JP3463952B2 - ビニル系重合体、分散液の製造法 - Google Patents

ビニル系重合体、分散液の製造法

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    • C08F2/04Polymerisation in solution
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撥水性表面を与えるビ
ニル系重合体の分散液の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】撥水性表面を与える樹脂系として、アク
リル/シリコーンブレンド系、アクリル−シリコーング
ラフト共重合系樹脂、さらには1分子中に少なくとも1
個のアゾ結合を持つポリシロキサン化合物を重合開始剤
として用いたブロック共重合体樹脂が開発されている。
【0003】アクリル/シリコーンブレンド系は、単な
るブレンド系であるためにアクリル、シリコーンのマク
ロ分離を生じ、長期的にはシリコーン樹脂の欠如が起
り、長期にわたる撥水性を示さない。
【0004】また、アクリル−シリコーングラフト共重
合系、ブロック共重合系樹脂では、ブレンド系より優れ
るものの表面に存在するアクリル樹脂分により撥水性の
低下を招く場合がある。
【0005】またパーフロロ基を有するフッ素樹脂も開
発されているが高価である上に溶解性の面から用いる溶
剤も高価なフッ素系溶剤である必要があり経済的に不利
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の樹
脂系がもつ欠点を克服し、長期的にわたる撥水性を維持
する表面を形成する樹脂系として、アゾ基含有ポリシロ
キサン化合物より導かれるシリコーン単位に化学的に結
合し、なおかつシリコーン単位に十分に被覆されたビニ
ル重合体粒子分散液の製造法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によって、上記の
目的を達成することのできるビニル系重合体の分散液の
製造法が提供される。即ち本発明は、1分子中に少なく
とも1個のアゾ結合を持つ数平均分子量が1,000〜
200,000のアゾ基含有ポリシロキサン化合物から
なる分散安定剤3〜70重量%の存在下で、単量体が可
溶であるが形成される重合体が不溶性である有機溶媒中
において、少なくとも1種のラジカル重合性単量体30
〜97重量%を分散重合させて得られる該有機溶媒に不
溶性のビニル重合体の安定な分散液の製造法に関するも
のである。上記アゾ基含有ポリシロキサン化合物とし
て、一般式[I]で表わされるものがある。
【0008】
【化6】 式中、Rは同一または異なって、低級アルキル基また
はニトリル基を示し、Rは同一または異なって、低級
アルキル基を示し、Rは同一または異なって、低級ア
ルキル基またはフエニル基を示す。lは同一または異な
って、0または1〜4の整数を示し、mは0または20
0の整数を示し、nは1〜400の整数を示す。Xは−
NH−または−O−を示し、Yは
【化7】 (但しpは同一または異なって0または1〜3の整数を
示す。)を示す。さらに上記アゾ基含有ポリシロキサン
化合物としては一般式[II]で表わされるものもあ
る。
【0009】
【化8】 式中、R1は同一または異なって、低級アルキル基また
はニトリル基を示し、R2は同一または異なって、低級
アルキル基を示し、R3は同一または異なって、低級ア
ルキル基またはフエニル基を示し、lは同一または異な
って、0または1〜4の整数を示し、mは0または20
0の整数を示し、nは1〜400の整数を示し、qは0
または1を示し、Zは
【化9】 を示し、Yは
【化10】 ここでpは同一または異なって、0または1〜3の整
数を示す)を示す。
【0010】本発明の如く、アゾ基含有ポリシロキサン
化合物より導かれるシリコーン単位に被覆されたビニル
重合体粒子の分散液を主成分とする塗料から造膜した塗
膜の連続相は主としてシリコーン単位よりなる。したが
って塗膜表面の特性としては、主として、連続相の特
性、すなわちシリコーン単位の特性が発揮されることに
なる。
【0011】しかも、アゾ基含有ポリシロキサン化合物
は重合開始剤として用いられているため、シリコーン単
位とビニル重合体粒子とは化学的に結合されており、長
期間連続相であるシリコーン単位の特性が安定して発揮
される。
【0012】さらに、塗膜として、有していなければな
らない機械的特性はビニル重合体粒子部分によって補強
される。
【0013】一般式[I]で表わされるアゾ基含有ポリ
