JP3262327B2 - ジャーナル軸受 - Google Patents

ジャーナル軸受

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JP3262327B2
JP3262327B2 JP50916390A JP50916390A JP3262327B2 JP 3262327 B2 JP3262327 B2 JP 3262327B2 JP 50916390 A JP50916390 A JP 50916390A JP 50916390 A JP50916390 A JP 50916390A JP 3262327 B2 JP3262327 B2 JP 3262327B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、ジャーナル軸受と、特に陰極スパッタリン
グ法によってその様な軸受の上に被着された上張り層
(オーバーレイ)として知られる被膜とに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】
陰極スパッタリング法によって、ジャーナル軸受の作
用面上に、柔らかい被膜の合金組成を被着させることが
知られている。このことの例は、コロシェッツ他による
欧州特許出願0300993号に記載されている。銅、アルミ
ニウム、あるいは銀をベースにした上張り層は、滑り方
向に対して直角な主軸線を有する円柱状結晶粒と、マト
リックスよりも軟かく且つマトリックス金属の中で不溶
性を有した粒子の埋込層とを有するものとして記載され
ている。その例は、錫が20容量%のアルミニウム合金と
鉛が30容量%の銅合金とからなる上張り層が与えられて
いる。そのような合金組成は、比較的最近までは、おも
な軸受材料が鉛合金または錫合金をベースにした上張り
層を有する場合には、鍛練材料あるいは鋳造材料として
用いられていた。そのような2相合金を被膜層として用
いることは、従来形の電気メッキによって被着された鉛
と錫をベースにした合金に勝る、改良された耐摩耗性と
改良された疲労強度との両方を有し、しかも良好な順応
性と耐焼付性とを維持した材料の調査に役立つことにな
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エンジンにおいて、新しい軸を回転さ
せる最初の段階では、欧州特許出願0300993に記載され
ているような既知の2相合金から容易に得られるよりも
高度の順応性を有することが望ましい。さらに、上張り
層が摩耗し、軸のジャーナルと軸受との間の回転間隙が
増大する場合には、上張り層材料の耐摩耗性を増大させ
ることが望ましい。上張り層の摩耗が増加すると、順応
性はあまり重要でなくなり、耐摩耗性がより重要にな
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】
以上のような技術的背景の下で、本発明によれば、以
下のジャーナル軸受が提供される。 強力な裏金材を有し、その上に、軸受材料層と上張り
被膜を有するジャーナル軸受において、軸受材料層の上
に形成された上張り被膜が第1材料を含み、該第1材料
は、被膜マトリックスを構成するとともに第2材料から
成る分散相を有し、軸受材料層が、銅合金と、アルミニ
ウム合金と、銀合金とから成る群から選択される材料か
ら成り、上張り被膜の第1材料が、アルミニウム、銅、
銀、アルミニウム合金、銅合金および銀合金から成る群
から選択され、上張り被膜の第2材料が、鉛、錫、カド
ミウム、アンチモン、ビスマス、インジウム、およびそ
れらの合金から成る群から選択され、上張り被膜は、陰
極スパッタリングによって被着されたものであって等軸
結晶粒組織を有し、第2材料から成る分散相は、軸受材
料層と上張り被膜との間の境界面において相対的に低い
含有量で、上張り被膜の表面において相対的に高い含有
量であり、また該分散相の含有量が、境界面から上張り
被膜の表面に向かって連続的に変化しており、かつ上張
り被膜の全厚さが、10〜50マイクロメーターの範囲にあ
るジャーナル軸受。
【0005】 好ましくは、例えば銅のような強力な裏金材と被膜と
の間に挟まれた軸受材料からなる第3の材料の層が存在
する。前記第3材料は鉛入の青銅のような銅基合金、ア
ルミニウム−銀−シリコン−錫の合金のようなアルミニ
ウム合金、あるいは銅合金であってもよい。
【0006】 強力な裏金材と被膜の間に挟まれた第3の材料が存在
し、また軸受の作動温度において被膜中の分散相との間
