JPH1167064A - 電子放出素子及びこれを用いた表示装置 - Google Patents

電子放出素子及びこれを用いた表示装置

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JPH1167064A
JPH1167064A JP21513697A JP21513697A JPH1167064A JP H1167064 A JPH1167064 A JP H1167064A JP 21513697 A JP21513697 A JP 21513697A JP 21513697 A JP21513697 A JP 21513697A JP H1167064 A JPH1167064 A JP H1167064A
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JP
Japan
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electron
layer
electron supply
insulator layer
electrode
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JP21513697A
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English (en)
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Atsushi Yoshizawa
淳志 吉澤
Kiyohide Ogasawara
清秀 小笠原
Takamasa Yoshikawa
高正 吉川
Takashi Chuma
隆 中馬
Nobuyasu Negishi
伸安 根岸
Shingo Iwasaki
新吾 岩崎
Hiroshi Ito
寛 伊藤
Takashi Yamada
高士 山田
Shuichi Yanagisawa
秀一 柳沢
Kazuyuki Sakamura
一到 酒村
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Pioneer Corp
Original Assignee
Pioneer Electronic Corp
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J1/00Details of electrodes, of magnetic control means, of screens, or of the mounting or spacing thereof, common to two or more basic types of discharge tubes or lamps
    • H01J1/02Main electrodes
    • H01J1/30Cold cathodes, e.g. field-emissive cathode
    • H01J1/312Cold cathodes, e.g. field-emissive cathode having an electric field perpendicular to the surface, e.g. tunnel-effect cathodes of metal-insulator-metal [MIM] type
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y10/00Nanotechnology for information processing, storage or transmission, e.g. quantum computing or single electron logic
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2329/00Electron emission display panels, e.g. field emission display panels

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  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子放出効率の高い電子放出素子を提供す
る。 【解決手段】 金属又は半導体からなる電子供給層、電
子供給層上に形成された絶縁体層及び絶縁体層上に形成
された金属薄膜電極からなり、電子供給層及び金属薄膜
電極間に電界を印加し電子を放出する電子放出素子であ
って、絶縁体層の膜厚が50nm以上であり、電子供給
層は2.5μm以上の膜厚を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子及び
これを用いた電子放出表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から電界電子放出表示装置のFED
(field emission display)が、陰極の加熱を必要とし
ない冷陰極の電子放出源のアレイを備えた平面形発光デ
ィスプレイとして知られている。例えば、spindt形冷陰
極を用いたFEDの発光原理は、冷陰極アレイが異なる
もののCRT(cathode ray tube)と同様に、陰極から
離間したゲート電極により電子を真空中に引出し、透明
陽極に塗布された蛍光体に衝突させて、発光させるもの
である。
【0003】しかしながら、この電界放出源は、微細な
spindt型冷陰極の製造工程が複雑で、その工程数が多い
ので、製造歩留りが低いといった問題がある。また、面
電子源として金属−絶縁体−金属(MIM)構造の電子
放出素子がある。このMIM構造の電子放出素子は、基
板上に陰極としてのAl層、膜厚10nm程度のA1 2
3絶縁体層、膜厚10nm程度の陽極としてのAu層
を順に形成した構造を有するものがある。これを真空中
で対向電極の下に配置して下部Al層と上部Au層の間
に電圧を印加するとともに対向電極に加速電圧を印加す
ると、電子の一部が上部Au層を飛び出し対向電極に達
する。しかしながら、MIM構造の電子放出素子を用い
てもまだ放出電子の量は十分とはいえない。
【0004】これを改善するために、従来のAl23
縁体層の膜厚を数nm程度薄膜化したり、極薄膜のAl
23絶縁体層の膜質及びAl23絶縁体層と上部Au層
の界面を、より均一化することが必要であると考えられ
ている。例えば、特開平7−65710号に記載の発明
のように、絶縁体層のさらなる薄膜化及び均一化のため
に陽極酸化法を用いて、化成電流を制御することにより
電子放出特性を向上させる試みがなされている。
【0005】しかしながら、このような方法で製造され
たMIM構造の電子放出素子でも、まだ放出電流は1×
10-5A/cm2程度で、放出電流比は1×10-3程度に
すぎない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の事情
に鑑みてなされたものであり、低い電圧で安定して電子
放出することのできる電子放出効率の高い電子放出素子
及びこれを用いた電子放出表示装置を提供することを目
的とする。さらに、電子放出素子の広範囲な応用を考え
る時、電子放出素子の電子供給層にシリコン(Si)を
用いるのは素子の安定性向上の為に有効であり、スパッ
タリング法で成膜したアモルファスシリコン(a−S
i)は生産性も高く、非常に有効である。そこで、高い
信頼性の電子放出素子及びこれを用いた電子放出表示装
置を提供することをも目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の電子放出素子
は、オーミック電極上に形成された金属又は半導体から
なる電子供給層、前記電子供給層上に形成された絶縁体
層及び前記絶縁体層上に形成された金属薄膜電極からな
り、前記電子供給層及び前記金属薄膜電極間に電界を印
加し電子を放出する電子放出素子であって、前記絶縁体
層の膜厚が50nm以上であり、前記電子供給層は2.
