JPH11333323A - 電気集塵装置のグロー放電防止方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】装置をトリップさせることなくグロー放電を防
止し集塵性能を維持することができる電気集塵装置のグ
ロー放電防止方法を提供する。 【解決手段】火花が多発して荷電電圧が低下し、設定さ
れたサンプリング電圧ａ（例えば１５ｋｖ）を設定され
たサンプリング時間ｂ（例えば３０秒間）連続して下回
ると、グロー放電発生と判断し、荷電を停止させる。荷
電を停止してから所定時間ｃ（例えば２秒間）が経過
し、電気集塵装置の内部イオンを初期化又はほぼ初期化
した後、荷電を再開し荷電電圧を再荷電時電流ｅ（例え
ば１００ｍＡ）に対応する電圧（例えば２４ｋｖ）まで
上昇させる。この荷電電圧を保持し、荷電を再開してか
ら再荷電時間ｆ（例えば６０秒）経過後、荷電電圧を定
格電圧６０ｋｖまで上げて通常の運転を行う。このよう
に、電気集塵装置の内部イオンを初期化又はほぼ初期化
した後、荷電電圧を制御しながら設定された定格電圧ま
で上げることによって、グロー放電を防止し電気集塵装
置の集塵性能を維持する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は電気集塵装置のグロ
ー放電防止方法に係り、特に異種放電線で構成された放
電極を有する電気集塵装置を制御して、グロー放電の発
生によって低下した荷電電圧を正常に復帰させる電気集
塵装置の制御方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】電気集塵装置は一般に、より高い荷電電
圧が印加されるほどダストの集塵性能が高いため、通常
は定電流制御と定電圧制御方式とを用いる制御装置を備
えており、無火花時は制御装置で設定された出力上限値
（図５に示すＩ_n 、Ｖ_n ）で運転されている。

【０００３】また、火花発生時には、連続火花発生によ
るコロナ放電域からアーク、グロー放電域への移行を阻
止する目的から、「火花頻度制御」や「火花追随制御」
と呼ばれる火花時自動制御により、電気集塵装置の荷電
電圧、放電電圧を制御している。放電極は、突起付線と
角線との異種放電線が組み合わされて構成され、突起付
線よりも角線の方が多く配置される。前記突起付線の荷
電特性は図５上直線ａで示され、突起付線には低電圧で
大電流が流れる。一方、角線の荷電特性は直線ｃで示さ
れ、高電圧で小電流が流れる。曲線ｂは突起付線と角線
とが組み合わされた放電極全体の荷電特性を示す。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな異種放電線で構成された放電極を有する電気集塵装
置において、前記火花時自動制御が高頻度で動作する
と、荷電電圧はＡ点から徐々に低下しＢ点に達すると、
放電極の荷電特性は本数の多い角線の荷電特性ｃのＣ点
に移行する。これによって、角線がコロナ放電しなくな
り突起付線の荷電特性ａに移行し、コロナ開始電圧Ｖ_c2
以下（低電圧で大電流が流れてしまい、）で電流が流さ
れるグロー放電が発生し、ついには不足電圧検出装置が
動作するＶ_uまで荷電電圧が低下し荷電トリップしてし
まうという問題があった。

【０００５】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、装置をトリップさせることなくグロー放電を防
止し集塵性能を維持することができる電気集塵装置のグ
ロー放電防止方法を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
する為に、異種放電線で構成された放電極と前記放電極
に対向する集塵極との間に荷電電圧を印加してコロナ放
電を発生させダストを前記集塵極に捕集する電気集塵装
置において、前記荷電電圧が設定時間、設定電圧以下
（設定電圧はＶ_c2以下）を維持すると、グロー放電にな
ったと判断し、前記電気集塵装置の内部イオンを初期化
又はほぼ初期化するに必要な第１の時間だけ前記荷電電
圧の印加を休止し、その後、第２の時間をかけて前記荷
電電圧を制御しながら上昇させて正常な状態に復帰させ
ることを特徴とする。

