JP3463514B2 - ハイブリッド電気自動車の発電機制御装置 - Google Patents
ハイブリッド電気自動車の発電機制御装置Info
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Description
エンジン発電機とを搭載し、電池の充電率が低下して来
た時、エンジン発電機での発電を行うハイブリッド電気
自動車の発電機制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】モータで駆動輪を回転する電気自動車
は、排気ガスの少ない低公害車として知られている。し
かし、モータの電源として電池のみを搭載していたので
は、長距離を走行することは出来ない。そこで、電源と
して電池の他にエンジン発電機をも搭載した、いわゆる
ハイブリッド電気自動車がある。このようなハイブリッ
ド電気自動車では、走行中に排気ガスを出来るだけ排出
しないようにするため、電池充電率が第1の所定値(=
発電開始充電率)に低下するまでは電池のみで走行す
る。第1の所定値に低下すれば、エンジン発電機での発
電を開始して、モータへの給電を行うと共に電池にも給
電する。充電率が上昇して第2の所定値(=発電停止充
電率)に達すると、発電を停止する。 【0003】(発電機による電池充電)図3は、上記の
ように発電制御される従来のハイブリッド電気自動車に
おける電池充電率の変化を示す図である。横軸は走行距
離(Km)を表し、縦軸は電池充電率(%)を表す。当
初の電池充電率は100%であるとしている。通常、電
気自動車の電池は、安価な深夜電力を利用して夜間に充
電される。最初は電池のみで走行するから、電池充電率
は100%から低下する一方である。 【0004】電池充電率が発電開始充電率S0 まで低下
すると、エンジン発電機での発電が開始される。発電電
力は、モータへ送られると共に電池を充電するので、電
池充電率は次第に上昇してゆく。電池充電率が発電停止
充電率(S0 +α)まで上昇すると、発電は停止され
る。電池のみで走行していて、再び発電開始充電率S0
まで低下すると、発電が再開される。以後、これを繰り
返しつつ走行するので、電池充電率は、発電開始充電率
S0 と発電停止充電率(S0 +α)の間をのこぎり歯状
に変化する。 【0005】発電開始充電率S0 は例えば70%に設定
され、発電停止充電率(S0 +α)は例えば72%(α
=2%)に設定される。70%という電池充電率は比較
的高い値であるが、このように高い値に設定される理由
は、電池の充電時,放電時におけるエネルギー損失を出
来るだけ少なくするためである。なぜなら、電池の内部
抵抗は電池充電率が高いほど小さく、同じ電流を充電,
放電しても、電池充電率が高いと内部抵抗による電力損
失が少なくなるからである。これは、電池の寿命を長く
することにもつながる。 【0006】αは発電制御幅であるが、これは比較的狭
く設定されている。その理由は、車両駆動用のモータに
供給する電力は、発電機から直接供給する分を多くし、
一旦電池に充電したものを取り出してモータに供給する
というように、電池の充放電を経て間接的に供給する分
は、なるべく少なくするためである。間接的に供給する
分を少なくすれば、電池の寿命を長くすることが出来
る。なお、SMAX は、走行中において行って良い充電の
限界を示す電池充電限界率であり、この値は、電池が過
充電となるのを防止するという観点から定められている
(例、SMAX =80%)。電池充電限界線は、電池充電
限界率SMAX のラインである。 【0007】(回生制動による電池充電)このようなハ
イブリッド電気自動車では、車両に制動をかける場合、
車両駆動用のモータを発電機として運転することによ
り、制動することがある(いわゆる回生制動)。回生制
動により得られる回生電力は、電池を充電するのに用い
られる。回生電力による充電により、充電率が電池充電
限界率SMAX に達すると、充電は停止され、回生電力は
電気抵抗に流され、熱として消費される。 【0008】回生電力を出来るだけ熱として消費するこ
となく充電にまわすようにすれば、発電機による充電を
少なく出来、燃費の向上,大気汚染の低減等になる。回
生電力により充電率を上昇出来る幅は、図3を見れば理
解されるように、最大で発電開始充電率S0 から電池充
電限界率SMAX までである。以下、この最大幅を説明の
便宜上、「回生電力吸収幅」ということにする。S0 =
70%,SMAX =80%とすると、回生電力吸収幅=1
0%である。平坦な道路を走行している場合の回生制動
では、充電率を10%以上も上昇させる程の回生電力が
得られることは稀であり、10%の回生電力吸収幅が設
けてあれば、回生電力を熱として消費してしまうことは
なく、殆ど電池に回収することが出来る。 【0009】しかし、長い峠を越えるような場合には、
降坂時に長時間にわたって回生制動が行われるので、電
池充電限界線に達する充電が途中で行われてしまい、そ
の後は放熱により回生電力を捨ててしまわざるをえない
ことがあった。一方、登坂時には、モータは平坦路を走
行する場合よりも多くの電力を必要とするので、電池の
充電率はたちまち低下し、所定の発電開始充電率S0 に
引き上げるべく、発電機を長時間にわたって運転しなけ
ればならなかった。当然、燃費も悪く、排気ガスも多く
なる。 【0010】そこで、降坂時で得られる豊富な回生電力
を有効に利用するため、カーナビゲーションを搭載した
ハイブリッド電気自動車につき、次のような提案がなさ
れている(特開平8−322107号公報)。これは、
まず現在地から目的地までの道路情報(どこにどの程度
の坂が有り、どこからどこまでは平坦路だといった情
報)を、カーナビゲーションから得る。次に、それに基
づき、途中で電池が過放電になったり過充電になったり
しないよう考慮して、発電機制御パターンを作成する。
そして、そのパターンに沿って発電機を制御するという
ものである。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】 (問題点)しかしながら、前記した特開平8−3221
07号公報の技術には、次のような問題点があった。第
1の問題点は、カーナビゲーション装置を搭載した車両
にしか適用することが出来ないという点である。第2の
問題点は、カーナビゲーション装置が故障したら、制御
不能に陥るという点である。 【0012】(問題点の説明)カーナビゲーション装置
を設けることが必須とされるが、それを設けるとなると
コストが高くなってしまう。また、カーナビゲーション
装置からの道路情報に基づいて発電機制御パターンを作
成するので、カーナビゲーション装置が故障すると、発
電機制御パターンを作成することが出来ず、目的とする
制御は不能となってしまう。本発明は、以上のような問
題点を解決することを課題とするものであり、カーナビ
ゲーション装置を必要とすることなく、現に走行してい
る状況より、将来得られるであろう回生エネルギーを予
測し、回生エネルギーを出来るだけ多く有効利用しよう
とするものである。 【0013】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明では、電池充電率が発電開始充電率に低下し
た時に発電開始され、該発電開始充電率より所定の充電
率だけ高い発電停止充電率に上昇した時に発電停止され
るエンジン発電機を搭載したハイブリッド電気自動車の
発電機制御装置において、車速センサと、アクセルスト
ロークセンサと、車両駆動用モータの消費電力または回
生電力を算出する手段,前記消費電力と車速を基に登坂
の勾配を算出する勾配算出手段,登坂時の勾配,車速,
積載重量を基に今後降坂完了までに得られる回生エネル
ギーである積算回生エネルギーを予測する手段,および
該積算回生エネルギーで充電したとした場合の電池充電
率上昇分を求め、発電開始充電率の値として許容される
上限,下限の範囲内で、該電池充電率上昇分だけ発電開
始充電率を低く変更する手段とを有する車両コントロー
ラとを具えることとした。 【0014】(解決する動作の概要)車両が登坂する時
には、車両駆動用モータの消費電力や車速を基に登坂の
勾配を求め、降坂完了までに得られると予測される積算
回生エネルギーを算出する。そして、エンジン発電機の
発電開始充電率を、前記積算回生エネルギーで充電した
とすれば上昇するであろうと思われる電池充電率だけ低
い値に、設定変更する。このようにすれば、登坂時には
発電開始充電率が低くされ、多量の回生充電を受け入れ
得る状態とされる。そのため、降坂時になって回生エネ
ルギーが多量に発生して来た場合、その多くを受け入れ
ることが出来、抵抗で放熱して消費する分を少なくする
ことが可能となる。即ち、降坂時の回生エネルギーを効
率よく回収することが出来る。また、回収したエネルギ
ーが多くなるため、エンジン発電機を発電する期間が少
なくて済み、燃費の向上,大気汚染の低減という効果も
奏する。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。図1は、本発明のハイブリッ
ド電気自動車の発電機制御装置を示す図である。図1に
おいて、1はエンジン発電機、2はエンジン、3は発電
機、4はエンジンコントローラ、5は発電コントロー
ラ、6は整流器、7は電池、8は電流検出器、9はイン
バータ、10はモータ、11は車速センサ、12は駆動
輪、13は差動装置、14は車両コントローラ、14A
は演算装置、14Bは車両走行性能マップ、14Cは降
坂時モータ回生入力マップ、15は電圧検出配線、16
はアクセルストロークセンサである。モータ10は車両
駆動用であるが、制動時に発電機として運転すれば、回
生電力を得ることが出来る。 【0016】エンジン発電機1は、エンジン2と発電機
3とより構成され、発電された交流電圧(3相)は整流
器6で整流される。インバータ9は、電池7または整流
器6からの直流電圧を、交流電圧(3相)に変換する。
回生時には、発電機として運転されるモータ10の交流
発電電圧を直流電圧に変換する。モータ10はインバー
タ9からの交流電圧で回転され、その回転力は、差動装
置13を介して駆動輪12に伝えられる。 【0017】エンジンコントローラ4,発電コントロー
ラ5は、それぞれエンジン2,発電機3を制御する。イ
ンバータ9の直流側への電圧および電流は、電圧検出配
線15や電流検出器8により検出され、車両コントロー
ラ14へ送られる。なお、図示はしてないが、電池7を
出入する電流を検出する手段も設置され、その検出電流
は電池充電率を求めるのに用いられる。アクセルストロ
ークセンサ16は、アクセルペダルの踏み込みストロー
クを検出し、その検出信号は車両コントローラ14へ送
られる。検出されて来るストロークが一定であれば、定
速で走行していると判断することが出来る。 【0018】車両コントローラ14は、コンピュータ的
に構成されており、演算装置14Aの他にメモリ(図示
せず)等を有している。車両コントローラ14は、電流
検出器8,電圧検出配線15で検出されて来る電圧,電
流によって、モータ消費電力や回生電力を算出すること
が出来る。 【0019】なお、「車両情報」は、前記した検出信号
以外の車両情報(例、アクセルセンサからの信号等)を
まとめて表したものである。車両コントローラ14は、
それらの情報に従い、所望の走行を行うべく、インバー
タ9およびモータ10等に対して制御信号を発する。車
両コントローラ14には、予め車両走行性能マップ14
B(図5参照)や降坂時モータ回生入力マップ14C
(図6参照)が記憶させてある。これらのマップについ
ては後で詳細に説明する。 【0020】図1のハイブリッド電気自動車の発電機制
御装置の動作の概要は、次の通りである。ドライバーに
より走行開始操作が行われると、車両コントローラ14
よりインバータ9,モータ10へ制御信号が送られ、電
池7からの給電によりモータ10が駆動され、走行が開
始される。走行している内に、電池充電率が発電開始充
電率にまで低下すると、車両コントローラ14はエンジ
ンコントローラ4,発電コントローラ5へ指令を送り、
エンジン2を始動して発電を開始する。発電電力は、電
池7の充電に使われる他、モータ10の駆動に使われ
る。電池充電率が発電停止充電率まで上昇すると、エン
ジン2が停止され、発電は停止される。モータ10の駆
動は、再び電池7によって行われる。 【0021】本発明では、走行する道路の勾配により発
電開始充電率を変更する。なお、発電停止充電率は、発
電開始充電率より所定の発電制御幅αだけ高い値とされ
るから、発電開始充電率が変更されると、それに伴って
発電停止充電率も変更されることになる。即ち、登坂路
を走行している時には、徐々に発電開始充電率を低下さ
せる。但し、発電開始充電率下限値を設定しておき、そ
れ以下には低下させない。逆に、降坂路を走行している
時には、徐々に発電開始充電率を上昇させる。但し、発
電開始充電率上限値を設定しておき、それ以上には上昇
させない。なお、発電開始充電率上限値は、平坦路での
発電開始充電率S0 と等しくしておいてもよい。 【0022】図2は、走行路変化と本発明における電池
充電率の変化を示す図である。符号は図3のものに対応
しており、SB は発電開始充電率、(SB +α)は発電
停止充電率である。図2(イ)は、走行路が、区間Aは
平坦路,区間Bは登坂路,区間Cは平坦路,区間Dは降
坂路,区間Eは平坦路と変化していることを表してい
る。図2(ロ)は、そのような区間を走行する場合の、
本発明における電池充電率の変化を表している(なお、
図3では走行開始当初の変化(100%から低下する部
分)も表しているが、図2ではその部分は表していな
い)。 【0023】本発明は、走行状況より現に走行している
走行路がどのようなものであるかを判断し、それによっ
て発電開始充電率を変更し、回生エネルギーを出来るだ
け無駄にすることなく回収しようとするものであり、そ
の特徴は、発電開始充電率をどのようにして変更するか
という点にある。以下、その変更の仕方について説明す
る。図4は、本発明における発電開始充電率の変更の仕
方を説明するフローチャートである。 ステップ1…車速センサ11より、現在の車速を読み込
む。 ステップ2…定速運転かどうか判断する。これは、アク
セルストロークセンサ16からの信号が、一定かどうか
によって判断する。もちろん、振動等による微小な変化
には影響されないよう、それらを吸収する信号処理はし
ておく。 【0024】ステップ3…インバータ9の直流側の電
圧,電流の検出信号を読み込む。これは、電圧検出配線
15,電流検出器8より読み込む。なお、電流は、流れ
る方向も検出する。 ステップ4…検出した電圧,電流より、電力を計算す
る。この電力は、電流がインバータ9に向かう方向に流
れている場合(つまり、電池7または発電機3から供給
されている場合)は、モータ10を駆動するのに消費さ
れる電力であり、逆方向の場合(インバータ9から流れ
出て来る場合)は、回生電力である。モータ10を駆動
する場合の電流の向きを「正」、逆向きを「負」として
計算すると、消費電力はプラスの電力、回生電力はマイ
ナス電力として計算される。 【0025】ステップ5…登坂しているかどうか判断す
る。この判断は、車両走行性能マップ14Bを参照して
行う。車両走行性能マップ14Bは、図5に示すような
車両走行性能をマップにしたものである。まず、図5に
ついて説明する。これは或る車両の走行性能を表す図で
あり、横軸は車速(Km/h),縦軸は駆動力(N:ニ
ュートン)である。曲線イ〜ヘは、それぞれ勾配0〜3
0%の坂を登る時に、この車両が必要とする駆動力を表
している。例えば、車速V1 で勾配0%(つまり、平坦
路)を走行するのに必要な駆動力はN0 である(図中の
点P0 は、車速V1 に対応する曲線イ上の点である)。
なお、公知のように、駆動力とモータ消費電力と車速と
の間には、次のような関係がある。 モータ消費電力=(駆動力)×(車速) 【0026】登坂中か否かの判断は、次のようにして行
う。ステップ4で計算した電力がモータ10を駆動する
電力(プラスの電力)であり、その電力をステップ1で
検出した車速(それを今V1 とする)で除すと駆動力が
求められるが、その値を今N1 とすると、このN1 が前
記N0 より大の場合に「登坂」中と判断する。図5中に
(V1 ,N1 )の位置にとった点をP1 として表すと、
点P1 は点P0 より上方に位置する。また、この点P1
の位置より、登坂路の勾配を求めることが出来る。図5
では、勾配を5%間隔というように粗い間隔でとった曲
線しか示していないが、車両走行性能マップ14Bを、
細かい間隔でとった曲線に相当する値を含むマップとし
ておけば、勾配を精度よく求めることが出来る。 【0027】ステップ6…登坂していると判断された場
合には、降坂時に得られる回生電力を予測する。この回
生電力は、ステップ5で検出された勾配と同じ勾配の坂
を下る場合に、駆動輪12からモータ10に与えられる
エネルギー(これを、便宜上「降坂時モータ回生入力」
ということにする)をまず求め、これに対して、モータ
10,インバータ9等での損失分だけ減じる補正を施す
ことにより求められる。即ち、その補正をする係数を第
1補正係数H1 とすると、 降坂時での回生電力=(降坂時モータ回生入力)×(第
1補正係数H1 ) で求められる。 【0028】降坂時モータ回生入力は、降坂時モータ回
生入力マップ14Cによって求める。降坂時モータ回生
入力マップ14Cは、図6に示すような降坂時モータ回
生入力と車速,勾配の関係を、マップにしたものであ
る。まず、図6について説明する。これは、或る車両が
車速V1 で降坂している時のモータ10への回生入力を
示す図であり、横軸は下り坂の勾配(%),縦軸は降坂
時モータ回生入力(KW)である。曲線a〜cは、それ
ぞれ積載重量がT1〜T3 トンの場合を表している。例
えば、点Qに注目すれば、T2 トンの重量の荷物を積
み、勾配K1 の坂を車速V1 で下っている場合には、降
坂時モータ回生入力はM1 と求められる。これに第1補
正係数H1 を乗じたものを、降坂時での回生電力の予測
値とする。図6では、1つの車速(V1 )で、積載重量
が3種類(T1 ,T2 ,T3 )の場合についての関係し
か示していないが、降坂時モータ回生入力マップ14C
には、多くの車速,多くの積載重量の場合についての関
係を具えさせておく。 【0029】ステップ7…ステップ5で登坂でないとい
う場合には、回生制動中か否かを判断する。これは、イ
ンバータ9の直流側の電流の向きで判断する。インバー
タ9から流れ出て来る向きであれば、回生制動中であ
る。なお、回生制動中でなければ、そのままステップ9
へ進む。 ステップ8…回生制動中の場合には、次のようにして回
生電力を計算する。 回生電力=(ステップ4で計算した電力)×(第2補正
係数H2 ) ただし、第2補正係数H2 は、電池7を充電する場合の
充電損失分だけ減ずる補正をするための係数である。 【0030】ステップ9…今から降坂完了までに得られ
る回生エネルギー(つまり、積算回生エネルギー)を予
測する。これは、次の式で予測出来る。 EA =EF +W6 ×Δt+(−W8 )×Δt 但し、EA =今回計算する積算回生エネルギー EF =フローチャートが前回流された時に計算した積算
回生エネルギー W6 =ステップ6で求めた回生電力(将来の降坂時に回
生されるであろうと予測される電力) −W8 =ステップ8で求めた回生電力(現に回生が行わ
れている電力である。従って、前回の計算で予測した積
算回生エネルギーより、この分を差し引く必要がある。
そのため、符号はマイナスとされる。) Δt=前回フローチャートが流されてから今回流される
までの時間(W6,W8 の単位はキロワットであり、こ
れにΔt時間を乗ずることにより、前回フローチャート
が流れた後のエネルギー量が求められる。即ち、W6 に
ついて言えば、今登坂している勾配の坂をΔt時間下る
とした場合に予測される回生エネルギーが求められる。
W8 について言えば、前回フローチャートが流された時
から今回流されるまでの間に回生された回生エネルギー
が求められる。) 【0031】ステップ10…発電開始充電率を新しく設
定変更するに先立ち、その新発電開始充電率の候補値S
X を、次のようにして計算する。 但し、EA =積算回生エネルギー(ステップ9で計算し
た値) S0 =平坦路を走行する際の発電開始充電率 H3 =第3の補正係数(回生エネルギーが、モータ1
0,インバータ9を経て電池7に充電されるまでに生ず
る損失分だけ減じるよう補正する係数) この計算は、将来(降坂する時に)期待できる回生エネ
ルギーが、電池充電率何%に相当するかを求め、それを
無駄なく電池に回収するためには、その%だけ平坦路走
行時の発電開始充電率S0 より低い値を候補値としてお
く必要があるという考え方に立って行ったものである。 【0032】ステップ11…算出した新発電開始充電率
候補値SX が、予め設定してある発電開始充電率下限値
より小かどうか調べる。将来、いくら多くの回生エネル
ギーが期待できるといっても、その回生エネルギーが実
際に得られる時期迄に、何らかの事情により車両を加速
したりする必要があるかも知れない。そのような場合に
は、電池からの給電が必要とされる。従って、それに備
えて、発電開始充電率には下限値を設定するが(例、下
限値=50%)、その下限値と比較する。。 ステップ12…新発電開始充電率候補値SX が下限値よ
り小である場合には、新発電開始充電率としてはその下
限値の方を採用する。 【0033】ステップ13…算出した新発電開始充電率
