JPH10312740A - 電子放出素子及びこれを用いた表示装置 - Google Patents

電子放出素子及びこれを用いた表示装置

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JPH10312740A
JPH10312740A JP17100297A JP17100297A JPH10312740A JP H10312740 A JPH10312740 A JP H10312740A JP 17100297 A JP17100297 A JP 17100297A JP 17100297 A JP17100297 A JP 17100297A JP H10312740 A JPH10312740 A JP H10312740A
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JP
Japan
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layer
electron
metal
heat conductive
electrode
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JP17100297A
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English (en)
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Takashi Chuma
隆 中馬
Shingo Iwasaki
新吾 岩崎
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Pioneer Corp
Original Assignee
Pioneer Electronic Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子放出効率の高く安定な電子放出素子を提
供する。 【解決手段】 金属又は半導体からなる電子供給層、前
記電子供給層上に形成された50nm以上の膜厚を有する
絶縁体層及び前記絶縁体層上に形成された金属薄膜電極
からなり、前記電子供給層及び前記金属薄膜電極間に電
界を印加し電子を放出する電子放出素子であって、前記
絶縁体層内に、1層以上の熱伝導層を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子及び
これを用いた電子放出表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から電界電子放出表示装置のFED
(Field Emission Display)が、陰極の加熱を必要としな
い冷陰極の電子放出源のアレイを備えた平面型発光ディ
スプレイとして知られている。例えば、spindt型冷陰極
を用いたFEDの発光原理は、冷陰極アレイが異なるも
ののCRT(Cathode Ray Tube)と同様に、陰極から離間
したゲート電極により電子を真空中に引出し、透明陽極
に塗布された蛍光体に衝突させて、発光させるものであ
る。
【0003】しかしながら、この電界放出源は、微細な
spindt型冷陰極の製造工程が複雑で、その工程数が多い
ので、製造歩留まりが低いといった問題がある。また、
面電子源として金属一絶縁一金属(MIM)構造の電子
放出素子もある。MIM構造の電子放出素子には、基板
上に下部Al層、膜厚10nm程度のAl2 3 絶縁体
層、膜厚10nm程度の上部Au層を順に形成した構造の
ものがある。これを真空中で対向電極の下に配置して下
部Al層と上部Au層の間に電圧を印加するとともに対
向電極に加速電圧を印加すると、電子の一部が上部Au
層を飛び出し対向電極に達するが、この素子を表示装置
として使用するにはまだ放出電子量が不足している。こ
れを改善するために、従来のAl2 3 絶縁体層のさら
なる数nm程度膜厚の薄膜化や、極薄膜のAl2 3 絶縁
体層の膜質及びAl2 3 絶縁体層と上部Au層の界面
を、より均一化することが必要であると考えられてい
る。
【0004】例えば、絶縁体層のさらなる薄膜化及び均
一化のために陽極酸化法を用いて、化成電流を制御する
ことにより電子放出特性を向上させる試みがなされてい
る(特開平7−65710号公報)。しかしながら、M
IM構造の電子放出素子でも、まだ放出電流は1×l0
-5A/cm 2 程度で、放出電流比は1×10-3程度であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の事情
に鑑みてなされたものであり、電子放出効率の高く、安
定性の高い電子放出素子及びこれを用いた電子放出表示