5μm以上の膜厚を有することを特徴とする。
【0008】本発明の電子放出表示装置は、真空空間を
挾み対向する一対の第1及び第2基板と、前記第1基板
に設けられた複数の電子放出素子と、前記第2基板内に
設けられたコレクタ電極と、前記コレクタ電極上に形成
された蛍光体層と、からなる電子放出表示装置であっ
て、前記電子放出素子の各々は、オーミック電極上に形
成された金属又は半導体からなる電子供給層、前記電子
供給層上に形成された絶縁体層及び前記絶縁体層上に形
成された金属薄膜電極からなり、前記絶縁体層の膜厚が
50nm以上であり、前記電子供給層は2.5μm以上
の膜厚を有することを特徴とする。
【0009】以上の構成により、本発明の電子放出素子
では、絶縁体層及び電子供給層は厚い膜厚を有するので
スルーホールが発生しにくいので製造歩留まりが向上す
る。さらに、本発明の電子放出素子は、画素バルブの発
光源、電子顕微鏡の電子放出源、真空マイクロエレクト
ロニクス素子などの高速素子に応用でき、さらに面状又
は点状の電子放出ダイオードとして、ミリ波又はサブミ
リ波の電磁波を放出する発光ダイオード又はレーザダイ
オードとして、さらには高速スイッチング素子として動
作可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参
照しつつ説明する。図1に示すように、本発明の電子放
出素子は、ガラス素子基板10上に例えばタングステン
Wなどからなるオーミック電極11を形成し、その上に
Siからなる電子供給層12を形成し、その上にSiO
2などからなる絶縁体層13及び真空空間に面するAu
などの金属薄膜電極15を積層して構成される。とく
に、電子供給層12には、2.5μm以上の膜厚のアモ
ルファスシリコン(a−Si:H)などを用いる。絶縁
体層13は誘電体からなり50nm以上の極めて厚い膜
厚を有するものである。この電子放出素子の対向する一
対の第1及び第2基板10,1は真空空間を挾んで保持
される。第2基板1の内面にはコレクタ電極2と蛍光体
層3R,G,B とが設けられる。素子基板10の材質はガラ
スの他に、Al23,Si34、BN等のセラミックス
でも良い。
【0011】電子放出素子は、図1に示すように、表面
の金属薄膜電極15を正電位Vdとし裏面オーミック電
極11を接地電位としたダイオードである。オーミック
電極11と金属薄膜電極15との間に電圧Vd例えば9
0V程度を印加し電子供給層12に電子を注入すると、
ダイオード電流Idが流れ、絶縁体層13は高抵抗であ
るので、印加電界の大部分は絶縁体層13にかかる。電
子は、金属薄膜電極15側に向けて絶縁体層13内を移
動する。金属薄膜電極15付近に達した電子は、そこで
強電界により一部は金属薄膜電極15をトンネルし、外
部の真空中に放出される。
【0012】このトンネル効果によって薄膜電極15か
ら放出された電子e(放出電流Ie)は、対向したコレ
クタ電極(透明電極)2に印加された高い加速電圧Vc
例えば5kV程度によって加速され、コレクタ電極2に
集められる。コレクタ電極に蛍光体3が塗布されていれ
ば対応する可視光を発光させる。電子放出素子の電子供
給層12の材料としてはSiが特に有効であるが、ゲル
マニウム(Ge)、炭化シリコン(SiC)、ヒ化ガリ
ウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、セレ
ン化カドミウム(CdSe)など、IV族、III-V族、
II-VI 族などの単体半導体及び化合物半導体が、用いら
れ得る。
【0013】又は、電子供給材料としてAl,Au,A
g,Cuなどの金属でも有効であるが、Sc,Ti,C
r,Mn,Fe,Co,Ni,Zn,Ga,Y,Zr,
Nb,Mo,Tc,Ru,Rh,Pd,Cd,Ln,S
n,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Tl,Pb,
La,Ce,Pr,Nd,Nd,Pm,Sm,Eu,G
d,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luなども
用いられ得る。
【0014】絶縁体層13の誘電体材料としては、酸化
珪素SiOx (xは原子比を示す)が特に有効である
が、LiOx ,LiNx ,NaOx ,KOx ,Rb
x ,CsOx ,BeOx ,MgOx ,MgNx ,Ca
x ,CaNx ,SrOx ,BaOx ,ScOx ,YO
x,YNx ,LaOx ,LaNx ,CeOx ,Pr
