JP2619215B2 - カルボン酸エステル合成用第三級カルボン酸組成物 - Google Patents

カルボン酸エステル合成用第三級カルボン酸組成物

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JP2619215B2
JP2619215B2 JP100494A JP100494A JP2619215B2 JP 2619215 B2 JP2619215 B2 JP 2619215B2 JP 100494 A JP100494 A JP 100494A JP 100494 A JP100494 A JP 100494A JP 2619215 B2 JP2619215 B2 JP 2619215B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はカルボン酸エステル合
成用第三級カルボン酸組成物に関し、さらに詳しくは、
耐加水分解性に優れたカルボン酸エステルを製造するの
に適したカルボン酸エステル合成用第三級カルボン酸組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】第三級カルボン酸エス
テルは、塗料の配合剤、あるいは溶剤などとして広く使
用されている。このような用途に使用される第三級カル
ボン酸エステルは、長期間に渡って過酷な条件にさらさ
れることから、耐加水分解性などの化学的安定性が極め
て高いレベルにあることが必要になる。
【0003】上記の用途などに用いられる第三級カルボ
ン酸エステルの製造の際に用いられる第三級カルボン酸
を主成分とするカルボン酸組成物は、所謂コッホ反応に
より製造されることが知られている。
【0004】コッホ反応とは、塩酸、硫酸、リン酸およ
び三フッ化ホウ素などを含む酸触媒の存在下に、オレフ
ィンと一酸化炭素と水とを反応させて、原料のオレフィ
ンの炭素数よりも炭素数が1個多いカルボン酸を製造す
る反応である(特公昭30−3362号公報参照)。
【0005】さらに、このコッホ反応による第三級カル
ボン酸組成物の製造法は、特公昭48−35048号公
報、特公昭49−48616号公報、N.ヨネダら,ケ
ミストリーレター,607−610頁(1974)、相
馬芳枝ら,油化学,第30巻第5号第265〜269頁
(1981)、相馬芳枝,有機合成化学,第41巻第6
号第561〜569頁(1983)等に開示されてい
る。
【0006】このような公知のコッホ反応を利用して製
造したカルボン酸組成物は、用いるオレフィンの種類な
どに起因して、多種類の第三級カルボン酸を含むのが一
般的であり、これらの種類によって得られるエステル化
合物の耐加水分解性が変動する。
【0007】そして、上記の従来技術を利用して製造し
たカルボン酸組成物は、エステル化され易い第三級カル
ボン酸を多量に含み、このようなエステル化され易い第
三級カルボン酸から誘導されたエステル化合物は、また
加水分解も受け易いという特性を有している。
【0008】したがって、このような第三級カルボン酸
エステルは、耐加水分解性が十分であるとは言い難く、
たとえば塗料や溶剤の分野に利用するには必ずしも好適
ではなかった。
【0009】
【発明の目的】この発明の目的は、化学的安定性の高い
新規なカルボン酸エステル合成用第三級カルボン酸組成
物を提供することである。
【0010】この発明の他の目的は、耐加水分解性など
の化学的安定性の高いエステル化合物を得ることができ
る新規なカルボン酸エステル合成用第三級カルボン酸組
成物を提供することである。
【0011】
【前記目的を達成するための手段】前記目的を達成する
ための請求項1に記載の発明は、炭素数13の第三級カ
ルボン酸を主成分とする第三級カルボン酸組成物であっ
て、4つの炭素と結合を有する炭素を分子構造中に少な
くとも2個有する第三級カルボン酸を、前記組成物中に
55重量%以上含有することを特徴とするカルボン酸エ
ステル合成用第三級カルボン酸組成物であり、請求項2
に記載の発明は、第三級カルボン酸組成物中における炭
素数13の第三級カルボン酸の含有率が90重量%以上
である請求項1に記載のカルボン酸エステル合成用第三
