JP3463252B2 - 金属製品へのホットスタンプ印刷方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はエアゾール缶等の金属
製品の印刷方法に関し、さらに詳しくは金属製品の表面
に印刷される紫外線硬化型インキ（以下「ＵＶインキ」
という）と、このＵＶインキ上に接着されるホットスタ
ンピング箔またはホログラム箔との接着力の向上を図っ
た印刷方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、エアゾール缶等の金属容器の表面
に、メタリック感、虹色感を出す手段として、金属容器
の表面に、ＵＶインキを所望の部分に印刷した後、その
上にホットスタンピング箔またはホログラム箔が接着さ
れていた。

【０００３】しかしながら、ＵＶインキ上にホットスタ
ンピング箔またはホログラム箔を接着する場合、従来は
これらの金属箔の裏側に熱可塑性の接着剤を塗布し、こ
の熱可塑性の接着剤とＵＶインキとを接着していたが、
接着力が弱いため、金属箔が後で剥離したりする欠点が
あった。このため、従来は金属箔を接着した後に、透明
なトップコーティングを施すことにより、金属箔の剥離
を防止していた。しかし、金属箔の上からトップコーテ
ィングを施すことは、工程数を増加させると共に、金属
容器の製造価格の上昇になる欠点があった。

【０００４】この発明は、このような従来の課題に着目
してなされたもので、エアゾール缶等の金属容器上に任
意に印刷されたＵＶインキと、このＵＶインキ上に接着
されるホットスタンピング箔あるいはホログラム箔等の
金属箔との接着力の向上を図ることにより、品質におい
て優れた金属製品へのホットスタンプ印刷方法を提供す
ることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するた
め、この発明は金属表面に通常の印刷手段によって任意
の文字、模様などの下地印刷を行い、ついでその上に合
成樹脂のトップコーティングを設け、加熱して該樹脂を
完全硬化せしめた後、前記下地印刷のうち光輝性を付与
したい所望の部分のみに、ポリエステル系樹脂からなる
感熱接着剤を含有する紫外線硬化型インキを印刷し、紫
外線を照射して、紫外線硬化型インキを硬化し、さらに
該紫外線硬化型インキ上、に金属箔と、その裏面に形成
した塩化ビニル系酢酸ビニル系接着剤からなる接着層と
を備えたホットスタンピング箔を、加熱ローラを用い、
温度２２０〜２８０℃により接着することを特徴とする
金属製品へのホットスタンプ印刷方法であり、その実施
例として、このホットスタンピング箔が、ホログラム箔
であることを特徴とするものである。

【０００６】

【作用】以上のような構成をもった、この発明の作用に
ついて説明する。この発明に係る金属製品へのホットス
タンプ印刷方法においては、ＵＶインキ中にポリエステ
ル系樹脂からなる感熱接着剤を分散して混入したから、
ホットスタンピング箔またはホログラム箔を接着する際
に、これらの金属箔の上からローラ等で２２０〜２８０
℃で加熱すると、ＵＶインキ中の感熱接着剤が軟化し、
この感熱接着剤と金属箔の裏面の塩化ビニル系酢酸ビニ
ル系接着剤とが強力に接着する。したがって、ＵＶイン
キ上において金属箔の接着力が向上する。

【０００７】

【実施例】次に、この発明を図面に基づいて説明する。
この発明に係る金属製品へのホットスタンプ印刷方法に
ついて説明する。まず、本発明においては、エアゾール
缶等の金属容器１の表面に通常の段刷手段によって、任
意の文字、模様等の下地印刷２が施されている。下地印
刷２はスクリーン印刷、オフセット印刷等の公知の印刷
手段によって、任意の文字、模様を施せばよい。そし
て、この下地印刷２の上には、熱硬化性樹脂等のトップ
コーティング３が施されている。本発明においてトップ
コーティング３に用いる熱硬化性樹脂は、透明性に優
れ、適度な表面硬度、強度を有するものとして、例えば
エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ
エステル樹脂、アミノ樹脂等がある。また、これらを２
種以上混合して用いてもよい。そして、トップコーティ
ング３の塗布方法は特に限定されるものではなく、例え
ば浸漬法、ロールコーティング法、ハケ塗り法、吹き付
け法等がある。

【０００８】次に、このトップコーティング３の上にグ
ラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の方法
で、ＵＶインキ４を印刷する。ＵＶインキ４としては、
ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポ
リウレタンアクリレート等がある。そして、この発明の
特徴はＵＶインキ４中に、感熱性樹脂４ａを含有する点
にある。感熱接着剤は、多官能性モノマーまたは単官能
性モノマーまたは熱可塑性樹脂のいずれか１種、あるい
はこれらを２種以上混合して得られるものである。多官
能性モノマーとして、ジエチレングリコールジアクリレ
ート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオー
ルジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアク
リレート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメ
チロールプロパントリアクレート、ネオペンチルグリコ
ールジアクリレート等がある。また、単官能性モノマー
として、ヒドロキシルエチルアクリレート、ヒドロキシ
ルプロピルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート
等がある。さらに、熱可塑性樹脂として、ビニル系樹
脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタ
ン系樹脂、スチレン系樹脂等がある。この感熱接着剤４
ａの混合割合は、１〜４０％（重量％）の範囲において
任意に変えることができる。

