JP3474362B2 - 多層ディスク再生装置 - Google Patents

多層ディスク再生装置

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JP3474362B2
JP3474362B2 JP14496696A JP14496696A JP3474362B2 JP 3474362 B2 JP3474362 B2 JP 3474362B2 JP 14496696 A JP14496696 A JP 14496696A JP 14496696 A JP14496696 A JP 14496696A JP 3474362 B2 JP3474362 B2 JP 3474362B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多層ディスクを再生す
る再生装置において、各層に最適なフォーカスサーボ、
トラッキングサーボの各ループゲイン値又は/及びイコ
ライザ値と、RF信号のレベル値又は/及びイコライザ
値を自動的に設定する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、従来のCDよりも記憶密度を飛躍
的に向上させ、一本の映画等が記録可能な高密度記録媒
体であるDVD(Digital Video Dis
k)の開発が盛んである。
【0003】このDVDは、ディスク基板の厚さがCD
とは異なるが、情報を担う記録ピットの読取り原理がC
Dと同一であることから、CD/DVDコンパチブル再
生装置の提案がなされている。このCD/DVDコンパ
チブル再生装置には各ディスクの情報記録面上で情報読
取りビームが最適に集光する様に、同一直線上の異なる
位置に焦点を結ぶ二つの光ビームを照射することが可能
な二焦点レンズや、ディスクに応じて焦点距離を変化せ
しめるようにレンズを交換する方式等の採用が検討され
ている。例えば、二焦点レンズ12は図17(a)に示
すように、回折格子13と対物レンズ11を同一光路上
に配置したもので、コリメータレンズ14で平行光線と
された光ビームを回折格子13により0次光と±1次光
の三つのビームに分光(−1次光は図示せず)し、この
うち0次光と+1次光の光路長の差を利用して、当該0
次光と+1次光を同一線上の異なる位置に焦点を結ばせ
るものである。
【0004】具体的には、DVD又はCDの情報記録面
に対して、0次光と比較して+1次光の方が対物レンズ
11から遠い位置に焦点を結ぶように構成されているの
で、0次光がDVDの情報記録面に最適に集光すると共
に、+1次光がCDの記録情報面に最適に集光する様に
設定されている。この二焦点レンズを用いた光ピックア
ップを徐々に光ディスクに近付ける場合を考えると、最
初に+1次光のビームが光ディスクの情報記録面に照射
され、ディスク再生装置の図示せぬ光ピックアップに設
けられた4分割フォトダイオードから、フォーカスエラ
ー信号であるS字信号が出力される。次に+1次光の光
ディスクからの反射光が0次光の光路を戻ることによっ
て生じる疑似的なフォーカスエラー信号のS字信号が得
られる。そして、最後に0次光に対応するフォーカスエ
ラー信号のS字信号が得られる。
【0005】図17(b)は、二焦点レンズを光ディス
クに近付けた場合に、上述した、0次光のS字、疑似S
字及び+1次光のS字の出現の様子を示したものであ
る。ここで、回折格子13における0次光と+1次光の
分光比は、互いにほぼ等しくなるように設定されてい
る。また、0次光の最適集光はDVDに対してなされ、
+1次光の最適集光はCDに対してなされているので、
逆の組合せに対しては、例えば球面収差の発生などによ
り、最適な集光状態でなくなるから、光ディスクがCD
である場合、+1次光に対応するフォーカスエラー信号
のS字信号のレベルが最も高く、0次光に対応するフォ
ーカスエラー信号のS字信号のレベルが最も小さくな
り、これとは逆に、光ディスクがDVDである場合に
は、0次光に対応するフォーカスエラー信号のS字信号
のレベルが最も高く、+1次光に対応するフォーカスエ
ラー信号のS字信号のレベルが最も低くなる。
【0006】ところで、DVDは、高密度化の要請から
その線速度がCDの線速度より大きくなるように規定さ
れている。そこで、CDとDVDでは、フォーカスやト
ラッキングなどのサーボ回路におけるサーボゲインやサ
ーボ周波数帯域を異ならしめる必要がある。より具体的
には、サーボ帯域について、DVDの方がCDより高周
波数側に広くなるように設定し、サーボゲインについて
DVDの方がCDより大きくなるように設定するのであ
る。従って、CD/DVDコンパチブル再生装置におい
てサーボ回路をCDとDVDとで共用化するためには、
ディスクに応じてサーボゲインやサーボ帯域の調整が必
要となる。つまり、再生動作に先立って、再生すべき光
ディスクがCDかDVDかの判断を行ない、その判別結
果に応じて当該光ディスクの反射率を示す信号、例え
ば、フォーカスエラーのS字信号やRF信号等に基づい
て、当該ディスクに応じた適切なサーボゲインやサーボ
帯域の調整を行なうのである。尚、一度調整された値
は、ディスクの交換が行なわれるまで保持される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】さて、DVDには、記
録情報を担うピットを記録する情報記録面が一層からな
る単層ディスクと、同じ厚さ内に複数の記録層(例えば
二層)を有する多層ディスクとがある。多層ディスクの
場合は、各記録層の間に相対的な傾きが有ったり、各記
録層の反射率が異なること等から、例えば、二層ディス
クにおいて一層目の記録層で設定されたゲインをそのま
ま二層目の記録層に使おうとすると、二層目の記録層に
おいては最適化されないという問題が生じる。この問題
を解決するためには、再生中に読取りビームが一層目か
ら二層目の記録層へ、或いは二層目から一層目の記録層
へ層間ジャンプする度に、ジャンプ先の記録層に対応す
るゲインに設定するべく、フォーカスエラー信号等に基
づいてゲインの設定動作を行えば良いが、この場合、層
間ジャンプが行なわれる度にゲインや帯域の初期設定を
行なうことになるため、ジャンプ動作に時間がかかると
いう問題が生じる。従って、例えば映画等の一連の関連
情報を二層に亘って記録した場合、層間ジャンプを実行
することによって連続再生がとぎれてしまうことにな
る。そこで、本発明は、多層ディスクから記録情報を再
生する際に、読取りビームを層間ジャンプさせた場合で
あっても、安定したサーボ制御を迅速に行なうことが可
能となる多層ディスク再生装置を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1記載の発明は、複数の記録層を備えた多
層ディスクを再生する多層ディスク再生装置において、
フォーカスエラー信号に基づいて、第一の記録層に対応
するフォーカスサーボループゲインと第二の記録層に対
応するフォーカスサーボループゲインとを測定する第一
の測定手段と、トラッキングエラー信号に基づいて、前
記第一の記録層に対応するトラッキングサーボループゲ
インを測定する第二の測定手段と、前記第一の記録層に
対応するフォーカスエラー信号の最大振幅値と前記第二
の記録層に対応するフォーカスエラー信号の最大振幅値
との比率を求める第一の演算手段と、前記第一の記録層
に対応するトラッキングサーボループゲインに前記比率
を乗算し、前記第二の記録層に対応するトラッキングサ
ーボループゲインを求める第二の演算手段と、前記第一
の記録層に対応するフォーカスサーボループゲイン及び
第二の記録層に対応するフォーカスサーボループゲイン
と、前記第一の記録層に対応するトラッキングサーボル
ープゲイン及び第二の記録層に対応するトラッキングサ
ーボループゲインと、を記憶する記憶手段と、層間ジャ
ンプに先だって、ジャンプ先の前記記録層に対応するい
ずれかの前記フォーカスサーボループゲイン及びいずれ
かの前記トラッキングサーボゲインを前記記憶手段から
読出して設定する設定手段と、を備えたことを特徴とす
る。
【0009】請求項1記載の発明の作用によれば、第一
の測定手段により、フォーカスエラー信号に基づいて、
第一の記録層に対応するフォーカスサーボループゲイン
と第二の記録層に対応するフォーカスサーボループゲイ
ンとが測定され、第二の測定手段により、トラッキング
エラー信号に基づいて、第一の記録層に対応するトラッ
キングサーボループゲインが測定される。 次に、第一の
演算手段により、第一の記録層に対応するフォーカスエ
ラー信号の最大振幅値と第二の記録層に対応するフォー
カスエラー信号の最大振幅値との比率が求められ、第二
の演算手段により、第一の記録層に対応するトラッキン
グサーボループゲインに求められた比率が乗算され、第
二の記録層に対応するトラッキングサーボループゲイン
が求められる。 そして、第一の記録層に対応するフォー
カスサーボループゲイン及び第二の記録層に対応するフ
ォーカスサーボループゲインと、第一の記録層に対応す
るトラッキングサーボループゲイン及び第二の記録層に
対応するトラッキングサーボループゲインと、が記憶手
段に記憶される。 その後、層間ジャンプに先だって、設
