JP3463371B2 - ディジタル信号記録装置及びディジタル信号記録方法 - Google Patents

ディジタル信号記録装置及びディジタル信号記録方法

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JP3463371B2 JP24900294A JP24900294A JP3463371B2 JP 3463371 B2 JP3463371 B2 JP 3463371B2 JP 24900294 A JP24900294 A JP 24900294A JP 24900294 A JP24900294 A JP 24900294A JP 3463371 B2 JP3463371 B2 JP 3463371B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転ヘッドを備える回
転ドラムに回転トランスを介して記録データ信号を伝送
し、データ記録を行うディジタル信号記録装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気テープ等の記録媒体を用い、
回転ドラムに備えられた回転ヘッドによってこの記録媒
体にデータの記録を行うビデオテープレコーダいわゆる
VTR等の磁気記録装置においては、ローター側、即ち
回転ドラム側とステーター側との間に設けられた回転ト
ランスを介して記録信号を送受信している。
【0003】ここで、アナログVTRの概略的な構成を
図6に示す。この図6に示すように、アナログVTRに
おいては、記録ヘッド40の巻線と回転トランス38の
巻線及び再生ヘッド41の巻線と回転トランス39の巻
線とを直結し、記録アンプ34及び再生アンプ35をス
テーター側に配置した簡易な構成を持つ。
【0004】データの記録時には、信号入力端子30か
ら入力される映像信号が変調器32に送られて変調され
る。このとき、信号切換器36は端子a側に、信号切換
器37は端子c側にそれぞれ切り換えられている。よっ
て、上記変調器32からの出力信号は、記録アンプ3
4、信号切換器36、37、及び回転トランス38を介
して記録信号として記録ヘッド40から図示しない磁気
テープに記録される。また、データの再生時には、再生
ヘッド41によって図示しない磁気テープから記録信号
が読み出され、再生信号として出力される。このとき、
信号切換器36は端子b側に、信号切換器37は端子d
側にそれぞれ切り換えられている。よって、上記再生ヘ
ッド41からの再生信号は、回転トランス39、信号切
換器37、36、及び再生アンプ35を介して復調器3
3に送られる。この復調器33では、送られた再生信号
を映像信号に復調する。この映像信号は信号出力端子3
1から出力される。
【0005】また、図6に示したアナログVTRにおい
て、記録アンプ34、再生アンプ35、記録ヘッド4
0、及び再生ヘッド41等の制御のための複合シリアル
制御信号(以下、MPX信号という)のデータフォーマ
ットを図7に示す。このMPX信号は内のビットパター
ンBPで示されるデータの内容に基づいて、記録アンプ
34、再生アンプ35、記録ヘッド40、及び再生ヘッ
ド41等の制御が行われている。
【0006】上述のようなアナログVTRの回転トラン
スにおいては、記録信号のレベルに較べて微弱な再生信
号はクロストークによって消され、記録しながら再生を
行うようないわゆる記録コンフィデンス機能を実現する
ことができない。また、ディジタルVTRにおいては、
扱う周波数が高いために回転トランスや配線の引き回し
により生じる浮遊容量やインダクタンスが高域の特性を
劣化させ、また、多チャンネル同時記録による回転トラ
ンスの段数の増加が問題となってきた。
【0007】そこで、近年、特にディジタルVTRにお
いては、上述の問題を解決するために、回転ドラム上に
記録再生アンプを搭載する方式が主流となってきた。こ
のような信号記録再生装置では、回転トランスに通す記
録再生信号のレベルを揃えることができるので、この記
録再生信号に対するクロストークの影響を軽減すること
ができる。また、ヘッドとアンプとの距離を著しく短縮
することができるので、上述した配線の引き回しによる
影響も軽減することができる。さらに、回転ドラム上に
スイッチング回路を搭載することができるので、対向す
る2個のヘッドは回転トランスの1段を共用することも
可能である。
【0008】また、このディジタルVTRのように回転
ヘッドを用いた磁気記録装置においては、固定消去ヘッ
ドが無いものがあったり、また、固定消去ヘッドが設け
られていてもインサート編集時には消去することができ
ない部分のデータを消去するために回転消去ヘッドを搭
載しているものがある。消去電流を切ったときの残留磁
化やデータ再生時の偶数次歪みを改善するために、この
回転消去ヘッドには交流電流を流すいわゆる交流消去方
式を用いるのが一般的である。従って、消去と言っても
記録することにほかならないので、データ再生時には、
磁気記録媒体である磁気テープ上に記録された消去信号
が漏れ出てきて悪影響を及ぼす危険性がある。これを回
避するためには、交流消去電流の電流値と周波数を適切
に選ぶ必要がある。このときの周波数の選び方として
は、再生に必要な帯域から離れた周波数にする方法、再
生等化によって零点になる周波数にする方法、及びアジ
マス損失によって零点になる周波数にする方法が知られ
ている。
【0009】上記3つの方法の内の第1の方法は一見簡
単な方法ではあるが、信号帯域より低い周波数にする
と、直流消去と同様な影響が出る可能性があり、逆に信
