JP3472555B2 - 電気集塵機 - Google Patents

電気集塵機

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JP3472555B2
JP3472555B2 JP2000381770A JP2000381770A JP3472555B2 JP 3472555 B2 JP3472555 B2 JP 3472555B2 JP 2000381770 A JP2000381770 A JP 2000381770A JP 2000381770 A JP2000381770 A JP 2000381770A JP 3472555 B2 JP3472555 B2 JP 3472555B2
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Kawasaki Jukogyo KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえばトンネル
内の空気の粉塵を除去する電気集塵機に関する。
【0002】
【従来の技術】典型的な電気集塵機の構成は、たとえば
特開平8−52381号公報に開示されている。電気集
塵機は、集塵機本体、電源装置、および制御装置から構
成され、集塵機本体は帯電部および集塵部を有する。帯
電部に設けられる電極は電源装置によって高電圧が印加
され、電源装置は制御装置によって制御される。
【0003】高電圧が印加された帯電部の電極はコロナ
放電を発生し、粉塵を含むガスが電極間を流過すると粉
塵は帯電する。帯電部の下流側に配置される集塵部にも
電極が設けられ、帯電した粉塵が集塵部の電極に静電気
力で吸着して集塵される。吸着した粉塵は、電極に水が
吹きつけられて除去される。
【0004】電気集塵機の電源装置は、制御装置から入
力される設定電圧Vosetとなるように出力電圧Voを制
御する。従来の電気集塵機では、電源装置の出力電圧V
oが定格電圧Vbに一定に保たれるように、設定電圧Vos
et=定格電圧Vbとして、定電圧制御が行われていた。
【0005】図15は、定電圧制御を行う従来の電気集
塵機の定格運転時の電流と電圧との関係を示すグラフで
ある。このグラフに示すように、出力電圧Voが常に定
格電圧Vbに保たれるように、Voset=Vbに設定する。
出力電圧を一定に保つと、電気集塵機の帯電部、集塵部
の放電空間のインピーダンス(電気的な抵抗)により、
2次的に出力電流が決定される。
【0006】また、電極の劣化、汚損などの放電電極の
変化や、温度、湿度や、粉塵量などの放電空間中の変化
により、放電空間中のインピーダンスは刻々と変化する
が、この変化は、定電圧制御のため、図15中に矢印の
範囲で示すような電流の変動として現れる。
【0007】また、電流の変動によって電極間の電圧が
変動しないように、電源の電流容量は一般に充分な容量
を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成において火花放電が発生すると、この電流容量
が火花放電を進展させる要因となる。図16は、火花放
電発生時の出力電圧Voおよび出力電流Ioを示すタイム
チャートである。
【0009】電気集塵機は、設定電圧Vosetに保たれる
ように制御されており、時刻t1において火花放電が発
生したとき、電圧をVosetに保持しようとするため、電
源の持つ電流容量分だけの電流を放出し、出力電流Io
は、最大電流Iomaxまで増加する(時刻t2)。
【0010】しかし、この電流増は、放電空間中で電子
なだれ(ストリーマとリーダの形成)を引き起こす原因
となり、火花放電を進展させ、ひいてはアーク放電の状
態(放電空間中がほぼ導通した、絶縁破壊の状態)とな
り、電圧Voが降下する(時刻t3)。
【0011】過電流および電圧降下によって火花放電を
検出すると、電源の持つ火花放電保護機能によって一時
的に設定電圧Vosetを0Vとし、火花放電を消弧させ
る。すると、電流Ioも低下する(時刻t4)。
【0012】その後、設定電圧Vosetを徐々に昇圧させ
て、電源電圧を復帰させ、これに伴って電流が復帰する
ことによって正常な状態へと回復する(時刻t5)。し
たがって、火花放電発生時の運転領域は、図15の斜線
領域に存在する。
【0013】このように、従来の集塵機では火花放電が
発生したとき、火花放電を進展させてしまうといった問
題を有する。また、火花放電を消弧させてから正常な状
態に復帰させるとき、設定電圧Vosetを徐々に昇圧させ
るので、正常な状態に復帰するまでに時間を要し、これ
によって集塵効率が低下するといった問題を有する。
【0014】本発明の目的は、火花放電を速やかに抑制
し、集塵効率の向上した電気集塵機を提供することであ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、予め定める定
格電圧が印加される電極間に、粉塵を含むガスを流過さ
せて粉塵を帯電させ、静電気力で集塵する電気集塵機に
おいて、電源装置の出力電圧を検出する電圧計と、電源
装置の出力電流を検出する電流計と、電圧計で検出した
出力電圧、電流計で検出した出力電流および予め定める
定格電圧に基づいて設定電圧および設定電流を算出し、
電源装置に入力する制御装置とを含み、電源装置は、電
圧計で検出した出力電圧が入力された設定電圧となるよ
うに制御する機能と、電流計で検出した出力電流が入力
された設定電流となるように制御する機能とを有し、定
格運転時において、制御装置は、電源装置に入力する設
定電流を一定にしつつ、出力電流が設定電流に保たれ、
かつ出力電圧が定格電圧近傍になるような設定電圧を算
出して電源装置に入力し、出力電圧を定格電圧まで上昇
させる起動時において、制御装置は、設定電圧を定格電
圧以上に設定し、設定電流を電源装置に入力してから所
定時間後の出力電流の上昇に基づいて変更することを特
徴とする電気集塵機である。
【0016】本発明の電気集塵機の電源制御は、図1の
グラフに示すように、出力電流Ioが、一定に保たれる
ように、制御装置は、電源装置に入力する設定電流Ios
etを一定に保持した状態で、設定電圧Vosetを定格電圧