定手段により、ジャンプ先の記録層に対応するいずれか
のフォーカスサーボループゲイン及びいずれかのトラッ
キングサーボゲインが記憶手段から読出されて設定され
る。 従って、ジャンプする度にジャンプ先の記録層に対
応するサーボゲインを測定する必要がなくなり、層間ジ
ャンプ動作等に対応して、迅速且つ安定に動作させるこ
とが可能となる。 また、第二の記録層に対応するトラッ
キングサーボループゲインを第一の記録層に対応するト
ラッキングサーボループゲインと上記比率を用いた演算
により求めているため、調整時間を節約することができ
る。
【0010】上記の課題を解決するために、請求項2記
載の発明は、複数の記録層を備えた多層ディスクを再生
する多層ディスク再生装置において、フォーカスエラー
信号に基づいて、第一の記録層に対応するフォーカスサ
ーボループゲインと第二の記録層に対応するフォーカス
サーボループゲインとを測定する第一の測定手段と、ト
ラッキングエラー信号に基づいて、前記第一の記録層に
対応するトラッキングサーボループゲインを測定する第
二の測定手段と、前記第一の記録層に対応するフォーカ
スサーボループゲインと前記第二の記録層に対応するフ
ォーカスサーボループゲインとの比率を求める第一の演
算手段と、前記第一の記録層に対応するトラッキングサ
ーボループゲインに前記比率を乗算し、前記第二の記録
層に対応するトラッキングサーボループゲインを求める
第二の演算手段と、前記第一の記録層に対応するフォー
カスサーボループゲイン及び前記第二の記録層に対応す
るフォーカスサーボループゲインと、前記第一の記録層
に対応するトラッキングサーボループゲイン及び前記第
二の記録層に対応するトラッキングサーボループゲイン
と、を記憶する記憶手段と、層間ジャンプに先だって、
ジャンプ先の前記記録層に対応するいずれかの前記フォ
ーカスサーボループゲイン及びいずれかの前記トラッキ
ングサーボゲインを前記記憶手段から読出して設定する
設定手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】請求項2記載の発明の作用によれば、第一
の測定手段により、フォーカスエラー信号に基づいて、
第一の記録層に対応するフォーカスサーボループゲイン
と第二の記録層に対応するフォーカスサーボループゲイ
ンとが測定され、第二の測定手段により、トラッキング
エラー信号に基づいて、前記第一の記録層に対応するト
ラッキングサーボループゲインが測定される。 次に、第
一の演算手段により、第一の記録層に対応するフォーカ
スサーボループゲインと第二の記録層に対応するフォー
カスサーボループゲインとの比率が求められ、第二の演
算手段により、第一の記録層に対応するトラッキングサ
ーボループゲインに求められた比率が乗算され、第二の
記録層に対応するトラッキングサーボループゲインが求
められる。 そして、第一の記録層に対応するフォーカス
サーボループゲイン及び第二の記録層に対応するフォー
カスサーボループゲインと、第一の記録層に対応するト
ラッキングサーボループゲイン及び第二の記録層に対応
するトラッキングサーボループゲインと、が記憶手段に
記憶される。 その後、層間ジャンプに先だって、設定手
段により、ジャンプ先の記録層に対応するいずれかのフ
ォーカスサーボループゲイン及びいずれかのトラッキン
グサーボゲインが記憶手段から読出されて設定される。
従って、ジャンプする度にジャンプ先の記録層に対応す
るサーボゲインを測定する必要がなくなり、層間ジャン
プ動作等に対して、迅速且つ安定に動作させることが可
能となる。 また、第二の記録層に対応するトラッキング
サーボループゲインを演算により求めているため、調整
時間を節約することができる。
【0012】請求項3記載の発明によれば、第一の測定
手段は、対物レンズの一回のUP又はDOWNによって
得られる第一の記録層に対応するフォーカスエラー信号
の最大振幅値と第二の記録層に対応するフォーカスエラ
ー信号の最大振幅値とを取り込み、当該各最大振幅値に
基づき、第一の記録層に対応するフォーカスサーボルー
プゲインと第二の記録層に対応するフォーカスサーボル
ープゲインとを求める。 従って、より迅速に第一及び第
二の記録層に対応するフォーカスサーボループゲインを
求めることができる。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【実施の形態】[I]本発明のブロック図の説明 図1は、本発明による実施例の多層ディスク再生装置の
ブロック図である。符号20は、再生用の光ディスクで
あり、スピンドルモータ21により規定の回転数で回転
している。符号22は、二焦点レンズを採用した光ピッ
クアップであり、光ディスク20の情報記録面上に担持
されたビットを光ビームにより情報を読み取っている。
光ピックアップ22の出力信号は、RFAmp23に入
力されフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号
等のアナログ信号として、出力される。RFAmp23
から出力されるフォーカスエラー信号は、LPF24を
通して不要な周波数成分が除去された後、可変増幅器2
5に供給される。この可変増幅器25の利得は後述する
FGA(フォーカスゲイン制御器)27からの指令で設
定される。可変増幅器25の出力信号は、A/D変換器
26でアナログ信号からデジタル信号に変換された後、
FGA27に供給される。
【0021】FGA27の出力は、D・EQ(デジタル
・イコライザ)28で特定な周波数領域に重み付けさ
れ、PWM29でパルス幅変換された後、フォーカスコ
イル駆動回路30によって、図示せぬ光ピックアップの
フォーカスコイルに供給される。このPWM29は、フ
ォーカスコイル駆動回路30に信号を供給する回路であ
るが、後述するサーボコントローラ38からの指令で、
フォーカスコイル駆動回路30に信号を供給しない状態
にすることが出来るので、フォーカスループを開路(オ
ープン)又は閉路(クローズ)状態にするために用いら
れるフォーカスループスイッチの役目も担っている。
【0022】一方、RFAmp23から出力されるトラ
ッキングエラー信号は、LPF31を通して不要な周波
数成分が除去された後、可変増幅器32に供給される。
可変増幅器32の出力信号はA/D変換器33でアナロ
グ信号からデジタル信号に変換された後、TGA(トラ
ッキングゲイン制御器)34に供給される。また、TG
A34の出力は、D・EQ35で特定な周波数領域に重
み付けされ、PWM36でパルス幅変換された後、トラ
ッキング駆動回路37によって、図示せぬ光ピックアッ
プのトラッキングコイルに供給される。また、FGA2
7、TGA34及び各D・EQ28、35等から得られ
たデータを基にして、各回路に指令を出すサーボコント
ローラ38があり、必要に応じてデータの演算及び指令
を行っている。また、このサーボコントローラ38に
は、多層ディスク再生装置が必要とする各規定値を記憶
させたROM39やCPU40が接続されている。
【0023】このCPU40には、操作部41及びRA
M42が接続され、多層ディスク再生装置の初期動作の
際に検出された各種情報を記憶し、また必要に応じて呼
出すようにしている。また、サーボコントローラ38に
は、TR・BL(トラッキング・バランス制御回路)4
3が接続され、トラッキング・バランスのコントロール
信号がD/A変換器44でデジタル信号からアナログ信
号に変換された後、RFAmp23に信号を供給し、最
適なトラッキングバランスが行われるようになつてい
る。一方、RFAmp23から得られたRF信号は、増
幅器45を経てEFMデコーダ46に供給され、スピン
ドルモータ駆動回路47によって、スピンドルモータ2
1を駆動し、光ディスク20を規定の回転速度で回転さ
せる。
【0024】また、サーボコントローラ38からの指令
により、多層ディスクの各層に最適なRFゲインは、A
/D変換器49を介してRGA(RFゲイン制御回路)
48に供給され、更にサーボコントローラ38からの制
御信号によりRGA48から増幅器45を制御し、最適
なデータをEFMデコーダ46に送りスピンドルモータ
21の回転速度を監視、制御している。
【0025】[II]片面二層ディスクの説明 図2(a)に示すDVDの光ディスクは、直径が例えば
120mmで、厚さが例えば0.6mmの透明性の光デ
ィスク基板を2枚貼り合たものであり、第1の光ディス
ク(A面)の保護層と第2の光ディスク(B面)の保護
層を相対向させて接着剤で貼り合せ、厚さ1.2mmの
光ディスク基板を構成している。A面は、ポリメチルメ
タクリレート、ポリカーボネートの合成樹脂からなる透
光性基板9の面上に情報を担持するピットが同心円状又
は螺旋状に形成されている。このピットが形成された透
光性基板9の面上の一部には文字、記号、絵等の表示パ
ターンがアルミニウム等の銀白色を有する金属薄膜から
なる半透明な一層目の反射層1が形成されている。
【0026】更に、一層目の反射層1の上面及び一層目
の反射層1の形成されていない透光性基板9の上面には
金等の金色を有する金属薄膜からなる二層目の反射層2
が形成され、一層目の反射層1及び二層目の反射層2が