シロキサンは、酸クロリド基を有するアゾ化合物(A−
1)と少なくとも片末端にアミノ基を有するポリシロキ
サン(S−1)との反応(触媒:トリエチルアミン、水
酸化ナトリウム等)或いはアゾ化合物(A−1)と少な
くとも片末端に水酸基を有するポリシロキサン(S−
2)との反応(触媒:トリエチルアミン等)、またはカ
ルボキシル基を有するアゾ化合物(A−2)とポリシロ
キサン(S−1)との反応(ジシクロヘキシルカルボジ
イミド等の脱水剤使用)、或いはアゾ化合物(A−2)
とポリシロキサン(S−2)との反応(ジシクロヘキシ
ルカルボジイミド等脱水剤使用)によって得られる。
【0014】一般式[II]で表わされるアゾ基含有ポ
リシロキサンは、水酸基を含有するアゾ化合物(A−
3)と、少なくとも片末端にイソシアネート基を有する
ポリシロキサン(S−3)との反応(触媒:ジブチル錫
ジラウレート等)、或いはアゾ化合物(A−3)と酸ク
ロリド基を有するポリシロキサン(S−4)との反応
(触媒:トリエチルアミン等)で得られる。
【0015】これらの合成条件は文献(上田明、永井
進:日本接着学会誌、vol.26、No.3、112
(1990)、永井進、上田明他:Polymer P
reprints,Japan vol.42、No.
9、3809(1993))等で報告されているが、ア
ゾ基の分解が起こりにくい温和な条件(温度は30℃以
下)で合成を行う必要がある。
【0016】アゾ基含有ポリシロキサン化合物の合成は
通常溶媒中で行なわれる。溶媒としては、例えばヘプタ
ン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン等のエーテル類、トリクレン等のハ
ロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、N,N−ジメチ
ルホルムアミド等の一種または二種以上を用いる。
【0017】アゾ化合物(A−1)の例としては、 4,4′−アゾビス−4−シアノペンタン酸クロリド アゾ化合物(A−2)の例としては、 4,4′−アゾビス−4−シアノペンタン酸 アゾ化合物(A−3)の例としては、 4,4′−アゾビス−4−シアノペンタノール、 2,2′−アゾビス−2−シアノプロパノール、 2,2′−アゾビス−2−メチル−N−2−ヒドロキシ
プロピオン酸アミドをあげることができる。
【0018】ポリシロキサン(S−1)の例としては、
一般式[III]で示される化合物
【化11】 (但しmは0または1〜200の整数)ポリシロキサン
(S−2)の例としては、一般式[IV]で示される化
合物
【化12】 (但しmは0または1〜200の整数)ポリシロキサン
(S−3)の例としては、一般式[V]で示される化合
物があげられる。
【0019】
【化13】 (但しmは0または1〜200の整数)ポリシロキサン
(S−4)の例としては、一般式[VI]で示される化
合物がある。
【0020】
【化14】 (但しmは0または1〜200の整数)以上アゾ基含有
ポリシロキサン化合物の合成法を列挙したが、1分子中
に少なくとも1個のアゾ結合を持つ数平均分子量が1,
000〜200,000のアゾ基含有ポリシロキサン化
合物が得られれば上記方法に限定されるものではない。
【0021】アゾ基含有ポリシロキサン化合物の数平均
分子量は1,000〜200,000、好ましくは2,
000〜100,000である。
【0022】数平均分子量が1,000未満であると、
分散重合における分散安定剤としての能力が不十分であ
り、ビニル重合体の安定な分散液が得られず、粗大粒子
の発生、著しい粘度上昇等が起きる。
【0023】逆に、200,000を超えると、溶液粘
度の上昇により低濃度で分散重合が行なわれなければな
らず、重合体単量体の重合率の低下等の問題が生ずる。
【0024】本発明においては、アゾ基含有ポリシロキ
サン化合物が分散安定剤と重合開始剤の両方の役割を演
ずるが、通常のラジカル重合開始剤を併用してもよい。
【0025】使用可能なラジカル重合開始剤としては、
例えば2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,
2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)な
どのアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリ
ルパーオキサイド、tert−ブチルパーオクトエート
などの過酸化物系開始剤が挙げられ、これら重合開始剤
は一般に重合に供される単量体100重量部当り、0.
2〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量の範囲内で
使用できる。
【0026】本発明で用いられるアゾ基含有ポリシロキ
サン化合物の溶媒に対する溶解性は分子量やポリシロキ
サンセグメントの含有量により変動するが、ヘプタン、
トルエン、キシレン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸
n−ブチル等の酢酸エステル類、エタノール、イソプロ
パノール等のアルコール類;アセトン、シクロヘキサノ
ン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の
エーテル類等に溶解する。
【0027】本発明によれば、前述した如きアゾ基含有
ポリシロキサン化合物の有機溶媒の溶液中で少なくとも
1種のラジカル重合性単量体が重合せしめられるが、該
重合に使用される有機溶媒には、該重合により生成する
分散重合体粒子は実質的に溶解しないが、上記分散安定
剤すなわちアゾ基含有ポリシロキサン化合物および該ラ
ジカル重合性単量体に対しては良溶媒となる、有機溶媒
が包含される。
【0028】かかる有機溶媒の具体例としては、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;アルコー
ル系、エーテル系、エステル系及びケトン系溶剤、例え
ばイソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i
−ブチルアルコール、オクチルアルコール、セロソル
ブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノブチ
ルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケ
トン、エチルアシルケトン、メチルヘキシルケトン、エ
チルブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸
アシル、2−エチルヘキシルアセテート等が挙げられ、
これらはそれぞれ単独で使用してもよく、2種以上混合
して用いることもできるが、一般には、脂肪族炭化水素
を主体とし、これに適宜芳香族炭化水素や上記の如きア
ルコール系、エーテル系、エステル系またはケトン系溶
剤を組合わせたものが好適に使用される。さらに、トリ
クロロトリフルオロエタン、メタキシレンヘキサフルオ
ライド、テトラクロロヘキサフルオロブタンなども必要
により使用できる。
【0029】以上述べたアゾ基含有ポリシロキサン化合
物および有機溶媒の存在下に重合せしめられる単量体と
しては、ラジカル重合性の不飽和単量体であれば特に制
限はなく、各種のものを使用することができるが、その
代表的なものを例示すれば以下のとおりである。
【0030】(a)アクリル酸又はメタクリル酸のエス
テル:例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリ
ル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチ
ル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イ
ソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシ
ル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル等の
アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜18アルキルエ
ステル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリ
レート;アリルアクリレート、アリルメタクリレート等
のアクリル酸またはメタクリル酸のC2〜8アルケニル
エステル;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシ
エチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸
またはメタクリル酸のC2〜8ヒドロキシアルキルエス
テル;アリルオキシエチルアクリレート、アリルオキシ
メタクリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のC
3〜18アルケニルオキシアルキルエステル。
【0031】(b)ビニル芳香族化合物:例えば、スチ