の拡散が第3材料に対して生じる場合には、境界部分に
おける被膜が、分散した第2材料を有しない実質的にマ
トリックス金属から成ることが望ましい。境界部分にお
ける被膜マトリックス材料の厚さは、拡散の障壁として
作用するために3マイクロメーター以下であればよく、
好ましくは0.1〜2マイクロメーターである。
【0007】 軸受材料において、第3材料層が存在している場合に
は、上張り層を被着する前に、例えば、第4材料として
ニッケルまたはコバルトから成る被膜を設けることが望
ましいだろう。この第4材料は、電気メッキあるいはス
パッタリング法によって被着可能である。
【0008】 また、比較的純粋な境界層を用いることは、基層に対
する被膜の接着性を強化するという点で有利である。
【0009】 被膜の全厚さは、10〜50マイクロメーターであってよ
く、使用目的にもよるが、好ましくは15〜40マイクロメ
ーターとする。
【0010】 被膜の作動表面に公知の犠牲被膜を付与するために、
実質的に純粋な第2材料からなる層を設けてもよい。こ
の表面層の厚さは、0.1〜5マイクロメーターであって
よく、好ましくは1〜3マイクロメーターとする。
【0011】 表面層の目的は、エンジンの初期回転段階において、
高度の順応性や適合性を与えることにある。分散相と表
面層とからなる第2材料は、望ましい軸受特性を有する
ことが知られている材料から選択してもよい。その材料
としては、例えば、鉛、錫、カドミウム、アンチモン、
ビスマス、インジウム、およびこれらの金属の合金を挙
げることができる。
【0012】 前記表面層は、残りの被膜マトリックスに亘って存在
する分散相の組成とは異なる組成を有していてもよい。
例えば、被膜中の分散相が鉛から成る場合には、前記犠
牲表面層は、耐腐食性を強化するために、インジウムあ
るいは錫を含む鉛合金であってよい。
【0013】 前記被膜マトリックスは、アルミニウム、銅、または
銀から成っていてもよく、またある種の場合には、例え
ば、アルミニウム−シリコン−銅の様な金属をベースに
した合金であってもよい。
【0014】 例えば、被膜が、分散した錫相を有するアルミニウム
・マトリックス材料から成っていて、被膜が鉛入りの青
銅合金に被着されている場合には、境界面において厚さ
約2マイクロメーターの実質的に純粋なアルミニウムの
境界層を含んでいてもよく、この境界層の近くにおいて
錫が約10重量%のアルミニウムであり、表面層側では約
50重量%の錫を含むアルミニウムとなり、被着の全体厚
さが約22マイクロメーターであり、実質的に純粋な錫か
ら成る厚さ約3マイクロメーターの犠牲表面層を有して
いてよい。
【0015】 好ましくは、被膜の微細組織(マイクロ組織)は、一
般的には等軸結晶粒を含む。
【0016】 前記上張り層被膜は、どの様な場合においても、被膜
の組成を制御するために便利な方法である陰極スパッタ
リング法によって被着することができ、また、この方法
は既知の技術によって自動的なプログラム制御をし易
く、純粋なマトリックス金属の境界層や、連続可変性の
ある被膜組成や、純粋な第2材料の表面層は、単一操作
によって被着することができる。
【0017】 本発明をより完全に理解できるようにするために、添
付図面を参照することによって、例示的に実施例を説明
することにする。 図1を見ると、軸受の一部の断面が示されており、こ
れは綱製裏金10と、鉛入り青銅層12と、本発明による被
膜14とから成っている。被膜14は、アルミニウムと錫か
ら成る複合材料であり、鉛入り青銅層12との境界18と隣
接する実質的に純粋なアルミニウムから成る厚さ約2マ
イクロメーターの第1層16を有する。第1層16に隣接し
て、錫粒子24を分散させたアルミニウム・マトリックス
22を有する中間層20が存在する。この中間層は、第1層
16の隣接部では、錫約10重量%を含むアルミニウムにな
っており、錫の含有量は一定割合で増加し、約22マイク
ロメーターの厚さ位置では、約錫約50重量%を含むアル
ミニウムになっている。被膜14は、表面層26として、厚
さ約2マイクロメーターの実質的に純粋な錫層を有す
る。
【0018】 図1における被膜の理想的な組成が図2に示されてい
る。錫含有量が段階的に増加する性質は、スパッタリン
グ装置を用いて手動制御によって得られる。実際には、
制御パラメータを変化させても組成突然が変わらなけれ
ば、錫含有量の変化が更に滑らかになる。
【0019】 図3は、中間層20の厚さの約半分に亘って約40重量%
の錫が保持されている場合における、被膜の厚さに亘っ