ピットと接する表面は、概ね同一の反射率を有してい
る。また、二層目の反射層2の上面には紫外線硬化樹脂
からなる保護層3が形成されている。即ち、第1の光デ
ィスクであるA面ディスクは、透光性基板9、ピット、
一層目の反射層1、二層目の反射層2及び保護層3等に
よる二層構造の光ディスクである。また、A面ディスク
と同様に、第2の光ディスク(B面)は、透光性基板8
の面上に情報を担持するピットが形成されていて、一層
目の反射層7及び二層目の反射層6の面上に保護層5が
形成されている。上述したように、これら2枚の光ディ
スク基板の保護層3、5同志を相対向させホットメルト
タイプの接着剤4で貼り合厚さ1.2mmの光ディスク
基板を構成している。
【0027】このような多層構造の多層ディスク基板を
片面側から再生する場合、二焦点レンズを用いて再生す
る場合は、一層目と二層目との間隔(約40μm)が狭
いため、レンズを上下させた時に得られるフォーカスエ
ラー信号には、図2(b)に示すように0次光、疑似光
そして、+1次光の夫々に対して一層目と二層目に対す
るS字が連続して発生する。
【0028】[III]本発明の第1実施例 本発明の第1実施例においては、再生装置のディスク載
置面に載置された片面二層ディスクに対して、光ビーム
を照射しながら対物レンズをUP又はDOWN動作させ
ることによって得られるフォーカスエラー信号のうち、
一層目から得られるフォーカスエラー信号を抽出し、こ
れに基づいてフォーカスサーボのゲイン値設定を行な
い、その後、トラッキングエラー信号に基づいてトラッ
キングサーボのバランス調整とゲイン値設定を行なう。
次に、二層目にフォーカスジャンプを行ない、二層目に
関して上記と同様な動作を行なう。以上の動作は、再生
動作に先立つセットアップ(初期設定)動作として行な
われる。
【0029】では、本発明による第1実施例の動作を説
明するに当たり図3及び図4の動作タイムチャートと図
5及び図6を用いて説明する。先ず、図3(a)は、レ
ンズが上下動した時に光ピックアップ22が検出する2
つの(二層の場合)フォーカスエラー信号(以下FEと
記す。)を示す。尚、図3では+1次光、疑似光、0次
光のうち、そのディスク本来のFEのS字のみを図示し
てある。即ち、本実施例においては、0次光により得ら
れたFEのS字のみを図示してある。図中、記号Nは、
レンズの上下動の回数を示している。また、図3(b)
のように、T1は、レンズが上昇して最初に得られたF
E1の振幅電圧が、多層ディスク再生装置のROM39
に記憶されている規定の閾値(THと記す)を越えた時
点から、レンズがセットされた最大位置に上昇するまで
に要する時間である。
【0030】また、T2は、レンズが降下して、最初に
得られたFE2の振幅電圧がTHを越えた時点から、F
E2のS字特性の終了までに要する時間である。また、
T3は、2つ目のFE1の振幅電圧がTHを越えた時点
から、レンズがセットされたレンズ降下終了位置に降下
するまでに要する時間である。また、T4は後述する最
初に行うトラッキングバランス調整に要する時間であ
り、T5は、最初に行うトラッキングゲイン調整に要す
る時間である。また、図4は、上述した図3と同様に、
光ピックアップ22が二層目に移動した場合の動作タイ
ムチャートである。T6は、レンズが上昇して最初に得
られたFE1の振幅電圧が多層ディスク再生装置のRO
M39に記憶されている規定のTHを越えた時点から、
FE1のS字特性が終了するまでに要する時間である。
【0031】また、T7は、2つ目のフォーカスエラー
信号FE2の振幅電圧がTHを越えた時点から、レンズ
がセットされた最大位置に上昇するまでに要する時間で
ある。また、T8は、レンズが降下して、最初に得られ
た振幅電圧がTHを越えた時点から、レンズがセットさ
れたレンズ降下終了位置に降下するまでに要する時間で
ある。また、T9は二層目で行うトラッキングバランス
調整に要する時間であり、T10は、二層目で行うトラ
ッキングゲイン調整に要する時間である。
【0032】では、本発明による第1実施例の動作を図
5及び図6のフローチャートを用いて説明する。先ず、
ステップS1において、光ディスクがセットされたか否
かを判断し、光ディスクがセットされている場合は、ス
テップS2で前回の光ディスクを再生する際に設定した
各種データを初期化する。即ち、これから使用する多層
ディスク再生装置内に設けられた図示せぬカウンター値
やタイマー値をリセットする。
【0033】また、ステップS3において、各種ディス
クのディスク判別を行うが、ディスク判別の動作につい
ては、後述する図12及び図13のフローチャートを用
いて説明する。次に、ステップS4において、レンズを
規定位置まで降下させる。そして、ステップS5は、レ
ンズが上昇及び降下を繰返す回数を計数しており、レン
ズが上昇又は降下の動作を行なう度に1つ加算され、そ
の時のNの値をRAM42に記憶する。そして、ステッ
プS6において、レンズを規定速度で上昇させる。ステ
ップS7において、予め多層ディスク再生装置のROM
39に記憶されている、規定値閾値(THと記す。)
と、得られたFE値とを比較する。FE値が得られない
場合は、再度ステップS6に移行して、レンズの規定速
度での上昇動作を継続させレンズが上昇し、得られたF
E1がFE1≧THを満足する場合は、ステップS8に
移行してタイマーが時間T1の計時動作を開始する。
【0034】次いで、ステップS9でN=1回目のFE
1の最大振幅値FEP−Pを読取り、RAM42に記憶
する。ステップS10において、タイマーの計時時間が
規定時間T1を越えたか否かを判断し、越えていないと
判断した場合(ステップS10;NO)には、タイマー
の計時時間が規定時間T1に達するまでレンズの上昇を
継続する。規定時間T1に達した場合(ステップS1
0:YES)にはステップS11に移行して、Nに1を
加算すると共に、ステップS12においてレンズを降下
させる。次いで、ステッブS13に移行して、レンズの
降下時に得られる二層目のFE値がTH以上であるか否
かを判断する。FE値がTH以下の場合(ステップS1
3;NO)には、RFAmp23の出力に0次光による
FEが未だ得られていないことを示すから、ステップS
12に移行してレンズの降下動作を継続する。FE値が
THを越えた場合(ステップS13;YES)には、ス
テップS14に移行して、タイマーに規定時間T2の計
時動作を開始させる。
【0035】ステップS15において、タイマーの計時
時間Tが規定時間T2に達したと判断された場合、ステ
ップS16に移行して、TH以上のFE値の検出を行な
う。このステップで検出されるFE値はレンズ降下時に
おける一層目のFE1を示す。FE1の振幅値がTHレ
ベルをクロスした時点で、タイマーに規定時間T3の計
時時間を開始させる(ステップS17)。次いで、ステ
ップS18でN=2回目のFE1の最大振幅値FE
P−Pを読取り、RAM42に記憶する。そして、ステ
ップS19において、タイマーの計時時間Tが規定時間
T3を越えたか否かを判断し、規定時間T3を越えてい
る場合は、ステップS20に移行してレンズの上下動の
回数Nを監視する。回数Nが4回に満たない場合(ステ
ップS20;NO)には、ステップS5に戻り、レンズ
の上昇/降下に伴うFE1の最大振幅値の取込み動作を
継続する。
【0036】一方、回数Nが4回を越えた場合(ステッ
プS20:YES)にはステップS21に移行して、一
層目のフォーカスゲイン調整を行なう。この際、調整す
るゲイン値は、ステップS9及びステップS18におい
てRAM42に記憶した、レンズの上下動作を行なった
ときのFE1の最大振幅値に基づいて決定する。例え
ば、レンズの上下動作を4回行なった場合には、RAM
42には4サンプルのFE1の最大振幅値が記憶されて
いるので、これら4サンプルの最大振幅値の平均値を算
出し、この平均値が所定の振幅値となるようにサーボゲ
インを設定するのである。尚、本実施形態においては、
レンズの上下動作の回数を4回とした例を述べている
が、この回数に限定されるものではなく、必要に応じて
適宜変更可能である。
【0037】次に、一層目のFE1がゼロクロス近傍と
なる位置までレンズを上昇させた後(ステップS2
2)、サーボコントローラ38からサーボクローズ信号
を出力せしめる。PWM29はサーボコントローラ38
から出力されるサーボクローズ信号に応じてFGA27
からの出力信号、つまりフォーカスエラー信号に基づい
てフォーカスコイル駆動用のパルス信号を生成する。こ
のように、PWM29が動作可能状態になることによっ
て、フォーカスサーボループが閉路状態となる(ステッ
プS23)。次に、ステップS24に移行して、タイマ
ーに規定時間T4の計時時間を開始させる。次いで、ト
ラッキングエラー(TE)信号のセンターレベル(TR
CL)を検出するべく、例えば、TE信号の最大ピーク
値と最小ピーク値を取込み、それらの差分を取る。
【0038】この差分がTE信号センターのゼロレベル
からのオフセット量、つまり、TE信号を生成する差動
回路などのバランスズレ量に相当する。本実施例では、
このオフセット量を複数のサンプルについて求め、平均