号帯域より高い周波数にすると、磁性層の深い部分の消
去が困難となり、使用する素子の特性を上げる必要が出
てくるので問題が多い。
【0010】また、第2の方法は、ディジタル信号を用
いた小型携帯用VTR等において採用されている方法で
ある。この方法は、パーシャル・レスポンス(以下PR
という)・クラスIVのような再生等化によって零点を
持つ変復調方式の特性を巧みに利用している。この第2
の方法の再生時の手順を図8を用いて説明する。先ず、
再生された任意の周波数特性を持つ信号は、積分等化器
により図8のaに示す周波数特性に等化される。この周
波数特性を持つ信号を積算器30に送って図8のbに示
す周波数特性のフィルタに通すことにより、図8のcに
示すPRクラスIVの周波数特性が得られ、この周波数
からデータを抽出することができる。上記図8のbに示
す周波数特性はナイキスト周波数fnyで零点になってお
り、図8のaに示す周波数を上記フィルタに通せばナイ
キスト周波数fnyの信号は遮断される。このナイキスト
周波数fnyは原理的に必要のない周波数であり、上記フ
ィルタによって完全に除去することができる。従って、
このナイキスト周波数fnyで消去することにより、デー
タ抽出時には消去信号が漏れ出てくることはない。尚、
このナイキスト周波数fnyはデータレートによってある
値に決まるので、当然、消去周波数も一つの値であり、
条件によって変える必要はない。
【0011】ところで、一般的な再生等化によって零点
になる周波数を持たない変復調方式を採用する場合に
は、第2の方法を用いることはできない。そこで、より
汎用性の高い方法として、第3のアジマス損失の零点を
利用する方法が知られている。アジマス損失は、データ
が記録されたトラック上の磁化パターンと再生ヘッドの
ギャップとがなす角度、相対速度、及びトラック幅によ
って決定され、理論計算と実際の特性とが良く一致する
ことが知られている。具体的には、例えば相対速度を3
1m/s、トラック幅を36μm、アジマス角を15°
とすると、図9に示すような周波数特性となる。この図
9に示す周波数特性から判るように、最低の周波数を
6.4MHzとして数多くの零点が存在するので、これ
らの周波数のいずれかを消去周波数として選択すること
により、消去信号は再生されないことになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のディ
ジタルVTRにおいては、スイッチングやモード切り換
え、及び記録電流の調整等の処理は回転ドラム上に委ね
られることになる。これらの制御をステーター側から制
御するには、回転ドラムへの制御信号の伝送が必要にな
り、また、これらの制御信号を処理するロジック回路が
搭載されることになるので、このロジック回路で処理さ
れる制御信号のためのクロック信号を生成することが必
要となる。さらに、これに伴って制御信号のためのクロ
ック信号に同期した雑音がロジック回路から発生され、
この雑音は再生信号に悪影響を及ぼすことになる。
【0013】ここで、回転ドラム上で必要な各種クロッ
ク信号や消去信号等の単一周波数信号は、用途に応じて
別々に発振器で生成することも可能であるが、発振器に
使用する素子は、一般的には小型化することが難しいの
で、この発振器を回転ドラム上に搭載することは困難に
なる。また、様々な単一周波数信号は、回転ドラムの外
部から各々伝送することも可能であるが、単一周波数信
号毎に回転トランスやスリップリングを1段ずつ割り当
ててしまうと、それだけでコストが上がることになる。
【0014】また、磁気テープの磁性層に残る磁化の深
さは波長に比例する傾向にあるため、消去周波数が高い
場合には長波長の信号を消すことができず、逆に消去周
波数が低い場合には、記録ヘッドによる上書きにも耐え
て残った消去信号が記録信号によって変調されて再生可
能な周波数に変換されてしまう。つまり、理論的に全く
問題のない消去周波数は存在せず、条件に応じて最も適
した周波数を選ばなくてはならない。この条件とは、変
調方式は勿論、磁性層の厚み及びギャップ幅等も含まれ
るので、消去周波数は可変であることが望ましい。一般
的に、消去信号はステーター側に設けられた発振器から
回転トランスの専用段等によって回転ドラム側に供給さ
れる。従って、その発振器で最適な周波数を生成し、電
流値も最適化すればよい。しかし、消去信号専用の伝送
経路を確保する場合には、その伝送経路のための素子が
高価になる。また、回転ドラム上に発振器を備えると周
波数の管理が難しくなるうえ、再生信号へのかぶりも問
題となる。
【0015】そこで、本発明は上述の実情に鑑み、コス
トを上げることなく、簡易に安定した複数の制御信号及
び消去信号を生成することができるディジタル信号記録
装置を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に係るディジタル
信号記録装置は、回転ヘッドを備える回転ドラムに回転
トランスを介して記録データ信号を伝送し、データ記録
を行うディジタル信号記録装置において、回転トランス
を介して1系統の基準クロック信号を回転ドラムに送る
基準クロック伝送手段と、回転消去ヘッドの制御データ
を直列データ信号として変調する信号変調手段と、信号
変調手段にて変調された変調信号を回転トランスを介し
て回転ドラムに伝送する変調信号伝送手段と、伝送され
た変調信号を直列データ信号へと復調する信号復調手段
と、基準クロックを分周して生成される消去信号及び復
調された直列データ信号に含まれる回転消去ヘッドの制
御データに基づいて回転消去ヘッドの動作を制御するこ
