JP3473869B2 - 球状ポリアリレート及びその製造方法 - Google Patents

球状ポリアリレート及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、球状ポリアリレート及
びポリアリレート含有塩化メチレン溶液から、球状ポリ
アリレートを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、粒状のポリアリレートを製造する
方法として種々の方法が提案されている。例えば、ポリ
アリレートを溶解せず、塩化メチレンと相溶するような
貧溶媒中に界面重合後のポリアリレートの塩化メチレン
溶液を強攪拌下で添加し、ポリアリレートを沈澱する溶
剤沈澱法、ポリアリレートの塩化メチレン溶液を押出機
中で加熱又は減圧下で加熱することによって溶媒を留去
し、ポリアリレート粉末を製造するニーダー法、ポリア
リレートの溶液を噴霧して溶媒を留去し、微粒子状粉末
を製造するスプレードライ法等がある。
【0003】前記溶剤沈澱法によるポリアリレート粉末
の製造においては、貧溶媒を塩化メチレン溶液の体積の
20倍程度使用しなければならず、非常にコストが高く
なり、また厳密に防爆された設備が必要であった。さら
に、この方法によって得られる粉末は嵩密度が低くハン
ドリングが非常に悪いという問題があった。また、ニー
ダー法によるポリアリレート粉末の製造においては、ポ
リアリレートがブロック状の塊となって固化するため内
部に塩化メチレンが残留し易く、また、さらにこの方法
は比較的高い温度を必要とするため場合によってはポリ
アリレートが着色するという問題があった。スプレード
ライ法によるポリアリレート粉末の製造においては、塩
化メチレン溶液の粘度調整が必要であり、例えば高粘度
の溶液を用いた場合ポリアリレートは繊維状になり粉末
で得ることが困難である。また低粘度に希釈して粉末状
のポリアリレートが得られたとしても粒子径が100μ
m以下の非常にハンドリングの悪い物であるという問題
があった。
【0004】これらの問題を解決し得る可能性のある、
粉末のポリアリレートを得る方法として、特開平1−1
58042号公報には、ポリマーの有機溶媒溶液に分散
剤を含む水溶液を徐々に添加し最初にW/Oエマルショ
ンを形成してからO/Wエマルションへ転相した後、溶
媒を留去することにより、100μm以下で粒径の揃っ
た球状ポリマーを製造する方法が開示されている。この
方法によれば粒子径の揃ったポリマー粒子が得られる
が、転相過程を経由することによってW/O/W型の複
相エマルションを形成し易く、このエマルションをその
まま固化させると、内部に分散剤の水溶液を包含したポ
リマー粒子ができ、この内部に残留した分散剤が不純物
となってしまいポリマーの熱安定性や色調を悪くすると
いう問題があった。
【0005】また、特開平4−202220号公報に
は、重合を重合中にポリアリレートがゲル又は固形物と
なって析出するような高い濃度で行い、この際に予め分
散安定剤を添加し、粒状のポリアリレートを析出させる
方法が開示されている。この方法によれば、ポリアリレ
ートの粉末が得られたとしても重合中にゲル化すること
によって活性な酸クロライド末端が失活せず、また未反
応モノマーがポリマー内部に残留し、ポリマーの色調や
熱安定性を悪くするという問題があった。さらにこの方
法では、粒子状に粉砕するための特殊な攪拌装置が必要
であると言う問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この様な状況に鑑み、
本発明の課題は、活性末端基を含まないポリアリレート
よりなり、また分散剤等の不純物を含まず、ハンドリン
グが良く、粉体流動性に優れた球状ポリアリレート及び
その製造方法の提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討を行った結果、ポリアリレー
トを溶解した塩化メチレン溶液を、攪拌下のポリビニル
アルコール水溶液中に添加し、さらに消泡剤を添加した
後、両混合液を特定の温度に加熱して塩化メチレンを留
去することにより、球状のポリアリレートを得ることが
でき、この球状のポリアリレートは活性末端を有してい
ないポリアリレートよりなり、不純物を含むこと無くさ
らにハンドリングが良く、粉体流動性に優れていると言
う知見を得、この知見に基づき本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、二価フェノー
ル成分と芳香族ジカルボン酸成分から得られるポリアリ
レートよりなり、平均粒子径が200μm以上でかつ注
入法で測定した安息角が35deg以下であることを特
徴とする球状ポリアリレートである。また、このような
球状ポリアリレートは、次のような工程を経て製造する
ことができる。
【0009】(1)攪拌しながら、ポリアリレートを含
む塩化メチレン溶液をポリビニルアルコール水溶液に添
加する工程 (2)消泡剤を添加する工程 (3)攪拌しながら、40〜55℃の温度範囲で加熱
し、塩化メチレンを留去して球状のポリアリレートを生
成させる工程 (4)攪拌しながら、90〜100℃の範囲に加熱して
残留する塩化メチレンを留去すると共に精製する工程
【0010】以下本発明を詳細に説明する。本発明の球
状ポリアリレートは、二価フェノール成分と芳香族ジカ
ルボン酸成分から得られる非晶性芳香族ポリエステル
(ポリアリレート)よりなる。
【0011】ポリアリレートを構成する二価フェノール
成分として、例えば、レゾルシノール、ハイドロキノ
ン、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノー
ル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2
−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ
ルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフ
ィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ジフェニルメタン、4,4’−(m−
フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、4,
4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェ
ノール、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデ
ン)ビス(2,6−キシレノール)、ビス(3,5−ジ
メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビ
ス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スル
ホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)スルフィド、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘ
キサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1
−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、4,4’−(1−メチルペンチリデ
ン)ビスフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5
−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4'−ジヒ
ドロキシルビフェニル、3,3',5,5' −テトラメチ
ル−4,4' −ジヒドロキシビフェニル、4,4' −ジ
ヒドロキシベンゾフェノンや1,4−ジ(4−ヒドロキ
シフェニル)−p−メンタン、1,4−ジ(3−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、1,4−
ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p
−メンタン等のテルペンジフェノール類等を挙げること
ができる。また、ポリマーの特性を損なわない範囲で二
価フェノールを、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサン
ジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ドデ
カンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサ
ンジオール、1、4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサ
ン等の二価アルコールで置き換えてもよい。
【0012】また、ポリアリレートを構成する芳香族ジ
カルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフ
タル酸、オルソフタル酸、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、sec−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基が
1ないし2個置換したフタル酸誘導体類、1,5−ナフ
タレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸
等のナフタレンジカルボン酸誘導体類、4,4’−ジカ
ルボキシビフェニル、ジフェン酸、4,4’−ジカルボ
キシジフェニルエーテル、ビス(p−カルボキシフェニ
ル)アルカン、4,4’−ジカルボキシジフェニルスル
ホン、などが挙げられ、これらの1種もしくは2種以上
を混合して用いてもよい。この中でも好ましいのは、テ
レフタル酸及びイソフタル酸であり、特に好ましいのは
テレフタル酸とイソフタル酸の混合物である。
【0013】さらに、前述した芳香族ジカルボン酸の他
に、実質的にその特性を損なわない範囲で、他の脂肪族
ジカルボン酸で置き換えてもよい。そのようなジカルボ
ン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン
酸、セバシン酸、グルタル酸、ドデカン二酸等を挙げる
ことができる。
【0014】また、ポリアリレートの末端は、フェノー
ルのほか、o,m,p−クレゾール、ジメチルフェノー
ル、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−n−
プロピルフェノール、o,m,p−イソプロピルフェノ
ール、o,m,p−n−ブチルフェノール、o,m,p
−イソブチルフェノール、o,m,p−sec−ブチル
フェノール、o,m,p−tert−ブチルフェノール
等の一価フェノールやメタノール、エタノール、n−プ
ロパノール、イソプロパンノール、ブタノール、ペンタ
ノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリ
ルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコ
ール等の一価のアルコールや酢酸、プロピオン酸、オク
タン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイ
ル酸、フェニル酢酸、p-tert−ブチル安息香酸、p
−メトキシフェニル酢酸等の一価のカルボン酸で封鎖さ
れていてもよい。
【0015】本発明の球状のポリアリレートは、ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィーで測定した、ポリス
チレン換算の数平均分子量が、5000以上、特に10
000〜300000であるポリアリレートよりなるこ
とが好ましい。分子量が5000未満であると、ポリマ
ーとしての機械的物性が低下し、一方300000を超