化したものをTE信号のセンターレベルとしている(ス
テップS25)。規定時間T4は、平均的なセンターレ
ベルを検出するのに十分なTE信号のサンプル値を取込
むことができる時間に設定される。このTE信号のセン
ターレベルの検出動作はステップS26においてタイマ
ーの計時時間が規定時間T4に達するまで繰り返し実行
される。ステップS26においてタイマーの計時時間が
規定時間T4を越えた場合には、ステップS27に移行
して、ステップS25で求めたオフセット量に基づいて
TRCLがゼロレベルとなるようにTRBL回路43を
介してトラッキングバランスの調整を行なう。
【0039】次に、ステップS28に移行して、タイマ
ーに規定時間T5の計時動作を開始させる。次いで、ス
テップS29に移行してTE信号の最大振幅値であるT
P−Pを取込む。この取込み動作はタイマーの計時時
間Tが規定時間T5に達するまで繰り返し実行される
(ステップS30)。この際、繰り返し取込んだ最大振
幅値の平均化処理を行なう。ステップS30において、
タイマーの計時時間Tが規定時間T5を越えた場合に
は、ステップS31に移行して、トラッキングゲインの
調整が行なわれる。調整するゲイン値は、ステップS2
9において求めたTE信号の平均化された最大振幅値に
基づいて決定する。つまり、平均化された最大振幅値が
所定の振幅値となるようにサーボゲインを設定するので
ある。次にステップS32に移行して、トラッキングサ
ーボループを閉路状態にせしめるべく、サーボコントロ
ーラ38からサーボクローズ信号を出力せしめる。PW
M36はサーボコントローラ38から供給されるサーボ
クローズ信号に応じてTGA34から出力信号、つま
り、トラッキングエラー信号に基づいてトラッキングコ
イル駆動用のパルス信号を生成する。
【0040】このように、PWM36が動作可能状態に
なることによって、トラッキングサーボループが閉路状
態となる。次に、ステップS33に移行して、上記ステ
ップS1〜S32において求めた一層目に対するフォー
カスサーボ及びトラッキングサーボに係わる各調整値
(フォーカスエラー信号の最大振幅値、フォーカスゲイ
ンの調整値、トラッキングエラー信号のセンターレベ
ル、トラッキングバランス調整値、トラッキングエラー
信号の最大振幅値、トラッキングゲインの調整値等)を
RAM42における一層目の情報を記憶するための所定
アドレスに記憶する。尚、本実施例では、サーボゲイン
の設定を行なう例について説明したが、各記録層に応じ
てゲインと共にイコライザ値を変化させることで、より
最適化することができる。この際、イコライザ値もRA
M42に記憶する。
【0041】次に、ステップS34に移行して一層目に
対する規定値を求めるために使用したパラメータやカウ
ンタ値等を初期化する。次いでステップS35に移行し
てレンズを規定位置まで降下させる。次いで、レンズの
上昇又は降下を繰り返した回数を示すN値を1つ加算す
ると共に規定速度でレンズを上昇させる(ステップS3
6、S37)。次いでステップS38において、ステッ
プS7と同様にFE≧THの条件を満たすFE値が得ら
れるか否かを判断し、得られない場合(ステップS3
8;NO)には、ステップS37に移行してレンズの上
昇を継続する。一方、FE値が得られた場合(ステップ
S38;YES)には、ステップS39に移行してタイ
マーに規定時間T6の計時動作を開始させる。ステップ
S40において規定時間T6が経過した後、ステップS
41に移行してTH以上のFE値の検出を行なう。
【0042】このステップで検出されるFE値はレンズ
上昇時における二層目のFE2を示す。FE2の振幅値
がTHレベルをクロスした時点で、タイマーに規定時間
T7の計時動作を開始させる(ステップS42)。次い
で、ステップS43でN=1回目のFE2の最大振幅値
FEP−Pを読み取り、RAM42に記憶する。ステッ
プS44において、タイマーの計時時間が規定時間T7
を越えたか否かを判断し、越えていないと判断した場合
(ステップS44;NO)には、タイマーの計時時間が
規定時間T7に達するまでレンズの上昇動作を継続す
る。規定時間T7に達した場合(ステップS44;YE
S)にはステップS45に移行して、Nに1を加算する
と共に、ステップS46においてレンズを降下させる。
【0043】次いでステップS47に移行して、レンズ
の降下時に得られる二層目のFE値がTH以上であるか
否かを判断する。FE値がTH以下の場合(ステップS
47;NO)には、RFAmp23の出力に0次光によ
るFEが未だ得られていないことを示すから、ステップ
S46に移行してレンズの降下動作を継続する。FE値
がTHを越えた場合(ステップS47;YES)には、
ステップS48に移行して、タイマーに規定時間T8の
計時動作を開始させる。次いで、ステップS49でN=
2回目の最大振幅値FEP−Pを読み取り、RAM42
に記憶する。そして、ステップS50において、タイマ
ーの計時時間Tが規定時間T8を越えたか否かを判断
し、規定時間T8を越えている場合は、ステップS51
に移行してレンズの上下動の回数Nを監視する。回数N
が4回に満たない場合(ステップS51;NO)には、
ステップS36に戻り、レンズの上昇/降下に伴うFE
2の最大振幅値の読み取り動作を継続する。
【0044】一方、回数Nが4回を越えた場合(ステッ
プS51;YES)にはステップS52に移行して、二
層目のフォーカスゲイン調整を行なう。この際、調整す
るゲイン値は、ステップS43及びステップS49にお
いてRAM42に記憶した、レンズの上下動作を行なっ
たときのFE2の最大振幅値に基づいて決定する。例え
ば、レンズの上下動作を4回行なった場合には、RAM
42には4サンプルのFE1の最大振幅値が記憶されて
いるので、これら4サンプルの最大振幅値の平均値を算
出し、この平均値が所定の振幅値になるようにサーボゲ
インを設定するのである。
【0045】次に、二層目のFE2がゼロクロス近傍と
なる位置までレンズを上昇させた後(ステップS5
4)、サーボコントローラ38からサーボクローズ信号
を出力せしめる。PWM29はサーボコントローラ38
から出力されるサーボクローズ信号に応じてFGA27
からの出力信号、つまりフォーカスエラー信号に基づい
てフォーカスコイル駆動用のパルス信号を生成する。こ
のように、PWM29が動作可能状態になることによっ
て、フォーカスサーボループが閉路状態となる(ステッ
プS54)。次に、ステッブS55に移行して、タイマ
ーに規定時間T9の計時動作を開始させる。次いで、ト
ラッキングエラー(TE)信号のセンターレベル(TR
CL)を検出すべく、例えば、TE信号の最大ピーク値
を取り込み、それらの差分を取る。この差分がTE信号
センターのゼロレベルからのオフセット量、つまり、T
E信号を生成する差動回路などのバランスズレ量に相当
する。
【0046】本実施例では、このオフセット量を複数の
サンプルについて求め、平均化したものをTE信号のセ
ンターレベルとしている(ステップS56)。規定時間
T9は、平均的なセンターレベルを検出するのに十分な
TE信号のサンプル値を取り込むことができる時間に設
定される。このTE信号のセンターレベルの検出動作は
ステップS57においてタイマーの計時時間が規定時間
T9に達するまで繰り返し実行される。ステップS57
においてタイマーの計時時間が規定時間T9を越えた場
合には、ステップS58に移行して、ステップS56で
求めたオフセット量に基づいてTRCLがゼロレベルと
なるようにTRBL回路43を介してトラッキングバラ
ンスの調整を行なう。
【0047】次に、ステップS59に移行して、タイマ
ーに規定時間T10の計時動作を開始させる。次いで、
ステップS60に移行してTE信号の最大振幅値である
TEP−Pを取り込む。この取り込み動作はタイマーの
計時時間が規定時間T10に達成されるまで繰り返し実
行される(ステップS61)。この際、繰り返し取り込
んだ最大振幅値の平均化処理を行なう。ステップS61
において、タイマーの計時時間Tが規定時間T10を越
えた場合には、ステップS62に移行して、トラッキン
グゲインの調整が行なわれる。調整するゲイン値は、ス
テップS60において求めたTE信号の平均化された最
大振幅値に基づいて決定する。つまり、平均化された最
大振幅値が所定の振幅値となるようにサーボゲインを設
定するのである。
【0048】次にステップS63に移行して、トラッキ
ングサーボループを閉路状態にせしめるべく、サーボコ
ントローラ38からサーボクローズ信号を出力せしめ
る。PWM36はサーボコントローラ38から出力され
るサーボクローズ信号に応じてTGA34からの出力信
号、つまりトラッキングエラー信号に基づいてトラッキ
ングコイル駆動用のパルス信号を生成する。このよう
に、PWM36が動作可能状態になることによって、ト
ラッキングサーボループが閉路状態となる。次に、ステ
ップS64に移行して、上記ステップS34〜S63に
おいて求めた二層目に対するフォーカスサーボ及びトラ
ッキングサーボに係わる各調整値(フォーカスエラー信
号の最大振幅値、フォーカスゲインの調整値、トラッキ
ングエラー信号のセンターレベル、トラッキングバラン