x ,NdOx ,SmOx ,EuOx ,GdOx ,Tb
x ,DyOx ,HoOx ,ErOx,TmOx,YbO
x,LuOx,TbOx,DyOx,HoOx,ErOx,T
mOx,YbOx,LuO x,TiOx,TiNx,Zr
x,ZrNx,HfOx,HfNx,ThOx,VOx,V
x,NbOx,NbNx,TaOx,TaNx,CrOx
CrNx,MoOx,MoNx,WOx,WNx,MnOx
ReOx,FeOx,FeNx,RuOx,OsOx,Co
x,RhOx,IrOx,NiOx,PdOx,PtOx
CuOx,CuNx,AgOx,AuOx,ZnOx,Cd
x,HgOx,BOx,BNx,AlOx,AlNx,Ga
x,GaNx,InOx,TiOx,TiNx,SiNx
GeOx,SnOx,PbOx,POx,PNx,AsOx
SbOx,SeOx,TeOxなどの金属酸化物又は金属
窒化物でもよい。
【0015】また、LiAlO2,Li2SiO3,Li2
TiO3,Na2Al2234,NaFeO2,Na4SiO
4,K2SiO3,K2TiO3,K2WO4,Rb2Cr
4,CS2CrO4,MgAl24,MgFe24,M
gTiO3,CaTiO3,CaWO4,CaZrO3,S
rFe1219,SrTiO3,SrZrO3,BaAl2
4,BaFe1219,BaTiO3,Y3Al512,Y
3Fe512,LaFeO3,La3Fe512,La2Ti
27,CeSnO4,CeTiO4,Sm3Fe512,E
uFeO3,Eu3Fe512,GdFeO3,Gd3Fe5
12,DyFeO3,Dy3Fe512,HoFeO3,H
3Fe512,ErFeO3,Er3Fe5 12,Tm3
512,LuFeO3,Lu3Fe512,NiTi
3,Al2TiO3,FeTiO3,BaZrO3,Li
ZrO3,MgZrO3,HfTiO4,NH4VO3,A
gVO3,LiVO3,BaNb26,NaNbO3,S
rNb26,KTaO3,NaTaO3,SrTa26
CuCr24,Ag2CrO4,BaCrO4,K2MoO
4,Na2MoO4,NiMoO4,BaWO4,Na2WO
4,SrWO4,MnCr24,MnFe24,MnTi
3,MnWO4,CoFe24,NnFe24,FeW
4,CoMoO4,CoTiO3,CoWO4,NiFe
24,NiWO4,CuFe24,CuMoO4,CuT
iO3,CuWO4,Ag2MoO4,Ag2WO4,ZnA
24,ZnMoO4,ZnWO4,CdSnO3,Cd
TiO3,CdMoO4,CdWO4,NaAlO2,Mg
Al24,SrAl24,Gd3Ga512,InFeO
3,MgIn24,Al2TiO5,FeTiO3,MgT
iO3,Na2SiO3,CaSiO3,ZrSiO4,K2
GeO3,Li2GeO3,Na2GeO3,Bi2Sn
39,MgSnO3,SrSnO3,PbSiO3,Pb
MoO4,PbTiO3,SnO2−Sb23,CuSe
4,Na2SeO3,ZnSeO3,K2TeO3,K2
eO4,Na2TeO3,Na2TeO4などの金属複合酸
化物、FeS,Al23,MgS,ZnSなどの硫化
物、LiF,MgF2,SmF3などのフッ化物、HgC
l,FeCl2,CrCl3などの塩化物、AgBr,C
uBr,MnBr2などの臭化物、PbI2,CuI,F
eI2などのヨウ化物、又は、SiAlONなどの金属
酸化窒化物でも絶縁体層13の誘電体材料として有効で
ある。
【0016】さらに、絶縁体層13の誘電体材料として
ダイヤモンド,フラーレン(C2n) などの炭素、或いは、
Al4C 3,B 4C ,CaC 2,Cr3C 2,Mo2C ,MoC ,NbC ,S
iC,TaC ,TiC ,VC,W 2C ,WC,ZrC などの金属炭化
物も有効である。なお、フラーレン(C2n) は炭素原子だ
けからなりC60に代表される球面篭状分子でC32〜C
960などがあり、また、上式中、O x,N xのxは原子比
を表す。以下、同じ。
【0017】絶縁体層の厚さは、50nm以上、好まし
くは 100〜1000nm程度である。電子放出側の金属薄膜
電極15の材料としてはPt,Au,W,Ru,Irな
どの金属が有効であるが、Al,Sc,Ti,V,C
r,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Y,
Zr,Nb,Mo,Tc,Rh,Pd,Ag,Cd,L
n,Sn,Ta,Re,Os,Tl,Pb,La,C
e,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,D
