象になるツェナーダイオードと、雪崩降伏現象を示
すアバランシェダイオードを適宜組み合わせて、過電流
保護動作点を自由に設定できる。
【0018】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は本発明の第1の実施例を示す回路構成図で
ある。図1において、第1の実施例の過電流保護機能を
有するゲート駆動回路20は、電源27及び負荷29と
直列に接続されて一電気回路をなす電力素子28と、オ
ン・オフ信号に基づいて電力素子28を駆動制御するゲ
ート駆動回路22と、電力素子28のアノード側に逆方
向に接続された検出ダイオード24と、この検出ダイオ
ード24と電力素子28のカソード側との間に接続され
た逆流阻止ダイオード25及びレベルシフト電圧部26
と、ゲート駆動回路の電源端子から逆流阻止ダイオード
25のアノード側に接続された電流制限素子23とを備
えており、逆流阻止ダイオード25のアノード側電位が
レベルシフト電圧部の電位より高くなると、検出ダイオ
ード24の降伏電流が停止し、検出ダイオード及び逆流
阻止ダイオードを流れていた電流がターンオフ信号とし
てゲート駆動回路22に入力するように構成されてい
る。
【0019】さらに、図1において点線で囲んだ箇所2
1は検出ダイオード24,レベルシフト電圧部26及び
電力素子28とが熱的に結合して配置されていることを
示している。なお、第1の実施例では電力素子28とし
てSITを使用した。レベルシフト電圧部26は可変で
あり、この電圧が、電力素子28に過電流が流れたとき
の順方向降下電圧と、検出ダイオード24の逆方向降伏
電圧と、逆流阻止ダイオード25の順方向降下電圧とを
加算した値となるようにしている。
【0020】図2はSITの順方向降下電圧−順方向電
流の温度特性図である。図3はツェナーダイオードの電
圧−電流の温度特性図である。図2において、直流定格
電流以上の領域、つまり15アンペア以上においては、
素子温度が高いほどドレイン・ソース間の順方向電圧降
下が大きい。この温度変化に対する電圧降下の変動を補
正するために、図3に示されるような素子温度の上昇と
ともに逆降伏電圧が小さくなるツェナーダイオードを用
いる。これによりダイオードの降伏現象を利用して過電
流保護が働く電圧設定値を温度変化によらず一定に保つ
ように設定する。
【0021】この第1の実施例では電力素子としてSI
Tを使用しているが、SIThyのような高速スイッチ
ング素子に対しても、本発明では高速の過電流保護を行
うことができる。図4はSIThyの順方向降下電圧−
順方向電流の温度特性図である。図4に示すようにSI
Thyも約12アンペア以上の順方向電流に対して温度
係数が逆転するので、過電流保護を行う動作点電流を温
度変化によらず一定になるように上記のアバランシェダ
イオードやツェナーダイオードの適宜のダイオードを組
み合わせて設定する。
【0022】次に、第1の実施例の動作を説明する。図
1を参照して、オン状態の電力素子28に過電流が流れ
ると、電力素子28のドレイン・ソース間の電圧が上昇
し、逆流阻止ダイオード25のアノードの電位が上昇す
る。この電圧、すなわち、逆流阻止ダイオード25の順
方向降下電圧、検出ダイオード24の降伏電圧及びドレ
イン・ソース間の順方向降下電圧の加算値が、レベルシ
フト電圧部26より大きくなると、検出ダイオード24
を流れる電流が停止し、代わってレベルシフト電圧部2
6に流れ込む。これをターンオフ信号としてゲート駆動
回路22に入力される。電流制限素子23は検出ダイオ
ード24及びレベルシフト電圧部26に流れる電流を制
限している。
【0023】また、検出ダイオード24、レベルシフト
電圧部26及び電力素子28が熱的に結合されているの
で、電力素子28の温度が上昇し順方向電圧降下が大き
くなるのに対応して、検出ダイオード24の降伏電圧は
小さくなる。したがって、温度変化しても検出ダイオー
ド24の動作点を不変にできる。
【0024】次に、本発明の第2の実施例について説明
する。図5は第2の実施例の回路構成図である。図5に
おいて過電流保護機能を有するゲート駆動回路の第2の
実施例では、信号監視回路42、基準電圧回路44、遮
断回路46、ゲート駆動回路48及びドレイン電圧監視
回路50を備えており、R1〜R5は抵抗器を示し、特
に抵抗器R3はドレイン電圧監視回路50の電流制限素
子である。またT1〜T5はトランジスタを示す。な
お、入力端には電源により(図示せず)所定電圧が印加
されている。
【0025】オンオフ信号発振器40の出力側は、抵抗
器R1を介してトランジスタT1のベースに接続され、
電源(図示せず)の所定電圧が抵抗器R2を介してトラ
ンジタT1に印加されている。このトランジスタT1の
コレクタ側(A点)がゲート駆動回路のトランジスタT
4及びT5の共通ベース側(E点)と遮断回路46を構
成するトランジスタT3のコレクタ側(D点)に接続さ
