JP3468015B2 - リチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池

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晃二 東本
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム二次電池
の改良に関し、殊に安全性の向上に関する。 【0002】 【従来の技術】電子技術の進歩により、電子機器は、性
能が向上し、小型、ポータブル化が進み、その電源とし
て高エネルギー密度の電池が望まれている。従来の二次
電池としては、鉛蓄電池、ニッケル−カドミウム電池が
挙げられるが、エネルギー密度の高さという点では未だ
不十分である。そこで、これらの電池に代わるものとし
て、高エネルギー密度のリチウム二次電池が開発され、
急速に普及している。しかし、リチウム二次電池は通
常、電解液に可燃性の有機溶媒を使用している。従っ
て、電池が過充電になったときや、電池が火中投下され
たときなど、電池温度が上昇した場合は、電解液が燃焼
し、電池が激しく爆発するおそれがある。そのため、特
開平4−184870号公報では、電解液に自己消化性
のあるリン酸エステル類を含有させる技術が、特開平8
−88023号公報では、電解液に自己消化性のあるハ
ロゲン原子置換リン酸エステル化合物を含有させる技術
が提案されている。また、特開平8−45544号公報
では、電解液そのものに塩素置換エステル化合物を用い
ることで、引火点を高くして安全性を確保する技術が提
案されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の自己消化性のある物質や、引火点の高い物質を電解
液に含有させると、電解液のイオン伝導度が低下するた
め、電池の高率放電特性や低温特性が低下してしまう。
また、このような手法を用いても、充電状態(特に満充
電状態)で電池が火中投下されると、爆発することがわ
かった。つまり電解液を難燃化する技術を採用しても、
充電状態で電池を極端に加熱した場合、激しい爆発を防
止することは困難である。本発明が解決しようとする課
題は、電解液のイオン伝導度を低下させず、かつ、リチ
ウム二次電池が充電状態で極端な高温にさらされても激
しい爆発が起こらないようにすることである。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明のリチウム二次電池は、電池温度が60℃を越
えたときに正極と負極を短絡させる機構を有することを
特徴とする。上記機構を有することでリチウム二次電池
の安全性を確保できる理由を説明する。充電状態(特に
満充電状態)の正、負極活物質は、加熱等で高温になる
と、分解や崩壊を起こし、その際に発生するエネルギー
により激しい爆発を起こすと考えられる。そこで電池温
度が、通常の電池使用温度(−20℃〜60℃)を越え
たとき正、負極を短絡させれば、電池が放電する。する
と正、負極活物質のエネルギーが減少するので、さらに
電池温度が高くなったときに激しい爆発を起こす力を低
下させることができる。上記電池温度は、発電要素を収
納する電池容器外面、内面等、通常の電池温度を測定す
る際の箇所を適宜選択して測定されるものである。ま
た、電池容器内面や正極、負極、電解液等の各発電要素
の1つ以上の温度を測定する手段があればその手段を採
用して電池温度を測定しても構わない。 【0005】また本発明は、従来のように電解液組成、
電解液成分を操作する技術ではないため、電解液のイオ
ン伝導度を低下させない。 【0006】 【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を、円
筒形リチウムイオン二次電池(18650タイプ)を例
に図面を参照しながら説明する。 (正極の作製)まず、直径10μmのコバルト酸リチウ
ムと3μmの炭素粉末とポリフッ化ビニリデンとを8
5:7:8wt%の比率でN−メチルピロリドンに投
入、混合して、スラリを作製する。次いで、20μmの
アルミニウム箔の両面に前記スラリを塗布、乾燥、圧
延、その後54mm幅、長さ400mmに切断して短冊
状の正極シートを作製する。 【0007】(負極の作製)まず、粒径20μmの炭素
材とポリフッ化ビニリデンとを重量比で90:10でN
−メチルピロリドンに投入、混合して、スラリを作製す
る。次いで、10μmの銅箔の両面に前記スラリを塗
布、乾燥、圧延し、その後56mm幅、長さ480mm
に切断して短冊状の負極シートを作製する。 【0008】(電池の組立)上記正極シートと負極シー
トとを、厚さ25μm、幅58mmのポリエチレン微多
孔膜からなるセパレータを介して捲回し、スパイラル状
の捲回群6を作製する。この捲回群を電池缶3に挿入
し、予め負極集電体である銅箔に溶接しておいたニッケ
ルタブ端子を電池缶3の底に溶接する。次にプロピレン
カーボネートとジメチルカーボネートを体積比で1:1
に混合した溶液にLiPF6を1mol/lの濃度で溶
解した電解液を電池缶3内に5ml注入した。次に、予
め正極集電体であるアルミニウム箔に溶接したアルミニ
ウムタブ端子を蓋2に溶接して、蓋2を絶縁性のガスケ
ット4を介して電池缶3の上部に配置し、この部分をか
しめて電池を密閉化する。 【0009】図1は上述した、電池の組立の際に、形状
記憶合金1を蓋2の底部に接するように配置し、常温で
電池缶3に接触しないようにガスケット4に埋設して設
置した例である。このような構造のリチウム二次電池
は、火中投下等で電池温度が60℃を越える状態にまで
加熱されると、図2に示すように、形状記憶合金1が加
熱されたことで変形し、電池缶3と接触する機構を備え
ている。これにより蓋2に接続されている正極と電池缶
3に接続されている負極とを短絡させることができる。
そのため、充電状態のリチウム二次電池は急激に放電さ
れ、正、負極活物質のエネルギーが減少する。従って、
