JP3461145B2 - 電子放出素子及びこれを用いた表示装置 - Google Patents

電子放出素子及びこれを用いた表示装置

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JP3461145B2
JP3461145B2 JP24221299A JP24221299A JP3461145B2 JP 3461145 B2 JP3461145 B2 JP 3461145B2 JP 24221299 A JP24221299 A JP 24221299A JP 24221299 A JP24221299 A JP 24221299A JP 3461145 B2 JP3461145 B2 JP 3461145B2
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  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子及び
これを用いた表示装置に関し、特に電子放出素子の複数
を例えばマトリクス状などの画像表示配列にしたフラッ
トパネルディスプレイ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からフラットパネルディスプレイ装
置として電界電子放出素子のFED(field emission d
isplay)が、陰極の加熱を必要としない冷陰極の電子放
出源のアレイを備えた平面形発光ディスプレイとして知
られている。例えば、spindt形冷陰極を用いたFEDの
発光原理は、冷陰極アレイが異なるもののCRT(cath
ode ray tube)と同様に、陰極から離間したゲート電極
により電子を真空中に引出し、透明陽極に塗布された蛍
光体に衝突させて、発光させるものである。
【0003】しかしながら、この電界放出源は、微細な
spindt型冷陰極の製造工程が複雑で、その工程数が多い
ので、製造歩留りが低いといった問題がある。また、面
電子源として金属−絶縁体−金属(MIM)構造の電子
放出素子がある。このMIM構造の電子放出素子は、基
板上に陰極としてのAl層、膜厚10nm程度のAl2
O3絶縁体層、膜厚10nm程度の陽極としてのAu層
を順に形成した構造を有するものがある。これを真空中
で対向電極の下に配置して下部Al層と上部Au層の間
に電圧を印加するとともに対向電極に加速電圧を印加す
ると、電子の一部が上部Au層から真空中へ飛び出し対
向電極に達する。この発光素子でも電子を対向電極に塗
布された蛍光体に衝突させて、発光させる。
【0004】しかしながら、MIM構造の電子放出素子
を用いてもまだ放出電子の量は十分とはいえない。これ
を改善するために、従来のAl23絶縁体層の膜厚を数
nm程度薄膜化したり、極薄膜のAl23絶縁体層の膜
質及びAl23絶縁体層と上部Au層の界面を、より均
一化することが必要であると考えられている。
【0005】例えば、特開平7−65710号に記載の
発明のように、絶縁体層のさらなる薄膜化及び均一化の
ために陽極酸化法を用いて、化成電流を制御することに
より電子放出特性を向上させる試みがなされている。し
かしながら、このような方法で製造されたMIM構造の
電子放出素子でも、まだ放出電流は1×10-5A/cm2
程度で、電子放出効率は0.1%程度にすぎない。
【0006】絶縁体層の膜厚が数十nm〜数μmと厚い
MIM型電子放出素子では平面的に均一なフォーミング
状態が得られず、電子放出特性が不安定という問題があ
る。また、他の電子放出素子として、絶縁基板上に設け
られた対向電極間に導電性薄膜を架設して通電処理によ
り、亀裂からなる電子放出部を導電性薄膜内に設ける表
面伝導型電子放出素子がある。この亀裂は導電性薄膜を
局所的に破壊、変質又は変形させたものであり、このた
め電子放出部内部の均一性や形状の再現性が悪い、電子
放出部の形状が線状に限定されてしまうなどの問題があ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の事情
に鑑みてなされたものであり、低い電圧で安定して電子
放出することのできる電子放出素子及びこれを用いたフ
ラットパネルディスプレイ装置などの表示装置を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の電子放出素子
は、金属若しくは金属化合物又は半導体からなる電子供
給層、前記電子供給層上に形成された絶縁体層、及び前
記絶縁体層上に形成された金属薄膜電極からなり、前記
電子供給層及び前記金属薄膜電極間に電界が印加された
とき電子を放出する電子放出素子であって、前記絶縁体
層及び前記金属薄膜電極は、それらの膜厚が漸次減少す
る少なくとも1つの島領域を有していることを特徴とす
る。
【0009】本発明の電子放出素子においては、前記島
領域が電子放出部となっていることを特徴とする。本発
明の電子放出素子においては、前記絶縁体層は誘電体か
らなり、前記島領域以外では50nm以上の膜厚を有す
ることを特徴とする。本発明の電子放出素子において
は、前記島領域における前記金属薄膜電極が前記絶縁体
層上で終端していることを特徴とする。
【0010】本発明の電子放出素子においては、前記島
領域における前記絶縁体層が前記電子供給層上で終端し
ていることを特徴とする。本発明の電子放出素子におい
ては、前記島領域は前記金属薄膜電極の平坦表面におけ
る凹部であることを特徴とする。本発明の電子放出素子
においては、前記絶縁体層及び前記金属薄膜電極は、物
理堆積法又は化学堆積法で積層されることを特徴とす
る。
【0011】本発明の電子放出素子においては、前記島
領域において微粒子を備えていることを特徴とする。本
発明の電子放出素子においては、前記島領域において逆
テーパブロックを備えていることを特徴とする。本発明
の電子放出素子の製造方法は、絶縁体層及び金属薄膜電
極の膜厚が漸次減少する複数の島領域を有している電子
放出素子の製造方法であって、基板上に電子供給層を形
成する電子供給層形成工程と、複数の微粒子を前記電子
供給層上に散布する微粒子散布工程と、前記電子供給層
及び前記微粒子上に絶縁体を堆積させ、絶縁体の薄膜か
らなる絶縁体層を形成する絶縁体形成工程と、前記絶縁
体層及び前記微粒子上に金属薄膜電極を形成して、前記
微粒子下の接触面周囲に島領域を形成する金属薄膜電極
形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】本発明の電子放出素子の製造方法において
は、前記金属薄膜電極形成工程の後に、前記微粒子を除
去する微粒子除去工程を含むことを特徴とする。本発明
の電子放出素子の製造方法においては、前記金属薄膜電
極形成工程の後又は前記微粒子除去工程の後に、前記電
子供給層と前記金属薄膜電極との間に電圧を印加する導
電経路成長工程を含むことを特徴とする。
【0013】また、本発明の電子放出素子の製造方法
は、絶縁体層及び金属薄膜電極の膜厚が漸次減少する複
数の島領域を有している電子放出素子の製造方法であっ
て、基板上に電子供給層を形成する電子供給層形成工程
と、各々が前記基板の法線方向に突出しかつその上部に
前記基板に平行な方向に突出するオーバーハング部を有
する電気絶縁性の逆テーパブロックを形成するブロック
形成工程と、前記電子供給層上に絶縁体を堆積させ、絶
縁体の薄膜からなる絶縁体層を形成する絶縁体形成工程
