JP3462411B2 - カール部を有する容器 - Google Patents

カール部を有する容器

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルム状の蓋材
が接着されるカール部が開口部の周縁に沿って形成され
た容器に関する。
【0002】
【従来の技術】即席麺やヨーグルト等の食料品や飲料の
容器として、紙製の容器の開口端を、金属や樹脂を積層
して構成されたフィルム状の蓋材にて密封したものが広
く使用されている。この種の容器の開口端には外向きの
カール部が設けられており、そのカール部に蓋材が接着
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、蓋材が接着
されるカール部は容器の開口端を型部材で押し込んで丸
めることにより形成されており、その断面形状はほぼ真
円に近い。従って、蓋材とカール部との接着部分は線接
触に近く、接着剤による接着面積が不足してその接合強
度を十分に確保できないおそれがある。
【0004】また、即席面を入れた発泡スチロール製容
器の開口端に蓋材を接着する従来の製造ラインでは、大
面積の圧板を介して多数の容器に対して蓋材を同時に押
しつけて接着するようにしている。この場合、各容器に
対する圧板の位置精度は良くないが、各容器に加えられ
る圧力は容器自体の弾力変形によって均一化され、これ
により比較的均一な状態での蓋材の接着が可能とされて
いる。したがって、例えば紙製の容器のような弾力性の
乏しい容器に対して従来の製造ラインを用いようとして
も、容器の変形が充分でなく、蓋材が均一に接着できな
いという問題を生ずる。
【0005】そこで、本発明は、蓋材の接着に適したカ
ール部を有する容器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】以下、本発明について説
明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図
面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本
発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0007】請求項1に記載の発明は、坪量150〜4
00g/m2の紙製の容器本体(2)が、開口部の周縁
にカール部(2c)が形成された側壁(2a)と、開口
部に対向する底部(2b)とを備え、カール部(2c)
の容器軸線方向の幅を「A」、カール部(2c)の容器
半径方向の幅を「B」、側壁(2a)の厚みを「t」と
するとき、2t<A<Bの条件を満たし、カール部(2
c)は、容器本体(2)の軸線方向と直交する方向に扁
平な形状をなし、その外周端に罫線(2f)が生じてお
り、容器本体(2)の軸線方向に変形する空間を有する
ことにより、上記の目的が達成される。
【0008】この発明によれば、カール部(2c)の容
器軸線方向の幅を「A」、カール部(2c)の容器半径
方向の幅を「B」、側壁(2a)の厚みを「t」とする
とき、2t<A<Bの条件を満たし、カール部(2c)
は、容器本体(2)の軸線方向と直交する方向に扁平な
形状をなし、その外周端に罫線(2f)が生じており、
容器本体(2)の軸線方向に変形する空間を有するの
で、蓋材(4)をカール部(2c)に接着したときに、
接着剤(5)を介して接合される幅を拡大して蓋材
(4)を所定の強度で確実に接合することができる。ま
た、蓋材(4)を押し付けたときに坪量150〜400
g/m2の紙製の容器本体(2)のカール部(2c)が
容器軸線方向に容易に変形するので、容器の素材として
弾性変形しにくい坪量150〜400g/m2の紙を用
いた場合であっても、発泡スチロール等を素材とする容
器に蓋材を接着するための従来のラインをそのまま用い
ることができるので、経済的である。さらに、カール部
(2c)は扁平に形成され、かつその外周端に罫線(2
f)が生じていることから、その復元力が弱められてい
るので、接着力が弱い場合であってもカール部(2c)
のカールによって蓋材(4)が剥がれなくなる。
【0009】請求項2に記載の発明は、開口部の周縁に
カール部(2c)が形成された側壁(2a)と、開口部
に対向する底部(2b)とを有し、かつ坪量150〜4
00g/m2の紙製の容器本体(2)と、一端側には容
