JP2014129691A - 木造家屋における耐震構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】上下の横架材間に、上下方向の引っ張りに対抗する力を付与して、地震力により土台から柱が抜けたり、柱の上から梁が引き上げられたりすることを防止し、また仕口部の補強をして耐震化する。
【解決手段】梁5や土台3と柱4で形成される空間部に筋交いを設けた木造家屋において、梁5とその下の柱4とその下の土台3の間に、梁5と柱4を接合する金具10と、柱4と土台3を接合する金具20とを設けるとともに、金具10と金具20とを中間金具17で連結した。これらの各金具10、17、20は、柱4における筋交い7とは反対側の面に配設する。
【選択図】図2
【解決手段】梁5や土台3と柱4で形成される空間部に筋交いを設けた木造家屋において、梁5とその下の柱4とその下の土台3の間に、梁5と柱4を接合する金具10と、柱4と土台3を接合する金具20とを設けるとともに、金具10と金具20とを中間金具17で連結した。これらの各金具10、17、20は、柱4における筋交い7とは反対側の面に配設する。
【選択図】図2
Description
この発明は、木造家屋において地震時に横架材と柱との接合部の抜け及び破損を防止する耐震構造に関する。
従来から、木造家屋においては水平方向の剛性を上げるために、梁や土台からなる上下の横架材とこれらの間の2本の柱に囲まれて壁になる部分に筋交いを入れることが行なわれている。この筋交いが入っている壁は、地震力の入力時に、一方の柱側が上下方向の圧縮側になり他方の柱側が上下方向の伸張側になる。この圧縮側と伸張側は往復の揺れに伴って両柱間で交互に繰り返される。このとき、上下方向の圧縮側では柱が圧縮力に対抗するため揺れに対して筋交いが有効に抵抗するが、上下方向の伸張側では引っ張り力が作用して、柱に、その下の土台から上に引き抜かれる力が加わり、また梁に、柱の上から引き上げられる力が加わる。これは、傾斜している筋交いが地震力(横力)により起き上がる方向に姿勢を変えたときに、土台と上の梁との間隔を拡げる力が作用するからである。こうして、土台から柱が抜けたり、柱の上から梁が引き上げられたり、さらに仕口部が損壊して、これらの反復により、柱と上下の横架材との接合が失われることで木造家屋が倒壊するに至ることが知られている。
かかる不具合を解決するために、特許文献1に記載されるような補強金具が提供されている。すなわち、この補強金具は、土台と梁とこれらの間の2本の柱で形成される四角の空間部に設置されて、ここに形成される壁の内部に埋め込まれるものである。具体的には、柱の内側に沿う垂直方向の金具と土台の上側と梁の下側に沿う水平方向の金具とで金具の四角い枠を形成してある。この金具の枠には、上下方向の中間部にさらに水平金具が架設されたうえ、枠の対角線上に筋交いが交差して設置されている。かかる補強金具は、四隅において土台と梁と柱にボルト止めされる。この補強金具によれば、地震力によっても四角の枠と中間の水平金具と筋交いで構成される補強金具全体で地震力に抵抗するため、土台と上の梁との間隔が拡がるのを抑制することができる。
しかしながら、上記の従来技術は、壁を構成する柱間に四角の枠状をなす補強金具を設置するものであるから、前記の四角の枠と中間の水平金具と交差する筋交いとをセットとして予め作成しておき、これを建築現場で柱間に設置しボルトで固定するものである。したがって補強するための構造が大がかりになって製造、運送、設置の各コストが嵩むとともに、過剰な強度になるおそれもある。また、上記の従来技術では、柱と柱の間に、筋交いを含む枠状の補強金具を建て込むのであるから、すでに壁ができている家屋を補強する場合には、その壁を撤去して柱と柱の間を大きく解放しなければ、補強金具を建て込むことができないという不具合もある。
そこで、この発明は、上下の横架材間に、上下方向の引っ張りに対抗する力を付与して、地震力により土台から柱が抜けたり、柱の上から梁が引き上げられたりすることを防止して耐震化することに限定したものである。このため、従来の工法と同様に柱間に筋交い自体を現場で個別に建て込む木造家屋においても適用でき、しかもコストを抑制できる耐震構造を得ることを目的としている。