と、前記絶縁体層上に金属薄膜電極を形成して、前記逆
テーパブロック下の接触面周囲に島領域を形成する金属
薄膜電極形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】本発明の電子放出素子の製造方法において
は、前記金属薄膜電極形成工程の後に、前記逆テーパブ
ロックを除去するリフトオフ工程を含むことを特徴とす
る。本発明の電子放出素子の製造方法においては、前記
金属薄膜電極形成工程の後又は前記リフトオフ工程の後
に、前記電子供給層と前記金属薄膜電極との間に電圧を
印加する導電経路成長工程を含むことを特徴とする。
【0015】本発明の電子放出素子の製造方法において
は、前記ブロック形成工程は、前記基板上に逆テーパブ
ロック材料層を成膜し、その上にフォトリソグラフィ法
によって少なくとも前記電子供給層の一部分を露出せし
めるレジストマスクを形成し、ドライエッチング法又は
ウエットエッチング法によって前記オーバーハング部を
有する逆テーパブロックを食刻する工程を含むことを特
徴とする。
【0016】さらに、本発明の電子放出素子を用いた表
示装置は、真空空間を挾み対向する一対の第1及び第2
基板と、前記第1基板に設けられた複数の電子放出素子
と、前記第2基板内に設けられたコレクタ電極と、前記
コレクタ電極上に形成された蛍光体層と、からなる表示
装置であって、前記電子放出素子の各々は、オーミック
電極上に形成された電子供給層上に形成された絶縁体
層、及び前記絶縁体層上に形成された金属薄膜電極から
なり、前記絶縁体層及び前記金属薄膜電極は、それらの
膜厚が漸次減少する島領域を有していることを特徴とす
る。
【0017】本発明の表示装置においては、前記絶縁体
層は誘電体からなり、前記島領域以外では50nm以上
の膜厚を有することを特徴とする。本発明の表示装置に
おいては、前記島領域における前記金属薄膜電極が前記
絶縁体層上で終端していることを特徴とする。本発明の
表示装置においては、前記島領域における前記絶縁体層
が前記電子供給層上で終端していることを特徴とする。
【0018】本発明の表示装置においては、前記島領域
は前記金属薄膜電極の平坦表面における凹部であること
を特徴とする。本発明の表示装置においては、前記絶縁
体層及び前記金属薄膜電極は、物理堆積法又は化学堆積
法で積層されることを特徴とする。本発明の表示装置に
おいては、前記金属薄膜電極の複数の上にバスラインが
形成され、前記オーミック電極及び前記バスラインはそ
れぞれストライプ状の電極でありかつ互いに直交する位
置に配列されていることを特徴とする。
【0019】
【作用】以上の構成により本発明によれば、絶縁体層及
び金属薄膜電極の島状の一部分がその界面が延在する方
向においてそれらの膜厚が漸次減少するので、その島領
域から放出される電子の量が増加する電子放出素子とな
る。さらに、本発明の電子放出素子では、絶縁体層は厚
い膜厚を有するのでスルーホールが発生しにくいので製
造歩留まりが向上する。また、本発明の電子放出素子
は、画素バルブの発光源、電子顕微鏡の電子放出源、真
空マイクロエレクトロニクス素子などの高速素子に応用
でき、さらに面状又は点状の電子放出ダイオードとし
て、ミリ波又はサブミリ波の電磁波を放出する発光ダイ
オード又はレーザダイオードとして、さらには高速スイ
ッチング素子として動作可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参
照しつつ説明する。図1に示すように、本実施例の電子
放出素子Sは、ガラスの素子基板10上に例えば、アル
ミニウム(Al)、タングステン(W)、窒化チタン
(TiN)、銅(Cu)、クロム(Cr)などからなる
オーミック電極11を形成し、その上に金属若しくは金
属化合物又はシリコン(Si)などの半導体からなる電
子供給層12を形成し、その上にSiOx(X=0.1
〜2.0)などからなる絶縁体層13を積層し、その上
に例えば白金(Pt)、金(Au)などの金属薄膜電極
15を積層して構成される。特に、絶縁体層13は誘電
体からなり、その平坦部は50nm以上の極めて厚い膜
厚を有する。これらの層は、スパッタリング法を通し
て、Ar,Kr,Xeあるいはそれらの混合ガス、又は
これらの希ガスを主成分としO2,N2などを混入した
混合ガスを用いてガス圧 0.1〜 100mTorr好ましくは 0.
1〜20mTorr、成膜レート 0.1〜1000nm/min好ましくは
0.5〜 100nm/minのスパッタ条件で成膜される。
【0021】さらに、絶縁体層13及び金属薄膜電極1
5には、それらの膜厚がその中央に向け共に漸次減少す
る島領域14が形成されている。図1に示すように、島
領域14は金属薄膜電極15の平坦表面における円形凹
部として形成されている。島領域14においては、金属
薄膜電極15が絶縁体層13上の縁部Aで終端してい
る。また、島領域14における絶縁体層13は電子供給
層12上の縁部Bで終端している。
【0022】凹部である島領域14は、以下のように形
成される。まず、図2に示すように、オーミック電極1
1が形成された基板10上にスパッタリングにより電子
供給層12を形成する。その後に、図3に示すように、
電子供給層12の上に複数の球状の微粒子20を散布す
る。微粒子の形状は球状でなくても電子放出は得られる
が、微粒子の粒界部分の均一性や膜上への均一な分散、
凝集が無いことを考えると、等方的な形状である液晶用
スペーサ、ボールミルなどの真球状粒子が望ましい。ま
た、粒子径分布は小さい方がよい。微粒子の材質は絶縁
体、半導体、金属が用いられ得る。金属微粒子を用いる
場合、素子がショートしてしまう可能性があるので、金
属薄膜電極15を成膜後、微粒子を取り除いた方がよ
い。
【0023】次に、図4に示すように、電子供給層12
及び微粒子20上に絶縁体13、13aを堆積させ、絶
縁体の薄膜からなる絶縁体層13を形成する。ここで、
電子供給層12及び微粒子20の接触部分の周りには絶
縁体が回り込み、絶縁体層13の所定膜厚から漸次膜厚
が減少する絶縁体層部分が形成される。膜厚が漸次減少
する絶縁体層部分は島領域14における電子供給層12
上の縁部Bで終端する。
【0024】次に、図5に示すように、絶縁体層13及
び微粒子20上に金属15、15aを堆積させ金属薄膜
電極15を形成する。ここで、金属は絶縁体層13及び
微粒子20間の間隙から電子供給層12及び微粒子20
の接触部分の周りには回り込み、金属薄膜電極15の所
定膜厚から漸次膜厚が減少する金属薄膜電極部分が形成
される。膜厚が漸次減少する金属薄膜電極部分は島領域
14における絶縁体層13上の縁部Aで終端する。すな
わち、微粒子20と絶縁体層13または金属薄膜電極1
5の間に境界(粒界)が存在し、その境界から微粒子と
電子供給層12の接点にむかって、絶縁体層13及び金
属薄膜電極15の膜厚が連続的に薄くなっている。この
ようにして、凹部である島領域14は、絶縁体層13及
び金属薄膜電極15内の微粒子20下の接触面周囲に形
成される。
【0025】この金属薄膜電極形成工程の後に、微粒子
を超音波洗浄などによって除去することによって、図1
に示す陥没した円形凹部の島領域14が形成される。な
お、電子放出素子としては微粒子を残したものでもよ
い。微粒子の直径は、電子放出側の金属薄膜電極表面に
微粒子の形状の一部が露出するような、すなわち完全に
埋没しないような大きさである。微粒子の存在を外部か
