JP3477265B2 - 導電性酸化物粒子 - Google Patents

導電性酸化物粒子

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JP3477265B2 JP32212194A JP32212194A JP3477265B2 JP 3477265 B2 JP3477265 B2 JP 3477265B2 JP 32212194 A JP32212194 A JP 32212194A JP 32212194 A JP32212194 A JP 32212194A JP 3477265 B2 JP3477265 B2 JP 3477265B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、屈折率の調節可能な導
電性酸化物粒子に関する。更に詳しくは、電子機器及び
その部品を保存するための容器や包装材、クリーンルー
ムで使用される機器や器具類等に使用するための透明導
電性樹脂組成物に好適に配合される導電性酸化物粒子に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ICやLSI等の電子部品の高集
積化が進むにつれて、それらを製造するクリーンルーム
内における防塵対策の重要性が高まってきている。その
ため、クリーンルームで使用される機器や器具類等に、
帯電防止能を有する導電性の樹脂やフィルムあるいは塗
料が使用されている。
【0003】このような導電性樹脂は、ポリエチレンや
ポリプロピレン等の汎用樹脂に導電性粒子をフィラーと
して添加することによって得られる。
【0004】導電性粒子としては、カーボンブラックや
金属粉末が汎用的なものであるが、これらを用いて作製
した導電性樹脂は、黒色あるいは有彩色であるので自由
な着色ができなという欠点があった。酸化スズや酸化イ
ンジウム等を主成分とする白色導電性酸化物粒子を用い
て作製した樹脂は、着色可能であるものの、不透明であ
るため、包装材として使用する場合、包装の中身が見え
ないという欠点があった。そこで、包装材として使用し
ても包装の中身が見える透明な導電性樹脂を作製するた
めの導電性粒子が求められていた。
【0005】このような導電性粒子に関する従来技術と
して、アンチモンを0.1〜20重量%含有し残りが酸
化スズからなる組成を有し、且つ0.2μm以下の平均
粒子径を有することを特徴とする導電性粒子(特開昭5
6−156603号公報)、平均粒子径が0.05〜
0.1μmの二酸化チタン粒子表面に酸化スズ及び酸化
アンチモンからなる導電性酸化物を被覆した導電性粒子
(特開昭61−141616号公報)が開示されてい
る。これらの技術は、可視光の波長より小さな導電性粒
子をフィラーとして使用することにより透明な導電性樹
脂を得ようとするものである。
【0006】また別に、特開昭56−130006号公
報には、汎用樹脂の屈折率にほぼ近い硫酸バリウム粒子
を原料として、その表面に酸化スズ及び酸化アンチモン
からなる導電性酸化物を被覆した導電性粒子が開示され
ている。この技術は、フィラーとして添加する粒子の屈
折率と樹脂の屈折率を近づけることによって透明化を図
ろうとするものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】導電性樹脂を得るため
には、樹脂に添加する導電性粒子の配合率を一般に50
〜80重量%と非常に高いものにしなければならない。
ところが、特開昭56−156603号公報や特開昭6
1−141616号公報の粒子をフィラーとして透明導
電性樹脂を製造すると、微粒子であるために、樹脂の種
類によっては樹脂中で該粒子が凝集しやすくなり流動性
が低下するため、製造が非常に困難となる場合があっ
た。このような問題を解決するためには、該粒子より粒
子径の大きな導電性粒子を樹脂中に配合することによっ
て、流動性の改善を図ることが考えられる。しかしなが
ら、該粒子は、樹脂と粒子の屈折率が一致していないた
めに、粒子径の大きな導電性粒子を配合すると透明性が
損なわれるという問題があった。
【0008】一方、特開昭56−130006号公報の
硫酸バリウムを基本とする粒子の場合、該粒子の屈折率
が汎用樹脂の屈折率に近いため、該粒子を配合した樹脂
の透明性に及ぼす該粒子の粒子径や形状による影響は少
ないものの、硫酸バリウムの屈折率は可変ではないため
に、樹脂と該粒子の屈折率が厳密に一致せず透明性に限
度があったり、透明な導電性樹脂が得られる樹脂の種類
が限定されるという問題があった。
【0009】これらの問題とは別に、導電性樹脂の物性
を改善するために、フィラーとして従来の不定形の粒子
以外に、球状粒子、鱗片状粒子や針状粒子といった特殊
な形状の粒子を使用することが近年検討されているが、
粒子の屈折率の調節ができるものがないため、透明な導
電性樹脂を得ることが難しかった。
【0010】そこで、粒子の屈折率の調節が任意に可能
で、且つ粒子の大きさや形状が任意に調整可能な導電性
粒子が求められていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決すべく鋭意検討した結果、シリカと結合可能な
期律表第IV族金属の酸化物とシリカとを80モル%以
上含む複合無機酸化物粒子が、該構成成分中の金属酸化
とシリカの組成比を変えることにより該粒子の屈折率
