JP3465900B1 - 耐震建築構造および耐震建築構造の施工方法 - Google Patents

耐震建築構造および耐震建築構造の施工方法

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    • E04BUILDING
    • E04BGENERAL BUILDING CONSTRUCTIONS; WALLS, e.g. PARTITIONS; ROOFS; FLOORS; CEILINGS; INSULATION OR OTHER PROTECTION OF BUILDINGS
    • E04B1/00Constructions in general; Structures which are not restricted either to walls, e.g. partitions, or floors or ceilings or roofs
    • E04B1/18Structures comprising elongated load-supporting parts, e.g. columns, girders, skeletons
    • E04B1/26Structures comprising elongated load-supporting parts, e.g. columns, girders, skeletons the supporting parts consisting of wood
    • E04B2001/2696Shear bracing

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  • Joining Of Building Structures In Genera (AREA)

Abstract

【要約】 【課題】 耐荷重性能が効果的に発揮され得ると共に、
例えば既設の建築構造物等に対しても補強施工が有利に
実現され得る新規な耐震建築構造を提供すること。 【解決手段】 上水平部材12と下水平部材14を相互
に引張連結する上接続ロッド30aと下接続ロッド30
bの対向面間に、中空のアウタスリーブ36に対してそ
の軸方向一方の端部42から内挿ロッド38を挿し入れ
て該アウタスリーブ36に対して軸方向に抜け出し不能
で伸縮自在に且つ中心軸回りで相対回動可能に組み付け
た伸縮自在型連結部材34を同一中心軸上に配設し、ア
ウタスリーブ36の軸方向他方の端部42と内挿ロッド
38の突出側端部58を、それぞれ、上下の接続ロッド
30a,30bにおける各一方の端部32に連結した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、胴差しや梁、桁、土台等の水平
部材、柱や通し柱、間柱、管柱等の垂直部材および筋交
い等の斜め材からなる骨組みを備えた木構造等の建築構
造を補強する技術に係り、特に、骨組みの補強が容易に
且つ強固に実現されることにより、耐震性や施工性が有
利に発揮され得る新規な耐震建築構造およびその施工方
法に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から木構造等の建築構造においては、
一般に、鉛直方向に離隔配置され、且つ水平方向に延び
る土台、桁、梁および胴差し等を含む一対の水平材の間
に、水平方向に離隔配置され、且つ鉛直方向に延びる柱
等の一対の垂直材を配して、それら垂直材の端部に設け
たホゾ等の突起と各水平材の側面に開口して設けたホゾ
穴等の凹所を継合させたり、或いは垂直材の側面に設け
た凹所と各水平材の端部に設けた突起を継合させること
等により、上水平材と下水平材を一対の垂直材で連結し
て略四辺形の構造枠を構成すると共に、該構造枠の略対
角線上に筋交い等の斜め材を配して、斜め材の一方の端
部を一方の垂直材の上端部及び/又は上水平材における
一方の垂直材との連結部付近に固定させると共に、斜め
材の他方の端部を他方の垂直材の下端部及び/又は下水
平材における他方の垂直材との連結部付近に固定させる
ことにより、地震力や風圧力等の建物外部から略水平方
向にかかる横荷重乃至は水平荷重を引張荷重や圧縮荷重
等の軸荷重に変換して、垂直材や水平材の応力を軽減さ
せるようにした軸組構造乃至は架構式構造が知られてい
る。しかしながら、かかる構造にあっては、筋交いを配
設しただけでは、大きな地震力や風圧力等の水平荷重に
耐え得るほどの強度が有効に発揮され難いという問題が
あった。
【0003】そこで、従来の建築構造では、垂直材と水
平材の継手や仕口等を含む接合部や斜め材と垂直材の接
合部、斜め材と水平材の接合部等に、ホールダウン金
物、換言すれば引き寄せ金物やかすがい等を含む補強金
物乃至は接合金物を固着して、それら接合部を補強する
ことにより、耐震性能等の向上が図られている(例え
ば、特許文献1の図6−8参照。)。
【0004】しかしながら、上述の如き従来構造におい
ては、地震力や風圧力等の水平荷重の入力時に斜め材が
引張変形及び/又は圧縮変形等せしめられることに伴い
垂直材に応力が集中して、垂直材と水平材の接合部等に
局部的な応力が生ぜしめられ易い傾向にあり、その結
果、垂直材と水平材を固定する接合金物が外れたり、或
いは垂直材や水平材、斜め材等に亀裂が発生する等の不
具合が生じるおそれがあった。
【0005】そこにおいて、このような問題に鑑み、例
えば特許文献2〜5等には、全長を複数に分割形成する
と共に各軸方向端部に螺子部等を備えた接続杆の複数を
垂直材に沿って鉛直方向に延びるように配設し、上方の
接続杆を上水平材に螺着等で固定させると共に、下方の
接続杆を下水平材に螺着等で固定させる一方、各接続杆
の鉛直方向の対向面間にターンバックル状の連結金具等
を入れて同一中心軸上に配設すると共に、該連結金具の
両端部を各接続杆の螺子部に螺合させて、複数の接続杆
を引張連結せしめたり、或いは下水平材が載置される建
築基礎に固設され、且つ先端部分が下水平材を貫通して
垂直材に沿って延びるアンカーボルトと鉛直方向で離隔
して対向配置せしめられるように接続杆を配して、該接
続杆の一方の端部を上水平材に螺着等で固定させると共
に、接続杆の他方の端部をターンバックル状の連結金具
等を介してアンカーボルトの突出側端部と螺合連結させ
て、それら接続杆やアンカーボルトを引張連結せしめる
こと等により、上水平材と下水平材を垂直材と協働して
固定するようにした建築構造が示されている。
【0006】ところが、これら特許文献2〜5に示され
る建築構造においては、連結金具の軸方向長さが一定と
されていることから、かかる連結金具を用いて複数の接
続杆やアンカーボルト等を連結するに際して、予め、接
続杆やアンカーボルトの各端部を、連結金具の軸方向長
さに対応した距離だけ離れて対向位置せしめられる長さ
を正確に決定しておかなければ、連結金具に対して複数
の接続杆やアンカーボルトの各端部を螺着することが出
来ないという不具合があり、それによって、施工性が有
利に図られ難いという問題を内在していたのであり、し
かも、複数の接続杆を連結するに際して、接続杆の少な
くとも一つを手等で保持させつつ、連結金具に回動力を
及ぼして複数の接続杆を連結する必要があることから、
作業性が安定して発揮され難いと共に、接続杆の連結
力、ひいては一対の水平材の間に作用する引張力が充分
に確保され難いという問題があり、以て、建築物の耐震
性能等が有効に発揮され難いという問題があった。
【0007】また、近年、既設の建築構造物における耐
震補強施工等も検討されているが、上述の特許文献2〜
5を含む従来の建築構造にあっては、特にその点に関し
て考慮されておらず、例えば前記接続杆と連結金具に既
設のアンカーボルトを併用して上下水平材を引張連結せ
しめることに際して、アンカーボルトの先端部分におけ
る下水平材からの突出長さに対応させる等して、接続杆
や連結金具の軸方向長さを設定する必要があることか
ら、施工に大きな労力と時間がかかるという問題があっ
たのである。
【0008】
【特許文献1】特開2001−336219号公報
【特許文献2】特開平9−242373号公報
【特許文献3】特開平9−324472号公報
【特許文献4】特開2002−235377号公報
【特許文献5】特開平9−273223号公報
【0009】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、耐荷重性能が効果的に発揮され得ると共
に、例えば既設の建築構造物等に対しても補強施工が有
利に実現され得る新規な耐震建築構造とかかる耐震建築
構造の施工方法を提供することにある。
【0010】
【解決手段】以下、このような課題を解決するために為
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の
組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至
は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることな
く、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの
記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づ
いて認識されるものであることが理解されるべきであ
る。
【0011】先ず、本発明の第一の態様は、互いに平行
に水平方向に延びる上水平部材と下水平部材を鉛直方向
に延びる複数の垂直部材で連結すると共に、隣接する二
つの該垂直部材を含んで該上下水平部材で構成された略
四辺形の枠組みの少なくとも一つにおいて該枠組みの略
対角線上に斜め材を掛け渡して補強枠組みとし、更に、
該補強枠組みを構成する該上水平部材と該下水平部材の
間に跨って該垂直部材に沿って延び、それら上下の水平
部材を引張連結する連結ロッドを設けた耐震建築構造に
おいて、中空のアウタスリーブに対して、その軸方向一
方の端部から内挿ロッドを挿し入れて該アウタスリーブ
に対して軸方向に抜け出し不能で伸縮自在に且つ中心軸
回りで相対回動可能に組み付けると共に、該アウタスリ
ーブの軸方向他方の端部と該内挿ロッドの突出側端部と
にそれぞれ螺合連結部を設けて、それら螺合連結部に上
接続ロッドと下接続ロッドが螺着されるようにすること
により、該上接続ロッドおよび該下接続ロッドを該アウ
タスリーブと該内挿ロッドの伸長状態下で相互に引張連
結せしめ得るようにする一方、収縮状態で該内挿ロッド
の突出側端部を該アウタスリーブの開口部に対して中心
軸回りで相対回動不能に係合せしめて該アウタスリーブ
に及ぼされる回動力を該内挿ロッドに及ぼし得るように
した伸縮自在型連結部材を用い、前記上水平部材に固定
されて該上水平部材から下方に向かって延びる前記上接
続ロッドと前記下水平部材に固定されて該下水平部材か
ら上方に向かって延びる前記下接続ロッドを相互に連結
することにより前記連結ロッドを構成した耐震建築構造
