JP3470821B2 - カルボン酸ビニルエステルの製造法 - Google Patents

カルボン酸ビニルエステルの製造法

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JP3470821B2 JP31419793A JP31419793A JP3470821B2 JP 3470821 B2 JP3470821 B2 JP 3470821B2 JP 31419793 A JP31419793 A JP 31419793A JP 31419793 A JP31419793 A JP 31419793A JP 3470821 B2 JP3470821 B2 JP 3470821B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はカルボン酸ビニルエス
テルの製造法に係り、その目的は短時間の反応で目的生
成物を高い収率で得ることができるとともに、従来パラ
ジウム化合物とこの化合物の劣化防止に必ず必要である
と考えられていた銅化合物を使用することなく、しかも
触媒として使用するパラジウム化合物の反応性を高く維
持した状態で反応を進行させることができ、さらには所
要連続回数の反応終了後には使用したパラジウム化合物
を複雑な分離・回収操作を必要とすることなく、容易に
高い収率で回収することができ、カルボン酸ビニルエス
テルの工業的製造法として汎用することができるカルボ
ン酸ビニルエステルの製造法の提供にある。
【0002】
【従来の技術】エステル交換反応によってカルボン酸ビ
ニルエステルを製造する方法としては、酢酸水銀、硫酸
水銀などの水銀塩触媒と共に硫酸、トルエンスルホン酸
などの強酸の存在下に反応を行なう方法が古くから知ら
れていた。しかし、水銀塩の有毒性が確認されてから、
水銀塩に代わって安全なパラジウム塩を触媒として使用
する方法が、J. Smidtらによって報告された〔J. Smidt
ら、Angew. Chemie,74, 93-128 (1962) 、西独特許第
1,127, 888 号、A. Salbeら, Ber. 102, 2939−2950 (1
969) ] 。ところが、上記J. Smidtらによって報告され
た方法では、触媒として使用するパラジウム化合物の使
用量が、原料カルボン酸に対して0.05〜10モル%
とかなり多く、しかも長時間反応させることにより金属
パラジウムが析出して触媒能を失い、高収率が得られな
いことが知られている。パラジウムは高価な貴金属であ
るから、これを工業的に触媒として利用するにはその量
を触媒として有効な極限量に抑える必要があり、しか
も、その使用するパラジウムの触媒活性の劣化防止と副
反応生成の抑制が必要とされる。このような実情に照ら
し、パラジウム化合物を触媒として用いたエステル交換
反応に関して、以下に示すような複数の技術が既に開示
されている。
【0003】特公昭61−816 号公報では、パラジウムの
カルボン酸塩を主触媒とし、この主触媒に助触媒として
アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩若しくは水酸化物を
用いて行なう技術が開示されていた。また、特公昭57−
26661号公報では、パラジウム化合物からなる主触媒
に、少なくとも一種がハロゲン化物である銅化合物及び
アルカリ金属化合物からなる助触媒を使用する技術が開
示されている。さらに、特公昭57−20290号公報では、
パラジウム化合物を活性炭、アルミナ等の担体表面に吸
着担持させて固体触媒とし、この固体触媒に少なくとも
一種類がハロゲン化物とされる銅化合物とアルカリ金属
化合物とを助触媒として用いる技術が開示されていた。
一方、特開昭63−39835 号公報では、パラジウム塩とII
価の銅塩とハロゲン化リチウム並びに第二若しくは第三
リン酸アルカリのとを触媒として使用してなる技術がそ
れぞれ開示されていた。
【0004】ところが、前記特公昭61−816 号公報開示