ら確認できないほど絶縁体層が厚くなった場合、放出電
流は低下する。
【0026】金属薄膜電極形成工程の後に又は微粒子除
去工程の後に、微粒子の有無にかかわらず、膜厚が漸次
減少する絶縁体層13の部分上に終端する金属薄膜電極
15が形成された島領域14を有する素子基板10に対
し、導電経路成長工程が施され得る。この導電経路成長
工程においては、金属薄膜電極15及び電子供給層12
間に電圧を印加して、所定電流を流す。ここで、絶縁体
層13の縁部Bと金属薄膜電極15の縁部Aとの間の絶
縁体層が高い抵抗率ではあるが電流経路となるいわゆる
サイト部分となっているので、このサイト部分にまず電
流が流れ始める。これによりジュール熱が発生し、絶縁
体層の表面又は内部に導電経路の成長が促進される。
【0027】つぎにサイト部分直下の電子供給層12の
Siは当初高い抵抗率であったものが局部的かつ選択的
に電気抵抗が減少して、この部分にその電流量が増大す
る。これにより導電経路が環状に集中的に一様に成長す
る。このように、Siは最初高抵抗であるために余計な
絶縁破壊を防止することもできる。また、放出電流の安
定化にも寄与している。
【0028】さらに、上記実施例の場合、微粒子20は
電子供給層12に接しているが、図6に示すように、微
粒子散布工程の直前に予備絶縁体層13bを予めスパッ
タして形成し、予備絶縁体層13bを介して微粒子20
と電子供給層12とを離してもよい。離れている場合そ
の距離は数十〜数千オングストロームの範囲である。こ
れにより、電子供給層12及び金属薄膜電極15間の短
絡が防止できる。
【0029】さらにまた、島領域14は微粒子によるク
レータ状の凹部に限定されず、図7及び図9に示すよう
に、島領域は溝状の凹部14a及びコーン状の凹部14
bとしてもよく、矩形などその形状及び形成方法は任意
である。この図7及び図9に示す実施例における溝状の
島領域14a及びコーン状の島領域14bは、図8及び
図10に示すように、それぞれラインもしくはドット状
のテーパーブロック21a及び円柱状の逆テーパブロッ
ク21bを微粒子に代えて用いる以外、前述の島領域の
形成方法と同様の手順で形成される。また、電子放出素
子は、図6に示すように、電子供給層12又は予備絶縁
体層13b上に逆テーパブロック21a及び21bを有
してもよい。逆テーパブロック21a及び21bは電気
絶縁性材料例えばレジストからなり、基板10の法線方
向に突出しかつその上部に基板に平行な方向に突出する
オーバーハング部22a及び22bを有する。
【0030】このように、電子放出素子としては、図
1、図7及び図9に示すように、微粒子20、逆テーパ
ブロック21a及び21bを除去して、凹部である島領
域14の複数が表面に均一に形成されたものであるが、
図5、図6、図8及び図10に示すように微粒子20、
逆テーパーブロック21a及び21bを除去せずに島領
域14の凹部中央にこれらを残したものでもよい。
【0031】この電子放出素子Sの素子基板10を背面
の第1基板として、図1に示すように、これに対向する
ガラスなどの透光性の第2基板1が真空空間4を挾んで
前面基板として保持される。第2基板1の内面にはイン
ジウム錫酸化物(いわゆるITO)、酸化錫(Sn
O)、酸化亜鉛(ZnO)などからなる透光性のコレク
タ電極2と蛍光体層3R,G,Bとが設けられる。素子基板
10の材質はガラスの他に、Al23,Si34、BN
等のセラミックスでも良い。
【0032】電子放出素子は、表面の金属薄膜電極15
を正電位Vdとし裏面のオーミック電極11を接地電位
としたダイオードである。オーミック電極11と金属薄
膜電極15との間に電圧Vd、例えば90V程度印加し
電子供給層12に電子を注入すると、電子は島領域14
において縁部Bから縁部Aに向けて絶縁体層13内を移
動する。島領域14内の金属薄膜電極15付近に達した
電子は、そこで強電界Vcにより一部は金属薄膜電極を
通して、真空中に放出されると推定される。
【0033】この島領域14の凹部から放出された電子
e(放出電流Ie)は、対向したコレクタ電極(透明電
極)2に印加された高い加速電圧Vc例えば5kV程度
によって加速され、コレクタ電極2に集められる。コレ
クタ電極に蛍光体3が塗布されていれば対応する可視光
を発光させる。一般に、絶縁体層の膜厚が数十nm〜数
μmと厚いMIMまたはMIS型電子放出素子は、単純
に素子を製造しただけでは電子放出は得られない。金属
薄膜電極15が正極になるようにオーミック電極11と
の間に電圧を印加する“フォーミング”(forming)とい
う処理が必要である。フォーミング処理はいわゆる絶縁
破壊とは異なり、電極材料の絶縁体層への拡散、絶縁体
層13中での結晶化、フィラメントと呼ばれる導電経路
の成長、絶縁体組成の化学量論的なズレなど、いろいろ
な説があるが、いまだに明確には解明されていない。こ
のフォーミング処理は制御性が非常に悪く、素子を安定
的に再現性良く製造することが難しい。また、フォーミ
ングサイトは電極面内に偶発的に成長するという側面が
あるため、電子放出の起点(電子放出源)の特定ができ
ない。すなわち素子表面に均一に電子放出の起点を形成
することができないので、電子放出パターンの均一性は
著しく悪いものとなってしまう。
【0034】本実施例の電子放出素子では、局所的に絶
縁体層13の膜厚が漸次薄くなっている部分、すなわち
膜厚が共に漸次減少する島領域14を形成し、膜厚が漸
次薄くなっていく絶縁体層13の上に金属薄膜電極15
の縁部を配置し電子放出部を形成した。この素子でも十
分な電子放出が得られるが、さらに導電経路成長工程を
行ってもよい。これによって、電子放出部内部の絶縁体
層部分の表面又は内部に存在する導電性の微細構造が成
長又は増大する。そして、素子を駆動した際にはこの微
細構造に強い電界集中が生じこれをエミッションサイト
として電子放出が起ると推論される。また、粒径、形状
がそろっている微粒子などを用いれば島領域14に大き
さ、形状、状態共に揃った電子放出部を素子表面全体に
均一に形成することができるので電子放出パターンも非
常に良好である。
【0035】電子の放出効率に関しては、素子面内で島
領域14のみが電子放出源かつ導電経路として機能して
いるので、モレ電流などが無く非常に効率の良い電子放
出が得られるものと考えられる。電子放出素子の電子供
給層12の材料としてはSiが特に有効であるが、アモ
ルファスシリコン(a−Si)や、a−Siのダンリン
グボンドを水素(H)で終結させた水素化アモルファス
シリコン(a−Si:H)、さらにSiの一部を炭素
(C)で置換した水素化アモルファスシリコンカーバイ
ド(a−SiC:H)や、Siの一部を窒素(N)で置
換した水素化アモルファスシリコンナイトライド(a−
SiN:H)などの化合物半導体も用いられ、ホウ素、
ガリウム、リン、インジウム、ヒ素又はアンチモンをド
ープしたシリコンも用いられ得る。Siの代わりにゲル
マニウム(Ge)、Ge−Si、炭化シリコン(Si
C)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム
(InP)、セレン化カドミウム(CdSe)又はCu
InTe2など、IV族、III-V族、II-VI族などの単体半
導体及び化合物半導体も電子供給層に用いられ得る。
【0036】又は、電子供給層12の材料としてAl,
Au,Ag,Cuなどの金属でも有効であるが、Sc,