を、特徴とする。
【0012】このような本態様に従う構造とされた耐震
建築構造においては、上水平部材と下水平部材の間に上
下接続ロッドを伸縮自在型連結部材で連結してなる連結
ロッドを垂直部材に沿って延びるように配設し、上接続
ロッドの端部を上水平部材に固定すると共に、下接続ロ
ッドの端部を下水平部材に固定して、伸縮自在型連結部
材における内挿ロッドおよびアウタスリーブの各接続ロ
ッドに対する螺合位置または螺入量を調整することによ
り、上水平部材と下水平部材の間に所望の引張力が及ぼ
されることとなり、それによって、地震力や風圧力等の
横荷重に対する垂直部材や斜め材等の応力が軽減される
ことから、強度が有利に向上されることとなり優れた耐
震性能や耐風圧性能が発揮され得る。
【0013】そこにおいて、特に本態様では、これら内
挿ロッドおよびアウタスリーブを、上下接続ロッドの対
向面間に収縮状態で位置せしめた後、伸長させて、アウ
タスリーブ側の螺合連結部を上下接続ロッドの何れか一
方の先端部に螺着固定すると共に、内挿ロッド側の螺合
連結部を上下接続ロッドの他方の先端部に螺着固定する
ことにより、上接続ロッドおよび下接続ロッドの対向面
間に容易に装着して、それら上下接続ロッドを相互に引
張連結させることが出来るのである。
【0014】すなわち、本態様に従う構造とされた耐震
建築構造においては、アウタスリーブと内挿ロッドが、
軸方向で相対変位せしめられることにより伸縮自在とさ
れていることに加えて、中心軸回りで相対回動可能とさ
れていることにより、上下の接続ロッドの対向面間距離
や螺子構造等に応じて伸縮させたり中心軸回りで任意の
方向に回動させる等して各接続ロッドと連結することが
出来ることから、施工性が有利に実現され得るのであ
る。
【0015】また、本態様では、アウタスリーブと内挿
ロッドの収縮状態で、内挿ロッドの突出側端部がアウタ
スリーブの開口部に対して中心軸回りで相対回動不能に
一体的に係合されるようになっていることから、内挿ロ
ッドを上下接続ロッドの何れか一方に連結するに際し
て、該接続ロッドの端部が狭く奥まったところにある場
合や上接続ロッドと下接続ロッドの対向面間距離が狭い
場合等にも、上述の如き収縮状態でアウタスリーブを内
挿ロッドのボックスレンチと同様に機能させることによ
り、アウタスリーブを操作してアウタスリーブに加えら
れる回動力を内挿ロッドに及ぼして、該接続ロッドに対
して容易に螺着せしめることが出来るのである。
【0016】さらに、本態様では、内挿ロッドを螺着せ
しめた後に、伸長状態とすることで、アウタスリーブを
内挿ロッドに対する係合から速やかに解除することが可
能であり、アウタスリーブが上下接続ロッドの何れか他
方に対して容易に螺着されることから、作業安定性が有
利に実現され得るのであり、それによって、上接続ロッ
ドと下接続ロッドの連結力、ひいては上水平部材と下水
平部材の間に作用する引張力が効果的に発揮されること
から、従来構造の建築構造に比して、自重等を含む固定
荷重や積載荷重等の鉛直方向にかかる荷重に対して強度
が有利に発揮され得ることは勿論、風圧力や地震力等の
建築外部から水平方向にかかる荷重に対しても優れた強
度が発揮され得るのである。
【0017】なお、本態様において、上水平部材は、梁
や桁の他、土台の上方に位置する胴差し乃至は平物等で
あっても良い。また、下水平部材は、梁や桁の他、それ
らの下方に位置する胴差しや土台等であっても良い。ま
た、垂直部材は、柱や通し柱等を含む大柱や間柱や管
柱、支柱等を含む小柱、小屋束等を含んで構成される。
更に、斜め材としては、例えば木製の筋交いや鋼製のブ
レース等が採用され得る。また、上接続ロッドと上水平
部材および下接続ロッドと下水平部材における固定構造
としては、特に限定されるものでなく、例えば接続ロッ
ドの端部に雄螺子部乃至はボルト部を設ける一方、上水
平部材と下水平部材に、それぞれ、雌螺子部乃至はナッ
ト部を設けて、それら上下水平部材に各接続ロッドを螺
着固定させたり、或いは上水平部材と下水平部材に、そ
れぞれ、羽子板ボルト等の一端を固定させると共に他端
を接続ロッドに設けた雌螺子部等と螺着固定させること
等が採用され得る。また、斜め材の本数や枠組みに対す
る配設形態等は、特に限定されるものでなく、例えば枠
組みにおける二本の対角線上に、それぞれ、斜め材を配
設したX形筋交い構造や、或いは複数の斜め材を、それ
ぞれ、傾斜方向を異ならせて配設するK形またはV形筋
交い構造やハ形やY形等の偏芯筋交い構造等により実現
され得る。また、螺合連結部は、例えば内挿ロッドやア
ウタスリーブの端部にボルトやナットを固設することに
より、これらボルトやナットの螺子部によって有利に構
成され得る。更にまた、螺合連結部の螺子構造は、限定
されるものでなく、右螺子や左螺子等が適宜に採用され
得る。
【0018】また、本発明の第二の態様は、前記第一の
態様に係る耐震建築構造において、前記上水平部材に固
定された前記上接続ロッドと前記下水平部材に固定され
た前記下接続ロッドとの各先端部を、前記伸縮自在型連
結部材における前記アウタスリーブと前記内挿ロッドの
各一方の前記螺合連結部に対して螺着せしめて、それら
上接続ロッドと下接続ロッドを該伸縮自在型連結部材で
直接に連結せしめたことを、特徴とする。このような本
態様においては、部品点数が少なくされて且つ簡単な構
造とされていることから、製造コストの低減化や施工の
簡便化等が一層有利に実現され得る。なお、本態様で
は、特に限定されるものでないが、伸縮自在型連結部材
におけるアウタスリーブと内挿ロッドの各一方の螺合連
結部は、ナット構造とされて、そこに上下の接続ロッド
の先端部に形成されたボルト部が螺着されるようにする
ことが望ましい。
【0019】また、本発明の第三の態様は、前記第一の
態様に係る耐震建築構造において、前記伸縮自在型連結
部材を二つ用い、前記上水平部材に固定された前記上接
続ロッドの先端部に一方の該伸縮自在型連結部材を介し
て中間接続ロッドの一端を連結すると共に、前記下水平
部材に固定された前記下接続ロッドの先端部に他方の該
伸縮自在型連結部材を介して該中間接続ロッドの他端を
連結することにより、それら上接続ロッドと下接続ロッ
ドに対して該二つの伸縮自在型連結部材で該中間接続ロ
ッドを繋いで連結せしめたことを、特徴とする。このよ
うな本態様においては、架構の配設条件や要求される強
度、施工条件等に応じて、伸縮自在型連結部材における
内挿ロッドのアウタスリーブに対する突出長さ、換言す
れば伸縮自在型連結部材の全長や取り付け強度等が高度
に設定されることとなり、それによって、施工性や耐震
性等がより有効に発揮され得る。なお、本態様では、中
間接続ロッドを複数に分割形成して、複数の中間接続ロ
ッドの各対向面間に上述の如き伸縮自在型連結部材を配
設して該複数の中間接続ロッドを引張連結するようにし
ても良い。即ち、本態様においては、内挿ロッドやアウ
タスリーブを含んで構成される伸縮自在型連結部材の配
設位置や数等は、架構の配設条件や要求される強度、施
工条件等に応じて当業者が適宜に設定し得る事項の一つ
であり、何等限定されるものでない。
【0020】また、本発明の第四の態様は、前記第一乃
至第三の何れかの態様に係る耐震建築構造において、前
記アウタスリーブの軸方向一方の開口部に多角形の嵌合
筒部を形成する一方、前記内挿ロッドにおいて、収縮状
態で該嵌合筒部に嵌め込まれる多角形の嵌合部を設けた
ことを、特徴とする。このような本態様においては、内
挿ロッドとアウタスリーブの収縮状態で、該内挿ロッド
の突出側端部を該アウタスリーブの開口部に対して中心
軸回りで相対回動不能に一体的に回動せしめ該アウタス
リーブに及ぼされる回動力を該内挿ロッドに及ぼし得る
ようにすることが、より効果的に実現され得る。
【0021】また、本発明の第五の態様は、前記第一乃
至第四の何れかの態様に係る耐震建築構造において、前
記アウタスリーブと前記内挿ロッドの収縮状態下で、該
内挿ロッドの先端部分が所定長さで該アウタスリーブか
ら突出せしめられるようにしたことを、特徴とする。こ
のような本態様においては、収縮状態において内挿ロッ
ドがアウタスリーブ内に完全に入り込んで隠れてしまう
ようなことがなく、収縮状態から内挿ロッドを容易に引
き出すことが可能となって取り扱いや作業が容易とな
る。
【0022】また、本発明の第六の態様は、前記第一乃
至第五の何れかの態様に係る耐震建築構造において、前
記アウタスリーブの軸方向一方の開口部近くに環状の係
止部材を固着して、前記内挿ロッドを該係止部材に挿通
配置せしめると共に、該内挿ロッドの挿入側端部に係止
ヘッドを設けて、該係止ヘッドの該係止部材への係止作
用により該内挿ロッドの該アウタスリーブからの抜け出
しを阻止するようにしたことを、特徴とする。このよう
な本態様においては、内挿ロッドとアウタスリーブを中
心軸回りで相対回動可能に且つ軸方向で抜け出し不能で
伸縮自在に連結せしめる機構が、容易に実現可能とな
る。
【0023】また、本発明の第七の態様は、前記第一乃
至第六の何れかの態様に係る耐震建築構造において、前
記アウタスリーブの軸方向他方の端部において、多角形
の外周面形状を有する操作部を形成したことを、特徴と
する。このような本態様においては、アウタスリーブに
対する回動操作力を、スパナ等を用いて効率的に及ぼす
ことが出来るのであり、特に、収縮状態下でアウタスリ
ーブに及ぼす操作力を内挿ロッドに及ぼす場合にも、回
動操作力をより良好な作業性をもって作用せしめること
が可能となる。
【0024】また、本発明の第八の態様は、前記第一乃
至第七の何れかの態様に係る耐震建築構造において、建
築物の基礎に載置される土台によって前記下水平部材を
構成すると共に、前記下接続ロッドを該下水平部材に貫
通せしめて該下水平部材を支持する該基礎に挿し入れて
アンカー構造としたことを、特徴とする。このような本
態様においては、地震力や風圧力等の横荷重に対する連
結ロッドの応力が下水平部材に固定される接続ロッドを
介して建物基礎に分散されることから、強度が一層有利
に発揮され得ることに加え、土台に固定されるアンカー
ボルトと同様な機能が発揮され得る。
【0025】また、本発明の第九の態様は、前記第一乃
至第八の何れかの態様に係る耐震建築構造において、前
記伸縮自在型連結部材における前記内挿ロッドによっ
て、前記上接続ロッドと前記下接続ロッドの少なくとも
一方を構成したことを、特徴とする。このような本態様
においては、部品点数の削減化や施工の簡便性がより有
利に実現され得るのであり、しかも、連結ロッドの連結
構造が簡便化されることに伴い連結強度のより一層の向
上が図られ得る。また、本態様では、例えば内挿ロッド
の先端のボルト構造として、木ねじを採用することも可
能であり、それによって、内挿ロッドを直接に上水平部
材または下水平部材にねじ込んで螺着せしめることが可
能となり、既設の建築構造物に対しても補強施工が有利
に図られ得る。