の技術は、触媒とされるパラジウム化合物のカルボン酸
塩を還元パラジウムとして略完全に回収することができ
るとしているものの、目的物であるビニルエステルの反
応率が50%未満であり、反応効率が非常に悪いという課
題が存在した。また、特公昭57−26661号公報開示の技
術は、反応工程中にパラジウム化合物の還元や失活が生
じず、触媒活性を有した状態でパラジウム化合物を再利
用することができる技術ではあるが、反応溶液中に溶解
したパラジウムを、その反応液中から分離回収し、再使
用するには複雑な操作が必要とされ、且つこの操作中に
パラジウム化合物の損失が起こってしまう、さらに、目
的とするビニルエステル生成物を得るには、非常に長い
反応時間が必要とされるという課題が存在した。さら
に、特公昭57−20290号公報開示の技術は、パラジウム
触媒が容易に分離・回収でき、再使用可能な製造方法で
はあるが、担体表面から反応溶液中に溶出してしまった
パラジウム触媒は回収されず、損失となってしまうた
め、この固体触媒を再使用するに従って、その回数に応
じて有効量のパラジウム化合物を補充しなければならな
いという課題が存在した。また、前記特公昭57−26661
号公報及び特公昭57−20290号公報開示の技術では、原
料カルボン酸から目的とするビニルエステルへの反応転
化率がいずれも50%前後であり、反応転化効率が充分で
はないという課題も存在した。一方、特開昭63-39835号
公報は、使用したパラジウム化合物の触媒活性を維持す
ることができ、しかも高い転化率を得られる優れた技術
ではあるが、触媒の第二若しくは第三リン酸アルカリと
してナトリウムやリチウム塩を使用した場合には、反応
液に溶解しにくいという課題が存在し、しかもリチウム
塩の場合には反応液、反応液への難溶解性に起因して、
反応転化率が低くなるという課題も存在した。
【0005】そこで、パラジウム化合物を触媒としたエ
ステル交換反応において、目的とするビニルエステルを
高い収率で得ることができるとともに、触媒とするパラ
ジウム化合物の触媒活性を好適に維持することのできる
技術として、特開平2−172946号公報開示の技術が存在
する。この開示技術は、パラジウム金属及び/又はパラ
ジウム化合物からなる主触媒と、銅及び臭素化合物から
選択され、少なくとも一種が臭化物であるレドックス剤
と、カルボン酸リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチ
ウム及び水酸化リチウムから選択される少なくとも一種
のリチウム化合物との存在下にエステル交換反応を行な
う技術であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平2−172946号公報開示の技術は、触媒として使用し
たパラジウム金属及び/又はパラジウム化合物を、反応
終了後、回収して再使用する際には、レドックス剤とし
て使用した銅塩が混在しているため、パラジウムと銅と
の分離操作を行なわねばならず、この分離操作に伴って
パラジウムの損失が生じ、且つ分離回収の操作が煩雑に
なるという課題も存在した。さらに、この開示技術にお
いては、パラジウム金属及び/又はパラジウム化合物か
らなる主触媒に、レドックス剤として銅塩及び助触媒と
して臭化リチウムを用いる際には、アルカリ金属化合物
として特定のナトリウム塩やリチウム塩を使用すると反
応転化率が低下するとの開示がある。
【0007】そこで以上のような実情に照らし、この発
明者らは、パラジウムを触媒とするエステル交換反応に
よりカルボン酸ビニルエステルを製造するに際して、目
的とする反応生成物を、短時間の反応で極めて高い収率
で得ることができ、反応効率が極めて優れているととも
に、触媒として使用するパラジウム化合物を反応工程中
に還元又は失活させることがなく、触媒として反復使用
することができ、且つ反応終了後には、複雑な操作を必
要とすることなく容易に回収することができ、さらに