ス調整値、トラッキングエラー信号の最大振幅値、トラ
ッキングゲインの調整値等)をRAM42における二層
目の情報を記憶するための所定アドレスに記憶する。
【0049】上記したステップS33及びS64の動作
により、二層ディスクにおける各記録層に最適なフォー
カスサーボに係わる調整値が、メモリRAM42の各記
録層に対応した所定アドレスに記憶される。次に、ピッ
クアップを二層ディスクに記録された記録情報の開始位
置(例えば、一層目の最内周トラック)に移送するた
め、RAM42の所定アドレスに記憶した一層目の調整
値を読み出した後(ステップS65)、ステップS66
のフォーカスジャンプ動作、即ち読み取りビームの合焦
位置を二層目から一層目へ、或いは一層目から二層目の
記録層へ移行する。以上の動作により再生装置に載置さ
れた二層ディスク20に対する初期動作(セットアップ
動作)が完了する。
【0050】尚、フォーカスジャンプ動作は、次のよう
に行う。先ず、トラッキングサーボループを開路状態に
し、次いでフォーカスサーボループを開路状態にする。
そして、レンズをフォーカス方向(ディスク記録面に対
する垂直方向)に所定距離(層間距離)だけ強制移送し
た後、フォーカスサーボの閉路動作を行う。引き続いて
トラッキングサーボの閉路動作を行い、必要に応じてピ
ックアップを所望のトラックへサーチさせる。このよう
に、フォーカスジャンプに伴ってフォーカスサーボ、ト
ラッキングサーボを一度開路状態にした後、再度閉路状
態とする際に、RAM42から読み出したジャンプ先の
記録層に応じた調整値を利用するのである。従って、再
生動作中においても、一層目の記録層から二層目の記録
層へ、又は、二層目の記録層から一層目の記録層への層
間ジャンプを行う場合に、ジャンプ動作に先立ってRA
M42からジャンプ先の記録層に対応する各種調整値を
読み出しておき、ジャンブ後のサーボ閉路動作におい
て、読み出した調整値に基づいてサーボゲインの調整を
行うことができるので、安定したサーボ制御を迅速に行
うことが可能となる。
【0051】[IV]本発明の第2実施例 本発明の第2実施例においては、片面二層ディスクをセ
ットアップ後、レンズのUPとDOWNにより得られる
フォーカスエラー信号のうち、一層目と二層目から得ら
れるフォーカスエラー信号を続けて抽出し、ゲイン値設
定を行ない、その後、トラッキングにおいては一層目の
トラッキングエラー信号よりゲイン値設定を行なう。次
に、二層目にフォーカスジャンプを行ない、二層目のト
ラッキングエラー信号よりゲイン値設定を行なう。以上
の動作も再生動作に先立つセットアップ(初期設定)動
作として行われる。本発明の第2実施例を図1のブロッ
ク図及び、図7のタイミングチャート図、図8及び図9
のフローチャート図を用いて説明する。
【0052】先ず、図7(a)は、レンズが上下動した
時に光ピックアップ22が検出した2つの(二層の場
合)フォーカスエラー信号(FE)を示した動作タイム
チャート図である。図中、記号Nは、レンズの上下動の
回数を示している。また、T1は、レンズが上昇して最
初(一層目)に得られたFE1の振幅電圧が、多層ディ
スク再生装置のROM39に記憶されている規定の閾値
THを越えた時点からFE1の完了までの時間、T2は
二層目のFE2の振幅電圧がTHを越えた時点から、レ
ンズがセットされた最大位置に上昇するまでに要する時
間である。また、T3は、レンズが降下する場合のもの
で、二層目のFE2がTHを越えた時点からFE2のS
字特性の終了までに要する時間である。また、T4は一
層目のFE1がTHを越えた時点からレンズがセットさ
れたレンズ降下終了位置に降下するまでに要する時間で
ある。また、T5は、一層目で最初に行うトラッキング
バランス調整に要する時間であり、T6は同様にトラッ
キングゲイン調整に要する時間である。また、同様にT
7及びT8は二層目におけるT5とT6の関係である。
【0053】では、本発明による第2実施例の動作を図
8及び図9のフローチャートを用いて説明する。先ず、
ステップS1として、光ディスクがセットされたか否か
を判断し、光ディスクがセットされている場合は、ステ
ップS2で前回の光ディスクを再生する際に設定した各
種データを初期化する。即ち、これから使用する多層デ
ィスク再生装置のカウンター値やタイマー値をリセット
する。
【0054】また、ステップS3において、各種ディス
クのディスク判別を行うが、ディスク判別の動作につい
ては、後述する。次に、ステップS4において、レンズ
を規定位置まで降下させる。そして、ステップS5にお
いて、レンズを規定速度で上昇さる。ステップS6にお
いて、Nは、レンズが上昇及び降下を繰返す回数を計数
しており、Mは、FEを取込んだ回数を計数している。
ステップS7において、予め多層ディスク再生装置のR
OM39に記憶されている、規定値閾値THと、得られ
たFE値とを比較している。FE値が得られない場合
は、レンズの上昇を継続する。レンズが上昇し、TH以
上のFE1が得られた場合は、FE1≧THを満足する
ので、ステップS8でタイマーT1の計時動作を開始す
る。
【0055】このタイマーT1の動作開始は、FE1の
振幅がTHレベルをクロス(越えた時点)した時点であ
る。このタイマーT1は前もって、ROM39等に設定
されているもので、最初のFEが終了するまでの時間を
設定している。ステップS9で一層目のFEの最大振幅
値FEP−Pを読み取り、RAM42に記憶する。ステ
ップS10において、タイマーの計時時間が規定時間T
1を越えたか否かを判断し、越えていないと判断した場
合(ステップS10;NO)には、タイマーの計時時間
T1に達するまで、レンズの上昇を継続する。規定時間
T1に達した場合(ステップS10;YES)には、ス
テップS11に移行して、Mに1を加算し、ステップS
12に移行する。ステップS12において、二層目のF
E値がTH以上であるか否かを判断する。FE値がTH
以下の場合には、FE値がTHを越えるまでレンズの上
昇を継続し、FE値がTHを越えた場合(ステップS1
2;YES)には、ステップS13に移行する。
【0056】ステップS13では、タイマーT2の計時
動作を開始させる。ステップS14で二層目のFEの最
大振幅値FEP−Pを読み取り、RAM42に記憶させ
る。ステップS15において、タイマーの計時時間Tが
規定時間T2を越えたか否かを判断し、規定時間T2を
越えている場合は、ステップS16でレンズを降下させ
る。ステップS17でN及びMの値に1を加算する。次
に、ステップS18において、二層目のFE値がTH以
上であるか否かを判断する。FE値がTH以下である場
合には、FE値がTHを越えるまでレンズの降下を継続
し、FE値がTHを越えた場合(ステップS18;YE
S)には、ステップS19に移行する。ステップS19
では、タイマーT3の計時動作を開始させる。ステップ
S20で二層目のFEの最大振幅値FEP−Pを読み取
り、RAM42に記憶させる。ステップS21におい
て、タイマーの計時時間Tが規定時間T3を越えたか否
かを判断し、規定時間T3を越えている場合は、ステッ
プS22でMの値に1を加算する。
【0057】また、ステップS23において、一層目の
FE値がTH以上であるか否かを判断する。FE値がT
H以下である場合には、FE値がTHを越えるまでレン
ズの降下を継続し、FE値がTHを越えた場合(ステッ
プS23;YES)には、ステップS24に移行する。
ステップS24では、タイマーT4の計時動作を開始さ
せる。ステップS25で一層目のFEの最大振幅値FE
P−Pを読み取り、RAM42に記憶させる。ステップ
S26において、タイマーの計時時間Tが規定時間T4
を越えたか否かを判断し、規定時間T4を越えている場
合は、ステップS27で設定したレンズの上下動の回数
を監視する。回数Nが4回に満たない場合(ステップS
27;NO)には、ステップS5に戻る。
【0058】一方、回数Nが4回を越えた場合(ステッ
プS27;YES)には、ステップS28に移行して、
一層目及び二層目のフォーカスゲイン調整を行う。そし
て、ステップS29で一層目及び二層目のフォーカスゲ
インをRAM42に記憶させる。その後、ステップS3
0でレンズを上昇させ、ステップS31で、FGA27
からの出力によりPWM29を動作させ駆動信号を出力
させると共に、サーボコントローラ38によりフォーカ
スサーボループを閉路状態にする。次に、ステップS3
2に移行して、タイマーに規定時間T5の計時時間を開
始させる。次いで、トラッキングエラー(TE)信号の
センターレベル(TRCL)を検出するべく、例えば、
TE信号の最大ピーク値と最小ピーク値を取込み、それ
らの差分を取る。この差分がTE信号センターのゼロレ
ベルからのオフセット量、つまり、TE信号を生成する
差動回路などのバランスズレ量に相当する。
【0059】本実施例では、このオフセット量を複数の
サンプルについて求め、平均化したものをTE信号のセ
ンターレベルとしている(ステップS33)。規定時間
T5は、平均的なセンターレベルを検出するのに十分な
TE信号のサンプル値を取込むことができる時間に設定
される。このTE信号のセンターレベルの検出動作はス