えると溶融時の加工性が低下するので好ましくない。
【0016】また、本発明の球状ポリアリレートは平均
粒子径が200μm以上、好ましくは400μm以上で
ある。平均粒子径が200μm未満であるとハンドリン
グが悪くなることがある。平均粒子径の測定方法は種々
提案されているが、本発明の平均粒子径とは光学顕微鏡
や走査電子顕微鏡によって直接測定した各サンプルの粒
子径の数平均値を単に平均粒子径とした。また、本発明
の球状ポリアリレートは、その短径と長径の比=短径/
長径が0.95〜1.00の範囲にある実質的に球形の
形状を有していることが好ましい。
【0017】通常粉体の流動性は安息角を指標として表
されるが、本発明の球状のポリアリレートは安息角が3
5deg以下、好ましくは30deg以下である。安息
角が35deg以下のものは、さらさらとしており、滑
りがよい。特に、球状ポリアリレートを成形やポリマー
アロイの成分として用いる場合、安息角が35degを
超えると成形機や押出機のホッパーでブリッジを形成す
ることがある。安息角の測定は種々提案されているが、
本発明では注入法(化学工学便覧、第4版、〔化学工学
協会編、丸善刊〕987ページ参照)によって測定した
値を採用した。
【0018】また、本発明の球状のポリアリレートは、
0.5以上、特に0.7以上の嵩密度を有していること
が好ましい。嵩密度が0.5未満であるとハンドリング
が悪くなる傾向にあり好ましくない。嵩密度は、公知の
方法で測定することができる。本発明においては、タッ
ピングしない場合の嵩密度が採用される。
【0019】次に、球状ポリアリレートの製造方法につ
いて説明する。球状ポリアリレートを製造するに当たっ
て、用いるポリアリレートとしてはどのような製造方法
で得たものでもよいが、界面重合法によると、一連の工
程として製造できるので好ましい。また、ポリアリレー
トを出発物質とするので、当然活性物質を含まない球状
ポリアリレートが得られる。
【0020】以下界面重合法による一連の工程で球状ポ
リアリレートを製造する方法について述べる。界面重合
は重合触媒の共存下で、二価フェノールと場合によって
は前述した末端封鎖剤を溶解したアルカリ水溶液に、塩
化メチレンに溶かした芳香族ジカルボン酸ハライドを混
合して二価フェノールと前述した芳香族ジカルボン酸の
ハライドを2〜50℃で0.5〜5時間攪拌しながら反
応させることにより行われる。
【0021】界面重合時の塩化メチレンの量は、通常ポ
リマー濃度が5〜25重量%となるように仕込むことが
好ましい。ポリマー濃度が25重量%を超えると重合時
にポリマーがゲル状になって析出することがある。ゲル
状になったポリマー中の酸ハライド基等の活性末端は後
述する処理工程で失活させることが困難であり、この様
なポリマーは成形時の色調に悪影響を与える。また、ア
ルカリ水の量は、通常塩化メチレンの体積の1〜3倍用
いることが好ましい。なお、芳香族ジカルボン酸ハライ
ドにおけるハライドとしては、塩素、臭素、ヨウ素が挙
げられ、特に塩素が好ましい。また、反応時に用いるア
ルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が
挙げられる。
【0022】さらに重合触媒としては、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ
−n−プロピルアミン、トリ−イソプロピルアミン、ト
リヘキシルアミン、トリデシルアミン、N, N−ジメチ
ルシクロヘキシルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチ
ルアニリン等の第3級アミン類、トリメチルベンジルア
ンモニウムハライド、テトラメチルベンジルアンモニウ
ムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライ
ド、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムハライド、
テトラ−n−ブチルアンモニウムハライド等の第4級ア
ンモニウム塩等、トリメチルベンジルホスホニウムハラ
イド、テトラメチルベンジルホスホニウムハライド、ト
リエチルベンジルホスホニウムハライド、トリ−n−ブ
チルベンジルホスホニウムハライド、テトラ−n−ブチ
ルホスホニウムハライド、トリフェニルベンジルホスホ
ニウムハライド、テトラフェニルホスホニウムハライド
等の第4級ホスホニウム塩類、18−クラウン−6、1
8−ベンゾクラウン−6、18−ジベンゾクラウン−
6、15−クラウン−5等のクラウンエーテル類が挙げ
られ、特に重合速度と価格の面から第4級アンモニウム
塩が好ましい。
【0023】次に、界面重合終了後に酸を添加して反応
の停止と中和を行い塩類と未反応モノマーを含む水相と
ポリアリレートを溶解した塩化メチレン相を、デカンタ
ー、遠心分離機など公知の方法を用いて分離する。この
時に用いられる、酸としては塩酸、硫酸、リン酸及び酢
酸等が好ましい。さらに、塩化メチレン相を水洗して残
留する塩類やモノマーを除去した後、攪拌下にポリビニ
ルアルコール水溶液中に添加する。
【0024】ポリビニルアルコールは、各種ケン化度・
重合度のものを用いることができるが、特に部分ケン化
高重合度ポリビニルアルコールと部分ケン化低重合度ポ
リビニルアルコールの混合物が好ましい。ここでいう部
分ケン化とは、ポリビニルアルコールの構成単位の50
〜95モル%がケン化しているものをいい、低重合度と
は重合度300〜800のもの、高重合度とは重合度1
500〜2500のものをいう。部分ケン化高重合度ポ
リビニルアルコールと部分ケン化低重合度ポリビニルア
ルコールの混合物を用いれば最も少ない使用量で安定に
球状のポリアリレートを製造できる。ポリビニルアルコ
ール使用量を少なくすることは後述するポリマーの熱安
定性という観点からも好ましい。
【0025】使用するポリビニルアルコールの量は所望
する球状のポリアリレートの粒子径によって適宜決定さ
れるが、通常塩化メチレン中のポリマー量に対して0.