装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の電子放出素子
は、金属又は半導体からなる電子供給層、前記電子供給
層上に形成された50nm以上の膜厚を有する絶縁体層及
び前記絶縁体層上に形成され前記真空空間に面する金属
薄膜電極からなり、前記電子供給層及び前記金属薄膜電
極間に電界を印加し電子を放出する電子放出素子であっ
て、前記絶緑体層内に、1層以上の熱伝導層を有するこ
とを特徴とする。
【0007】本発明の電子放出素子は、絶縁体層は厚い
膜厚を有するのでスルーホールが発生しにくく、製造歩
留まりが向上する。素子の放出電流は1×10-3A/cm2
程度であり、放出電流比は1×10-1が得られるので、
表示素子とした場合、高輝度が得られ、駆動電流の消費
及び発熱を抑制でき、さらに駆動回路への負担を低減で
き、絶縁体層内に設けられた熱伝導層が熱の分布を抑え
るので、安定性や寿命が増す。
【0008】本発明の電子放出素子は、面状又は点状の
電子放出ダイオードであり、赤外線又は可視光又は紫外
線の電磁波を放出する発光ダイオード又はレーザダイオ
ードとして動作可能である。
【0009】また、本発明の電子放出表示装置は、真空
空間を挟み対向する一対の第1及び第2基板と、前記第
1基板内面に設けられた複数の電子放出素子と、前記第
2基板内面に設けられたコレクタ電極と、前記コレクタ
電極上に形成された蛍光体層と、からなる電子放出表示
装置であって、前記電子放出素子の各々は、前記第1基
板上に形成された金属又は半導体からなる電子供給層、
前記電子供給層上に形成された50nm以上の膜厚を有す
る絶縁体層、及び前記絶縁体層上に形成され前記真空空
間に面する金属薄膜電極からなり、前記絶縁体層内に、
1層以上の熱伝導層を有することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参
照しつつ説明する。図1に示すように、電子放出素子
は、オーミック電極11を備えた基板10上に順に形成
された、金属又は半導体からなる電子供給層12、絶縁
体層13、熱伝導層14及び真空空間に面する金属薄膜
電極15からなり、電子供給層及び金属薄膜電極間に電
界を印加し電子を放出する電子放出素子である。絶縁体
層13は誘電体からなり50nm以上の極めて厚い膜厚を
有するものである。電子放出素子は、表面の薄膜電極を
正電位Vdにし裏面オーミック電極を接地電位としたダ
イオードである。オーミック電極11と簿膜電極15と
の間に電庄Vdを印加し電子供給層12に電子を注入す
ると、ダイオード電流Idが流れ、絶縁体層13は高抵
抗であるので、印加電界の大部分は絶縁体層にかかる。
電子は、金属薄膜電極15側に向けて絶縁体層13及び
熱伝導層14内を移動する。金属薄膜電極付近に達した
電子は、そこで強電界により一部は金属薄膜電極をトン
ネルし、外部の真空中に放出される。このトンネル効果
によって薄膜電極15から放出された電子e(放出電流
Ie)は、対向したコレクタ電極(透明電極)2に印加
された高電圧Vcによって加速され、コレクタ電極に集
められる。コレクタ電極に蛍光体が塗布されていれば対
応する可視光を発光させる。
【0011】電子放出素子の電子供給層の材料としては
Siが特に有効であるが、Ge、SiC、GaAs、I
nP、CdSeなど、IV族、III −V 族、II−VI族など
の単体半導体及び化合物半導体が、用いられ得る。
【0012】又は、電子供給層の材料としてAl、A
u、Ag、Cuなどの金属でも有効であるが、Sc、T
i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、
Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、C
d、Ln、Sn、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、
Tl、Pb、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、E
u、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu
も用いられ得る。
【0013】絶縁体層の誘電体材料としては酸化珪素S
iOx 、(x は原子比を示す)が特に有効であるが、L
iOx 、LiNx 、NaOx 、KOx 、RbOx 、Cs
x 、BeOx 、MgOx 、MgNx 、CaOx 、Ca
x 、SrOx 、BaOx 、ScOx 、YOx 、Y
x 、LaOx 、LaNx 、CeOx 、PrOx 、Nd
x 、SmOx 、EuOx 、GdOx 、TbOx 、Dy
x 、HoOx 、ErOx 、TmOx 、YbOx 、Lu