y,Ho,Er,Tm,Yb,Luなども用いられ得
る。
【0018】またこれらの成膜法としては、スパッタリ
ング法が特に有効であるが、真空蒸着法、CVD(chem
ical vapor deposition )法、レーザアブレーション
法、MBE(molecular beam epitaxy)法、イオンビー
ムスパッタリング法でも有効である。具体的に、膜厚が
0μm、2.5μm、5.0μm、7.5μm及び1
0.0μmのa−Si薄膜の電子供給層12を用い、本
発明による電子放出素子を作製し、それらの特性を調べ
た。
【0019】まず、スパッタリング法によりW電極11
を膜厚300nmで形成したガラス基板10を用意し
た。この電極表面に、それぞれa−Siの電子供給層1
2を膜厚0μm(電子供給層なし)、2.5μm、5.
0μm、7.5μm及び10.0μmで形成したものを
作製した。その後、このそれぞれの電子供給層12上
に、SiOx絶縁体層13が50nm、400nm及び
1000nmとなるように成膜したものを作製した。。
これらの層は、スパッタリング法をとおして、Ar,K
r,Xeあるいはそれらの混合ガス、又はこれらの希ガ
スを主成分としO2,N2などを混入した混合ガスを用い
てガス圧 0.1〜 100mTorr 好ましくは 0.1〜20mTorr
、成膜レート 0.1〜1000nm/min好ましくは 0.5〜 100n
m/minのスパッタ条件で成膜された。
【0020】最後に、各基板の絶縁体層の表面上にPt
の金属薄膜電極15を膜厚10nmでスパッタリング法
により成膜し、素子基板を多数作成した。一方、透明ガ
ラス基板1の内面にITOコレクタ電極2が形成された
ものや、各コレクタ電極上に、R,G,Bに対応する蛍
光体からなる蛍光体層3を常法により形成した透明基板
を作成した。
【0021】これら素子基板及び透明基板を、金属薄膜
電極15及びコレクタ電極2が向かい合うように平行に
10mm離間してスベーサにより保持し、間隙を10-7
Torr又は10-5Paの真空になし、電子放出素子を
組立て、作製した。その後、多数の得られた素子につい
て、駆動電圧Vdを0〜200V印加して、電子供給層
の膜厚に対応させて絶縁体層膜厚50nm、400nm
及び1000nmを有する素子ごとにダイオード電流I
d及び放出電流Ieを測定した。結果を、図2及び図3
に示す。図示のように、絶縁体層膜厚50nm、400
nm及び1000nmを有するいずれの素子において
も、電子供給層が2.5μm以上の膜厚を有することに
よって、1×10-6A/cm2 以上の放出電流すなわちエミ
ッション電流が得られることが分かる。また、最大電子
放出効率(Ie/Id)も2%以上最大では30%もの
効率が得られることが分かる。
【0022】このように、本発明の電子放出素子は、金
属または半導体からなる電子供給層、電子供給層上に形
成された絶縁体層および絶縁体層上に形成され、真空空
間に面する金属薄膜電極からなり、絶縁体層の膜厚が5
0nm以上であり、電子供給層及び金属薄膜電極間に電
圧を印加し、電子を放出する素子であって、電子供給層
は2.5μm以上の膜厚を有することが好ましいことが
わかる。
【0023】さらに、次の実施例として、金属薄膜電極
の膜厚を変化させた場合の素子を作製した。この場合、
電子供給層をWで300nm の膜厚にて、絶縁体層をSiOxで
400nm の膜厚にて、金属薄膜電極をAuで2nm,5nm,
10nm,15nm,50nm,100nm,200nmの膜厚に
て、作製した以外、上記実施例と同様にして、金属薄膜
電極の膜厚に対応させて絶縁体層膜厚50nm、400
nm及び1000nmを有する素子ごとに、それぞれ最
大エミッション電流値を比較した。
【0024】結果を、図4に示す。図示のように、絶縁
体層膜厚50nm、400nm及び1000nmを有す
るいずれの素子においても、金属薄膜電極が100nm 以下
の膜厚を有することによって、1×10-6以上A/cm2
放出電流すなわちエミッション電流が得られることが分
かる。このように、実用レベルのエミッション電流値を
示したAu膜厚は 100nm以下であることがわかる。
【0025】よって、絶縁体層膜厚が50nm以上、電
子供給層が2.5μm以上、Au膜厚が 100nm以下の膜
厚を有する素子から、良好な結果が得られることが判明
した。図5は、膜厚300nmのAl電極、膜厚5μm の
Si電子供給層、膜厚400nmのSiOx絶縁体層、膜