を任意に調節でき、更に製造方法や製造条件を変えるこ
とによりその形状や大きさを様々に制御でき、更に又得
られた複合無機酸化物粒子表面を導電性無機酸化物で被
覆することにより導電性酸化物粒子が得られることを見
いだした。さらに、本発明者らは、上記導電性酸化物粒
子の製造条件を種々検討する過程で、複合無機酸化物粒
子の製造条件と導電性無機酸化物の製造条件を厳密に制
御することにより、粒子径の変動係数が10%以下で且
つ球形状の単分散性に優れた導電性酸化物粒子が得られ
ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち本発明は、シリカと結合可能な
期律表第IV族金属の酸化物とシリカとを80モル%以
上含む複合無機酸化物粒子よりなる核部および導電性無
機酸化物よりなる被覆部の2層構造を有することを特徴
とする導電性酸化物粒子である。
【0013】他の発明は、粒子径の変動係数が10%以
下で且つ球形状である上記導電性酸化物粒子である。
【0014】以下、発明を詳細に説明する。
【0015】本発明のシリカと結合可能な周期律表第I
V族金属の酸化物(以下単に金属酸化物ともいう)を具
体的に例示すれば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸
化ハフニウム、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化鉛
の金属酸化物が挙げられる。そして本発明の複合無機酸
化物粒子は、上記金属酸化物とシリカとを80モル%以
上含む。
【0016】シリカを必須成分とする理由は、合成条件
を種々変えることによって、球状粒子、針状粒子、鱗片
状粒子、板状粒子、不定形粒子などの様々な形状の粒子
が得られ、且つその大きさの制御が容易にできること、
及びシリカを主成分とすることによって、該粒子がアモ
ルファス状態に近くなりやすく、光学的に透明性が高い
ことによる。
【0017】また、シリカと結合可能な前記金属酸化物
が選ばれる理由は、シリカと金属酸化物の組成比を変え
ることにより複合無機酸化物粒子の屈折率を自由に調節
できることによる。また、該金属酸化物がシリカと化学
的に結合しやすいため、分子オーダーで均一組成の複合
無機酸化物粒子を得易いことも理由の一つである。前記
金属酸化物の内、特に酸化チタン、酸化ジルコニウム、
酸化鉛等は高屈折率であるため、複合無機酸化物粒子の
屈折率の調節範囲が広く、しかも、均一な組成の複合無
機酸化物粒子を得易いため好ましい。
【0018】構成成分中のシリカの含有率は、特に制限
はないが、50〜99モル%、好ましくは65〜98モ
ル%、さらに好ましくは70〜95モル%である。シリ
カの含有率が上記範囲内であれば、汎用の樹脂の屈折率
1.4〜1.7の範囲をほぼ網羅できる。
【0019】本発明の複合無機酸化物粒子は、金属酸化
物とシリカが化学的に結合しており、物理的に分離不可
能なものである。金属酸化物がシリカと化学的に結合し
ており、物理的に分離不可能な状態とは、複合無機酸化
物粒子の内部でシリカがマトリックスを形成し、該シリ
カマトリックス中に金属酸化物が分子レベルあるいは微
粒子として均質に分散した状態をいう。このような複合
無機酸化物粒子をX線回折試験で分析すると、アモルフ
ァスまたは上記金属酸化物がわずかに結晶相として検出
される程度である。該結晶の大きさは50nm以下、さ
らに好ましくは20nm以下である。複合無機酸化物粒
子中のシリカと金属酸化物の混合状態がこのように均質
な状態であると、該粒子の光学的な透明性がいっそう高
くなるため好ましい。
【0020】本発明の複合無機酸化物粒子は、金属酸化
物及びシリカの合計が該複合無機酸化物粒子に対して少
なくとも80モル%以上、さらに好ましくは90モル%
以上含んでいれば、他の成分、例えば、アルカリ金属酸
化物やアルカリ土類金属酸化物等を含んでいても構わな
い。複合無機酸化物粒子へのこれらアルカリ金属酸化物
やアルカリ土類金属酸化物等の添加は、例えば、樹脂組
成物とした際に樹脂の変色を防ぐことができるので、必
要に応じて含有させることができる。
【0021】複合無機酸化物粒子の製造方法について
は、公知の方法が制限なく採用でき、その形状により、
例えば、次のような製造方法が挙げられる。
【0022】球状の複合無機酸化物粒子の製造方法とし
ては、周期律表第IV族金属の加水分解可能な有機金属
化合物(以下単に有機金属化合物ともいう)と加水分解
可能な有機珪素化合物(以下単に有機珪素化合物ともい
う)の混合物原料をアルカリ性含水アルコール溶媒中に
滴下して、上記混合物原料を加水分解することによっ
て、複合無機酸化物粒子を製造する方法がある。ここ
で、加水分解可能な有機金属化合物とは、Ti(OCH
3 4 、Ti(OC254、Ti(OC374、Ti
(Oi−C374、Ti(OC484等の有機チタン
化合物及び該有機チタン化合物のTiをZr、Hf、P
b、Geなどに代替した周期律表第IV族の有機金属化
合物等を挙げることができる。加水分解可能な有機珪素
化合物としては、テトラメチルシリケート、テトラエチ
ルシリケート、またはそれらの低級縮合物等が挙げられ
る。アルカリ性含水アルコールとは、アンモニア水やN
aOHまたはKOHの水溶液とメタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等のアルコールの混合溶媒であ