x 、Ti0x 、TiNx 、ZrOx 、ZrNx 、Hf
x 、HfNx 、ThOx 、VOx 、VNx 、Nb
x 、NbNx 、TaOx 、TaNx 、CrOx 、Cr
x 、MoOx 、MoNx 、WOx 、WNx 、Mn
x 、ReOx 、FeOx 、FeNx 、RuOx 、Os
x 、CoOx 、RhOx 、IrOx 、NiOx 、Pd
x 、PtOx 、CuOx 、CuNx 、AgOx 、Au
x 、ZnOx 、CdOx 、HgOx 、BOx 、B
x 、AlOx 、AlNx 、GaOx 、GaNx 、In
x 、TiOx 、TiNx 、SiNx 、GeOx 、Sn
x 、PbOx 、POx 、PNx 、AsOx 、Sb
x 、SeOx 、TeOx などの金属酸化物又は金属窒
化物でも、LiAlO2 、Li2 SiO3 、Li2 Ti
3 、NaAl2234、NaFeO2 、Na4 Si
4 、K2 SiO3 、K2 TiO3 、K2 WO4 、Rb
2 CrO4 、CsCrO4 、MgAl2 4 、MgFe
2 4 、MgTiO3 、CaTiO3 、CaWO4 、C
aZrO3 、SrFe1219、SrTiO3 、SrZr
3 、BaAl2 4 、BaFe1219、BaTi
3 、Y3 Al5 12、Y3Fe5 12、LaFe
3 、La3 Fe5 12、La2 Ti2 7 、CeSn
4 、CeTiO4 、Sm3 Fe5 12、EuFe
3 、Eu3 Fe5 12、GdFeO3 、Gd3 Fe5
12、DyFeO3 、Dy3 Fe5 12、HoFe
3 、Ho3 Fe5 12、ErFeO3 、Er3 Fe5
12、Tm3 Fe5 12、LuFeO3 、Lu3 Fe5
12、NiTiO3 、Al2 TiO3 、FeTiO3
BaZrO3 、LiZrO3 、MgZrO3 、HfTi
4 、NH4 VO3 、AgVO3 、LiVO3 、BaN
2 6 、NaNbO3 、SrNb2 6 、KTa
3 、NaTaO3 、SrTa2 6 、CuCr
2 4 、Ag2 CrO4 、BaCrO4 、K2 Mo
4 、Na2 MoO4 、NiMoO4 、BaWO4 、N
2 WO4 、SrWO4 、MnCr2 4 、MnFe2
4 、MnTiO3 、MnWO4 、CoFe2 4 、Z
nFe2 4 、FeWO4 、CoMoO4 、CoTiO
3 、CoWO4 、NiFe2 4 、NiWO4 、CuF
2 4 、CuMoO4 、CuTiO3 、CuWO4
Ag2 MoO4 、Ag2 WO4 、ZnAl2 4 、Zn
MoO4 、ZnWO4 、CdSnO3 、CdTiO3
CdMoO4 、CdWO4 、NaAlO2 、MgAl2
4 、SrAl2 4 、Gd3 Ga5 12、InFeO
3 、MgIn2 4 、Al2 TiO5 、FeTiO3
MgTiO3 、NaSiO3 、CaSiO3 、ZrSi
4 、K2 GeO3 、Li2 GeO3 、Na2 Ge
3 、Bi2 Sn3 6 、MgSnO3 、SrSn
3 、PbSiO3 、PbMoO4 、PbTiO3 、S
nO2 - Sb23 、CuSeO4 、Na2 SeO3
ZnSeO3 、K2 TeO3 、K2 TeO2 、Na2
eO3 、Na2 TeO4 などの金属複合酸化物でも、F
eS、Al2 3 、MgS、ZnSなどの硫化物、Li
F、MgF2 、SmF3 などのフッ化物、HgCl、F
eCl2 、CrCl3 などの塩化物、AgBr、CuB
r、MnBr2 などの臭化物、PbI2 、CuI、Fe
2 などのヨウ化物、又は、SiAlONなどの金属酸
化窒化物でも有効である。さらに、絶縁体層の誘電体材
料としてダイヤモンド、フラーレン(C2n)などの炭
素、或いは、Al4 3 、B4 C、CaC2 、Cr3
2 、Mo2 C、MoC、NbC、SiC、TaC、Ti
C、VC、W2 C、WC、ZrCなどの金属炭化物も有
効である。なお、フラーレン(C2n)は炭素原子だけか
らなり、C60に代表される球面篭状分子でC32〜C960
などがあり、また、上式中、Ox、Nxのxは原子比を
表す。以下、同様である。
【0014】絶縁体層内に設けられる熱伝導層は、絶縁
体と比べて熱伝導性のよい物質を使うことができ、例え
ば、Ag、Al、Al2 3 、Au、Be、BeO、
C、Ca、Cd、CdS、Cr、Cu、Fe、In、I
nSb、Ir、K、Li、Mg、Mo、NH4 Cl、N
a、Nb、Ni、NiO、Pb、Pt、Rh、Sb、S
i、Sn、Ta、Ti、TiO2 、Tl、TlCl、
W、Zn、Zr、真鍮、マンガニン、コンスタンタン、
ステンレススチール、ニクロム、インコネル、モネル、
Pt−10%ロジウムなど、金属、金属酸化物、あるい
は合金などから適宜選択することができる。
【0015】電子放出側の金属薄膜電極材料としてはP