レン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロ
ルスチレンビニルピリジン。
【0032】(c)α,β−エチレン性不飽和酸:例え
ばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸。
【0033】(d)加水分解性アルコキシシラン基含有
モノマー:例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキ
シ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル
トリメトキシシラン、ビニルトリアセトオキシシラン、
β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシ
ラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエ
トキシシランなど。
【0034】(e)パーフルオロアルキル(メタ)アク
リレート:例えばパーフルオロブチルエチル(メタ)ア
クリレート、パーフルオロイソノニルエチル(メタ)ア
クリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アク
リレート等。
【0035】(f)その他:アクリロニトリル、メタク
リロニトリル、メチルイソプロペニルケトン;酢酸ビニ
ル、ベオバモノマー(シエル化学製品)、ビニルプロピ
オネート、ビニルピバレート、イソシアネートエチルメ
タクリレート、m−イソプロペニル−α,α′−ジメチ
ルベンジルイソシアネートこれらの単量体の中で特に好
適なものは、アクリル酸又はメタクリル酸のエステルを
少なくとも40重量%以上含む単量体または単量体混合
物である。
【0036】通常分散重合では、ビニル重合体の分子量
は比較的大きく数平均分子量で5000以上である。ま
たビニル重合体粒子内部を架橋させることもある。架橋
には例えばグリシジル基とカルボキシル基、或いは水酸
基とイソシアネート基のように互いに反応する官能基を
持つビニル単量体を共重合することが一般的であるが、
これらの方法に限定はされない。
【0037】また、前記、アゾ基含有ポリシロキサン化
合物の使用量は、重合すべき単量体と分散安定剤である
アゾ基含有ポリシロキサン化合物の総量を基準にして3
〜70重量%、好ましくは、5〜60重量%の範囲内が
好都合である。
【0038】3重量%より少ない場合、分散液の安定性
が損なわれ粗大粒子の発生等の問題が生じ、70重量%
より多い場合分散液の高粘度化等の不具合が生じる。
【0039】さらに、前記有機溶媒中における単量体と
分散安定剤である前記アゾ基含有ポリシロキサン化合物
の合計濃度は一般に30〜70重量%好ましくは30〜
60重量%であるのが望ましい。
【0040】重合はそれ自体既知の方法で行なうことが
でき、重合時の反応温度としては一般に60〜160℃
の範囲内の温度を用いることができ、通常1〜15時間
で反応を終らせることができる。
【0041】以上に述べた本発明の方法により製造され
る重合体粒子の非水系分散液は極めて分散安定性に優れ
ており、塗料、成型品、接着剤、充てん剤等の用途に利
用することができる。
【0042】またこのようにして得られたビニル重合体
の分散液は従来のアクリル−シリコーングラフト共重合
体溶液、或いはアクリル−シリコーンブロック共重合体
溶液とは明らかに異なり安定な乳濁状態を呈する。
【0043】該ビニル重合体の分散液から得られたフイ
ルムの電子顕微鏡観察、或いは該ビニル重合体の分散液
の動的光散乱法による解析結果から該ビニル重合体の分
散液中のビニル重合体粒子は平均粒径0.01〜10μ
mの球状を示すことが確認されている。また粒径分布も
比較的シャープで変動係数((標準偏差÷平均粒径)×
100%)も通常10%前後である。
【0044】本発明においてアゾ基含有ポリシロキサン
化合物は、重合開始剤と分散安定剤の両方の役割を演じ
ている。このためアゾ基含有ポリシロキサン化合物より
導かれるシリコーン単位の大部分はビニル重合体粒子と
化学的に結合している。このことが該分散液の優れた安
定性−長期間にわたり、粗大粒子の発生や沈殿物の発生
がない−に寄与しているものと考察している。
【0045】本発明により提供される分散液は、そのま
までも使用することができるが、必要に応じて、着色
剤、可塑剤、硬化剤などを配合することもできる。
【0046】着色剤としては染料、有機顔料、無機顔料
が挙げられ、可塑剤としては公知のもの、例えばジメチ
ルフタレート、ジオクチルフタレートなどの低分子量可