る。
【0023】なお、上記の製造方法において、有機珪素
化合物と有機金属化合物の混合物原料を調製する際に、
両者を混合する前に、該有機珪素化合物を酸性下で該有
機金属化合物の1〜5倍モルの水を加えて予め予備加水
分解した後、該有機金属化合物を加えて前駆体溶液を調
製して、混合物原料にしてもよい。そうすることによっ
て、複合無機酸化物粒子を製造する際に、単分散性の高
い球状粒子が得られやすくなるので好ましい。
【0024】鱗片状の複合無機酸化物の製造方法として
は、前記の有機珪素化合物を酸性下で、有機珪素化合物
の0.05〜2倍モルの水を加えて、該有機珪素化合物
の一部を加水分解した後、前記の有機金属化合物を添加
して得た前駆体溶液を、平底のバット等の平板上に薄く
広げて、該前駆体溶液中の溶媒を室温下で、ゆっくりと
乾燥除去した後に、該乾燥物を粉砕することで鱗片状の
複合無機酸化物が得られる。
【0025】針状の複合無機酸化物の製造方法として
は、前記の有機珪素化合物を酸性下で、有機珪素化合物
の1〜2倍モルの水を加えて、該有機珪素化合物を加水
分解した後、前記の有機金属化合物を添加して得た前駆
体溶液を、水飴状の粘度になるまでロータリーエバポレ
ーターで溶媒除去し、得られた水飴状の前駆体溶液をノ
ズルから押し出すことによって繊維状の複合無機酸化物
が得られ、これを粉砕することによって針状の複合無機
酸化物が得られる。
【0026】不定形の複合無機酸化物の製造方法として
は、前記の有機珪素化合物を酸性下で、有機珪素化合物
の2〜4倍モルの水を加えて、該有機珪素化合物を加水
分解した後、前記の有機金属化合物を添加して得た前駆
体溶液を調製する。該前駆体溶液は、放置しておくと自
然にゲル化する。該ゲルを乾燥、粉砕、焼成することに
よって不定形の複合無機酸化物を得ることができる。
【0027】これらの方法で得られた複合無機酸化物粒
子は、特に加熱の必要はなく、そのまま導電性酸化物粒
子の製造に供することができるが、600〜1150
℃、さらに好ましくは800〜1100℃で予め焼成し
てから導電性酸化物粒子の製造に供することが好まし
い。上記温度範囲内で複合無機酸化物を予め焼成するこ
とにより、複合無機酸化物粒子は、その分散性を維持し
たまま、屈折率をいっそう安定化することができる。
【0028】本発明の導電性酸化物粒子は、上述の複合
無機酸化物粒子を核部としその表面に導電性無機酸化物
が被覆されてなるものである。
【0029】導電性無機酸化物としては、公知のものが
制限なく使用できるが、一般には、ドープ剤として酸化
アンチモンを固溶した酸化スズ(以下、ATOともい
う)、ドープ剤として酸化スズを固溶した酸化インジウ
ム(以下、ITOともいう)、ドープ剤として酸化アル
ミニウムを固溶した酸化亜鉛(以下、AZOともいう)
等の半導体酸化物が好ましく使用される。
【0030】導電性無機酸化物中に固溶される上記ドー
プ剤の含有率は、ATOの場合、酸化アンチモン含有率
が0.1〜20モル%、好ましくは1〜18モル%、さ
らに好ましくは5〜10モル%であること、ITOの場
合、酸化スズ含有率が0.1〜20モル%、好ましく
は、1〜15モル%、さらに好ましくは、5〜10モル
%であること、AZOの場合、酸化アルミニウム含有率
が0.1〜10モル%、好ましくは、1〜10モル%、
さらに好ましくは、2〜5モル%であることが好まし
く、該ドープ剤の含有率が特に上記の範囲内であると、
着色が少なく且つ導電性に優れた導電性酸化物粒子を得
ることができる。
【0031】導電性無機酸化物がATOである場合、必
要であれば、該導電性無機酸化物中にアルミニウム、リ
ン、モリブデン、タングステンを0.1〜7重量%含有
することにより、いっそう良好な導電性を有する導電性
酸化物粒子を得ることができる。
【0032】導電性無機酸化物の導電性酸化物粒子全体
に占める割合は、1〜40重量%、好ましくは5〜25
重量%、更に好ましくは10〜20重量%である。割合
が1〜40重量%の範囲内であれば、着色が少なく且つ
導電性に優れた導電性酸化物粒子を得ることができる。
【0033】導電性無機酸化物は、複合無機酸化物粒子
表面に化学的に結合しており、超音波照射や混練等によ
る物理的な力によって分離することはできない。また、
導電性無機酸化物は、複合無機酸化物粒子表面を隙間な
く覆っていることが好ましい。導電性無機酸化物の複合
無機酸化物粒子表面への被覆状態が上記の通りであれ
ば、特に導電性に優れた導電性酸化物粒子を得ることが
できる。
【0034】導電性酸化物粒子の形状については特に限
定されず、例えば、球状粒子、針状粒子、鱗片状粒子、
板状粒子、不定形粒子などいかなる形状であっても良
く、用途により適宜選択される。また、2種類以上の形
状の粒子が混合したものであっても構わない。また、導
電性酸化物粒子の大きさは特に限定されるものではな
い。導電性酸化物粒子の形状や大きさは、複合無機酸化
物粒子の製造方法や製造条件を種々変えることにより制
御することができる。
【0035】導電性酸化物粒子は、前述の製造方法によ
って得られた複合無機酸化物粒子の表面に導電性無機酸
化物を被覆することにより製造できる。複合無機酸化物
粒子への導電性無機酸化物の被覆方法については、公知
の方法が制限なく採用でき、次に例示するような方法が
挙げられる。
【0036】複合無機酸化物粒子を水に分散させた粒子
分散液を調製し、加熱、撹拌する。一方、導電性無機酸