5重量%以下であることが好ましい。ポリビニルアルコ
ールの量が0.5重量%を超えるとポリマー粒子中にポ
リビニルアルコールが残留し、ポリマーの熱安定性を低
下させる傾向があり好ましくない。また、ポリビニルア
ルコール水溶液の体積は、ポリアリレートの塩化メチレ
ン溶液の体積の0.3〜5倍、特に0.5〜3倍が好ま
しい。体積が0.3倍未満であると初期にW/Oエマル
ションを形成し、生成した粒子中にポリビニルアルコー
ルが残留することがあり、5倍を超えると生産性の点で
好ましくない。
【0026】次に、ポリビニルアルコール水溶液とポリ
アリレートの塩化メチレン溶液の混合液(以後単に混合
液と言う)中に消泡剤を添加する。一般に、ポリビニル
アルコール水溶液は機械的な攪拌によって泡を生じ易
い。本発明においては、後述する塩化メチレンの留去工
程において、塩化メチレンの蒸発によってよりいっそう
泡が生じ易くなる。混合物が泡を生じると、液や生成し
た粒子が攪拌槽の壁に付着したり、攪拌軸にスケールが
成長したりして粒子の収率を悪くしたりすると言う問題
が生じる。よって、本発明において消泡剤の添加は必須
である。消泡剤としては、公知の種々の物を使用できる
が例示すれば、種々の分子量を有するポリエチレンエー
テル、ポリプロピレンエーテル及びこれらの共重合体、
シリコーン系消泡剤、フッ素系消泡剤、ウレタン系消泡
剤及びこれらの混合物を挙げることができ、特に好まし
い物として消泡性と効果の持続性の点から、シリコーン
系消泡剤とポリエーテル系消泡剤の混合物を挙げること
ができる。また、消泡剤の添加量としては通常ポリビニ
ルアルコール量の0.001〜1重量%、特に0.00
5〜0.1重量%が好ましい。消泡剤の量が0.001
重量%未満では泡の生成を抑制できない場合があり、1
重量%を超えるととりわけシリコン系消泡剤の場合には
ポリアリレートの光学特性、特に透明性に影響すること
がある。
【0027】次に、攪拌しながら混合液を加熱して塩化
メチレンを留去する。この時の温度は40℃(塩化メチ
レンの沸点)〜55℃までの温度範囲に制御する必要が
ある。40℃未満の温度では塩化メチレンの留去に時間
を要し、生産性が悪くなる。55℃を超えた温度では混
合液のエマルション状態は不安定になり球状の粒子が生
成しないことがある。この温度範囲で加熱を続けること
により、ポリアリレートの濃度は上昇し、ゲル状の粒子
が生成してきて、ついには球状となる。球状の粒子とな
った時点で、塩化メチレンの蒸発は収まるが、粒子内に
はまだ10重量%近くの塩化メチレンが含まれており、
この残留塩化メチレンを後述する工程でさらに除去する
必要がある。また、この工程における攪拌の速度は所望
する粒子径や攪拌装置の形式などにより適宜決定される
が、通常100〜2000rpm、好ましくは250〜
1000rpmである。攪拌速度が100rpm未満で
は液が分離し粒子が凝集する場合があり、2000rp
mを超えるとW/O/W型の多相エマルションを形成し
て粒子中にポリビニルアルコールが残留し、後述する工
程で除去できないことがあるので好ましくない。
【0028】さらに、粒子内に残留する塩化メチレンを
留去するために、攪拌しながら90〜100℃に加熱す
ると真球状の粒子を得ることができる。しかるのちに、
公知の方法で固液分離を行う。分離された、粒子はさら
に90〜100℃の温水で繰り返し洗浄して、付着した
ポリビニルアルコールを除去する。さらにまた、こうし
て洗浄を行った粒子を60℃〜160℃、好ましくは9
0℃〜140℃の温度で乾燥する。乾燥には、公知の種
々の方法を採用することができるが、流動層乾燥機など
粉体用に開発された乾燥装置を使用することが好まし
い。
【0029】本発明の方法によれば、通常の攪拌槽を使
用して実施することができる。攪拌翼としては種々の物
が使用できるが、例示すれば、タービン型、パドル型、
傾斜タービン型、傾斜パドル型、プロペラ型を1段又は
2段以上装着した物及び錨型、ファウドラー型等を挙げ
ることができる。また、攪拌槽には邪魔板が有っても、
無くてもよいが攪拌効率を勘案すれば邪魔板がある方が
好ましい。また、本発明の方法はバッチ系で行うことも