とにより、上述した課題を解決する。
【0017】また、本発明に係るディジタル信号記録方
法は、回転ヘッドを備える回転ドラムに回転トランスを
介して記録データ信号を伝送し、データ記録を行うディ
ジタル信号記録方法において、回転トランスを介して1
系統の基準クロック信号を回転ドラムに送り、回転消去
ヘッドの制御データを直列データ信号として変調し、信
号変調手段にて変調された変調信号を回転トランスを介
して回転ドラムに伝送し、伝送された変調信号を直列デ
ータ信号へと復調し、基準クロックを分周して生成され
る消去信号及び復調された直列データ信号に含まれる回
転消去ヘッドの制御データに基づいて回転消去ヘッドの
動作を制御することにより、上述した課題を解決する。
【0018】ここで、基準クロックは、アジマス損失の
零点の周波数に相当する分周比によって分周される。
【0019】また、基準クロックを直接用いて又は分周
して記録データの同期化クロック信号とする。
【0020】また、基準クロックを直接用いて又は分周
して回転ドラム上に搭載された複数の素子間の通信クロ
ック信号とする。
【0021】
【作用】本発明においては、回転トランスを介して回転
ドラムに送られる1系統の基準クロック信号を回転ドラ
ムに送り、基準クロックを直接用いて又は分周して記録
データの同期化クロック信号や、回転ドラム上に搭載さ
れた複数の素子間の通信クロック信号として用い、さら
に基準クロックを分周して生成される消去信号及び復調
された直列データ信号に含まれる回転消去ヘッドの制御
データに基づいて回転消去ヘッドの動作を制御する。
【0022】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例について、図
面を参照しながら説明する。図1には、本発明に係るデ
ィジタル信号記録装置を用いたディジタル信号記録再生
装置の概略的な構成を示す。具体的には1チャンネル当
たりのデータレートが110Mbps(bits per secon
d) のディジタルVTRであって、データ信号の最高基
本周波数は55MHzであるとする。
【0023】記録媒体である図示しない磁気テープは図
示しない回転ドラムに180°巻かれており、データ記
録時には、同一チャンネルの記録信号は180°対向し
て配置された2個の記録ヘッドにより交互に記録され
る。また、データ再生時には、記録ヘッドと同様に18
0°対向して配置された2個の再生ヘッドにより交互に
信号が再生される。図1中の記録ヘッド及び再生ヘッド
に付した記号は記録ヘッドと再生ヘッドとの組合せ対応
を表しており、具体的には、例えば記録ヘッドR1Aが
記録した記録信号は再生ヘッドPB1Aによって再生さ
れ、また、記録ヘッドR1Aと記録ヘッドR2Aとは対
向していることを示す。この対向する1対のヘッドをま
とめて1チャンネルとすると、全部でA、B、C、Dの
4チャンネルをもつので、この実施例のディジタルVT
R全体での記録データレートは440Mbpsとなって
いる。また、回転ドラムの回転数は120rps(revol
ution per second) であり、記録トラック1本当たりの
時間は4.167msとなる。
【0024】このように4チャンネル分の記録ヘッドと
再生ヘッド、及び2個の消去ヘッドの信号出力タイミン
グを図2に示す。2個の消去ヘッドEr1、Er2は、
図2のaに示すタイミングで磁気テープに対して順次信
号記録を行う。また、データ記録時には、A、B、C、
Dの4チャンネル分の2個1対となった記録ヘッドR1
AとR2A、R1BとR2B、R1CとR2C、及びR
1DとR2Dがそれぞれ図2のb、c、d、eに示すタ
イミングで順次信号記録を行い、データ再生時には、上
記4チャンネル分の記録ヘッドに対応する4チャンネル
分の2個1対となった再生ヘッドPB1AとPB2A、
PB1BとPB2B、PB1CとPB2C、及びPB1
DとPB2Dがそれぞれ図2のf、g、h、iに示すタ
イミングで磁気テープから順次信号再生を行う。
【0025】次に、チャンネルAだけに注目して記録系
の説明を行う。
【0026】ディジタル信号処理回路1から入力された
データ信号は、回転トランス3aの1次側、即ちステー
ター側に供給される。この信号は、回転トランス3aの
2次側、即ちローター側に至ると、回転トランス3aの
伝送歪みによりジッタを含んだ波形となるので、回転ト
ランス3aのクロック専用段8aから与えられるクロッ
クを用いて記録アンプ5aに内蔵されたフリップフロッ
プで同期化され、ジッタのない信号に整形される。上記
フリップフロップの出力電圧は電圧電流変換されること
により記録電流が得られ、この記録電流は記録ヘッドR
1Aに供給されることにより磁気テープ上に記録がなさ
れる。このとき、この記録電流は記録アンプ5aの外部
より供給される電流制御信号S6の電圧に比例した値と
なる。
【0027】一方、回転トランス3aの2次側に至った
信号は、上記記録ヘッドR1Aと180°対向した記録
ヘッドR2Aに接続された記録アンプ5cにも供給され
る。この記録アンプ5cの動作は上記記録アンプ5aと
全く同じである。上記記録ヘッドR1Aと記録ヘッドR
2Aとは互いに対向しているので、一方の記録ヘッドが
記録を行っている期間には、他方の記録ヘッドは磁気テ
ープと接触していない。つまり、記録ヘッドR1Aが記
録を行っている最中には記録ヘッドR2Aは空走してお
り、このときに記録ヘッドR2Aには記録電流を流す必
要はない。また、記録ヘッドR1Aと記録ヘッドR2A
とが逆の場合にも同様である。もし、記録ヘッドが空走
しているときに記録電流を流し続けると、回転ドラム上