【０００７】本発明によれば、放電極と集塵極との間の
荷電電圧が設定時間、設定電圧以下を維持すると、グロ
ー放電になったと判断し、第１の時間だけ荷電電圧の印
加を休止し、電気集塵装置の内部イオンを初期化又はほ
ぼ初期化する。その後、荷電電圧の印加を再開し、第２
の時間をかけて荷電電圧を制御しながら上昇させて正常
な状態に復帰させる。このように、電気集塵装置の内部
イオンを初期化又はほぼ初期化した後に、荷電電圧を制
御しながら上昇させて正常な状態に復帰させることによ
って、グロー放電を防止でき、電気集塵装置の集塵性能
を維持することができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下添付図面に従って本発明に係
る電気集塵装置のグロー放電防止方法の好ましい実施の
形態について詳説する。図１は、電気集塵装置とその電
源回路との回路構成図である。同図に示すように、集塵
装置１０は放電極１２と集塵極１４とから構成され、集
塵極１４はグランドに接地される。

【０００９】集塵装置１０の電源回路２０は制御盤２２
と整流器付変圧器２４とから構成され、制御盤２２に
は、交流電源と電力制御素子２８とが設けられ、整流器
付変圧器２４には、変圧器３０と整流器３２とが設けら
れる。前記電力制御素子２８は、２つのサイリスタ３
４、３４が逆並列接続されて構成される。前記交流電源
から出力された交流電圧は、電力制御素子２８によって
位相制御され、変圧器３０によって昇圧され、整流器３
２によって直流に整流され、荷電電圧として前記放電極
１２に印加される。この荷電電圧によって、放電極１２
と集塵極１４との間でコロナ放電が発生し、ダストが帯
電し集塵極１４に捕集される。

【００１０】また、前記整流器付変圧器２４には荷電電
圧検出装置４０と放電電流検出装置４２とが設けられ、
荷電電圧検出装置４０は抵抗分圧器を使用して荷電電圧
を検出し、放電電流検出装置４２は分流抵抗器を使用し
て放電電流を検出する。検出された荷電電圧と放電電流
とは、火花検出回路４４に入力され、火花検出回路４４
は該検出値を基に火花の発生を検出する。火花検出回路
４４が火花を検出すると、その旨がマイコンコントロー
ルユニット４６に入力され、マイコンコントロールユニ
ット４６は前記電力制御素子２８を構成するサイリスタ
３４の点弧角を制御して、荷電状態を安定させる。

【００１１】前記放電極１２は、突起付線と角線との異
種放電線が組み合わされて構成され、例えば、突起付線
３本に対して角線２１本の割合で配置される。図２は、
火花が発生した際の制御方法を説明する制御特性図であ
る。同図に示すように、荷電電圧が定格の６０ｋｖで火
花が発生すると、印加電流がカットオフされ荷電電圧が
ゼロになる。荷電電圧がゼロになって１０ｍｓ経過後、
再び電流が印加され、荷電電圧が火花発生時の荷電電圧
を定格の６０ｋｖより３ｋｖ低い５７ｋｖまで７０ｍｓ
で上昇する。その後、荷電電圧は傾きθ（０．１ｋｖ／
ｓｅｃ）で徐々に６０ｋｖへ上昇する。再び火花が発生
すると、同様の制御を行うため、火花が多発すると荷電
電圧が徐々に低下する。

【００１２】また、前述の制御は前記火花検出回路で火
花を検知することによって行われるが、火花電流が小さ
いことや電圧の落ち込みが小さいことによって検知され
ない火花もある。このような検知されない火花の多発に
よっても荷電電圧は低下する。図３は、本発明のグロー
放電防止方法を説明する制御特性図である。

【００１３】火花が多発して荷電電圧が低下し、設定さ
れたサンプリング電圧ａ（例えば１５ｋｖ）を設定され
たサンプリング時間ｂ（例えば３０秒間）連続して下回
ると、不足電圧発生と判断し、荷電を停止させる。荷電
を停止してから一時休止時間ｃ（例えば２秒間）が経過
し、電気集塵装置の内部イオンを初期化又ははぼ初期化
した後、荷電を再開し荷電電圧を再荷電時電流ｅ（例え
ば１００ｍＡ）に対応する電圧（例えば２４ｋｖ）まで
上昇させる。この荷電電圧を保持し、荷電を再開してか
ら再荷電時間ｆ（例えば６０秒）経過後、荷電電圧を定
格電圧６０ｋｖまで上げて通常の運転を行う。このよう
に、電気集塵装置の内部イオンを初期化又はほぼ初期化
した後、荷電電圧を制御しながら設定された定格電圧ま
で上昇させて正常な状態に復帰させることによって、グ
ロー放電を防止し、集塵性能を維持することができる。