厚10nmのAu金属薄膜電極を有する電子放出素子のダ
イオード電流Id(Diode Current) と駆動電圧Vdとの
関係を放出電流Ie(Emission)の変化と共に示したもの
である。図5においてダイオード電流Id及び放出電流
Ieの変化はヒステリシス特性を有することが分る。放
出電流開始の駆動電圧から電圧降下が生じ、良好に放出
電流が上昇することが分る。
【0026】またさらに、上記実施例素子において、蛍
光体を塗布したコレクタ電極2及び金属薄膜電極15の
間に約4kVの電圧を印加した状態では、絶縁体層膜厚
50nm以上の素子で薄膜電極に対応する形の均一な蛍
光パターンが観測された。このことは、アモルファスS
iOx層からの電子放出が均一であり、直線性の高いこ
とを示し、電子放出ダイオードとして、ミリ波又はサブ
ミリ波の電磁波を放出する発光ダイオード又はレーザダ
イオードとして、さらには高速スイッチング素子として
動作可能であることを示している。
【0027】スパッタリング法で成膜した絶縁体層の表
面をSEMで観察したところ、20nm程度の粒塊から
なることを特徴としていることが判った。50nm以上
の膜厚を有しながらトンネル電流が流れるといった特異
な現象はこの特徴に起因すると考えられる。すなわち、
SiOxは本来絶縁体であるが、粒塊あるいは、その近
傍に発生しやすい結晶欠陥や不純物などによりポテンシ
ャルの低いバンドが多数現れる。電子はこのポテンシャ
ルの低いバンドを介し次々にトンネリングし、結果とし
て50nm以上の膜厚をもトンネルするのであると推定
される。
【0028】図6は、実施例の電子放出表示装置を示
す。実施例は、一対の透明基板1及び素子基板10から
なり、基板は真空空間4を挾み互いに対向している。図
示する電子放出表示装置において、表示面である透明ガ
ラス基板1すなわち透明基板の内面(背面板10と対向
する面)には、例えばインジウム錫酸化物(いわゆるI
TO)、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などか
らなる透明なコレクタ電極2の複数が互いに平行に形成
されている。また、コレクタ電極2は一体的に形成され
ていてもよい。放出電子を捕獲する透明コレクタ電極群
は、カラーディスプレイパネルとするために赤、緑、青
のR,G,B色信号に応じて3本1組となっており、そ
れぞれに電圧が印加される。よって、3本のコレクタ電
極2の上には、R,G,Bに対応する蛍光体からなる蛍
光体層3R,3G,3Bが真空空間4に面するように、
それぞれ形成されている。
【0029】一方、真空空間4を挾み透明ガラス基板1
に対向するガラス等からなる素子基板10すなわち素子
基板内面(透明ガラス基板1と対向する面)にはインシ
ュレータ層18を介してそれぞれ平行に伸長する複数の
オーミック電極11が形成されている。インシュレータ
層18は、SiOx,SiNx,Al23,AlNなどの
絶縁体からなり、素子基板10から素子への悪影響(ア
ルカリ成分などに不純物の溶出や、基板面の凹凸など)
を防ぐ働きをなす。オーミック電極の上に上記実施例の
電子放出素子Sの複数が形成され、隣接する金属薄膜電
極を電気的に接続しその一部上に、オーミック電極に垂
直に伸長して架設され、それぞれが平行に伸長する複数
のバス電極16が設けられている。電子放出素子Sはオ
ーミック電極上に順に形成された電子供給層12、絶縁
体層13及び金属薄膜電極15からなる。金属薄膜電極
15は真空空間4に面する。また、金属薄膜電極15の
表面を複数の電子放出領域に区画するため、開口を有し
た第2絶縁体層17が成膜される。この第2絶縁体層1
7はバス電極16を覆うことで不要な短絡を防止する。
【0030】オーミック電極11の材料としては、A
u,Pt,Al,W等の一般にICの配線に用いられる
材料で、各素子にほぼ同電流を供給する均一な厚さであ
る。電子供給層12の材質は、シリコン(Si)が挙げ
られるが、本発明の電子供給層はシリコンに限られたも
のではなく他の半導体又は金属であり、アモルファス、
多結晶、単結晶のいずれでも良い。
【0031】薄膜電極15の材質は、電子放出の原理か
ら仕事関数φが小さい材料で、薄い程良い。電子放出効
率を高くするために、薄膜電極15の材質は周期律表の
I族、II族の金属が良く、たとえばCs,Rb,Li,
Sr,Mg,Ba,Ca等が有効で、更に、それらの合
金であっても良い。また、薄膜電極15の材質は極薄化
の面では、導電性が高く化学的に安定な金属が良く、た
とえばAu,Pt,Lu,Ag,Cuの単体又はこれら