の消費電力が著しく増えて加熱するうえ、電源経路の雑
音が増えることにより、再生信号の質を劣化させること
にもつながる。このとき、記録ヘッドが磁気テープに接
触した時点で電流をオンにして、磁気テープから離れた
時点で電流をオフにすれば、両方の記録ヘッドが記録し
ない状態になる期間が最短となって効率が良いので、そ
の切り換えタイミングは正確に制御されなくてはならな
い。また、この実施例のディジタルVTRの動作状態が
記録状態でないときには、上記2つの記録ヘッドR1
A、R2A対して記録電流を流さない。
【0028】このような動作を実現するために、各記録
アンプ5a、5cは記録電流をオン/オフする機能を持
っており、その記録電流をオン/オフする機能を制御す
る制御信号が制御信号S5、S7である。即ち、ディジ
タルVTRが記録状態であり、かつ磁気テープが記録ヘ
ッドR1Aと接触している期間だけ制御信号S5がオン
を示すロジックレベル1となり、それ以外はロジックレ
ベルは0となる。記録ヘッドR2Aについても、磁気テ
ープに接触している期間であってディジタルVTRが記
録状態であるときだけ制御信号S7が1となり、それ以
外は0となる。
【0029】次に、上記チャンネルAの記録系に対応す
るチャンネルAの再生系について説明を行う。
【0030】再生系においても、対向した2個の再生ヘ
ッドが1段の回転トランスを交互に利用しているので、
記録系と同様に切り換え制御が必要となる。
【0031】再生ヘッドPB1A、PB2Aは対向して
おり、記録ヘッドR1A、R2Aがそれぞれ記録した磁
気テープ上のトラックをトレースするように配置されて
いる。再生ヘッドPB1Aには再生アンプ41 aが接続
されており、再生ヘッドPB1Aの出力信号を増幅して
電圧として出力するが、その出力電圧をオフする機能が
内蔵されている。再生ヘッドPB1Aからの出力電圧が
オフされた状態においては、入力信号を出力端子20に
伝搬しないと同時に、出力端子20をフローティング状
態にする。また、再生ヘッドPB2Aに関しても、再生
アンプ41 aと同様の機能を持つ再生アンプ42 aが接
続されている。この機能により、再生ヘッドPB1A、
PB2Aの内のどちらか一方の再生ヘッドからの出力電
圧を交互に能動状態にすることが可能である。例えば、
再生ヘッドPB1Aが磁気テープと接触している期間
に、再生アンプ41 aをオンにし、再生アンプ42 aを
オフにしておけば、出力端子20は並列に接続された出
力端子21の影響を避けることができる。再生アンプの
雑音は殆ど入力段において発生するので、このような制
御を行わずに単純に加算をしてしまうと、雑音レベルが
3dBも上昇する。このようにして、再生ヘッドPB1
A、PB2Aから得られた出力電圧は、時分割で共用す
る1段の回転トランス2aによってステーター側に伝送
される。
【0032】この切り換え機能を実現するために、再生
アンプ41 a、42 aは制御信号S2、S4によってそ
れぞれ制御される。これらの制御信号S2、S4のロジ
ックレベルが0のときには再生アンプ41 a、42 aか
らの出力はオフされ、ロジックレベルが1のときには再
生アンプ41 a、42 aからの出力はオンにされる。こ
こで、再生ヘッドPB1Aは、記録ヘッドR1Aによっ
て形成された磁気テープ上のトラックをトレースしてい
る期間だけ再生を行わなくてはならない。これは、も
し、この再生期間が記録されたトラックよりも短い場合
には、記録された情報の全てを取り出すことができず、
逆に再生期間が記録されたトラックよりも長い場合に
は、対向する再生ヘッドPB2Aの出力を阻害するため
である。従って、再生アンプ41 a、42 aのオン/オ
フの制御も、記録系の記録アンプ5a、5cのオン/オ
フの制御と同様に正確に制御されなくてはならない。
【0033】次に、消去ヘッドについて説明を行う。
【0034】消去ヘッドは記録ヘッドの4倍の幅を持つ
ので、4トラックをまとめて消去することができる。よ
って、消去ヘッドの個数は記録ヘッドの個数の4分の1
で済み、この実施例においては対向した2個の消去ヘッ
ドが設けられている。
【0035】消去ヘッドEr1には、記録ヘッドと同様
に消去アンプ12が接続されている。この消去アンプ1
2は、例えば記録アンプ5aと全く同じ回路であり、オ
ン/オフの制御信号S9及び電流制御信号S10が入力
される。これらの制御方法は記録系と同様であり、ディ
ジタルVTRが記録状態にあり、かつ消去ヘッドEr1
が磁気テープと接触している期間だけ制御信号S9が1
となり、記録信号の消去が行われる。また、消去電流に
ついても、適正な電流値で消去を行うように、電流制御
信号S10の電圧によって調整している。このとき、デ
ータ記録と異なるのは、上記消去アンプ12に入力され
る信号である。即ち、記録アンプは回転トランスからの
データ信号を入力しているのに対して、消去アンプ12
は回転トランス8aから供給されるクロック信号がロジ
ック回路10内の分周器10eで分周された信号を入力
している。これは、消去信号が記録信号とは異なって単
一周波数の信号であるためである。このロジック回路1
0により、回転トランスを専用に割り当ててステーター
側から消去信号を供給する必要がなくなる。尚、消去信
号の周波数は、変調方式や磁気テープの種類等によりそ
の最適値が異なるので分周値を可変にしている。
【0036】本実施例においては、データの記録電流及
び消去電流をD/A(ディジタル/アナログ)コンバー
タ11から出力される電圧によって制御している。この
D/Aコンバータ11は、1つの集積回路即ちIC(Int