この木造家屋における耐震構造の発明の第1の態様は、梁や土台からなる上下の横架材とこれらの間の2本の柱で形成される空間部に筋交いを設けた木造家屋において、前記上側の横架材の上側に上端が固定されてこの横架材を下方に貫通する上側貫通金具とこれの下端を前記柱に固定する上側固定金具とにより、前記柱の上端とこれに接する前記上側の横架材とを接合する上側接合金具を構成するとともに、前記下側の横架材の下側に下端が固定されてこの横架材を上方に貫通する下側貫通金具とこれの上端を前記柱に固定する下側固定金具とにより、前記柱の下端とこれに接する前記下側の横架材とを接合する下側接合金具を構成し、前記上側貫通金具及び下側貫通金具を前記柱における前記筋交いのある空間部とは反対側に設置し、前記上側接合金具と下側接合金具とを連結してこれらの間隔が拡がるのを防止する中間金具を、前記柱における前記上側貫通金具と下側貫通金具が設置された面に沿って配置したものである。
また、この発明の第2の態様は、梁や土台からなる上下の横架材とこれらの間の2本の柱で形成される空間部に筋交いを設けた木造家屋において、前記上側の横架材の上側に上端が固定されてこの横架材を下方に貫通する上側貫通金具とこれの下端を前記柱に固定する上側固定金具とにより、前記柱の上端とこれに接する前記上側の横架材とを接合する上側接合金具を構成するとともに、前記下側の横架材の下側に下端が固定されてこの横架材を上方に貫通する下側貫通金具とこれの上端を前記柱に固定する下側固定金具とにより、前記柱の下端とこれに接する前記下側の横架材とを接合する下側接合金具を構成し、前記上側貫通金具及び下側貫通金具を前記柱における前記筋交いのある空間部の側に設置し、前記上側接合金具と下側接合金具とを連結してこれらの間隔が拡がるのを防止する中間金具を、前記柱における前記上側貫通金具と下側貫通金具が設置された面に沿って配置したものである。
この第2の態様において前記第1の態様との相違点は、上側接合金具と、下側接合金具と、これらを連結する中間金具とを、第2の態様においては、柱における筋交いのある空間部側に設置した点である。これにより、各金具を壁内に埋め込むことができる。 前記木造家屋が2階建て又は3階建てであって、下の階と上の階の間の梁に貫通金具を上下に貫通させ、前記貫通金具の上端を上の階の柱に下側固定金具で固定し、前記貫通金具の下端を下の階の柱に上側固定金具で固定することにより、下の階の柱の上端と上の階の柱の下端とこれらの間にある前記梁とを固定して、前記貫通金具に前記下側貫通金具と上側貫通金具を兼ねさせるとよい。
また、前記横架材が小屋梁からなり、この小屋梁を上下に貫通する前記上側貫通金具の上端を前記小屋梁の上面に固定し、前記上側貫通金具の下端を前記小屋梁下の柱に前記上側固定金具で固定して前記上側接合金具としてもよい。
さらに、前記横架材が土台からなり、この土台を上下に貫通する前記下側貫通金具の下端を前記土台の下側の基礎に埋め込み、前記下側貫通金具の上端を1階の柱に前記下側固定金具で固定して前記下側接合金具とすることもできる。
さらに、前記横架材が土台からなり、この土台を上下に貫通する前記下側貫通金具の下端を前記土台の下側の基礎に埋め込み、前記下側貫通金具の上端を1階の柱に前記下側固定金具で固定して前記下側接合金具とすることもできる。
上下の横架材間で圧縮に対しては従来通りに柱で対抗し、同じく上下の横架材間では本発明により、引っ張りに対抗する。こうして圧縮と引っ張りのそれぞれに対抗する力を柱と金具に分担させて、本発明においては引っ張りに対抗する力だけが付与されるから、地震力により土台から柱が抜けたり、柱の上から梁が引き上げられたりし、また仕口部が破損することを防止してこの点での耐震化を達成する。このため、従来の工法と同様に柱間に筋交い自体を現場で個別に建て込む木造家屋においても適用でき、しかもコストを抑制できる耐震構造とすることができる。
図1は、この発明の耐震構造の一実施形態を示す図であり、木造3階建ての家屋を建築するための架構を示している。