器本体(2)の側壁(2a)に対して接着される接着部
が形成され、側壁(2a)の外側に空間を確保しつつ前
記一端側が容器本体のカール部直下に配置されるスリー
ブ(3)と、を備え、カール部の容器軸線方向の幅を
「A」、前記カール部の容器半径方向の幅を「B」、前
記側壁の厚みを「t」とするとき、2t<A<Bの条件
を満たし、カール部(2c)は、容器本体(2)の軸線
方向と直交する方向に扁平な形状をなし、その外周端に
罫線(2f)が生じており、容器本体(2)の軸線方向
に変形する空間を有することにより、上記の目的が達成
される。
【0010】この発明によれば、カール部(2c)の容
器軸線方向の幅を「A」、カール部(2c)の容器半径
方向の幅を「B」、側壁(2a)の厚みを「t」とする
とき、2t<A<Bの条件を満たし、カール部(2c)
は、容器本体(2)の軸線方向と直交する方向に扁平な
形状をなし、その外周端に罫線(2f)が生じており、
容器本体(2)の軸線方向に変形する空間を有するの
で、蓋材(4)をカール部(2c)に接着したときに、
接着剤(5)を介して接合される幅を拡大して蓋材
(4)を所定の強度で確実に接合することができる。ま
た、蓋材(4)を押し付けたときに坪量150〜400
g/m2の紙製の容器本体(2)のカール部(2c)が
容器軸線方向に容易に変形するので、容器の素材として
弾性変形しにくい坪量150〜400g/m2の紙を用
いた場合であっても、発泡スチロール等を素材とする容
器に蓋材を接着するための従来のラインをそのまま使用
できるので、経済的である。そして、カール部(2c)
は扁平に形成され、かつその外周端に罫線(2f)が生
じていることから、その復元力が弱められているので、
接着力が弱い場合であってもカール部(2c)のカール
によって蓋材(4)が剥がれなくなる。さらに、スリー
ブ(3)の一端側が容器本体のカール部直下に配置され
ているので、スリーブ(3)の一端側が容器本体(2)
の側壁(2a)に対して接着すると同時に、容器本体の
カール部が外側に開くのを防止することができる。
【0011】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載の容器において、カール部(2c)には開口部
を塞ぐフィルム状の蓋材(4)が接着され、蓋材(4)
は、カール部(2c)に対して剥離力が400〜900
gf/15mm幅の範囲となるような接着力で接着され
ている。
【0012】この発明によれば、接着剤(5)を介して
接合される蓋材(4)およびカール部(2c)の接合幅
を拡大して蓋材(4)を所定の強度で確実に接合するこ
とができる。また、蓋材(4)は、カール部(2c)に
対して剥離力が400〜900gf/15mm幅の範囲
となるような接着力で接着されているので、蓋材(4)
を一部剥がした状態でカップ本体(2)内に熱湯を注
ぎ、一定時間経過後に蓋材(4)を取り除く場合等に好
適である。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明により製造される容
器としての紙カップを、図2はその紙カップの製造手順
の概略をそれぞれ示している。
【0014】これらの図に示すように、紙カップ1は容
器本体としてのカップ本体2とその外周を覆うスリーブ
3とを組み合わせて構成される。カップ本体2は側壁2
aと底部2bとを有する略円錐台形に形成される。カッ
プ本体2の口部には外側に向かってカール部2cが形成
される。カール部2cの成形後、側壁2aにリブ2d,
2eがそれぞれ紙カップ1の半径方向内側または外側に
膨らむように形成される。リブ2dはカップ本体2への
注入物(例えば湯)の適量位置を示すピーター線として
設けられている。一方、リブ2eはカップ本体2を補強
するために設けられる。リブ2eはリブ2dよりも幾ら
か大きく形成される。リブ2d,2eはスリーブ3の内
面と接触しないようにそれぞれの突出量が定められる。
カップ本体2の素材には例えば坪量150〜400g/
2の紙が使用され、少なくともその内面は耐熱性や耐
水性を高めるための被覆層(例えばポリエチレン層)に
て覆われる。
【0015】スリーブ3は紙カップ1の断熱性を高める
ために設けられる。図2から明らかなように、扇形のブ
ランク3′の両端部3c、3cを貼り合わせ、下端に内
向きのカール部3aを形成してスリーブ3が形成され