egrated Circuit)として構成されており、分解能が8ビ
ットのD/Aコンバータが12チャンネル分内蔵されて
いる。このD/Aコンバータ11の入力はシフトレジス
タ方式であり、図3にその入力データフォーマットを示
す。
【0037】上記D/Aコンバータ11に入力される入
力線13は、図3のdに示す直列データ信号DASD、
図3のeに示す上記直列データ信号DASDの転送クロ
ック信号DACK、及び図3のfに示す転送終了信号D
ALDの3本である。直列データ信号DASDにはD/
Aコンバータ11のチャンネルを表す4ビットのアドレ
ス及びこのアドレスに書き込まれる8ビットのデータが
時分割で割り振られており、この12ビット分のアドレ
ス及びデータは図3のcに示すデータ信号DA_dat
aの内容で対応している。上記直列データ信号DASD
を取り込むためのクロック信号が転送クロック信号DA
CKであり、この転送クロック信号DACKの各パルス
の立ち上がりによって直列データ信号DASDは1ビッ
トずつ上記D/Aコンバータ11に入力されていく。こ
のようにして合計12ビット分のアドレス及びデータが
上記D/Aコンバータ11に取り込まれた後、転送終了
信号DALDにパルスを印加すれば、その指定されたチ
ャンネルの出力電圧が指定された値に変化する。
【0038】上記D/Aコンバータ11の入力線13が
3本に集約されているのは、回転ドラム上の容積を考慮
して、IC間の結線の本数を減らすためである。また、
この種のD/Aコンバータの消費電力は非常に少ないの
で、回転ドラムに搭載するのに最適である。
【0039】尚、本実施例においては、回転トランス8
aから供給されるクロック信号を2分周して処理クロッ
ク信号CKOを生成し、この処理クロック信号CKOを
ロジック回路10内部の処理クロック信号として用いる
ことにより、制御回路10dにおいて転送される直列デ
ータ信号DASDを生成している。また、上記ロジック
回路10においては、クロック信号をさらに32分周す
ることにより、周期が582nsの転送クロック信号D
ACKを得ている。
【0040】以上、説明してきたように、回転ドラム上
には多くの制御信号のための制御線が必要である。図1
中に示すオン/オフ制御信号のための制御線だけでも1
8本であり、その他に記録ヘッドによる再生機能や再生
アンプの節電スイッチ等の制御を行うための制御線も必
要となる。しかも、これらの制御信号は、回転ドラムの
外部からの設定によって変化させなくてはならない。本
発明のディジタル信号記録装置においては、このように
複雑な制御信号を回転トランス8bの1段のみで伝送さ
れる複合シリアル制御信号、即ちMPX信号と、このM
PX信号の内容を読み取るロジック回路10によって実
現している。
【0041】このMPX信号はシリアルデータであり、
ディジタル信号処理回路1からのデータ信号が、システ
ムコントローラ6によって制御される多重信号処理回路
7で信号処理された後に、回転トランス8bを介して伝
送されるためには、直流及び低域成分を含まない信号で
なくてはならない。実施例においては、これを実現する
ために、図3のbに示す変調信号NRZIを用いた位相
変調方式で変調している。具体的には、この位相変調方
式では1ビット幅を前後半分に分け、データの0は前半
が正で後半が負、データの1は前半が負で後半が正とい
う信号に変調するものである。この位相変調方式により
変調された信号は、正の期間と負の期間とが常に等し
く、デューティー比が50%であるので、この位相変調
方式は低域を除去するためには好都合なものである。
【0042】このMPX信号は、図1に示す回転トラン
ス8bからレベル変換器9を介してロジック回路10に
入力される。また、図3のaに示す記録信号の同期化用
のクロック信号CKも回転トランス8aからレベル変換
器9を介して記録クロック信号CKPとしてロジック回
路10に供給される。これは、MPX信号の伝送クロッ
ク信号として記録信号のクロックを使用しているからで
ある。
【0043】ロジック回路10内の復調器10aは、位
相変調されたMPX信号を復調して変調前の直列データ
列に戻す。このMPX信号の復調について、図4を用い
て以下に説明する。上記復調器10aには、記録信号の
クロックとデータレートとの関係に応じて、モード0、
モード1、及びモード2の3種類のモードが用意されて
いる。モード0ではデータ1ビットが1クロックとな
り、モード2ではデータ1ビットが2クロックとなり、
モード1では1ビットが4クロックとなっている。この
3種類のモードは、記録データのレート、必要とされる
スイッチング時間の分解能、回路の動作速度限界、及び
消費電力等の様々な条件を考慮して選択される。
【0044】先ず、モード0では、復調器10aが、図
4のaに示す記録クロック信号CKPの矢印のタイミン
グで図4のbに示すMPX信号PEINを読み取る。こ
のタイミングにおいてMPX信号PEINの前半及び後
半が読み取られるので、多少の時間を経た後、直列デー
タ列NRZOとして図4のdに示すように、0又は1が
出力される。ここで図3のcに示す処理クロック信号C
KOと記録クロック信号CKPとは同じ周期となってい
る。
【0045】次に、モード2では、データレートがモー
ド0のデータレートの半分になっているので、MPX信
号PEINの前半と後半とは共に同じクロック極性で読
み取られる。この場合には、図4のaに示す記録クロッ
ク信号CKPの立ち上がりエッジによってMPX信号P
EINが読み取られている。また、変調前のデータレー
トは記録クロック信号CKPが2クロックでデータ1ビ
ットであるので、図3のcに示す処理クロック信号CK
Oは記録クロック信号CKPの2倍の周期となってい
る。
【0046】最後に、モード1では、データレートが更
にモード2のデータレートの半分になっているので、M
PX信号PEINの前後半は記録クロック信号CKP2
クロックずつで読み取られ、処理クロック信号CKOは
記録クロック信号CKPの4倍の周期となっている。
【0047】このようにして得られた直列データ列NR
ZOは、図5に示すデータフォーマットとなっており、
図1のデコーダ10bによって解読される。
【0048】図5に示すデータフォーマットの特徴は、
変化させたい制御線の状態だけを伝送すること、複数の
制御線を同時に変化させることができること、及びD/
Aコンバータ11の設定に必要な情報及び消去信号の分
周比を伝送できることである。また、図5に示す3種類
のデータフォーマットをそれぞれ選択するために、1ビ
ットのスタートビットSBと2ビットのモード設定ビッ
トPDを用いている。
【0049】また、上記デコーダ10bから出力される
直列データ列NRZOは、ポート回路10cに入力さ
れ、このポート回路10cからは複数の制御信号が出力
される。これら制御信号のための制御線は機能毎にグル
ープ分けされている。これは、信号線を整理し易くする
ためであり、具体的には、例えばグループ1は記録オン
/オフ制御線、グループ2は再生オン/オフ制御線等に
割り当てて、グループ内のチャンネル番号はデータ記録
及び再生の対応に合わせて統一しておくことにより、一
貫性のあるデータ処理を行うことができる。さらに、後
述するようにグループ番号を省略することも可能とな
り、また、ロジック回路10自体も階層構造によって設
計することができる。
【0050】次に、各データフォーマットについて詳細
に説明する。
【0051】先ず、シングルビットモードについて説明
する。
【0052】従来、データ転送においては、1単位の転
送において全制御線の1又は0の情報を一式転送する方
式が一般的である。この転送されたデータを受信する受
信側では、簡易なシリアルパラレル変換回路及びラッチ
回路を持つことにより、容易にデータ処理を行うことが
できる。ところが、本実施例にように、制御線の本数が
増加してくると、この制御線の本数に比例して1単位の
転送に必要な時間が長くなり、制御線を変化させること
ができる最小時間の単位が長くなってしまう。つまり、
時間軸方向の分解能が劣化したことになる。
【0053】そこで、通常、同時に変化させる制御線は
1本であり、多くても3本程度で、他の制御線は変化し
ないことに注目して、本実施例に示すデータフォーマッ
トでは、各制御線にアドレスを付けておき、変化させた
い制御線のアドレスと1/0の情報だけを送り、1回の
データ転送時間を短くする。1ビットだけの変化である
ならば、最短の11クロックで完結することができる。
また、複数の端子を同時に変化させることも想定し、続
けて送るコマンドを一度に同時に出力することができる
機能も備える。これにより、制御線を3本同時に変化さ
せる場合にも、29クロックでデータ転送し終えること
ができる。
【0054】具体的には、図5のaに示すように、最初
に1ビットのスタートビットSBと、このシングルビッ
トモードの0を示す1ビットのHLビットと制御線の1
(High)/0(Low)を表す1ビットとから成る
モード設定ビットPDの後に、制御線のグループ番号を
表す3ビットのグループビットGP及びこのグループ中
のビット番号を表す3ビットのチャンネルビットCLが
続けられる。また、このチャンネルビットCLの後に、
偶数パリティPEが付加されて転送される。さらに、偶
数パリティPEの後には継続フラグCFが続けられ、例
えばこの継続フラグCFを0(Low)にすることによ
りさらにデータが継続することを示すならば、複数ビッ
トの同時変化を行う場合には上記モード設定ビット内の
HLビットからのシーケンスを繰り返して転送すればよ
い。
【0055】次に、図5のbにマルチビットモードを示
す。このマルチビットモードは分解能は不要であるが、
同時に変化する制御線の本数が多い場合に、1グループ
分の制御線に対して同時に書き込むためのモードであ
る。このマルチビットモードでは、上記シングルビット
モードと同様に、最初に1ビットのスタートビットSB
及び2ビットのモード設定ビットPDを送る。このマル
チビットモードのためのモード設定ビットPDの2ビッ
トは、具体的には1、0の値を持つ。この後、グループ
番号を表す3ビットのグループビットGP、このグルー
プ内の各制御線の状態を表す8ビットのビットパターン
BP、及び1ビットの偶数パリティPEが続けられる。
これにより、グループ内の8本の制御線の1/0を同時
に設定することができる。また、複数のグループを同時
に変化させる場合には、シングルビットモードの場合と
同様に、継続フラグCFを0(Low)にして、ビット
パターンBPを転送する。このとき、少しでも転送時間
を短縮するために、グループビットGPは省略する。
尚、グループ番号としては、継続フラグCFが送られる
ことによって自動的に1が加算されたグループ番号を示
すものである。具体的には、例えばグループ3及びグル
ープ4の制御線を同時に変化させる場合には、グループ
4のためのアドレス情報の転送を省略することができ
る。
【0056】さらに、上述のようなデータフォーマット
によるオン/オフ制御の他に、記録電流の制御や消去信
号の周波数の設定を行うことが必要であり、これらの制
御や設定を行うためのデータフォーマットを図5のc、