Vb近傍で調整し、定電流制御を行う。したがって、図
2のタイムチャートに示すように、時刻t1で火花放電
が発生したとき、電源装置の制御によって電流Ioが設
定電流Iosetに保たれ、出力電流Ioが増大することが
防がれる。これによって、火花放電の進展が防がれる。
したがって、火花放電が発生したとしても、図2に示さ
れるように、出力電圧Voおよび出力電流Ioはわずかに
変動するのみであり、すぐに消弧され、速やかに正常な
状態に復帰できる。
【0017】また、図2の時刻t2において、発生した
火花放電が急峻で、即座にアーク放電へ移行したとき、
定電流制御により設定電流Ioset以上の電流を流させな
いことにより、出力電圧Voが直ちに降下する。このた
め、火花放電の消弧も早く、正常な状態への復帰までの
時間も、従来技術の定電圧制御に比べて速くなる。した
がって、火花放電発生時の運転領域は図1の斜線領域に
存在する。
【0018】これらの特徴により、火花放電発生による
集塵効率の低下は最小限に抑制される。また、火花放電
が抑制されることにより、帯電部、集塵部に使用される
電極の損傷を最小限度に抑えることができる。
【0019】また、火花放電検出回路は主として電圧低
下に基づいて作動し、火花放電を検出すると、火花発生
防止のために所定時間、低い電圧で運転を行う。本発明
では、図2の時刻t1で発生した軽度の火花放電では大
きな電圧降下が生じず、火花放電が検出されず、時刻t
2における重度の火花放電のみ検出するので、火花発生
防止のための低電圧による運転時間を最小限に抑えるこ
とができ、これによっても集塵効率が向上する。
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】電源電圧を0[V]から定格電圧Vb
[V]まで昇圧させる起動時において、設定電圧Voset
を予め定格電圧Vb以上に設定し、設定電流Iosetを電
源装置に入力する。すると、電源電圧が上昇し始める。
そして、所定時間経過後、検出した出力電圧Voがたと
えば定格電圧Vbに達してない場合、設定電流Iosetが
低いものと判断して、設定電流Iosetを上昇させるよう
に変更する。こうして、出力電圧Voが定格電圧Vb近傍
で安定するような最適な設定電流Iosetを得ることがで
きる。
【0025】本発明は、予め定める定格電圧が印加され
る電極間に、粉塵を含むガスを流過させて粉塵を帯電さ
せ、静電気力で集塵する電気集塵機において、電源装置
の出力電圧を検出する電圧計と、電源装置の出力電流を
検出する電流計と、電圧計で検出した出力電圧、電流計
で検出した出力電流および予め定める定格電圧に基づい
て設定電圧および設定電流を算出し、電源装置に入力す
る制御装置とを含み、電源装置は、電圧計で検出した出
力電圧が入力された設定電圧となるように制御する機能
と、電流計で検出した出力電流が入力された設定電流と
なるように制御する機能とを有し、定格運転時におい
て、制御装置は、電源装置に入力する設定電流を一定に
しつつ、出力電流が設定電流に保たれ、かつ出力電圧が
定格電圧近傍になるような設定電圧を算出して電源装置
に入力し、前記電源装置は、低電圧直流電力を高周波交
流電力に変換するインバータと、インバータに接続さ
れ、インバータの高周波交流出力電圧を昇圧する高周波
変圧器と、高周波変圧器の2次側に接続され、高周波交
流出力電圧を昇圧するとともに整流して電気集塵機本体
に出力する倍圧整流器と、倍圧整流器の直流出力電圧ま
たは直流出力電流が入力された設定電圧または設定電流
になるようにインバータを制御するインバータ制御装置
とを含むことを特徴とする電気集塵機である。
【0026】電源装置は低電圧直流電力を高周波交流電
力に一旦変換した後、高電圧直流電力に変換して電気集
塵機本体に供給する。このように直流電力を高周波交流
電力に一旦変換してから整流化が行われるので、後述の
(1)式の電源周波数が高くなり、電源装置の直流出力
電圧の脈動率を小さくすることができる。すなわち、電
源装置から出力される直流成分中の交流分であるリップ
ルを少なくすることができる。したがって、リップルに
よる出力電圧のピーク値が火花放電発生電圧を超えにく
くなり、火花放電の発生を抑制することができる。前述
のように、火花放電の発生は制御装置の定電流制御によ
って抑制されているけれども、このようにリップルを少
なくすることによって、定電流制御による火花放電抑制
効果にリップルの低下による火花放電抑制効果が加算さ
れ、火花放電抑制効果をさらに高めることができる。
【0027】本発明は、低周波低電圧交流電力を低電圧
直流電力に変換してインバータに出力する整流器を含む
ことを特徴とする。
【0028】本発明に従えば、整流器によって低周波低
電圧交流電力を低電圧直流電力に変換することができる
ので、50Hzまたは60Hzの商用交流電源を電力源
として用いることができる。したがって、電力源を容易
に、かつ安定して確保することができる。
【0029】本発明は、倍圧整流器の出力電圧と設定電
圧との差を求め、前記求めた差に応じた信号をインバー
タ制御装置に送る電圧比較制御回路と、倍圧整流器の出
力電流と設定電流との差を求め、前記求めた差に応じた
信号をインバータ制御装置に送る電流比較制御回路とを
含み、インバータ制御装置は、電圧または電流比較制御
回路の出力に応答し、倍圧整流器の直流出力電圧または
直流出力電流が入力された設定電圧または設定電流にな
るようにインバータを制御することを特徴とする。
【0030】本発明に従えば、電圧比較制御回路は倍圧
整流器の出力電圧と設定電圧との差を求め、前記求めた
差に応じた電圧制御信号を発生してインバータ制御装置
に送り、電流比較制御回路は同様に電流制御信号を発生
してインバータ制御装置に送り、インバータ制御装置は
各制御信号が零になるようにインバータを制御する。こ
れによって、倍圧整流器の出力電圧または出力電流は設
定電圧または設定電流になるように迅速かつ高精度に制
御されるので、電源装置の安定性を高めることができ
る。
【0031】本発明の前記インバータ制御装置は、パル
ス幅変調器であることを特徴とする。
【0032】本発明に従えば、インバータ制御装置はパ