テップS34においてタイマーの計時時間が規定時間T
5に達するまで繰り返し実行される。ステップS34に
おいてタイマーの計時時間が規定時間T5を越えた場合
には、ステップS35に移行して、ステップS33で求
めたオフセット量に基づいてTRCLがゼロレベルとな
るようにTRBL回路43を介してトラッキングバラン
スの調整を行なう。
【0060】次に、ステップS36に移行して、タイマ
ーに規定時間T6の計時動作を開始させる。次いで、ス
テップS37に移行してTE信号の最大振幅値であるT
P−Pを取込む。この取込み動作はタイマーの計時時
間Tが規定時間T6に達するまで繰り返し実行される
(ステップS38)。この際、繰り返し取込んだ最大振
幅値の平均化処理を行なう。ステップS38において、
タイマーの計時時間Tが規定時間T6を越えた場合に
は、ステップS39に移行して、トラッキングゲインの
調整が行なわれる。調整するゲイン値は、ステップS3
7において求めたTE信号の平均化された最大振幅値に
基づいて決定する。つまり、平均化された最大振幅値が
所定の振幅値となるようにサーボゲインを設定するので
ある。次いで、ステップS40で一層目のトラッキング
ゲインをRAM42に記憶する。ステップS41でフォ
ーカスジャンプさせ、読み取りビームの合焦位置を一層
目から二層目へ移行する。
【0061】次に、二層目のFE2がゼロクロス近傍と
なる位置までレンズを上昇させた後(ステップS4
2)、サーボコントローラ38からサーボクローズ信号
を出力せしめる。PWM29はサーボコントローラ38
から出力されるサーボクローズ信号に応じてFGA27
からの出力信号、つまりフォーカスエラー信号に基づい
てフォーカスコイル駆動用のパルス信号を生成する。こ
のように、PWM29が動作可能状態になることによっ
て、フォーカスサーボループが閉路状態となる(ステッ
プS42)。次に、ステップS43に移行して、タイマ
ーに規定時間T7の計時動作を開始させる。次いで、ト
ラッキングエラー(TE)信号のセンターレベル(TR
CL)を検出すべく、例えば、TE信号の最大ビーク値
を取り込み、それらの差分を取る。この差分がTE信号
センターのゼロレベルからのオフセット量、つまり、T
E信号を生成する差動回路などのバランスズレ量に相当
する。
【0062】本実施例では、このオフセット量を複数の
サンプルについて求め、平均化したものをTE信号のセ
ンターレベルとしている(ステップS44)。規定時間
T7は、平均的なセンターレベルを検出するのに十分な
TE信号のサンプル値を取り込むことができる時間に設
定される。このTE信号のセンターレベルの検出動作は
ステップS45においてタイマーの計時時間が規定時間
T7に達するまで繰り返し実行される。ステップS45
においてタイマーの計時時間が規定時間T7を越えた場
合には、ステップS46に移行して、ステップS44で
求めたオフセット量に基づいてTRCLがゼロレベルと
なるようにTRBL回路43を介してトラッキングバラ
ンスの調整を行なう。
【0063】次に、ステップS47に移行して、タイマ
ーに規定時間T8の計時動作を開始させる。次いで、ス
テップS48に移行してTE信号の最大振幅値であるT
P−Pを取り込む。この取り込み動作はタイマーの計
時時間が規定時間T8に達成されるまで繰り返し実行さ
れる(ステップS49)。この際、繰り返し取り込んだ
最大振幅値の平均化処理を行なう。ステップS49にお
いて、タイマーの計時時間Tが規定時間T8を越えた場
合には、ステップS50に移行して、トラッキングゲイ
ンの調整が行なわれる。調整するゲイン値は、ステップ
S48において求めたTE信号の平均化された最大振幅
値に基づいて決定する。つまり、平均化された最大振幅
値が所定の振幅値となるようにサーボゲインを設定する
のである。次にステップS51に移行して、トラッキン
グサーボループを閉路状態にせしめるべく、サーボコン
トローラ38からサーボクローズ信号を出力せしめる。
PWM36はサーボコントローラ38から出力されるサ
ーボクローズ信号に応じてTGA34からの出力信号、
つまりトラッキングエラー信号に基づいてトラッキング
コイル駆動用のパルス信号を生成する。
【0064】このように、PWM36が動作可能状態に
なることによって、トラッキングサーボループが閉路状
態となる。次いで、ステップS52で二層目のトラッキ
ングゲインを記憶する。ステップS53において、多層
ディスク基板のセットアップが終了する。本発明の第2
実施例では、フォーカス、トラッキングを共にゲインの
み調整、記憶したが、第1実施例と同様にイコライザー
値も調整、記憶することも勿論可能である。このように
して、各層におけるフォーカスサーボループのループゲ
イン値を得るためのフォーカスエラー信号を、レンズの
1回のUPとDOWNにより、全て取込んでいるので、
本発明の第1実施例よりも、迅速にゲイン値設定をおこ
なうことが可能となる。
【0065】[V]本発明の第3実施例 本発明の第3実施例においては、本発明の第2実施例で
二層目のトラッキングエラー信号を抽出するために、二
層目にフォーカスジャンプを行なっているが、本実施例
では、フォーカスジャンプすることなく一層目及び二層
目のフォーカス及びトラッキングのゲイン値を設定する
方法を述べる。本発明の第3実施例を図1のブロック図
及び図10、11のフローチャート図を用いて説明す
る。一層目のフォーカスゲイン値と二層目のフォーカス
ゲイン値及び、一層目のトラッキングゲイン値を調整す
る過程のステップS1〜ステップS40については、実
施例2の図8、9と同じため説明を省略する。ステップ
S41でステップS9、S14、S20、S25で取込
んだFEP−P値のうち、例えばサーボコントローラ3
8が一層目のフォーカスエラーの最大振幅値の平均値と
二層目のフォーカスエラーの最大振幅値の平均値の比率
を求め、AとしてRAM42に記憶する。次に、ステッ
プS42にて二層目のトラッキングゲインを、ステップ
S41で記憶したAを一層目のトラッキングゲイン値に
掛け合わせ演算により求め、二層目のトラッキングゲイ
ン値としてステップS43にてRAM42に記憶する。
【0066】このようにして、二層目のトラッキングゲ
インを各層のフォーカスエラーの振幅値の比率より求め
ているので、二層目のトラッキングゲインの調整時間が
節約できる。また、本実施例では、比率は各層のフォー
カスエラーの振幅値より演算したが、ステップS29で
記憶した各層のフォーカスゲインの値から比率を求めて
も、勿論同じ効果が得られる。尚、本発明の第3実施例
においては、第2実施例の変形例として説明したが、本
発明の第3実施例の方法は、本発明の第1実施例にも適
用可能である。即ち、二層目にフォーカスジャンプを行
なった後、二層目から得られるフォーカスエラー信号を
抽出し、ゲイン設定を行ない、その後、トラッキングに
おいては、本発明の第3実施例の方法を用いることがで
きる。
【0067】[VI]本発明のディスク判別方法 ここで、上述したフローチャートの中で用いたディスク
判別法について、図12に示すレンズ交換型のディスク
判別法、図13は二焦点レンズを用いたときのディスク
判別法にて示す。 (1)レンズ交換型のディスク判別法 先ず、図12において、ステップS1で光ピックアップ
にレンズ1を装着する。次に、ステップS2において、
レンズを規定の位置まで上昇させる。その後、ステップ
S3でレンズを規定速度で降下させる。ステップS4は
フォーカスエラー信号を検出する部分であり、得られる
FEと予め規定された閾値の一つであるTH1とを比較
し、得られたFE値がTH1を越えた場合は、ステップ
S5で再度フォーカスエラー信号を検出する。ステップ
S5では、ステップS4とは別に、予め規定された閾値
の一つであるTH2とFEを比較している。
【0068】ここで設けた2つの閾値TH1、TH2
は、レンズ1を用いたときにCDとDVDで発生するF
Eの最大振幅の大きさの違いを閾値の規定としている。
即ち、TH1はCD用であり、TH2はDVD用であ
る。この結果、載置された光ディスクがDVDの場合
は、ステップS4でFE≧|TH1|の条件を満足し、
ステップS5において、FE≧|TH2|を満足しない
場合は、CDであると判断される。そして、ステップS
6でD=2をセットすることが求められステップ12に
送られ、レンズの降下を中止する。また、ステップS5
でFE≧|TH2|を満足した場合は、DVDの一層目
であると判断され、ステップS7でD=1がセットされ
る。その後、ステップS8でタイマーT2がセットされ
る。このタイマーT2は、多層ディスクの場合に、一層
目のS字が終了する時間を待っているので、この規定値
を設定している。
【0069】そして、ステップS9でFEの発生時間を
監視している。ステップS10で再度TH2を越えるF
Eが発生した場合は、ステップS11で二層のディスク
であると判断され、D=3がセットされる。また、ステ
ップS9でT2≧tを満足する場合は、二層目のFEの
S字がいないのであり、ステップS12に送られ、レン
ズの降下を中止する。そして、ステップS13において
Dの値を確認し、1であれば0.6mmの一層ディスク
に、また、3であれば0.6mmの二層ディスクである