できるし、連続的に行うこともできる。
【0030】なお、本発明の製造法においては、ヒンダ
ードフェノール系化合物、亜燐酸系化合物、ヒンダード
アミン化合物又はチオエーテル系化合物等の酸化防止
剤、着色剤等の添加剤を塩化メチレン溶液中に添加する
ことによって各種添加剤を含有した球状のポリアリレー
ト粒子を得ることもできる。
【0031】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
なく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形及び
応用が可能である。 実施例1〜12 攪拌装置を備えた反応容器中に2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン1140g、p−tert−ブチ
ルフェノール38.2g、水酸化ナトリウム471.7
g、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド60重
量%水溶液11.4mを仕込み、水20Lに溶解した
(水相)。これとは別に塩化メチレン10Lに、テレフ
タル酸クロライド/イソフタル酸クロライド=1/1混
合物1060.4gを溶解した(有機相)。この有機相
を先に調製した水相中に強攪拌下で添加し、3時間重合
反応を行った。この後酢酸600mLを添加して反応を
停止し、水相と有機相を分離し、有機相が中性となるま
で水洗を繰り返して12重量%のポリアリレートが溶解
している塩化メチレン溶液を得た。
【0032】他方、ポリビニルアルコールの水溶液を調
製し、これを攪拌しながら、上記のようにして得られた
ポリアリレートを含む塩化メチレン溶液1Lを1分間で
添加し、消泡剤を加え、混合液を表1に示す塩化メチレ
ンの留去温度で90分間加熱して塩化メチレンを留去し
て粒子中に塩化メチレンが残留する球状のポリアリレー
トを生成させた。さらに攪拌を続けながら90℃で60
分間加熱して粒子中の残留塩化メチレンを留去して真球
状のポリアリレートを生成させ、さらに、95℃の温水
で濾過洗浄を繰り返して、残留したポリビニルアルコー
ルを除去し、乾燥を行って球状ポリアリレートを得た。
このときの各種条件を表1に示す。
【0033】この様にして得られた球状ポリアリレート
の特性を表2に示す。なお、安息角の測定は注入法によ
り、嵩密度の測定はタッピングせずに測定し、さらに粒
子径の測定は顕微鏡法、末端酸クロライド基及び残ポリ
ビニルアルコール量はプロトンNMR法によって測定し
た。また収率は、粒子として得られたポリアリレートの
量と、塩化メチレン溶液中に含まれていたポリマー量か
ら算出した。また、本発明の実施例8で得られた粒子の
顕微鏡写真(倍率100倍)の模式図を図1に示す。
【0034】比較例1 特開平1−158042号公報記載の実施例2に準じて
ポリアリレート粒子を製造した。すなわち、実施例1で
得たポリアリレートの塩化メチレン溶液400重量部を
室温で700rpmで攪拌しながら、7%濃度のポリビ
ニルアルコール〔商品名「ゴーセノールGL−05」、
日本合成化学(株)製〕水溶液350重量部を10分間
で連続的に添加し初期のW/O型乳化液から最終的にO
/W型乳化液を得た。この乳化液を300rpmで攪拌
しながら60℃に昇温し、塩化メチレンを留去しようと
したところ、塩化メチレンの沸騰にともなって急激な発
泡が起こり、装置壁に大量の樹脂が付着した。このまま
塩化メチレンの留去を続け、得られた粒子を温水で洗浄
し、乾燥して球状のポリアリレートを得た。
【0035】比較例2 特開平4−202220号公報記載の実施例3に準じ連
続重合条件をバッチ重合条件に換算して実験を行った。
すなわち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン58.8g、p−tert−ブチルフェノール0.9
814g、水酸化ナトリウム28.1g、トリブチルベ
ンジルアンモニウムクロライド50重量%水溶液0.2
77g、亜二チオン酸ナトリウム0.469g、ポリビ
ニルアルコール(ケン化度88%)0.342gを仕込