【００１４】図４は、グロー放電防止の制御動作を示す
フローチャートである。まず、制御が選択されているこ
とを確認し（ステップ１）、荷電装置が運転中であるこ
とを確認する（ステップ２）。次に、予め設定されたサ
ンプリング電圧ａとサンプリング時間ｂとを読み込み、
タイマーをサンプリング時間ｂにセットする（ステップ
３）。サンプリング時間ｂがタイムアップしたかを確認
し（ステップ４）、サンプリング時間ｂの間モニタ電圧
がサンプリング電圧ａを連続して下回っていたかを確認
する（ステップ５）。連続して下回っていた場合には、
グロー放電発生と判断する（ステップ６）。

【００１５】グロー放電発生と判断すると、予め設定さ
れた一時休止時間ｃを読み込み（ステップ７）、荷電を
休止する（ステップ８）。荷電を休止してから一時休止
時間ｃがタイムアップしたかを確認する（ステップ
９）。タイムアップしたら、予め設定された再荷電時電
流ｅと再荷電時間ｆとを読み込み（ステップ１０）、再
荷電時電流ｅにて再出力を開始する（ステップ１１）。
荷電電圧が再荷電時電流ｅに対応する電圧まで上昇した
ら、その電圧を保持する。再出力を開始してから再荷電
時間ｆがタイムアップしたかを確認し（ステップ１
２）、再荷電時間ｆがタイムアップしたら制御動作が終
了し（ステップ１３）、荷電電圧を制御動作前の設定で
出力する（ステップ１４）。

【００１６】前記一時休止時間ｃは２秒から１０秒まで
に設定され、この時間は、電気集塵装置の内部イオンを
初期化又はほぼ初期化するのに十分であり、ダストが除
去されていないガスが外部に流れ出ることを最小限とす
る。尚、本実施の形態では荷電電圧を一定に保持し、そ
の後に定格電圧まで一度に上昇させたが、これに限定さ
れずに徐々に上昇させてもよい。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る電気
集塵装置のグロー放電防止方法によれば、荷電電圧が設
定時間、設定電圧以下を維持すると、グロー放電になっ
たと判断し、第１の時間だけ荷電電圧の印加を休止して
電気集塵装置の内部イオンを初期化又はほぼ初期化した
後、第２の時間をかけて荷電電圧を制御しながら上昇さ
せて正常な状態に復帰させることによって、グロー放電
を防止でき、電気集塵装置の集塵性能を維持することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】電気集塵装置とその電源回路との回路構成図

【図２】火花が発生した際の制御方法を説明する制御特
性図

【図３】本発明のグロー放電防止方法を説明する制御特
性図

【図４】グロー放電防止の制御動作を示すフローチャー
ト

【図５】異種放電線が組み合わされて構成された放電極
の荷電特性図

【符号の説明】

１０…集塵装置 １２…放電極 １４…集塵極 ２０…電源回路 ２８…電力制御素子 ３０…変圧器 ３２…整流器 ３４…サイリスタ ４０…荷電電圧検出装置 ４２…放電電流検出装置 ４４…火花検出回路 ４６…マイコンコントロールユニット

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 異種放電線で構成された放電極と前記放
   電極に対向する集塵極との間に荷電電圧を印加してコロ
   ナ放電を発生させダストを前記集塵極に捕集する電気集
   塵装置において、 前記荷電電圧が設定時間、設定電圧以下を維持すると、
   グロー放電になったと判断し、 前記電気集塵装置の内部イオンを初期化又はほぼ初期化
   するに必要な第１の時間だけ前記荷電電圧の印加を休止
   し、 その後、第２の時間をかけて前記荷電電圧を制御しなが
   ら上昇させて正常な状態に復帰させることを特徴とする
   電気集塵装置のグロー放電防止方法。
2. 【請求項２】 前記第１の時間は、２秒から１０秒であ
   ることを特徴とする請求項１記載の電気集塵装置のグロ
   ー放電防止方法。