は、触媒として特定のナトリウム塩やリチウム塩を使用
すると、反応転化率を高く維持することができる等、カ
ルボン酸ビニルエステルの工業的製造法として汎用する
ことのできる優れた製造技術を創出した。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明では、芳香族若
しくは脂肪族のカルボン酸と酢酸ビニルとを、パラジウ
ム化合物、アルカリ金属のハロゲン化物及び酸解離指数
pKa値が1より大きい酸のナトリウム塩又はリチウム
塩とを必須成分としてなる触媒の存在下でエステル交換
し、カルボン酸ビニルエステルを製造してなることを特
徴とするカルボン酸ビニルエステルの製造法を提供する
ことにより、前記従来の課題を悉く解消する。
【0009】
【発明の構成】以下、この発明に係るカルボン酸ビニル
エステルの製造方法の構成について詳述する。この発明
では、出発原料として、芳香族若しくは脂肪族のカルボ
ン酸と酢酸ビニルとが使用される。芳香族カルボン酸と
しては、例えば安息香酸、アルキル安息香酸、オキシ安
息香酸、クロル安息香酸などが好適な実施例として例示
されるが、特に限定はされない。また、脂肪族カルボン
酸としては、例えばプロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプ
ロン酸、ラウリン酸、パルミチン酸などの飽和カルボン
酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ソルビン
酸などの不飽和カルボン酸、アジピン酸、リンゴ酸もし
くはアシルシンゴ酸等、飽和又は不飽和の一塩基性又は
多塩基性のカルボン酸が好適な実施例として例示される
が、特に限定はされない。また、これら芳香族又は脂肪
族カルボン酸は、この発明の目的を阻害しない限り、置
換基を有していてもよく、その具体例としては、クロロ
プロピオン酸を例示することができる。
【0010】この発明においては、上記したような芳香
族若しくは脂肪族のカルボン酸と酢酸ビニルとを出発原
料とし、この出発原料を触媒の存在下でエステル交換反
応に付し、カルボン酸ビニルエステルを製造する。ここ
で使用する触媒としては、パラジウム化合物、アルカリ
金属のハロゲン化物及び酸解離指数pKa値が1より大
きい酸のナトリウム塩又はリチウム塩とを必須成分とし
てなる触媒が使用される。
【0011】パラジウム化合物としては、例えば塩化パ
ラジウム、臭化パラジウム、酢酸パラジウム等のパラジ
ウム塩が好適に例示されるが、特に限定はされない。こ
のようなパラジウム化合物の使用量は、極限量すなわ
ち、原料カルボン酸に対して0.005〜0.1モル
%、より好ましくは0.01〜0.05モル%程度とさ
れるのが望ましい。この理由は、パラジウム化合物の使
用量が、原料カルボン酸に対して0.005モル%未満
であると、パラジウム化合物による触媒作用が充分に発
現されず、一方、0.1モル%を超えて使用しても、そ
の使用量に比例した生成物が得られないため、いずれの
場合も好ましくないからである。すなわち原料カルボン
酸に対して、0.005〜0.1モル%の範囲内でパラ
ジウム化合物を使用することにより、工業原料として高
価なパラジウム化合物を、必要最小限量で有効利用する
ことができるとの、この発明者らに実験的知得に基づく
からである。
【0012】アルカリ金属のハロゲン化物としては、ア
ルカリ金属の塩化物、臭化物、沃化物等が例示され、そ
の具体例としては、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭
化カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリ
ウム、沃化リチウム、沃化ナトリウム、沃化カリウム等
が好適な実施例として例示されるが、特に限定はされな
い。このようなアルカリ金属のハロゲン化物の使用量
は、原料カルボン酸に対して0.01〜0.3モル%、
より好ましくは0.1〜0.2モル%程度とされるのが