れている。さらに、トランジスタT1のベースがトラン
ジスタT2のベースに接続され、抵抗器R3がコレクタ
側(B点)に接続され、所定電圧が印加されている。こ
のトランジスタT2のコレクタ側には、遮断回路のトラ
ンジスタT3のベースに逆方向に接続されて基準電圧回
路44を構成する定電圧ダイオードが接続され、順方向
の逆流阻止ダイオード35と逆方向の検出ダイオード3
4が、直列にSIT52のドレイン側(F点)との間に
接続されている。
【0026】ゲート駆動回路48は、抵抗器R4と、ト
ランジスタT4及びT5と、抵抗器R5とが直列に接続
され、共通の電源(図示せず)により所定電圧が印加さ
れており、トランジスタT4のエミッタ出力がSIT5
2のゲートに接続され、SIT52のドレイン側に負荷
39と負荷の保護回路であるダイオード32が逆方向に
接続されている。基準電圧回路44は定電圧ダイオード
であり、過電流検出値を決定している。なお、この第2
の実施例においても、基準電圧回路44、検出ダイオー
ド34及びSIT52は熱的に結合され配置されてい
る。
【0027】次に、第2の実施例の動作を説明する。発
振器40のオンオフ信号により所定電位がゲート駆動回
路のトランジスタT4及びT5のベースに入力され、電
力素子のSIT52が駆動制御される。また、信号監視
回路42は発振器40のオンオフ信号に基づいてトラン
ジスタT2がオンオフすることによりB点の電位でSI
T52のオンオフを監視している。遮断回路46のトラ
ンジスタT3は基準電圧回路44に逆電流が流れない限
りオフ状態である。
【0028】電力素子のSIT52に過電流が流れる
と、順方向降下電流が増大してSIT52のアノード・
カソード間の電圧、つまりF点の電位が上昇する。この
上昇した電圧と、検出ダイオード34の逆方向電流が停
止したときの逆流防止ダイオード35の順方向降下電圧
と、検出ダイオード34の逆方向降伏電圧との加算値
(C点の電圧)が基準電圧回路44の定電圧ダイオード
の設定値より大きくなると逆電流がトランジスタT3の
ベースに流れてトランジスタT3がオンし、D点の電位
が急激にマイナス電位に落ちる。このため、ゲート駆動
回路48のベース電位が低下してトランジスタT4がオ
フ、T5がオンになり、SIT52が遮断する。
【0029】図6はドレイン電圧監視回路50の逆流阻
止ダイオード35と、検出ダイオード34を直列接続し
たときの電圧−電流特性を測定した結果である。図6に
おいて、60は本発明による第2の実施例のドレイン電
圧監視回路50の特性を示し、62はこのドレイン電圧
監視回路50のかわりに従来技術で用いられている検出
ダイオードが順方向に一つだけ接続されているドレイン
電圧監視回路の特性を示す。なお、この特性は図5にお
けるC−F間の電流−電圧値である。
【0030】従来から用いられているダイオードの順方
向接続を用いる構成では、ダイオードに印加される電圧
0.5V〜0.7Vの変化でほぼ0〜0.5mAの変化
が生じる。一方、本発明の逆流阻止ダイオードと、検出
ダイオードを直列接続の組み合わされた静特性からは、
5.0Vからの微小な電圧変化に対してほぼ0A〜1m
A以上の変化が生じる。このことから、本発明の過電流
の検出で急峻な電流の増加の特性が得られることが分か
る。
【0031】なお、この検出ダイオード34は、基準電
圧回路44の基準ダイオードとともにSIT52と熱的
に結合されており、SIT52との温度係数の差を補う
ために、検出ダイオードと基準ダイオードの取付位置
は、SIT52の実装される放熱器の温度勾配を考慮し
た適切な位置としている。
【0032】次に本発明の第3の実施例について説明す
る。図7は本発明による過電流保護回路を使用したPW
M(pulse width modulation:
パルス幅変調)インバータ装置の回路図である。図7に
おいて、ローパスフィルタ73はフルブリッジ回路から
出力される交流方形波電圧に含まれた基本波成分と高調
波成分のうち、高調波成分を低減する回路である。微分
回路79は、交流出力電圧VOUT に含まれているごくわ
ずかな高調波成分を強調してエラーアンプ74に入力
し、それを受けたエラーアンプ74は基本波発生回路7
5から入力される基本波VS との差を増幅し、比較信号
Cを電圧比較回路77,78に出力する。
【0033】次に、電圧比較回路77は、比較信号VC
と搬送三角波発生回路76の出力電圧Vt とを比較し、
比較信号VC の電圧値に比例するパルス幅に変調された
制御信号PWM1を出力する。一方、電圧比較回路78
は、制御信号PWM1と逆論理の制御信号PWM2を出
力する。制御信号PWM1は、SITドライブ回路8
2,84に入力され、SIT70,71はそれぞれSI
Tドライブ回路82,84により制御される。これによ
り、フルブリッジ回路から交流方形波電圧が出力され
る。
【0034】図7を参照して、各SITドライブ回路8
0,82,84,86には、ゲートを直接駆動するオン