る。そして、カップ本体2のカール部2cの直下に設定
された所定の接着範囲(図2のハッチング領域)BDに
接着剤6を塗布してカップ本体2とスリーブ3とを組み
合わせ、スリーブ3の上端部3bとカップ本体2の側壁
2aとを相互に接着して紙カップ1が形成される。接着
範囲BDはリブ2dを含まないように設定される。スリ
ーブ3の素材には例えば坪量150〜400g/m2
紙が用いられる。なお、スリーブ3は特に湯や水に触れ
ないため、カップ本体2のような被覆層は省略してもよ
い。
【0016】図3に示すように、カール部2cの断面形
状は、真円をカップ2の軸線方向(図3の上下方向)に
押し潰したような形状、換言すればカップ2の軸線方向
と直交する方向に扁平な形状であり、その外周端には罫
線2fが薄く生じている。そして、カップ本体2の厚さ
をtとしたとき、カール部2cの軸線方向の高さAと、
それに直交する方向の幅Bとの間には下式(1)の関係
がある。
【0017】
【数1】 2t<A<B ……(1) すなわち、カール部2cの高さAは、カップ本体2の厚
さtの2倍よりも大きくカール部2cの幅Bよりも小さ
い。このようにカール部2cを扁平な形状に形成すれ
ば、カール部2cにフィルム状の蓋材4を貼り付けると
き、カール部2cと蓋材4とが接着剤5を介して接合さ
れる幅Cを拡大して蓋材4を所定の強度で確実に接合す
ることができる。また、カール部2cは扁平に形成され
その復元力が弱められているので、接着力が弱い場合で
あってもカール部2cのカールによって蓋材4が剥がれ
なくなる。
【0018】さらに、扁平な形状とされたカール部2c
は、上下方向の圧力に応じて容易に変形する。このた
め、従来型の発泡スチロール製の容器を本実施の形態の
容器に置き換えた場合に、蓋材の接着工程に用いられる
従来のラインをそのまま使用することができ、製造ライ
ンのための新たなコストを発生させない。
【0019】なお、接合強度の好適範囲はカップ本体2
の内部に収容される物品の種類に応じて変化する。一例
として、即席麺のように蓋材4を一部剥がした状態でカ
ップ本体2内に熱湯を注ぎ、一定時間経過後に蓋材4を
取り除く場合には、カール部2cの周方向の長さ15m
mにつき、蓋材4を剥離する力が400〜900gfと
なるように、すなわち剥離力が400〜900gf/1
5mm幅となるように、接合強度を設定するとよい。
【0020】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、カール
部の容器軸線方向の幅を「A」、カール部の容器半径方
向の幅を「B」、側壁の厚みを「t」とするとき、2t
<A<Bの条件を満たし、カール部は、容器本体の軸線
方向と直交する方向に扁平な形状をなし、その外周端に
罫線が生じており、容器本体の軸線方向に変形する空間
を有するので、蓋材をカール部に接着したときに、接着
剤を介して接合される幅を拡大して蓋材を所定の強度で
確実に接合することができる。また、蓋材を押し付けた
ときに坪量150〜400g/m2の紙製の容器本体の
カール部が容器軸線方向に容易に変形するので、容器の
素材として弾性変形しにくい坪量150〜400g/m
2の紙を用いた場合であっても、発泡スチロール等を素
材とする容器に蓋材を接着するための従来のラインをそ
のまま用いることができるので、経済的である。さら
に、カール部は扁平に形成され、かつその外周端に罫線
が生じていることから、その復元力が弱められているの
で、接着力が弱い場合であってもカール部のカールによ
って蓋材が剥がれなくなる。
【0021】請求項2に記載の発明によれば、カール部
の容器軸線方向の幅を「A」、カール部の容器半径方向
の幅を「B」、側壁の厚みを「t」とするとき、2t<
A<Bの条件を満たし、カール部は、容器本体の軸線方
向と直交する方向に扁平な形状をなし、その外周端に罫
線が生じており、容器本体の軸線方向に変形する空間を
有するので、蓋材をカール部に接着したときに、接着剤
を介して接合される幅を拡大して蓋材を所定の強度で確
実に接合することができる。また、蓋材を押し付けたと
きに坪量150〜400g/m2の紙製の容器本体のカ
ール部が容器軸線方向に容易に変形するので、容器の素
材として弾性変形しにくい坪量150〜400g/m2
の紙を用いた場合であっても、発泡スチロール等を素材
とする容器に蓋材を接着するための従来のラインをその