Ti,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Zn,Ga,
Y,Zr,Nb,Mo,Tc,Ru,Rh,Pd,C
d,Ln,Sn,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,
Tl,Pb,La,Ce,Pr,Nd,Nd,Pm,S
m,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Y
b,Luなども用いられ得る。
【0037】絶縁体層13の誘電体材料としては、酸化
珪素SiOx(xは原子比を示す)が特に有効である
が、LiOx,LiNx,NaOx,KOx,RbOx,C
sOx,BeOx,MgOx,MgNx,CaOx,Ca
x,SrOx,BaOx,ScOx,YOx,YNx,La
x,LaNx,CeOx,PrOx,NdOx,SmOx
EuOx,GdOx,TbO x,DyOx,HoOx,Er
x,TmOx,YbOx,LuO x ,TiOx,ZrO x
ZrNx,HfOx,HfNx,ThOx,VOx,VNx
NbOx,NbNx,TaOx,TaNx,CrOx,Cr
x,MoOx,MoNx,WOx,WNx,MnOx,Re
x,FeOx,FeNx,RuOx,OsOx,CoOx
RhOx,IrOx,NiOx,PdOx,PtOx,Cu
x,CuNx,AgOx,AuOx,ZnOx,CdOx
HgOx,BOx,BNx,AlOx,AlNx,GaOx
GaNx,InOx,SiNx,GeOx,SnOx,Pb
x,POx,PNx,AsOx,SbOx,SeOx,Te
xなどの金属酸化物又は金属窒化物でもよい。
【0038】また、LiAlO2,Li2SiO3,Li2
TiO3,Na2Al2234,NaFeO2,Na4SiO
4,K2SiO3,K2TiO3,K2WO4,Rb2Cr
4,CS2CrO4,MgAl24,MgFe24,M
gTiO3,CaTiO3,CaWO4,CaZrO3,S
rFe1219,SrTiO3,SrZrO3,BaAl2
4,BaFe1219,BaTiO3,Y3Al512,Y
3Fe512,LaFeO3,La3Fe512,La2Ti
27,CeSnO4,CeTiO4,Sm3Fe512,E
uFeO3,Eu3Fe512,GdFeO3,Gd3Fe5
12,DyFeO3,Dy3Fe512,HoFeO3,H
3Fe512,ErFeO3,Er3Fe5 12,Tm3
512,LuFeO3,Lu3Fe512,NiTi
3,Al2TiO3,FeTiO3,BaZrO3,Li
ZrO3,MgZrO3,HfTiO4,NH4VO3,A
gVO3,LiVO3,BaNb26,NaNbO3,S
rNb26,KTaO3,NaTaO3,SrTa26
CuCr24,Ag2CrO4,BaCrO4,K2MoO
4,Na2MoO4,NiMoO4,BaWO4,Na2WO
4,SrWO4,MnCr24,MnFe24,MnTi
3,MnWO4,CoFe24,ZnFe24,FeW
4,CoMoO4,CoTiO3,CoWO4,NiFe
24,NiWO4,CuFe24,CuMoO4,CuT
iO3,CuWO4,Ag2MoO4,Ag2WO4,ZnA
24,ZnMoO4,ZnWO4,CdSnO3,Cd
TiO3,CdMoO4,CdWO4,NaAlO2,Mg
Al24,SrAl24,Gd3Ga512,InFeO
3,MgIn24,Al2TiO5,FeTiO3,MgT
iO3,Na2SiO3,CaSiO3,ZrSiO4,K2
GeO3,Li2GeO3,Na2GeO3,Bi2Sn
39,MgSnO3,SrSnO3,PbSiO3,Pb
MoO4,PbTiO3,SnO2−Sb23,CuSe
4,Na2SeO3,ZnSeO3,K2TeO3,K2
eO4,Na2TeO3,Na2TeO4などの金属複合酸
化物、FeS,Al23,MgS,ZnSなどの硫化
物、LiF,MgF2,SmF3などのフッ化物、HgC
l,FeCl2,CrCl3などの塩化物、AgBr,C
uBr,MnBr2などの臭化物、PbI2,CuI,F
eI2などのヨウ化物、又は、SiAlONなどの金属
酸化窒化物でも絶縁体層13の誘電体材料として有効で
ある。
【0039】さらに、絶縁体層13の誘電体材料として
ダイヤモンド,フラーレン(C2n)などの炭素、或いは、
Al43,B4C,CaC2,Cr32,Mo2C,Mo
C,NbC,SiC,TaC,TiC,VC,W2C,
WC,ZrCなどの金属炭化物も有効である。なお、フ
ラーレン(C2n)は炭素原子だけからなりC60に代表さ
れる球面籠状分子でC32〜C960などがあり、また、上
式中、Ox,Nxのxは原子比を表す。
【0040】絶縁体層の島状領域14以外の平坦部分の
厚さは、50nm以上、好ましくは100〜1000n
m程度である。電子放出側の金属薄膜電極15の材料と
してはPt,Au,W,Ru,Irなどの金属が有効で
あるが、Be,C,Al,Si,Sc,Ti,V,C
r,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Y,
Zr,Nb,Mo,Tc,Rh,Pd,Ag,Cd,I
n,Sn,Ta,Re,Os,Tl,Pb,La,C
e,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,D
y,Ho,Er,Tm,Yb,Luなども用いられ得
る。
【0041】またこれらの電子放出素子製造における成
膜法としては物理堆積法又は化学堆積法が用いられる。
物理堆積法はPVD(physical vapor deposition)法
として知られ、これには真空蒸着法、分子線エピタキシ
ー(molecular beam epitaxy)法、スパッタリング法、
イオン化蒸着法、レーザアブレーション法などがある。
化学堆積法はCVD(chemical vapor deposition)法
として知られ、これには熱CVD法、プラズマCVD
法、MOCVD(metal-organic chemical vapordeposi
tion)法などがある。これらの中で、スパッタリング法
が特に有効である。
【0042】具体的に、SiにB(ボロン)を添加した
電子供給層を用い、本発明による電子放出素子を作製
し、それらの特性を調べた。まず、清浄に洗浄した平滑
なガラス基板を充分に乾燥させ背面基板とし、その一方
の面に、窒素を導入した反応スパッタリング法によりT
iNのオーミック電極を厚さ220nm、その上にBを
0.15atm%の割合で添加したSiの電子供給層を
5000nm成膜した電子供給層基板を複数作製した。
【0043】第1実施例として、図5に示すように、電
子供給層基板の電子供給層上に微粒子を散布した微粒子
散布基板を作製した。本実施例では微粒子直径は1.0
μmの真球状微粒子(以下、単にスペーサともいう)を
用いた。微粒子材質はSiO 2で、粒径の粒子径分布範
囲は非常に小さいものであった。微粒子の散布には液晶
表示素子のスペーサ散布と同じ公知の方法を用いた。散
布方法に湿式と乾式があるが、本素子では湿式法で散布
した。
【0044】球状微粒子をエチルアルコールに分散さ
せ、凝集しない様に充分攪拌した。この分散液を上記の
Si電子供給層上にスピンコート法で塗布し、その後、
エチルアルコールを除去した。これによってSi電子供
給層上に球状微粒子が均一に塗布された。微粒子のSi