dに示す。
【0057】先ず、D/Aコンバータ11には、図5の
cに示すD/Aデータが送られる。このD/Aデータ
も、最初に1ビットのスタートビットSB及び2ビット
のモード設定ビットPDを持つ。このモード設定ビット
PDの2ビットは、具体的には1、1の値を持つ。この
モード設定ビットPDの後に、D/Aコンバータ11の
アドレス、即ちチャンネル番号を示す4ビットのチャン
ネル番号DAN、このチャンネルのデータを示す8ビッ
トのデータDAD、及び1ビットの偶数パリティPEが
続けられる。上記D/Aコンバータ11は12チャンネ
ルを内蔵するものであるので、上記チャンネル番号DA
Nには0〜11の値を任意に設定することができる。
【0058】上記ロジック回路10では、D/Aコンバ
ータ11からのD/Aデータを受信すると、このD/A
データを制御回路10dに送る。このD/Aデータは制
御回路10dによって数値変換及びビット並び換え等の
処理が施され、図4のcに示すデータ信号DA_dat
aのフォーマットで入力線13を介してD/Aコンバー
タ11に入力される。
【0059】一方、消去周波数は、例えば図5のcに示
すD/Aデータのアドレスとして14を指定した場合に
設定することができる。これは、チャンネル番号DAN
が4ビットであるのに対してD/Aコンバータ11は1
2チャンネル分であり、アドレス12〜15の値が空い
ているためである。この消去周波数のためのデータフォ
ーマットは、図5のdの消去データに示すものであり、
1ビットのスタートビットSB及び1、1の値を持つ2
ビットのモード設定ビットPDの後に、2進数で14の
値、具体的には0、1、1、1となる4ビットが続けら
れ、さらに、8ビットの分周値DN及び1ビットの偶数
パリティPEが送られる。尚、データ長が6ビットであ
るのは、分周器10eが6ビット長で作製されているた
めである。
【0060】上記ロジック回路10が図5のdに示す消
去データを受信すると、分周器10eにその消去データ
の値が書き込まれる。消去信号はデューティー比が50
%でなくてはならないので、分周値は設定値のさらに半
分となるようにしている。尚、分周値を0にする場合に
は、消去信号は分周されないまま出力される。また、こ
の分周器10eで使用するクロック信号は復調器10a
で生成される処理クロック信号CKOではなく、回転ト
ランス8aからの記録クロック信号CKPである。
【0061】尚、本実施例においては、制御線のグルー
プ分けを8本単位で行っているが、他の本数でグループ
分けを行ってもよい。また、グループ数を最大8として
グループ番号を表すグループビットに3ビットを割り当
てているが、制御する信号の種類に応じてこのグループ
ビットを3ビット以外のビット数としてもよい。
【0062】また、転送されるMPX信号のデータフォ
ーマットにおいて、スタートビットを0とし、続く2ビ
ットをモード設定ビットに割り当てているが、必ずしも
この構成を採る必要はなく、また、受信されたデータの
確認のための偶数パリティについても、奇数パリティや
パリティ無しとしたり、複数ビットによるパリティを付
加したりするようにしてもよい。
【0063】上記D/Aコンバータは、12チャンネル
内蔵のICを使用しているが、他のチャンネル数のIC
や複数のICを使用した場合にも、12チャンネル内蔵
のICと同様の制御を行うことが可能である。また、消
去信号の分周器は6ビットであるが、必要に応じて6ビ
ット以外のビット数を持ってもよい。
【0064】本実施例においては、回転トランスの低域
遮断をMPX信号の位相変調によって解決しているが、
周波数変調等の他の変調方式を用いたり、あるいは無変
調であってもよい。また、回転トランスではなく、スリ
ップリングによって伝送することも可能である。
【0065】また、回転ドラム上で通信が必要な素子と
してD/Aコンバータだけが使用されているが、他の素
子との通信にも同様に応用することができる。また、通
信の送受方向についても、本実施例に示す方向に限られ
るものではない。
【0066】さらに、ロジック回路を1個のLSI(Lar
ge Scale Integration) 、即ち大規模集積回路として実
現しているが、機能を分けて、部分的にLSIとした
り、複数のICや個別の部品を組み合わせたりすること
によって構成することも可能である。このように機能を
分割した場合には、素子間の通信に共通のクロック信号
を利用することができる。
【0067】本実施例は、回転消去ヘッドを搭載し、ま
た、記録消去電流の設定が可能なVTRであるが、これ
らの機能のいずれか、あるいは両方を有しないVTRに
おいても応用することが可能である。また、これらの機
能が必要であっても、部分的に別の手段を用いて実現す
ることが可能である。
【0068】本実施例においては、消去信号を生成する
際に、記録データ同期化の記録クロック信号を用いてい
るが、これ以外の目的で回転ドラムに供給される単一周
波数信号を元にして消去信号を生成してもよい。
【0069】また、消去信号を得るために分周を行って
いるが、消去信号のより細かな設定を行うために、クロ
ック信号を逓倍する機能を組み合わせて、クロック信号
の整数分の1以外の周波数を得ることも可能である。
【0070】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に係るディジタル信号記録装置及びディジタル信号記
録方法は、回転トランスを介して回転ドラムに送られる
1系統の基準クロック信号を回転ドラムに送り、基準ク
ロックを直接用いて又は分周して記録データの同期化ク