【0026】また、本発明の第十の態様は、前記第一乃
至第九の何れかの態様に係る耐震建築構造において、前
記斜め材の両端部が前記上水平部材と前記下水平部材に
固定されていることを、特徴とする。このような本態様
においては、一般に、横荷重に対する耐荷重性能が良好
に発揮され難い柱等の垂直部材に対して、斜め材の引張
変形及び/又は圧縮変形に伴い応力集中することが軽減
されると共に、斜め材が横荷重に対する耐荷重性能が優
れている梁や桁、土台等の水平材に固定されることによ
り、補強枠組みにおける斜め材の強度が効果的に発揮さ
れることから、耐震性能や耐風圧力性能等が一層有利に
発揮され得るのである。
【0027】また、本発明の第十一の態様は、前記第一
乃至第十の何れかの態様に係る耐震建築構造において、
建築物の基礎に載置される土台によって前記下水平部材
を構成すると共に、該下水平部材を支持する該基礎に挿
し入れたアンカーボルトを該下水平部材に貫通せしめ
て、前記斜め材の下端部を該下水平部材に対して該アン
カーボルトで固定したことを、特徴とする。このような
本態様においては、斜め材がアンカーボルトを介して建
物基礎に固定されることにより、斜め材の取り付け強度
がより効果的に発揮され得る。
【0028】また、本発明の第十二の態様は、前記第一
乃至第十一の何れかの態様に係る耐震建築構造におい
て、前記下水平部材と前記上水平部材に前記複数の垂直
部材と前記斜め材を組み合わせて形成した前記補強枠組
みを下層として、該上水平部材の更に上方で該上水平部
材と平行に延びる第二の上水平部材を配設すると共に該
上水平部材と該第二の上水平部材を複数の上層垂直部材
で連結せしめて隣接する二つの該上層垂直部材を含んで
該上水平部材と該第二の上水平部材で略四辺形の上層枠
組みを構成し、該上層枠組みの少なくとも一つにおいて
該上層枠組みの略対角線上に斜め材を掛け渡して上層補
強枠組みとすることにより、かかる上層補強枠組みを該
下層の補強枠組みの上に積み重ねて一体形成する一方、
該下層の補強枠組みにおいて該下水平部材と該上水平部
材を引張連結する前記連結ロッドを前記上層垂直部材に
沿って該第二の上水平部材まで延び出させて、該連結ロ
ッドにより該第二の上水平部材を該上水平部材に対して
引張連結せしめたことを、特徴とする。このような本態
様においては、複数の水平部材が鉛直方向で一体的に引
張連結することにより、多層建築物における複数層での
補強枠組みが、全体として少ない部品点数で簡単な構造
をもって実現され得る。
【0029】さらに、耐震建築構造の施工方法に関する
本発明の第一の態様は、前記第一乃至第十二の何れかの
態様に係る耐震建築構造の施工方法であって、前記上水
平部材に前記上接続ロッドを固着して下方に向かって延
ばすと共に、前記下水平部材に前記下接続ロッドを固着
して上方に向かって延ばして、それら上下接続ロッドを
鉛直方向で離隔して対向配置させる一方、該上接続ロッ
ドと該下接続ロッドの対向面間に前記伸縮自在型連結部
材を収縮状態で入れて同一中心軸上に配設すると共に、
該収縮状態下で前記アウタスリーブに及ぼされる回動力
を前記内挿ロッドに及ぼすことにより該内挿ロッドの前
記螺合連結部を該上接続ロッドと該下接続ロッドの何れ
か一方の先端部に螺着固定すると共に、該アウタスリー
ブと該内挿ロッドを軸方向に相対変位させて伸長状態と
し、該伸長状態下で該アウタスリーブに回動力を及ぼす
ことにより該アウタスリーブの前記螺合連結部を該上接
続ロッドと該下接続ロッドの他方の先端部に螺着固定す
ることによって、該上水平部材と該下水平部材を相互に
引張連結せしめ得るようにしたことを、特徴とする。
【0030】更にまた、耐震建築構造の施工方法に関す
る本発明の第二の態様は、前記第一乃至第十二の何れか
の態様に係る耐震建築構造の施工方法であって、前記伸
縮自在型連結部材における前記アウタスリーブと前記内
挿ロッドの収縮状態下で、前記上接続ロッドと前記下接
続ロッドの何れか一方の先端部に該アウタスリーブの前
記螺合連結部を螺着固定すると共に、該上接続ロッドと
該下接続ロッドの他方の先端部に該内挿ロッドの前記螺
合連結部を螺着固定して前記連結ロッドを構成すると共
に、該収縮状態を保持しつつ該連結ロッドを前記上水平
部材と前記下水平部材の対向面間に前記垂直部材と平行
に延びるように配置して、該アウタスリーブに及ぼされ
る回動力を該内挿ロッドに及ぼすことにより該内挿ロッ
ドと該アウタスリーブの何れか一方に連結した該上接続
ロッドを該上水平部材に固定すると共に、該アウタスリ
ーブと該内挿ロッドを軸方向に相対変位させて伸長状態
とし、該伸長状態下で該アウタスリーブに回動力を及ぼ
すことにより該内挿ロッドと該アウタスリーブの他方に
連結した該下接続ロッドを該下水平部材に固定すること
によって、該上水平部材と該下水平部材を相互に引張連
結せしめ得るようにしたことを、特徴とする。
【0031】これら耐震建築構造の施工方法に関する本
発明の第一の態様や第二の態様においては、上述の第一
乃至第十二の何れかの態様に従う構造とされた耐震建築
構造が容易に実現され得ることに加え、上接続ロッドと
下接続ロッドを相互に引張連結せしめる伸縮自在型連結
部材におけるアウタスリーブと内挿ロッドが、補強枠組
みの鉛直方向、換言すれば垂直部材の延びる方向にフリ
ーに相対変位されることから、上接続ロッドおよび下接
続ロッドの対向面間距離とアウタスリーブ及び/又は内
挿ロッドの軸方向長さを厳密に設定して施工する必要が
なくなり、取り付け作業が有利に実現され得るのであ
り、それによって、例えば既設の建築構造における補強
枠組みに対しても本態様の連結ロッドを容易に取り付け
ることが出来ることから、建築構造における補強施工の
更なる向上が図られ得る。
【0032】
【発明の実施形態】以下、本発明を更に具体的に明らか
にするために、本発明の実施形態について、図面を参照
しつつ、説明する。
【0033】先ず、図1には、本発明の第一の実施形態
としての木造建築構造10が示されている。この木造建
築構造10は、梁と土台の間に配置される上水平部材と
しての胴差し12と下水平部材としての土台14を鉛直
方向(図1中、上下方向)に延びる複数の柱16で連結
すると共に、隣接する二つの柱16,16を含んで胴差
し12や土台14等で構成された略四辺形の枠組みの少
なくとも一つにおいて、該枠組みの各対角線上に斜め材
としての一対の筋交い18,18を配して、それら筋交
い18,18をたすき掛け状に掛け渡してなる補強枠組
みとしての構造枠20を備えており、複数層からなる建
物の骨組みとなる架構式構造とされている。なお、以下
の説明中、鉛直方向とは、図1中の上下方向を指すもの
とし、水平方向とは、図1中の左右方向を指すものとす
る。
【0034】より詳細には、土台14は、角材等の複数
を、例えば矩形枠体形状等の適宜の形状に組むことによ
り形成されていると共に、コンクリートからなる建物基
礎22に載置されている(図9等参照。)。また、基礎
22には、アンカーボルト22の多数が立設されてい
る。これらアンカーボルト24は、公知のものが採用さ
れ、全体として略J字形乃至は略L字形を呈しており、
湾曲形状乃至は屈曲形状の下端部分が基礎22に埋設状
態で固着されていると共に、螺子部を備えた上端部分が
土台14を貫通して土台14から上方に所定の長さで突
出してナット等で螺合されることにより、土台14上端
部に固定されている。これにより、土台14が基礎22
に対して固定されている。
【0035】また、土台14には、一対の柱16,16
を含んで複数の柱が立設されている。これら柱16,1
6は、角材等を用いて形成されており、本実施形態で
は、一方(図1中、左方)の柱16が複数層からなる建
物を一本の角材で通した通し柱とされていると共に、他
方(図1中、右方)の柱16が各層別に設置された管柱
とされている。また、土台14の上底部には、上方に向
かって開口する略矩形形状のホゾ穴26,26が水平方
向に所定の離隔距離をもって形成されていると共に、柱
16の下端部分には、下方(図1中、下)に向かって突
出する略矩形形状のホゾ28が設けられている。更に、
一対の柱16,16は、土台14のホゾ穴26,24に
各柱16のホゾ28が嵌合されることにより、土台14
と直交する方向に延びるようにして土台14と接合され
ている。
【0036】また、土台14の上方には、胴差し12が
配設されている。胴差し12は、角材等により形成され
ていると共に、その軸方向端部に略矩形形状のホゾ28
が突設されている一方、胴差し12の上底部や下底部等
の適宜の場所に略矩形形状のホゾ穴26が開口して形成
されている。また、本実施形態では、通し柱とされる一
方の柱16の壁部に略矩形形状のホゾ穴26が水平方向
に開口して形成されていると共に、管柱とされる他方の
柱16の上端部に略矩形形状のホゾ28が突設されてお
り、胴差し12のホゾ28が一方の柱16のホゾ穴26
に嵌合されると共に、胴差し12のホゾ穴26が他方の
柱16のホゾ28に嵌合されることにより、胴差し12
が一対の柱16,16に接合されている。これにより、
胴差し12と土台14が水平方向に延びるようにして鉛
直方向に離隔して対向配置されていると共に、一対の柱
が16,16が胴差し12と土台14の対向面間を鉛直
方向に延びるようにして水平方向に離隔して対向配置さ
れており、以て、これら胴差し12、土台14および一
対の柱16,16からなる略矩形枠体形状の枠組みが構
成されている。なお、一対の柱16,16と胴差し12
の接合部や一対の柱16,16と土台14の接合部に
は、必要に応じて、ホールダウン金物やかすがい等の公
知の接合金物が固設されて補強され得るが、本実施形態
では、特に上述の如き接合金物が固設されておらず、ホ
ゾ28とホゾ穴26の継合だけで胴差し12、土台14
および柱16,16が接合されている。
【0037】また、上述の枠組みにおける一対の略対角
線上には、斜め材としての筋交い18が配設されてい
る。筋交い18は、合板や木材等を用いて形成されて、
薄肉の略矩形平板形状を呈していると共に、その両端部
が筋交い18の幅方向に傾斜する方向に延びていると共
に、互いに略平行に延びている。また、これらの筋交い
18,18は、枠組みの内側に交差状乃至はたすき掛け
状に配設され、一対の筋交い18,18の各上端部が胴
差し14の各柱16付近の側壁部等にかすがいや釘、ボ
ルト等を用いて固着されると共に、一対の筋交い18,
18の各下端部が土台14の各柱16付近の側壁部等に
かすがいや釘、ボルト等を用いて固着されることによ
り、胴差し12と土台14に対して固定されている。な
お、筋交い18は、端部の一部が柱16と接触されてい
るが、柱16に対して支持されていない。また、上述の
説明からも明らかなように、本実施形態では、これら胴
差し12、土台14、一対の柱16,16および一対の
筋交い18,18により構造枠20が構成されている。
また、本実施形態では、例えば、かかる構造枠20を備
えた建築構造10に水平方向一方(図1中、左)の側か