級カルボン酸組成物である。
【0012】この発明のカルボン酸エステル合成用第三
級カルボン酸組成物は、炭素数13のエステル化の困難
な第三級カルボン酸(以下、単にSA−13と称するこ
とがある。)を主成分とするものである。
【0013】前記エステル化の困難な第三級カルボン酸
は、以下に示す特定の条件下でのエステル化反応による
エステル化率が40重量%以下である。
【0014】前記エステル化反応とは、第三級カルボン
酸組成物100重量部とメタノール400重量部とのエ
ステル化反応である。
【0015】このエステル化反応に使用される触媒は酢
酸亜鉛である。酢酸亜鉛は、この発明の第三級カルボン
酸組成物に対して5.4重量%の割合で使用される。
【0016】このエステル化反応における反応温度は2
00℃であり、反応時間は5時間である。なお、その他
の反応条件、たとえば反応圧力、反応雰囲気および反応
容器などは通常のエステル化反応の際における条件であ
れば良い。
【0017】たとえば、反応容器としてオートクレーブ
を使用する場合、通常、34kg/cmG(これはメ
タノールの200℃における蒸気圧である。)であり、
反応雰囲気は窒素気流中などの不活性雰囲気下である。
【0018】この発明のカルボン酸エステル合成用第三
級カルボン酸組成物は、上記の条件のエステル化反応に
よりエステル化率が40重量%以下の第三級カルボン酸
を55重量%以上の割合で含有する。
【0019】上記条件におけるエステル化反応における
エステル化率が40重量%以下の第三級カルボン酸は、
4つの炭素と結合を有する炭素をその分子構造中に少な
くとも2個有する第三級カルボン酸であって、立体障害
などのために通常の方法ではエステル化が困難な第三級
カルボン酸である。したがって、この第三級カルボン酸
を他の方法でエステル化して得られたエステル化合物
は、エステル化の際のエステル化率の低下を招く立体障
害などが、逆にエステル結合部分を保護するように作用
し、良好な耐加水分解性を有するようになる。
【0020】この発明のカルボン酸エステル合成用第三
級カルボン酸組成物中におけるSA−13の含有率は、
通常は90重量%以上である。なお、この発明のカルボ
ン酸エステル合成用第三級カルボン酸組成物中に痕跡程
度の第二級カルボン酸等がコッホ反応によって生成して
いる可能性もある。
【0021】この4つの炭素と結合を有する炭素をその
分子構造中に少なくとも2個有する第三級カルボン酸と
しては、(化1)〜(化4)で示される第三級カルボン
酸を挙げることができる。
【0022】
【化1】 2−エチル−2,3,3,5,5−ぺンタメチルヘキサ
【0023】
【化2】 2,4,4−トルメチル−2−tert−ペンチルペン
タン酸
【0024】
【化3】 2−イソペンチル−2,4,4−トリメチルペンタン酸
【0025】
【化4】 2−イソプロピル−2,3,5,5−テトラメチルヘキ
サン酸
【0026】この発明のカルボン酸エステル合成用第三
級カルボン酸組成物は、上記例示した化合物で代表され
るところの、エステル化が困難な、4つの炭素と結合を
有する炭素をその分子構造中に少なくとも2個有する第
三級カルボン酸をその一種単独で含有していても良く、
またこれらの第三級カルボン酸を二種以上含有していて
も良い。
【0027】殊に以下に記載する特定の触媒を用いたコ
ッホ反応によりこの発明のカルボン酸エステル合成用
三級カルボン酸組成物を製造する場合には、この組成物
中には、4つの炭素と結合を有する炭素をその分子構造
中に少なくとも2個有する第三級カルボン酸を20種以
上含有することもある。
【0028】以下、特定の触媒を使用したコッホ反応を
利用して、上記例示したSA−13で代表されるところ
の第三級カルボン酸を主成分とするこの発明のカルボン
酸エステル合成用第三級カルボン酸組成物を製造する方
法について説明する。
【0029】この発明のカルボン酸エステル合成用第三
級カルボン酸組成物を製造するために用いるオレフィン
は、炭素数が12のオレフィンである。
【0030】炭素数12のオレフィンは、分子内のいず
れかの位置にーの二重結合を有するものであれば良く、