ルス幅変調器であるので、倍圧整流器の出力電圧および
出力電流が設定電圧および設定電流になるように迅速か
つ高精度にインバータを制御することができる。
【0033】本発明で前記倍圧整流器は、コッククロフ
ト・ウォルトン回路であることを特徴とする。
【0034】本発明に従えば、倍圧整流器はコッククロ
フト・ウォルトン回路であり、この回路は後述の図13
に示すように複数のダイオードと同数のコンデンサとを
配列しているので、コンデンサの個数をn個とすると
き、出力電圧を高周波変圧器の2次電圧のn倍に設定す
ることができる。したがって、出力電圧を高電圧に容易
に昇圧することができる。また、コッククロフト・ウォ
ルトン回路では各コンデンサに加わる電圧が全て高周波
変圧器の2次電圧の2倍になるので、同一定格のコンデ
ンサで高い電圧を得ることができる。
【0035】
【0036】
【0037】
【発明の実施の形態】図3は、本発明の実施の一形態で
ある電気集塵機1の全体の構成を示す図である。電気集
塵機1は、たとえばトンネル内の粉塵を除去するために
用いられ、車道用のトンネルをバイパスする集塵用トン
ネルに設置される。集塵用トンネルには送風機が設けら
れ、粉塵を含む車道用トンネル内の空気を集塵用トンネ
ルに引き込み、電気集塵機1を通過させて粉塵を除去
し、粉塵が除去された空気を再び車道用トンネルに戻
す。
【0038】電気集塵機1は集塵用トンネルに配置され
る集塵機本体2と、集塵機本体2の電源である電源装置
3と、電源装置3を制御する制御装置20とから構成さ
れる。集塵機本体2は、集塵用トンネル内で、送風方向
上流側に配置される帯電部4と、送風方向下流側に配置
される集塵部5とを有する。
【0039】帯電部4には、複数の放電電極7と、各放
電電極7間に配置され、放電電極7に対向する板状の対
向電極6とを有する。この放電電極7は、図4に示すよ
うに、鋸歯形状である。すなわち、帯状の電極本体9の
両側に複数に三角形状の歯8が長手方向に連なって構成
される。三角形の歯8は、交互に折り曲げられ、放電電
極7を挟む2枚の対向電極6に歯8が交互に向かうよう
に設けられる。歯8の数は、本実施形態では1インチあ
たり10個程度とし、また、放電電極7と対向電極6と
の間隔は5〜30mmであり、たとえば20mmとす
る。
【0040】集塵部5には、互いに対向し、対をなす板
状の集塵用電極10,11が複数対、平行に配置され
る。帯電部4の対抗電極6および集塵部5の一方の集塵
用電極10は接地されており、帯電部4の放電電極7お
よび集塵部5の他方の集塵用電極11は電源装置3に接
続され、高電圧が印加される。
【0041】帯電部4ではコロナ放電が生じ、粉塵を含
む空気が帯電部4を流過するとき、コロナ放電によって
粉塵が帯電し、帯電した粉塵が集塵部5を流過すると
き、静電気力によって集塵用電極10に吸着する。この
ようにして、空気中の粉塵が除去される。また、粉塵が
吸着した電極は、一定期間毎に水が噴射されて除去され
る。
【0042】また、本実施形態では、帯電部4の放電電
極7は、鋸歯状であるので、粉塵を効率よく帯電させる
ことができる。この帯電部4の電極6,7間の電圧であ
る電源装置3の出力電圧Voは、電圧計13によって検
出され、放電電極7に流される電源装置3の出力電流I
oは、電流計12で検出される。
【0043】図5は、電気集塵機1の制御装置20およ
び電源装置3の電気的構成を示すブロック図である。電
源装置3は、制御装置20から入力された設定電圧Vos
etおよび電圧計13で検出した出力電圧Voに基づい
て、出力電圧Voが設定電圧Vosetになるように電源電
圧を制御し、電流計12で検出した出力電流Ioおよび
制御装置20から入力された設定電流Iosetに基づい
て、出力電流Ioが設定電流Iosetになるように電源電
流を制御する。
【0044】電源装置3は、電流比較制御回路21、電
圧比較制御回路22、位相制御装置3、サイリスタ2
5、変圧器26および整流器27とから構成される。サ
イリスタ25は、位相制御装置23からの制御信号Cに
応じて、50Hzまたは60Hzの商用交流電源29の
位相を制御する。位相制御された電源電圧は、変圧器2
6で昇圧され、整流器27で整流されて高圧の直流電源
が得られる。こうして得られた高電圧が出力され、集塵
機本体2の放電電極7に印加される。
【0045】前記電流計12で検出した出力電流Ioは
電流比較制御回路21および制御装置20に与えられ
る。また、前記電圧計13で検出した出力電圧Voは、
電圧比較制御回路22および制御装置20に与えられ
る。制御装置20は、検出した出力電圧Voおよび出力
電流Ioに基づいて、設定電圧Vosetおよび設定電流Io
setを算出し、電流比較制御回路21および電圧比較制
御回路22に入力する。
【0046】電流比較制御回路21は、入力された設定
電流Iosetと出力電流Ioとの差に応じた信号を位相制
御装置23に与え、位相制御装置23は、この信号が0
になるような制御信号Cをサイリスタ25に与える。つ
まり、この制御信号Cによって、出力電流Ioが設定電
流Iosetとなるようにサイリスタ25の位相制御が行わ
れる。このようにして、電流比較制御回路21によって
電流制御が行われる。また、電流比較制御回路21の電
流制御状態を表す電流制御状態信号CCが制御装置20
に入力される。
【0047】同様に、電圧比較制御回路22は、設定電
圧Vosetと出力電圧Voとの差に応じた信号を位相制御
装置23に与え、位相制御装置23は、この信号が0に
なるような制御信号Cをサイリスタ25に与える。これ
によって、出力電圧Voが、設定電圧Vosetとなるよう
に制御される。このようにして電圧比較制御回路22に
よって電圧制御が行われ、また、電圧制御状態を表す電
圧制御状態信号CVが制御装置20に入力される。
【0048】次に、図6に示すフローチャートを参照し
て、電気集塵機1起動時の制御装置20の電源制御方法
を説明する。制御装置20には、最大電圧Vomax、最大
電流Iomax、電気集塵機の定格運転時の電圧である定格
電圧Vb、予め定める電圧値である基準電圧ΔV、およ
び予め定める電流値である基準電流ΔIが設定してあ
