JP3569365B2 - 粒状ポリアリレート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性末端を含むことが無いポリアリレートで構成されていて、微粉が少なく、蒿密度が高く、かつハンドリングの良い粒状ポリアリレート、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、粒状のポリアリレートを、界面重合後の塩化メチレン溶液から製造する方法として種々の方法が提案されている。例えば、ポリアリレートを溶解せず、塩化メチレンと相溶するアルコールのような貧溶媒中に界面重合後のポリアリレートの塩化メチレン溶液を強撹拌下に添加してポリアリレートを沈澱させる溶剤沈澱法、ポリアリレートの塩化メチレン溶液を押出機中で加熱又は減圧下で加熱することによって溶媒を留去してポリアリレート粉末を製造するニーダー法、ポリアリレートの溶液を噴霧して溶媒を留去して微粒子状粉末を製造するスプレードライ法等である。
【0003】
前記溶剤沈澱法によるポリアリレート粉末の製造においては、貧溶媒を塩化メチレン溶液の体積の20倍程度使用しなければならず非常にコストが高くなり、また厳密に防爆された設備が必要であった。さらに、この方法によって得られる粉末は嵩密度が低くハンドリングが非常に悪いという問題があった。また、ニーダー法によるポリアリレート粉末の製造においては、ポリアリレートがブロック状の塊となって固化するため内部に塩化メチレンが残留し易く、また、さらにこの方法は比較的高い温度を必要とするため、場合によってはポリアリレートが着色するという問題があった。スプレードライ法によるポリアリレート粉末の製造においては、塩化メチレン溶液の粘度調整が必要であり、例えば高粘度の溶液を用いた場合ポリアリレートは繊維状になり粉末で得ることが困難である。また低粘度に希釈して粉末状のポリアリレートが得られたとしても粒子径が100μm以下の非常にハンドリングの悪い物であるという問題があった。
【0004】
この様な問題点を解決する方法として、特開昭50−139156号公報には、常温ないし200℃のポリアリレートの塩化メチレン溶液を、50〜80℃に保持されている空間もしくは温水中へ細孔を通じて噴射し、撹拌状態の該温水中で造粒作用を完結させて、粒状ポリアリレートを得る方法が開示されている。この方法では、撹拌槽内に羽付き撹拌翼を設置し、それを高速回転させることによって粒子を粉砕するため、粒子径分布が広くなったり、微粉末が発生したりするという問題があり、また羽付き撹拌翼のような特殊な装置が必要であった。
【0005】
また、特開平4−202220号公報には、ポリアリレートの重合を重合中にゲル又は固形物となって析出するような高い濃度で行い、この際に予め分散安定剤を添加し粒状に析出させてポリアリレートの粉末を製造する方法が開示されている。この方法によれば、ポリアリレートの粉末が得らたとしても重合中にゲル化することによって活性な酸クロライド末端が失活せず、また未反応モノマーがポリマー内部に残留し、ポリマーの色調や熱安定性を悪くするという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この様な状況に鑑み、本発明の課題は、活性末端を含むことが無いポリアリレートで構成されていて、微粉が少なくかつ蒿密度が高くハンドリング性の良い粒状ポリアリレートの提供、及びこのような粒状ポリアリレートを容易に得ることができる粒状ポリアリレートの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の温度に加熱されたポリアリレート塩化メチレン溶液を、特定の温度に保たれ、循環しているポリアリレート−水系スラリー中へ添加し、さらにこの後、塩化メチレンを留去しつつスラリーを循環させ、循環ライン中でスラリーに撹拌を加えることによって、活性末端を含むことが無いポリアリレートで構成されていて、蒿密度が高く、微粉末の少ない粒状のポリアリレートを得ることができ、得られる粒状のポリアリレートはハンドリング性が良いものであるという知見を得、この知見に基づき本発明に到達した。
【0008】
すなわち本発明の要旨は、第1に、平均粒子径が500μm以上であり、粒子径が250μm以下であるものが5重量%以下であり、嵩密度が0.15以上であることを特徴とする粒状ポリアリレートであり、第2に、造粒槽内で、常圧で40〜100℃に加熱され循環しているポリアリレート−水系スラリー中にポリアリレートの塩化メチレン溶液を供給して混合し、塩化メチレンを留去しながら、混合したスラリーを造粒槽から循環ラインに導入し、前記混合により凝集したポリアリレート粒子を攪拌して分散させた後、スラリーの一部を製品用のスラリーとして回収し、残部を造粒槽に戻して循環させることを特徴とする粒状ポリアリレートの製造方法において、ポリアリレート−水系スラリーを式(1)で定義される循環時間θが3min以下となるように循環させることを特徴とする粒状ポリアリレートの製造方法である。
θ=V/Q (1)