望ましい。この理由は、アルカリ金属のハロゲン化物の
使用量が、原料カルボン酸に対して0.01モル%未満
であると、転化反応の充分な反応速度が得られず、一
方、アルカリ金属のハロゲン化物が原料カルボン酸に対
して0.3モル%を超えて使用しても、同等の効果しか
得られないため、いずれの場合も好ましくないからであ
る。
【0013】酸解離指数pKa値が1より大きい酸のナ
トリウム塩若しくはリチウム塩としては、反応に供する
原料酸(芳香族若しくは脂肪族のカルボン酸)のナトリ
ウム塩若しくはリチウム塩、又は前記原料酸と他の酸と
の混合物からなる酸のナトリウム塩若しくはリチウム塩
が好適に使用できる。この具体例としては、第二或いは
第三リン酸ナトリウム若しくは第二或いは第三リン酸リ
チウム、炭酸ナトリウム若しくは炭酸リチウム、炭酸水
素ナトリウム若しくは炭酸水素リチウム、酢酸ナトリウ
ム若しくは酢酸リチウム等が好適に例示されるが、特に
限定はされない。このように酸解離指数pKa値が1よ
り大きい酸、例えば原料酸のナトリウム塩若しくはリチ
ウム塩を触媒の必須成分の一つとして用いるのは、酸解
離指数pKa値が1より小さい酸のナトリウム塩若しく
はリチウム塩、例えば臭化ナトリウムや塩化ナトリウム
等を使用しても、この発明の目的とするエステル交換反
応は殆ど起こらず、さらに酸解離指数pKa値が1より
大きい酸であってもナトリウム塩若しくはリチウム塩以
外のアルカリ塩、例えば酢酸カリウムを使用すると、触
媒の失活を招き、目的生成物を得る反応が非常に遅くな
り、いずれの場合も好ましくなく、酸解離指数pKa値
が1より大きい酸のナトリウム塩若しくはリチウム塩
を、前述したアルカリ金属のハロゲン化物とともに必須
成分の一つとして使用することにより、目的生成物を短
時間の反応で、極めて高い収率で得ることができ、しか
もパラジウム化合物の反応性を高めるとの、この発明者
らの鋭意研究による実験的知得に基づくからである。
【0014】このような酸解離指数pKa値が1より大
きい酸、例えば原料酸のナトリウム塩若しくはリチウム
塩の使用量は、原料カルボン酸に対して0.2〜10モ
ル%、より好ましくは1〜3モル%とされるのが望まし
い。この理由は、原料カルボン酸に対して0.2%未満
の使用量では、反応速度が遅くなり、目的とするビニル
エステルを高い収率で得ることができず、一方、10モ
ル%を超えて使用すると触媒の失活が速くなり、結果と
してビニルエステルを高い収率で得ることができなくな
るため、いずれの場合も好ましくないからである。
【0015】この発明では、以上のようなパラジウム化
合物とアルカリ金属のハロゲン化物と酸解離指数pKa
値が1より大きい酸、例えば原料酸のナトリウム塩若し
くはリチウム塩とを必須成分とする触媒の存在下で、エ
ステル交換反応を行なうことにより、所期の目的を達成
する。また、この発明において、原料カルボン酸と酢酸
ビニルとの使用比率は、原料カルボン酸1モルに対し、
酢酸ビニルを0.1〜10倍程度、より好ましくは0.
5〜6倍程度使用することが望ましい。この理由は、酢
酸ビニルの使用量が、原料カルボン酸1モルに対し、
0.1倍未満であると反応速度は速くなるが、目的とす
る生成物の収率は低くなるので好ましくなく、一方、1
0倍を超えて使用するとビニルエステルの収率は向上す
るが、それに達する時間が長くなるうえに、多量の未反
応酢酸ビニルを回収する必要があり、経済的ではないた
め、いずれの場合も好ましくないからである。
【0016】またこの発明において、エステル交換を行
なう反応温度は、60℃〜反応混合物の還流温度で進行
させればよく、特に限定されるものではない。このよう
な温度域で反応を進行させることにより、パラジウム化
合物の還元によるパラジウムの析出を殆ど伴うことなく
反応を終了させることができ、しかも75〜90%以上
という極めて高い生成率で、原料カルボン酸から目的と
する酸のビニルエステルへの転換を行なうことが可能と
なる。この発明のカルボン酸ビニルエステルの製造法は
