JP3476850B2 - 含フッ素ビスフェノール系誘導体 - Google Patents

含フッ素ビスフェノール系誘導体

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興二 矢野
信二 久保
正史 竹下
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、各種の樹脂類の添加
剤、並びに各種のプラスチック製の成形体やフィルムお
よび繊維等の表面改質剤等として有用な新規な含フッ素
ビスフェノール系誘導体に関する。 【0002】 【従来の技術と問題点】含フッ素化合物は一般に、撥水
性、撥油性、耐熱性および摺動性等が優れているため、
各種樹脂類の添加剤並びに各種プラスチック製の成形体
やフィルムおよび繊維等の表面改質剤として種々の分野
において汎用されている。例えばパーフルオロアルケニ
ル基等の含フッ素基を導入したビスフェノール類もこの
種の添加剤や表面改質剤等として知られている(例えば
特開昭59−46236号公報参照)。しかしながら、
従来から知られている含フッ素ビスフェノール誘導体
は、比較的蒸気圧が高く、約150〜200℃で昇華又
は蒸発するという難点があり、その利用範囲が制限され
ている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決し、耐昇華性又は耐蒸発性にも優れた新規な含フッ
素ビスフェノール系誘導体を提供することを目的とす
る。 【0004】 【課題を解決するための手段】即ち本発明は、一般式
(I): 【化3】 [式中、Xは次式: 【化4】 (式中、RおよびRは相互に独立して水素原子また
は炭素原子数1〜3のアルキル基を示す)で表わされる
基、−CH(CF)−、C(CF)−、−O−または
−SO−を示し、nは6〜10の整数を示す]で表さ
れる含フッ素ビスフェノール系誘導体(但し、C
2n−1 はペルフルオロビニル基を含まない)に関す
る。 【0005】一般式(I)において、ペルフルオロアル
ケニルオキシ基−OCn2n-1は分岐鎖を有していても
良く、nは6〜10の整数を示す。特に好ましいペルフ
ルオロアルケニルオキシ基は、ペルフルオロヘキセニル
オキシ基(−OC611)およびペルフルオロノネニル
オキシ基−OC917である。ペルフルオロアルケニル
オキシ基の結合位置は特に限定的ではないが、好ましく
は、カルボニル基に対してパラ位である。また、一般式
(I)においてXは次式: 【0006】 【化5】 【0007】(式中、R1およびR2は相互に独立して水
素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基を示す)で
表わされる基、−CH(CF3)−、C(CF3)2−、−O
−または−SO2−で示されるが、特に好ましくは−C
(CH3)2−、−(CH3)C(C25)−、−C(CF3)2
を示す。 【0008】本発明による一般式(I)で表される含フ
ッ素ビスフェノール系誘導体の製造方法は特に限定的で
はないが、簡便な製法は、一般式(II): 【0009】 【化6】 【0010】(式中、Zはハロゲン原子を示し、nは前
記と同意義である)で表わされるペルフルオロアルケニ
ルオキシ安息香酸ハライド、例えば4−ペルフルオロノ
ネニルオキシ安息香酸クロリド等と一般式(III): 【化7】 (式中、Xは前記と同意義である)で表わされるビスフ
ェノール類、例えばビスフェノールA、BまたはAF等
とを塩基の存在下で反応させる方法である 【0011】上記方法は通常溶液反応で行う。塩基は脱
塩剤として用いるものであり、好適な塩基としてはトリ
エチルアミン、ピリジンおよびN,N−ジメチルアニリ
ン等の3級アミンが例示される。反応溶媒としては、非
プロトン性で上記原料を溶解することのできるものを用
いればよく、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、
四塩化炭素およびジクロロエタン等の塩素系溶媒、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよび
ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチ
ルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケト
ン系溶媒、ベンゼントルエンおよびキシレン等の芳香族
炭化水素系溶媒並びにアセトニトリル、DMF、DMA
およびDMSO等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられ
る。 【0012】上記反応は、通常、ペルフルオロアルケニ
ルオキシ安息香酸ハライド、ビスフェノール類および塩
基のモル比が2:1:2となる条件下で行う。反応温度
は、反応原料の種類によっても異なるが、通常は0〜5
0℃である。 【0013】前述の含フッ素ビスフェノール系誘導体の
合成反応は界面反応で行うこともできる。この場合は、
脱塩剤として、上記の3級アミンの他に、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウム等の無機系
アルカリを用いてもよい。好適な溶媒は上記の塩素系溶
媒および芳香族炭化水素系溶媒である。 【0014】 【実施例】本発明を実施例によってさらに詳細に説明す
る。実施例1 温度計、撹拌装置および冷却管を備えた500ミリリッ
トルの4つ口フラスコ内に、ビスフェノールA11.4
g(0.05モル)およびトリエチルアミン10.1g
(0.10モル)をクロロホルム200ミリリットルに
溶解した溶液を入れ、該溶液に、クロロホルム50ミリ
リットルに4−パーフルオロノネニルオキシ−安息香酸
クロリド58.7g(0.10モル)を溶解した溶液を、
室温下で撹拌しながら約30分間かけて徐々に滴下し
た。滴下終了後、室温で撹拌しながら、約2時間反応を
おこなった。反応混合物を500ミリリットルの水中へ
投入し、3回水洗を繰り返した後、クロロホルム層分取
し、MgSO4を用いて脱水した。最後に、クロロホル
ムを留去して、次式(Ia)で表される化合物を得た
(収率92%)。 【0015】 【化8】 化合物(Ia)の物性を以下の表1に示す。 【0016】実施例2 ビスフェノールA11.4g(0.05モル)の代わり
に、ビスフェノールAF16.8g(0.05モル)を用
いる以外は、実施例1と同様にして、次式(Ib)で表
される化合物を得た(収率90%)。 【0017】 【化9】 化合物(Ib)の物性を以下の表1に示す。 【0018】 【表1】【0019】 【発明の効果】本発明による含フッ素ビスフェノール系
誘導体は、撥水性、撥油性、耐熱性および摺動性だけで
なく、耐昇華性又は耐蒸発性にも優れているので、広範
な用途を有しており、特に各種の樹脂類、例えばナイロ
ン、ポリエステル等の添加剤、並びに各種のプラスチッ
ク製の成形体やフィルムおよび繊維等の表面改質剤等と
して有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹下 正史 兵庫県神戸市中央区加納町6丁目2番1 号 株式会社ネオス内 (56)参考文献 特開 昭60−243135(JP,A) 特開 昭59−46236(JP,A) 特表 平4−500388(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 69/92 C07C 317/22 C08K 5/00 - 5/107 C08K 5/41 REGISTRY STN CA STN CAOLD(STN)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 一般式(I): 【化1】 [式中、Xは次式: 【化2】 (式中、RおよびRは相互に独立して水素原子また
    は炭素原子数1〜3のアルキル基を示す)で表わされる
    基、−CH(CF)−、C(CF)−、−O−または
    −SO−を示し、nは6〜10の整数を示す]で表さ
    れる含フッ素ビスフェノール系誘導体(但し、C
    2n−1 はペルフルオロビニル基を含まない)
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