ら他方(図1中、右)の側に向かって入力される荷重に
対して、一方(図1中、右上り)の筋交い18が、引張
力を生じる引張筋交いとされていると共に、他方(図1
中、左上り)の筋交い18が、圧縮力を生じる圧縮筋交
いとされている。
【0038】また、各柱16付近における胴差し12と
土台14の対向面間には、上接続ロッドとしての上固定
ボルト30aと下接続ロッドとしての下固定ボルト30
bが、鉛直方向に延びるようにして離隔配置されてい
る。これら上下の固定ボルト30a,30bは、両端に
螺子部を備えており、少なくとも一方の螺子部の先端が
尖鋭形状とされている。また、一対の上固定ボルト30
a,30aは、それぞれ、尖鋭形状とされた各一方の螺
子部が各柱16付近の胴差し12の下底部にねじ込まれ
て固着されていると共に、各他方の螺子部32が下方に
延びており、胴差し12に対して固定されている。ま
た、一対の下固定ボルト30b,30bは、それぞれ、
前記上固定ボルト30aと同一直線上に離隔して対向配
置されている一方、尖鋭形状とされた各一方の螺子部が
各柱16付近の土台14の上底部にねじ込まれて固着さ
れていると共に、各他方の螺子部32が各柱16に沿っ
て上方に向かって延びており、土台14に対して固定さ
れている。これにより、各柱16付近に配置される上固
定ボルト30aの螺子部32aと下固定ボルト30bの
螺子部32bが、胴差し12と土台14の対向面間に離
隔して対向配置せしめられて、両螺子部32a,32b
の対向面間に所定の隙間が設けられている。
【0039】また、これら上下の固定ボルト30a,3
0bの対向面間には、伸縮自在型連結部材としての引張
装置34が一対配設されており、本実施形態の構造枠2
0において合計4つの引張装置34が組み付けられてい
る。かかる引張装置34は、図2〜3にも拡大して示さ
れているように、アウタスリーブとしての外筒金具36
と内挿ロッドとしての内挿ボルト38を含んで構成され
ている。
【0040】外筒金具36は、略円筒形状を呈している
と共に、その両端の開口部には、軸方向外方に向かって
逆テーパ状に拡がる段差部40を介して嵌合筒部42が
一体形成されている。嵌合筒部42は、六角形の筒体形
状とされている。また、本実施形態では、外筒金具36
の軸方向一方(図2中、上方)の端部が、操作部として
の嵌合筒部42aを含んで構成されていると共に、外筒
金具36の軸方向他方(図2中、下方)の端部が、嵌合
部としての嵌合筒部42bを含んで構成されている。
【0041】また、一方の嵌合筒部42aには、第一ナ
ット44が内挿されて圧入により、或いは必要に応じて
溶接等で固定されている。かかる第一ナット44は、六
角形の高ナットとされており、該第一ナット44の螺子
部46によって外筒金具36の螺合連結部を構成してい
る。また、第一ナット44の一端は、段差部40に当接
されていると共に、第一ナット44の他端は、嵌合筒部
42aの開口端部から軸方向外方に所定長さで突出して
おり、この突出部分に対してスパナ等で外部から回動操
作力を容易に及ぼすことも出来るようになっている。
【0042】さらに、他方の嵌合筒部42bには、環状
の係止部材としての係止リング48が内挿されて圧入に
より、或いは必要に応じて溶接等で固定されている。係
止リング48は、六角ナットとされており、高さ(図2
中、軸方向寸法)が、嵌合筒部42bの高さに比して小
さく設定されている。また、本実施形態では、係止リン
グ48の一方(図2中、上)の端部が、段差部40に当
接されていると共に、係止リング48の他方(図2中、
下)の端部が、嵌合筒部42b内に位置せしめられてお
り、該係止リング48の他方の端部と嵌合筒部42bの
開口端部の間における嵌合筒部42b内に、六角断面形
状の収容スペース50が設けられている。
【0043】また、このような外筒金具36には、内挿
ボルト38が内挿状態で配設されている。かかる内挿ボ
ルト38は、挿入側端部としての一方(図2中、上)の
端部に係止ヘッドとしてのボルトヘッド52を備え、且
つ突出側端部としての他方の端部に全長の短い雄螺子部
54を備えた長尺の六角ボルトとされている。また、内
挿ボルト38の円柱部分56の外径寸法が、外筒金具3
6の内径寸法よりも遙かに小さくされていると共に、係
止リング48の内法寸法よりも僅かに小さくされてい
る。また、ボルトヘッド52の外法寸法は、外筒金具3
6の内径寸法よりも僅かに小さくされていると共に、係
止リング48の内法寸法よりも十分に大きくされてい
る。
【0044】また、内挿ボルト38の雄螺子部54に
は、第二ナット58が螺着され、更に必要に応じて溶接
されることによって、軸方向に移動不能に固定されてい
る。第二ナット58は、六角ナットとされており、前記
内挿ボルト38の雄螺子部54と螺着される部分以外の
螺子部60が、本実施形態における内挿ボルト38の螺
合連結部とされている。
【0045】また、内挿ボルト38は、ボルトヘッド5
2を外筒金具36に収容させると共に、第二ナット58
を係止リング48よりも軸方向外方に位置せしめた状態
で、係止リング48を挿通して外筒金具36に遊挿され
ていることにより、外筒金具36に対して中心軸回りに
相対回動可能に、且つ軸方向に変位可能に配設されてい
る。
【0046】特に本実施形態では、上述の如き外筒金具
36と内挿ボルト38の組み付け下において、図2にも
示されているように、内挿ボルト38におけるボルトヘ
ッド52と外筒金具36に設けられた第一ナット44が
当接された状態で、内挿ボルト38の雄螺子部54が外
筒金具36の嵌合筒部42b内における収容スペース5
0に位置せしめられて、第二ナット58が嵌合筒部42
bに嵌め込まれており、更に、第二ナット58の一方
(図2中、上)の端部が嵌合筒部42bの収容スペース
50に位置せしめられていると共に、第二ナット58の
他方(図2中、下)の端部が嵌合筒部42bから軸方向
外方に位置せしめられている。これにより、内挿ボルト
38の突出側端部における第二ナット58が外筒金具3
6の嵌合筒部42b側の開口部に対して中心軸回りで相
対回動不能とされており、それら第二ナット58と外筒
金具36が一体的に回動されるようになっている。本実
施形態では、このような状態を外筒金具36と内挿ボル
ト38の収縮状態という。なお、上述の説明からも明ら
かなように、外筒金具36と内挿ボルト38の収縮状態
で嵌合筒部42bに嵌め込まれる多角形の嵌合部は、六
角ナットからなる第二ナット58を含んで構成されてい
る。また、内挿ボルト38の雄螺子部54に螺着され、
且つ実質的に内挿ボルト38の先端部分とされる第二ナ
ット58の螺子部60が、上述の収縮状態で、所定長さ
で外筒金具36の嵌合筒部42bから突出せしめられて
いる。なお、本実施形態では、第二ナット58の外筒金
具36からの突出が、内挿ボルト38と外筒金具36の
一方の端部に設けられた第一ナット44の当接により実
現されている。
【0047】さらに、本実施形態では、外筒金具36と
内挿ボルト38の収縮状態から、図4にも示されている
ように、外筒金具36と内挿ボルト38を相対的に軸方
向外方に変位させることによって、第二ナット58が嵌
合筒部42bから抜け出されて、図5に示されるよう
に、内挿ボルト38における円柱部分56の略全体と先
端の第二ナット58が外筒金具36の嵌合筒部42b側
の開口部から外方に突出せしめられていると共に、ボル
トヘッド52が係止リング48に係止されて、内挿ボル
ト38の外筒金具36からの抜け出しが阻止されるよう
になっている。本実施形態では、ボルトヘッド52と第
一ナット44の当接が解除された状態から、図5に示さ
れるボルトヘッド52が係止リング48に係止されるま
での状態を、外筒金具36と内挿ボルト38の伸長状態
という。また、かかる伸長状態において、第二ナット5
8が嵌合筒部42bに嵌め合わされた状態では、第二ナ
ット58と外筒金具36が中心軸回りに相対回動不能と
されているが、第二ナット58が嵌合筒部42bから抜
き出された状態では、第二ナット58、ひいては内挿ボ
ルト38と外筒金具36が中心軸回りに相対回動可能と
されている。
【0048】因みに、上述の如き構造とされた引張装置
34の製造方法の具体例としては、例えば、嵌合筒部4
2bに係止リング48を固着した外筒金具36に、外筒
金具36の嵌合筒部42a側の開口部から内挿ボルト3
8を内挿して係止リング48を貫通させ、内挿ボルト3
8の雄螺子部54に第二ナット58を螺着して必要に応
じて溶着すると共に、外筒金具36の嵌合筒部42aに
第一ナット44を圧入や溶着等して固着することで引張
装置34を実現したり、或いは嵌合筒部42aに第一ナ
ット44を圧入や溶着等して固着した外筒金具36に、
外筒金具36の嵌合筒部42b側の開口部から内挿ボル
ト38を内挿する一方、係止リング48を、内挿ボルト
38の雄螺子部54から内挿して、段差部40に載置し
た状態で嵌合筒部42bに圧入や溶着等して固着すると
共に、内挿ボルト38の雄螺子部54に第二ナット58
を螺着して必要に応じて溶着することで引張装置34を
実現すること等が、挙げられる。
【0049】そして、このような構造とされた4つの引
張装置34は、胴差し12側に固定された上固定ボルト
30a,30aの各螺子部32aと土台14側に固定さ
れた下固定ボルト30b,30bの各螺子部32bに対
して、それぞれ、内挿ボルト38の先端に設けられた第
二ナット58の螺子部60が螺着固定されることによ
り、各固定ボルト30a,30bと連結していると共
に、各柱16付近において一対の引張装置34,34が
鉛直方向に延びるようにして離隔配置せしめられてお
り、これら一対の引張装置34,34における外筒金具
36,36の軸方向一方の端部に固着された第一ナット
44,44が所定の離隔距離をもって対向配置されてい
る。
【0050】また、各柱16に沿って延びる第一ナット
44,44の対向面間には、中間接続ロッドとしての中
間固定ボルト62が配置されている。この中間固定ボル
ト62は、適当な軸方向長さを備えており、両端に螺子
部64,64が設けられている。また、中間固定ボルト
62は、上述の如き鉛直方向で対向配置せしめられた一
対の引張装置34,34における外筒金具36,36の
対向面間に入れられて同一中心軸上に配設されると共
に、両端の螺子部64,64が外筒金具36,36の螺
子部46,46に対して螺着固定されることにより、両
引張装置34,34と連結している。これにより、本実
施形態では、胴差し12と土台14の対向面間におい
て、これら上下の固定ボルト30a,30bや一対の引
張装置34,34、中間固定ボルト62が各一方の柱1
6に対して近設せしめられ、且つ柱16に沿って鉛直方
向に延びるようにして一体的に連結することにより、胴
差し12と土台14を相互に引張連結する連結ロッドと
して構成されていると共に、引張装置34,34の両端
の螺子部46,60と上下固定ボルト30a,30bの
螺子部32a,32bや中間固定ボルト62の螺子部6