と判断し、ステップS15において、ディスク判別を終
了する。また、ステップS13において、Dが2の場合
は、1.2mmディスクスと判断され、ステップS14
でレンズ2をセットして、ステップS15において、デ
ィスク判別を終了する。
【0070】(2)二焦点レンズを用いた時のディスク
判別法 図13は、二焦点レンズを用いた場合のディスク判別法
であり、図13において先ず、ステップS1において、
レンズを規定の位置まで上昇させる。その後、ステップ
S2でレンズを規定速度で降下させる。ステップS3は
フォーカスエラー信号を検出する部分であり、得られる
FEと予め規定された閾値の一つであるTH1とを比較
し、得られたFE値がTH1を越えた場合は、ステップ
S4で再度フォーカスエラー信号を検出する。ステップ
S4では、ステップS3とは別に、予め規定された閾値
の一つであるTH2とFEを比較している。ここで設け
た2つの閾値TH1、TH2は、二焦点レンズを用いた
ときにCDとDVDで0次光又は1次光によって発生す
るFEの最大振幅の大きさの違いを閾値の規定としてい
る。
【0071】即ち、TH1はCD用であり、TH2はD
VD用である。この結果、載置された光ディスクがDV
Dの場合は、ステップS3でFE≧|TH1|の条件を
満足し、ステップS4において、FE≧|TH2|を満
足しない場合は、CDであると判断される。そして、ス
テップS5でD=2をセットすることが求められステッ
プ11に送られ、レンズの降下を中止する。また、ステ
ップS4でFE≧|TH2|を満足した場合は、DVD
の一層目であると判断され、ステップS6でD=1がセ
ットされる。その後、ステップS7でタイマーT2がセ
ットされる。このタイマーT2は、多層ディスクの場合
に、一層目のS字が終了する時間を待っているので、こ
の規定値を設定している。
【0072】そして、ステップS8でFEの発生時間を
監視している。ステップS9で再度TH2を越えるFE
が発生した場合は、ステップS10で二層のディスクで
あると判断され、D=3がセットされる。また、ステッ
プS9でT2≧tを満足する場合は、二層目のFEのS
字が発生していないことであり、ステップS11に送ら
れ、レンズの降下を中止する。そして、ステップS12
においてDの値を確認し、1であれば0.6mmの一層
ディスクに、また、3であれば0.6mmの二層ディス
クであると判断し、ステップS12において、ディスク
判別を終了とする。上述したディスク判別方により、C
D、DVD(一層)、DVD(二層)が判別され、本実
施例では、DVD(二層)が使用されることになる。
【0073】[VII]本発明の第4実施例 本発明の第4実施例においては、フォーカス及びトラッ
キングのゲイン値設定と共に、RF信号のゲイン値設定
も行なう方法である。図14及び図15は、RF信号の
ゲインを調整するフローチャート図であり、本発明によ
る第1及び第2実施例で用いたフローチャート図に含め
なかった部分である。先ず、第4の実施例として図14
を用いて説明する。ステップS1は一層目及び二層目の
フォーカスゲイン調整を上述した実施例のように自動的
に行ない、ステップS2で一層目のフォーカスループを
閉路とする。その後、ステップS3で一層目のトラッキ
ングゲイン調整を行い、ステップS4でトラッキングの
ループを閉路とする。そして、ステップS5で一層目の
RF信号の最大振幅値を読込み、RGA48、サーボコ
ントローラ38によりゲイン値が演算されステップS6
でRAM42に記憶させる。次に、ステップS7でフォ
ーカス及びトラッキングループを開路とし、ステップS
8で二層目に移動する。ステップS9からステップS1
3までは、一層目の動作と同様なので、説明を省略す
る。
【0074】その後、ステップS14において、RAM
42に記憶されている一層目のフォーカスゲイン値及び
トラッキングゲイン値及びRFゲイン値を読み出し、ス
テップS15で再びフォーカスを開路し、一層目に移動
する。ステップS16でフォーカス及びトラッキングル
ープを閉路にする。そして、ステップS17で多層ディ
スク再生装置をプレイ状態にし再生する。ステップS1
8において、載置されたディスクが最後まで再生される
か停止命令が来れば、ステップS23で終了する。しか
し、ステップS18で停止命令が来ない場合は、ステッ
プS19で他の層にジャンプする命令が来た場合は、ス
テップS20において、トラッキング及びフォーカスル
ープを開路にし、ステップS21で多層のフォーカスゲ
イン値、トラッキングゲイン値及びRFゲイン値を読み
出し、ステップS22で他層にジャンプし多層の演奏を
するためステップS17に戻り、演奏が終了すればステ
ップS23の再生を終了する。このようにして、RF信
号に対しても、各層におけるRF信号のゲイン値を設定
記憶しているので、再生時の各サーボが安定し、信号を
正確に再生することができる。
【0075】[VIII]本発明の第5実施例 本発明の第5実施例においては、本発明の第4の実施例
の変形例として、トラッキングクローズせずに、RF信
号の最大振幅値を取込む方法である。本発明の第5実施
例について、図15を用いて説明する。ステップS1〜
ステップS3は図14と同じなので省略する。ステップ
S4でトラッキングオープン状態のまま一層目のRF信
号の最大振幅値を読み、RGA48、サーボコントロー
ラ38によりゲインが演算され、ステップS5でRAM
42に記憶される。次に、ステップS6でフォーカスル
ープを開路とし、ステップS7で二層目に移動する。ス
テップS8〜ステップS10は、一層目の動作と同じな
ので省略する。その後、ステップS11でフォーカスル
ープを開路とし、ステップS12でRAM42に記憶さ
れている一層目のフォーカスゲイン値、トラッキングゲ
イン値及びRFゲイン値を読み出し、ステップS13で
一層目に移動し、ステップ14でフォーカス及びトラッ
キングループを閉路にする。以下ステップS15〜ステ
ップS20は図12のステップS17〜ステップS22
と同じなので省略する。このようにして、本発明の第5
実施例においては、トラッキングをオープン状態で、各
層のRF信号の最大振幅値を取込んでいるため、本発明
の第4実施例よりも調整時間が短くなり、より迅速に設
定動作が行なえる。
【0076】[IX]本発明の第6実施例 本発明の第6実施例においては、本発明の第5の実施例
の変形例として、RF信号のゲイン値を予め各ディスク
及び各層毎に設定値を設け記憶させておく方法である。
本発明の第6実施例について、図16を用いて説明す
る。ステップS1〜ステップS3は図15と同じなので
省略する。ステップS4は、各ディスク及び各層毎の規
定値が予めROM39に記憶されている一層目のRF信
号のゲイン値を読み込み設定し、ステップS5におい
て、フォーカスループを開路とし、ステップS6で二層
目に移動する。ステップS7トラッキングゲインを調整
した後、ステップS8で一層目と同様に、ROM39に
予め記憶されている二層目のRF信号のゲイン値を読み
込み設定し、ステップS9でフォーカスループを開路と
し、ステップS10で再度一層目に移動する。そして、
ステップS11でRAM42に記憶されている一層目の
フォーカスゲイン値、トラッキングゲイン値及びRFゲ
イン値を読み出し、ステップS12でフォーカス及びト
ラッキングループを閉路にする。ステップS13以降は
図15のステップS15〜ステップS20と同じなので
省略する。このようにして、本発明の第6実施例におい
ては、RF信号のゲイン値を予め各ディスク及び各層毎
に設定値を設け記憶させておくので、本発明の第5実施
例よりも調整時間が短くなり、より迅速に設定動作が行
なえる。
【0077】実施例ではフォーカス及びトラッキングの
ゲイン調整と共に、RFゲイン調整を行う例について説
明したが、RFゲイン調整のみ行うことも勿論可能であ
る。また、特定の周波数帯域の信号、例えば3T(最小
時間幅)をRGA48とサーボコントローラ38により
抜き出し、若しくは3TのみをBPFにより抜き出しA
/D変換して3Tのレベルを取込みRGA48に供給
し、少なくとも3T周波数のレベルをアップするように
イコライザの調整を同時に行うか、イコライザの調整の
みを行っても良い。これいより、RF信号のアイパター
ンが開き、適切なスピンドルサーボが行なえ、信号読取
り能力が向上する。本実施例では図14、15のよう
に、トラッキング閉回路/開回路にてRF信号の最大振
幅値を読込み、RF信号のゲイン調整を行ったが、RF
信号をフォーカスエラーと同じ光ピックアップ22内の
図示せぬ4分割光変換器から作る場合、一層目と二層目
のフォーカスエラーの最大振幅値を読み、この値から各
層のRF信号に対するゲイン値を設定記憶するようにし
ても同様な効果が得られる。
【0078】これは、例えば各層に対し、基準ディスク
にてFEのレベルがいくつになるか基準値をRAM42
に記憶しておき、この各層の基準値と各層のFE値を比
較し、各層のRF信号に対する比率としてゲイン値を設
定し記憶する。更に、本実施例では、二層目ディスクの
一層目と二層目についてのみRFゲイン調整を行い記憶
したが、DVDの一層目ディスク及びCDについても合