る。なお、本実施形態では、たとえば定格電圧Vbは1
5kV、最大電流は100mAとする。
【0049】ステップa1のスタート時において、設定
電圧Vosetおよび設定電流Iosetがそれぞれ0[V]、
0[A]に設定されており、これらが電流比較電源装置
21および電圧比較電源装置22にそれぞれ入力され
る。
【0050】次のステップa2において、まず、設定電
圧Vosetに最大電圧Vomaxを設定して、電圧比較制御回
路22に入力する。このとき、設定電流Iosetは0
[A]なので、出力電圧Voは0[V]となる。ステッ
プa3において現在の設定電流Ioset、ここでは0
[A]に、基準電流ΔIを加えた新たな設定電流Ioset
を設定して電流比較制御回路21に入力する。すると、
電源装置3によって、設定電流Iosetで最大電圧Vmax
となるように制御され、出力電圧Voが上昇する。
【0051】そして、ステップa4でタイマーによって
所定時間計時し、所定時間経過後、次のステップa5
で、出力電圧Voが定格電圧Vb以上になったか否かが
判断される。定格電圧Vbに達していないと、ステップ
a6で設定電流Iosetが最大電流Imax以上であるか否
が判断され、最大電流Imaxに達してない場合、再びス
テップa3に戻り、現在の設定電流Iosetに基準電流Δ
Iを加算した新たな設定電流Io setを設定する。
【0052】つまり、設定電流Iosetが低いと、出力電
圧Voが定格電圧Vbに達しないので、設定電流Iosetを
順に上げていく。このようにして、放電空間の状態に応
じた設定電流Iosetが得られるまで、設定電流Iosetが
上げられる。
【0053】このような制御を繰り返し、ステップa5
で出力電圧Voが定格電圧Vb以上になるか、またはス
テップa6で設定電流Iosetが最大電流Imax以上にな
ったとき、次のステップa7に進む。
【0054】ステップa7では、現在の設定電圧Voset
から基準電圧ΔVを減算した新たな設定電圧Vosetを設
定する。そして、ステップa8でタイマーで所定時間計
時後、ステップa9で、設定電圧Vosetが定格電圧Vb
以下であるか否かが判断され、設定電圧Vosetが定格電
圧Vbを超えている場合にはステップa7に戻り、さら
に設定電圧Vosetから基準電圧ΔVを減算して設定電圧
Vosetを下げる。このようにして、ステップa9におい
て、設定電圧Vosetが定格電圧Vb以下に下がったと判
断されると、ステップ10で、現在の設定電圧Vosetに
基準電圧ΔVを加えてステップa11で起動完了とな
る。このようにして、起動完了時において、設定電圧V
osetを定格電圧Vbに極めて近い状態にし、かつ設定電
流Iosetを放電空間の状態に応じた最適な値とすること
ができる。
【0055】本実施形態では、上述したように制御する
ことによって、起動完了時において設定電圧Vosetを定
格電圧に極めて近い状態となるように起動制御したが、
このような起動制御方法に限らず、たとえばステップa
5で出力電圧Voが定格電圧Vb以上になるか、またはス
テップa6で設定電流Iosetが最大電流Iomax以上にな
った時点で、起動完了としてもよく、また、ステップa
9において、設定電圧Vosetが定格電圧Vb以下になっ
たと判断した時点で起動完了としてもよい。
【0056】次に、図7に示すフローチャートを参照し
て、起動完了後の定格運転時における電源制御方法につ
いて説明する。
【0057】ステップb1のスタート時においては、設
定電圧Vosetは定格電圧Vbに設定され、設定電流Iose
tは起動完了時の設定電流Iosetに設定されている。
【0058】そして次のステップb2において、制御装
置20は、電流比較制御回路21に入力する設定電流I
osetを一定に保った状態で、電圧計13で検出した出力
電圧Vo、電流計12で検出した出力電流Io、および電
圧比較制御回路22からの電圧制御状態信号CVに基づ
いて、出力電流Ioが設定電流Iosetに保たれるような
設定電圧Vosetを算出して、電圧比較制御回路22に入
力する。
【0059】このように、制御装置20は、出力電流I
oだけでなく、電圧比較制御回路22の電圧制御状態を
表す電圧制御状態信号CVにも基づいて、設定電流Ios
etに保たれるように設定電圧Vosetを調整するので、出
力電流Ioを高精度に設定電流Iosetに保つことができ
る。
【0060】ステップb2での定電流制御において、検
出した出力電圧Voが定格電圧Vb未満と判断されると、
ステップb3に進み、出力電圧Voが設定電圧Voset、
つまり定格電圧Vb近傍であるか否かを判断する。本実
施形態では、出力電圧Voが、定格電圧Vbの±5%以内
にあるか否かを判断する。そして、出力電圧Voが定格
電圧Vb近傍にあれば、ステップb2に戻り、定電流制
御を継続する。このようにして、出力電圧Voが定格電
圧Vb近傍にある状態で、出力電流Ioが一定に保たれ
る。このように定電流制御が行われることによって、前
述したように、火花放電が発生したとしても、速やかに
抑制し、火花放電の進展が防がれる。
【0061】ステップb2において、定電流制御を行っ
た状態で、検出した出力電圧Voが定格電圧Vb以上にな
ると、ステップb4に進む。
【0062】たとえば、放電空間の状態が変化し、定電
流制御で出力電圧Voが定格電圧Vb以上になると、設定
電流Iosetが高いものと判断し、ステップb4で、設定
電流Iosetから基準電流ΔI減算した新たな設定電流I
osetを算出し、電流比較制御回路21に入力する。これ
に応答して、出力電流Ioが新たな設定電流Iosetとな
るように制御され、出力電圧Voも低下し始める。
【0063】つぎのステップb5でタイマーで所定時間
計時後、ステップb2に戻り、再び定電流制御が行われ
る。ここで、まだ出力電圧Voが定格電圧Vb以上である
と、再びステップb4に進み、設定電流Iosetを下げ
る。
【0064】前述のステップb3で、出力電圧Voが設
定電圧Voset近傍から外れていた場合は、ステップb6
に進み、設定電流Iosetに基準電流ΔIを加算した新た
な設定電流Iosetを算出して電流比較制御回路21に入
力する。これによって、出力電圧Voが上昇する。つぎ
