JP3463809B2 - 軸 受 - Google Patents

軸 受

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JP3463809B2
JP3463809B2 JP50503292A JP50503292A JP3463809B2 JP 3463809 B2 JP3463809 B2 JP 3463809B2 JP 50503292 A JP50503292 A JP 50503292A JP 50503292 A JP50503292 A JP 50503292A JP 3463809 B2 JP3463809 B2 JP 3463809B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、軸受材及びその軸受材を用いた軸受、詳し
くは、一般にオーバーレイ合金として知られている種類
の軸受材に関する。
例えば内燃エンジン用平軸受は、その軸受に強固に結
合した軸受材の層を有する鋼等の強固な裏当て材から一
般に構成される。その軸受材の層は当業者にいくらか知
られているかもしれないが、典型的にはアルミニウムベ
ース合金又は銅ベース合金が用いられている。相対的に
軟質の合金から相対的に硬質の合金までのアルミニウム
又は銅をベースとする、非常に多種類の軸受合金が存在
する。
軸受合金にとって重要な必要条件は、整合性すなわち
シャフト・ジャーナルの小さな心ずれが調節できる能
力、及びほこり埋込み性すなわちジャーナルのスコーリ
ング(scoring)による損傷を防止するために、研摩作
用のあるほこり粒子を埋込む能力である。一般的に言え
ば、これら二つの必要条件は、例えばアルミニウム−20
%スズ・銅−35%鉛のような相対的に軟質な合金におい
て一層特徴的である。しかし、軟質の第二相物質の含有
量が相対的に高いこれら軟質合金は整合性の悪い硬質合
金よりも疲労抵抗が一層弱い。相対的に硬質の合金に、
通常オーバーレイと呼ばれるものを与えて、十分な整合
性とほこり埋込み性を有するが疲労強度の高い軸受を製
造することが一般的に行われている。一般的にオーバー
レイは、相対的に非常に軟質の、通常錫又は鉛をベース
とした合金から製造され、しかも通常非常に薄く、典型
的には厚さ約25μmである。これらのオーバーレイ合金
は、「バルク(bulk)」形態で試験したとき、se当りは
弱い材料である。相対的に硬質の軸受材上の薄いコーテ
ィングの形態で試験したときは、それらオーバーレイ合
金は、しばしば軸受の疲労強度を増加させる。このよう
に軸受の疲労強度が増加するのは、オーバーレイの整合
性のため、加えた負荷が軸受のより大きい表面積に分散
されるため、及び疲労が生じて典型的には心がずれるこ
とによって高負荷因子が局在化するのが防止されるため
である。しかし、高負荷をかけた状態でオーバーレイを
使用することができたとしても、オーバーレイ固有の軟
質性のために、オーバーレイはジャーナルの表面とかみ
合うことによって磨耗しがちとなる。
鋳鉄のクランクシャフトの用途が増大することによっ
て、近年、オーバーレイの問題が再燃してきた。鋳鉄ク
ランクシャフトは本来、鋳鉄クランクシャフトに先行し
ていた鋼シャフトよりも研摩性が大きい。オーバーレイ
合金の耐磨耗性を改善する研究が盛んに行われた。鉛−
スズ−銅のオーバーレイが開発され、例えば、初期の鉛
−錫の合金が改良される。しかし、これらの合金でも結
局、耐磨耗性に関しては相対的にわずかに改善されたに
過ぎなかった。
本発明の目的は、耐磨耗性が周知のオーバーレイ材料
よりも優れているが、周知のオーバーレイの持つ望まし
い整合性及びほこり埋込み性を保持する、軸受オーバー
レイ用材料を提供することにある。
本発明によってオーバーレイ・コーティングを有する
軸受が提供され、しかもこのオーバーレイ・コーティン
グは、その内部に硬質非金属材料の第二相を分散させ
た、軟質金属マトリックスからなり、またこの硬質非金
属材料は少なくとも300のビッカース硬度(Hv)を有
し、そのオーバーレイ・コーティングのバルク(bulk)
は軟質金属マトリックスで構成され、しかも、その軟質
金属マトリックスにより、ほこり粒子を埋込む能力は悪
影響を受けない。300から、600を越える範囲のHv値を有
する材料を使用しても良い。
軸受は例えば鋼等の強固な裏当て材を含み、しかもオ
ーバーレイが付着する軸受材の層をその裏当て材に結合
させても良い。軸受材は、周知であって軸受技術で使用
されている物であばいかなる物でも良い。
オーバーレイ・マトリックスは、スズベース、鉛ベー
ス若しくはカドミウムベースの材料、又はそれらの純金