化物の成分である金属を含む加水分解可能な化合物、例
えば、塩化スズ、塩化インジウム、塩化亜鉛、塩化アン
チモン、塩化アルミニウム等の金属塩化物;蓚酸スズ、
蓚酸インジウム、蓚酸亜鉛等の金属蓚酸塩;硝酸アルミ
ニウム等の金属硝酸塩;スズメトキシド、インジウムエ
トキシド、亜鉛イソプロポキシド等の金属アルコキシド
等をアルコール等の水に可溶な有機溶媒あるいは水に溶
解した溶液を調製する。この溶液を前記粒子分散液中に
滴下することにより、複合無機酸化物粒子に導電性無機
酸化物が被覆され、導電性酸化物粒子を製造することが
できる。ここで、加熱だけでは加水分解反応が充分に進
行しない場合、アルカリや酸などを該粒子分散液に加え
ても構わない。
【0037】得られた導電性酸化物粒子は、一般に焼成
温度300〜800℃、さらに好ましくは、500〜7
00℃で焼成することが好ましい。焼成温度が特に上記
範囲であれば、導電性に優れた導電性酸化物粒子を得る
ことができる。
【0038】本発明の導電性酸化物粒子は、以下に挙げ
る方法によりその構造や組成を分析することができる。
【0039】導電性酸化物粒子中の元素組成について
は、蛍光X線分析や誘導発光プラズマ分析により分析す
ることができる。
【0040】導電性酸化物粒子の形状や粒子径について
は、走査型電子顕微鏡等による撮影像から知ることがで
きる。
【0041】導電性酸化物粒子中の導電性無機酸化物の
被覆厚さ等については、X線光電子分光法により粒子の
深さ方向の元素分析をすることにより測定できる。
【0042】複合無機酸化物粒子及び導電性酸化物粒子
の屈折率は、液浸法により測定できる。
【0043】導電性酸化物粒子の導電率あるいは比抵抗
は、粒子を円盤状に成形し、その成形体の寸法及び抵抗
値を測定することで知ることができる。抵抗値は、直流
二端子法などの公知の方法で測定できる。
【0044】本発明の導電性酸化物粒子の形状は、前記
の通り特に制限されるものではないが、その中でも、次
【0045】
【数1】
【0046】(ただし、xiは粒子径の測定値で、n=
100とする。)により定義される粒子径の変動係数が
10%以下で且つ球形状である導電性酸化物粒子は、該
粒子を樹脂にフィラーとして充填したときや、粒子圧粉
体としたときに、規則的な充填構造をとることができる
ため、特に有用な特性の発揮が期待される。
【0047】粒子径の変動係数が10%以下で且つ球形
状である導電性酸化物粒子の製造方法としては、粒子径
の変動係数が10%未満で且つ球形状の複合無機酸化物
粒子を製造した後、導電性酸化物粒子の粒子径の変動係
数が10%を超えないような条件で導電性無機酸化物を
被覆することにより得られる。このような複合無機酸化
物粒子の製造方法や導電性無機酸化物の被覆方法につい
ては、公知の方法の中からその製造条件および被覆条件
を吟味する必要がある。このような製造方法を以下に例
示する。
【0048】粒子径の変動係数が10%未満で且つ球形
状の複合無機酸化物粒子の製造方法としては、テトラメ
チルシリケート、テトラエチルシリケート等の加水分解
可能な有機珪素化合物を酸性下でテトライソプロポキシ
チタネート、テトラn−ブチルジルコネート等の加水分
解可能な有機金属化合物の2〜4倍モルの水とメタノー
ル、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール
を加えて予め予備加水分解してから、該有機金属化合物
を混合し、前駆体溶液を調製する。一方、メタノール、
エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のア
ルコールにアンモニア水、NaOHまたはKOH水溶液
等を溶解したアルカリ性含水アルコール溶液を調製し、
10〜50℃で攪拌しながら、先に調製した有機珪素化
合物と有機金属化合物の前駆体溶液の全量の1/10〜
1/50を1〜2時間かけてゆっくりと滴下して、粒子
径の揃った核粒子を生成させる。次いで、該前駆体溶液
の滴下速度を徐々に上げながら、該前駆体溶液の残りを
3時間以上かけて滴下して、核粒子をゆっくりと成長さ
せることにより、粒子径の変動係数が10%未満で且つ
球形状の複合無機酸化物粒子を製造することができる。
【0049】該複合無機酸化物粒子への導電性無機酸化
物の被覆方法については、次に例示するような方法が挙
げられる。
【0050】変動係数10%未満で球形状の複合無機酸
化物粒子を水に分散させた粒子分散液を調製し、70〜
90℃で加熱、撹拌する。ここで、該複合無機酸化物粒
子が焼成されている場合、粉砕または分級を充分に行っ
てから水に分散させると、より変動係数の小さい導電性
酸化物粒子を得られるため好ましい。一方、導電性無機
酸化物の成分である金属を含む加水分解可能な化合物、
例えば、塩化スズ、塩化インジウム、塩化亜鉛、塩化ア
ンチモン、塩化アルミニウム等の金属塩化物;蓚酸ス
ズ、蓚酸インジウム、蓚酸亜鉛等の金属蓚酸塩;硝酸ア
ルミニウム等の金属硝酸塩;スズメトキシド、インジウ
ムエトキシド、亜鉛イソプロポキシド等の金属アルコキ
シド等をアルコール等の水に可溶な有機化合物あるいは
水に溶解した溶液を調製する。この溶液の全量の1/1
0〜1/20を、該粒子分散液中に1〜2時間かけてゆ
っくりと滴下する。次いで、該混合溶液の滴下速度を徐
々に上げながら、該混合溶液の残りを3時間以上かけて