4,64との螺入量に応じて、胴差し12と土台14の
間に所望の引張力が及ぼされるようになっている。
【0051】ところで、本実施形態の木造建築構造10
は、例えば以下の如くして施工され得る。
【0052】先ず、建物基礎22にアンカーボルト24
等で固定した土台14に水平方向に所定の離隔距離をも
って一対の柱16,16を立設すると共に、土台14か
ら所定高さの位置に胴差し12を配設して、予め胴差し
12や土台14、柱16,16に設けた各ホゾ穴26と
ホゾ28を継合する。また、一対の柱16,16の対向
面間における胴差し12と土台14の対向面間に一対の
筋交い18,18をたすき掛け状に配して、これら筋交
い18,18の両端部を胴差し12の側壁部と土台14
の側壁部に釘やボルト、ビス等で固定することにより、
構造枠20を形成する。
【0053】次に、胴差し12に対して、柱16,16
の接合部付近の下面に上固定ボルト30a,30aをそ
れぞれねじ込ませて固着する。これにより、各上固定ボ
ルト30aを、胴差し12から土台14に向かって垂下
させて、その下端部に螺子部32aを位置せしめる。ま
た、胴差し12に固定した一対の上固定ボルト30a,
30aと鉛直方向で同一中心軸上に配置されるようにし
て、一対の下固定ボルト30b,30bを土台14の上
面からねじ込ませて固着して、各下固定ボルト30bの
上端部分に設けた螺子部32bを胴差し12に向かって
突出させる。これにより、胴差し12と土台14の間に
配される上固定ボルト30aおよび下固定ボルト30b
を、それぞれ、柱16,16の一方に沿って鉛直方向に
延びるように対向配置させると共に、上固定ボルト30
aの螺子部32aと下固定ボルト30bの螺子部32b
の間に適当な離隔距離を設定する。
【0054】また、上述の如き構造とされた引張装置3
4の4つを別途形成すると共に、各引張装置34におけ
る外筒金具36と内挿ボルト38の収縮状態下で、内挿
ボルト38の第二ナット58の螺子部60を各上固定ボ
ルト30aの螺子部32aと各下固定ボルト30bの螺
子部32bに同一中心軸上に配置させ、外筒金具36の
両嵌合筒部42a,42bの何れか一方、或いは第一ナ
ット44と第二のナット58の何れか一方を、必要に応
じてスパナ等を用いて中心軸回りに回動させることによ
り、内挿ボルト38の第二ナット58の螺子部60を各
上固定ボルト30aの螺子部32aと各下固定ボルト3
0bの螺子部32bに螺合する。これにより、一対の引
張装置34,34を上下の固定ボルト30a,30bに
連結して、各柱16に沿って鉛直方向に延びるように配
置させると共に、上固定ボルト30aに連結する引張装
置34における外筒金具36の螺子部46と下固定ボル
ト30bに連結する引張装置34における外筒金具36
の螺子部46の間に適当な離隔距離を設定する。なお、
かかる連結状態において、上固定ボルト30aと連結す
る引張装置34は、重力等の作用により外筒金具36と
内挿ボルト38の収縮状態が解除されて、内挿ボルト3
8から外筒金具36が下方に向かって突出した伸長状態
とされる一方、下固定ボルト30bと連結する引張装置
34は、重力等の作用により外筒金具36と内挿ボルト
38の収縮状態が保持されている。
【0055】さらに、一対の外筒金具36,36の螺子
部46,46の間に中間固定ボルト62を入れて同一中
心軸上に配設すると共に、各引張装置34における外筒
金具36と内挿ボルト38の伸縮状態を適宜に調整して
外筒金具36と内挿ボルト38を鉛直方向に相対変位さ
せつつ、外筒金具36に固着した第一ナット44を中間
固定ボルト62の螺子部64に位置せしめて、外筒金具
36の両嵌合筒部42a,42bの何れか一方を、必要
に応じてスパナ等を用いて中心軸回りに回動させること
により、各中間固定ボルト62の両螺子部46,46を
各外筒金具36の螺子部46に螺合する。
【0056】これにより、本実施形態では、構造枠20
の内側における各柱16付近に、上固定ボルト30aと
下固定ボルト30b、一対の引張装置34,34および
中間固定ボルト62が柱16に沿って鉛直方向に延びる
ように連結して、胴差し12と土台14を引張連結する
こととなり、更にその後、内挿ボルト38の第二ナット
58に対する上下の固定ボルト30a,30bの螺入量
や、外筒金具36の第一ナット44に対する中間固定ボ
ルト62の螺入量を調節することにより、胴差し12と
土台14の間に作用する引張力を調節し、それによって
木造建築構造10の施工が完了する。
【0057】なお、上述の施工においては、上下の固定
ボルト30a,30bに、それぞれ、引張装置34を連
結した後に、両引張装置34,34を中間固定ボルト6
2で連結しているが、勿論これに限定されるものでな
く、例えば、予め中間固定ボルト62の一端または両端
に引張装置34を連結して、これら中間固定ボルト62
と引張装置34を連結したものを、上下の固定ボルト3
0a,30bの対向面間に配設して各引張装置34を上
固定ボルト30aと下固定ボルト30bに連結するよう
にしても良い。
【0058】また、本実施形態の施工では、土台14や
柱16等を組んで新たに構造枠20を構築した新設の木
造建築構造10における具体例を示したが、予め本実施
形態の構造枠20と略同様な構造とされた構造枠を備え
た既設の建築構造に対しても、前述の如き上下固定ボル
ト30a,30bや引張装置34等を胴差しと土台等の
一対の水平部材の間において柱等の垂直部材に沿って鉛
直方向に延びるように配設して一対の水平部材を引張連
結することにより、有利に適用され得る。
【0059】このような構造とされた木造建築構造10
においては、胴差し12と土台14の間に上下の固定ボ
ルト30a,30bや中間固定ボルト62等の軸方向長
さが一定の部材を鉛直方向に延びるように分割配置する
一方、それら上下の固定ボルト30a,30bや中間固
定ボルト62を、軸方向長さが設定変更可能な引張装置
34で連結することにより、胴差し12と土台14の間
に所望の引張力が及ぼされることとなり、それによっ
て、地震力や風圧力等の横荷重に対する柱16や筋交い
18等の応力が軽減されることから、強度が有利に発揮
され得る。
【0060】また、特に本実施形態では、外筒金具36
と内挿ボルト38が、軸方向に相対変位可能に、且つ中
心軸回りで相対回動可能とされていることにより、上下
の固定ボルト30a,30bや中間固定ボルト62等の
長さに応じて外筒金具36と内挿ボルト38の伸縮状態
が適宜に調整されることから、優れた施工性が実現され
得るのであり、しかも、柱16の長さや構造枠20の大
きさ等にあわせて上下の固定ボルト30a,30bや中
間固定ボルト62の長さを精密に調節する必要もないこ
とから、製造コストの削減や施工性等が有利に実現され
得るのである。
【0061】さらに、本実施形態では、外筒金具36と
内挿ボルト38の収縮状態で、嵌合筒部42bと第二ナ
ット58の嵌合によって、第二ナット58を外筒金具3
6の開口部に対して中心軸回りで相対回動不能に一体的
に回動せしめて、外筒金具36に及ぼされる回動力を内
挿ボルト38に及ぼし得るようにしたことにより、施工
に際して、外筒金具36に内挿ボルト38の形状や大き
さに対応したボックスレンチと略同様な機能を発揮させ
ることが可能となり、以て、外筒金具36に対応したス
パナのみで施工が実現されることから、施工コスト等の
低減化や取り付け強度の向上等が有利に図られ得る。
【0062】次に、図6には、本発明の第二の実施形態
としての木造建築構造70が示されている。この建築構
造70は、一対の柱16,16の間に間柱72を立設し
た構造枠74を備えていると共に、該構造枠74を構成
する胴差し12と土台14の間を引張連結せしめる連結
ロッドの一部が第一の実施形態と異なる態様の引張装置
76を含んで構成されている。なお、以下の実施形態に
おいて、第一の実施形態と実質的に同様な構造とされた
部材および部位については、図中に、第一の実施形態と
同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を
省略する。
【0063】より詳細には、本実施形態の構造枠74に
おける通し柱となる一方(図6中、右)の柱16と管柱
となる他方(図6中、左)の柱16の対向面間には、そ
れら柱16,16と平行に延びる間柱72が配設されて
おり、該間柱72の両端部分に設けられたホゾ28が胴
差し12および土台14の各水平方向中間部分に設けら
れたホゾ穴26に継合されることにより、胴差し12お
よび土台14に固定されている。
【0064】また、一方(図6中、右)の柱16と間柱
72の対向面間における胴差し12と土台14の対向面
間には、右上りの筋交い18が配設されており、該筋交
い18の一方の端部が胴差し14の一方の柱16付近の
側壁部等にかすがいや釘、ボルト等を用いて固着される
と共に、他方の端部が土台14の間柱72付近の側壁部
等にかすがいや釘、ボルト等を用いて固着されている。
また、他方(図6中、左)の柱16と間柱72の対向面
間における胴差し12と土台14の対向面間には、左上
りの筋交い18が配設されており、該筋交い18の一方
の端部が胴差し14の他方の柱16付近の側壁部等にか
すがいや釘、ボルト等を用いて固着されると共に、他方
の端部が土台14の間柱72付近の側壁部等にかすがい
や釘、ボルト等を用いて固着されている。これにより、
本実施形態の構造枠74は、一対の筋交い18,18を
V字形またはK字形に配設した筋交い構造を備えてい
る。また、本実施形態の筋交い18,18は、第一の実
施形態の構造枠20における筋交い18と略同様な機能
が発揮されることとなり、例えば本実施形態の構造枠7
4を備えた建築構造70に水平方向一方(図6中、左)
の側から他方(図6中、右)の側に向かって入力される
荷重に対して、一方(図6中、右上り)の筋交い18
が、引張力を生じる引張筋交いとされていると共に、他
方(図6中、左上り)の筋交い18が、圧縮力を生じる
圧縮筋交いとされている。
【0065】また、本実施形態の中間固定ボルト62の
下端部分には、前記第一の実施形態の引張装置34と異
なる形態の引張装置76を連結している。この引張装置
76における外筒金具36は、図7にも拡大して示され
ているように、略円筒形状を呈しており、一方(図7
中、上)の端部に、第一ナット44が溶着等で固着され
ている。また、外筒金具36の他方(図7中、下)の端
部には、第一ナット44と略同様な構造とされた六角ナ
ット78が溶着等で固着されていると共に、六角ナット
78における外筒金具36の固着側と反対の端部には、
六角形の筒体形状を有する嵌合筒部42が固着されてい
る。
【0066】また、このような外筒金具36には、本実
施形態における内挿ロッドとしての木ねじ80が内挿状
態で配設されている。木ねじ80は、挿入側端部として
の一方(図7中、上)の端部にボルトヘッド52を備
え、且つ突出側端部としての他方(図7中、下)の端部