【０００９】なお、この発明において、ＵＶインキ４自
体は、ホットスタンピング箔５を接着するための接着剤
としての機能を有せず、所望の文字や図柄を隆起する機
能のみを有している。そして、ＵＶインキ４中に分散化
された感熱接着剤４ａが、接着剤としての機能を有す
る。ＵＶインキ４の肉厚は、通常の接着剤と同様１２〜
１８μｍが好ましい。

【００１０】ＵＶインキ４は通常の印刷、例えばスクリ
ーン印刷等によりトップコーティング３上に印刷され、
完全に硬化した後にホットスタンピング箔５を接着す
る。接着は、ホットスタンピング箔５の金属箔５ａ裏面
に形成された接着層５ｂの接着剤と、ＵＶインキ４内に
分散して混入された感熱接着剤４ａとが堅固に接合して
接着される。接着は、ホットスタンピング箔５のベース
フィルム（図示せず）の上からローラ等の加熱体によ
り、ホットスタンピング箔５を加熱・押圧して、接着層
５ｂおよびＵＶインキ４中の感熱接着剤４ａを溶融す
る。

【００１１】接着層５ｂの接着剤は、トップコーティン
グ３上に加熱・押圧しても、トップコーティング３上に
は接着せず、隆起したＵＶインキ４上にのみ接着する。
この接着層５ｂの接着剤は、熱可塑性のものとして塩化
ビニール系酢酸ビニール系の接着剤であることが好まし
い。ホットスタンピング箔５の接着後、ホットスタンピ
ング箔５のベースフィルム、離型層が保護着色層および
蒸着層から分離される。この発明の方法によって接着さ
れたホットスタンピング箔５は、接着層５ｂの接着剤お
よびＵＶインキ４中に含有された感熱接着剤４ａによっ
て、ＵＶインキ４上に確実に接着されるので、耐久性が
あり、容易に剥離脱落するものではない。なお、接着層
５ｂの接着剤はエポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化
性の接着剤であってもよい。

【００１２】次に、図２は他の実施例として、ホットス
タンピング箔５に代えて、ホログラム箔８が、ＵＶイン
キ４上に接着された場合を示している。ホログラム箔８
は、例えばベースフィルム（図示せず）、離型層（図示
せず）、保護着色層８ａ、ホロ層８ｂおよび蒸着層８ｃ
とから構成され、その下側に同様に接着層５ｂが形成さ
れている。本発明の方法によって印刷されたエアゾール
缶等の金属製品は、ホログラム箔の有する虹色と箔材の
金属色とが融合し、かつ下地印刷の色彩とのコントラス
トが著しく鮮やかであり、極めて美麗なものである。

【００１３】図３に示すように、エアゾール缶の表面に
オフセット印刷により、「ｔｐ」の文字のみ白地とは異
なる他色で下地印刷を行い、乾燥後その上からポリエス
テル樹脂のトップコーティング３を行った。そして、加
熱炉内に入れポリエステル樹脂を完全に硬化せしめた。
ついで、トップコーティング３の上に前記下地印刷２の
「ｔｐ」の文字の部分にのみ、感熱接着剤であるポリエ
ステル系樹脂を含有するＵＶインキ４として、ポリエス
テルアクリレートを印刷し、ＵＶを照射して硬化させ、
完全硬化後その上に、ホログラム箔８を接着した。接着
温度は約２５０℃で（２２０℃〜２８０℃での接着が好
ましい）、スタンプスピードが５ｍ／ｍｉｎで行った。
ホログラム箔８の下面に付着された接着層５ｂの接着剤
は塩化ビニル系酢酸ビニル系接着剤を使用した。このよ
うにして印刷されたエアゾール缶は、「ｔｐ」の文字の
部分のみが鮮麗な光沢のある金色であり、極めて美麗な
ものだった。

【００１４】

【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によ
ればホットスタンピング箔あるいはホログラム箔等の金
属箔とＵＶインキとの接着力の向上を図ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る金属製品へのホットスタンプ印
刷方法により、金属製品表面にホットスタンピング箔が
接着される様子を示した拡大断面図。

【図２】この発明に係る金属製品へのホットスタンプ印
刷方法により製造されたホログラム箔の拡大断面図。

【図３】この発明に係る製造方法により造られたスタン
ピング箔付エアゾール缶の斜視図。

【符号の説明】

１ 金属製品 ２ 下地印刷 ３ トップコーティング ４ 紫外線硬化型インキ（ＵＶインキ） ４ａ 感熱接着剤 ５ ホットスタンピング箔 ８ ホログラム箔

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属製品の表面に通常の印刷手段によっ
   て任意の文字、模様などの下地印刷を行い、ついでその
   上に合成樹脂のトップコーティングを設け、加熱して該
   樹脂を完全硬化せしめた後、前記下地印刷のうち光輝性
   を付与したい所望の部分のみに、ポリエステル系樹脂か
   らなる感熱接着剤を含有する紫外線硬化型インキを印刷
   し、紫外線を照射して、紫外線硬化型インキを硬化し、 さらに該紫外線硬化型インキ上に、金属箔と、その裏面
   に形成した塩化ビニル系酢酸ビニル系接着剤からなる接
   着層とを備えたホットスタンピング箔を、加熱ローラを
   用い、温度２２０〜２８０℃により接着することを特徴
   とする金属製品へのホットスタンプ印刷方法。
2. 【請求項２】 前記ホットスタンピング箔が、ホログラ
   ム箔であることを特徴とする請求項１記載のホットスタ
   ンプ印刷方法。