t、Au、W、Ru、Irなどの金属が有効であるが、
Al、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、N
i、Cu、Zn、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、
Rh、Pd、Ag、Cd、Ln、Sn、Ta、Re、O
s、Tl、Pb、La、Ce、Pr、Nd、Pm、S
m、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Y
b、Luも用いられ得る。
【0016】素子基板10の材質はガラスの他に、Al
2 3 、Si3 4 、BN等のセラミックスでもよい。
またこれらの製法としては、スパッタリング法が特に有
効であるが、真空蒸着法、CVD(Chemical Vapor Dep
osition )法、レーザアブレイション法、MBE(Mole
cular Beam Epitaxy)法でも有効である。
【0017】(実施例)具体的に、電子放出素子を作製
し特性を調べた。Alオーミック電極をスパッタリング
法により膜厚300nmで形成したガラス基板の電極表面
に、シリコン(Si)の電子供給層をスパッタリング法
によリ膜厚5000nmで形成した。かかるSi基板を多
数用意した。
【0018】次に、スパッタリング法により、かかるS
i基板の電子供給層上に膜厚を0〜500nmに変化させ
てSi02 の絶縁体層を成膜し、かかるSi02 絶縁体
基板を多数用意した。Si02 絶縁体層は、スパッタリ
ング法を通して、Ar、Kr、Xeあるいはそれらの混
合ガス、又はそれらの希ガスを主成分としO2 、N2 、
H2 などを混入した混合ガスを用いてガス圧0.1〜1
00mTorr 好ましくは0.1〜20mTorr 成膜レート
0.1〜1000nm/min好ましくは0.5〜100nm/m
inのスパッタ条件で成膜されている。スパッタリング装
置のターゲットやスパッタ条件を適宜変えることによ
り、絶縁体層の単層又は多層、アモルファス又は結晶
層、粒径、原子比は制御され得る。また絶縁体層を作成
する途中において、熱伝導層として、Auを10nm積層
してある。
【0019】実施例のSiO2 絶縁体層について、X線
回折法で分析したところ、結晶部分の回折強度Icとア
モルファス相によるハロー強度Iaとが得られた。この
ことから、絶縁体層のSi02 は多結晶相及び/又はア
モルフアス相であると推定できる。絶縁体層内に設けら
れる熱伝導層は、Auを使用し、スパッタリング法によ
って成膜した。熱伝導層の厚さは、1nm以上で、絶縁体
層の厚さを越えない範囲で適宜選択できるが、本実施例
においては10nmとした。
【0020】最後に、各基板の多結晶又はアモルフアス
Si02 層の表面上にPt薄膜電極を膜厚10nmで成
膜し、素子基板を多数作成した。一方、透明ガラス基板
の内面にITOコレクタ電極が形成されたものや、各コ
レクタ電極上に、R,G,Bに対応する蛍光体からなる
蛍光体層を常法により形成した透明基板を作成した。
【0021】これら素子基板及び透明基板を、薄膜電極
及びコレクタ電極が向かい合うように平行に10mm離間
してスペーサにより保持し、間隙を10-7Torr又は10
-5Paの真空になし、電子放出素子を組立て、作製した。
その後、多数の得られた素子について各SiO2 層膜厚
に対応したダイオード電流Id及び放出電流Ieを測定
した。
【0022】図2並びに図3は、作製した電子放出素子
にVdを0〜200Vで印加したときのSiO2 層膜厚
に対する、各膜厚における放出電流Ieの関係並びに最
大の電子放出効率(Ie/Id)の関係を示す。図2並
びに図3から明らかなように、放出電流は膜厚50nmか
ら飽和する傾向を示すが、SiO2 層膜厚300〜50
0nmの素子で最大放出電流1×10-5A/cm2 、最大電子
放出効率1×10-1程度が得られた。
【0023】この結果より、200V以下の電圧を加え
ることにより、1×10-6/cm 2 以上の放出電流、1×
10-3以上の電子放出効率が、膜厚50nm以上好ましく
は、100〜400nmのSiO2 誘電体層を有する素子
から得られることが判明した。
【0024】また、蛍光体を塗布したコレクタ電極及び
薄膜電極の間に約4kVの電圧を印加した状態では、Si
2 層膜厚50nm以上の素子で薄膜電極に対応する形の
均一な蛍光パターンが観測された。このことは、多結晶
又はアモルフアスSiO2 層からの電子放出が均一であ
り、直線性の高いことを示し、電子放出ダイオードとし
て、赤外線又は可視光又は紫外線の電磁波を放出する発
光ダイオード又はレーザダイオードとして動作可能であ
ることを示している。
【0025】成膜した絶縁体層の表面をSEMで観察し
