JP3476325B2 - 耐水性生分解性成形物およびその製造方法 - Google Patents
耐水性生分解性成形物およびその製造方法Info
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Description
表面を疎水性物質で被覆した、耐水性生分解性成形物お
よびその製造方法に関するものである。
する廃棄物処理問題を解決する方策として、澱粉や蛋白
等を有する原料からなる生分解性成形物をこれら包装容
器として用いる技術が実用化されている。これらは、そ
の主原料の特性ゆえに、成形物自体には耐水性が乏しい
ため、その表面に疎水性の物質による被膜を形成して耐
水性を付与している。かかる被膜を形成するための疎水
性物質には、天然樹脂やワックス、疎水性蛋白等があ
る。
脂で被覆するには、天然樹脂を予め有機溶剤で希釈して
おく必要がある。そのため、有機溶剤の使用に伴うコス
ト高、回収の必要性、火災の危険性、毒性、環境汚染等
の諸問題があり、使用にあたっては十分の注意と設備上
の対策が必要になる。
剤を用いずに、水を媒体としたエマルジョンとして用い
る方法もある。しかしながら、成形物自体が耐水性に乏
しいものでは、被覆時に変形等の劣化が起こり、良好な
耐水性の成形物を得ることが困難である。また、乾燥に
多くのエネルギーが必要となるため、経済的にも不利で
ある。
処理できるが、一般に比較的融点が低い。このため、被
覆後の成形物に熱湯等を注いだ場合、ワックスが融けて
被膜が破壊され、耐水性が消滅してしまうので、使用す
る温度に制限が生じる。また、被覆した成形物を重ねた
状態で流通させる際に、周囲の温度が上昇するとワック
スが軟化し、重なり合ったもの同士が結着してしまうこ
とがある。
脂やワックスに比べて被膜の疎水性が劣る。また、予め
膜形成してからラミネートする等の被覆方法を採ること
になるが、この場合は、複雑な形状の成形物に被覆する
のが困難である。
であり、その目的は、安価な生分解性の疎水性原料を用
い、有機溶剤を使用することなく優れた耐水性被膜を形
成した生分解性成形物およびその製造方法を提供するこ
とにある。
め、請求項1記載の耐水性生分解性成形物の製造方法
は、成形物の表面に油脂の重合高分子膜を形成させるこ
とにより成形物に耐水性を付与することを特徴としてい
る。
物は、優れた耐水性を持ち、熱湯のような高温に対して
も耐性がある。また、原料となる油脂は、安価で入手が
容易であり、有機溶剤を用いることなく被覆処理でき
る。しかも、この膜は完全な生分解性を持ち、使用後は
埋め立てや堆肥化等の処理が可能で、廃棄物処理問題を
解決することも可能である。
成するには、生分解性成形物表面に油脂を塗布した後、
これに紫外線を照射する等の硬化処理を施す。
に制限はないが、植物澱粉を主原料として、水と混合後
加熱加圧成形することによって得られる発泡成形物は、
その親水性の高さから特に耐水処理を施す必要があり、
上記の被膜形成が特に有効である。
油、遊離脂肪酸除去ヒマシ油、綿実油、ケシ油、カポッ
ク油、魚油、ゴマ油、サフラワー油、コーン油、大豆
油、菜種油、ひまわり油、パーム油、パーム核油、米ぬ
か油、トール油等の動・植物性油脂が挙げられる。
面に薄く均一に塗布する。塗布する方法として、スプレ
ーコート、ローラーコート、カーテンコート、浸漬等が
挙げられるが、均一な被覆ができればよく、その方法は
制限されるものではない。
化重合反応により硬化させて重合高分子膜を形成させ
る。この硬化方法には、触媒を添加しての加熱や、天日
に晒す等の方法もあるが、紫外線を照射するのが、その
他の方法に比べ、反応時間を短縮することが可能であ
り、また、色や臭いの変化も少なく、良品の収率も高い
ため、最も効率が良いことが分かった。使用可能な紫外
線の波長としては、短時間化のため、100〜400n
mが好ましく、特に140〜260nmが最も効率が良
いことが分かった。紫外線照射の際の条件は、用いる油
脂の種類、塗布した油脂の厚みや、紫外線光源の種類、
すなわちその出力、主波長、出力波長範囲等により、ま
た、光源から成形物表面までの距離や光線の当たり方等
によっても、大幅に変化する。
には、反応を促進するための様々な重合促進剤を油脂に
添加することが有効である。重合促進剤としては、過酸
化ベンゾイル、コレカルシフェロール、ビタミンD3 、
酸化チタン、アルミナ、塩化コバルト、過マンガン酸カ
リウム、またナフテン酸のコバルト、マンガン、鉛、ア
ルミニウム等の金属塩類、過酸化水素等を例示できる。
塗布後に行う必要はなく、被覆工程を効率よく行うに
は、成形物に塗布する前に、予め油脂の予備重合反応を
済ませておくことも有効である。つまり、この酸化重合
反応は多段階で進む反応であり、予備重合反応とはこの
多段階の途中までを行うものである。この予備重合反応
のみを行った初期の段階では、重合がある程度進んでは
いるものの、完全な固化には至らないため、油脂の流動
性が失われることはない。したがって、予備重合反応後
の油脂を成形物表面に塗布することは容易である。そう
して、塗布後、最終的な固化反応のみを成形物表面上で