属から成っても良い。一方、硬質粒子相は、例えばケイ
素、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、
並びに金属酸化物、ホウ化物、窒化物及び炭化物等のそ
の他種々を含む非金属材料から成る群から選択しても良
い。
非金属の硬質粒子相は、オーバーレイの0.05〜2重量
%含有量を構成しても良いが、好ましくは約1重量%以
下である。その粒子の塊状化したときの大きさは、好ま
しくは約5μm以下であり、好ましくは1μm以下であ
る。個々の粒子の大きさは、好ましくは約1μm未満で
ある。大きさ範囲が5〜10μmの塊状化粒子が少量であ
れば存在しても許容される。
オーバーレイの付着方法は、例えば共電着(electro
−codeposition)又は陰極スパッタから成っても良い。
オーバーレイを共電着によって付着する場合、非金属の
硬質粒子相は最低限0.1重量%存在するのが好ましい。
オーバーレイの大部分は軟質の金属相から成っている
ので、ほこり粒子を埋め込む能力に悪影響はない。
次に、本発明を更に十分理解するために、例を記載
し、添付図に関する限りの説明を行う。
図1は本発明によりオーバーレイ・コーティングを付
着させるために使用される電気めっき装置の概略図を示
す。
図2はオーバーレイの種類に対するオーバーレイ磨耗
量のヒストグラムを示す。
図3は硬質粒子の含有量の3水準に対する耐食性を表
わすグラフを示す。
例 1 鉛−10%スズのマトリックス中の種々の含有量のアル
ファ・アルミナを用いて、銅−鉛ハーフ(half)の軸受
に共電着させた。軸受は、従来のめっきジグの8−高ス
タック(high stack)でめっきした。アルミナの平均粒
径は1μm未満であった。すべての電気めっき試験につ
いては、下記組成を有する鉛−スズのフッ化ホウ素酸塩
溶液を使用した。
フッ化ホウ素酸鉛 −200g/リットル フッ化ホウ素酸第一スズ− 20g/リットル 遊離酸 − 90g/リットル レゾルシノール − 6g/リットル 種々のアルミナ含有量を使用した。図1の装置によっ
て概略的に示されるようなプレート・ポンプ技術(plat
e pumping technique)により、その粒子を懸濁液状態
で保持した。その装置はタンク10から成り、タンク10の
底にはせん孔14を有する板12がある。板12は、電動モー
タの動力を備えたカム(図には示していない)によって
運転される腕16を軸にして上下に往復する。タンク10に
は、板12のポンプ作用により懸濁液状態に保持される粒
子20を含むめっき溶液18が入っている。めっきすべき軸
受22は、中央アノード26を有するジグ24により対で保持
される。
めっきした軸受の試料は、鉛−10重量%スズの組成を
有するマトリックスから成り、しかも下記の諸表に示す
種々の量のアルミナが分散させられた。
それら軸受を試験し、それらの疲労強度、耐磨耗性及
び耐食性を評価した。
疲労強度は、下記条件下、直径50mm、軸長30mmの軸受
を試験装置で試験することによって評価した。
シャフト速度 2800回転/分; 初期負荷 55MPa; 負荷は20時間毎に7MPaずつ破壊するまで増していく; 油温 80℃;及び 正弦負荷パターン 比較のため、アルミナ非含有軸受をも試験した。
上記計画によって試験した軸受の疲労抵抗を下記表1
に示す。
これらの結果から、硬質粒子相が含まれていてもオー
バーレイの疲労強度に及ぼす悪影響は全くないことが分
かる。
電着したオーバーレイの耐磨耗性は、比較的小さい特
定の負荷で試験することにより決定し、磨耗量は減量を
記録することにより評価した。各々試験の計画は次の通
りであった。
20時間、48MPaで1サイクル; 20時間、55MPaで1サイクル; 62MPaで5サイクル(各々20時間); 油温 80℃;及び シャフト速度 2800回転/分 各サイクルの後、減量を記録した。
下記表2及び図2のヒストグラムより分かるように、
硬質粒子相の添加によって、オーバーレイの耐磨耗性は
かなり改善される。アルミナを1重量%添加すれば、オ
ーバーレイの磨耗量は、通常の鉛−10%スズの磨耗量の
約3分の1に減少し、優れた耐磨耗性オーバーレイとし
て開発された鉛−10%スズ−2%銅の磨耗量の2分の1
に減少する。他のオーバーレイの例も図2に示す。アル
ミナを0.7重量%添加すれば、磨耗速度は従来の鉛−10
%スズの磨耗速度の半分未満になることも分かった。
得られた磨耗量の結果は、硬質鋼のシャフトと比較し
た試験を示しており、しかも、3寸法(3−dimensiona
l)表面みがき測定から、シャフトの非常に軽微なみが
きが存在したことが分かる。例えば、Ra値は0.32から0.