直鎖状、分岐状および環状のオレフィンを使用すること
ができる。
【0031】炭素数12のオレフィンとしては、1−ト
リデセン、2−トリデセン、3−トリデセン、4−トリ
デセン、5−トリデセンなどを挙げることができる。
【0032】さらに上記のオレフィンの水素原子が塩素
原子などのハロゲン原子で置換したハロゲン化オレフィ
ンも使用することができる。
【0033】コッホ反応においては、前記のオレフィン
の一種を選択し、あるいは二種以上の混合物や異性体混
合物の状態で使用することもできる。ただし、コッホ反
応においては、一種のオレフィン等を生成して用いる必
要はなく、通常は、複数の炭素数12のオレフィンなど
を混合物や異性体混合物の状態で使用することもでき
る。
【0034】更に炭素数が12以外のオレフィンを含有
していても良い。ただし、この場合には、炭素数が12
のオレフィンの含有率が90重量%以上であるものの使
用が望ましい。反応収率を一定レベル以上に確保するた
めである。
【0035】なお、コッホ反応においては、前記オレフ
ィン等の外に炭素数12の脂肪族あるいは脂環族アルコ
ールなども使用することができる。
【0036】特にこの発明のカルボン酸エステル合成用
第三級カルボン酸組成物が、4つの炭素と結合を有する
炭素をその分子構造中に少なくとも2個有する第三級カ
ルボン酸を高い含有率で含有するようにするには、分岐
を有するオレフィンを使用するのが好ましい。たとえば
2,4,4,6,6−ペンタメチル−1−ヘプテンおよ
び2,4,4,6,6−ペンタメチル−2−ヘプテンな
どのオレフィンを80%以上含有する分岐ドデセン混合
物が好ましい。
【0037】前記一酸化炭素は、純粋のものが好ましい
が、水性ガス、発生炉ガス、コークス炉ガスなどから得
られる一酸化炭素含有ガスを使用することもできる。
【0038】前記水は、純粋のものが最も好ましく、蒸
留水、イオン交換水などを使用することもできる。
【0039】この発明において使用に供する触媒は、硫
酸からなる触媒、硫酸およびリン酸からなる触媒、三フ
ッ化ホウ素および水からなる触媒、硫酸、三フッ化ホウ
素および水からなる触媒、硫酸、リン酸、三フッ化ホウ
素および水からなる触媒ならびにリン酸、三フッ化ホウ
素および水からなる触媒から選択される少なくとも一種
の触媒が好ましい。
【0040】前記触媒に金属化合物を加えても良く、金
属化合物を添加すると、生成物中の硫黄成分の含有量を
低減する効果の他にエステル化が困難な第三級カルボン
酸の収率の向上を図ることができるとの効果をも有して
おり、この発明のカルボン酸エステル合成用第三級カル
ボン酸組成物を製造する際の触媒として更に好ましい。
【0041】前記硫酸、リン酸からなる触媒中の硫酸濃
度は、通常は、30〜90重量%の範囲内にある。特に
40〜80重量%の鮪囲内にすることにより収率の向上
を図ることができる。
【0042】また、前記触媒中のリン酸濃度は、通常
は、5〜70重量%の範囲内にある。更に、この濃度を
15〜55重量%の範囲内にするのが好ましい。
【0043】前記金属化合物としては、たとえば酸化第
1銅、酸化銀、硫酸銀および酸化金などの金属酸化物の
他に金属銅、二価の銅化合物と金属銅との混合物なども
使用することができるが、好ましいのは酸化第1銅ある
いは酸化銀である。
【0044】触媒の一成分として、前記金属化合物特に
酸化第1銅を使用するときは、この金属の使用量は、硫
酸とリン酸との混合物の重量に対して、通常0.1〜4
重量%であり、好ましくは0.2〜2重量%である。
【0045】更に、触媒の酸強度が−9.2〜−6の範
囲内になるように各成分の含有率を調整することが望ま
しい。更に−9.0〜−6.5の範囲内になるように含
有率を調整することにより、この発明のカルボン酸エス
テル合成用第三級カルボン酸組成物中の、4つの炭素と
結合を有する炭素をその分子構造中に少なくとも2個有
する第三級カルボン酸の生成率が向上する。
【0046】ここで、酸強度とはハメットの酸度関数H
を言う。
【0047】なお、触媒の酸強度が−6よりも高いと、
カルボキシル化反応が惹起し難くなり、オレフィンの重
合や異性化が起こる傾向が生じ易くなる。また、−9.