にステップb5でタイマーで所定時間計時後、ステップ
b2に戻り、新たな設定電流Iosetに基づいて、定電流
制御が行われる。
【0065】このようにして、定格運転時において、放
電空間の変化に応じて設定電流Iosetを変化させて定電
流制御が行われるので、出力電圧Voがほぼ定格電圧Vb
に保たれる。
【0066】次に、電気集塵機1の起動時における制御
装置20の他の制御方法について、図8のフローチャー
トを参照して説明する。
【0067】ステップc1のスタート時において、設定
電圧Vosetは0[V]に設定されており、設定電流Ios
etは0[A]に設定されている。つぎのステップc2に
おいて、現在の設定電圧Vosetに基準電圧ΔVを加算し
た新たな設定電圧Vosetを設定して電圧比較制御回路2
2に入力する。すると、電源装置3は、電源電圧を上昇
させる。
【0068】ステップc3でタイマーで所定時間計時し
た後、ステップc4で出力電圧Voが設定電圧Vosetを
超えていると、ステップc2に戻り、さらに設定電圧V
osetに基準電圧ΔVを加算する。このような制御を繰り
返し、設定電流Iosetを一定にして、まず電源電圧を上
げる。
【0069】ステップc4で、設定電圧Vosetが出力電
圧Vo以上になっていると、ステップc5に進み、設定
電流Iosetに基準電流ΔIを加算し、新たな設定電流I
oset算出する。すると、電源装置3は、電源電流を上昇
させる。
【0070】次のステップc6でタイマーで所定時間計
時した後、ステップc7で、出力電流Ioが設定電流Io
setを超えている場合は、ステップc5に戻り、現在の
設定電流Iosetに基準電流ΔIをさらに加算して新たな
設定電流Iosetを設定する。このような制御を繰り返し
て、設定電圧Vosetを一定に保持して電源電流を上げ
る。
【0071】そして、ステップc7で設定電流Iosetが
出力電流Io以上となっていると、つぎのステップc8
で設定電圧Vosetが定格電圧Vb以上か否かが判断され
る。ここで、設定電圧Vosetが定格電圧Vbより小さけ
れば、再びステップC2に戻り、電圧上昇制御および電
流上昇制御を行う。
【0072】このようにして電圧を上昇させて設定電圧
Vosetを定格電圧Vb以上にし、ステップc8で、設定
電圧Vosetが定格電圧Vb以上と判断されると、次にス
テップc9で、設定電圧Vosetに基準電圧ΔVを加算し
て設定電圧Vosetを更新する。そして、この更新された
設定電圧Vosetとなるように電源装置3は電源電圧を上
げ、ステップc10でタイマーで所定時間計時後、ステ
ップc11で出力電圧Voが設定電圧Vosetを超えてい
れば、ステップc9に戻り、さらに設定電圧Vosetに基
準電圧ΔVを加算して更新する。このような制御を繰り
返し、設定電圧Vosetを更新し、所定時間経過後、設定
電圧Vosetが出力電圧Vo以上であれば、電源電圧が安
定な状態にあると判断でき、ステップc12に進み起動
完了とする。このようにして、安定して定格電圧Vbま
で電源電圧を昇圧させることができる。
【0073】次に、電気集塵機の電源装置の他の実施形
態について図9を参照して説明する。図9は、本発明の
実施の他の形態である電気集塵機の電源装置30の電気
的構成を示すブロック図である。電源装置30は、電流
比較制御回路21と、電圧比較制御回路22と、インバ
ータ制御装置31と、整流器32と、インバータ33
と、高周波変圧器34と、倍圧整流器35とを含んで構
成される。前記電源装置3に対応する構成には同一の参
照符号を付し、説明を省略する。本実施の形態における
電気集塵機のその他の構成は、前記電気集塵機1の構成
と同一である。すなわち、制御装置20は前述のように
定電流制御によって火花放電の発生を抑制する。
【0074】電源装置30では、50Hzまたは60H
zの商用交流電源29の低周波低電圧交流電力が整流器
32によって整流され、一旦、低電圧直流電力に変換さ
れる。整流器32は、たとえばダイオードから成る。変
換された低電圧直流電力はインバータ33で高周波交流
電力に変換される。インバータ33は、トランジスタか
ら成るスイッチング回路を備え、低電圧の高周波交流パ
ルスを発生する。高周波交流パルスの周波数は20〜3
5kHzに設定されることが好ましい。インバータ33
の高周波交流出力電圧は、インバータ33に接続される
高周波変圧器34で中圧の高周波交流電圧に変換され
る。高周波変圧器34は、たとえばシリコン変圧器であ
る。さらに、高周波変圧器34の中圧の高周波交流電圧
は高周波変圧器34の2次側に接続される倍圧整流器3
5で昇圧されるとともに、整流されて電気集塵機本体2
の放電電極7に印加される。
【0075】このように、低周波低電圧交流電力源とし
て商用交流電源29が用いられるので、電力源を容易に
かつ安定して確保することができる。また整流器32は
ダイオードでなくてもよく、高周波変圧器34はシリコ
ン変圧器でなくてもよい。
【0076】電圧比較制御回路22は、倍圧整流器35
の出力電圧と、制御装置20から入力された設定電圧と
の差を求め、前記求めた差に応じた電圧制御信号を発生
してインバータ制御装置31に送り、電流比較制御回路
21は倍圧整流器35の出力電流と、制御装置20から
入力された設定電流との差を求め、前記求めた差に応じ
た電流制御信号を発生してインバータ制御装置31に送
る。これによって、倍圧整流器35の出力電圧および出
力電流は設定電圧および設定電流になるように迅速かつ
高精度に制御されるので、電源装置30の安定性を高め
ることができる。
【0077】また、インバータ制御装置31はパルス幅
変調器であり、インバータ33に制御信号Cを与えるこ
とによって、インバータ33の高周波交流パルスのパル
ス幅を変調してスイッチング出力制御を行い、倍圧整流
器35の出力電圧および出力電流である電源出力電圧お
よび電源出力電流を制御する。したがって、インバータ
制御装置31は、電圧比較制御回路22からの電圧制御
信号に基づいて、電源出力電圧が設定電圧Vosetとなる
ような制御信号Cをインバータ33に与える。同様に、
電流比較制御回路21からの電流制御信号に基づいて、