・オフ回路1e〜4eと、SIT69〜72のドレイン
・ソース間の電圧を監視するドレイン電圧監視回路1d
〜4dと、ドライブ回路に入力される信号を読み取り、
SIT69〜72がオン・オフどちらの状態にあるかを
判断するドライブ信号監視回路1a〜4aと、ドライブ
信号オン指令時において、SIT69〜72のドレイン
電流が過電流か否かを判断するために基準となる基準電
圧回路1c〜4cと、同じくドライブ信号オン指令時に
おいて、SIT69〜72のドレイン電圧が基準電圧値
以上になった時に過電流と判断し、SIT69〜72を
オフに至らせる遮断回路1b〜4bと、からなってい
る。なお、第3の実施例のドライブ信号監視回路1a〜
4a、遮断回路1b〜4b、基準電圧回路1c〜4c及
びドレイン電圧監視回路1d〜4dの具体的回路構成
は、例えば第2の実施例の信号監視回路42、遮断回路
46、基準電圧回路44及びドレイン電圧監視回路50
が各々対応する。
【0035】以上のような構成の第3の実施例に過電流
が生じた例として、SIT69,72がオンし、インバ
ータ出力が短絡した場合を説明する。フルブリッジ回路
の電源VE より短絡電流IA が図7の点線で示す経路で
流れ、SIT69,72のドレイン・ソース間の電圧が
急激に上昇する。SIT69,72のドレイン・ソース
間の電圧が基準電圧回路の基準電圧値以上になった時点
で過電流と判断され、SITをすばやく安全にオフにす
る。
【0036】図8は第3の実施例のPWMインバータ装
置に、コンデンサインプット型の負荷を接続したときの
波形を表している。点線がインバータの出力電圧波形、
実線が電流波形である。コンデンサインプット型の負荷
の特徴として、電源投入時に過大な突入電流が流れる。
図8の場合、時間40msの時点で負荷の電源が投入さ
れ、電流120A付近で過電流保護が働いてSITをオ
フに導き、それ以上の電流が流れないように制御してい
ることがわかる。
【0037】また、時間70ms以降においてはコンデ
ンサへの突入電流もなくなり、通常の動作に戻っている
ことも確認できた。実験に使用したコンデンサインプッ
ト型の負荷は過電流保護の作動により電流120Aに抑
えられているが、過電流保護機能を取り付けなかった場
合、250A以上もの電流が流れSITの定格電流を上
回るものになっていた。したがって、本発明の過電流保
護機能を有するゲート駆動回路により、SITの過電流
による破損を防ぐことができている。この実施例によれ
ば、電力素子の温度変化による順方向電圧降下の変動に
無関係に、過電流保護の設定値を一定にすることができ
るが、検出ダイオードの選定と、電力素子の使用領域に
よっては様々な組み合わせが可能となる。
【0038】次に図9に過電流の発生からその検出、イ
ンバータ入力電流の遮断に至までの波形を示す。図9に
おいてSITゲート電圧波形Vgk、インバータ入力電流
波形Idc、ドレイン・ソース間の電圧波形Vdsをそれぞ
れ示す。インバータ入力電流Idcが時間軸0msより徐
々に増していき、140Aに達した時点で過電流を検出
している。ゲート電圧Vgkは即座にオフされ、ドレイン
・ソース間電圧Vdsもオフになることでインバータ入力
電流Idcが遮断されていることが確認できた。また、ゲ
ート電圧Vgkオフ指令からインバータ入力電流Idcが遮
断されるまでの時間が極めて短いことも同時に確認でき
る。ここで用いられる電力素子はSITの代わりにSI
Thy,MOSトランジスタ,IGBT,GTO及びバ
イポーラトランジスタであってもよい。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の過電流保
護機能を有するゲート駆動回路は、過電流による順方向
降下電圧が極めて小さい電力素子であっても、検出ダイ
オード降伏現象による電流によりターンオフのための保
護動作が高速にできるという効果を有する。
【0040】さらに、電力素子の温度が上昇しほぼ連続
的に通流される直流定格電流値以上で電流の温度係数が
負であるので、素子温度が高いほど過電流保護を行うべ
き電流領域では順方向降下電圧が大きくなり、したがっ
て、逆降伏特性にトンネル現象を有するツェナーダイオ
ードの温度係数が負であることを利用して、過電流保護
を行うべき電流値を一定電流値に定めることができると
いう効果を有する。
【0041】また、ツェナーダイオードの代わりにアバ
ランシェダイオードを用いると逆方向降伏電圧の温度係
数を正にできるので、検出ダイオードの特性をトンネル
効果とアバランシェ効果とを適宜組み合わせて所望の温
度特性を得て、過電流保護を行う動作点電流を設定でき
るという効果を有する。
【0042】さらに、ダイオードの降伏現象を用いるこ
とになるので、順方向電圧降下の微小電位差から大きな
電流差を発生できる。すなわち、増幅器を含めた過電流
時にターンオフさせる保護回路の利得を大きくする必要
がないので、高速なターンオフ保護動作を行うことがで
きるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す回路構成図であ
る。
【図2】第1の実施例のSITの順方向降下電圧−順方
向電流の温度特性図である。
【図3】ツェナーダイオードの電圧−電流の温度特性図
である。
【図4】SIThyの順方向降下電圧−順方向電流の温
度特性図である。
【図5】本発明の第2の実施例の回路構成図である。
【図6】第2の実施例におけるドレイン電圧監視回路の
電流−電圧特性図である。
【図7】本発明による過電流保護機能を有するゲート駆
動回路を使用したPWMインバータ装置の回路図であ
る。
【図8】第3の実施例のPWMインバータ装置に、コン
デンサインプット型の負荷を接続したときの波形を示
す。
【図9】過電流の発生からその検出、インバータ入力電
流の遮断に至までの、SITゲート電圧波形Vgk、イン
バータ入力電流波形Idc、ドレイン・ソース間の電圧波
形Vdsを示す。
【図10】従来の過電流保護回路を一部に含む電力素子
応用装置の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
23 電流制限素子 24 検出ダイオード 25 逆流阻止ダイオード 26 レベルシフト電圧部 28 電力素子 42 信号監視回路 44 基準電圧回路 46 遮断回路 48 ゲート駆動回路 50 ドレイン電圧監視回路 52 SIT
フロントページの続き (72)発明者 土岐 泰義 青森県青森市橋本3丁目17−7 橋本3 番館203号 (56)参考文献 特開 平6−326579(JP,A) 特開 平2−86210(JP,A) 特開 昭57−210727(JP,A) 特開 平2−308621(JP,A) 特開 平3−141719(JP,A) 実開 昭49−72155(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03K 17/08 H02M 1/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電力素子の導通状態における順方向降下
    電圧を検出するダイオードを電力素子のアノード側に接
    続し、過電流時の順方向降下電圧の上昇による上記検出
    ダイオードの電流の阻止を検出することで電力素子の過
    電流防止を行うゲート駆動回路において、 上記電力素子のアノード側に逆方向に接続した検出ダイ
    オードと、 上記電力素子遮断状態のときに逆流電流を防止する逆流
    防止ダイオードと、 この逆流防止ダイオードの順方向降下電圧,上記検出ダ
    イオードの逆降伏電圧及び過電流時の上記電力素子の順
    方向降下電圧の加算値から過電流の検出値を決定するレ
    ベルシフト電圧部と、 過電流検出のときに上記レベルシフト電圧部及び上記検
    出ダイオードに流れる電流を抑制するための電流制限素
    子とを備えており、 上記検出ダイオードの降伏現象における電流の停止信号
    を、上記ゲート駆動回路のターンオフ信号としたことを
    特徴とする、過電流保護機能を有するゲート駆動回路。
  2. 【請求項2】 前記検出ダイオードがツェナーダイオー
    ドであって、電力素子と熱的に結合していることを特徴
    とする請求項1に記載の過電流保護機能を有するゲート
    駆動回路。
  3. 【請求項3】 前記検出ダイオード、前記レベルシフト
    電圧部或いはレベルシフト電圧部の基準電圧発生源の少
    なくとも一つが、電力素子と熱的に結合され、かつ、ツ
    ェナーダイオードであることを特徴とする請求項1に記
    載の過電流保護機能を有するゲート駆動回路。
  4. 【請求項4】 前記検出ダイオード、前記レベルシフト
    電圧部或いはレベルシフト電圧部の基準電圧発生源の少
    なくとも一つが、電力素子と熱的に結合され、かつ、ア
    バランシェダイオードであることを特徴とする請求項1
    または3に記載の過電流保護機能を有するゲート駆動回
    路。
  5. 【請求項5】 前記電力素子の温度特性に対応して、前
    記検出ダイオードの温度特性をトンネル効果とアバラン
    シェ効果とを適宜組み合わせて過電流保護を行う動作点
    電流としたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに
    記載の過電流保護機能を有するゲート駆動回路。
JP08943896A 1996-04-11 1996-04-11 過電流保護機能を有するゲート駆動回路 Expired - Fee Related JP3477566B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08943896A JP3477566B2 (ja) 1996-04-11 1996-04-11 過電流保護機能を有するゲート駆動回路