に、螺合連結部としての螺子部54を備えた長尺の六角
ボルトとされている。また、木ねじ80の円柱部分56
には、フランジ状部付きの第二ナット58が外嵌され、
溶着等されることによって固定されている。
【0067】また、木ねじ80は、ボルトヘッド52を
外筒金具36に収容させると共に、第二ナット58を外
筒金具36の一端に設けられた六角ナット78よりも軸
方向外方に位置せしめた状態で、六角ナット78を挿通
して外筒金具36に遊挿されている。
【0068】さらに、本実施形態では、図7にも示され
ているように、第二ナット58が外筒金具36の六角ナ
ット78に固着された嵌合筒部42に嵌め込まれて六角
ナット78に当接されることにより、第二ナット58が
外筒金具36に対して中心軸回りに相対回動不能とされ
るようになっている。なお、本実施形態では、第二ナッ
ト58が嵌合筒部42に嵌め込まれて六角ナット78に
当接した状態を外筒金具36と木ねじ80の収縮状態と
いうと共に、第二ナット56と六角ナット78の当接状
態が解除されて、第二ナット58が嵌合筒部42から抜
け出された状態を外筒金具36と木ねじ80の伸長状態
という。
【0069】そして、このような構造とされた引張装置
76は、胴差し12と土台14の対向面間において、上
端の螺子部64が第一の実施形態と同様な構造とされた
引張装置34と上固定ボルト30aを介して胴差し12
に固定された中間固定ボルト62における下端の螺子部
64に対して、同一中心軸上に配設されて外筒金具36
の第一ナット44の螺子部46が螺着固定されていると
共に、木ねじ80の螺子部54が土台14の上底部にね
じ込まれて固着されている。これにより、中間固定ボル
ト62の下端の螺子部64がかかる引張装置76を介し
て土台14に固定されることとなり、木ねじ80の土台
14に対する螺入量や、外筒金具36の第一ナット44
に対する中間固定ボルト62の螺入量等を調節すること
により、胴差し12と土台14の間に調整可能な引張力
が及ぼされるようになっている。
【0070】なお、本実施形態において、引張装置76
の構造枠74における施工方法は、特に限定されるもの
でないが、例えば木ねじ80と外筒金具36の収縮状態
で外筒金具36の螺子部46と中間固定ボルト62の下
端の螺子部64を同一中心軸上に位置合わせすると共
に、嵌合筒部42や六角ナット78等を必要に応じてス
パナ等を用いて中心軸回りに回動させることによって、
該中間固定ボルト62の螺子部64を外筒金具36の螺
子部46に螺着固定すると共に、木ねじ80を外筒金具
36から下方に変位させて第二ナット58と嵌合筒部4
2の嵌合状態を解除せしめた伸長状態下で、第二ナット
58を必要に応じてスパナ等を用いて中心軸回りに回動
させることによって、木ねじ80の螺子部54を土台1
4にねじ込み固定することにより、引張装置76の構造
枠74に対する施工が実現され得る。また、上述の説明
からも明らかなように、中間固定ボルト62の下端の螺
子部64は、該引張装置76を介して土台14に直接に
固定されており、第一の実施形態または本実施形態にお
ける中間固定ボルト62の上端のように上固定ボルト3
0aを介して固定されていない。
【0071】上述の如き構造とされた木造建築構造70
においては、中間固定ボルト62の下端部が木ねじ80
を備えた伸縮自在の引張装置76を介して土台14に固
定されることにより、部品点数の削減や作業工程の簡便
化が図られ得る。
【0072】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、
これら実施形態における具体的な記載によって、何等、
限定的に解釈されるものでない。
【0073】例えば、前記実施形態では、構造枠20,
74に対して筋交い18が一対配設されていたが、図8
に示されているように、筋交い18を一本だけ採用する
ことも可能である。
【0074】また、筋交い18の形状や構造枠20,7
4に対する取り付け構造等に関しては、特に限定される
ものでなく、図8に示されているように、角材等を用い
て形成され、且つ両端部がホールダウン金物や筋交いプ
レート等の公知の接合金物を介して胴差し12や柱1
6、土台14等に固定された筋交い18を採用しても良
い。
【0075】さらに、前記実施形態の引張装置34を、
構造枠20,74の筋交い18に代えて、或いは加えて
筋交いを構成するブレース等の一部に採用することも可
能である。
【0076】更にまた、前記実施形態では、胴差し12
と土台14を引張連結することに際して、各柱16付近
に沿って一対の引張装置34,34を用いると共に、両
引張装置34,34を中間固定ボルト62で連結してい
たが、必ずしも引張装置34を二つ用いる必要はないと
共に、中間固定ボルト62は必須のものでなく、例えば
図8にも示されているように、各軸方向外方端部が胴差
し12と土台14に固定される長尺の上下の固定ボルト
30a,30bを採用し、両固定ボルト30a,30b
の対向面間に引張装置34を一つ配して、該引張装置3
4の外筒金具36の第一ナット44を上下固定ボルト3
0a,30bの何れか一方の螺子部32a,32bに螺
着固定すると共に、内挿ボルト38の第二ナット58を
上下固定ボルト30a,30bの他方の螺子部32a,
32bに螺着固定することによって、上下固定ボルト3
0a,30b、ひいては胴差し12と土台14を相互に
引張連結するようにしても良い。
【0077】また、前記実施形態では、上固定ボルト3
0aの螺子部32aや下固定ボルト30bの螺子部32
bに対して、内挿ボルト38における第二ナット58の
螺子部60が螺着固定されていたが、外筒金具36の第
一ナット44の螺子部46を螺着固定させることも勿論
可能である。
【0078】また、前記実施形態においては、胴差し1
2と土台14を引張連結する木造建築構造10,70の
具体例を示したが、例えば図9にも示されているよう
に、胴差し12の上方において、胴差し12や土台14
と平行に延びる第二の上水平部材としての梁82を備え
た木造建築構造84を実現しても良い。即ち、かかる建
築構造84においては、第一の実施形態と同様な構造枠
20を下層として、胴差し12の上方に胴差し12や土
台14と平行に延びる梁82を配設すると共に、構造枠
20の一部を構成する通し柱となる一方の柱16と管柱
となる他方の柱16の上方に胴差し12を介して設けら
れた図示しない柱とを含んで梁82と胴差し12で略四
辺形の上層枠組みを構成し、更に、この上層枠組みの略
対角線上に図示しない筋交いを配して上層補強枠組みと
しての上層構造枠85を構成することにより、かかる上
層構造枠85を下層の構造枠20の上に積み重ねて一体
形成する。また、下固定ボルト30bを、胴差し12の
下底部に固着される上固定ボルト30aと同一中心軸上
に配して、胴差し12から上方に向かって延びるように
胴差し12の上底部に固着する一方、梁82の柱16と
の接合部付近に上固定ボルト30aを固着せしめ、該上
固定ボルト30aの螺子部32aを胴差し12の上底部
に固着される下固定ボルト30bの螺子部32bと鉛直
方向で離隔して対向配置させる。更に、下層の構造枠2
0と同様に、上層構造枠85における梁82に固定され
た上固定ボルト30aの螺子部32aと胴差し12に固
定された下固定ボルト30bの螺子部32bに、それぞ
れ、引張装置34の内挿ロッド38の第二ナット58を
螺着固定すると共に、両引張装置34,34における外
筒金具36,36の第一ナット44,44の対向面間に
中間固定ボルト62を同一中心軸上に配して各第一ナッ
ト44を上固定ボルト30aの螺子部32aおよび下固
定ボルト30bの螺子部30bに螺着固定して、梁82
と胴差し12の間に引張力を及ぼすようにする。これに
より、複数の引張装置34や中間固定ボルト62が建築
構造84の複数層を柱16に沿って鉛直方向に一直線上
に延びるようにして連結することとなる。
【0079】さらに、前記実施形態における建築構造2
0,70や上述の具体例で示される建築構造84におい
ては、引張装置34等を梁82や胴差し12、土台14
に固定する上固定ボルト30aや下固定ボルト30b
が、梁82や胴差し12等を貫通せずに内部で螺着固定
される植え込み式のボルトとされていたが、これら引張
装置34の連結構造は要求される強度や施工条件等に応
じて適宜に設定され得るものであり、例えば図10にも
示されるように、土台14や梁82を貫通して端部が固
定ナット86で固定される貫通式の固定ボルト88を用
いて各引張装置34を固定しても良い。
【0080】更にまた、上述の具体例における建築構造
84に関して、胴差し12の上底部と下底部から、それ
ぞれ、上固定ボルト30aと下固定ボルト30bを突出
させて各引張装置34と連結していたが、これに限定さ
れるものでなく、例えば、図10に示される如く、両端
に螺子部90を備えた連結ボルト92を胴差しに貫通さ
せて、それら螺子部90,90を胴差し12の上底部と
下底部から所定長さで延びるように突出させて各引張装
置34における第二ナット58の螺子部60等と螺着固
定させることも可能である。
【0081】また、前記実施形態の建築構造10,70
や上記具体例に示される建築構造84においては、中間
固定ボルト62の下端の螺子部64と連結する引張装置
34が、土台14に固設した下固定ボルト30bや貫通
式の固定ボルト88に螺着固定されることにより連結し
ていたが、これらに限らず、例えば、図11に示される
ように、下端部分が建物基礎22に埋設状態で固設さ
れ、且つ螺子部94を備えた先端部分が基礎22に載置
された土台14を貫通して該土台14から所定長さで延
びるアンカーボルト24を利用して、該アンカーボルト
24の先端部分の螺子部94に引張装置34の第二ナッ
ト58の螺子部60等を螺着固定させるようにしても良
い。
【0082】さらに、前記実施形態では、内挿ロッドと
して、ボルトや木ねじが採用されていたが、これらに限
定されるものでなく、一端に係止ヘッドとしてのブロッ
ク体を設ける一方、他端に螺合連結部としての螺子部を
備えた棒状部材等を採用することも可能である。
【0083】更にまた、前記実施形態では、多角形の嵌
合部として六角ボルトが採用されていたが、四角ボルト
等を採用することも可能であり、それに応じて、嵌合筒
部の形状や大きさ等も適宜に変更され得る。
【0084】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもない。
【0085】
【実施例】次に、本発明に従う構造とされた建築構造の
強度等について、図12〜13等を参照しつつ、詳細に
説明する。
【0086】[実施例1]角材等からなる上水平部材と
しての上固定材96と下水平部材としての下固定材98
を水平方向に延びるようにして鉛直方向で離隔配置させ
ると共に、上下固定材96,98の対向面間に角材等か
らなる垂直部材としての長さが2700mmの3つの竪材
100,100,100を鉛直方向に延びるようにして