〔式中、θは循環時間(min)、Vは造粒槽実容積(L)、Qは循環流量(L/min)を表す。〕
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の粒状ポリアリレートは実質的に二価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分から得られるポリアリレートで構成されている。
【0010】
ポリアリレートを構成する二価フェノール成分として好ましいものは、レゾルシノール、ハイドロキノン、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビス(2,6−キシレノール)、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−(1−メチルペンチリデン)ビスフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
【0011】
2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’ −ジヒドロキシルビフェニル、3,3’,5,5’ −テトラメチル−4,4’ −ジヒドロキシビフェニル、4,4’ −ジヒドロキシベンゾフェノンや1,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、1,4−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、1,4−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン等のテルペンジフェノール類等を挙げることができる。また、ポリマーの特性を損なわない範囲で二価フェノールを、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、1、4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン等の二価アルコールで置き換えてもよい。
【0012】
さらに、ポリアリレートを構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基が1ないし2個置換したフタル酸誘導体類、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸誘導体類、4,4’−ジカルボキシビフェニル、ジフェン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、ビス(p−カルボキシフェニル)アルカン、4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が混合して用いられていても良い。この中でも好ましいのは、テレフタル酸及びイソフタル酸であり、特に好ましいのはテレフタル酸とイソフタル酸の混合物である。
【0013】
さらに、本発明においてポリアリレートは、前述した芳香族ジカルボン酸の他に、実質的にその特性を損なわない範囲で、他の脂肪族ジカルボン酸類で置き換えられてもよい。そのようなジカルボン酸としては、ジカルボキシメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、ドデカン二酸等を挙げることができる。
【0014】
また、本発明におけるポリアリレートの末端は、フェノールのほか、o,m,p−クレゾール、ジメチルフェノール、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−n−プロピルフェノール、o,m,p−イソプロピルフェノール、o,m,p−n−ブチルフェノール、o,m,p−イソブチルフェノール、o,m,p−sec−ブチルフェノール、o,m,p−tert−ブチルフェノール等の一価フェノールやメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパンノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等の一価のアルコールや酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸等の一価のカルボン酸で封鎖されていてもよい。
【0015】
本発明におけるポリアリレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の数平均分子量が5000以上であるものが好ましく、10000〜300000であるものがより好ましい。分子量が5000未満であると、ポリマーとしての機械的物性が低下し、一方300000を超えると溶融時の加工性が低下する傾向にある。
【0016】
本発明の粒状ポリアリレートは平均粒子径が500μm以上、より好ましくは1000μm以上である。平均粒子径が500μm未満であるとハンドリングが悪くなる。その上限については特に限定されないが、通常押出機のホッパースクリュウへの食い込みを勘案すれば、5000μm以下が好ましい。