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08943896A JP3477566B2 (ja) 1996-04-11 1996-04-11 過電流保護機能を有するゲート駆動回路

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09284109A JPH09284109A (ja) 1997-10-31
JP3477566B2 true JP3477566B2 (ja) 2003-12-10

Family

ID=13970692

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08943896A Expired - Fee Related JP3477566B2 (ja) 1996-04-11 1996-04-11 過電流保護機能を有するゲート駆動回路

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3477566B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020079092A (ko) * 2001-04-13 2002-10-19 주식회사한영전자 역전압 차단 다이오드를 이용한 근접 스위치
JP5171979B2 (ja) * 2011-04-08 2013-03-27 三菱電機株式会社 電子制御装置
JP5983274B2 (ja) * 2012-10-09 2016-08-31 富士電機株式会社 半導体スイッチ素子の故障検知回路を有したゲート駆動回路

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09284109A (ja) 1997-10-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0190925B1 (en) A protection circuit for an insulated gate bipolar transistor
US5432471A (en) Insulated gate semiconductor device
US5986484A (en) Semiconductor device drive circuit with voltage surge suppression
JPH0642179B2 (ja) 短絡保護機能を改良した電力トランジスタ駆動回路
EP0810731B1 (en) Voltage-controlled transistor drive circuit
US4651252A (en) Transistor fault tolerance method and apparatus
JPH05218836A (ja) 絶縁ゲート素子の駆動回路
JP3477566B2 (ja) 過電流保護機能を有するゲート駆動回路
JPH051652B2 (ja)
US5859770A (en) Output circuit for PWM inverter with no floating state
JP3661813B2 (ja) 電圧駆動形半導体素子の駆動回路
JP3596415B2 (ja) 誘導性負荷駆動回路
JP2973997B2 (ja) 電圧駆動形半導体素子の駆動回路
JP2002153043A (ja) 電圧駆動型半導体素子のゲート駆動装置
JPH06105448A (ja) 保護機能を備えたスイッチ装置
JP3039092B2 (ja) 短絡保護回路
JP3032745B2 (ja) 絶縁ゲート型半導体装置
JPH0720365B2 (ja) 静電誘導形自己消弧素子の駆動回路
JPH0685496B2 (ja) 静電誘導形自己消弧素子のゲート駆動回路
US11658652B2 (en) Semiconductor device
JPH0918310A (ja) 絶縁ゲート半導体素子の過電流保護回路
JPH0223062A (ja) スイッチング電源制御回路
JP3119034B2 (ja) Pwmインバータ用出力回路
JP3671796B2 (ja) 電流制御型素子用駆動装置
JPH05146143A (ja) 突入電流防止回路

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081003

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees