JP2004064840A - 蓄電システムの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の所要制駆動力を満たす範囲内で、駆動モータの制動時に得られる回生エネルギーが最大限に充電できるようにする。
【解決手段】蓄電システムの制御装置は、車両走行用の駆動モータ(3)へ電力を供給するために2つの蓄電装置(6、8)を備えている。コントローラ(20)は、駆動モータ(3)の制動時に得られる回生エネルギーを算出し、車両の所要制駆動力を実現するために必要な蓄電システムの入出力電力を算出する。そして、入出力電力を満たす範囲内で充電可能な回生エネルギーが最も多くなるよう各蓄電装置(6、8)への回生エネルギー分配率を設定し、設定されたエネルギー分配率に基づき回生エネルギーを分配する。
【選択図】 図1
【解決手段】蓄電システムの制御装置は、車両走行用の駆動モータ(3)へ電力を供給するために2つの蓄電装置(6、8)を備えている。コントローラ(20)は、駆動モータ(3)の制動時に得られる回生エネルギーを算出し、車両の所要制駆動力を実現するために必要な蓄電システムの入出力電力を算出する。そして、入出力電力を満たす範囲内で充電可能な回生エネルギーが最も多くなるよう各蓄電装置(6、8)への回生エネルギー分配率を設定し、設定されたエネルギー分配率に基づき回生エネルギーを分配する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
車両走行用の駆動モータへ電力を供給する少なくとも2種類の蓄電装置を備えた蓄電システムの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−136808号は、バッテリと電気二重層コンデンサの2つの蓄電装置を含むハイブリッド車両用蓄電システムを開示している。この蓄電システムでは、駆動モータの制動時に得られる回生電力を、まずパワー密度の高い(=内部抵抗が小さい)電気二重層コンデンサに充電し、その後、電気二重層コンデンサから小電力でエネルギー密度の高いバッテリに再充電する。
【0003】
これにより、バッテリが苦手とする大電力の充電をそれを得意とする電気二重層コンデンサにまかせ、のちに電気二重層コンデンサが苦手とするエネルギー量の蓄電をそれを得意とするバッテリにまかせることができ、各蓄電装置の長所を有効に活用することで蓄電システムの充電効率を向上させることができる。さらに、バッテリと電気二重層コンデンサの充電状態の範囲(以下、SOC範囲)を、車両の所要制駆動力を満たすために必要な入力電力と出力電力の双方を満たすように設定し、バッテリと電気二重層コンデンサの充電状態がこのSOC範囲に入るように充放電制御が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとしている問題点】
ところで、上記蓄電システムでは、駆動モータの制動時に得られる回生電力を充電する場合、設定されたSOC範囲内で一旦電気二重層コンデンサに充電し、後に電気二重層コンデンサに蓄電した電力をバッテリに充電する。
【0005】
しかしながら、電気二重層コンデンサはパワー密度が高く充電時に発生する電力損失が小さいものの、エネルギー密度が低く回生エネルギー全てを充電するには十分でない。このため、所要の制駆動力を満たすSOC範囲内で充電できる分を超える回生エネルギーについては、蓄電システム外で無駄に捨てなければならないという問題点があった。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の技術的課題を鑑みてなされたもので、駆動モータへの電力供給源として少なくとも2種類の蓄電装置を備えた蓄電システムの制御装置において、車両の所要制駆動力を満たすSOC範囲内で、駆動モータの制動時に得られる回生エネルギーが最大限に充電できるようにし、さらには、充電時に蓄電システムで発生する電力損失を低減することを目的とする。
【0007】
【問題点を解決するための手段】
駆動モータの制動時に得られる回生エネルギーを算出するとともに、車両の所要制駆動力を実現するために必要な蓄電システムの入出力電力を算出する。そして、この入出力電力を満たす範囲内で充電可能な回生エネルギーが最も多くなるよう各蓄電装置への回生エネルギー分配率を設定し、設定されたエネルギー分配率に基づき回生エネルギーを分配する。
【0008】
【作用及び効果】
駆動モータの制動時に得られる回生エネルギーを演算し、所要の制駆動力を満たすSOC範囲内で充電される回生エネルギーが最も多くなるよう回生エネルギーを各蓄電装置へ分配するので、蓄電システムに充電できず無駄に消費される回生エネルギーを低減することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明に係る蓄電システムの制御装置を備えたシリーズハイブリッド車両の概略構成を示している。エンジン1の出力軸には発電機2が接続されており、発電機2はエンジン1が発生する運動エネルギーを電力に変換する。また、図示しない駆動輪には車両駆動用の駆動モータ3が接続されている。
【0011】
発電機2、モータ3はそれぞれインバータ4、5に接続されており、インバータ4、5の間には電気二重層コンデンサ(第1の蓄電装置)6、昇降圧コンバータ7、バッテリ(第2の蓄電装置)8が接続されている。図中10、11は電流検出回路であり、12は電圧検出回路である。
【0012】
発電機2は、例えば3相交流の回転電機であり、3相の発電コイルの出力端子は発電機2用のインバータ4に接続される。発電機2用のインバータ4の出力端子は直流端子であり、その電圧は電気二重層コンデンサ6と等しく揃えられている。出力端子の両端は電気二重層コンデンサ6に接続されると共に、昇降圧コンバータ7に接続される。発電機2の回転軸はエンジン1に直結されており、発電機2の界磁コイルに電流を流し、エンジン1により発電機2を回転させれば、発電機2は発電する。
【0013】
駆動モータ3も発電機2と同じく3相交流の回転電機であり、駆動コイルの出力端子は駆動モータ3用のインバータ5に接続されている。駆動モータ3用のインバータ5の出力端子は直流端子であり、その電圧は電気二重層コンデンサ6と等しく揃えられている。出力端子の両端は電気二重層コンデンサ6に接続されると共に、昇降圧コンバータ7に接続されている。
【0014】
バッテリ8は、電気二重層コンデンサ6との間に設けられた昇降圧コンバータ7を制御することにより充放電を調整することができる。
【0015】
コントローラ20には、電流検出回路10、11で検出された電流値、電圧検出回路12で検出された電圧値の他、ブレーキペダルが踏み込まれたこと検出するブレーキセンサ30(制動操作検出手段)、アクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作量センサ31、車速を検出する車速センサ32、電気二重層コンデンサ6の温度を検出する温度センサ33、バッテリ8の温度を検出する温度センサ34、外部から自車位置情報を受信するナビゲーションシステム40(ナビゲーション手段)等からの信号が入力される。ナビゲーションシステム40には、車両の目的地、走行経路、走行経路における道路勾配、標高等の道路環境情報が記憶されている。
【0016】
コントローラ20は、設定された回生エネルギーのバッテリ8と電気二重層コンデンサ6への分配率を実現するように昇降圧コンバータ7を動作させる。具体的には、分配率に応じた電気二重層コンデンサ6への目標充電電力が、それ相当の電流値ICに変換され、コントローラ20は、電流検出回路11の出力I2[A]が電気二重層コンデンサ6に流れる電流IC[A]になるように昇降圧コンバータ7を制御する。
【0017】
なお、回生エネルギー以外に、発電機2からの発電電力を充電する場合には、例えばまず電気二重層コンデンサ6を充電し、満充電になったらバッテリ8に充電する方法がある。電気二重層コンデンサ6に充電する場合には、電流検出回路11の出力I2[A]がI1[A]になるように、バッテリ8に充電する場合は電流検出回路11の出力I2[A]が0[A]になるように昇降圧コンバータ7を制御する。
【0018】
一方、駆動モータ3に電力を供給する場合には、例えば必要とされる電力をまず電気二重層コンデンサ6から全面的に供給し、そこから供給できなくなったらバッテリ8から供給する。電気二重層コンデンサ6から供給する場合には、昇降圧コンバータ7により電気二重層コンデンサ6側をバッテリ8側の電圧より高い状態にすれば良く、また、バッテリ6から供給する場合には、より電気二重層コンデンサ6側をバッテリ8の開放電圧付近になるようにすれば良い。
【0019】
図2は、コントローラ20が行う回生エネルギーの分配処理の内容を示したフローチャートであり、所定の周期で繰り返し演算される。
【0020】
これによると、まず、車両の所要制駆動力を満たすために必要な蓄電システムの入力電力と出力電力を算出し(ステップS1)、設置したセンサからの出力をもとに蓄電システムの状態を検出し(ステップS2)、所要制駆動力を満たすことが可能なSOC範囲を設定する(ステップS3)。
【0021】
そして、駆動モータ3制動時に得られる回生エネルギーを算出し(ステップS4)、回生エネルギーをどのような配分でバッテリ8と電気二重層コンデンサ6に充電するかを設定し(ステップS5)、設定したエネルギー分配率が実現されるように充電制御を行う(ステップS6)。
【0022】
以下、各ステップにおける処理について詳細に説明する。
【0023】
<所要制駆動力を満たす入出力電力の算出>
まず、図2のステップS1では、車両の所要制駆動力を算出し、それを実現するために必要な蓄電システムの入力電力及び出力電力を算出する(入出力電力算出手段に対応)。運転者が要求する制駆動力はアクセル操作やブレーキ操作により時々刻々変化するが、この車両では、駆動モータ3で消費される電力は、発電機2から得られる発電電力と蓄電システムからの出力電力とで賄われる。このため、駆動モータ3の力行時に要求される出力電力はその時点の発電電力に応じて変化し、回生時に要求される入力電力は車両の速度などによって変化する。
【0024】
そこで、このステップでは、これら時々刻々と変化する入力電力と出力電力の要求に備えて蓄電システムで予め確保すべき入力電力Pchg[kW]と出力電力Pdis[kW]を固定値(例えば、Pchg=Pdis=20[kW])として設定する。なお、この値は必ずしも固定値である必要はなく、時々刻々と変化する入力電力と出力電力の要求に応じて可変としても良い。但し、この設定を可変とする場合には、回生時に駆動モータ3で発生できる制動力が蓄電システムの状態に応じて変化するため、協調回生ブレーキなど運転者の要求する制駆動力を満たすように自動的にブレーキと駆動モータ3での制動力の配分が行われる機構がある場合にのみ可変とするのが良い。
【0025】
<蓄電システムの状態の検出>
次に、図2のステップS2では蓄電システムの状態を検出する。バッテリ8と電気二重層コンデンサ6の各々に取り付けられた温度センサ33、34や、電流検出回路10、11、電圧検出回路12の出力を基に求めた充電状態(SOC)から、各々の内部抵抗や開放電圧を求める。内部抵抗と開放電圧は以下に示すテーブルを検索することにより算出することができる。これらテーブルは実験により求めた特性に基づき作成され、コントローラ20のメモリに格納されている。
【0026】
図3は、バッテリ8の充電状態SOCb[%]と内部抵抗の関係を示すテーブルである。このテーブルは、所定のバッテリ8の温度(例えば、25[℃])において、各充電状態における内部抵抗を算出したものである。また、図4は、バッテリ8の温度Tb[℃]と内部抵抗比の関係を示すテーブルである。このテーブルは、所定のバッテリの温度(例えば、25[℃])での内部抵抗を基準にとり、各温度において基準値に対する内部抵抗の比を算出したものである。これら2つのテーブルを検索して求められた値を掛け合わせれば、バッテリ8の内部抵抗Rb[Ω]を算出できる。
【0027】
同様に、電気二重層コンデンサ6についても予め実験により求めた特性をテーブルとして記憶しておくことで、電気二重層コンデンサ6の内部抵抗Rc[Ω]を算出することができる。図5に電気二重層コンデンサ6の充電状態SOCc[%]と内部抵抗の関係を示すテーブル、図6に電気二重層コンデンサ6の温度Tc[℃]と内部抵抗比の関係を示したテーブルを示す。
【0028】
図7は、バッテリ8の充電状態SOCb[%]と開放電圧Eob[V]の関係を示すテーブルであり、テーブルを検索することにより、バッテリ8の開放電圧Eobを求めることができる。また、電気二重層コンデンサ6の開放電圧Eocも図8のテーブルを検索するとことにより求めることができる。
【0029】
<SOC範囲の設定>
次に、図2のステップS3では要求制駆動力を満たすことが可能なバッテリ8と電気二重層コンデンサ6のSOC範囲を設定する。SOC範囲は、図2のステップS1で設定されている蓄電システムで予め確保すべき出力電力Pdis[kW]と入力電力Pchg[kW]を満たすよう、以下の式(1)、(2)、
【0030】
【数1】
【0031】
【数2】
【0032】
を用いて求める。
【0033】
Pdis#は各蓄電装置毎の出力可能電力を示し、バッテリ8の出力可能電力はPdisb、電気二重層コンデンサ6の出力可能電力はPdiscとなる。同様にVmin#[V]は最低電圧、EoV[V]は開放電圧、R#[Ω]は内部抵抗を示し、各蓄電装置に応じた値を設定する。また、開放電圧Eo#[V]と内部抵抗R#[Ω]の値は蓄電システム状態を検出するステップで用いたテーブルを用いて算出する。
【0034】
Pchg#は各蓄電装置の入力可能電力を示し、バッテリ8の可能出力はPchgb、電気二重層コンデンサ6の出力可能電力はPchgcとなる。Vmax[V]は最高電圧を示し、出力可能電力を算出する場合と同様に、開放電圧Eo#[V]と内部抵抗R#[Ω]の値は蓄電システム状態を検出するステップで用いたテーブルやマップを用いて算出する。
【0035】
要求制駆動力を満たすためには、バッテリ8と電気二重層コンデンサ6の出力可能電力の合計値、入力電力の合計値がそれぞれPdis[kW]、Pchg[kW]を満たせば良く、以下の式(3)と式(4)、
【0036】
【数3】
【0037】
【数4】
【0038】
の双方を満たす範囲が要求制駆動力を満たすことが可能なSOC範囲となる。
【0039】
<回生エネルギーの算出>
図9は回生エネルギーを算出するステップS4における処理の内容を示したものである(回生エネルギー算出手段に対応)。これによると、まず、ステップS11では、車速センサ32より現在の車速を読み込む。そして、ステップS12において、現在の車速とその前回値から減速中か否かを判断する。
【0040】
ステップS12で減速中であると判断された場合にはステップS13に進み、減速中の速度パターンを次式(5)、
【0041】
【数5】
【0042】
により算出する。VSPt[km/h]は時刻t[sec]における車速、VSPt−1[km/h]は時刻t[sec]の1秒前における車速を示す。
【0043】
g[m/s2]は重力加速度、iは総ギア比、ηは動力伝達効率、rD[m]はタイヤ有効半径、μrは転がり抵抗、mveh[kg]は車両総重量、μl[kN・h2/m2・km2]は空気抵抗係数、A[m2]は前面投影面積、φは車両回転部を考慮した場合の見かけの重量増加分(車両内の回転部分慣性重量を車両総重量割り算し得られる)、GRDave[deg]は登坂時の平均勾配(求め方は、後述)を示す。
【0044】
tTmg[Nm]は減速時に駆動モータで発生する目標回生トルクを示し、図10に示すテーブルを検索することにより求める。このテーブルは、各車速において、例えば一定減速度を得られるように目標回生トルクを求めても良いし、またエンジンを駆動源とする車両で減速時に発生するエンジンブレーキと同等の制動力が得られるよう求めても良い。
【0045】
式(5)の計算を回生開始時刻tstart[sec]から繰り返すことにより、車両が停止するtend[sec]までの車速パターンを得ることができる。
【0046】
ステップS14では回生エネルギーを算出する。車速VSPt[km]と駆動モータ3の回転数Nm[rpm]は、次式(6)、
【0047】
【数6】
【0048】
関係があるので、時刻t[sec]における回生電力Prg[kW]は、次式(7)、
【0049】
【数7】
【0050】
により算出する。したがって、駆動モータ3が制動を開始してから車両が停止するまでに得られる回生エネルギーErg[kJ]は、次式(8)、
【0051】
【数8】
【0052】
により求めることができる。
【0053】
ステップS15において、アクセル操作量と車速から一定速走行か否かを判断する。アクセル操作量センサ31や車速センサ32からの微小な出力変化が判断に影響しないように、センサ出力に対しては不感帯を設ける処理をしておく。ステップS15において一定走行であると判断した場合には、ステップS16において登坂時か否かを判断し、その際の勾配を求める。勾配は、図11に示すマップを検索することにより算出することができ、このマップは予め実験結果に基づき作成され、コントローラ20のメモリに記憶されている。
【0054】
図11は、車速[km/h]と、駆動モータ3用のインバータ5に流れる電流検出値[A]と、一定速走行時の勾配[%]との関係を示すマップである。インバータ5に流れる電流と駆動モータ3に与えるトルク指令値とは単調増加の関係にある。また、勾配とある車速で一定走行をするために必要な駆動モータトルクについても単調増加の関係にある。このマップは、これらの関係を示すデータを予め実験から取得することにより作成することができる。
【0055】
ステップS17おいて、ステップS16で算出した勾配と前回の一定走行で算出した勾配とから平均勾配GRDave[%]を求める。この平均勾配GRDaveの値は、車両停止時に一旦クリアされる。
【0056】
このようにして回生エネルギーが算出されるのであるが、回生エネルギーはナビゲーションシステム4から提供された道路環境情報に基づいて予測した走行パターンから回生エネルギーを算出することもできる。図12に、回生エネルギーを算出するステップS4における処理の別の例を示す。
【0057】
これによると、まず、ステップS21では、ナビゲーションシステム40によって現在の車両位置を示す座標位置(x,y)を演算する。そして、ステップS22では、運転者により入力された目的地が読み込まれる。
【0058】
ステップS23では、現在位置(x,y)とナビゲーションシステム40が有する道路情報から目的地までの誘導経路を自動的に決定し、ステップS24では、決定した誘導経路における道路情報(経路距離、経路内平均勾配、交差点位置、カーブのきつさ、標高など)を抽出する。
【0059】
ステップS25では、ステップS24において抽出した道路環境情報に基づいて、現在位置と目的地における予測車両速度pVSP[km/h]と、予測制駆動力指令値ptTd[Nm]を予測する。車両速度pVSP[km/h]の予測方法としては、誘導経路内において道路の規制速度を巡航速度として走ることを基本とし、曲がる交差点があれば、例えば減速度0.1[G]で車速がゼロになり、3秒停止後加速度0.1[G]で巡航速度に至るよう予測する。カーブ区間があれば予めカーブの曲率に応じた加減速度とカーブ通過速度に基づいて車速pVSPを予測する。インフラ(VICS等)から受信した渋滞区間にあっては、渋滞度合いに応じて渋滞度合いがひどいほど渋滞区間の平均車速が低くなるように予測する。
【0060】
また、制駆動力指令値ptTd[Nm]としては経路の車速pVSPに応じた走行抵抗分(=空気抵抗分+転がり抵抗分)の駆動力と、車両加減速度に応じた加減速分の制駆動力と、道路勾配による車両のポテンシャルエネルギー変化を実現する分の制駆動力との和の制駆動力として求められる。
【0061】
ステップS26において、ステップS25において予測した予測車両速度pVSPと予測駆動力指令値ptTdに基づいて、経路区間内での回生区間毎に駆動モータ制動時に得られる回生エネルギーQrg[kJ]を次式(9)、
【0062】
【数9】
【0063】
により算出する。iは駆動モータから車輪軸に至るまでの総減速比、rD[m]はタイヤの有効半径、tstart[sec]は回生開始時刻、tend[sec]は回生終了時刻を示す。
【0064】
なお、上記回生エネルギー算出処理において、ブレーキセンサ30によりブレーキペダルが踏み込まれたこと(運転者の制動操作)を検出した場合は上記算出処理を再度実行し、回生エネルギーを再演算するようにする。これは、運転者の制動操作により回生エネルギーの一部が熱エネルギーとして消費され、車両の停止までに得られる回生エネルギーが減少するからであり、このような再演算を行うことで、回生エネルギーの予測精度をさらに向上させることができる。
【0065】
<回生エネルギー分配率の設定>
図13は、回生エネルギーの分配率を設定するステップS5における処理の内容を示したものである(エネルギー分配率設定手段に対応)。
【0066】
これによると、まず、ステップS31では、現在のバッテリ8と電気二重層コンデンサ6の充電状態から、ステップS4で求めた回生エネルギーQrg[kJ]を受入れることができるバッテリ8と電気二重層コンデンサ6の充電状態の組合せを以下の関係式(10)から(12)、
【0067】
【数10】
【0068】
【数11】
【0069】
【数12】
【0070】
を用いて算出する。
【0071】
Qrg[kJ]は蓄電システム全体で充電される回生エネルギー、Qchgb[kJ]はバッテリ8に充電される回生エネルギー、Qchgc[kJ]は電気二重層コンデンサ6に充電されるエネルギーを示し、Capb[Ah]はバッテリ容量、Vave[V]はバッテリ平均電圧、#SOCb[%]は回生エネルギーを充電後のバッテリ8の充電状態、SOCb[%]は現在のバッテリ8の充電状態を示す。Capc[F]は電気二重層コンデンサ6の容量、Vmaxc[V]は電気二重層コンデンサ6の最大電圧、#SOCc[%]は回生エネルギーを充電後の電気二重層コンデンサ6の充電状態、SOCc[%]は現在の電気二重層コンデンサ6の充電状態を示す。
【0072】
例えば、#SOCbを50[%]に固定し、そのときの#SOCcを0[%]から100[%]まで変化させた場合に式(10)が満たされる#SOCcを見つけ出し、また、#SOCbが他の場合についても同様な処理を行うことにより、回生エネルギーQrg[kJ]を充電できるバッテリ8と電気二重層コンデンサ6の充電状態の全組合せを見つけ出すことができる。
【0073】
ステップS32は、ステップS31で見つけ出した充電状態の全組合せの中から、ステップS1で算出した要求制駆動力を満たすことが可能なバッテリ8と電気二重層コンデンサ6のSOC範囲となるものを抽出する。そして、ステップS33では、ステップS32で抽出した充電状態の組合せから最も電気二重層コンデンサ6の充電状態が高い組合せを抽出する。できるだけ電気二重層コンデンサに回生エネルギーが配分されるようにするのは、充電時の電力損失をなるべく小さくするためである。
【0074】
ステップS34は、回生エネルギーを充電後の充電状態がステップS33で抽出した組み合わせとなるように回生エネルギーの分配率を決定し、その際の電気二重層コンデンサ6の充電電力を算出する。ここでは、ステップS3で求めた充電状態の組合せに対応するバッテリ8に充電されるエネルギーQchgb[kJ]と、電気二重層コンデンサ6に充電されるエネルギーQchgc[kJ]との比から、回生電力の分配率を求める。
【0075】
図14は、回生電力の分配率の設定例を示したものである。tstart[sec]は回生開始時刻、tend[sec]は回生終了時刻を示し、時刻t[sec]における回生電力の分配率はバッテリ8に充電されるエネルギーQchgb[kJ]と、電気二重層コンデンサ6に充電されるエネルギーQchgc[kJ]との比から求められる。つまり、電気二重層コンデンサ6への充電電力Pchgcは、次式(13)、
【0076】
【数13】
【0077】
により求めることができる。Pchg[kW]は時刻t[sec]における回生電力である。
【0078】
なお、回生電力の分配率を求める別の方法としては、予測により求められた回生電力の大きい時刻から順に電気二重層コンデンサ6で充電するように分配するように求めていく方法でも良い。
【0079】
ステップS35では、ステップS34で求めた電気二重層コンデンサ6への充電電力を実現するための電気二重層コンデンサ6に流れる電流値Ic[A]を次式(14)、
【0080】
【数14】
【0081】
により求める。
【0082】
Eoc[V]は時刻t[sec]における電気二重層コンデンサ6の開放電圧、Rc[Ω]は電気二重層コンデンサ6の内部抵抗を示す。これらの値は、時刻t[sec]における電気二重層コンデンサ6の充電状態と温度に応じて、ステップS2で用いたテーブルを検索することにより算出する。時刻t[sec]における充電状態は、ステップS34で求めた電気二重層コンデンサ6への充電電力Pchgc[kW]を回生開始時刻tstart[sec]から時刻t[sec]までの積算量に基づいて算出される充電状態を用いればよく、温度については、現時点の電気二重層コンデンサ6の温度を用いて算出すればよい。
【0083】
ステップS6では、ステップS5において設定した電気二重層コンデンサ6の電流値となるように昇降圧コンバータ7を制御する。このステップS6における処理がエネルギー分配手段に対応する。
【0084】
次に、上記処理を行うことによる作用について説明する。
【0085】
本発明に係る蓄電システムの制御装置においては、駆動モータ3の制動時に得られる回生電力が電気二重層コンデンサ6、バッテリ8に配分され充電される。回生エネルギーの配分は、車両の所要制駆動力を満たすために必要な入力電力と出力電力の双方を満たすように設定される電気二重層コンデンサ6とバッテリ8のSOC範囲を満たすように充放電制御が行われるが、この際、駆動モータ3の制動時に得られる回生エネルギーを予測演算し、所要の制駆動力を満たすSOC範囲内で充電可能な回生エネルギーが最も多くなるよう回生エネルギーの配分が行われる。これにより、回生時に充電可能なエネルギーが多くなり、蓄電システムに充電できず無駄に消費される回生エネルギーを低減することができる。
【0086】
図15は、所要制駆動力を満たす範囲で電気二重層コンデンサに充電した場合に充電状態が推移する様子を示したものである。図中斜線領域はSOC領域を、等高線(等充電エネルギー線)は、電気二重層コンデンサ6、バッテリ8の充電状態の充電状態が100[%]になるまでに充電可能なエネルギーが等しいラインを、黒丸は制動開始時の電気二重層コンデンサ6、バッテリ8の充電状態を示している。充電によって等充電エネルギー線が上側に推移する程、蓄電システムに充電される電力が大きいことになる。
【0087】
図には本発明を適用した場合と適用しない場合それぞれについて制動開始時からの充電状態の動きが示されているが、本発明を適用せず、従来のように回生エネルギーをまず電気二重層コンデンサ6に充電する構成とした場合、所要の制動力を満たすSOC範囲内で充電可能な回生エネルギーは小さくなる。
【0088】
これに対し、本発明を適用した場合は、予め回生エネルギーを算出し、充電可能な回生エネルギーが最も多くなるようエネルギー分配率を決定してからエネルギー分配を行う。これにより、SOC範囲内で最も充電可能な回生エネルギーが最も多くなるようにエネルギー分配ができ、本発明を適用しない場合と比較して蓄電システムに充電できずに無駄に消費されるエネルギーを低減することができる。
【0089】
なお、所要の制駆動力を満たすSOC範囲内で充電可能な回生エネルギーが最も多くなる回生エネルギー分配率が複数ある場合には、その中から単位回生エネルギー当たりの蓄電システムで生じる損失が最も少なくなるエネルギー分配率を選択、設定するので、充電時に生じる損失を低減し、より多くの回生エネルギーを蓄電システムに充電することが可能となる。
【0090】
また、勾配と、車速と、予め車速と対応付けられた回生時の駆動モータトルクを基に回生エネルギーを算出するので、車速センサ以外の新たな装置を追加することなく、車両の停止までに得られる回生エネルギーを精度良く予測することができる。あるいは、ナビゲーション手段を用い、道路環境に基づいて算出された走行パターンから駆動モータの制動時に得られる回生エネルギーを算出することもでき、この方法によっても回生エネルギーを精度良く予測することができる。
【0091】
さらに、運転者の制動操作により回生エネルギーの一部が熱エネルギーとして消費され、車両の停止までに得られる回生エネルギーが減少した場合には再度回生エネルギーが予測されるので、回生エネルギーの予測精度を確保することができる。
【0092】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上記実施形態は本発明を適用した構成の一例を示すに過ぎず、本発明の適用範囲を上記実施形態の構成に限定する趣旨ではない。
【0093】
本発明は、エンジンと発電機から発電装置を構成するシリーズハイブリッド車両に蓄電システム制御装置を搭載する場合に限られず、発電装置に燃料電池を用いた場合でも良いし、また、車両はパラレルハイブリッド車両や電気自動車であっても良い。さらに、バッテリと電気二重層コンデンサで構成された蓄電システムに限らず、他の組合せで構成される場合でも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蓄電システムの制御装置を備えたシリーズハイブリッド車両の概略構成図である。
【図2】回生エネルギーの分配処理の内容を示したフローチャートである。
【図3】バッテリの充電状態とその内部抵抗の関係を示したテーブルである。
【図4】バッテリの温度とその内部抵抗比の関係を示したテーブルである。
【図5】電気二重層コンデンサの充電状態とその内部抵抗の関係を示したテーブルである。
【図6】電気二重層コンデンサの温度とその内部抵抗比の関係を示したテーブルである。
【図7】バッテリの充電状態とその開放電圧の関係を示したテーブルである。
【図8】電気二重層コンデンサの充電状態とその開放電圧の関係を示したテーブルである。
【図9】回生エネルギー算出処理の内容を示したフローチャートである
【図10】車速と目標回生トルクの関係を示したテーブルである。
【図11】車速とインバータ電流値と勾配の関係を示したマップである。
【図12】回生エネルギー算出処理の別の例の内容を示したフローチャートである
【図13】回生エネルギー分配率設定処理の内容を示したフローチャートである。
【図14】回生電力の分配率の設定例を示した図である。
【図15】従来と本発明とで充電できる回生エネルギーを比較した図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 発電機
3 駆動モータ
4、5 インバータ
6 電気二重層コンデンサ
7 昇降圧コンバータ
8 バッテリ
10、11 電流検出回路
12 電圧検出回路
20 コントローラ
30 ブレーキセンサ
31 アクセル操作量センサ
40 ナビゲーションシステム
【産業上の利用分野】
車両走行用の駆動モータへ電力を供給する少なくとも2種類の蓄電装置を備えた蓄電システムの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−136808号は、バッテリと電気二重層コンデンサの2つの蓄電装置を含むハイブリッド車両用蓄電システムを開示している。この蓄電システムでは、駆動モータの制動時に得られる回生電力を、まずパワー密度の高い(=内部抵抗が小さい)電気二重層コンデンサに充電し、その後、電気二重層コンデンサから小電力でエネルギー密度の高いバッテリに再充電する。
【0003】
これにより、バッテリが苦手とする大電力の充電をそれを得意とする電気二重層コンデンサにまかせ、のちに電気二重層コンデンサが苦手とするエネルギー量の蓄電をそれを得意とするバッテリにまかせることができ、各蓄電装置の長所を有効に活用することで蓄電システムの充電効率を向上させることができる。さらに、バッテリと電気二重層コンデンサの充電状態の範囲(以下、SOC範囲)を、車両の所要制駆動力を満たすために必要な入力電力と出力電力の双方を満たすように設定し、バッテリと電気二重層コンデンサの充電状態がこのSOC範囲に入るように充放電制御が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとしている問題点】
ところで、上記蓄電システムでは、駆動モータの制動時に得られる回生電力を充電する場合、設定されたSOC範囲内で一旦電気二重層コンデンサに充電し、後に電気二重層コンデンサに蓄電した電力をバッテリに充電する。
【0005】
しかしながら、電気二重層コンデンサはパワー密度が高く充電時に発生する電力損失が小さいものの、エネルギー密度が低く回生エネルギー全てを充電するには十分でない。このため、所要の制駆動力を満たすSOC範囲内で充電できる分を超える回生エネルギーについては、蓄電システム外で無駄に捨てなければならないという問題点があった。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の技術的課題を鑑みてなされたもので、駆動モータへの電力供給源として少なくとも2種類の蓄電装置を備えた蓄電システムの制御装置において、車両の所要制駆動力を満たすSOC範囲内で、駆動モータの制動時に得られる回生エネルギーが最大限に充電できるようにし、さらには、充電時に蓄電システムで発生する電力損失を低減することを目的とする。
【0007】
【問題点を解決するための手段】
駆動モータの制動時に得られる回生エネルギーを算出するとともに、車両の所要制駆動力を実現するために必要な蓄電システムの入出力電力を算出する。そして、この入出力電力を満たす範囲内で充電可能な回生エネルギーが最も多くなるよう各蓄電装置への回生エネルギー分配率を設定し、設定されたエネルギー分配率に基づき回生エネルギーを分配する。
【0008】
【作用及び効果】
駆動モータの制動時に得られる回生エネルギーを演算し、所要の制駆動力を満たすSOC範囲内で充電される回生エネルギーが最も多くなるよう回生エネルギーを各蓄電装置へ分配するので、蓄電システムに充電できず無駄に消費される回生エネルギーを低減することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明に係る蓄電システムの制御装置を備えたシリーズハイブリッド車両の概略構成を示している。エンジン1の出力軸には発電機2が接続されており、発電機2はエンジン1が発生する運動エネルギーを電力に変換する。また、図示しない駆動輪には車両駆動用の駆動モータ3が接続されている。
【0011】
発電機2、モータ3はそれぞれインバータ4、5に接続されており、インバータ4、5の間には電気二重層コンデンサ(第1の蓄電装置)6、昇降圧コンバータ7、バッテリ(第2の蓄電装置)8が接続されている。図中10、11は電流検出回路であり、12は電圧検出回路である。
【0012】
発電機2は、例えば3相交流の回転電機であり、3相の発電コイルの出力端子は発電機2用のインバータ4に接続される。発電機2用のインバータ4の出力端子は直流端子であり、その電圧は電気二重層コンデンサ6と等しく揃えられている。出力端子の両端は電気二重層コンデンサ6に接続されると共に、昇降圧コンバータ7に接続される。発電機2の回転軸はエンジン1に直結されており、発電機2の界磁コイルに電流を流し、エンジン1により発電機2を回転させれば、発電機2は発電する。
【0013】
駆動モータ3も発電機2と同じく3相交流の回転電機であり、駆動コイルの出力端子は駆動モータ3用のインバータ5に接続されている。駆動モータ3用のインバータ5の出力端子は直流端子であり、その電圧は電気二重層コンデンサ6と等しく揃えられている。出力端子の両端は電気二重層コンデンサ6に接続されると共に、昇降圧コンバータ7に接続されている。
【0014】
バッテリ8は、電気二重層コンデンサ6との間に設けられた昇降圧コンバータ7を制御することにより充放電を調整することができる。
【0015】
コントローラ20には、電流検出回路10、11で検出された電流値、電圧検出回路12で検出された電圧値の他、ブレーキペダルが踏み込まれたこと検出するブレーキセンサ30(制動操作検出手段)、アクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作量センサ31、車速を検出する車速センサ32、電気二重層コンデンサ6の温度を検出する温度センサ33、バッテリ8の温度を検出する温度センサ34、外部から自車位置情報を受信するナビゲーションシステム40(ナビゲーション手段)等からの信号が入力される。ナビゲーションシステム40には、車両の目的地、走行経路、走行経路における道路勾配、標高等の道路環境情報が記憶されている。
【0016】
コントローラ20は、設定された回生エネルギーのバッテリ8と電気二重層コンデンサ6への分配率を実現するように昇降圧コンバータ7を動作させる。具体的には、分配率に応じた電気二重層コンデンサ6への目標充電電力が、それ相当の電流値ICに変換され、コントローラ20は、電流検出回路11の出力I2[A]が電気二重層コンデンサ6に流れる電流IC[A]になるように昇降圧コンバータ7を制御する。
【0017】
なお、回生エネルギー以外に、発電機2からの発電電力を充電する場合には、例えばまず電気二重層コンデンサ6を充電し、満充電になったらバッテリ8に充電する方法がある。電気二重層コンデンサ6に充電する場合には、電流検出回路11の出力I2[A]がI1[A]になるように、バッテリ8に充電する場合は電流検出回路11の出力I2[A]が0[A]になるように昇降圧コンバータ7を制御する。
【0018】
一方、駆動モータ3に電力を供給する場合には、例えば必要とされる電力をまず電気二重層コンデンサ6から全面的に供給し、そこから供給できなくなったらバッテリ8から供給する。電気二重層コンデンサ6から供給する場合には、昇降圧コンバータ7により電気二重層コンデンサ6側をバッテリ8側の電圧より高い状態にすれば良く、また、バッテリ6から供給する場合には、より電気二重層コンデンサ6側をバッテリ8の開放電圧付近になるようにすれば良い。
【0019】
図2は、コントローラ20が行う回生エネルギーの分配処理の内容を示したフローチャートであり、所定の周期で繰り返し演算される。
【0020】
これによると、まず、車両の所要制駆動力を満たすために必要な蓄電システムの入力電力と出力電力を算出し(ステップS1)、設置したセンサからの出力をもとに蓄電システムの状態を検出し(ステップS2)、所要制駆動力を満たすことが可能なSOC範囲を設定する(ステップS3)。
【0021】
そして、駆動モータ3制動時に得られる回生エネルギーを算出し(ステップS4)、回生エネルギーをどのような配分でバッテリ8と電気二重層コンデンサ6に充電するかを設定し(ステップS5)、設定したエネルギー分配率が実現されるように充電制御を行う(ステップS6)。
【0022】
以下、各ステップにおける処理について詳細に説明する。
【0023】
<所要制駆動力を満たす入出力電力の算出>
まず、図2のステップS1では、車両の所要制駆動力を算出し、それを実現するために必要な蓄電システムの入力電力及び出力電力を算出する(入出力電力算出手段に対応)。運転者が要求する制駆動力はアクセル操作やブレーキ操作により時々刻々変化するが、この車両では、駆動モータ3で消費される電力は、発電機2から得られる発電電力と蓄電システムからの出力電力とで賄われる。このため、駆動モータ3の力行時に要求される出力電力はその時点の発電電力に応じて変化し、回生時に要求される入力電力は車両の速度などによって変化する。
【0024】
そこで、このステップでは、これら時々刻々と変化する入力電力と出力電力の要求に備えて蓄電システムで予め確保すべき入力電力Pchg[kW]と出力電力Pdis[kW]を固定値(例えば、Pchg=Pdis=20[kW])として設定する。なお、この値は必ずしも固定値である必要はなく、時々刻々と変化する入力電力と出力電力の要求に応じて可変としても良い。但し、この設定を可変とする場合には、回生時に駆動モータ3で発生できる制動力が蓄電システムの状態に応じて変化するため、協調回生ブレーキなど運転者の要求する制駆動力を満たすように自動的にブレーキと駆動モータ3での制動力の配分が行われる機構がある場合にのみ可変とするのが良い。
【0025】
<蓄電システムの状態の検出>
次に、図2のステップS2では蓄電システムの状態を検出する。バッテリ8と電気二重層コンデンサ6の各々に取り付けられた温度センサ33、34や、電流検出回路10、11、電圧検出回路12の出力を基に求めた充電状態(SOC)から、各々の内部抵抗や開放電圧を求める。内部抵抗と開放電圧は以下に示すテーブルを検索することにより算出することができる。これらテーブルは実験により求めた特性に基づき作成され、コントローラ20のメモリに格納されている。
【0026】
図3は、バッテリ8の充電状態SOCb[%]と内部抵抗の関係を示すテーブルである。このテーブルは、所定のバッテリ8の温度(例えば、25[℃])において、各充電状態における内部抵抗を算出したものである。また、図4は、バッテリ8の温度Tb[℃]と内部抵抗比の関係を示すテーブルである。このテーブルは、所定のバッテリの温度(例えば、25[℃])での内部抵抗を基準にとり、各温度において基準値に対する内部抵抗の比を算出したものである。これら2つのテーブルを検索して求められた値を掛け合わせれば、バッテリ8の内部抵抗Rb[Ω]を算出できる。
【0027】
同様に、電気二重層コンデンサ6についても予め実験により求めた特性をテーブルとして記憶しておくことで、電気二重層コンデンサ6の内部抵抗Rc[Ω]を算出することができる。図5に電気二重層コンデンサ6の充電状態SOCc[%]と内部抵抗の関係を示すテーブル、図6に電気二重層コンデンサ6の温度Tc[℃]と内部抵抗比の関係を示したテーブルを示す。
【0028】
図7は、バッテリ8の充電状態SOCb[%]と開放電圧Eob[V]の関係を示すテーブルであり、テーブルを検索することにより、バッテリ8の開放電圧Eobを求めることができる。また、電気二重層コンデンサ6の開放電圧Eocも図8のテーブルを検索するとことにより求めることができる。
【0029】
<SOC範囲の設定>
次に、図2のステップS3では要求制駆動力を満たすことが可能なバッテリ8と電気二重層コンデンサ6のSOC範囲を設定する。SOC範囲は、図2のステップS1で設定されている蓄電システムで予め確保すべき出力電力Pdis[kW]と入力電力Pchg[kW]を満たすよう、以下の式(1)、(2)、
【0030】
【数1】
【0031】
【数2】
【0032】
を用いて求める。
【0033】
Pdis#は各蓄電装置毎の出力可能電力を示し、バッテリ8の出力可能電力はPdisb、電気二重層コンデンサ6の出力可能電力はPdiscとなる。同様にVmin#[V]は最低電圧、EoV[V]は開放電圧、R#[Ω]は内部抵抗を示し、各蓄電装置に応じた値を設定する。また、開放電圧Eo#[V]と内部抵抗R#[Ω]の値は蓄電システム状態を検出するステップで用いたテーブルを用いて算出する。
【0034】
Pchg#は各蓄電装置の入力可能電力を示し、バッテリ8の可能出力はPchgb、電気二重層コンデンサ6の出力可能電力はPchgcとなる。Vmax[V]は最高電圧を示し、出力可能電力を算出する場合と同様に、開放電圧Eo#[V]と内部抵抗R#[Ω]の値は蓄電システム状態を検出するステップで用いたテーブルやマップを用いて算出する。
【0035】
要求制駆動力を満たすためには、バッテリ8と電気二重層コンデンサ6の出力可能電力の合計値、入力電力の合計値がそれぞれPdis[kW]、Pchg[kW]を満たせば良く、以下の式(3)と式(4)、
【0036】
【数3】
【0037】
【数4】
【0038】
の双方を満たす範囲が要求制駆動力を満たすことが可能なSOC範囲となる。
【0039】
<回生エネルギーの算出>
図9は回生エネルギーを算出するステップS4における処理の内容を示したものである(回生エネルギー算出手段に対応)。これによると、まず、ステップS11では、車速センサ32より現在の車速を読み込む。そして、ステップS12において、現在の車速とその前回値から減速中か否かを判断する。
【0040】
ステップS12で減速中であると判断された場合にはステップS13に進み、減速中の速度パターンを次式(5)、
【0041】
【数5】
【0042】
により算出する。VSPt[km/h]は時刻t[sec]における車速、VSPt−1[km/h]は時刻t[sec]の1秒前における車速を示す。
【0043】
g[m/s2]は重力加速度、iは総ギア比、ηは動力伝達効率、rD[m]はタイヤ有効半径、μrは転がり抵抗、mveh[kg]は車両総重量、μl[kN・h2/m2・km2]は空気抵抗係数、A[m2]は前面投影面積、φは車両回転部を考慮した場合の見かけの重量増加分(車両内の回転部分慣性重量を車両総重量割り算し得られる)、GRDave[deg]は登坂時の平均勾配(求め方は、後述)を示す。
【0044】
tTmg[Nm]は減速時に駆動モータで発生する目標回生トルクを示し、図10に示すテーブルを検索することにより求める。このテーブルは、各車速において、例えば一定減速度を得られるように目標回生トルクを求めても良いし、またエンジンを駆動源とする車両で減速時に発生するエンジンブレーキと同等の制動力が得られるよう求めても良い。
【0045】
式(5)の計算を回生開始時刻tstart[sec]から繰り返すことにより、車両が停止するtend[sec]までの車速パターンを得ることができる。
【0046】
ステップS14では回生エネルギーを算出する。車速VSPt[km]と駆動モータ3の回転数Nm[rpm]は、次式(6)、
【0047】
【数6】
【0048】
関係があるので、時刻t[sec]における回生電力Prg[kW]は、次式(7)、
【0049】
【数7】
【0050】
により算出する。したがって、駆動モータ3が制動を開始してから車両が停止するまでに得られる回生エネルギーErg[kJ]は、次式(8)、
【0051】
【数8】
【0052】
により求めることができる。
【0053】
ステップS15において、アクセル操作量と車速から一定速走行か否かを判断する。アクセル操作量センサ31や車速センサ32からの微小な出力変化が判断に影響しないように、センサ出力に対しては不感帯を設ける処理をしておく。ステップS15において一定走行であると判断した場合には、ステップS16において登坂時か否かを判断し、その際の勾配を求める。勾配は、図11に示すマップを検索することにより算出することができ、このマップは予め実験結果に基づき作成され、コントローラ20のメモリに記憶されている。
【0054】
図11は、車速[km/h]と、駆動モータ3用のインバータ5に流れる電流検出値[A]と、一定速走行時の勾配[%]との関係を示すマップである。インバータ5に流れる電流と駆動モータ3に与えるトルク指令値とは単調増加の関係にある。また、勾配とある車速で一定走行をするために必要な駆動モータトルクについても単調増加の関係にある。このマップは、これらの関係を示すデータを予め実験から取得することにより作成することができる。
【0055】
ステップS17おいて、ステップS16で算出した勾配と前回の一定走行で算出した勾配とから平均勾配GRDave[%]を求める。この平均勾配GRDaveの値は、車両停止時に一旦クリアされる。
【0056】
このようにして回生エネルギーが算出されるのであるが、回生エネルギーはナビゲーションシステム4から提供された道路環境情報に基づいて予測した走行パターンから回生エネルギーを算出することもできる。図12に、回生エネルギーを算出するステップS4における処理の別の例を示す。
【0057】
これによると、まず、ステップS21では、ナビゲーションシステム40によって現在の車両位置を示す座標位置(x,y)を演算する。そして、ステップS22では、運転者により入力された目的地が読み込まれる。
【0058】
ステップS23では、現在位置(x,y)とナビゲーションシステム40が有する道路情報から目的地までの誘導経路を自動的に決定し、ステップS24では、決定した誘導経路における道路情報(経路距離、経路内平均勾配、交差点位置、カーブのきつさ、標高など)を抽出する。
【0059】
ステップS25では、ステップS24において抽出した道路環境情報に基づいて、現在位置と目的地における予測車両速度pVSP[km/h]と、予測制駆動力指令値ptTd[Nm]を予測する。車両速度pVSP[km/h]の予測方法としては、誘導経路内において道路の規制速度を巡航速度として走ることを基本とし、曲がる交差点があれば、例えば減速度0.1[G]で車速がゼロになり、3秒停止後加速度0.1[G]で巡航速度に至るよう予測する。カーブ区間があれば予めカーブの曲率に応じた加減速度とカーブ通過速度に基づいて車速pVSPを予測する。インフラ(VICS等)から受信した渋滞区間にあっては、渋滞度合いに応じて渋滞度合いがひどいほど渋滞区間の平均車速が低くなるように予測する。
【0060】
また、制駆動力指令値ptTd[Nm]としては経路の車速pVSPに応じた走行抵抗分(=空気抵抗分+転がり抵抗分)の駆動力と、車両加減速度に応じた加減速分の制駆動力と、道路勾配による車両のポテンシャルエネルギー変化を実現する分の制駆動力との和の制駆動力として求められる。
【0061】
ステップS26において、ステップS25において予測した予測車両速度pVSPと予測駆動力指令値ptTdに基づいて、経路区間内での回生区間毎に駆動モータ制動時に得られる回生エネルギーQrg[kJ]を次式(9)、
【0062】
【数9】
【0063】
により算出する。iは駆動モータから車輪軸に至るまでの総減速比、rD[m]はタイヤの有効半径、tstart[sec]は回生開始時刻、tend[sec]は回生終了時刻を示す。
【0064】
なお、上記回生エネルギー算出処理において、ブレーキセンサ30によりブレーキペダルが踏み込まれたこと(運転者の制動操作)を検出した場合は上記算出処理を再度実行し、回生エネルギーを再演算するようにする。これは、運転者の制動操作により回生エネルギーの一部が熱エネルギーとして消費され、車両の停止までに得られる回生エネルギーが減少するからであり、このような再演算を行うことで、回生エネルギーの予測精度をさらに向上させることができる。
【0065】
<回生エネルギー分配率の設定>
図13は、回生エネルギーの分配率を設定するステップS5における処理の内容を示したものである(エネルギー分配率設定手段に対応)。
【0066】
これによると、まず、ステップS31では、現在のバッテリ8と電気二重層コンデンサ6の充電状態から、ステップS4で求めた回生エネルギーQrg[kJ]を受入れることができるバッテリ8と電気二重層コンデンサ6の充電状態の組合せを以下の関係式(10)から(12)、
【0067】
【数10】
【0068】
【数11】
【0069】
【数12】
【0070】
を用いて算出する。
【0071】
Qrg[kJ]は蓄電システム全体で充電される回生エネルギー、Qchgb[kJ]はバッテリ8に充電される回生エネルギー、Qchgc[kJ]は電気二重層コンデンサ6に充電されるエネルギーを示し、Capb[Ah]はバッテリ容量、Vave[V]はバッテリ平均電圧、#SOCb[%]は回生エネルギーを充電後のバッテリ8の充電状態、SOCb[%]は現在のバッテリ8の充電状態を示す。Capc[F]は電気二重層コンデンサ6の容量、Vmaxc[V]は電気二重層コンデンサ6の最大電圧、#SOCc[%]は回生エネルギーを充電後の電気二重層コンデンサ6の充電状態、SOCc[%]は現在の電気二重層コンデンサ6の充電状態を示す。
【0072】
例えば、#SOCbを50[%]に固定し、そのときの#SOCcを0[%]から100[%]まで変化させた場合に式(10)が満たされる#SOCcを見つけ出し、また、#SOCbが他の場合についても同様な処理を行うことにより、回生エネルギーQrg[kJ]を充電できるバッテリ8と電気二重層コンデンサ6の充電状態の全組合せを見つけ出すことができる。
【0073】
ステップS32は、ステップS31で見つけ出した充電状態の全組合せの中から、ステップS1で算出した要求制駆動力を満たすことが可能なバッテリ8と電気二重層コンデンサ6のSOC範囲となるものを抽出する。そして、ステップS33では、ステップS32で抽出した充電状態の組合せから最も電気二重層コンデンサ6の充電状態が高い組合せを抽出する。できるだけ電気二重層コンデンサに回生エネルギーが配分されるようにするのは、充電時の電力損失をなるべく小さくするためである。
【0074】
ステップS34は、回生エネルギーを充電後の充電状態がステップS33で抽出した組み合わせとなるように回生エネルギーの分配率を決定し、その際の電気二重層コンデンサ6の充電電力を算出する。ここでは、ステップS3で求めた充電状態の組合せに対応するバッテリ8に充電されるエネルギーQchgb[kJ]と、電気二重層コンデンサ6に充電されるエネルギーQchgc[kJ]との比から、回生電力の分配率を求める。
【0075】
図14は、回生電力の分配率の設定例を示したものである。tstart[sec]は回生開始時刻、tend[sec]は回生終了時刻を示し、時刻t[sec]における回生電力の分配率はバッテリ8に充電されるエネルギーQchgb[kJ]と、電気二重層コンデンサ6に充電されるエネルギーQchgc[kJ]との比から求められる。つまり、電気二重層コンデンサ6への充電電力Pchgcは、次式(13)、
【0076】
【数13】
【0077】
により求めることができる。Pchg[kW]は時刻t[sec]における回生電力である。
【0078】
なお、回生電力の分配率を求める別の方法としては、予測により求められた回生電力の大きい時刻から順に電気二重層コンデンサ6で充電するように分配するように求めていく方法でも良い。
【0079】
ステップS35では、ステップS34で求めた電気二重層コンデンサ6への充電電力を実現するための電気二重層コンデンサ6に流れる電流値Ic[A]を次式(14)、
【0080】
【数14】
【0081】
により求める。
【0082】
Eoc[V]は時刻t[sec]における電気二重層コンデンサ6の開放電圧、Rc[Ω]は電気二重層コンデンサ6の内部抵抗を示す。これらの値は、時刻t[sec]における電気二重層コンデンサ6の充電状態と温度に応じて、ステップS2で用いたテーブルを検索することにより算出する。時刻t[sec]における充電状態は、ステップS34で求めた電気二重層コンデンサ6への充電電力Pchgc[kW]を回生開始時刻tstart[sec]から時刻t[sec]までの積算量に基づいて算出される充電状態を用いればよく、温度については、現時点の電気二重層コンデンサ6の温度を用いて算出すればよい。
【0083】
ステップS6では、ステップS5において設定した電気二重層コンデンサ6の電流値となるように昇降圧コンバータ7を制御する。このステップS6における処理がエネルギー分配手段に対応する。
【0084】
次に、上記処理を行うことによる作用について説明する。
【0085】
本発明に係る蓄電システムの制御装置においては、駆動モータ3の制動時に得られる回生電力が電気二重層コンデンサ6、バッテリ8に配分され充電される。回生エネルギーの配分は、車両の所要制駆動力を満たすために必要な入力電力と出力電力の双方を満たすように設定される電気二重層コンデンサ6とバッテリ8のSOC範囲を満たすように充放電制御が行われるが、この際、駆動モータ3の制動時に得られる回生エネルギーを予測演算し、所要の制駆動力を満たすSOC範囲内で充電可能な回生エネルギーが最も多くなるよう回生エネルギーの配分が行われる。これにより、回生時に充電可能なエネルギーが多くなり、蓄電システムに充電できず無駄に消費される回生エネルギーを低減することができる。
【0086】
図15は、所要制駆動力を満たす範囲で電気二重層コンデンサに充電した場合に充電状態が推移する様子を示したものである。図中斜線領域はSOC領域を、等高線(等充電エネルギー線)は、電気二重層コンデンサ6、バッテリ8の充電状態の充電状態が100[%]になるまでに充電可能なエネルギーが等しいラインを、黒丸は制動開始時の電気二重層コンデンサ6、バッテリ8の充電状態を示している。充電によって等充電エネルギー線が上側に推移する程、蓄電システムに充電される電力が大きいことになる。
【0087】
図には本発明を適用した場合と適用しない場合それぞれについて制動開始時からの充電状態の動きが示されているが、本発明を適用せず、従来のように回生エネルギーをまず電気二重層コンデンサ6に充電する構成とした場合、所要の制動力を満たすSOC範囲内で充電可能な回生エネルギーは小さくなる。
【0088】
これに対し、本発明を適用した場合は、予め回生エネルギーを算出し、充電可能な回生エネルギーが最も多くなるようエネルギー分配率を決定してからエネルギー分配を行う。これにより、SOC範囲内で最も充電可能な回生エネルギーが最も多くなるようにエネルギー分配ができ、本発明を適用しない場合と比較して蓄電システムに充電できずに無駄に消費されるエネルギーを低減することができる。
【0089】
なお、所要の制駆動力を満たすSOC範囲内で充電可能な回生エネルギーが最も多くなる回生エネルギー分配率が複数ある場合には、その中から単位回生エネルギー当たりの蓄電システムで生じる損失が最も少なくなるエネルギー分配率を選択、設定するので、充電時に生じる損失を低減し、より多くの回生エネルギーを蓄電システムに充電することが可能となる。
【0090】
また、勾配と、車速と、予め車速と対応付けられた回生時の駆動モータトルクを基に回生エネルギーを算出するので、車速センサ以外の新たな装置を追加することなく、車両の停止までに得られる回生エネルギーを精度良く予測することができる。あるいは、ナビゲーション手段を用い、道路環境に基づいて算出された走行パターンから駆動モータの制動時に得られる回生エネルギーを算出することもでき、この方法によっても回生エネルギーを精度良く予測することができる。
【0091】
さらに、運転者の制動操作により回生エネルギーの一部が熱エネルギーとして消費され、車両の停止までに得られる回生エネルギーが減少した場合には再度回生エネルギーが予測されるので、回生エネルギーの予測精度を確保することができる。
【0092】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上記実施形態は本発明を適用した構成の一例を示すに過ぎず、本発明の適用範囲を上記実施形態の構成に限定する趣旨ではない。
【0093】
本発明は、エンジンと発電機から発電装置を構成するシリーズハイブリッド車両に蓄電システム制御装置を搭載する場合に限られず、発電装置に燃料電池を用いた場合でも良いし、また、車両はパラレルハイブリッド車両や電気自動車であっても良い。さらに、バッテリと電気二重層コンデンサで構成された蓄電システムに限らず、他の組合せで構成される場合でも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蓄電システムの制御装置を備えたシリーズハイブリッド車両の概略構成図である。
【図2】回生エネルギーの分配処理の内容を示したフローチャートである。
【図3】バッテリの充電状態とその内部抵抗の関係を示したテーブルである。
【図4】バッテリの温度とその内部抵抗比の関係を示したテーブルである。
【図5】電気二重層コンデンサの充電状態とその内部抵抗の関係を示したテーブルである。
【図6】電気二重層コンデンサの温度とその内部抵抗比の関係を示したテーブルである。
【図7】バッテリの充電状態とその開放電圧の関係を示したテーブルである。
【図8】電気二重層コンデンサの充電状態とその開放電圧の関係を示したテーブルである。
【図9】回生エネルギー算出処理の内容を示したフローチャートである
【図10】車速と目標回生トルクの関係を示したテーブルである。
【図11】車速とインバータ電流値と勾配の関係を示したマップである。
【図12】回生エネルギー算出処理の別の例の内容を示したフローチャートである
【図13】回生エネルギー分配率設定処理の内容を示したフローチャートである。
【図14】回生電力の分配率の設定例を示した図である。
【図15】従来と本発明とで充電できる回生エネルギーを比較した図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 発電機
3 駆動モータ
4、5 インバータ
6 電気二重層コンデンサ
7 昇降圧コンバータ
8 バッテリ
10、11 電流検出回路
12 電圧検出回路
20 コントローラ
30 ブレーキセンサ
31 アクセル操作量センサ
40 ナビゲーションシステム
Claims (5)
- 車両走行用の駆動モータへ電力を供給する少なくとも2種類の蓄電装置を含む蓄電システムの制御装置において、
駆動モータの制動時に得られる回生エネルギーを算出する回生エネルギー算出手段と、
車両の所要制駆動力を実現するために必要な蓄電システムの入出力電力を算出する入出力電力算出手段と、
前記算出された入出力電力を満たす範囲内で充電可能な回生エネルギーが最も多くなるように各蓄電装置への回生エネルギー分配率を設定するエネルギー分配率設定手段と、
設定されたエネルギー分配率に基づき回生エネルギーを各蓄電装置に分配するエネルギー分配手段と、
を備えたことを特徴とする蓄電システムの制御装置。 - 前記エネルギー分配率設定手段は、
前記充電可能な回生エネルギーが最も多くなる回生エネルギー分配率が複数ある場合には、その中で蓄電システムで生じる損失が最小になるエネルギー分配率を設定することを特徴とする請求項1に記載の蓄電システムの制御装置。 - 前記回生エネルギー算出手段は、
登坂時の勾配を算出する勾配算出手段と、
車両の速度を検出する車速検出手段と、
勾配と、車速と、予め車速と対応付けられた回生時の駆動モータトルクに基づき、車両が停止するまでに得られる回生エネルギーを算出することを特徴とする請求項1または2に記載の蓄電システムの制御装置。 - 走行経路における道路環境情報を提供するナビゲーション手段をさらに備え、前記回生エネルギー算出手段は、前記ナビゲーション手段から提供された道路環境情報に基づいて予測した走行パターンから回生エネルギーを算出することを特徴とする請求項1または2に記載の蓄電システムの制御装置。
- 運転者の制動操作を検出する制動操作検出手段をさらに備え、
前記回生エネルギー算出手段は、制動操作を検出した場合には回生エネルギーを再度算出することを特徴とする請求項3または4に記載の蓄電システムの制御装置。
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