み、水を加えて450gに調製した(A液)。これとは
別に、テレフタル酸クロライド/イソフタル酸クロライ
ド=1/1混合物53.4gに全量で273.3gとな
るように塩化メチレンを加え溶解した(B液)。攪拌装
置を付属したセパラブルフラスコを準備し、600rp
mで攪拌しながらA液とB液をフラスコ内に同時添加し
以後20℃に保ちながら重合を行った。この結果、明細
書に記載してあったような粒状物は得られず、白色でゲ
ル状粒がくっついた塊が生成するのみであった。これを
細かく粉砕し、洗浄と乾燥を行って、分析に供した。
【0036】比較例3 実施例1において消泡剤を用いない以外は全て同様に行
ったところ、急激な発泡が起こり装置壁に樹脂粒子が付
着した。一部粒子が得られた。
【0037】比較例4 実施例1において塩化メチレンの留去温度を60℃とす
る以外は全て同様に行ったところ、繊維状の粒子が得ら
れた。以上の実施例及び比較例における製造条件を表1
に、それぞれの結果を表2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】以上実施例及び比較例より次のことが明ら
かになった。 1)実施例1〜12と比較例1の比較から、本発明の球
状ポリアリレートは、小さい安息角と高い嵩密度を有
し、残留ポリビニルアルコールを含まないことがわかっ
た。 2)実施例1〜12と比較例2の比較から、本発明の球
状ポリアリレートは活性末端を有すること無く、高い純
度を有していた。 3)実施例8の顕微鏡写真の模式図(図1)から、本発
明の球状ポリアリレートは真球形状を有していることが
わかる。 4)実施例3と比較例1、3、4の比較から本発明の製
造法によれば、球状粒子を収率良く得ることができる。
【0041】
【発明の効果】本発明の球状ポリアリレートは、活性末
端基を含まないポリアリレートよりなり、ポリビニルア
ルコール等も含まず純度が高く、高い嵩比重と低い安息
角を有しているので、各種成形材料やアロイ等の原料と
して有孔に使用することができる。また、本発明の方法
によれば、上記球状ポリアリレートを収率良く製造する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例8で得られた球状ポリアリレートの顕
微鏡写真の模式図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−69225(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/14 C08G 63/00 - 63/91

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二価フェノール成分と芳香族ジカルボン
    酸成分から得られるポリアリレートよりなり、平均粒子
    径が200μm以上でかつ注入法で測定した安息角が3
    5deg以下であることを特徴とする球状ポリアリレー
    ト。
  2. 【請求項2】 球状ポリアリレートを製造するに当た
    り、次の工程を含むことを特徴とする請求項1記載の球
    状ポリアリレートの製造方法。 (1)攪拌しながら、ポリアリレートを含む塩化メチレ
    ン溶液をポリビニルアルコール水溶液に添加する工程 (2)消泡剤を添加する工程 (3)攪拌しながら、40〜55℃の温度範囲で加熱
    し、塩化メチレンを留去して球状のポリアリレートを生
    成させる工程 (4)攪拌しながら、90〜100℃の範囲に加熱して
    残留する塩化メチレンを留去すると共に精製する工程
  3. 【請求項3】 ポリビニルアルコールが部分ケン化低重
    合度ポリビニルアルコールと部分ケン化高重合度ポリビ
    ニルアルコールとの混合物であることを特徴とする請求
    項2記載の球状ポリアリレートの製造方法。
  4. 【請求項4】 消泡剤がシリコーン系消泡剤とポリエー
    テル系消泡剤との混合物であることを特徴とする請求項
    2記載の球状ポリアリレートの製造方法。
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