この架構は、基礎2の上に横架材の一種である土台3を敷設し、その上に1階部分の柱4を立設し、その上に横架材の一種である2階の床受梁5を架設してある。この2階の床受梁5の上に2階部分の柱4、その上に横架材の一種である3階の床受梁5、その上に3階部分の柱4と建て込まれて、この柱4の上に横架材の一種である小屋梁6が架設されている。かくして、土台3と床受梁5と小屋梁6はいずれも横架材をなすものであるから、以下においてはこれらを単に横架材3、4、6と総称することもある。前記小屋梁6の上には追って小屋組が形成されたうえ屋根が葺かれる。図1において左右一対の柱4の間には筋交い7が建て込まれている。
この架構は、基礎2の上に横架材の一種である土台3を敷設し、その上に1階部分の柱4を立設し、その上に横架材の一種である2階の床受梁5を架設してある。この2階の床受梁5の上に2階部分の柱4、その上に横架材の一種である3階の床受梁5、その上に3階部分の柱4と建て込まれて、この柱4の上に横架材の一種である小屋梁6が架設されている。かくして、土台3と床受梁5と小屋梁6はいずれも横架材をなすものであるから、以下においてはこれらを単に横架材3、4、6と総称することもある。前記小屋梁6の上には追って小屋組が形成されたうえ屋根が葺かれる。図1において左右一対の柱4の間には筋交い7が建て込まれている。
図2は図1における最も左側にある上下3本の柱4の部分を拡大した図であり、上下方向において、3階の床受梁5とその下の2階の柱4の殆どを省略して図示したから、この図2においては、図1の3階建てではなく、2階建ての架構として説明する。つまり、図2において図示された床受梁5は2階のものであり、その上に2階の柱4が立設されて、さらにその上に小屋梁6が架設されたものとする。
図3には、この実施形態で使用される金具類が示される。図3(a)は所謂アンカーボルトであって、この実施形態では下側貫通金具11である。この下側貫通金具11は、下端11aがコンクリートの基礎2内に埋め込まれ、中間部分が土台3を貫通して、上端11bが雄ねじをなしていて1階部分の柱4の下部側面に臨んでいる。
図3(b)は下側固定金具12であって、下部のサドル部分12aと、これから上に連続する平板状の柱固定部分12bとからなる。サドル部分12aは、下側貫通金具11の上端を貫通させる穴12cが開設され且つそこに金具11の上端が下から貫通してサドル部分12a上でナットを螺合させることにより当該金具11を固定する部分である。柱固定部分12bは、柱4に貫通させるボルトを通す穴12dが開設されて、その穴12dを通ったボルトにナットを螺合することにより柱4に固定される部分である。前記の穴12dも従来の金物の穴の数より減らして、柱4の強度を下げることなく柱4に固定できるようになっている。
図3(c)は、上側及び下側兼用の固定金具13であって、前記下側固定金具12と同じく穴13cがあるサドル部分13aと、穴13dがある柱固定部分13bとからなる。ただ、この兼用の固定金具13は柱固定部分13bの上下方向の長さが前記下側固定金具12よりも短い。
図3(d)は、所謂羽子板金具であって、上側貫通金具14と上側固定金具15とが一体をなしている。この上側貫通金具14は、上部に雄ねじ部分14aがある棒状であり、これは、小屋梁6を貫通して上端に小屋梁6の上面でナットが螺合する部分である。上側固定金具15は上側貫通金具14の下端に溶接された板状をなし、柱4に貫通させるボルトを通す穴15aが開設されて、その穴15aを通ったボルトにナットを螺合することにより柱4に固定される部分である。以上の図3(b)(c)(d)に記載された各金具は前記説明とは上下を逆にして使用されてもよい。その場合には、各金具の名称に付された「上」「下」の語が上下逆になることは勿論である。
図3(e)は、兼用の貫通金具16であって1本で上側貫通金具と下側貫通金具とを兼用している。したがって、これが床受梁5を上下に貫通して上下端が各階の柱に下側固定金具をなす兼用の固定金具13と上側固定金具をなす兼用の固定金具13によりそれぞれ固定されるものである。この実施形態ではこの貫通金具16は1本の螺杆からなるが、1本の丸棒の上下部分に雄ねじを形成したものであってもよい。