た錫の異なった分布を示している。陰極スパッタリング
法によって、特定のエンジンの組成と構造に関する要請
に対して被膜層を調整してもよい。
【0020】 図1および図2における被膜は以下の方法によって作
られる。
【0021】 3つのターゲット、すなわち2つのアルミニウムと1
つの錫を陰極スパッタリング装置の室内に配置した。前
記室の圧力を6.75×10-6トール(8.9×10-9気圧)まで
下げ、次に純粋なアルゴンを注入することによって8ミ
リトール(1.05×10-5気圧)まで上昇させた。鋼製裏金
を有する鉛入り青銅製軸受をスパッタリング浄化のため
に、70℃に維持された回転可能な支持治具の中に配置
し、この間、軸受表面温度は約150℃であった。この軸
受の支持治具に対して3000ボルトの直流バイアス電圧を
加え、500ミリアンペアの電流が流れ、支持治具を毎分
1回転で回転させながら15分間スパッタリング浄化を行
なった。軸受をスパッタリング浄化している間は、すべ
てのターゲットのシャッターを閉じた。スパッタリング
浄化を10分間行なった後、2つのアルミニウムのターゲ
ットの各々に、440ボルト、17.5アンペアを加え、合計
で15.4キロワットの入力が与えられた。5分後に、支持
ジグに対するバイアス電圧を500ボルトに下げ、アルミ
ニウムのターゲット・シャッターを開くと、軸受表面に
5分間で厚さ2マイクロメーターの純粋なアルミニウム
層が被着された。純粋なアルミニウムが被着し始めたと
きに、1つの錫ターゲットに490ボルト、4.5アンペアが
加えられ、2.2キロワットが入力された。この様にして
錫ターゲットは、そのシャッターを閉じて浄化された。
次に、錫ターゲットに加えられる入力を425ボルト、0.4
7アンペアの0.2キロワットにまで下げ、次に、錫ターゲ
ットのシャッターを開いた。残りの被着時間の間に、支
持治具のバイアス電圧を100ボルトに下げた。支持体を
回転し続け、各ターゲットに対する入力を5分毎に調節
し、第2図に示すような段階的な錫含有特性を作り出し
た。最終的には、中間層が完成すると、アルミニウムの
ターゲットに対するシャッターを閉じ、残りの錫の表面
層沈積時間の間ターゲットに対する入力を遮断した。図
2に示された被膜層の組成は、2〜22マイクロメーター
の厚さでは比較的均等な割合で錫含有率が変化してお
り、一方、図3に示された被膜層は、約15〜24マイクロ
メーターでは、一定の組成が保たれている。この様に、
陰極スパッタリング法を用いることによって、被膜層の
組成と構成とは、特定のエンジン型式によって示される
特定の特性に合わせるように調整することができる。
【0022】 図に示した被膜層の疲労強さは、既知の「サファイ
ヤ」疲労・摩耗試験機で測定された。スパッタリング法
によって被着された被膜層は、平均強度107MPaを示し、
これは3σ限度においては130MPa程度に高い強度の領域
を示している。サファイヤ試験機の最大負荷容量が117M
Paであって、この負荷においては多数の試験サンプルが
疲労していなかったことに注意しなければならない。従
って、実際の平均強度は、重要なことに、107MPaを超え
る。比較のために言うと、従来形の電気メッキによる鉛
入り被膜層の組成は、代表的には、厚さ約25マイクロメ
ーターにおいて平均強度約61MPaを有しており、最大疲
労強度87MPaを示す。本発明による被膜層は、従って、
従来形の電気メッキによる鉛入り合金に勝る相当な特性
上の長所を示す。
【0023】 サファイヤ試験機による耐摩耗性の測定結果による
と、スパッタリング法による層は、電気メッキによる鉛
入り被膜層の耐摩耗性のほぼ2倍にもなることが示され
ている。従って、加速的な摩耗試験機における初期の試
験の後でのmm3/時で表した体積損失率は、 鉛−インジウム7 0.012 鉛−錫10 0.009 鉛−錫10−銅2 0.007 アルミニウム−錫40 0.005 であった。
【0024】 ターボチャージ式の大型ディーゼルエンジンにおける
試験では、本発明の被膜層は、電気メッキによる鉛入り
被膜層よりもキャビテーション腐食の傾向がより少なく
なっていることが判る。 図面の簡単な説明
【図1】 本発明による被膜を被覆した軸受の断面の概略図。
【図2】 図1に示した実施例における被膜組成の変化の概括的グ
ラフ。
【図3】 本発明による被膜の他の実施例のグラフ。
【符号の説明】