2よりも低いと、原料オレフィンの炭素骨格を保持した
ままのカルボキシル化が起こり易くなり、また、オレフ
ィンの開裂が起こり易くなるのでピバリン酸(炭素数5
の酸)のような低分子量の生成物が多く生成する傾向が
大きくなる。
【0048】触媒の調製方法については、特に制限がな
く、たとえば硫黄とリン酸とを通常の混合操作により予
め混合しておいて触媒使用時に、この混合液をそのま
ま、あるいは希釈して使用することもできる。また、こ
の混合液に金属化合物を添加混合して予め金属化合物含
有触媒液を調製して使用することもできる。更に触媒使
用時に上記の予め調製した混合液に金属化合物を添加し
て触媒液を調製し、この触媒液を反応系に添加すること
もできる。
【0049】反応容器中に前記触媒成分を添加してお
き、そこに原料オレフィンを添加するのが好ましい。
【0050】要するに、オレフィンまたはアルコールと
一酸化炭素と水とが反応する際に、硫酸からなる触媒、
硫酸およびリン酸からなる触媒、三フッ化ホウ素および
水からなる触媒、硫酸、三フッ化ホウ素および水からな
る触媒、硫酸、リン酸、三フッ化ホウ素および水からな
る触媒ならびにリン酸、三フッ化ホウ素および水からな
る触媒から選択される少なくとも一種の触媒が存在する
ような状態となっているのが好ましい。
【0051】このようなコッホ反応における触媒の使用
量は、オレフィン1モルに対して、硫酸もしくは三フッ
化ホウ素、または硫酸と三フッ化ホウ素とを合わせたも
のが0.3モル以上であれば良い。
【0052】前記触媒の存在下におけるこれらオレフィ
ンまたはアルコールと一酸化炭素と水との反応は、回分
式、半回分式および連続式のいずれの形式でも行うこと
ができる。
【0053】この場合における反応温度は、通常は−1
0〜80℃、好ましくは0〜30℃である。反応温度が
−10℃よりも低いと、反応速度が低下することがあ
り、8o℃よりも高いと硫酸スラッジあるいは硫酸エス
テルなどの副生量が増加することがある。
【0054】反応圧力は、通常は、0〜100kg/c
Gの範囲内にある。ただし、反応圧力を4〜20k
g/cmGの範囲内にすることにより、炭素骨格の異
性化を容易にして、エステル化し難いカルボン酸が生成
し易くなる。この反応圧力は、通常は、反応容器内に導
人する一酸化炭素の導入圧力によって調整する。
【0055】反応時間は、通常10〜120分で十分で
ある。
【0056】このようにして行うコッホ反応により目的
物である特定の第三級カルボン酸を高い含有率で含む第
三級カルボン酸組成物を得ることができるが、この反応
により、副生成物としてオレフィンの重合物などのよう
な高分子生成物およびピバリン酸などのような分解生成
物などが同時に生成する。
【0057】この副生物は、反応の終了後に、得られる
反応生成液をたとえばn−ヘキサンなどの有機溶媒を用
いて抽出することにより、あるいは水洗などによって除
去することができる。副生成物を除去して得られた混合
物を減圧下に蒸留することにより特定の炭素数13の第
三級カルボン酸を含むこの発明のカルボン酸エステル合
成用第三級カルボン酸組成物を得ることができる。
【0058】すなわち、炭素数13の第三級カルボン酸
は、たとえば1mmHgの減圧条件で、115〜130
℃、好適には119〜127℃の範囲内の温度で蒸留す
ることにより得ることができる。なお、この蒸留による
精製の際に、少量の第三級カルボン酸のナトリウム塩あ
るいは水酸化ナトリウムのようなアルカリ成分を少量加
えることにより、第三級カルボン酸の混合物中に微量に
含まれることがあるところの、触媒として使用した硫酸
および硫黄化合物の分解によって生じた硫酸による分解
や着色などの劣化を有効に防止することができる。
【0059】このようにして得られたこの発明のカルボ
ン酸エステル合成用第三級カルボン酸組成物は、それ自
体、化学的に安定な第三級カルボン酸として使用するこ
とのできる他、たとえばジアゾメタンと反応させること