インバータ制御装置31は、電源出力電流が設定電流I
osetとなるような制御信号Cをインバータ33に与え
る。
【0078】このような高周波を用いる電源装置30で
あっても、前述と同様に、制御装置20で定電流制御を
行うことによって、火花放電が発生したとき、火花放電
が進展することを防ぎ、速やかに消弧することができ
る。また、高周波交流に一旦変換してから整流すること
で、電圧変動率、リップルを低くし、安定度を向上する
ことができ、火花放電の発生を抑制することができる。
このように高周波交流に一旦変換してから整流すること
でリップルを低くすることができるのは、次の理由によ
る。
【0079】図10は、整流回路における直流出力電圧
E1、変圧器の交流2次電圧E0および変圧器の出力電
流Aoの時間的推移を示すグラフである。整流回路は変
圧器と整流器とコンデンサとを備える。変圧器の交流2
次電圧E0と直流出力電圧E1とを比べると、図10
(a)に示すように直流出力電圧E1の波高点a1以降
では変圧器の交流2次電圧E0が直流出力電圧E1より
も低くなるので、b1〜a1点間で充電されたコンデン
サの電荷は指数関数的に放電する。またb2点以降で
は、変圧器の交流2次電圧E0が直流出力電圧E1より
も高くなるので、コンデンサが図10(b)に示すよう
に変圧器出力電流Aoによって再び充電される。この充
電は、直流出力電圧E1の次の波高点a2で終了する。
したがって、a1〜b2点間では直流出力電圧E1がし
だいに低下し、b2〜a2点間では直流出力電圧E1が
上昇する。
【0080】このような直流出力電圧E1の変動は周期
的に繰り返されるので、直流出力電圧E1は脈流とな
る。この直流成分中に含まれる脈動分(交流分)をリッ
プルと呼ぶ。ここで直流出力電圧E1の瞬間最大値(a
1点)と瞬間最小値(b2点)との差は、脈動電圧ΔE
と呼ばれる。脈動電圧ΔEは小さいほど直流電圧に近く
なるので、その程度を表す指標として脈動率(リップル
率)Rが用いられる。脈動率Rは、iを出力電流の平均
値、Cをコンデンサの静電容量、fを電源周波数、Et
を出力電圧の平均値とすると、(1)式で表される。
【0081】 R=ΔE/Et=〔i/(C・f・Et)〕×100(%) …(1) (1)式から、電源周波数fが大きくなるほど、脈動率
Rが小さくなることが判る。すなわち、高周波交流に一
旦変換してから整流することによってリップルを少なく
することができる。
【0082】またリップルを少なくすることによって、
火花放電の発生を抑制することができるのは、次のよう
に説明することができる。図11は低周波低電圧交流を
高周波低電圧交流に一旦変換しないで高電圧直流に整流
したときの入力および出力電圧波形を示すグラフであ
り、図12は、低周波低電圧交流を高周波低電圧交流に
一旦変換後、高電圧直流に整流したときの入力および出
力電圧波形を示すグラフである。
【0083】これらの入力電圧波形は、図11(a)お
よび図12(a)に示すように同一波形であり、周波
数:50Hz,電圧:単相交流200Vである。高周波
交流に一旦変換しないで整流したときの出力電圧波形
は、図11(b)に示すように電圧:−100kV,リ
ップル率:5%(脈動電圧5kV)であり、0.1秒間
に1回の波形が現れる。高周波交流に一旦変換してから
整流したときの出力電圧波形は図12(b)に示すよう
に、電圧:−100kV,リップル率0.1%(脈動電
圧0.1kV)であり、インバータの高周波交流パルス
の周波数を20kHzとするとき、0.1秒間に200
0回の波形が現れる。一般に電気集塵機は、火花放電に
移行する直前の高い電圧で運転しているので、電圧の上
昇変動には敏感であり、僅かな電圧上昇でも直ちに火花
放電に移行しやすい傾向がある。
【0084】図11から、高周波交流に一旦変換しない
で整流した場合、リップルによるピーク電圧が高く、−
105kVに達するので、火花放電の発生頻度が高くな
ることが判る。また火花放電発生時、電圧変動周期が長
いので、迅速に消弧できないことが判る。図12から、
高周波交流に一旦変換してから整流した場合、リップル
によるピーク電圧が低く、−100.1kVであるの
で、火花放電の発生頻度が低くなることが判る。また火
花放電発生時、電圧変動周期が短いので、迅速に消弧で
きることが判る。したがって、リップルを少なくするこ
とによって、火花放電の発生を抑制することができる。
【0085】前述のように、火花放電の発生は制御装置
20の定電流制御によって抑制されているけれども、こ
のようにリップルを少なくすることによって定電流制御
による火花放電抑制効果にリップルの低下による火花放
電抑制効果が加わるので、火花放電抑制効果をさらに高
めることができる。したがって、湿度が異常に高くなっ
たときでも、火花放電をさらに抑制することができ、火
花放電抑制に対する信頼性を向上することができる。
【0086】またインバータ制御装置31は高周波パル
ス幅制御によってインバータ33のスイッチング出力制
御を行うので、高い効率で倍圧整流器35から高圧出力
を得ることができ、省電力を図ることができる。また、
電源装置30の出力電圧は、高周波変圧器34および倍
圧整流器35によって2段階で昇圧されるので、高電圧
を容易に得ることができるとともに高周波変圧器34の
2次電圧を低く設定することができる。また高周波変圧
器34の巻線の巻数は起電力(電圧)が低くなるほど、
かつ周波数が高くなるほど低減できるので、高周波交流
に一旦変換してから整流することによって高周波変圧器
34の巻線の巻数を低減することができる。したがっ
て、高周波変圧器34の小形化および軽量化を図ること
ができる。
【0087】また、高周波変圧器34は小形化すること
ができるので、電源装置の交換も容易となり、保守性も
向上する。また電気集塵機の構成を小形化することがで
き、据え付け、持ち運びが容易となり、省スペースとな
る。
【0088】前述のようにインバータ33の高周波交流
パルスの周波数を20〜35kHzに設定することが好
ましいのは、20kHz未満の周波数では、このような
高周波交流に一旦変換してから整流することに伴う効果
を奏することができないからであり、35kHzを超え