以上の通りであり、このように特定の触媒の存在下で、
エステル交換を行なうことにより、目的とするビニルエ
ステルを短時間で、且つ極めて高い転換率で生成、回収
することができるとともに、触媒として使用したパラジ
ウム化合物を、理論的にパラジウムを全く損失せずに反
応を終了することができ、さらに反応終了後に極めて容
易にパラジウム化合物を回収することができる。
【0017】すなわち、この発明においては、反応終了
後、反応混合物をそのまま蒸留し、未反応の酢酸ビニ
ル、酢酸およびカルボン酸ビニルエステルを順次回収す
ると、パラジウム化合物は器底に沈降した残渣として残
留する。具体的には、蒸留温度あるいは時間によっても
異なるが、添加したパラジウム化合物の1/3乃至2/
3が分解しないで残存していることが実験的に確認され
ている。従って、この蒸留残渣に分解したパラジウム分
に相当する量のパラジウム化合物を添加し、原料カルボ
ン酸と酢酸ビニルとを再び反応させることによって、上
記したようなエステル交換反応を反復することができ
る。このようにして少なくとも10回、場合によっては
30〜50回エステル交換反応を反復した後、反応液よ
り分解析出したパラジウム化合物を濾別し、常法により
パラジウム化合物を再生することができる。この発明で
は、パラジウム化合物を反応系外に出さないので、パラ
ジウム損失分が非常に少ない上、さらに銅塩などの他の
金属を含んでいないので、使用後のパラジウム化合物の
再生も容易に行なうことができる。
【0018】
【実施例】以下、この発明に係るカルボン酸ビニルエス
テルの製造法を実施例を挙げてより一層詳細に説明す
る。但し、この発明は以下の実施例により何ら限定され
るものではない。
【0019】(実施例1) 攪拌及び還流冷却装置並びに温度計を備えた容量300
mlの四つ口フラスコに、p−tert−ブチル安息香
酸53.5g(0.3mol)、酢酸ビニル155g
(1.8mol)、塩化パラジウム(PdCl)2
0.3mg、臭化リチウム52.1mg、酢酸ナトリウ
ム0.738gを仕込み、攪拌下に70℃にて12時間
反応させた。反応液は透明なうすい琥珀色で、ガスクロ
マトグラフィーで測定した結果、反応率は78.9モル
%であった。上記の反応を行なった四つ口フラスコに蒸
留用装置を取り付け、触媒を含んだ反応液から、過剰分
の酢酸ビニル及び生成した酢酸を常圧ないし減圧蒸留で
回収したのち、さらに2〜4mmHgの減圧蒸留にて、
p−tert−ブチル安息香酸ビニルエステル38.1
g(原料p−tert−ブチル安息香酸に対して62.
3%の収率)を得た。この減圧蒸留をした残渣を含む四
つ口フラスコに、p−tert−ブチル安息香酸33.
3g、酢酸ビニル155g及びPdCl9mg(残渣
中のPdClは9mgが分解されていた)を添加し、
再度70℃で11時間反応させた。ガスクロマトグラフ
ィーによる反応率は、78.5%で、反応液は透明なう
すい琥珀色で、反応器の底部に微量の黒色の粉末が沈降
していた。前記の操作と同様に蒸留して、p−tert
−ブチル安息香酸ビニルエステル37.8g(原料p−
tert−ブチル安息香酸に対し、99.0%の収率)
を得た。このようにして、パラジウム触媒を反応系外に
出すことなく、14回反応を繰り返した。その結果、各
回の反応時間は8〜14時間で、ガスクロマトグラフィ
ーによる反応率は75〜80%であった。生成するp−
tert−ブチル安息香酸ビニルエステルの平均収量
は、37.5gで、仕込みp−tert−ブチル安息香
酸に対する平均収率は、99.2%であった。14回目
の反応液から沈降した黒色粉末を濾過分離、乾燥し、8
9mgのパラジウムを回収した。回収率は98%であっ
た。
【0020】(実施例2)実施例1の酢酸ナトリウムの
代わりに第三リン酸ナトリウム1.48gを用いた他
は、前記実施例1と同様の反応を12時間行い、反応率
80.5%の反応液を得、前記実施例1と同様にして回
収し、p−tert−ブチル安息香酸ビニルエステル38.