ゆっくりと滴下することにより、導電性酸化物粒子のス
ラリーを得られる。該スラリーを固液分離した後、固形
分を水、アルコールでそれぞれ少なくとも1回以上洗浄
し、乾燥する。該固形分を500〜700℃で焼成する
ことで、粒子径の変動係数が10%以下で且つ球形状の
導電性酸化物粒子を製造できる。
【0051】最終的に得られる導電性酸化物粒子の変動
係数は、任意の100個の粒子の粒子径(xi)を電子
顕微鏡写真から測定し、前出の式〔1〕、〔2〕から求
めることができる。
【0052】
【発明の効果】本発明の導電性酸化物粒子は、屈折率を
任意に調節できるという特徴を有する。そのため、樹脂
に添加することによって透明で導電性のある樹脂を得る
ことができる。また、屈折率が任意に調節できるため
に、粒子の形状や大きさを自由に選べることも特徴であ
る。特に、粒子径の大きな粒子を用いても透明な樹脂が
得られるため、樹脂組成物の作製時におけるフィラーの
凝集に起因する操作性の低下を防ぐことができる他、透
明な塗料に添加することで、透明導電性塗料への応用も
可能である。
【0053】特に、粒子径の変動係数が10%以下で且
つ球形状である複合無機酸化物粒子を用いて得られた導
電性酸化物粒子は、その粒子形状の特異性により特に有
用である。例えば、導電性無機酸化物層として、ATO
やAZOを用いた粒子は、公知のガスセンサーなどに応
用可能である。
【0054】以下に実施例および比較例を挙げて、本発
明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。
【0055】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例により制限されるもの
ではない。
【0056】以下の実施例における導電性酸化物粒子の
構造や組成は、以下の方法により測定した。
【0057】(1)粒子の形状、平均粒子径、粒子径の変
動係数 粒子の形状は走査型電子顕微鏡(以下、SEMという)
の撮影像より求めた。平均粒子径と粒子径の変動係数
は、SEM写真中の任意の100個の粒子の粒子径を測
定することで求めた。
【0058】(2)粒子の元素分析 粒子約2gを直径30mmの円盤状に成型した試料を蛍
光X線分析法により分析した。
【0059】(3)粒子の屈折率 液浸法により測定した。すなわち、粒子を屈折率が異な
る種々の液にそれぞれ分散させ、25℃において、波長
589nmの光に対して最も透過率が高くなった分散液
について、その液のナトリウムD線に対する屈折率をア
ッペ屈折率計で測定した。
【0060】(4)粒子の比抵抗 ベークライト製の直径15mmの絶縁性ダイスに、粒子
2gを入れて、銅製の直径15mmのパンチで粒子を上
下から圧力100kg/cm2でプレスした。圧力をか
けたまま、銅製上下パンチに電極をつないで直流二端子
法により粒子成型体の抵抗(R、単位;Ω)を測定し
た。粒子成型体の厚さ(L、単位;cm)とパンチの断
面積(S、単位;cm2)から下式より粒子の比抵抗
(Rv、単位;Ω・cm)を測定した。
【0061】Rv=R・S/L なお、パンチとプレス機の間には、絶縁板を敷いてプレ
ス機の抵抗を検出しないようにした。
【0062】また、以下の要領にて導電性酸化物粒子と
エポキシ樹脂から成る複合樹脂組成物を作製し、導電性
酸化物粒子のフィラーとしての特性を評価した。
【0063】(5)複合樹脂の作製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ
社製、エピコート827)100重量部、4−メチルヘ
キサヒドロ無水フタル酸(東京化成製)82重量部、2
−エチル−4−メチルイミダゾール(油化シェルエポキ
シ社製、EMI−24)1重量部からなる樹脂成分3.
5gに対して、導電性酸化物粒子6.5gを添加し、乳
鉢で約30分混合した。なお、該粒子は予め200℃で
1時間以上乾燥させたものを用いた。次に、上記混合物
を減圧下、80℃で脱泡し、液状のフィラー含有エポキ
シ樹脂組成物を得た。該組成物を所定の型に入れて10
0℃で2時間、155℃で3時間加熱し、複合樹脂を作
製した。
【0064】(6)複合樹脂の透過率と透明性の評価 厚さ1mmのスライドグラス2枚の間に、厚さ10μm
のOHPシートをスペーサーとして、その間に液状のフ
ィラー含有エポキシ樹脂組成物をサンドしたものを10
0℃で2時間、155℃で3時間加熱し、厚さ10μm
の複合樹脂を作製した。分光光度計で、作製した複合樹
脂の波長589nmにおける透過率を測定した。また、
幅0.5mmの黒色の線が書かれた白紙の上に複合樹脂
をおいて、蛍光灯下において該複合樹脂を通して白紙に
書かれた該黒線が肉眼で見えるかどうかを判断して、透
明性を評価した。判断基準は、以下の通りである。
【0065】 透明 ;鮮明にはっきりと見える 半透明;不鮮明だがかろうじて見える 不透明;全く見えない (7)複合樹脂の表面抵抗 100×100mmのテフロンシート2枚の間に、厚さ
1mmのシリコーンゴムをスペーサーとして、その間に
液状のフィラー含有エポキシ樹脂組成物をサンドしたも
のを100℃で2時間、155℃で3時間加熱し、厚さ
1mmの複合樹脂を作製した。JIS−K6911の方
法に従って表面抵抗を測定した。
【0066】実施例1 (1)複合無機酸化物粒子の合成 テトラメチルシリケート(コルコート(株)製、商品
名;メチルシリケート39、以下、TMSともいう)7