電池温度がさらに高くなったときに激しい爆発を防ぐこ
とができる。 【0010】もう一つの例を図3に示す。図3は上述し
た、電池の組立の際に電池缶3の側面に短絡装置7を配
置し、正極外部端子を兼ねる蓋2と、負極外部端子を兼
ねる電池缶3に短絡装置7から出ているリード線を溶接
した構成である。当然ながら、溶接する部分以外のリー
ド線は絶縁フィルムで被覆されている。短絡装置7を設
置した図3に示す電池は、火中投下等で電池温度が60
℃を越える状態にまで加熱されると、図3に示す形状記
憶合金8が加熱されたことで変形して、対になっている
金属板9に接触する機構を備えている。これにより、正
極外部端子を兼ねる蓋2に接続されている正極と、負極
外部端子を兼ねる電池缶3に接続されている負極とを短
絡させることができる。そのため充電状態のリチウム二
次電池は急激に放電され、正、負極活物質のエネルギー
が減少する。従って、電池温度がさらに高くなったとき
に激しい爆発を防ぐことができる。 【0011】上記いずれの例においても、短絡による急
激な放電による温度上昇はみられるが、その温度上昇だ
けによって電池が爆発することはない。 【0012】図1〜図3に示す形状記憶合金8は60℃
を越える温度で変形する材料であれば、電池の用途、目
的とする使用環境により適宜選択可能である。また形状
記憶合金を使用しないで、本発明の構成を備えることが
できればそれでも構わない。 【0013】また図1、図3の例は正極と負極を短絡さ
せる際に、比較的急激な放電をさせるものである。この
ような構成は電池が火中投下される場合等電池温度が急
激に上昇するおそれのある場合に最適に作用すると考え
られる。その理由は電池温度が60℃を越えると早期に
正極活物質、負極活物質を放電状態にすることができ、
さらに電池温度が上昇する前に、正極活物質、負極活物
質を不活性な状態にすることができるためである。上記
構成以外に、前記短絡(放電)を比較的穏やかに行わせ
ることを許容できる場合には、抵抗を介して正極と負極
を短絡させても良い。例えば、電池温度が60℃を越え
てさらに上昇するときに、その上昇速度が緩やかな場合
である。抵抗を介して正極と負極を短絡させることが許
容できれば、短絡に起因するジュール熱の発生を抑えな
がら、正極活物質、負極活物質を不活性な状態に導くこ
とができる。 【0014】 【実施例】実施の形態で記述した、図1に示すような蓋
2の下部に高温により変形する形状記憶合金1を配置し
た電池(実施例1)と、図3に示すような短絡装置を電
池の側面に設置した電池(実施例2)と、蓋2の下部に
何も配置させず、また、短絡装置も設置していない以外
は実施例1、2と同条件で作製した電池(従来例)につ
いて比較検討した。作製したこれらの電池の初期容量
は、1400mAhである。実施例1、2、従来例の電
池について、充電を1400mA、4.2V、2.5
h、放電を1400mA、終止電圧2.5Vして容量確
認した後、充電を1400mA、4.2V、3hと14
00mA、4.4V、3h行い、UL規格に準じた投射
(火中投下)試験を実施した。すべで10個の電池で試
験を行い、その結果を表1に示す。合格した数を表中に
示す。 【0015】 【表1】 【0016】表1から判るように、本発明は、通常の充
電電圧(4.2V)の投射試験は言うまでもなく過充電
の電圧(4.4V)の投射試験においても、すべて合格
しており、激しい爆発を抑制し安全性を高めている。ま
た、60℃までの充放電特性やサイクル特性や、その他
の電池の通常使用範囲条件の電池特性には、実施例1、
2と従来例とでは同様の結果が得られた。一方、本発明
の短絡させる機構は、実施例以外でも温度によって制御
できる方法であれば特に限定しない。例えば、融点が7
0℃程度のセパレータを用いて、セパレータを溶融させ
ることで正極と負極を短絡させても、同様の効果が得ら
れる。この場合は、正極と負極の接触が局部的に起こら
ないようにし、正極と負極が大部分の面で接触すること
が好ましい。その理由は短絡の際の電流が局部に集中す
ると、当該部分で過渡の温度上昇、それに伴う電解液の
発火の心配があるためである。また、短絡をさせる温度
を60℃以上にした理由は、電池の通常使用温度は−2
0℃〜60℃であるため、60℃を越えたらできるだけ
早く作動させる方が安全性に好ましいからである。 【0017】 【発明の効果】本発明は、電池の周囲温度が60℃を越
えた場合に正極と負極を短絡させる機構を有することを
特徴とするため、電池特性には何ら影響せずに、電池が
充電状態で高温においても激しい爆発を抑制するリチウ
ム二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施例の電池を説明する図である。 【図2】本発明の実施例の機構を説明する図である。 【図3】本発明の実施例の電池を説明する図である。 【符号の説明】 1.形状記憶合金 2.蓋 3.電池缶 4.ガスケット 5.パッキン 6.捲回群 7.短絡装置 8.形状記憶合金 9.金属板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 2/34 H01M 10/40

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】充電、放電が繰り返し可能な正極、負極活
    物質と有機電解液を備えるリチウム二次電池において、
    スパイラル状の捲回群が挿入された電池缶の上部に、絶
    縁性のガスケットを介して蓋が配置されており、該蓋の
    底部に接するように且つ常温で前記電池缶に接触しない
    ように、形状記憶合金が前記ガスケットに設置されてお
    り、電池温度が60℃を越えたとき該形状記憶合金が変
    形して前記電池缶と接触することにより、正極と負極を
    短絡させる機構を有することを特徴とするリチウム二次
    電池。
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