以上の上側貫通金具14とこれの下端を柱4に固定する上側固定金具15とにより上側接合金具10が構成される。また兼用の貫通金具16と兼用の固定金具13を上側用の各金具として使用したときには、これらによっても上側接合金具10が構成される。一方、前記下側貫通金具11とこれの上端を柱4に固定する下側固定金具12とにより下側接合金具20が構成される。また、兼用の貫通金具16と兼用の固定金具13を下側用の各金具として使用したときには、これらによっても下側接合金具20が構成される。なお、図3に示した各金具及び図示されない金具であっても前記同様に使用される金具であれば、いずれも上側接合金具10ないし下側接合金具20が構成されることは勿論である。
以上の図3に示した各金具は横架材3、5、6と柱4とを接合する金具であるが、図4に示した金具は、前記上側接合金具10と下側接合金具20を連結して、これらの間隔が拡がるのを防止する中間金具である。図4(a)の中間金具17は、金属管の両端内側に雌ねじが形成されていて、上側接合金具10及び下側接合金具20の雄ねじ、例えば前記貫通金具16の下端と前記下側貫通金具11の上端にそれぞれ螺合することにより、両接合金具10、20を連結するものである。また図4(b)の中間金具18は、長板の左右両側を折り曲げることにより立ち上がり部18aを形成して断面U字状にするとともに、両端に穴18bを開設したものである。この中間金具18は、上側接合金具10及び下側接合金具20を柱4に固定するボルトを穴18bに通して、このボルトを介して中間金具18と上下の接合金具10、20を連結するものである。このようにして両接合金具10、20を連結できる金具であれば図4に示した金具以外のものであってもよく、金棒やチェンなども使用することができる。
次に、図2に基づいて耐震構造を具体的に説明する。この説明に使用される各金具については図3、4を参照されたい。まず、基礎2に下端が埋め込まれた下側貫通金具11は、中間が土台3を上下に貫通し、上端が下側固定金具12の穴12cを下から貫通して、下側固定金具12のサドル部分12aの上面でナット21止めされている。下側固定金具12は、柱4における筋交い7のある部分とは反対側の面に、柱4を貫通するボルト22により固定されている。この状態で、1階の柱4と土台3と基礎2が、下側貫通金具11と下側固定金具12とからなる下側接合金具20により接合されている。
また、2階の床受梁5には上側及び下側兼用の貫通金具16が上下に貫通している。この螺杆からなる貫通金具16の下端が、1階の柱4の側面で、上側固定金具をなす兼用の固定金具13の穴13cを上から貫通して、そのサドル部分13aの下面でナット23止めされている。この兼用の固定金具13は、1階の柱4における筋交い7のある部分とは反対側の面に柱4を貫通するボルト24により固定されている。また、貫通金具16の上端は、2階の柱4の側面で、上側固定金具をなす兼用の固定金具13の穴13cを下から貫通している。この2階の柱4に取り付けられる兼用の固定金具13は、1階に用いた兼用の固定金具13とは上下逆になっていて、そのサドル部分13aの上面でナット25止めされている。この兼用の固定金具13は、2階の柱4における筋交い7のある部分とは反対側の面に柱4を貫通するボルト26により固定されている。
かくして、1階の固定金具13と貫通金具16とからなる上側接合金具10と、2階の固定金具13と前記1階と兼用の貫通金具16とからなる下側接合金具20によって、2階の床受梁5を挟んで1階と2階の上下の柱4が接合され、以て、床受梁5と上下の柱4とがいずれも接合されている。
また、最上部の小屋梁6には、2階の柱4における筋交い7のある面とは反対側の面に配置された上側接合金具10の上側貫通金具14が下から貫通し、その上端が小屋梁6上面でナット27止めてされている。また、上側接合金具10をなす上側固定金具15の穴15aには、2階の柱4における筋交い7のある面からその反対側の面に貫通するボルト28により固定されている。こうして、2階の柱4の上端に小屋梁6が接合されている。かくして、1階と2階の柱4は、それらの上下の各横架材3、5、6と、前記の各上側接合金具10と下側接合金具20とによって接合され、また上下の各接合金具10、20の耐引っ張り剛性により、各柱4とこれに接合している横架材3、5、6との接合が維持され、柱から横架材3、5、6が上下に離れることが防止される。