本発明において、平均粒子径とは光学顕微鏡によって直接測定した各サンプルの粒子径の数平均値を平均粒子径とした。
【0017】
さらに、本発明の粒状ポリアリレートは、微粉の割合が少ない。微粉の割合の定義は、250μm篩の通過重量%とした。本発明の粒状ポリアリレートは、250μm篩の通過量が5重量%以下、好ましくは3%以下である。250μm篩の通過量が5重量%を超えると、成形時や押出し時のホッパー供給において、流動性が悪く、粉塵の飛散が起こりやすく、ハンドリングも悪い。
【0018】
また、本発明の粒状のポリアリレートは、0.15以上の嵩密度を有している。好ましくは0.3以上である。嵩密度が0.15未満であるとハンドリングが悪くなる。その上限は、特に限定されないが、基本的に樹脂の真比重を超えることはない。
本発明において、嵩密度は、JIS K−6722によって測定し、タッピングしない場合の値を採用した。
【0019】
次に、本発明の粒状のポリアリレート製造方法についてさらに詳細に説明する。本発明の方法が適用されるポリアリレートは、いかなる方法で製造したものを使用してもよいが、界面重合後の液分離した塩化メチレン溶液を使用すると一環して製造できるので、界面重合法によるものが好ましい。
【0020】
界面重合は重合触媒の共存下で、二価フェノール成分と場合によっては前述した末端封鎖剤を溶解したアルカリ水溶液に、塩化メチレンに溶かした芳香族ジカルボン酸ハライドを混合して二価フェノールと前述した芳香族ジカルボン酸のハライドを2〜50℃で0.5〜5時間撹拌しながら反応させることにより行われる。
界面重合時の塩化メチレンの量は、通常ポリマー濃度が5〜25重量%となるように用いることが好ましい。ポリマー濃度が25重量%を超えると重合時にポリマーがゲル状になって析出することがある。ゲル状になったポリマー中の酸ハライド基等の活性末端は失活させることが困難であり、この様なポリマーは成形時の色調に悪影響を与える。
また、アルカリ水の量は通常塩化メチレンの体積の1〜3倍用いることが好ましい。また、反応時に用いるアルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0021】
さらに重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−イソプロピルアミン、トリヘキシルアミン、トリデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルアニリン等の第3級アミン類、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、テトラメチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハライド等の第4級アンモニウム塩等、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、テトラメチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライド、トリ−n−ブチルベンジルホスホニウムハライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムハライド、トリフェニルベンジルホスホニウムハライド、テトラフェニルホスホニウムハライド等の第4級ホスホニウム塩類、18−クラウン−6、18−ベンゾクラウン−6、18−ジベンゾクラウン−6、15−クラウン−5等のクラウンエーテル類が挙げられ、特に重合速度と価格の面から第4級アンモニウム塩が好ましい。
【0022】
次に、界面重合終了後に酸を添加して反応の停止と中和を行い塩類と未反応モノマーを含む水相とポリアリレートを溶解した塩化メチレン相を、デカンター、遠心分離機など公知の方法を用いて分離する。この時に用いられる酸としては塩酸、硫酸、リン酸及び酢酸等が好ましい。次いで、塩化メチレン相を水洗し、残留する塩類やモノマーを除去した後、引き続き本発明の方法に適用する。
【0023】
次に、図面を参照して本発明の製造方法の実施の態様を説明する。
図1は、本発明を実施するための装置の一例を示す概略図である。図1において、造粒槽1内で、常圧で40〜100℃に加熱され循環しているポリアリレート−水系スラリー中に、ポリアリレートの塩化メチレン溶液を導入管3から供給し、撹拌機2によって攪拌して混合し、蒸発する塩化メチレンを留出管5より留去しながら、混合したポリアリレート−水系スラリーを造粒槽1からスラリー導出管6より取り出して循環ラインに導入し、循環ライン中で撹拌機8によって、前記循環ポリアリレート−水系スラリーとポリアリレートの塩化メチレンとを混合したときに凝集したポリアリレート粒子を分散させた後、スラリーの一部をスラリー抜き出し管9により、製品用のスラリーとして回収し、残部を循環スラリー導入管10より造粒槽1に戻して循環させる。なお、造粒槽1内には補給水導入管4より必要量の水が供給され、また、スラリーポンプ6によりポリアリレート−水系スラリーを循環させる。