ロック信号や、回転ドラム上に搭載された複数の素子間
の通信クロック信号として用いることにより、回転ドラ
ム上にて必要となる各種基準信号を専用の回転トランス
やスリップリングで供給したり、発振器によって生成し
たりする必要がないため、部品数を削減でき、コストを
削減できる。また、同期化設計を積極的に行うことがで
き、シミュレーション時の検証漏れを防止できるため、
誤動作が少なく、確実に動作を行う回路の設計が容易と
なる。
【0071】さらに、回転ドラム上に搭載された分周器
にて基準クロックを分周して回転ヘッドの消去信号を生
成することにより、消去周波数や消去電流を各種条件に
合わせて自由に選択することができるので、複数種類の
磁気テープに対してそれぞれ最適化した消去信号を生成
できる。また、生成される消去信号は、記録信号と相関
の強い信号となるので、消去信号が再生信号に漏れ込ん
でも、この現象は単純なものとなり、この現象への対策
は容易になる。さらに、基準クロック信号は、周波数精
度が高い信号であるので、消去信号の周波数が安定す
る。また、ステーター側に消去信号を生成する回路が不
要となるのでコストを削減できる。その上、消去信号の
設定が全てディジタル制御となるため、マイクロコンピ
ュータ等による自動制御及び自動設定を行うことが可能
になる。
【0072】また、基準クロックを直接用いて又は分周
して記録データの同期化クロック信号や回転ドラム上に
搭載された複数の素子間の通信クロック信号とすること
により、回転トランスやスリップリングの専用の段を持
たないので、それらの素子を簡略化できる。
【0073】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るディジタル信号記録装置を用いた
ディジタル信号記録再生装置の概略的な構成を示す図で
ある。
【図2】各ヘッドの信号出力タイミングを示す図であ
る。
【図3】D/Aコンバータへの入力データフォーマット
を示す図である。
【図4】位相変調された信号の復調を説明するための図
である。
【図5】MPX信号のデータフォーマットを示す図であ
る。
【図6】従来のアナログVTRの概略的な構成を示す図
である。
【図7】従来のMPX信号のデータフォーマットを示す
図である。
【図8】パーシャルレスポンス・クラスIVの等化手順
を示す図である。
【図9】アジマス損失の周波数特性を示す図である。
【符号の説明】
10 ロジック回路 10a 復調器 10b デコーダ 10c ポート回路 10d 制御回路 10e 分周器 11 D/Aコンバータ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−290802(JP,A) 特開 平6−168402(JP,A) 特開 昭63−268106(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/00 - 5/024 G11B 5/09

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転ヘッドを備える回転ドラムに回転ト
    ランスを介して記録データ信号を伝送し、データ記録を
    行うディジタル信号記録装置において、 上記回転トランスを介して1系統の基準クロック信号を
    上記回転ドラムに送る基準クロック伝送手段と、 回転消去ヘッドの制御データを直列データ信号として変
    調する信号変調手段と、 上記信号変調手段にて変調された変調信号を上記回転ト
    ランスを介して上記回転ドラムに伝送する変調信号伝送
    手段と、 上記伝送された変調信号を上記直列データ信号へと復調
    する信号復調手段とを備え、 上記基準クロックを分周して生成される消去信号及び上
    記信号復調手段により上記復調された直列データ信号に
    含まれる回転消去ヘッドの制御データに基づいて回転消
    去ヘッドの動作を制御すること を特徴とするディジタル
    信号記録装置。
  2. 【請求項2】 上記基準クロックは、アジマス損失の零
    点の周波数に相当する分周比によって分周されることを
    特徴とする請求項1記載のディジタル信号記録装置。
  3. 【請求項3】 上記基準クロックを直接用いて又は分周
    して記録データの同期化クロック信号とすることを特徴
    とする請求項1記載のディジタル信号記録装置。
  4. 【請求項4】 上記基準クロックを直接用いて又は分周
    して上記回転ドラム上に搭載された複数の素子間の通信
    クロック信号とすることを特徴とする請求項1記載のデ
    ィジタル信号記録装置。
  5. 【請求項5】 回転ヘッドを備える回転ドラムに回転ト
    ランスを介して記録データ信号を伝送し、データ記録を
    行うディジタル信号記録方法において、 上記回転トランスを介して1系統の基準クロック信号を
    上記回転ドラムに送り、 回転消去ヘッドの制御データを直列データ信号として変
    調し、 上記信号変調手段にて変調された変調信号を上記回転ト
    ランスを介して上記回 転ドラムに伝送し、 上記伝送された変調信号を上記直列データ信号へと復調
    し、 上記基準クロックを分周して生成される消去信号及び上
    記復調された直列データ信号に含まれる回転消去ヘッド
    の制御データに基づいて回転消去ヘッドの動作を制御す
    ることを特徴とするディジタル信号記録方法。
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