97gにメタノール294gと0.035重量%塩酸4
1.3gとを加えて15分間混合した。これにテトライ
ソプロピルチタネート(日本曹達(株)製、商品名;A
−1、以下、TPTともいう)217gをイソプロパノ
ール(以下、IPAともいう)460gに溶かした溶液
を加え、更に15分間混合した。以上の操作により、S
i/(Si+Ti)=87.25モル%なる組成の滴下
液Aを調製した。
【0067】攪拌羽根を取り付けたジャケット付き反応
槽(4リットル)にIPA400gとアンモニア水(ア
ンモニア濃度;25重量%)100gを仕込み、40
℃、100rpmで攪拌した。これに滴下液Aの1/2
0量を約2時間かけて滴下し、次いで、滴下液Aの残り
とアンモニア水(アンモニア濃度;25重量%)500
gをそれぞれ独立に約5時間かけて滴下し、さらに1時
間攪拌してシリカとチタニアから成る複合無機酸化物粒
子のスラリーを得た。
【0068】該スラリーを濾過し、固形分を150℃で
1晩乾燥させた後、大気中で1050℃、10時間焼成
し、焼成物をボールミルで解砕した。解砕した複合無機
酸化物粒子は、屈折率1.544でエポキシ樹脂の屈折
率1.545とほぼ同じであり、また、該複合無機酸化
物粒子は、平均粒子径0.54μmで、粒子径の変動係
数7.5%の単分散の球状粒子であった。
【0069】(2)導電性酸化物粒子の合成 分級した複合無機酸化物粒子10gを500mlセパラ
ブルフラスコ中でイオン交換水100gに分散させ、8
0℃、100rpmで攪拌した。
【0070】一方、塩化スズ(IV)無水物4.25g
と塩化アンチモン(III)0.3gをメタノール50
gとIPA50gの混合アルコールに溶解した液(仕込
比;Sb/(Sn+Sb)=7.5モル%。これを滴下
液Bとする)を約6時間かけてセパラブルフラスコ中に
滴下し、さらに1時間攪拌して酸化スズと酸化アンチモ
ンから成る導電性無機酸化物を被覆した導電性酸化物粒
子のスラリーを得た。
【0071】スラリーを遠心分離後、沈澱物をイオン交
換水とメタノールで洗浄した。洗浄した沈澱物は、12
0℃で1晩乾燥させた後、大気中で600℃、1時間焼
成し、焼成物をアルミナ乳鉢で解砕して導電性酸化物粒
子を得た。
【0072】得られた導電性酸化物粒子は、平均粒子径
0.56μmで、粒子径の変動係数8.2%の単分散性
の高い球状の粒子であった。
【0073】元素分析した結果、該導電性酸化物粒子の
組成は、SiO2/(SiO2+TiO2)=87.3モ
ル%、Sb/(Sn+Sb)=8.1モル%、SnO2
含有率16.3重量%であった。また、比抵抗は4.0
Ω・cmであった。
【0074】得られた導電性酸化物粒子より作製した複
合樹脂の透過率は、32%で透明なものであり、該複合
樹脂の表面抵抗は、5×109Ω/□であった。導電性
酸化物粒子を添加しなかったエポキシ樹脂の表面抵抗
は、1×1012Ω/□であることから、導電性酸化物粒
子の添加により樹脂の導電性が改善された。
【0075】また、複合樹脂作製時の操作性は、作製途
中のフィラー含有エポキシ樹脂組成物の粘度が低いた
め、優れたものであった。
【0076】比較例1−1 平均粒子径0.1μm以下の導電性酸化スズ粒子(三菱
マテリアル、T−1)を用いて、実施例1と同様に複合
樹脂を作製したところ、フィラー含有エポキシ樹脂組成
物の粘度が著しく高くなり、実施例1に比べて操作性に
劣るものであった。
【0077】実施例2 実施例1において、TMSの仕込量を778g、TPT
の仕込量を234gとしてSi/(Si+Ti)=8
6.25モル%なる組成の滴下液Aを調製した以外は、
実施例1と同様にして、複合無機酸化物粒子と導電性酸
化物粒子を得た。得られた複合無機酸化物粒子の屈折率
は1.554であった。また、得られた導電性酸化物粒
子の比抵抗は、3.2Ω・cmであった。
【0078】該複合無機酸化物粒子の屈折率の屈折率が
エポキシ樹脂に比べてやや大きいために、該導電性酸化
物粒子より作製した複合樹脂の透過率は15%と半透明
なものであった。また、該複合樹脂の表面抵抗は、7×
109Ω/□であった。
【0079】実施例3 実施例1において、TMSの仕込量を806g、TPT
の仕込量を200gとしてSi/(Si+Ti)=8
8.25モル%なる組成の滴下液Aを調製した以外は、
実施例1と同様にして、複合無機酸化物粒子と導電性酸
化物粒子を得た。得られた複合無機酸化物粒子の屈折率
は1.537であった。また、得られた導電性酸化物粒
子の比抵抗は、6.5Ω・cmであった。
【0080】該複合無機酸化物粒子の屈折率の屈折率が
エポキシ樹脂に比べてやや小さいために、該導電性酸化
物粒子より作製した複合樹脂の透過率は17%と半透明
なものであった。また、該複合樹脂の表面抵抗は、5×
109Ω/□であった。
【0081】実施例4 実施例1において、TMSの仕込量を779g、TPT
の代わりにテトラn−ブチルジルコネート(日本曹達
(株)製、商品名;TBZr、テトラn−ブチルジルコ
ネート含有率;87重量%、以下、TBZrともいう)
の仕込量を394gとしてSi/(Si+Zr)=8
5.25モル%なる組成の滴下液Aを調製した以外は、
実施例1と同様にして複合無機酸化物粒子と導電性酸化
物粒子を得た。該複合無機酸化物粒子の屈折率は1.5
43であり、エポキシ樹脂の屈折率1.545とほぼ同
じであった。また、該導電性酸化物粒子の比抵抗は3.