【0024】
造粒槽1としては、ポリアリレートの塩化メチレン溶液が水系で懸濁状態を保つことができる装置であれば特に限定されない。造粒槽1内で用いられる撹拌機2の撹拌翼の形状としては、塩化メチレンの蒸発にともなってスラリーが浮上してくる傾向にあるので、かき下げ型のものを選択することが好ましい。例示すれば、傾斜パドル型、傾斜タービン型で、2枚羽根から6枚羽根等適宜選択することができる。撹拌速度は特に高速を必要としないが、スラリーを均一に分散させ浮上を防ぐ意味から、撹拌翼の形状にもよるが、通常100〜800rpmにあればよい。
【0025】
造粒槽1に導入管3から供給するポリアリレートの塩化メチレン溶液は連続的でも間欠的でもよい。
また、造粒槽1内では混合の際、循環しているポリアリレート−水系スラリーと、ポリアリレート塩化メチレン溶液が合流し、接触し合い、ポリアリレート粒子は凝集するので、スラリー導出管6から循環ラインに導入されたスラリーは撹拌機8を通過させて凝集した粒子を分散させた後、抜き出し管9から製品用スラリーとして回収し、残部は造粒槽1へ循環させる。
【0026】
本発明の方法で用いることのできるポリアリレート塩化メチレン溶液のポリアリレート濃度は、5〜25重量%のものが好ましく、製造速度を勘案すれば10〜25重量%の濃度のものがより好ましい。
造粒槽1で塩化メチレンを蒸発させるための循環ポリアリレート−水系スラリーの温度は通常40〜100℃である。塩化メチレンの蒸発速度と水の蒸発量を勘案すれば、50〜90℃がより好ましい。
造粒槽1における上記ポリアリレート−水系スラリーの濃度は、3〜30重量%、5〜25重量%がより好ましい。また、スラリー濃度は、できるだけ一定に保つことが好ましく、通常、ポリアリレート溶液の供給量、塩化メチレンの蒸発量、製品用スラリーの抜き出し量、補給水の供給量を調整することにより調節される。
【0027】
また、循環ライン内における撹拌機8は、凝集したポリアリレート粒子を再分散させるために式(2)で定義されるウェーバー数Weが103 以上となるように設定することが好ましく、より好ましくは、103 〜107 に設定する。
We=Di3 N2 ρ/σ (2)
〔式中Weは、無次元のウェーバー数、Diは撹拌翼径(m)、Nは撹拌速度(1/s)、ρは温水の密度(kg/m3 )、σはポリアリレート塩化メチレン溶液の界面張力(N/m)を表す。〕
ウェーバー数Weが103 未満では、凝集したポリアリレート粒子が十分に分散されず循環ラインで閉塞したり、得られるポリアリレート粒子の粒子径が大きくなったりすることがあるので好ましくない。また、107 を超えると得られる粒状ポリアリレートが微粉末化する傾向がある。
循環ライン内で用いる撹拌機8の撹拌羽根としては、プロペラ、タービン型、パドル型等公知のものが使用できる。撹拌翼径Diは、前述したウエーバー数との関係で適宜決定される。また、撹拌速度Nも前述したウェーバー数の範囲となるように適宜決定される。
【0028】
また、ポリアリレート−水系スラリーを式(1)で定義される循環時間θが3min以下となるように、循環ライン中に設けたたスラリーポンプ6により調整することが好ましい。
θ=V/Q (1)
〔式中、θは循環時間(min)、Vは造粒槽実容積(L)、Qは循環流量(L/min)を表す。〕
循環時間θが3minを超えると、ポリアリレートの分子量が高い場合には、循環ラインに付着したりすることがある。
【0029】
この様にして得られた粒状ポリアリレートを含むスラリーは、公知の固液分離機を用いてろ過し、さらに真空乾燥機、流動層乾燥機等を用いて乾燥され粒状ポリアリレートを得る。
なお、本発明の製造法においては、ヒンダードフェノール系化合物、亜燐酸系化合物、ヒンダードアミン化合物又はチオエーテル系化合物等の酸化防止剤、着色剤等の添加剤を重合後の塩化メチレン溶液中に添加することによって各種添加剤を含有した粒状のポリアリレートを得ることもできる。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形及び応用が可能である。
【0031】
参考例1(界面重合によるポリアリレートの調製)
撹拌装置を備えた反応容器中に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン100重量部、p−tert−ブチルフェノール3.4重量部、水酸化ナトリウム41.4重量部及びトリメチルベンジルアンモニウムクロライド0.6重量部を仕込み、水1350重量部に溶解した(水相)。これとは別に塩化メチレン767重量部に、テレフタル酸クロライド/イソフタル酸クロライド=1/1混合物93重量部を溶解した(有機相)。この有機相を先に調製した水相中に強撹拌下で添加し、3時間重合反応を行った。この後酢酸50重量部を添加して反応を停止し、水相と有機相を分離し、有機相が中性となるまで水洗を繰り返し17重量%のポリアリレートが溶解している塩化メチレン溶液を得た。この溶液の水に対する界面張力は2.5×10−2N/mであった。