10 鋼製裏金 12 鉛入り青銅層 14 被膜 16 第1層 18 境界 20 中間層 22 アルミニウム・マトリックス 24 錫粒子 26 表面層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 イーストハム,デビッド,レイモンド イギリス国 エッチピー3 0キューダ ブリュ ハートフォードシャー,ヘメル ヘムプステッド,ボビンドン,ディン モアー 47 (72)発明者 ポウプ,アラン,デビッド イギリス国 シーブイ21 1ジェイエッ クス,ラグビィ,ブラウンソーバー,ダ ーウェント クロース 74 (56)参考文献 特開 昭63−125822(JP,A) 特開 昭63−199922(JP,A) 実開 昭63−109023(JP,U)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】強力な裏金材(10)を有し、その上に、軸
    受材料層(12)と上張り被膜(14)を有するジャーナル
    軸受において、 前記軸受材料層の上に形成された前記上張り被膜が第1
    材料(22)を含み、該第1材料(22)は、被膜マトリッ
    クスを構成するとともに第2材料(24)から成る分散相
    を有し、 前記軸受材料層(12)が、銅合金と、アルミニウム合金
    と、銀合金とから成る群から選択される材料から成り、 前記上張り被膜の前記第1材料(22)が、アルミニウ
    ム、銅、銀、アルミニウム合金、銅合金および銀合金か
    ら成る群から選択され、 前記上張り被膜の前記第2材料(24)が、鉛、錫、カド
    ミウム、アンチモン、ビスマス、インジウム、およびそ
    れらの合金から成る群から選択され、 前記上張り被膜は、陰極スパッタリングによって被着さ
    れたものであって等軸結晶粒組織を有し、前記第2材料
    から成る前記分散相は、前記軸受材料層と前記上張り被
    膜との間の境界面(18)において相対的に低い含有量
    で、前記上張り被膜の表面において相対的に高い含有量
    であり、また該分散相の含有量が、前記境界面から前記
    上張り被膜の表面に向かって連続的に変化しており、か
    つ 前記上張り被膜の全厚さが、10〜50マイクロメーターの
    範囲にあることを特徴とするジャーナル軸受。
  2. 【請求項2】下位にある前記軸受材料層との境界に近い
    位置における前記上張り被膜が、厚さ3マイクロメータ
    ー以下の実質的に純粋なマトリックス材料層を有するこ
    とを特徴とする請求項1に記載されたジャーナル軸受。
  3. 【請求項3】前記実質的に純粋なマトリックス材料層の
    厚さが0.1〜2マイクロメーターの範囲にあることを特
    徴とする請求項2に記載されたジャーナル軸受。
  4. 【請求項4】前記上張り被膜の全厚さが、15〜40マイク
    ロメーターの範囲にあることを特徴とする請求項1から
    請求項3までのいずれか1項に記載されたジャーナル軸
    受。
  5. 【請求項5】前記上張り被膜の表面が、厚さ0.1〜5マ
    イクロメーターの実質的に純粋な前記第2材料から成る
    層を有することを特徴とする請求項1から請求項4まで
    のいずれか1項に記載されたジャーナル軸受。
  6. 【請求項6】前記上張り被膜の表面が、厚さ1〜3マイ
    クロメーターの実質的に純粋な前記第2材料から成る層
    を有することを特徴とする請求項5に記載されたジャー
    ナル軸受。
  7. 【請求項7】前記上張り被膜が、錫から成る分散第2相
    を有するアルミニウム・マトリックスを含むことを特徴
    とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載
    されたジャーナル軸受。
  8. 【請求項8】下位にある前記軸受材料層との境界に近い
    位置における前記上張り被膜の組成が錫10重量%を含む
    アルミニウムであり、前記表面または表面層に近い位置
    の組成が錫50重量%を含むアルミニウムであることを特
    徴とする請求項7に記載されたジャーナル軸受。
JP50916390A 1989-07-03 1990-06-18 ジャーナル軸受 Expired - Fee Related JP3262327B2 (ja)

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AT (1) ATE123078T1 (ja)
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