行えばよい。なお、予備重合反応としては、少しでも行
えば、その分成形物への油脂の塗布後の処理時間が短縮
できるため効率が良いが、なかでも酸化重合反応の最終
段階である固化反応の直前まで重合を進めるのが、成形
物への油脂の塗布後の処理時間が最も短縮できるので好
ましい。
とになる。このため、成形物表面に薄く塗られた油脂を
重合させるのに比べて、その分処理時間が長くなるが、
タンク等の容器内で反応を進めることができるので、工
程管理を簡便化できる。また、予備重合反応を経てから
塗布することにより、全ての重合反応を塗布後に行う場
合に比べて、工程管理の複雑な成形物塗布後の重合反応
時間を非常に短縮することができる。したがって、全体
としての生産効率の向上が図れる。
る、あるいは、加熱する、あるいは曝気する等の方法が
あり、またこれらを組み合わせてもよい。さらに、上記
重合促進剤が添加されている場合は、予備重合反応時間
も短縮することができる。
膜は、優れた耐水性を有し、強度も十分であるが、被膜
の表層がベタつく場合がある。その場合は、膜表面改質
剤の添加が有効で、表層を滑らかに、手触り良いものに
することが可能である。膜表面改質剤としては、エステ
ルガム、ロジン、水添ロジン、レシチン、コーパル、ダ
ンマルガム等を例示できる。
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。
としては、馬鈴薯澱粉100部に対し、水100部、柔
軟剤、離型剤を混合したものを、200℃の金型内にて
成形した、皿状成形物を使用した。
い波長の紫外線を出す、15Wの殺菌ランプを光源とし
て用いた。
油、桐油、遊離脂肪酸除去ヒマシ油、綿実油、サフラワ
ー油、コーン油、大豆油、パーム核油を使用した。
ベンゾイル、ビタミンD3 、酸化チタン、塩化コバル
ト、過マンガン酸カリウム、ナフテン酸コバルトを使用
した。
エステルガム、ロジン、水添ロジン、レシチン、コーパ
ル、ダンマルガムを使用した。
た被膜について、目視および触診により外観を評価し
た。
中に、赤色水性インクを流し込み、1分間放置後、イン
クを洗い流した後に染色の状態を見て耐水性を試験し
た。優れた耐水性を有するものでは、全く染色されず、
耐水性が不十分であるほど染色度が強まる。
g/cm2 の割合で上記8種の油脂を塗布したサンプル
を油脂ごとに作製した後、上記光源の下10cmの距離
に置いて紫外線を照射し、高分子重合膜を形成すること
により、耐水性被膜を有する成形物を得た。
を実施したところ、全ての成形物で染色は見られず、優
れた耐水性を持つことが判明した。
割合で上記重合促進剤をそれぞれ添加し、計48種の調
整油脂を得た。そして、実施例1の油脂の代わりにこの
調整油脂を用い、実施例1同様に重合高分子膜を形成さ
せ、要した時間を実施例1と比較した。
異なるものの、全てについて10〜40%反応時間の短
縮がみられた。
のA、B、C、Dの方法で予備重合反応を施し、32種
の調整油脂を得た。 方法A:油脂をシャーレに入れ、室温にて攪拌しながら
上記光源の下5cmの位置で24時間紫外線照射する。 方法B:油脂をビーカーに入れ、恒温槽で100℃にて
24時間放置する。 方法C:油脂をビーカーに入れ、室温にて24時間曝気
処理する。この曝気処理は、空気ポンプにつないだガラ
ス管を上記油脂中に入れ、この空気ポンプで空気を注入
することにより行った。 方法D:油脂30ccに対して75ccの31%過酸化
水素水を加え、室温にて24時間曝気処理した後に、室
温にて静置して油脂分を分離する。
粘度の上昇が見られたものの、成形物表面に塗布できる
物性を備えたものであった。
整油脂を用い、実施例1同様に重合高分子膜を形成さ
せ、要した時間を実施例1と比較した。
実施例1に比べて30〜99%短縮した。ただし、予備
重合反応の条件を変えることにより、短縮の割合は変動
する。
熱し、油脂100部に対して重量比で50部の上記膜表
面改質剤を加え、攪拌・溶解させて、調整油脂48種を
得た。そして、実施例1の油脂の代わりにこの調整油脂
を用い、実施例1同様に重合高分子膜を形成させ、出来
上がり被膜の外観を評価し、実施例1と比較した。
1よりも光沢が増す、表面が滑らかになる等、被膜表面
の性状について、有意な改善が認められた。
耐水性生分解性成形物の製造方法は、生分解性の原料を
成形する耐水性生分解性成形物の製造方法において、成
形物の表面に油脂の重合高分子膜を形成させることによ
り成形物に耐水性を付与する方法である。
形物の製造方法は、請求項1または2記載の方法におい
て、澱粉を主原料とし、水と混合後加熱加圧して得られ
た成形物の表面に上記油脂を塗布する方法である。
形物は、表面が油脂の重合高分子膜で被覆されている構
成である。
ており、耐水性に優れた被膜を有する耐水性生分解性成
形物を安価に効率よく提供できるという効果を奏する。
また、有機溶剤を必要としないため、回収の必要や火災
の危険性、毒性や環境汚染等の問題が生じないという効
果を奏する。また、水を媒体としたエマルジョンを用い
ないため、被覆時や被覆後の成形物の変形等の劣化が少
なく、また乾燥のための多量のエネルギーを必要としな
いという効果を奏する。また、ワックスを用いる方法と