水平方向で離隔配置させ、更に、各竪材100の両端に
ホゾ28,28を設ける一方、上固定材96と下固定材
98に、それぞれ、ホゾ穴26を対向方向に向かって開
口するように設けて、各竪材100の両端のホゾ28,
28を、それぞれ、上固定材96のホゾ穴26と下固定
材98のホゾ穴26に嵌合することにより、上固定材9
6と下固定材98を3つの竪材100,100,100
で接合してなる枠組み102を構成する。また、一方
(図12中、下)の竪材100aと中央の竪材100b
の対向面間における上固定材96と下固定材98の対向
面間に、図12中、右上りの筋交い104を配設する一
方、他方(図12中、上)の竪材100cと中央の竪材
100bの対向面間における上固定材96と下固定材9
8の対向面間に、図12中、左上りの筋交い104を配
設し、これら筋交い104,104の両端を各竪材10
0における上固定材96および下固定材98との接合部
付近の端部に図示しない植え込みボルト等で固着するこ
とにより、筋交い104を竪材100に支持する。更
に、上固定材96と下固定材98の対向面間に第一の実
施形態と同様な構造とされた中間固定ボルト62を一方
(図12中、下)の竪材100aに沿って延びるように
配置して、該中間固定ボルト62の両端に設けた螺子部
64に引張装置34の外筒金具36の第一ナット44を
螺着固定し、更に、各引張装置34の内挿ボルト38に
設けた第二ナット58に各固定ボルト30の螺子部32
を螺着固定すると共に、各固定ボルト30の尖鋭形状と
された先端螺子部を上固定材96と下固定材98にねじ
込んで固定することにより、上固定材96と下固定材9
8を一対の固定ボルト30,30、一対の引張装置34
および中間固定ボルト62からなる連結ロッドで相互に
引張連結せしめてなる供試体106を構成する。また、
供試体106を横向きに倒して、試験ベースの側壁部1
08に下固定材98を固定すると共に、供試体106に
おける上固定材96の一方(図12中、下)の端部と該
上固定材96と接合する一方(図12中、下)の竪材1
00aの上端部(図12中、左方の端部)付近をフォー
クリフト110に載置して、供試体106をフォークリ
フト110に支持することにより、図12にも二点鎖線
で示されるように、上固定材96と下固定材98が試験
ベースの側壁部108と平行に延び、且つ3つの竪材1
00a,100b,100cが試験ベースの側壁部10
8に対して直交する方向に延びた自重以外の荷重が略無
入力な静止状態を保持する。而して、供試体106に横
荷重としてフォークリフト110の持ち上げ力を200
kgかけて、下固定材98の上底部からd1 =1500mm
だけ上方(図12中、左)の位置における竪材100a
または竪材100bの静止状態からの持ち上がり量を歪
み度:d2(mm) として測定すると共に、フォークリフト
110に載置される側の竪材100aにおける下固定材
98からの引き抜き量を引き抜き度:d3(mm) として測
定した。その結果を実施例1として表1に示す。なお、
引き抜き度:d3 は、竪材100aの下端部と下固定材
98の上底部の最短離隔距離とする。また、本実施例1
では、かかる荷重入力に際して、フォークリフト110
に載置される側の竪材100aと中央の竪材100bは
供試体の静止状態から略同量:d2 だけ変位したが、フ
ォークリフト110から最も離れている竪材100cは
ほとんど変位しなかった。また、本実施例1および後述
する実施例や比較例において、下固定材98における試
験ベースの側壁部108に対する取り付け強度や使用す
るフォークリフト110等は全て同一とすると共に、上
固定材96と各竪材100の接合部や下固定材98と各
竪材100の接合部にはホールダウン金物やかすがい、
筋交いプレート等の接合金物を固設しない。
【0087】[実施例2]実施例1と同様な供試体10
6を採用し、更に、上固定材96と下固定材98の対向
面間における一方(図12中、下)の竪材100a付近
と同様に、他方(図12中、上)の竪材100c付近
に、図示しない中間固定ボルト62を竪材100cに沿
って鉛直方向に延びるように配設し、該中間固定ボルト
62の両端の螺子部64に、それぞれ、引張装置34を
連結すると共に、各引張装置34に固定ボルト30を螺
着固定して、各固定ボルト30を上固定材96と下固定
材98にねじ込んで固定することにより、これら中間固
定ボルト62や引張装置34、固定ボルト30を含んで
構成する連結ロッドを竪材100に直交する方向(図1
2中、上下)で中央の竪材100bを挟んで対向配置せ
しめた図示しない供試体を構成する。そして、実施例1
と同様な手法により、供試体に横荷重としてフォークリ
フト110の持ち上げ力を300kgかけて、歪み度:d
2(mm) および引き抜き度:d3 (mm)を測定した。その結
果を実施例2として表1に示す。
【0088】[実施例3]実施例1の供試体106にお
いて、筋交い104の両端が竪材100の端部に植え込
みボルト等を用いて固定したものを、筋交い104の両
端が上固定材96と下固定材98に植え込みボルト等を
用いて固定したものに設定変更して、本実施例の供試体
を構成する。而して、実施例1と同様な手法により、供
試体に横荷重としてフォークリフト110の持ち上げ力
を500kgかけて、歪み度:d2(mm) および引き抜き
度:d3(mm) を測定した。その結果を実施例3として表
1に示す。
【0089】[実施例4]実施例2の供試体において、
筋交い104の両端が竪材100の端部に植え込みボル
ト等を用いて固定したものを、筋交い104の両端が上
固定材96と下固定材98に植え込みボルト等を用いて
固定したものに設定変更して、本実施例の供試体を構成
する。而して、実施例1と同様な手法により、供試体に
横荷重としてフォークリフト110の持ち上げ力を50
0kgかけて、歪み度:d2(mm) および引き抜き度:d
3(mm) を測定した。その結果を実施例4として表1に示
す。
【0090】[比較例1]上固定材96と下固定材98
を水平方向に延びるようにして鉛直方向で離隔配置させ
ると共に、上下固定材96,98の対向面間に一対の竪
材100,100を鉛直方向に延びるようにして水平方
向で離隔配置させ、更に、各竪材100の両端にホゾ2
8,28を設けると共に、上固定材96と下固定材98
に、それぞれ、ホゾ穴26を対向方向に向かって開口す
るように設けて、各竪材100の両端のホゾ28,28
を、それぞれ、上固定材96のホゾ穴26と下固定材9
8のホゾ穴26に嵌合することにより、上固定材96と
下固定材98を一対の竪材100,100で接合してな
る略四辺形の枠組み112を構成する。また、枠組み1
12の略対角線上の一つに筋交い104を配して、該筋
交い104の両端部を一方の竪材100aの上端部と他
方の竪材100bの下端部に図示しない植え込みボルト
等で固定することにより、供試体114を構成する。而
して、実施例1と同様な手法により、供試体114に横
荷重としてフォークリフト110の持ち上げ力を200
kgかけて、歪み度:d2'(mm)および引き抜き度:d3'(m
m)を測定した。その結果を比較例1として表1に併せ示
す。
【0091】[比較例2]比較例1と同様な供試体11
4を採用し、更に、枠組み112における一方の対角線
上に配した筋交い104と同様な構造とされた図示しな
い筋交い104を他方の対角線上に配して、上固定材9
6と下固定材98の対向面間に両筋交い104,104
を交差状に配設すると共に、他方の対角線上に配した筋
交い104の両端部を、一方の対角線上に配した筋交い
104と同様に、他方の竪材100bの上端部と一方の
竪材100aの下端部に植え込みボルト等で固定するこ
とにより、図示しない供試体を構成する。そして、実施
例1と同様な手法により、供試体に横荷重としてフォー
クリフト110の持ち上げ力を300kgかけて、歪み
度:d2'(mm)および引き抜き度:d3'(mm)を測定した。
その結果を比較例2として表1に併せ示す。
【0092】[比較例3]比較例1の供試体114にお
いて、筋交い104の両端が竪材100の端部に植え込
みボルト等を用いて固定したものを、筋交い104の両
端が上固定材96と下固定材98に植え込みボルト等を
用いて固定したものに設定変更して、本比較例の供試体
を構成する。而して、実施例1と同様な手法により、供
試体に横荷重としてフォークリフト110の持ち上げ力
を200kgかけて、歪み度:d2'(mm)および引き抜き
度:d3'(mm)を測定した。その結果を比較例3として表
1に併せ示す。
【0093】[比較例4]比較例2の供試体において、
一対の筋交い104,104の両端が竪材100の端部
に植え込みボルト等を用いて固定したものを、一対の筋
交い104,104の両端が上固定材96と下固定材9
8に植え込みボルト等を用いて固定したものに設定変更
して、本比較例の供試体を構成する。而して、実施例1
と同様な手法により、供試体に横荷重としてフォークリ
フト110の持ち上げ力を300kgかけて、歪み度:d
2'(mm)および引き抜き度:d3'(mm)を測定した。その結
果を比較例4として表1に併せ示す。
【0094】
【表1】
【0095】表1からも、本発明に従う構造とされた供
試体においては、上固定材96と下固定材98が中間固
定ボルト62や引張装置34等を含んで構成される連結
ロッドで竪材100等と協働して引張連結していること
により、実施例3,4に示されるような大きな横荷重が
かけられることに際しても、静止状態から僅かに変位す
るだけであることから、優れた強度が発揮され得ること
が明らかである。
【0096】また、上述の結果からも、筋交い104の
両端部が竪材100の端部に固定された実施例1,2の
供試体または比較例1,2の供試体よりも、筋交い10
4の両端部が上固定材96と下固定材98に固定された
実施例3,4の供試体または比較例3,4の供試体の方
が静止状態からの変位が緩やかであることが認められ
る。なお、このような態様を解明することが本発明の目
的とするところでないが、かかる態様においては、一般
に、横荷重に対する耐荷重性能の低い竪材100に対し
て、横荷重の入力時に筋交い104が圧縮変形及び/又
は引張変形することに伴う竪材100の応力集中が軽減
されることにより、優れた強度が発揮され得るものと推
考される。
【0097】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた耐震建築構造においては、上水平部
材と下水平部材を引張連結する一対の接続ロッドが、伸
縮自在であり且つ中心軸回りで相対変位可能な伸縮自在
型連結部材を介して連結することにより、一対の接続ロ
ッドの対向面間距離や螺子構造等に応じて伸縮させたり
中心軸回りで任意の方向に回動させる等して両接続ロッ
ドを容易に連結することが出来ることから、施工性や取
り付け強度が有利に向上され得るのである。
【0098】また、本発明の耐震建築構造の施工方法に