わせてフォーカストラッキング及びRF各ゲイン値及び
/若しくはイコライザ値を調整して記憶して利用しても
良い。また、フォーカス、トラッキングのゲイン及び/
若しくはイコライザの値を測定して調整・記憶する場
合、RFのゲイン及び/若しくはイコライザの値につい
て、予め各ディスク及び各層毎に設定値を設けROM3
9に記憶しておき、調整は行なわず、この設定値を用い
ても良い。更に、ゲイン値及び若しくはイコライザの値
を測定・調整中に傷があった場合に対し別途図示せぬ傷
検出回路を設け、その傷の間は測定を中断するなり、再
測定することも可能である。尚、上述した二層ディスク
を両面に形成したディスクの場合、各記録層の調整値と
共に、面識別情報を併せて記憶することにより、ディス
ク再生面が変化した際にも迅速な対応が可能となる。ま
た、調整値と共にディスク固有情報を記憶しておけば、
再生時に固有情報を識別することにより、一度初期設定
を行ったディスクに対する再度の初期設定動作を不要に
することができる。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1及び2に
記載の発明によれば、ジャンプする度にジャンプ先の記
録層に対応するサーボゲインを測定する必要がなくな
り、層間ジャンプ動作等に対して、迅速且つ安定に動作
させることが可能となる。 また、第二の記録層に対応す
るトラッキングサーボループゲインを演算により求めて
いるため、調整時間を節約することができる。
【0080】請求項3に記載の発明によれば、対物レン
ズの一回のUP又はDOWNによって得られる第一の記
録層に対応するフォーカスエラー信号の最大振幅値と第
二の記録層に対応するフォーカスエラー信号の最大振幅
値とを取り込み、当該各最大振幅値に基づき、第一の記
録層に対応するフォーカスサーボループゲインと第二の
記録層に対応するフォーカスサーボループゲインとを求
めるので、より迅速に第一及び第二の記録層に対応する
フォーカスサーボループゲインを求めることができる。
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】請求項6に記載の発明によれば、記憶手段
に予め各ディスク及び各層毎に設定値を設け記憶させて
おくので、RF信号の最大振幅値からRF信号のゲイン
値又は/及びイコライザ値を測定・演算することなく設
定することが可能となり、迅速且つ安定に動作させるこ
とが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による多層ディスク再生装置のブロック
【図2】本発明に用いる二焦点レンズの構造とフォーカ
スエラー信号の関係図。
【図3】本発明の第1実施例における一層目のフォーカ
スエラー信号発生のタイムチャート図。
【図4】本発明の第1実施例における二層目のフォーカ
スエラー信号発生のタイムチャート図。
【図5】本発明の第1実施例における動作フローチャー
ト図。
【図6】図5から続く動作フローチャート図。
【図7】本発明の第2実施例におけるフォーカスエラー
信号発生のタイムチャート図。
【図8】本発明の第2実施例における動作フローチャー
ト図。
【図9】図9から続く動作フローチャート図。
【図10】本発明の第3実施例における動作フローチャ
ート図。
【図11】図10から続く動作フローチャート図。
【図12】本発明に用いられるレンズ交換型ディスク判
別法の動作フローチャート図。
【図13】本発明に用いられる二焦点レンズ型ディスク
判別法の動作フローチャート図。
【図14】本発明に用いられる第4実施例における動作
フローチャート図。
【図15】本発明に用いられる第5実施例における動作
フローチャート図。
【図16】本発明に用いられる第6実施例における動作
フローチャート図。
【図17】CD/DVDコンパチブル再生装置の二焦点
レンズ型ピックアップのフォーカスエラー信号の発生波
形を示した図。
【符号の説明】
20・・・光ディスク 21・・・スピンドルモータ 22・・・光ピックアップ 23・・・RFAmp 24、31・・・LPF 25、32・・・可変増幅器 26、33、49・・・A/D変換器 27・・・フォーカスゲイン制御器(FGA) 28、35・・・D・EQ(デジタル・イコライザ) 29、36・・・PWM 30・・・フォーカスコイル駆動回路 34・・・TGA(トラッキングゲイン制御器) 37・・・トラッキング駆動回路 38・・・サーボコントローラ 39・・・ROM 40・・・CPU 41・・・操作部 42・・・RAM 43・・・TR・BL(トラッキング・バランス制御回
路) 45・・・増幅器 46・・・EFMデコーダ 47・・・スピンドルモータ駆動回路 48・・・RGA(RFゲイン制御回路)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−54396(JP,A) 特開 平4−364229(JP,A) 特開 平7−287855(JP,A) 特開 平5−159318(JP,A) 特開 平9−147391(JP,A) 特開 平8−185636(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/09 - 7/10 G11B 21/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の記録層を備えた多層ディスクを再
    生する多層ディスク再生装置において、フォーカスエラー信号に基づいて、第一の記録層に対応
    するフォーカスサーボループゲインと第二の記録層に対
    応するフォーカスサーボループゲインとを測定する第一
    の測定手段と、 トラッキングエラー信号に基づいて、前記第一の記録層
    に対応するトラッキングサーボループゲインを測定する
    第二の測定手段と、 前記第一の記録層に対応するフォーカスエラー信号の最
    大振幅値と前記第二の記録層に対応するフォーカスエラ
    ー信号の最大振幅値との比率を求める第一の演算手段
    と、 前記第一の記録層に対応するトラッキングサーボループ
    ゲインに前記比率を乗算し、前記第二の記録層に対応す
    るトラッキングサーボループゲインを求める第二の演算
    手段と、 前記第一の記録層に対応するフォーカスサーボループゲ
    イン及び前記第二の記録層に対応するフォーカスサーボ
    ループゲインと、前記第一の記録層に対応するトラッキ
    ングサーボループゲイン及び前記第二の記録層に対応す
    るトラッキングサーボループゲインと、を記憶する記憶
    手段と、 層間ジャンプに先だって、ジャンプ先の前記記録層に対
    応するいずれかの前記フォーカスサーボループゲイン及
    びいずれかの前記トラッキングサーボゲインを前記記憶
    手段から読出して設定する設定手段と、 を備えることを特徴とする 多層ディスク再生装置。
  2. 【請求項2】 複数の記録層を備えた多層ディスクを再
    生する多層ディスク再生装置において、 フォーカスエラー信号に基づいて、第一の記録層に対応
    するフォーカスサーボループゲインと第二の記録層に対
    応するフォーカスサーボループゲインとを測定する第一
    の測定手段と、 トラッキングエラー信号に基づいて、前記第一の記録層
    に対応するトラッキングサーボループゲインを測定する
    第二の測定手段と、 前記第一の記録層に対応するフォーカスサーボループゲ
    インと前記第二の記録層に対応するフォーカスサーボル
    ープゲインとの比率を求める第一の演算手段と、 前記第一の記録層に対応するトラッキングサーボループ
    ゲインに前記比率を乗算し、前記第二の記録層に対応す
    るトラッキングサーボループゲインを求める第二の演算
    手段と、 前記第一の記録層に対応するフォーカスサーボループゲ
    イン及び前記第二の記録層に対応するフォーカスサーボ
    ループゲインと、前記第一の記録層に対応するトラッキ
    ングサーボループゲイン及び前記第二の記録層に対応す
    るトラッキングサーボループゲインと、を記憶する記憶
    手段と、 層間ジャンプに先だって、ジャンプ先の前記記録層に対
    応するいずれかの前記フォーカスサーボループゲイン及
    びいずれかの前記トラッキングサーボゲインを前記記憶
    手段から読出して設定する設定手段と、 を備えることを特徴とする 多層ディスク再生装置。
  3. 【請求項3】 前記第一の測定手段は、対物レンズの一
    回のUP又はDOWNによって得られる前記第一の記録
    層に対応するフォーカスエラー信号の最大振幅値と前記
    第二の記録層に対応するフォーカスエラー信号の最大振
    幅値とを取り込み、当該各最大振幅値に基づき、前記第
    一の記録層に対応するフォーカスサーボループゲインと
    前記第二の記録層に対応するフォーカスサーボループゲ
    インとを求めることを特徴とする請求項1又は2記載の
    多層ディスク再生装置。
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