まま使用できるので、経済的である。そして、カール部
は扁平に形成され、かつその外周端に罫線が生じている
ことから、その復元力が弱められているので、接着力が
弱い場合であってもカール部のカールによって蓋材が剥
がれなくなる。さらに、スリーブの一端側が容器本体の
カール部直下に配置されているので、スリーブの一端側
が容器本体の側壁に対して接着すると同時に、容器本体
のカール部が外側に開くのを防止することができる。
【0022】請求項3に記載の発明によれば、接着剤を
介して接合される蓋材およびカール部の接合幅を拡大し
て蓋材を所定の強度で確実に接合することができる。ま
た、蓋材は、カール部に対して剥離力が400〜900
gf/15mm幅の範囲となるような接着力で接着され
ているので、蓋材を一部剥がした状態でカップ本体内に
熱湯を注ぎ、一定時間経過後に蓋材を取り除く場合等に
好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるカール部を有する容器の一実施の
形態を示す平面図。
【図2】図1の容器の製造工程を示す図。
【図3】カール部付近を示す断面図。
【符号の説明】
1 紙カップ 2 カップ本体 2a 側壁 2b 底部 2c カール部 3 スリーブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平井 裕一 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 望月 洋一 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 山下 孝典 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 遠藤 憲一 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−298206(JP,A) 特開 平7−187169(JP,A) 特開 平10−287376(JP,A) 特開 平2−166066(JP,A) 特開 昭63−191777(JP,A) 実開 平6−27526(JP,U) 実開 昭51−74178(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B65D 77/20 B65D 3/06 B65D 3/28

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 坪量150〜400g/m2の紙製の容
    器本体が、開口部の周縁にカール部が形成された側壁
    と、前記開口部に対向する底部とを備え、 前記カール部の容器軸線方向の幅を「A」、前記カール
    部の容器半径方向の幅を「B」、前記側壁の厚みを
    「t」とするとき、 2t<A<B の条件を満たし、 前記カール部は、前記容器本体の軸線方向と直交する方
    向に扁平な形状をなし、その外周端に罫線が生じてお
    り、前記容器本体の軸線方向に変形する空間を有するこ
    とを特徴とする容器。
  2. 【請求項2】 開口部の周縁にカール部が形成された側
    壁と、前記開口部に対向する底部とを有し、かつ坪量1
    50〜400g/m2の紙製の容器本体と、 一端側には前記容器本体の前記側壁に対して接着される
    接着部が形成され、前記側壁の外側に空間を確保しつつ
    前記一端側が前記容器本体の前記カール部直下に配置さ
    れるスリーブと、を備え、 前記カール部の容器軸線方向の幅を「A」、前記カール
    部の容器半径方向の幅を「B」、前記側壁の厚みを
    「t」とするとき、 2t<A<B の条件を満たし、 前記カール部は、前記容器本体の軸線方向と直交する方
    向に扁平な形状をなし、その外周端に罫線が生じてお
    り、前記容器本体の軸線方向に変形する空間を有するこ
    とを特徴とする容器。
  3. 【請求項3】 前記カール部には前記開口部を塞ぐフィ
    ルム状の蓋材が接着され、前記蓋材は、前記カール部に
    対して剥離力が400〜900gf/15mm幅の範囲
    となるような接着力で接着されていることを特徴とする
    請求項1または2に記載の容器。
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