により非常に安定なメチルエステルを得ることができ、
このエステル化合物は過酷な条件で使用される塗料や溶
剤等として有効に使用することができる。
【0060】
【発明の効果】この発明のカルボン酸エステル合成用
三級カルボン酸組成物は、特定の条件下におけるエステ
ル化が困難な第三級カルボン酸を高い含有率で含有して
いる。
【0061】このエステル化の困難性は、主に第三級カ
ルボン酸の立体構造に起因している。すなわち、この発
明のカルボン酸エステル合成用第三級カルボン酸組成物
中の第三級カルボン酸は、4つの炭素と結合を有する炭
素をその分子構造中に少なくとも2個有する第三級カル
ボン酸であるから、カルボキシル基が保護されているか
らである。
【0062】したがって、この発明のカルボン酸エステ
ル合成用第三級カルボン酸組成物自体は、化学的に非常
に安定である。
【0063】更にこの第三級カルボン酸組成物は、これ
をエステル化した場合に、そのエステル化物は分子構造
上エステル結合部分がアルキル基などによって保護され
ているので、非常に高い耐加水分解性を示す。
【0064】
【実施例】(実施例1) 硫酸64重量%、リン酸29重量%および水7重量%の
混合溶液270gと、酸化第1銅2.3gとを、電磁撹
拌式ステンレス製オ一トクレーブ(容量:1リットル)
に仕込み、オートクレーブ内の空気を一酸化炭素ガスで
置換した後に、温度を25℃、一酸化炭素ガス圧力を1
5kg/cmGに保ち、3時間、1,000rpmの
回転速度で撹拌し、酸化第1銅を溶解させた(酸強度:
−8.1〜−7.5)。
【0065】続いて、温度および圧力を維持したまま、
表1に示す組成の炭素数12のオレフィンを主成分とす
るもの(IP1620、オレフィン混合物、出光石油化
学株式会社製)33.6gを90分間かけてオートクレ
ーブ内にポンプで供給した。
【0066】反応の進行に伴って消費された一酸化炭素
ガスは、一酸化炭素ガスのゲージ圧を15kg/cm
Gに保持することで補給した。
【0067】
【表1】
【0068】オレフィンの供給を停止した後に、更に1
時間撹拌を継続した。
【0069】反応終了後に、オートクレーブ内に残存す
る一酸化炭素を除去し、生成した反応混合物を三倍の水
で希釈した。
【0070】この希釈液を200ミリリットルのn−ヘ
キサンで三回抽出を繰り返した。
【0071】抽出液を合わせて、この抽出液からn−ヘ
キサンを除去することにより、粗カルボン酸組成物を得
た。
【0072】この粗カルボン酸組成物をガスクロマトグ
ラフィーを用いて分析したところ、表2に示す組成であ
ることが判明した。
【0073】
【表2】
【0074】この粗カルボン酸組成物を減圧蒸留によっ
て、精製し、沸点119〜127℃/1mmHgで炭素
数13の留分、すなわち、炭素数13の第三級カルボン
酸を主成分とするこの発明のカルボン酸組成物50.7
gを得た。
【0075】得られたこの発明のカルボン酸組成物のガ
スクロマトグラフィーのチャートを図1に示す。
【0076】このカルボン酸組成物50gを次のように
してエステル化を行なった。
【0077】このカルボン酸組成物50gを容量1リッ
トルのオートクレーブに人れ、更に200gのメタノー
ルおよび2.7gの酢酸亜鉛を加えて、オ−トクレーブ
中を窒素で置換した後に、200℃に加熱した。このと
きの圧力は、34kg/cmGであった。この条件で
5時間撹拌して所定のエステル化を行った。
【0078】エステル化を終了した後の反応生成物のガ
スクロマトグラフィーのチャ一卜を図2に示した。
【0079】図1と図2との比較から明らかなように、
上記の所定のエステル化反応によって、この発明のカル
ボン酸組成物中に含まれる第三級カルボン酸のうちの2
4重量%がエステル化されたに過ぎない。すなわち、こ
の発明のカルボン酸組成物中に含有される第三級カルボ
ン酸は、ほぼ全量がエステル化率が40重量%以下のエ
ステル化困難な第三級カルボン酸であることがわかる。