電子供給層上での分布密度は略140(個/mm2)で
あった。このようして、微粒子付き凹部島領域を有する
微粒子散布基板を複数作製した。
【0045】また、第2実施例として、図6に示すよう
に、予備絶縁体層を介して微粒子と電子供給層とを離間
させた微粒子散布基板を作製するために、微粒子散布工
程の直前にSiO2の予備絶縁体層を50nmの膜厚で
予めスパッタして形成した以外、上記第1実施例と同様
な構成の予備絶縁体層付きの微粒子散布基板を複数作製
した。
【0046】さらにまた、第3実施例として、図8に示
すように、上記の電子供給層基板の電子供給層上に逆テ
ーパーブロックを形成したブロック基板を複数作製し
た。逆テーパーブロック材料のレジストにノボラック系
フォトレジストを用いた。レジストの塗布には、広く一
般に用いられている手法であるスピンコート法を用い
た。レジストを塗布後、フォトマスクを用いプリベー
ク、露光、ポストベーク、現像の工程を経て、Si電子
供給層上に所望のレジストパターンを形成する。このと
き形成するパターンの形状は任意であるが、後に成膜す
る絶縁体層に完全に埋没しないだけのSi電子供給層か
らの高さを必要とする。本実施例では、レジストからな
る幅5000nm、高さ4000nmのライン構造の逆
テーパーブロック又は直径2.0μm、高さ4000n
mの円柱構造の逆テーパブロックをSi電子供給層上に
作成した。今回用いたレジストの逆テーパーブロック
(以下、単にレジストともいう)は横断面が逆テーパー
形状となるものであるが、テーパー角度は任意であり、
またテーパーがかかっていなくとも良い。このようし
て、レジスト付きのブロック基板を複数作製した。
【0047】次に、第1〜第3それぞれの素子基板の電
子供給層上に、酸素を導入した反応スパッタリング法に
よって、SiO2の絶縁体層を330nm成膜した。こ
のとき、球状微粒子及び逆テーパーブロックの突出形状
は表面に露出している。もちろん微粒子及び逆テーパー
ブロックの表面上にSiO2は成膜されていた。微粒子
及び逆テーパーブロックとSi電子供給層とが接してい
る近傍(粒界)は、オーバーハング部の“影”になるの
で、スパッタリングガスの“まわりこみ”によって成膜
されるが、絶縁体層の膜厚は接触領域に向かって徐々に
薄くなっていた。
【0048】次に、金属薄膜電極のパターンのマスクを
SiO2絶縁体層上に取り付け、Ptあるいは、Auの
薄膜をスパッタリング法で10nm成膜して、電子放出
素子の素子基板を複数作製した。この時、絶縁体層を表
面処理せずに金属薄膜電極薄膜を成膜してもよいが、絶
縁体層表面をスパッタエッチングしてから、電極膜を成
膜してもよい。スパッタエッチングによって、微粒子と
絶縁体(又はレジストと絶縁体)の境界部分のエッチン
グや改質を行い、金属薄膜電極成膜時に電極材料がより
効果的に微粒子と絶縁体(又はレジストと絶縁体)の境
界部分にまわりこむため、電子放出がより効果的に起こ
るからである。なお、スパッタエッチングを行うと素子
表面に微粒子の形状を反映したリング状の痕跡が残る。
(又は、レジストパターンを反映したリングあるいはラ
イン状の痕跡が残る。)本実施例ではすべて、スパッタ
エッチングを行ってから、上部の金属薄膜電極の成膜を
行った。
【0049】さらに、第4実施例として、図1に示すよ
うに、上記第1実施例の微粒子分散基板から付着してい
る分散微粒子を除去した微粒子無しの凹部島領域のみの
電子放出素子Sの素子基板を複数作製した。第4実施例
は、上記第1実施例における微粒子付き電子放出素子基
板から、水、アセトン、エタノール、メタノール及びイ
ソプロピルアルコールなどを用いた超音波洗浄によっ
て、分散微粒子及びレジストパターンを除去した以外、
第1実施例と同一工程で作製されたものである。
【0050】さらにまた、第5実施例として、図7に示
すように、上記第3実施例のブロック基板からレジスト
を除去した凹部及び溝のみの電子放出素子Sの素子基板
を複数作製した。第5実施例は、上記第3実施例におけ
るレジスト付き電子放出素子のブロック基板から、水、
アセトン、エタノール、メタノール及びイソプロピルア
ルコールなどを用いた超音波洗浄によって、レジストパ
ターンを除去した以外、第3実施例と同一工程で作製さ
れたものである。
【0051】また、比較例として、分散微粒子及びレジ
ストを設けないこと以外、電子供給層基板から上記実施
例と同様の手順で形成した凹部及び溝なしの電子放出素
子の素子基板を複数作製した。一方、透明ガラス基板1
の内面にITOコレクタ電極及び蛍光体層を形成した透
明基板を作成した。
【0052】これら上記の各種素子基板及び透明基板
を、金属薄膜電極及びコレクタ電極が向かい合うように
平行に5mm離間してスペーサにより保持し、間隙を1
-7Torr又は10-5Paの真空になし、電子放出素
子を組立て、作製した。作製した素子について、金属薄
膜電極及びオーミック電極の間に素子電圧Vpsとして
0〜120V印加して、各素子のダイオード電流Id及
び放出電流Ieを測定した。その結果を、下記の表1に
示す。表中、素子構造は、上記実施例に対応した、オー
ミック電極材料/電子供給層材料/島領域/絶縁体層材
料/金属薄膜電極材料の順に示す。
【0053】
【表1】 表1に示すように、いずれの凹部島状領域を有する電子
放出素子は放出電流が得られていることがわかる。とく
に、第1実施例のTiN/Si+B/スペーサ/SiO2
/(Pt又はAu)の積層構造の素子が、比較例に比し
て放出電流が著しく増加していることが確認された。
【0054】Pt電極を成膜した第1実施例の電子放出
素子及び比較例について、素子電圧Vpsの0から90
V印加したときの電子放出素子のダイオード電流Id及
び放出電流Ieの変化を図11及び図12にそれぞれ示
す。これらの図から凹部島状領域を有する電子放出素子
は放出電流Ieについて、比較例に比して2桁も高い特
性が得られ、放出電流が著しく増加していることが分か
る。この実施例の最大放出電流は6.9×10-3A/cm
2であり、比較例では1.2×10-5A/cm2であった。
また凹部島状領域は平方ミリメートルあたり略140個
あることから計算すると、凹部島状領域1ヶ所から平均
して5.0×10-7Aの電子放出が得られている。ま
た、凹部島状領域を有する電子放出素子は比較例に比し
て、非常に変動の少ない安定した放出電流Ie及びダイ
オ−ド電流Idが得られていることが分かる。
【0055】また、上記実施例の条件で絶縁体層の全体
厚50nm以上の50nm〜1000nmの範囲の膜厚
を有する素子を作製し、それらの絶縁体層膜厚に対する
電子放出効率Ie/(Ie+Id)×100(%)の変
化において、 200V以下の電圧を加えることにより、放
出効率を測定した。その結果、絶縁体層の全体厚50n
m以上の50nm〜1000nmの範囲の膜厚を有する
素子で、0.1%以上の放出効率が得られることも確認
された。
【0056】また、Bを添加しないSi電子供給層単独
の電子放出素子も同様に上記実施例と同様の効果を奏す
る。さらに、上記実施例においては、絶縁体層及び金属
薄膜電極には、それらの膜厚がその中央に向け共に漸次
減少する凹部又は溝状の島領域が形成されている電子放
出素子を説明しているが、かかる島領域における絶縁体
層及び金属薄膜電極の膜厚がその中央から離れて共に漸
次減少するものであってもよい。例えば、更なる実施例
として、図13に示すように、絶縁体層13及び金属薄