【0032】
実施例1
図1に示す装置を用い、粒状ポリアリレートの製造を行った。
まず、実容積V=80Lを有する造粒槽1に50℃の温水73.3Lを仕込み、次いで参考例1で得られた17重量%ポリアリレート塩化メチレン溶液を、導入管3から29.4kg/hrの速度で供給し、スラリー導出管6を通じ抜き出し、循環ラインに導入し、スラリーポンプ7により、Q=500L/minでスラリーを循環をさせると共に、翼直径Di=0.1mで4枚タービン型撹拌翼を持つ循環スラリー撹拌機8を用いて、スラリーをN=50s−1の撹拌速度で撹拌分散した。スラリーの全量を循環スラリー導入管10より造粒槽1に戻した。蒸発した塩化メチレンは留出管5を通じて抜き出した。この時、造粒槽1内は、50℃に保たれ、傾斜パドル翼を持つ攪拌機2を200rpmで回転させ撹拌を行った。この操作をスラリー濃度が10重量%となるまで続け、初期のスラリー状態を形成させた。
【0033】
次いで、循環ラインのスラリーの1部をスラリー抜き出し管9より、50kg/hr(0.82L/min)でポリアリレート粒子分が10重量%であるスラリーの抜き出しを開始し、残りのスラリーは循環スラリー導入管10により造粒槽1内に戻し、循環させた。また、製品用のスラリーの抜き出しを開始すると共に、補給水導入口4より45.5kg/hrの速度で50℃の温水を供給し、15重量%ポリアリレート塩化メチレン溶液は、29.4kg/hrの速度で引きつづき供給した。造粒槽1内の温度は、引きつづき50℃に維持した。
抜き出した製品用のポリアリレート−水系スラリーは、固液分離機を用いてろ過し、乾燥を行い粒状ポリアリレートを得た。
【0034】
実施例2〜7及び比較例1〜3
実施例1と同様に、循環流量Q、循環スラリー撹拌速度N、撹拌翼径Diを変化させ粒状ポリアリレートの製造を行った。
前記実施例1〜7及び比較例1〜3における条件を表1に示し、その結果を表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
実施例1〜7で得られた粒状ポリアリレートは、界面重合終了後のポリアリレート塩化メチレンを粒状ポリアリレートの製造に適用して、得られたものであるので、それを構成するポリアリレートが活性末端を含むことが無い。また、表1から明らかなように蒿密度が高く、微粉も少なく、ハンドリングが良いものであった。
【0038】
【発明の効果】
以上のように構成されているので、本発明の粒状ポリアリレートは、それを構成するポリアリレートが活性末端を含むこと無く、蒿密度が高く、微粉も少なく、ハンドリングが良い。したがって、本発明の粒状ポリアリレートは、各種成形材料やアロイ等の原料、フィルム原料、バインダー樹脂の原料として使用することができる。また、本発明の方法によれば、特殊な撹拌機や湿式粉砕機を用いることなく、前記のポリアリレートを容易に得ることができ工業的に極めて有利な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明を実施するための装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1:造粒層
2:攪拌機
3:導入管
4:補給水導入管
5:留出管
6:スラリー導出管
7:スラリーポンプ
8:攪拌機
9:スラリー抜き出し管
10:循環スラリー導入管
Claims (2)
- 平均粒子径が500μm以上であり、粒子径が250μm以下であるものが5重量%以下であり、嵩密度が0.15以上であることを特徴とする粒状ポリアリレート。
- 造粒槽内で、常圧で40〜100℃に加熱され循環しているポリアリレート−水系スラリー中にポリアリレートの塩化メチレン溶液を供給して混合し、塩化メチレンを留去しながら、混合したスラリーを造粒槽から循環ラインに導入し、前記混合により凝集したポリアリレート粒子を攪拌して分散させた後、スラリーの一部を製品用のスラリーとして回収し、残部を造粒槽に戻して循環させることを特徴とする粒状ポリアリレートの製造方法において、ポリアリレート−水系スラリーを式(1)で定義される循環時間θが3min以下となるように循環させることを特徴とする粒状ポリアリレートの製造方法。
θ=V/Q (1)
〔式中、θは循環時間(min)、Vは造粒槽実容積(L)、Qは循環流量(L/min)を表す。〕
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29649295A JP3569365B2 (ja) | 1995-11-15 | 1995-11-15 | 粒状ポリアリレート及びその製造方法 |
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JP29649295A JP3569365B2 (ja) | 1995-11-15 | 1995-11-15 | 粒状ポリアリレート及びその製造方法 |
Publications (2)
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