候補値SX が、平坦路での発電開始充電率S0 (例、S
0 =70%)より大かどうか調べる。これは、発電開始
充電率S0 を上限値としていることに他ならないが、既
に述べたように、発電開始充電率S0 は、平坦路での回
生制動による充電があっても、電池充電限界率SMAXを
超えないよう考慮して定めてあるから、通常、これを上
限値とするのが妥当である(しかし、必ずしも上限値を
これと等しい値にしなくともよい。何らかの特別の考慮
の下に、別の値を上限値とすることも可能である。)。 ステップ14…S0 より大であれば、S0 を新発電開始
充電率とする。 ステップ15…算出した新発電開始充電率候補値S
X が、前記した上限値と下限値との間の値であった場合
には、SX を新発電開始充電率として設定する。以上の
ように、ステップ12,13,15により新発電開始充
電率が設定されるわけであるが、それに伴い発電停止充
電率は、新発電開始充電率より所定の発電制御幅αだけ
高い値に設定される。 【0034】なお、図6で、積載重量T1 トンが最も軽
く、積載重量T3 トンが最も重いとした場合で、両者の
曲線a,cの差があまりないようであれば、簡略化のた
め、その中間の重量(平均積載重量)の場合1つで全体
を代表させてしまってもよい。多少精度は落ちるが、降
坂時モータ回生入力マップ14Cを簡単なものとするこ
とが出来る。 【0035】 【発明の効果】以上述べた如く、本発明のハイブリッド
電気自動車の発電機制御装置によれば、車両が登坂する
時には、降坂完了までに得られる積算回生エネルギーを
予測し、その積算回生エネルギーで充電したとすれば上
昇するであろうと思われる電池充電率だけ低い値に、エ
ンジン発電機の発電開始充電率を設定変更する。これに
より、降坂時になって回生エネルギーが多量に発生して
来ても、その多くを電池の充電という形で受け入れるこ
とが出来、抵抗で放熱して消費してしまう分を少なくす
ることが可能となる。即ち、降坂時の回生エネルギーを
出来るだけ無駄なく回収でき、エンジン発電機を発電す
る期間が少なくて済むので、燃費の向上,大気汚染の低
減という効果を奏する。また、カーナビゲーション装置
からの道路情報に基づいて発電機制御するものではない
ので、カーナビゲーション装置は不用であり、コストが
安くなる。当然のことながら、カーナビゲーション装置
が故障しても、制御不能に陥る等ということもない。
御装置を示す図 【図2】 走行路変化と本発明における電池充電率の変
化を示す図 【図3】 従来のハイブリッド電気自動車における電池
充電率の変化を示す図 【図4】 本発明における発電開始充電率の変更の仕方
を説明するフローチャート 【図5】 車両走行性能を示す図 【図6】 降坂時モータ回生入力を示す図 【符号の説明】 1…エンジン発電機、2…エンジン、3…発電機、4…
エンジンコントローラ、5…発電コントローラ、6…整
流器、7…電池、8…電流検出器、9…インバータ、1
0…モータ、11…車速センサ、12…駆動輪、13…
差動ギヤ、14…車両コントローラ、14A…演算装
置、14B…車両走行性能マップ、14C…降坂時モー
タ入力マップ、15…電圧検出配線、16…アクセルス
トロークセンサ
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 電池充電率が発電開始充電率に低下した
時に発電開始され、該発電開始充電率より所定の充電率
だけ高い発電停止充電率に上昇した時に発電停止される
エンジン発電機を搭載したハイブリッド電気自動車の発
電機制御装置において、車速センサと、アクセルストロ
ークセンサと、車両駆動用モータの消費電力または回生
電力を算出する手段,前記消費電力と車速を基に登坂の
勾配を算出する勾配算出手段,登坂時の勾配,車速,積
載重量を基に今後降坂完了までに得られる回生エネルギ
ーである積算回生エネルギーを予測する手段,および該
積算回生エネルギーで充電したとした場合の電池充電率
上昇分を求め、発電開始充電率の値として許容される上
限,下限の範囲内で、該電池充電率上昇分だけ発電開始
充電率を低く変更する手段とを有する車両コントローラ
とを具えたことを特徴とするハイブリッド電気自動車の
発電機制御装置。
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