膜電極15の膜厚が遮蔽壁20aに向け共に漸次減少す
る島領域14を、溝凹部の側壁の片側に形成することも
できる。
【0057】図13に示すかかる溝凹部である島領域1
4は、次のように形成できる。まず、オーミック電極1
1及び電子供給層12が順に形成された基板10上に、
図8に示すライン状テーパーブロック21aと同様に、
レジストなどからなる遮蔽壁20aを形成する。次に、
スパッタリング法などにより絶縁体層13を形成する。
絶縁体層のスパッタリングの際に、スパッタされた絶縁
体材料の流れの方向に対して基板10の電子供給層12
の面を傾斜して配置することにより、遮蔽壁20aの一
方側に絶縁体材料の堆積量が低い部分、絶縁体層膜厚が
遮蔽壁20aに向け漸次減少する部分を絶縁体層13に
形成する。次に、スパッタされた金属薄膜電極材料の流
れの方向に対して基板10の絶縁体層13面を傾斜して
配置することにより、遮蔽壁20aの一方側に金属薄膜
電極材料の堆積量が低い部分、金属薄膜電極膜厚が遮蔽
壁20aに向け漸次減少する部分を金属薄膜電極15に
形成する。これらの絶縁体層及び金属薄膜電極の傾斜ス
パッタリングにおいて、スパッタされた絶縁体層材料の
流れの基板への入射角θに対して、スパッタされた金属
薄膜電極材料の流れの基板への入射角θ’を大きくする
ように、スパッタリング装置において基板10の角度を
設定すれば、島領域14においては、金属薄膜電極15
が絶縁体層13上の縁部Aで終端する構造が形成でき
る。なお、島領域14における絶縁体層13は電子供給
層12上の縁部Bで終端している。また、遮蔽壁20a
及びその上の堆積物をエッチングなどにより除去し、電
子供給層12が露出した構造とすることもできる。
【0058】またさらに、上記実施例においては島領域
が凹部として形成されているが、島領域は平坦又は凸部
として絶縁体層及び金属薄膜電極の膜厚が漸次減少する
構造とすることができる。例えば、更なる実施例とし
て、図14に示すように、絶縁体層13及び金属薄膜電
極15の膜厚が電子供給層12の山部12aの頂上に向
け共に漸次減少する平坦又は凸部の島領域14を形成す
ることもできる。この平坦又は凸部の島領域14はフォ
トリソグラフィ及びエッチングなどによって形成され
る。電子供給層12の山部12aは山脈として連なって
いても良いが、独立した凹部として点在させて形成して
もよい。この場合においても、島領域14における金属
薄膜電極15が絶縁体層13上の縁部Aで、絶縁体層1
3が電子供給層12上の縁部Bで終端している。また、
電子供給層12の山部12aの頂上に絶縁体層13を覆
い電子供給層12を被覆した構造とすることもできる。
【0059】図15は、実施例の電子放出素子を適用し
たフラットパネルディスプレイ装置を示す。背面基板1
0の真空空間4側内面には、それぞれ平行に伸長する複
数のオーミック電極11が形成されている。オーミック
電極11は、カラーディスプレイパネルとするために
赤、緑、青のR,G,B色信号に応じて3本1組となっ
ており、それぞれに所定信号が印加される。共通のオー
ミック電極11に沿って電子放出素子Sの複数が配置さ
れている。それぞれが平行に伸長する複数のバスライン
16は、隣接する素子の金属薄膜電極15の一部上に、
これらを電気的に接続するために形成され、オーミック
電極11に垂直に伸長して架設されている。オーミック
電極11及びバス電極16の交点が電子放出素子Sに対
応する。よって、本発明の表示装置の駆動方式としては
単純マトリクス方式またはアクティブマトリクス方式が
適用できる。
【0060】図16に示すように、電子放出素子Sはオ
ーミック電極11上に順に形成された電子供給層12、
絶縁体層13及び金属薄膜電極15からなる。この絶縁
体層13及び金属薄膜電極15は、ここでは図示しない
が図1,図5,図6〜図10,図13,図14に示すよ
うに、それらの界面が延在する方向においてそれらの膜
厚が共に漸次減少する島領域の複数を均一に有してい
る。金属薄膜電極15は真空空間4に面している。
【0061】特に、電子放出素子Sの各々を取り囲み複
数の電子放出領域に区画する絶縁性支持部17が形成さ
れている。この絶縁性支持部17はバス電極16を支
え、断線を防止する。すなわち、図16に示すように、
電子放出素子以外の周縁部にあらかじめ絶縁性支持部1
7、或いは電気抵抗の大きい物質を、その後の工程で電
子放出素子を形成した場合の最終的な厚さと同程度に成
膜しておくのである。
【0062】さらに、本実施例では、背面基板10から
真空空間4へ突出するように絶縁性支持部17上に背面
基板側の隔壁RRが形成されている。隔壁RRは所定間
隔で間隔を隔てて配置されている。図15では、隔壁R
Rは電子放出素子Sの列毎にそれらの間に形成されてい
るが、隔壁RRを、電子放出素子Sの例えば2,3個の
列毎の間に間隔をあけて形成してもよい。また、図15
では、隔壁RRはオーミック電極11にほぼ垂直な方向
に連続して形成されているが、前面基板1側の第2隔壁
FRに当接する部分を含む上部面積を残して間欠的に形
成してもよい。
【0063】更に、この隔壁RRはその上底面積が、背
面基板と接する下底面積よりも大きく形成されることが
好ましい。すなわち、隔壁RRはその上部に背面基板に
略平行な方向に突出するオーバーハング部を有するよう
に、形成されることが好ましい。更に、図15では、背
面基板10の金属薄膜電極15上に設けられたバス電極
16の形状が単純な直線状で形成されているが、バス電
極16を直線状でなく、電子放出素子の金属薄膜電極1
5の間において、金属薄膜電極上における幅よりも大な
る幅を有するように、すなわち電子放出素子の間では素
子上よりも太くなるように形成することが好ましい。こ
れによって、バス電極の抵抗値を低減できる。
【0064】オーミック電極11は、その材料として
は、Au,Pt,Al,W等の一般にICの配線に用い
られる材料やクロム、ニッケル、クロムの3層構造、A
lとNdの合金、AlとMoの合金、TiとNの合金も
用いられ得、その厚さは各素子にほぼ同電流を供給する
均一な厚さである。なお、図15では図示しないが背面
基板10及びオーミック電極11間には、SiOx,S
iNx,Al23,AlNなどの絶縁体からなインシュ
レータ層を形成してもよい。インシュレータ層はガラス
の背面基板10から素子への悪影響(アルカリ成分など
に不純物の溶出や、基板面の凹凸など)を防ぐ働きをな
す。
【0065】金属薄膜電極15の材質は、電子放出の原
理から仕事関数φが小さい材料で、あることが望まし
い。電子放出効率を高くするために、金属薄膜電極15
の材質は周期律表のI族、II族の金属が良く、たとえば
Cs,Rb,Li,Sr,Mg,Ba,Ca等が有効
で、更に、それらの合金であっても良い。また、金属薄
膜電極15の材質は導電性が高く化学的に安定な金属が
良く、たとえばAu,Pt,Lu,Ag,Cuの単体又
はこれらの合金等が望ましい。また、これらの金属に、
上記仕事関数の小さい金属をコート、あるいはドープし
ても有効である。
【0066】バス電極16の材料としては、Au,P
t,Al,Cu等の一般にICの配線に用いられる物で
良く、各素子にほぼ同電位を供給可能ならしめるに足る
厚さで、 0.1〜50μmが適当である。但し、抵抗値が
許容できるのであれば、バス電極を使用しないで、金属
薄膜電極に使用する材料を使用することもできる。一
方、表示面である透明ガラスなどの透光性の前面基板1