の合金等が望ましい。また、これらの金属に、上記仕事
関数の小さい金属をコート、あるいはドープしても有効
である。
【0032】バス電極16の材料としては、Au,P
t,Al等の一般にICの配線に用いられる物で良く、
各素子にほぼ同電位を供給可能ならしめるに足る厚さ
で、 0.1〜50μmが適当である。また、本発明の表示
装置の駆動方式としては単純マトリクス方式またはアク
ティブマトリクス方式が適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による実施例の電子放出素子の概略断
面図である。
【図2】 本発明による電子放出表示装置における電子
放出素子の電子供給層膜厚と電子放出電流の関係を示す
グラフである。
【図3】 本発明による実施例の電子放出表示装置にお
ける電子放出素子の電子供給層膜厚と電子放出効率の関
係を示すグラフを示すグラフである。
【図4】 本発明による実施例の電子放出表示装置にお
ける電子放出素子の金属薄膜電極膜厚と電子放出効率の
関係を示すグラフを示すグラフである。
【図5】 実施例の電子放出素子における印加駆動電圧
Vdとダイオード電流の関係を示すグラフである。
【図6】 本発明による実施例の電子放出表示装置を示
す概略斜視図である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 コレクタ電極 3R,3G,3B 蛍光体層 4 真空空間 10 素子基板 11 オーミック電極 12 電子供給層 13 絶縁体層 15 金属薄膜電極 16 パス電極 17 第2絶縁体層 18 インシュレータ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中馬 隆 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号パイ オニア株式会社総合研究所内 (72)発明者 根岸 伸安 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号パイ オニア株式会社総合研究所内 (72)発明者 岩崎 新吾 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号パイ オニア株式会社総合研究所内 (72)発明者 伊藤 寛 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号パイ オニア株式会社総合研究所内 (72)発明者 山田 高士 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号パイ オニア株式会社総合研究所内 (72)発明者 柳沢 秀一 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号パイ オニア株式会社総合研究所内 (72)発明者 酒村 一到 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号パイ オニア株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属又は半導体からなる電子供給層、前
    記電子供給層上に形成された絶縁体層及び前記絶縁体層
    上に形成された金属薄膜電極からなり、前記電子供給層
    及び前記金属薄膜電極間に電界を印加し電子を放出する
    電子放出素子であって、前記絶縁体層の膜厚が50nm
    以上であり、前記電子供給層は2.5μm以上の膜厚を
    有することを特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 真空空間を挾み対向する一対の第1及び
    第2基板と、 前記第1基板に設けられた複数の電子放出素子と、 前記第2基板内に設けられたコレクタ電極と、 前記コレクタ電極上に形成された蛍光体層と、からなる
    電子放出表示装置であって、 前記電子放出素子の各々は、オーミック電極上に形成さ
    れた金属又は半導体からなる電子供給層、前記電子供給
    層上に形成された絶縁体層及び前記絶縁体層上に形成さ
    れた金属薄膜電極からなり、前記絶縁体層の膜厚が50
    nm以上であり、前記電子供給層は2.5μm以上の膜
    厚を有することを特徴とする電子放出表示装置。
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