さらに、1階の下側接合金具20をなす下側貫通金具11の上端と、1階の上側接合金具10をなす兼用の貫通金具16の下端には、図4(a)に示された中間金具17が螺合されていて、この中間金具17により下側接合金具20と上側接合金具10とが連結されていて、これら接合金具20、10間が拡がることが防止されている。また、2階の下側接合金具20をなす兼用の固定金具13の柱固定部分13bと、2階の上側接合金具10をなす上側固定金具15には、これらを柱4に固定するボルト26、28により、図4(b)に示された中間金具18が連結されていて、2階の下側接合金具20と上側接合金具10との間が拡がることが防止されている。
かくして、最上の小屋梁6と、その下の2階の柱4と、その下の2階の床受梁5と、その下の1階の柱4と、その下の土台3と、その下の基礎2は、上から下までが、2階の上側接合金具10、中間金具18、2階の下側接合金具20、1階の上側接合金具10、中間金具17、1階の下側接合金具10によって、一連に接合されている。
このため、最上の小屋梁6から最下の基礎2までのうち上下に接するいずれの部材間も上下に開くことが防止され、地震力によりこれらの上下の部材間を拡げる力が架構に入力されても、前記の上下一連の金具に引っ張り力が発生して、前記の部材間を拡げる力に対抗する。よって、上下の横架材3、5、6間に、地震により、筋交い7が起き上がる方向の力が作用して、下の横架材3、5に対して柱4が浮き上がる力や、柱4に対してその上の横架材5、6が浮き上がる力が発生しても、柱4と横架材3、5、6との間が上下に離れることが防止される。
このように、上下の一連の金具によって木造家屋の耐震性が向上するが、この耐震性は一連の金具に発生する引っ張り力(柱4と横架材3、5、6との間を上下に離そうとする力に対抗して、これらが離れないよう維持する力)により生じるものである。したがって、地震時に柱4と横架材3、5、6間に発生する上下方向の圧縮力に対しては、各柱4によって対抗するものとしているから、この発明の耐震構造では木造家屋に過剰な剛性を与えておらず、できるだけ簡単な構造で必要な耐震性を得ることができる。
しかも、この耐震構造に必要な上下の接合金具10、20と、これらの間を結合する中間金具17、18は、第1の実施形態においては、いずれも柱4における筋交い7とは反対側の面に配置されるから、筋交い7のある壁の部分は従来のままの構造とすることができる。このため、この発明が適用できる木造家屋は従来の工法をそのまま利用したうえ、前記金具類を追加して施工することで構築することができる。したがって、この発明の耐震構造を既設の家屋の補強にも適用することができる。この場合に、筋交い7が入った壁の部分をそのまま保存して耐震補強するために、前記柱4を貫通させているボルト22、24、26、28に代えて、柱4のうちの金具10、20側の面からのみ施工できる周知の固着手段を採用することもできる。
図5は、この発明の第2の実施形態を示す正面図である。この実施形態では、上側接合金具10と下側接合金具20と、これらをつなぐ中間金具17、18の位置が、柱4における、筋交い7のある空間側の面に配置されている。これにより、各金具10、17、18、20は筋交い7とともに左右の柱4間に形成される壁に埋め込まれるから、筋交い7のない柱間に金具が表れることがない。したがって見栄えもよいし生活の邪魔になることがない。
また、この第2の実施形態では、柱4と横架材3、5、6との間を補強する補強金物30を使用している。この補強金物30を、柱4と横架材3、5、6との接合部の正面又は背面にあてがったうえ、柱4及び横架材3、5、6にボルト止めしてある。これにより、補強金物30を介して柱4といずれかの横架材3、5、6との間の結合強度を上げ、地震力によって、柱4のほぞと横架材3、5、6端部の局部損傷を防止するようになっている。この補強金物30は前記第1の実施形態には使用していないが、第1の実施形態において採用することができるのは勿論である。なお、第2の実施形態における他の構成と作用効果については第1の実施形態と同一である。
2 基礎
3 土台
4 柱
5 床受梁
6 小屋梁
7 筋交い
10 上側接合金具
11 下側貫通金具
12 下側固定金具
13 兼用の固定金具
14 上側貫通金具
15 上側固定金具
16 兼用の貫通金具
17 中間金具
18 中間金具