【0080】また、このカルボン酸組成物を、キャピラ
リーカラムにて構成成分ごとに分離し、ガスクロマトグ
ラフィー((株)島津製作所製;GC−9A)にて含有
量を分析した。さらに、各構成成分の構造解析をGC−
MS((株)日立製作所製;M−80B)を使用し、分
子量測定モードとして化学的イオン化法(C1−MS)
および電子衝撃イオン化法(EI−MS)を用いて分析
した。GC−MSによる構造解析の結果を表3に示す。
ガスクロマトグラフィーによる各構成成分の含有量(重
量%)を表4に示す。表3におけるピークナンバーと表
4におけるピークナンバーとは対応している。
【0081】単離することのできたピークナンバー4の
成分については、NMR分析(日本電子社製;GX−2
70型)により、さらに詳しく構造解析を行った。試料
はクロロホルム−d溶液とし、室温で測定した。化学シ
フト値はクロロホルム−d溶媒のピークを基準として、
H−NMRではこのピークを7.26ppm、 13
−NMRでは77.1ppmとした。
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】表3からわかるように、ピークナンバ−4
で示される成分以外の構成成分については、構造が完全
に同定されていない。しかしながら、このカルボン酸組
成物中において、ピークナンバー4、5、6、8、9お
よび10〜15の成分は、4つの炭素と結合する炭素を
分子構造中に少なくとも2個有する炭素数13の第三級
カルボン酸であることが理解される。したがって、4つ
の炭素と結Aする炭素を分子構造中に少なくとも2個有
する第三級カルボン酸の合計量は73.3重量%であ
り、このカルボン酸組成物中に55重量%以上含有され
ていることが確認された。なお、ピークナンバー10の
成分については、E1−MSのデータから、2つのC
11 −基の内、少なくとも一方が(CH CCH
−基であることが当業者には明らかである。
【0085】(比較例1) 第三級カルボン酸として市販のピバリン酸(炭素数5)
(シェル化学(株)製)を用いて、これを実施例1と同
一の条件でエステル化を行なった。
【0086】用いたピバリン酸のガスクロマトグラフィ
ーのチャートを図3に示す。
【0087】またエステル化して得られた反応生成物の
ガスクロマトグラフィーのチャートを図4に示す。
【0088】図3と図4とを比較することにより上記の
所定のエステル化反応によってピバリン酸の殆どが(9
4重量%)がメチルエステルになることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1において得られた第三級カルボ
ン酸組成物のガスクロマトグラフィーのチャートであ
る。
【図2】図2は実施例1において得られた第三級カルボ
ン酸組成物をエステル化した後の反応生成物のガスクロ
マトグラフィーのチャートである。
【図3】図3は比較例1において使用されたピバリン酸
のガスクロマトグラフィーのチャートである。
【図4】図4は比較例1において使用されたピバリン酸
をエステル化した後の反応生成物のガスクロマトグラフ
ィーのチャートである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数13の第三級カルボン酸を主成分
    とする第三級カルボン酸組成物であって、4つの炭素と
    結合を有する炭素を分子構造中に少なくとも2個有する
    第三級カルボン酸を、前記組成物中に55重量%以上含
    有することを特徴とするカルボン酸エステル合成用第三
    級カルボン酸組成物。
  2. 【請求項2】 第三級カルボン酸組成物中における炭素
    数13の第三級カルボン酸の含有率が90重量%以上で
    ある請求項1に記載のカルボン酸エステル合成用第三級
    カルボン酸組成物。
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