の内面(背面基板10と対向する面)には、ITOから
なる透明なコレクタ電極2が一体的に形成され、これに
高い電圧が印加される。なお、ブラックストライプやバ
ックメタルを使用する場合は、ITOを設けずにこれら
をコレクタ電極とすることが可能である。
【0067】コレクタ電極2上には、フロントリブ(第
2隔壁)FRがオーミック電極11に平行となるように
複数形成されている。延在しているフロントリブ間のコ
レクタ電極2の上には、R,G,Bに対応する蛍光体か
らなる蛍光体層3R,3G,3Bが真空空間4に面する
ように、それぞれ形成されている。このように、各蛍光
体の境には背面基板と前面基板の距離を一定(例えば1
mm)に保つ為のフロントリブ(第2隔壁)FRが設け
られている。背面基板10上に設けられたリアリブ(隔
壁)RRと直交する方向にフロントリブ(第2隔壁)F
Rとが前面基板1に設けられているので、前面基板の蛍
光体を光の3原色に相当するR,G,Bに塗り分けが確
実になる。
【0068】このように、実施例の電子放出素子を用い
たフラットパネルディスプレイ装置は電子放出素子に対
応してマトリクス状に配置されかつ各々が赤R、緑G及
び青Bの発光部からなる発光画素の複数からなる画像表
示配列を有している。もちろん、RGBの発光部に代え
てすべてを単色の発光部としてモノクロムディスプレイ
パネルも形成できる。
【0069】さらなる他の実施例によれば、図17に示
すように、電子放出発光素子30が得られる。電子放出
発光素子30における電子放出素子Sは、上記実施例と
同様に、オーミック電極11が形成された背面基板のガ
ラス素子基板10上に電子供給層12を形成し、その上
に複数の球状の微粒子20を散布又はライン状もしくは
円柱状の逆テーパブロックの複数を形成して、それらの
上に絶縁体層13及び金属薄膜電極15を積層してな
る。
【0070】この実施例の電子放出素子の金属薄膜電極
15上に蛍光体層3が直接形成されて、電子放出発光素
子が形成される。蛍光体層3は電子放出素子Sの島領域
14から生じた電子を直接受け、蛍光体に対応する可視
光を発光する。また、図18に示すように、微粒子及び
逆テーパブロックを除去した電子放出発光素子30でも
よい。
【0071】蛍光体層3は、所望色発光の蛍光体を溶液
形態としてスピンコート法などで形成塗布されるが、そ
の形成方法は限定されない。さらに、主に素子の保護の
ために、その内面に透光性のコレクタ電極を設けたガラ
スなどの透光性の前面基板を蛍光体層上に設けることが
できる。電子放出発光素子から漏れた電子を回収でき
る。この電子放出発光素子の対向する前面及び背面基板
は透明接着剤で接着され、それらの周囲はスペーサなど
で保持される。
【0072】このさらなる実施例の構成により、電子放
出素子の金属薄膜電極上に直接設けられた蛍光体層を有
するので、加速電力が不要となり装置の駆動系が簡素化
され、真空空間も不要となり軽量な超薄型フラットパネ
ルディスプレイ装置が得られる。さらに、過剰なスペー
サが不要となり視認性が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例の電子放出素子の概略断面
図である。
【図2】本発明による電子放出素子の製造方法における
素子基板の部分拡大断面図である。
【図3】本発明による電子放出素子の製造方法における
素子基板の部分拡大断面図である。
【図4】本発明による電子放出素子の製造方法における
素子基板の部分拡大断面図である。
【図5】本発明による電子放出素子の製造方法における
素子基板の部分拡大断面図である。
【図6】本発明による他の電子放出素子の製造方法にお
ける素子基板の部分拡大断面図である。
【図7】本発明による他の電子放出素子の部分拡大斜視
図である。
【図8】本発明による他の電子放出素子の部分拡大斜視
図である。
【図9】本発明による他の電子放出素子の部分拡大斜視
図である。
【図10】本発明による他の電子放出素子の部分拡大斜
視図である。
【図11】印加した素子電圧Vpsに対する、絶縁体層
及び金属薄膜電極の膜厚が漸次減少する複数の島領域を
有する電子放出素子のダイオード電流Id及び放出電流
Ieの変化を示すグラフである。
【図12】印加した素子電圧Vpsに対する比較例の電
子放出素子のダイオード電流Id及び放出電流Ieの変
化を示すグラフである。
【図13】本発明による更なる他の電子放出素子の部分
拡大斜視図である。
【図14】本発明による更なる他の電子放出素子の部分
拡大斜視図である。
【図15】本発明による実施例の電子放出素子フラット
パネルディスプレイ装置を示す概略部分斜視図である。
【図16】実施例の電子放出素子フラットパネルディス
プレイ装置の図15における線AAに沿った概略部分拡
大断面図。
【図17】本発明による実施例の電子放出発光素子の概
略断面図である。
【図18】本発明による他の実施例の電子放出発光素子
の概略断面図である。
【符号の説明】
1 透光性の前面基板 2 コレクタ電極 3R,3G,3B 蛍光体層 4 真空空間 10 背面基板 11 オーミック電極 12 電子供給層 13 絶縁体層 14 島領域 15 金属薄膜電極 16 バスライン 17 絶縁性支持部 20 微粒子 21a,21b 逆テーパブロック
フロントページの続き (72)発明者 岩崎 新吾 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号 パイオニア株式会社 総合研究所内 (72)発明者 根岸 伸安 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号 パイオニア株式会社 総合研究所内 (72)発明者 中馬 隆 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号 パイオニア株式会社 総合研究所内 (72)発明者 佐藤 英夫 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号 パイオニア株式会社 総合研究所内 (72)発明者 伊藤 寛 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号 パイオニア株式会社 総合研究所内 (72)発明者 吉川 高正 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号 パイオニア株式会社 総合研究所内 (72)発明者 小笠原 清秀 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号 パイオニア株式会社 総合研究所内 (56)参考文献 特開 平2−172127(JP,A) 特開 昭63−141234(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/312 H01J 9/02 H01J 29/04 H01J 31/12

Claims (23)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属若しくは金属化合物又は半導体から
    なる電子供給層、前記電子供給層上に形成された絶縁体
    層、及び前記絶縁体層上に形成された金属薄膜電極から
    なり、前記電子供給層及び前記金属薄膜電極間に電界が
    印加されたとき電子を放出する電子放出素子であって、 前記絶縁体層及び前記金属薄膜電極は、それらの膜厚が