20 下側接合金具
3 土台
4 柱
5 床受梁
6 小屋梁
7 筋交い
10 上側接合金具
11 下側貫通金具
12 下側固定金具
13 兼用の固定金具
14 上側貫通金具
15 上側固定金具
16 兼用の貫通金具
17 中間金具
18 中間金具
20 下側接合金具
Claims (5)
- 梁や土台からなる上下の横架材とこれらの間の2本の柱で形成される空間部に筋交いを設けた木造家屋において、
前記上側の横架材の上側に上端が固定されてこの横架材を下方に貫通する上側貫通金具とこれの下端を前記柱に固定する上側固定金具とにより、前記柱の上端とこれに接する前記上側の横架材とを接合する上側接合金具を構成するとともに、
前記下側の横架材の下側に下端が固定されてこの横架材を上方に貫通する下側貫通金具とこれの上端を前記柱に固定する下側固定金具とにより、前記柱の下端とこれに接する前記下側の横架材とを接合する下側接合金具を構成し、
前記上側貫通金具及び下側貫通金具を前記柱における前記筋交いのある空間部とは反対側に設置し、前記上側接合金具と下側接合金具とを連結してこれらの間隔が拡がるのを防止する中間金具を、前記柱における前記上側貫通金具と下側貫通金具が設置された面に沿って配置したことを特徴とする木造家屋における耐震構造。 - 梁や土台からなる上下の横架材とこれらの間の2本の柱で形成される空間部に筋交いを設けた木造家屋において、
前記上側の横架材の上側に上端が固定されてこの横架材を下方に貫通する上側貫通金具とこれの下端を前記柱に固定する上側固定金具とにより、前記柱の上端とこれに接する前記上側の横架材とを接合する上側接合金具を構成するとともに、
前記下側の横架材の下側に下端が固定されてこの横架材を上方に貫通する下側貫通金具とこれの上端を前記柱に固定する下側固定金具とにより、前記柱の下端とこれに接する前記下側の横架材とを接合する下側接合金具を構成し、
前記上側貫通金具及び下側貫通金具を前記柱における前記筋交いのある空間部の側に設置し、前記上側接合金具と下側接合金具とを連結してこれらの間隔が拡がるのを防止する中間金具を、前記柱における前記上側貫通金具と下側貫通金具が設置された面に沿って配置したことを特徴とする木造家屋における耐震構造。 - 前記木造家屋が2階建て又は3階建てであって、下の階と上の階の間の梁に貫通金具を上下に貫通させ、前記貫通金具の上端を上の階の柱に下側固定金具で固定し、前記貫通金具の下端を下の階の柱に上側固定金具で固定することにより、下の階の柱の上端と上の階の柱の下端とこれらの間にある前記梁とを固定して、前記貫通金具に前記下側貫通金具と上側貫通金具を兼ねさせたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の木造家屋における耐震構造。
- 前記横架材が小屋梁からなり、この小屋梁を上下に貫通する前記上側貫通金具の上端を前記小屋梁の上面に固定し、前記上側貫通金具の下端を前記小屋梁下の柱に前記上側固定金具で固定して前記上側接合金具としたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の木造家屋における耐震構造。
- 前記横架材が土台からなり、この土台を上下に貫通する前記下側貫通金具の下端を前記土台の下側の基礎に埋め込み、前記下側貫通金具の上端を1階の柱に前記下側固定金具で固定して前記下側接合金具としたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の木造家屋における耐震構造。
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JP2012288281A JP2014129691A (ja) | 2012-12-28 | 2012-12-28 | 木造家屋における耐震構造 |
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JP2012288281A JP2014129691A (ja) | 2012-12-28 | 2012-12-28 | 木造家屋における耐震構造 |
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