3Ω・cmであった。
【0082】該導電性酸化物粒子より作製した複合樹脂
の透過率は、30%で透明なものであった。また該複合
樹脂の表面抵抗は、7×109Ω/□であった。
【0083】比較例1−2 実施例1において、TMSの仕込量を700g、TPT
の代わりにトリsec−ブチルアルミネート(東京化成
(株)製、以下、TBAともいう)の仕込量を399g
としてSi/(Si+Al)=73.0モル%なる組成
の滴下液Aを調製した以外は、実施例1と同様にして複
合無機酸化物粒子と導電性酸化物粒子を得た。該複合無
機酸化物粒子の屈折率は1.548であり、エポキシ樹
脂の屈折率1.545とほぼ同じであった。該導電性酸
化物粒子の比抵抗は12.4Ω・cmであった。
【0084】該導電性酸化物粒子より作製した複合樹脂
の透過率は、28%で透明なものであった。また該複合
樹脂の表面抵抗は、6×109Ω/□であった。
【0085】比較例2 テトラエチルシリケート(コルコート(株)製、商品
名;エチルシリケート28、以下、TESともいう)1
600gにIPA200gを溶解した溶液を調製した。
【0086】攪拌羽根を取り付けたジャケット付き反応
槽(4リットル)にメタノール410gとアンモニア水
(アンモニア濃度;25重量%)90gを仕込み、40
℃、100rpmで攪拌した。これに先ほど調製したT
ESとIPAの溶液の全量の1/20量を約2時間かけ
て滴下し、次いで、TESとIPAの溶液の残りとアン
モニア水(アンモニア濃度;25重量%)500gをそ
れぞれ独立に約5時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌
してシリカ粒子のスラリーを得た。
【0087】該スラリーを濾過し、固形分を150℃で
1晩乾燥させた後、大気中で950℃、10時間焼成
し、焼成物をボールミルで解砕した。解砕したシリカ粒
子は、平均粒子径0.54μmの単分散の球状粒子であ
った。また、その屈折率は、1.457であった。
【0088】以下、実施例1において、複合無機酸化物
粒子の代わりに、このシリカ粒子を使用した以外は、実
施例1と同様にして、導電性シリカ粒子を得ようと試み
た。しかしながら、導電性無機酸化物は、シリカ表面に
ほとんど被覆しなかった。そのため、粒子の比抵抗は、
抵抗測定機の測定上限(約109Ω・cm)を超える高
い値であった。
【0089】この粒子より作製した複合樹脂の透過率
は、樹脂とシリカ粒子の屈折率が大幅に異なるため、0
%と不透明であった。また、該複合樹脂の表面抵抗は、
4×1012Ω/□であった。
【0090】比較例3 10リットルのポリビーカー中に、テトラエチルチタネ
ート(高純度化学研究所製、以下、TETともいう)1
15gをエタノール1972gに溶解した溶液を調製
し、攪拌した。一方、イオン交換水27gをエタノール
1972gに溶解した溶液を調製し、約30秒かけて、
ポリビーカー中に加え、30分間攪拌することで、チタ
ニア粒子のスラリーを得た。該スラリーを濾過後、濾過
ケーキを120℃で乾燥した。該乾燥物を700℃で1
時間焼成した後、該焼成物をボールミルで粉砕し、単分
散で球状のチタニア粒子を得た。得られたチタニア粒子
の平均粒子径は0.63μmで、屈折率はアッペ屈折率
計の測定上限(約1.7)以上であった。
【0091】以下、実施例1において、複合無機酸化物
粒子の代わりに、このチタニア粒子を使用した以外は、
実施例1と同様にして、導電性チタニア粒子を得た。該
粒子の比抵抗は、2.7Ω・cmであった。
【0092】該粒子より作製した複合樹脂の透過率は、
樹脂とチタニア粒子の屈折率が大幅に異なるため、0%
と不透明であった。また該複合樹脂の表面抵抗は、4×
109Ω/□であった。
【0093】
【表1】
【0094】実施例6〜8 実施例1において、滴下液Bの塩化スズ(IV)無水物
と塩化アンチモン(III)の仕込比をSb/(Sb+
Sn)=7.5モル%と一定のまま、塩化スズ(IV)
無水物と塩化アンチモン(III)の仕込量を種々変え
た以外は、実施例1と同様にして複合無機酸化物粒子と
導電性酸化物粒子を得た。該導電性酸化物粒子より複合
樹脂を作製してフィラーとしての特性を調べた。結果を
表2に示す。
【0095】
【表2】
【0096】実施例9〜11 実施例1において、滴下液Bの塩化スズ(IV)無水物
の仕込量を4.25gと一定のまま、塩化アンチモン
(III)の仕込量を種々変えた以外は、実施例1と同
様にして複合無機酸化物粒子とSb/(Sb+Sn)の
比が異なる導電性酸化物粒子を得て、該導電性酸化物粒
子より複合樹脂を作製してフィラーとしての特性を調べ
た。結果を表3に示す。
【0097】
【表3】
【0098】実施例12 実施例1と同様にして複合無機酸化物粒子を得た。該複
合無機酸化物粒子10gを1000mlセパラブルフラ
スコ中でイオン交換水200gに分散させ、80℃、1
00rpmで攪拌した。一方、塩化インジウム(II
I)8.0gをイオン交換水500gに溶解した溶液
と、塩化スズ(II)0.4gをエタノール10gに溶
解させた溶液を調製し、両液をそれぞれ独立に約6時間
かけてセパラブルフラスコ中に滴下し、さらに1時間攪
拌して、酸化インジウムと酸化スズから成る導電性無機
酸化物を被覆した導電性酸化物粒子のスラリーを得た。
【0099】スラリーを遠心分離後、沈澱物をイオン交
換水とメタノールで洗浄した。洗浄した沈澱物は、12
0℃で1晩乾燥させた後、大気中で600℃、1時間焼
成し、焼成物をアルミナ乳鉢で解砕して導電性酸化物粒
子を得た。得られた導電性酸化物粒子の比抵抗は46.
3Ω・cmであった。
【0100】該導電性酸化物粒子より作製した複合樹脂
の透過率は、29%で透明なものであった。また該複合
樹脂の表面抵抗は、8×109Ω/□であった。
【0101】
【表4】
【0102】実施例13 TES20.8gをメタノール500gに溶解し、0℃
の氷浴中で1時間保持した。この溶液に、塩酸(試薬特
級、公称HCl=37重量%)1.0gとイオン交換水
3.6gをメタノール500gに溶解した溶液を加え
て、0℃で10分間攪拌した。この溶液に、TPT3.