る周波数ではこのような高周波効果が飽和するからであ
る。
【0089】つぎに、本実施形態の倍圧整流器35の構
成について、図13を参照して説明する。倍圧整流器3
5は、コンデンサとダイオード(整流器)とを並列に接
続して構成され、高周波変圧器34の2次電圧を複数倍
に昇圧する。本実施形態では、図13に示すようなコッ
ククロフト・ウォルトン回路と呼ばれる倍圧整流器が用
いられる。
【0090】コッククロフト・ウォルトン回路は、並列
に接続されるダイオードKとコンデンサCとが交互に逆
に複数段(図13に示す例では、8段)接続される。充
電は、高周波変圧器34の2次電圧の正の半波でまず、
ダイオードK1が点火してコンデンサC1を充電し、つ
ぎの半波でダイオードK2が点火してコンデンサC1と
変圧器34の2次電圧との和でコンデンサC2を充電す
る。以下、同様にして、コンデンサC3,C4…C8を
次々に充電する。コンデンサの個数をn個とし、変圧器
34の2次電圧の波高値をEとするとき、出力電圧はn
Eとなる(図13の例では8E)。このようにして、高
周波変圧器34の2次電圧を整数倍に昇圧することがで
きるので、出力電力を高電圧に容易に昇圧することがで
きる。また、コッククロフト・ウォルトン回路では各コ
ンデンサに加わる電圧は全て高周波変圧器34の2次電
圧の2倍になるので、同一規格のコンデンサで高い電圧
を得ることができる。本実施の形態の電源装置30は、
たとえば5kV以上の電圧を1kW以上出力可能であ
る。
【0091】図14は、倍圧整流器の他の形態を示す図
である。倍圧整流器は、上述したコッククロフト・ウォ
ルトン回路に限らず、整流器とコンデンサとを用いて変
圧器の2次電圧の整数倍の直流電圧を発生するものであ
ればよく、図14(a)に示すデロン・グライナッヘル
回路であってもよく、図14(b)に示すビラード回路
であってもよく、図14(c)に示すチンメルマン回路
であってもよく、図14(d)に示すシェンケル回路で
あってもよい。
【0092】以上述べたように、電源装置30は、制御
装置20とともに電気集塵機に備えられ、リップルを少
なくすることによって制御装置20の定電流制御による
火花放電抑制効果をさらに高めるように構成されている
けれども、本発明のさらに他の実施の形態として電源装
置30と同じ構成の電源装置を制御装置20の備えられ
ていない電気集塵機に設けるように構成してもよい。こ
の場合、設定電圧および設定電流は火花放電の発生しな
い予め定める値に設定される。
【0093】また、インバータ33の受電する直流電力
は、商用交流電源からの低電圧交流電力を整流器32で
変換することによって供給されているけれども、バッテ
リなどの直流電源から直接インバータ33に直流電力を
供給するように構成してもよい。また、電圧および電流
比較制御回路21,22が設けられているけれども、こ
れらの回路を省略して構成してもよい。またインバータ
制御装置は、パルス幅変調器であるけれどもこれに限定
されるものではなくパルス振幅変調器であってもよく、
他の構成であってもよい。
【0094】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、定電流制
御を行うことによって、火花放電が生じたとしても、進
展させることを防ぎ、速やかに正常状態に回復すること
ができる。また、これによって、火花放電発生による集
塵効率の低下は最小限に抑制される。また、火花放電が
抑制されることにより、帯電部、集塵部に使用される電
極の損傷を最小限度に抑えることができる。さらに、火
花放電検出回路は軽度の火花放電では検出しなくなるの
で、火花発生防止のための低電圧の運転時間を最小限に
抑えることができ、これによっても集塵効率が向上す
る。
【0095】
【0096】また起動時に、設定電圧を設定した後、所
定時間経過後の出力電圧の上昇に基づいて、設定電圧を
変更することによって、起動完了後の設定電圧を、放電
空間の状態に応じた最適な電圧に設定することができ
る。
【0097】本発明によれば、直流電力を高周波交流電
力に一旦変換してから整流化が行われるので、リップル
を少なくすることができ、火花放電の発生を抑制するこ
とができる。これによって、制御装置の定電流制御によ
る火花放電抑制効果にリップルの低下による火花放電抑
制効果が加わるので、火花放電抑制効果をさらに高める
ことができる。
【0098】また本発明によれば、整流器によって低周
波低電圧交流電力を低電圧直流電力に変換することがで
きるので、商用交流電源を電力源として用いることがで
き、電力源を容易に、かつ安定して確保することができ
る。
【0099】また本発明によれば、電圧または電流比較
制御回路は、倍圧整流器の出力電圧または出力電流を設
定電圧または設定電流になるように迅速に制御するの
で、電源装置の安定性を高めることができる。
【0100】また本発明によれば、インバータ制御装置
はパルス幅変調器であるので、倍圧整流器の出力電圧ま
たは出力電流が設定電圧または設定電流になるように迅
速かつ高精度にインバータを制御することができる。
【0101】また本発明によれば、倍圧整流器はコック
クロフト・ウォルトン回路であるので、出力電圧を高電
圧に容易に昇圧することができる。また、コッククロフ
ト・ウォルトン回路では、各コンデンサに加わる電圧が
全て高周波変圧器の2次電圧の2倍になるので、同一定
格のコンデンサで高い電圧を得ることができる。
【0102】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の定電流制御を示す電圧と電流との関係
を示すグラフである。
【図2】定電流制御において火花放電発生時の出力電圧
Voと出力電流Ioとを示すタイムチャートである。
【図3】本発明の実施の一形態の電気集塵機1の構成を
示す図である。
【図4】放電電極7を示す図である。
【図5】電気集塵機1の電源装置3の構成を示すブロッ
ク図である。
【図6】起動時の制御装置20による電源制御方法を示
すフローチャートである。
【図7】定格運転時の制御装置20による電源制御方法
を示すフローチャートである。
【図8】起動時の制御装置20による他の電源制御方法
を示すフローチャートである。