    漸次減少する少なくとも1つの島領域を有していること
    を特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 前記島領域が電子放出部となっているこ
    とを特徴とする請求項1記載の電子放出素子。
  3. 【請求項3】 前記絶縁体層は誘電体からなり、前記島
    領域以外では50nm以上の膜厚を有することを特徴と
    する請求項1又は2記載の電子放出素子。
  4. 【請求項4】 前記島領域における前記金属薄膜電極が
    前記絶縁体層上で終端していることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれか1記載の電子放出素子。
  5. 【請求項5】 前記島領域における前記絶縁体層が前記
    電子供給層上で終端していることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれか1記載の電子放出素子。
  6. 【請求項6】 前記島領域は前記金属薄膜電極の平坦表
    面における凹部であることを特徴とする請求項1〜5の
    いずれか1記載の電子放出素子。
  7. 【請求項7】 前記絶縁体層及び前記金属薄膜電極は、
    物理堆積法又は化学堆積法で積層されることを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれか1記載の電子放出素子。
  8. 【請求項8】 前記島領域において微粒子を備えている
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1記載の電子
    放出素子。
  9. 【請求項9】 前記島領域において逆テーパブロックを
    備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1
    記載の電子放出素子。
  10. 【請求項10】 絶縁体層及び金属薄膜電極の膜厚が漸
    次減少する複数の島領域を有している電子放出素子の製
    造方法であって、 基板上に電子供給層を形成する電子供給層形成工程と、 複数の微粒子を前記電子供給層上に散布する微粒子散布
    工程と、 前記電子供給層及び前記微粒子上に絶縁体を堆積させ、
    絶縁体の薄膜からなる絶縁体層を形成する絶縁体形成工
    程と、 前記絶縁体層及び前記微粒子上に金属薄膜電極を形成し
    て、前記微粒子下の接触面周囲に島領域を形成する金属
    薄膜電極形成工程と、を含むことを特徴とする電子放出
    素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記金属薄膜電極形成工程の後に、前
    記微粒子を除去する微粒子除去工程を含むことを特徴と
    する請求項10記載の電子放出素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記金属薄膜電極形成工程の後又は前
    記微粒子除去工程の後に、前記電子供給層と前記金属薄
    膜電極との間に電圧を印加する導電経路成長工程を含む
    ことを特徴とする請求項10又は11記載の電子放出素
    子の製造方法。
  13. 【請求項13】 絶縁体層及び金属薄膜電極の膜厚が漸
    次減少する複数の島領域を有している電子放出素子の製
    造方法であって、 基板上に電子供給層を形成する電子供給層形成工程と、 各々が前記基板の法線方向に突出しかつその上部に前記
    基板に平行な方向に突出するオーバーハング部を有する
    電気絶縁性の逆テーパブロックを形成するブロック形成
    工程と、 前記電子供給層上に絶縁体を堆積させ、絶縁体の薄膜か
    らなる絶縁体層を形成する絶縁体形成工程と、 前記絶縁体層上に金属薄膜電極を形成して、前記逆テー
    パブロック下の接触面周囲に島領域を形成する金属薄膜
    電極形成工程と、を含むことを特徴とする電子放出素子
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記金属薄膜電極形成工程の後に、前
    記逆テーパブロックを除去するリフトオフ工程を含むこ
    とを特徴とする請求項13記載の電子放出素子の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 前記金属薄膜電極形成工程の後又は前
    記リフトオフ工程の後に、前記電子供給層と前記金属薄
    膜電極との間に電圧を印加する導電経路成長工程を含む
    ことを特徴とする請求項13又は14記載の電子放出素
    子の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記ブロック形成工程は、前記基板上
    に逆テーパブロック材料層を成膜し、その上にフォトリ
    ソグラフィ法によって少なくとも前記電子供給層の一部
    分を露出せしめるレジストマスクを形成し、ドライエッ
    チング法又はウエットエッチング法によって前記オーバ
    ーハング部を有する逆テーパブロックを食刻する工程を
    含むことを特徴とする請求項13〜15のいずれか1記
    載の電子放出素子の製造方法。
  17. 【請求項17】 真空空間を挾み対向する一対の第1及
    び第2基板と、 前記第1基板に設けられた複数の電子放出素子と、 前記第2基板内に設けられたコレクタ電極と、 前記コレクタ電極上に形成された蛍光体層と、からなる
    表示装置であって、 前記電子放出素子の各々は、オーミック電極上に形成さ
    れた電子供給層上に形成された絶縁体層、及び前記絶縁
    体層上に形成された金属薄膜電極からなり、前記絶縁体
    層及び前記金属薄膜電極は、それらの膜厚が漸次減少す
    る島領域を有していることを特徴とする表示装置。
  18. 【請求項18】 前記絶縁体層は誘電体からなり、前記
    島領域以外では50nm以上の膜厚を有することを特徴
    とする請求項17記載の表示装置。
  19. 【請求項19】 前記島領域における前記金属薄膜電極
    が前記絶縁体層上で終端していることを特徴とする請求
    項17又は18記載の表示装置。
  20. 【請求項20】 前記島領域における前記絶縁体層が前
    記電子供給層上で終端していることを特徴とする請求項
    17〜19のいずれか1記載の表示装置。
  21. 【請求項21】 前記島領域は前記金属薄膜電極の平坦
    表面における凹部であることを特徴とする請求項17〜
    20のいずれか1記載の表示装置。
  22. 【請求項22】 前記絶縁体層及び前記金属薄膜電極
    は、物理堆積法又は化学堆積法で積層されることを特徴
    とする請求項17〜21のいずれか1記載の表示装置。
  23. 【請求項23】 前記金属薄膜電極の複数の上にバスラ
    インが形成され、前記オーミック電極及び前記バスライ
    ンはそれぞれストライプ状の電極でありかつ互いに直交
    する位置に配列されていることを特徴とする請求項17
    〜22のいずれか1記載の表示装置。
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