塑剤、ビニル重合体系可塑剤、ポリエステル系可塑剤な
どの高分子量可塑剤が挙げられ、これらは分散液に予め
混入して用いることもでき或いは分散液の製造時におい
て、ラジカル重合性単量体に溶解しておき、生成分散液
の分散重合休粒子中に分配させておくこともできる。ま
た、硬化剤としては、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリ
イソシアネート類などの架橋剤が用いられうる。
【0047】さらに、繊維素、アクリル樹脂、アルキド
樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、或いは、フッ
素樹脂、他のポリジメチルシロキサン含有樹脂等とブレ
ンドして用いることもできる。
【0048】以下、本発明を実施例及び比較例によって
さらに具体的に説明する。実施例及び比較例において部
及び%はいずれも重量部及び重量%である。
【0049】
【実施例】〈製造例1〉 温度計、撹拌機、還流冷却器および塩化カルシウム管の
ついた四つ口フラスコに、数平均分子量4,300の両
末端アミノ基ポリジメチルシロキサン(一般式[II
I]において、mが平均56である信越化学工業(株)
製X−22−161C)100部、トリエチルアミン
4.7部、クロロホルム100部を仕込み、撹拌しなが
ら、氷冷下、4,4′−アゾビス−4−シアノペンタン
酸クロリド7.37部とクロロホルム100部からなる
溶液を60分かけて滴下した。
【0050】その後、25℃で2時間反応を継続してか
ら、クロロホルム50部を追加して希釈し、水洗により
トリエチルアミン塩酸塩などの水溶性成分を除去してか
ら減圧乾燥した。得られたアゾ基含有ポリジメチルシロ
キサンアミドMAI−Xの数平均分子量はGPC分析に
より20,000であった。
【0051】他に、アゾ基含有ポリシロキサン化合物と
して、和光純薬工業(株)製 MAI−001(数平均
分子量15,000、一般式(I)型)およびMAI−
003(数平均分子量109,000、一般式(I)
型)を用いた。 実施例1 分散重合体液Aの合成 ヘプタン 48部 トルエン 62部 MAI−X 18部 をフラスコに仕込み加熱還流させ、下記の単量体および
MAI−X、トルエン混合液を3時間かけて滴下した。
【0052】 メチルメタクリレート 30部 メチルアクリレート 45部 2−ヒドロキシエチルアクリレート 25部 MAI−X 36部 トルエン 77部 さらに、MAI−X5部、トルエン20部からなる混合
液を1時間かけて滴下後3時間熟成した。得られた分散
液の不揮発分は43%。粘度は4ポイズ(25℃)であ
った。
【0053】重合体粒子の平均粒径(コールターN4
(米国、コールター社製)使用、以下同様)は0.17
μm、変動係数は12%とかなりシャープな粒径分布を
示した。室温で1年間静置しても沈殿物や粗大粒子の発
生は見られなかった。 実施例2 分散重合体液Bの合成 ヘプタン 41部 トルエン 52部 MAI−001 10部 をフラスコに仕込み加熱還流させて下記の単量体および
MAI−001、トルエン混合溶液を3時間かけて滴下
した。
【0054】 メチルメタクリレート 30部 メチルアクリレート 45部 2−ヒドロキシエチルアクリレート 25部 MAI−001 18部 トルエン 64部 さらに、MAI−001 2部、トルエン20部からな
る混合液を1時間かけて滴下後3時間熟成した。得られ
た分散液の不揮発分は42%。粘度は3.2ポイズ(2
5℃)。
【0055】重合体粒子の平均粒径は0.24μm、変
動係数は9%とシャープな粒径分布を示した。室温で1
年間静置しても沈殿物や粗大粒子の発生は見られなかっ
た。 実施例3 分散重合体液Cの合成 ヘプタン 41部 トルエン 52部 MAI−003 10部 をフラスコに仕込み加熱、還流させて下記の単量体およ
びMAI−003、AIBN、トルエン混合溶液を3時
間かけて滴下した。
【0056】 メチルメタクリレート 30部 メチルアクリレート 45部 2−ヒドロキシエチルアクリレート 25部 MAI−003 18部 AIBN 1部 トルエン 64部 さらに、MAI−003 2部、AIBN 0.5部、
トルエン20部を1時間かけて供給後5時間熟成した。
得られた分散液の不揮発分は41%。粘度は11ポイズ
(25℃)であった。
【0057】重合体粒子の平均粒径は0.33μm、変
動係数は16%であった。
【0058】室温で1年間静置しても沈殿物や粗大粒子
の発生は見られなかった。 比較例1 ブロック共重合体溶液(1)の合成 トルエン 100部 酢酸エチル 50部 をフラスコに仕込み加熱、還流させて下記の単量体、M