9g(収率63.5%)を得た。 (実施例3)実施例1の臭化リチウムの代わりに臭化ナ
トリウム61.8mgを用い、前記実施例1と同様にし
て反応を行い、12時間で反応率79.3%の反応液を
得た。 (実施例4)実施例1の臭化リチウムの代わりに臭化カ
リウム71.4mgを用い、同例と同様にして反応を行
い、13時間で反応率75.0%の反応液を得た。 (実施例5)実施例1の塩化パラジウムの代わりに臭化
パラジウム30.3mg及び臭化リチウムの代わりに塩
化リチウムを用い、前記実施例1と同様にして反応を用
い、13時間で反応率75.2%の反応液を得た。 (実施例6)実施例1のp−tert−ブチル安息香酸の代
わりに、安息香酸36.6gを用い、前記実施例1と同
様にして反応及び回収を行い、4時間の反応で24.4
g(収率55.0%)の安息香酸ビニルエステルを得
た。
【0021】(実施例7)攪拌及び還流冷却装置並びに
温度計を備えた4ツ口フラスコにo−アセチルリンゴ酸
α−モノエチルエステル122.5g(0.6mo
l)、酢酸ビニル206.7g(2.4mol)、塩化
パラジウム(PdCl2 )44.13mg、臭化リチウ
ム104.2mg、第三リン酸ナトリウム983.7m
gを仕込み、攪拌下に70℃にて40時間反応させた結
果、減圧蒸留にてο−アセチルリンゴ酸α−エチル−β
−ビニルエステルを83.8g(収率60.7%)を得
た。 (実施例8)実施例7のo−アセチルリンゴ酸α−モノ
エチルエステルの代わりに、ステアリン酸170.4g
を用い、前記実施例7と同様にして12時間反応させた
結果、減圧蒸留にてステアリン酸ビニルエステルを13
1.2g(収率70.5%)を得た。
【0022】(実施例9)実施例1と同様の装置にピバ
リン酸61.2g、酢酸ビニル309.6g、塩化パラ
ジウム43mg、臭化リチウム100mg、酢酸ナトリ
ウム980mgを仕込み、攪拌下に70℃で18時間反
応を行い、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、
ピバリン酸ビニルエステルが83.7%生成していた。 (実施例10)実施例1と同様の装置に酪酸616g、
酢酸ビニル3010g、塩化パラジウム990mg、臭
化リチウム2.44g、酢酸ナトリウム8.61gを仕
込み、前記実施例と同様に8時間反応を行い、ガスクロ
マトグラフィーで分析したところ、酪酸ビニルが88.
2%生成していた。 (実施例11)実施例1と同様の装置にカプロン酸19
8g、酢酸ビニル266g、塩化パラジウム120m
g、臭化リチウム300mg、酢酸ナトリウム2.1g
を仕込み、前記実施例と同様に19時間反応を行い、ガ
スクロマトグラフィーで分析したところ、カプロン酸ビ
ニルが64.4%生成していた。 (実施例12)実施例1と同様の装置にシクロヘキサン
カルボン酸1000g、酢酸ビニル4026g、塩化パ
ラジウム552mg、臭化リチウム1.357g、酢酸
ナトリウム19.2gを仕込み、前記実施例と同様に2
0時間反応を行い、ガスクロマトグラフィーで分析した
ところ、シクロヘキサンカルボン酸ビニルが74.3%
生成していた。 (実施例13)実施例5の酢酸ナトリウムの代わりに酢
酸リチウム0.594gを用いた他は前記実施例と同様
に反応を行い、12時間でp−tert−ブチル安息香酸ビ
ニルエステルが81.5%生成していた。 (実施例14)実施例13の塩化リチウムの代わりに塩
化ナトリウムを用いた他は前記実施例と同様に反応を行
い、19時間でp−tert−ブチル安息香酸ビニルが8
0.3%生成していた。
【0023】(比較例1)実施例1の酢酸ナトリウムの
代わりに酢酸カリウム0.882gを用い、前記実施例
と同様にして反応を行ったところ、12時間で反応率5
3.0モル%の反応液しか得られなかった。 (比較例2)実施例1の酢酸ナトリウムの代わりに臭化
ナトリウム0.926gを用い、前記実施例と同様に反
応を行なったところ、殆ど反応が起こらなかった。 (比較例3)実施例1と同様の反応器を使用し、p−te
rt−ブチル安息香酸53.5g、酢酸ビニル155g、
酢酸ラパジウム25.6mg、臭化カリウム71.4m
g、酢酸カリウム0.832g、臭化銅67mgを仕込
み、前記実施例と同様にして反応を行ったところ、12
時間で反応率50%の反応液しか得られなかった。
【0024】(比較例4)実施例1の反応において、酢
酸ナトリウムを添加しなかった以外は、前記実施例と同
様に12時間反応を行い、ガスクロマトフラフィーで定
量したところ、p−tert−ブチル安息香酸ビニルエステ
ルは5.3モル%しか生成していなかった。 (比較例5)実施例1の反応において、臭化リチウムを
添加しなかった以外は、前記実施例と同様に12時間反
応を行い、ガスクロマトフラフィーで定量したところ、
p−tert−ブチル安息香酸ビニルエステルは42.5モ
ル%しか生成していなかった。 (比較例6)実施例1の反応原料に、臭化第二銅67.