20μmに減少し、ピーク値(Rp)は1.02から0.73μmに
減少した。このことにより、本発明のオーバーレイによ
って得られる利点は、ジャーナル表面に損傷を生じない
でジャーナル表面から欠陥を除去することにあることが
証明される。
硬質粒子相は、鉛−10%スズのオーバーレイの耐食性
に対し、実質的に影響を及ぼさないことが分かった。図
3に、アルミナを0.5、0.7及び1.0重量%含有するオー
バーレイの耐食性を図示する。試料「B」は試料「A」
の各アルミナ水準での繰り返し試験である。腐食試験
は、120℃の薬物ホワイト油にめっきした試料を浸漬す
ることによって行い、24、250、1000及び2000時間の時
点で減量を記録した。使用した油は非常に純粋であり、
インヒビターは全く含まれず、試験条件下では品位が急
激に低下し、非常に激しい腐食性を示す。
例 2 軸受の試料は陰極スパッタによって作製した。その試
料はスズのマトリックスを有し、別の試料には0.5%未
満のアルミナ及び0.5%未満の窒化ケイ素が含有され
た。軸受基体へのオーバーレイの付着は良好であり、そ
の疲労強度は下記表3に示す通り、全て大きかった。実
際、セラミック材料を使用しなかった物より大きい。分
散硬化機構によって特性が改良されるものと考えられ
る。この例において、粒子は電気めっきで得られる物よ
りもはるかに微細であり、わずか数ナノメータ程度であ
る。
試料を作製するためのスパッタ条件は次の通りであっ
た。2つのターゲットを使用した。一方は純スズであ
り、他方は適切なセラミックである。軸受の半円筒状ス
タック(stack)の半径中心線を2つのターゲットに対
して45゜にした状態で、ターゲットは互いに90゜に配置
した。その装置の底面圧は5×10-5トル未満に下げ、そ
の後、450〜550VでのRFグロー放電、600Wの電力、7〜
9ミリトルの圧力のアルゴンガス中で、10分間、軸受に
ついてスパッタ・エッチを行った。次いで、窒化ケイ素
の場合はアルゴン/窒素の混合物中で、又はアルミナの
場合は純アルゴン中で、軸受を被覆した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ポウプ,アラン,デビッド イギリス国シーブイ21 1ジェイエック ス ラグビィ,ブラウンゾーバー,ダー ウェント クロース 74 (56)参考文献 特開 平1−212729(JP,A) 特開 昭60−174842(JP,A) 特開 昭56−33493(JP,A) 特表 平4−500700(JP,A) 米国特許3420754(US,A) 社団法人金属表面技術協会,金属表面 技術便覧,日刊工業新聞社,1977年12月 25日,第2版,第554頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16C 17/00 - 17/26 F16C 33/00 - 33/28

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウムベースおよび銅ベースの軸受
    材からなる群から選ばれる軸受材の層を上に有する強固
    な裏当て材と、 該軸受材の上にあるオーバーレイ・コーティング層と、 を含む、内燃エンジン用平ジャーナル軸受であって、 該オーバーレイ・コーティング材が、スズベース金属、
    鉛ベース金属及びカドミウムベース金属からなる群から
    選ばれる軟質金属マトリックスを有し、 該オーバーレイ・コーティングは、その内部に、600を
    越えるビッカース硬度(Hv)を有する硬質非金属材料の
    第二相を分散させたものであり、 該オーバーレイ・コーティングのバルク(bulk)は、該
    軟質金属マトリックスで構成されており、 しかも、該オーバーレイ・コーティング層の内部に分散
    した該第二相はアルミナ粒子相であり、 該オーバーレイ・コーティングは共電析によって付着さ
    れており、そして、 ほこり粒子を埋込む能力は悪影響を受けない、 ことを特徴とする、前記の内燃エンジン用平ジャーナル
    軸受。
  2. 【請求項2】前記オーバーレイがアルミナを0.05〜2重
    量%含む、請求項2に記載の平ジャーナル軸受。
  3. 【請求項3】前記オーバーレイがアルミナを0.05〜1重
    量%含む、請求項2に記載の平ジャーナル軸受。
  4. 【請求項4】前記アルミナ粒子の塊状の大きさが約5μ
    mより大きくなく、その個々の粒子の大きさが1μmよ
    り小さい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の平ジャ
    ーナル軸受。
  5. 【請求項5】前記オーバーレイ層がアルミナを0.1〜1
    重量%含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の平ジ
    ャーナル軸受。
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