従えば、上水平部材と下水平部材の間に垂直部材に沿っ
て延びるように連結ロッドを取り付ける従来の施工方法
に比して、連結ロッドを引張連結する部材の軸方向長さ
が一定であるために螺入量の調整が制限されて所望の引
張力が得られない等の不具合が解消されることから、耐
震建築構造の強度が有利に発揮され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての木造建築構造
を示す正面説明図である。
【図2】図1における一要部を拡大して示す縦断面説明
図である。
【図3】図2におけるIII −III 矢視図である。
【図4】本発明の施工方法における一作動形態を拡大し
て示す縦断面説明図である。
【図5】本発明の施工方法における一作動形態を拡大し
て示す縦断面説明図である。
【図6】本発明の第二の実施形態としての木造建築構造
を示す正面説明図である。
【図7】図6における一要部を拡大して示す縦断面説明
図である。
【図8】本発明の一具体例を示す正面説明図である。
【図9】本発明の別の具体例を示す縦断面説明図であ
る。
【図10】本発明の更に別の具体例を示す縦断面説明図
である。
【図11】本発明の更にまた別の具体例を示す縦断面説
明図である。
【図12】本発明の強度試験の態様を示す説明モデル図
である。
【図13】図12における比較例としての強度試験の態
様を示す説明モデル図である。
【符号の説明】
10 木造建築構造 12 胴差し 14 土台 16 柱 18 筋交い 20 構造枠 30a,30b 固定ボルト 32a,32b 螺子部 36 外筒金具 38 内挿ボルト 44 第一ナット 46 螺子部 58 第二ナット 60 螺子部

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに平行に水平方向に延びる上水平部
    材と下水平部材を鉛直方向に延びる複数の垂直部材で連
    結すると共に、隣接する二つの該垂直部材を含んで該上
    下水平部材で構成された略四辺形の枠組みの少なくとも
    一つにおいて該枠組みの略対角線上に斜め材を掛け渡し
    て補強枠組みとし、更に、該補強枠組みを構成する該上
    水平部材と該下水平部材の間に跨って該垂直部材に沿っ
    て延び、それら上下の水平部材を引張連結する連結ロッ
    ドを設けた耐震建築構造において、 中空のアウタスリーブに対して、その軸方向一方の端部
    から内挿ロッドを挿し入れて該アウタスリーブに対して
    軸方向に抜け出し不能で伸縮自在に且つ中心軸回りで相
    対回動可能に組み付けると共に、該アウタスリーブの軸
    方向他方の端部と該内挿ロッドの突出側端部とにそれぞ
    れ螺合連結部を設けて、それら螺合連結部に上接続ロッ
    ドと下接続ロッドが螺着されるようにすることにより、
    該上接続ロッドおよび該下接続ロッドを該アウタスリー
    ブと該内挿ロッドの伸長状態下で相互に引張連結せしめ
    得るようにする一方、収縮状態で該内挿ロッドの突出側
    端部を該アウタスリーブの開口部に対して中心軸回りで
    相対回動不能に係合せしめて該アウタスリーブに及ぼさ
    れる回動力を該内挿ロッドに及ぼし得るようにした伸縮
    自在型連結部材を用い、前記上水平部材に固定されて該
    上水平部材から下方に向かって延びる前記上接続ロッド
    と前記下水平部材に固定されて該下水平部材から上方に
    向かって延びる前記下接続ロッドを相互に連結すること
    により前記連結ロッドを構成したことを特徴とする耐震
    建築構造。
  2. 【請求項2】 前記上水平部材に固定された前記上接続
    ロッドと前記下水平部材に固定された前記下接続ロッド
    との各先端部を、前記伸縮自在型連結部材における前記
    アウタスリーブと前記内挿ロッドの各一方の前記螺合連
    結部に対して螺着せしめて、それら上接続ロッドと下接
    続ロッドを該伸縮自在型連結部材で直接に連結せしめた
    請求項1に記載の耐震建築構造。
  3. 【請求項3】 前記伸縮自在型連結部材を二つ用い、前
    記上水平部材に固定された前記上接続ロッドの先端部に
    一方の該伸縮自在型連結部材を介して中間接続ロッドの
    一端を連結すると共に、前記下水平部材に固定された前
    記下接続ロッドの先端部に他方の該伸縮自在型連結部材
    を介して該中間接続ロッドの他端を連結することによ
    り、それら上接続ロッドと下接続ロッドに対して該二つ
    の伸縮自在型連結部材で該中間接続ロッドを繋いで連結
    せしめた請求項1に記載の耐震建築構造。
  4. 【請求項4】 前記アウタスリーブの軸方向一方の開口
    部に多角形の嵌合筒部を形成する一方、前記内挿ロッド
    において、収縮状態で該嵌合筒部に嵌め込まれる多角形
    の嵌合部を設けた請求項1乃至3の何れかに記載の耐震
    建築構造。
  5. 【請求項5】 前記アウタスリーブと前記内挿ロッドの
    収縮状態下で、該内挿ロッドの先端部分が所定長さで該
    アウタスリーブから突出せしめられるようにした請求項
    1乃至4の何れかに記載の耐震建築構造。
  6. 【請求項6】 前記アウタスリーブの軸方向一方の開口
    部近くに環状の係止部材を固着して、前記内挿ロッドを
    該係止部材に挿通配置せしめると共に、該内挿ロッドの
    挿入側端部に係止ヘッドを設けて、該係止ヘッドの該係
    止部材への係止作用により該内挿ロッドの該アウタスリ
    ーブからの抜け出しを阻止するようにした請求項1乃至
    5の何れかに記載の耐震建築構造。
  7. 【請求項7】 前記アウタスリーブの軸方向他方の端部
    において、多角形の外周面形状を有する操作部を形成し
    た請求項1乃至6の何れかに記載の耐震建築構造。
  8. 【請求項8】 建築物の基礎に載置される土台によって
    前記下水平部材を構成すると共に、前記下接続ロッドを
    該下水平部材に貫通せしめて該下水平部材を支持する該
    基礎に挿し入れてアンカー構造とした請求項1乃至7の
    何れかに記載の耐震建築構造。
  9. 【請求項9】 前記伸縮自在型連結部材における前記内
    挿ロッドによって、前記上接続ロッドと前記下接続ロッ
    ドの少なくとも一方を構成した請求項1乃至8の何れか
    に記載の耐震建築構造。
  10. 【請求項10】 前記斜め材の両端部が前記上水平部材
    と前記下水平部材に固定されている請求項1乃至9の何
    れかに記載の耐震建築構造。
  11. 【請求項11】 建築物の基礎に載置される土台によっ
    て前記下水平部材を構成すると共に、該下水平部材を支
    持する該基礎に挿し入れたアンカーボルトを該下水平部
    材に貫通せしめて固定した請求項1乃至10の何れか
    記載の耐震建築構造。
  12. 【請求項12】 前記下水平部材と前記上水平部材に前
    記複数の垂直部材と前記斜め材を組み合わせて形成した
    前記補強枠組みを下層として、該上水平部材の上方で該
    上水平部材と平行に延びる第二の上水平部材を配設する
    と共に該上水平部材と該第二の上水平部材を複数の上層
    垂直部材で連結せしめて隣接する二つの該上層垂直部材
    を含んで該上水平部材と該第二の上水平部材で略四辺形
    の上層枠組みを構成し、該上層枠組みの少なくとも一つ
    において該上層枠組みの略対角線上に斜め材を掛け渡し
    て上層補強枠組みとすることにより、かかる上層補強枠
    組みを該下層の補強枠組みの上に積み重ねて一体形成す
    る一方、該下層の補強枠組みにおいて該下水平部材と該
    上水平部材を引張連結する前記連結ロッドを前記上層垂
    直部材に沿って該第二の上水平部材まで延び出させて、
    該連結ロッドにより該第二の上水平部材を該上水平部材
    に対して引張連結せしめた請求項1乃至11の何れかに
    記載の耐震建築構造。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至12の何れかに記載の耐
    震建築構造の施工方法であって、 前記上水平部材に前記上接続ロッドを固着して下方に向
    かって延ばすと共に、前記下水平部材に前記下接続ロッ
    ドを固着して上方に向かって延ばして、それら上下接続
    ロッドを鉛直方向で離隔して対向配置させる一方、該上
    接続ロッドと該下接続ロッドの対向面間に前記伸縮自在
    型連結部材を収縮状態で入れて同一中心軸上に配設する
    と共に、該収縮状態下で前記アウタスリーブに及ぼされ
    る回動力を前記内挿ロッドに及ぼすことにより該内挿ロ
    ッドの前記螺合連結部を該上接続ロッドと該下接続ロッ
    ドの何れか一方の先端部に螺着固定すると共に、該アウ
    タスリーブと該内挿ロッドを軸方向に相対変位させて伸
    長状態とし、該伸長状態下で該アウタスリーブに回動力
    を及ぼすことにより該アウタスリーブの前記螺合連結部
    を該上接続ロッドと該下接続ロッドの他方の先端部に螺
    着固定することによって、該上水平部材と該下水平部材
    を相互に引張連結せしめ得るようにしたことを特徴とす
    る耐震建築構造の施工方法。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至12の何れかに記載の耐
    震建築構造の施工方法であって、 前記伸縮自在型連結部材における前記アウタスリーブと
    前記内挿ロッドの収縮状態下で、前記上接続ロッドと前
    記下接続ロッドの何れか一方の先端部に該アウタスリー
    ブの前記螺合連結部を螺着固定すると共に、該上接続ロ
    ッドと該下接続ロッドの他方の先端部に該内挿ロッドの
    前記螺合連結部を螺着固定して前記連結ロッドを構成す
    ると共に、該収縮状態を保持しつつ該連結ロッドを前記
    上水平部材と前記下水平部材の対向面間に前記垂直部材
    と平行に延びるように配置して、該アウタスリーブに及
    ぼされる回動力を該内挿ロッドに及ぼすことにより該内
    挿ロッドと該アウタスリーブの何れか一方に連結した該
    上接続ロッドを該上水平部材に固定すると共に、該アウ
    タスリーブと該内挿ロッドを軸方向に相対変位させて伸
    長状態とし、該伸長状態下で該アウタスリーブに回動力
    を及ぼすことにより該内挿ロッドと該アウタスリーブの
    他方に連結した該下接続ロッドを該下水平部材に固定す
    ることによって、該上水平部材と該下水平部材を相互に
    引張連結せしめ得るようにしたことを特徴とする耐震建
    築構造の施工方法。
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