0mgを加えた以外は前記実施例と同様に反応を行った
ところ、12時間でp−tert−ブチル安息香酸ビニルエ
ステルは79%しか生成していなかった。これは、実施
例1とほとんど同等の生成率であり、このことから、添
加した臭化第二銅は反応に寄与していなかったことが判
る。また、この反応液から生成物を回収した、残った残
渣からパラジウムを回収する際、残渣中に銅が多量に混
在しているため、パラジウムの回収が困難であった。
【0025】
【発明の効果】以上詳述した如く、この発明は芳香族若
しくは脂肪族のカルボン酸と酢酸ビニルとを、パラジウ
ム化合物、アルカリ金属のハロゲン化物及び酸解離指数
pKa値が1より大きい酸のナトリウム塩又はリチウム
塩とを必須成分としてなる触媒の存在下でエステル交換
し、カルボン酸ビニルエステルを製造してなることを特
徴とするカルボン酸ビニルエステルの製造法であるか
ら、前記実施例の結果からも明らかな如く、目的とする
反応生成物を、極めて高い添加率で生成させ、高収率で
回収することができ、反応効率が極めて優れているとと
もに、触媒として使用するパラジウム化合物の反応性を
高く維持した状態で反応を進行させ、そのパラジウム化
合物を触媒として反復使用することができるとともに、
反応終了後には複雑な分離・回収操作を必要とすること
なく、効率良くパラジウム化合物を、極めて高い収率で
容易に回収することができ、カルボン酸ビニルエステル
の工業的製造法として汎用することができるという優れ
た効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B01J 27/13 B01J 27/13 X 27/185 27/185 X C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (56)参考文献 特開 昭63−39835(JP,A) 特開 昭53−127410(JP,A) 特開 平6−135892(JP,A) 特公 昭38−8962(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 67/00 - 69/94

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族若しくは脂肪族のカルボン酸と酢
    酸ビニルとを、パラジウム化合物、アルカリ金属のハロ
    ゲン化物及び酸解離指数pKa値が1より大きい酸のナ
    トリウム塩若しくはリチウム塩とを必須成分としてなる
    触媒(但し、銅塩、アルカリ金属硝酸塩又は亜硝酸アル
    キルエステルを含有するものを除く。)の存在下でエス
    テル交換し、カルボン酸ビニルエステルを製造してなる
    ことを特徴とするカルボン酸ビニルエステルの製造法。
  2. 【請求項2】 前記アルカリ金属のハロゲン化物が、ア
    ルカリ金属の塩化物、臭化物若しくは沃化物であること
    を特徴とする請求項1に記載のカルボン酸ビニルエステ
    ルの製造法。
  3. 【請求項3】 前記酸解離指数pKa値が1より大きい
    酸のナトリウム塩若しくはリチウム塩が、使用する芳香
    族若しくは脂肪族のカルボン酸のナトリウム塩若しくは
    リチウム塩、又は前記芳香族若しくは脂肪族のカルボン
    酸と他の酸との混合物からなる酸のナトリウム塩若しく
    はリチウム塩であることを特徴とする請求項1又は2に
    記載のカルボン酸ビニルエステルの製造法。
  4. 【請求項4】 前記酸解離指数pKa値が1より大きい
    酸のナトリウム塩若しくはリチウム塩が、第二若しくは
    第三リン酸ナトリウム若しくはリチウム、炭酸ナトリウ
    ム若しくはリチウム、炭酸水素ナトリウム若しくはリチ
    ウム、酢酸ナトリウム若しくはリチウムの中から選択さ
    れた少なくとも一以上のナトリウム塩若しくはリチウム
    塩であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか
    記載のカルボン酸ビニルエステルの製造法。
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