異なり、融解や軟化が生じにくいため耐水性の消滅や結
着等の問題がなく、使用時や流通時の温度の適用範囲が
広いという効果を奏する。また、疎水性蛋白を用いる方
法と異なり、複雑な形状の成形物に対しても容易に被覆
することができるという効果を奏する。
形物の製造方法は、請求項1の方法において、成形物の
表面に油脂を塗布した後、紫外線を照射して、上記油脂
の重合高分子膜を形成させる方法である。
えて、重合高分子膜を形成させる時間を短縮し、より効
率良く耐水性生分解性成形物を提供できるという効果を
奏する。
形物の製造方法は、請求項1ないし3のいずれかに記載
の方法において、重合促進剤を添加した油脂を用いる方
法である。
効果に加えて、重合高分子膜を形成させる時間を短縮
し、より効率良く耐水性生分解性成形物を提供できると
いう効果を奏する。
形物の製造方法は、請求項1ないし4のいずれかに記載
の方法において、前もって紫外線を照射した油脂を用い
る方法である。
形物の製造方法は、請求項1ないし4のいずれかに記載
の方法において、前もって加熱処理した油脂を用いる方
法である。
形物の製造方法は、請求項1ないし4のいずれかに記載
の方法において、前もって曝気処理した油脂を用いる方
法である。
効果に加えて、工程管理を簡便化し、工程管理の複雑な
成形物塗布後の重合反応時間を非常に短縮することによ
り、全体としての生産効率の向上が図れるという効果を
奏する。
形物の製造方法は、請求項1ないし7のいずれかに記載
の方法において、膜表面改質剤を添加した油脂を用いる
方法である。
効果に加えて、成形物表面に形成された油脂の重合高分
子膜の表層のベタつきを抑え、表層を滑らかに、手触り
良いものにすることができるという効果を奏する。
Claims (9)
- 【請求項1】生分解性の原料を成形する耐水性生分解性
成形物の製造方法において、 成形物の表面に油脂の重合高分子膜を形成させることに
より成形物に耐水性を付与することを特徴とする耐水性
生分解性成形物の製造方法。 - 【請求項2】成形物の表面に油脂を塗布した後、紫外線
を照射して、上記油脂の重合高分子膜を形成させること
を特徴とする請求項1記載の耐水性生分解性成形物の製
造方法。 - 【請求項3】澱粉を主原料とし、水と混合後加熱加圧し
て得られた成形物の表面に上記油脂を塗布することを特
徴とする請求項1または2記載の耐水性生分解性成形物
の製造方法。 - 【請求項4】重合促進剤を添加した油脂を用いることを
特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の耐水性
生分解性成形物の製造方法。 - 【請求項5】前もって紫外線を照射した油脂を用いるこ
とを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の耐
水性生分解性成形物の製造方法。 - 【請求項6】前もって加熱処理した油脂を用いることを
特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の耐水性
生分解性成形物の製造方法。 - 【請求項7】前もって曝気処理した油脂を用いることを
特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の耐水性
生分解性成形物の製造方法。 - 【請求項8】膜表面改質剤を添加した油脂を用いること
を特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の耐水
性生分解性成形物の製造方法。 - 【請求項9】表面が油脂の重合高分子膜で被覆されてい
ることを特徴とする耐水性生分解性成形物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2358297A JP3476325B2 (ja) | 1997-02-06 | 1997-02-06 | 耐水性生分解性成形物およびその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH10219012A JPH10219012A (ja) | 1998-08-18 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2358297A Expired - Fee Related JP3476325B2 (ja) | 1997-02-06 | 1997-02-06 | 耐水性生分解性成形物およびその製造方法 |
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JP (1) | JP3476325B2 (ja) |
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1997
- 1997-02-06 JP JP2358297A patent/JP3476325B2/ja not_active Expired - Fee Related
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