AI−001、酢酸n−ブチル混合溶液を3時間かけて
滴下した。
【0059】 スチレン 20部 イソブチルメタクリレート 70部 2−ヒドロキシエチルメタリレート 10部 酢酸n−ブチル 50部 MAI−001 90部 さらに、MAI−001 10部、トルエン150部を
1時間かけて滴下後5時間熟成した。得られたブロック
共重合体溶液の不揮発分は37%、粘度は0.3ポイズ
(25℃)であった。 比較例2 ブロック共重合体溶液(2)の合成 トルエン 70部 をフラスコに仕込み加熱、還流させて下記の単量体、M
AI−001、酢酸n−ブチル混合溶液を3時間かけて
滴下した。
【0060】 スチレン 20部 イソブチルメタクリレート 70部 2−ヒドロキシエチルメタリレート 10部 MAI−001 10部 酢酸n−ブチル 56部 さらに、MAI−001 1部、トルエン10部を1時
間かけて滴下後、ターシャリーブチルパーオキシ2−エ
チルヘキサノエート0.5部、トルエン30部を1時間
かけて滴下後5時間熟成した。
【0061】得られたブロック共重合体溶液の不揮発分
は37%、粘度は3.4ポイズ(25℃)であった。 比較例3 アクリル共重合体溶液(1)の合成 トルエン 67部 をフラスコに仕込み加熱、還流させて下記の単量体、A
IBNの混合溶液を3時間かけて滴下した。
【0062】 スチレン 20部 イソブチルメタクリレート 70部 2−ヒドロキシエチルメタリレート 10部 AIBN 2部 さらに、AIBN 0.5部、酢酸n−ブチル14.8
部を1時間かけて滴下後5時間熟成した。
【0063】得られたアクリル共重合体溶液の不揮発分
は54%、粘度は17ポイズ(25℃)であった。
【0064】実施例、比較例で得られた分散液、ブロッ
ク共重合体溶液についてスライドガラス上に、乾燥膜厚
が50μmとなるように塗布、室温で乾燥後測定した接
触角(I)および上記分散液、ブロック共重合体溶液、
アクリル共重合体溶液に、硬化剤としてポリイソシアネ
ート(日本ポリウレタン製、コロネートEH)を配合
([OH]/[NCO]=1/1モル比)したものを上
記したようにスライドガラス上に乾燥膜厚が50μmと
なるように塗布、乾燥(120℃×30分)後測定した
接触角(II)を表1に示す。
【0065】同じアゾ基含有ポリシロキサン化合物を用
いても、分散重合体液から得られた塗膜の撥水性は、ブ
ロック共重合体溶液から得られた塗膜の撥水性よりも大
きいことが明らかである。
【0066】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1分子中に少なくとも1個のアゾ結合を
    持つ数平均分子量が1,000〜200,000のアゾ基
    含有ポリシロキサン化合物からなる分散安定剤3〜70
    重量%の存在下で、単量体が可溶であるが形成される重
    合体が不溶性である有機溶媒中において、少なくとも1
    種のラジカル重合性単量体30〜97重量%を分散重合
    させることにより得られる該有機溶媒に不溶性のビニル
    重合体の安定な分散液。
  2. 【請求項2】 アゾ基含有ポリシロキサン化合物が一般
    式[I] 【化1】 式中、 R1は同一または異なって、低級アルキル基またはニト
    リル基を示し、 R2は同一または異なって、低級アルキル基を示し、 R3は同一または異なって、低級アルキル基またはフエ
    ニル基を示し、 lは同一または異なって、0または1〜4の整数を示
    し、 mは0または1〜200の整数を示し、 nは1〜400の整数を示し、 Xは−NH−または−O−を示し、 Yは 【化2】 ここでpは同一または異なって、0または1〜3の整
    数を示す)を示す、で表わされる請求項1に記載の分散
  3. 【請求項3】 アゾ基含有ポリシロキサン化合物が一般
    式[II] 【化3】 式中、 R1は同一または異なって、低級アルキル基またはニト
    リル基を示し、 R2は同一または異なって、低級アルキル基を示し、 R3は同一または異なって、低級アルキル基またはフエ
    ニル基を示し、 lは同一または異なって、0または1〜4の整数を示
    し、 mは0または200の整数を示し、 nは1〜400の整数を示し、 qは0または1を示し、 Zは 【化4】 を示し、 Yは 【化5】 ここでpは同一または異なって、0または1〜3の整
    数を示す)を示す、で表わされる請求項1に記載の分散
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