【図9】電源装置30の構成を示すブロック図である。
【図10】整流回路における直流出力電圧E1、変圧器
の交流2次電圧E0および変圧器の出力電流Aoの時間
的推移を示すグラフである。
【図11】低周波低電圧交流を高周波低電圧交流に一旦
変換しないで高電圧直流に整流したときの入力および出
力電圧波形を示すグラフである。
【図12】低周波低電圧交流を高周波低電圧交流に一旦
変換後、高電圧直流に整流したときの入力および出力電
圧波形を示すグラフである。
【図13】コッククロフト・ウォルトン回路図である。
【図14】倍圧整流回路の他の形態を示す回路図であ
る。
【図15】従来の電気集塵機の定電圧制御の電圧と電流
との関係を示すグラフである。
【図16】定電圧制御において、火花発生時の出力電圧
Voと出力電流Ioとを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 電気集塵機 2 集塵機本体 3,30 電源装置 4 帯電部 5 集塵部 6 対向電極 7 放電電極 12 電流計 13 電圧計 20 制御装置 21 電流比較制御回路 22 電圧比較制御回路 29 商用交流電源 31 インバータ制御装置 32 整流器 33 インバータ 34 高周波変圧器 35 倍圧整流器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−202144(JP,A) 特開 昭50−15172(JP,A) 特開 平2−222737(JP,A) 特開 昭60−161757(JP,A) 特開 平8−52380(JP,A) 特開 平8−57350(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B03C 3/00 - 3/88

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め定める定格電圧が印加される電極間
    に、粉塵を含むガスを流過させて粉塵を帯電させ、静電
    気力で集塵する電気集塵機において、 電源装置の出力電圧を検出する電圧計と、 電源装置の出力電流を検出する電流計と、 電圧計で検出した出力電圧、電流計で検出した出力電流
    および予め定める定格電圧に基づいて設定電圧および設
    定電流を算出し、電源装置に入力する制御装置とを含
    み、 電源装置は、電圧計で検出した出力電圧が入力された設
    定電圧となるように制御する機能と、電流計で検出した
    出力電流が入力された設定電流となるように制御する機
    能とを有し、 定格運転時において、制御装置は、電源装置に入力する
    設定電流を一定にしつつ、出力電流が設定電流に保た
    れ、かつ出力電圧が定格電圧近傍になるような設定電圧
    を算出して電源装置に入力し、 出力電圧を定格電圧まで上昇させる起動時において、制
    御装置は、設定電圧を定格電圧以上に設定し、設定電流
    を電源装置に入力してから所定時間後の出力電流の上昇
    に基づいて変更することを特徴とする電気集塵機。
  2. 【請求項2】 予め定める定格電圧が印加される電極間
    に、粉塵を含むガスを流過させて粉塵を帯電させ、静電
    気力で集塵する電気集塵機において、 電源装置の出力電圧を検出する電圧計と、 電源装置の出力電流を検出する電流計と、 電圧計で検出した出力電圧、電流計で検出した出力電流
    および予め定める定格電圧に基づいて設定電圧および設
    定電流を算出し、電源装置に入力する制御装置とを含
    み、 電源装置は、電圧計で検出した出力電圧が入力された設
    定電圧となるように制御する機能と、電流計で検出した
    出力電流が入力された設定電流となるように制御する機
    能とを有し、 定格運転時において、制御装置は、電源装置に入力する
    設定電流を一定にしつつ、出力電流が設定電流に保た
    れ、かつ出力電圧が定格電圧近傍になるような設定電圧
    を算出して電源装置に入力し、 前記電源装置は、 低電圧直流電力を高周波交流電力に変換するインバータ
    と、 インバータに接続され、インバータの高周波交流出力電
    圧を昇圧する高周波変圧器と、 高周波変圧器の2次側に接続され、高周波交流出力電圧
    を昇圧するとともに整流して電気集塵機本体に出力する
    倍圧整流器と、 倍圧整流器の直流出力電圧または直流出力電流が入力さ
    れた設定電圧または設定電流になるようにインバータを
    制御するインバータ制御装置とを含むことを特徴とする
    電気集塵機。
  3. 【請求項3】 低周波低電圧交流電力を低電圧直流電力
    に変換してインバータに出力する整流器を含むことを特
    徴とする請求項2記載の電気集塵機。
  4. 【請求項4】 倍圧整流器の出力電圧と設定電圧との差
    を求め、前記求めた差に応じた信号をインバータ制御装
    置に送る電圧比較制御回路と、 倍圧整流器の出力電流と設定電流との差を求め、前記求
    めた差に応じた信号をインバータ制御装置に送る電流比
    較制御回路とを含み、 インバータ制御装置は、電圧または電流比較制御回路の
    出力に応答し、倍圧整流器の直流出力電圧または直流出
    力電流が入力された設定電圧または設定電流になるよう
    にインバータを制御することを特徴とする請求項2また
    は3記載の電気集塵機。
  5. 【請求項5】 前記インバータ制御装置は、パルス幅変
    調器であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに
    記載の電気集塵機。
  6. 【請求項6】 前記倍圧整流器は、コッククロフト・ウ
    ォルトン回路であることを特徴とする請求項2〜5のい
    ずれかに記載の電気集塵機。
JP2000381770A 1999-12-15 2000-12-15 電気集塵機 Expired - Fee Related JP3472555B2 (ja)

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