7gとアセチルアセトン2.9gをIPA15gに溶解
した溶液を加えて0℃で10分間攪拌した。該溶液を1
00℃のオイルバスで窒素流通下1時間加熱還流した
後、ロータリーエバポレータで、水飴状の粘度になるま
で溶媒を除去し、繊維作製用の前駆体を調製した。
【0103】窒素雰囲気中で、該前駆体を直径25μm
のノズルから押しだし、それを30m/分で巻取ること
で、繊維状の前駆体を得た。この繊維状の前駆体を沸騰
水蒸気中で3時間水蒸気処理した後、1050℃で2時
間焼成して、シリカとチタニアから成る酸化物繊維を得
た。該酸化物繊維を解砕することで、屈折率1.54
6、長さ5〜20μm、直径約1〜3μmの針状の複合
無機酸化物粒子を得た。
【0104】該針状粒子を10gを500mlセパラブ
ルフラスコ中でイオン交換水100gに分散させ、80
℃、120rpmで攪拌した。
【0105】一方、塩化スズ(IV)無水物4.25g
と塩化アンチモン(III)0.3gをメタノール50
gとIPA50gの混合アルコールに溶解した液を約6
時間かけてセパラブルフラスコ中に滴下し、さらに1時
間攪拌して酸化スズと酸化アンチモンから成る導電性無
機酸化物を被覆した導電性酸化物粒子のスラリーを得
た。
【0106】スラリーを遠心分離後、沈澱物をイオン交
換水とメタノールで洗浄した。洗浄した沈澱物は、10
0℃で1晩乾燥させた後、大気中で600℃、1時間焼
成し、焼成物をアルミナ乳鉢で粉砕して導電性酸化物粒
子を得た。得られた導電性酸化物粒子の比抵抗は15.
6Ω・cmであった。
【0107】該導電性酸化物粒子より作製した複合樹脂
の透過率は、30%で透明なものであった。また該複合
樹脂の表面抵抗は、7×108Ω/□であった。
【0108】実施例14 TMS79.7gにメタノール29.4gと0.035
重量%塩酸4.1gとを加えて15分間混合した。これ
にTPT21.7gをIPA46gに溶かした溶液を加
え、更に15分間混合した。該混合物の一部をプラスチ
ック製バット上へ液カサ1mm以下になるように薄く広
げて、1晩乾燥させて、薄膜状の複合無機酸化物を得
た。該複合無機酸化物を軽く粉砕後、大気中で、昇温速
度1℃/分で、1050℃で2時間焼成し、該焼成物を
アルミナ乳鉢で粉砕することで、屈折率1.546、平
均粒子径2〜5μmの鱗片状の複合無機酸化物粒子を得
た。
【0109】該鱗片状粒子を10gを500mlセパラ
ブルフラスコ中でイオン交換水100gに分散させ、8
0℃、120rpmで攪拌した。
【0110】一方、塩化スズ(IV)無水物4.25g
と塩化アンチモン(III)0.3gをメタノール50
gとIPA50gの混合アルコールに溶解した液を約6
時間かけてセパラブルフラスコ中に滴下し、さらに1時
間攪拌して酸化スズと酸化アンチモンから成る導電性無
機酸化物を被覆した導電性酸化物粒子のスラリーを得
た。
【0111】スラリーを遠心分離後、沈澱物をイオン交
換水とメタノールで洗浄した。洗浄した沈澱物は、10
0℃で1晩乾燥させた後、大気中で600℃、1時間焼
成し、焼成物をアルミナ乳鉢で解砕して導電性酸化物粒
子を得た。得られた導電性酸化物粒子の比抵抗は20.
8Ω・cmであった。
【0112】該導電性酸化物粒子より作製した複合樹脂
の透過率は、32%で透明なものであった。また該複合
樹脂の表面抵抗は、9×108Ω/□であった。
【0113】実施例15 TMS79.7gにメタノール29.4gと0.035
重量%塩酸18.8gとを加えて15分間混合した後、
氷浴中で0℃に冷却した。該溶液を攪拌しながら、これ
にTPT21.7gをIPA46gに溶かした溶液を加
え、更に3分間攪拌した。攪拌を止めて1晩放置するこ
とにより、シリカとチタニアから成る寒天状の酸化物前
駆体を得た。該前駆体を120℃で1昼夜乾燥した後、
充分に粉砕した。該粉砕物を1050℃で10時間焼成
し、さらに粉砕することで、屈折率1.543、平均粒
子径3μmの不定形の複合無機酸化物粒子を得た。
【0114】該不定形粒子10gを500mlセパラブ
ルフラスコ中でイオン交換水100gに分散させ、80
℃、120rpmで攪拌した。
【0115】一方、塩化スズ(IV)無水物4.25g
と塩化アンチモン(III)0.3gをメタノール50
gとIPA50gの混合アルコールに溶解した液を約6
時間かけてセパラブルフラスコ中に滴下し、さらに1時
間攪拌して酸化スズと酸化アンチモンから成る導電性無
機酸化物を被覆した導電性酸化物粒子のスラリーを得
た。
【0116】スラリーを遠心分離後、沈澱物をイオン交
換水とメタノールで洗浄した。洗浄した沈澱物は、10
0℃で1晩乾燥させた後、大気中で600℃、1時間焼
成し、焼成物をアルミナ乳鉢で解砕して導電性酸化物粒
子を得た。得られた導電性酸化物粒子の比抵抗は46.
8Ω・cmであった。
【0117】該導電性酸化物粒子より作製した複合樹脂
の透過率は、28%で透明なものであった。また該複合
樹脂の表面抵抗は、7×109Ω/□であった。
【0118】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 1/08 C01B 33/12 C01B 33/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリカと結合可能な周期律表第IV族金属
    の酸化物とシリカとを80モル%以上含む複合無機酸化
    物粒子よりなる核部および導電性無機酸化物よりなる被
    覆部の2層構造を有することを特徴とする導電性酸化物
    粒子。
  2. 【請求項2】粒子径の変動係数が10%以下で且つ球形
    状である請求項1記載の導電性酸化物粒子。
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