たところ、20nm程度の粒塊からなることを特徴とし
ていることが判った。50nm以上の膜厚を有しながら
トンネル電流が流れるといった特異な現象はこの特徴に
起因すると考えられる。図4はこの現象を説明するエネ
ルギーバンド図である。すなわち、Si02 は本来絶縁
体であるが、粒塊あるいは、その近傍に発生しやすい結
晶欠陥や不純物などによりポテンシヤルの低いバンドが
多数現れる。電子はこのポテンシャルの低いバンドを介
し次々にトンネルし、結果として50nm以上の膜厚を
もトンネルするのであると推定される。
【0026】図5には、熱伝導層を挿入した場合と挿入
しなかった場合の、素子の時間に対する温度変化の様子
を表している。図中、熱伝導層無しの曲線がA、熱伝導
層を挿入した場合の曲線がBとして表現されている。か
かる結果より、絶縁体層中に熱伝導層を挿入した場合に
は、熱伝導層を挿入しなかった場合に比べて、低い温度
で安定することが分かる。
【0027】図6には、熱伝導層を挿入した場合と挿入
しなかった場合の時間に対する放出電流変動の様子を表
している。図中、(a)のグラフが熱伝導層が挿入され
ている場合、(b)のグラフが熱伝導層が挿入されてい
ない場合を表す。かかる結果より、絶縁体中に熱伝導層
を挿入した場合には、熱伝導層を挿入しなかった場合に
比べて放出電流変動が少なく、また熱伝導層を挿入しな
い素子がある時間で素子が破壊され測定できなくなった
のに対し、それ以上の寿命を保つことが判明した。
【0028】図7に実施例の電子放出表示装置を示す。
実施例は、一対の透明基板1及び素子基板10からな
り、基板は真空空間4を挟み互いに対向している。図示
する電子放出表示装置おいて、表示面である透明な前面
板1すなわち透明基板の内面(背面板10と対向する
面)には例えばインジウム錫酸化物(いわゆるIT
O)、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などから
なる透明なコレクタ電極2の複数が互いに平行に形成さ
れている。また、コレクタ電極2は一体的に形成されて
いてもよい。放出電子を捕獲する透明コレクタ電極群
は、カラーデイスプレイパネルとするために赤、緑、青
のR,G,B色信号に応じて3本1組となつており、そ
れぞれに電圧が印加される。よって、3本のコレクタ電
極2の上には、R,G,Bに対応する蛍光体からなる蛍
光体層3R,3G,3Bが真空空間4に面するように、
それぞれ形成されている。
【0029】一方、真空空間4を挟み前面板に対向する
ガラスなどからなる背面板10すなわち素子基板内面
(前面板1と対向する面)には、インシュレータ層18
を介してそれぞれ平行に伸長する複数のオーミック電極
11が形成されている。このインシュレータ層18は、
SiOx 、SiNx 、Al2 3 、AlNなどの絶縁体
から成り、基板10から素子への悪影響(アルカリ成分
などの不純物の溶出や、基板上の凹凸など)を防ぐ働き
をなす。オーミック電極の上に複数の電子放出素子Sが
形成され、隣接する金属薄膜電極を電気的に接続しその
一部上に、オーミツク電極に垂直に伸長して架設され、
それぞれが平行に伸長する複数のバス電極16と、が設
けられている。電子放出素子Sはオーミック電極上に順
に形成された電子供給層12、絶縁体層13及び金属薄
膜電極15からなる。図示しないが、絶縁体層13内に
は1つ以上の熱伝導層が設けられている。金属薄膜電極
15は真空空間4に面する。また、金属薄膜電極15の
表面を複数の電子放出領域に区画するため、開口を有し
た第2絶縁体層17が成膜される。この第2絶縁体層1
7はバス電極16を覆うことで不要な短絡を防止する。
【0030】オーミック電極11の材料としては、A
u、Pt、Al、W等の一般にICの配線に用いられる
材料で、各素子にほぼ同電流を供給する均一な厚さであ
る。電子供給層12の材質は、シリコン(Si)が挙げ
られるが、本発明の電子供給層はシリコンに限られたも
のではなく他の半導体又は金属であり、アモルフアス、
多結晶、単結晶の何れでも良い。
【0031】薄膜電極15の材質は、電子放出の原理か
ら仕事関数φが小さい材料で、薄い程良い。電子放出効
率を高くするために、薄膜電極15の材質は周期律表の
I族、II族の金属が良く、たとえばCs、Rb、Li、
Sr、Mg、Ca、Ba等が有効で、更に、それらの合
金であっても良い。また、薄膜電極15の材質は極薄化
の面では、導電性が高く化学的に安定な金属が良く、た
とえばAu、Pt、Lu、Ag、Cuの単体又はこれら
の合金等が望ましい。また、これらの金属に、上記仕事
関数の小さい金属をコート、あるいはドープしても有効
である。
【0032】バス電極16の材料としては、Au、P
t、Al等の一般にICの配緑に用いられる物で良く、
各素子にほぼ同電位を供給可能ならしめるに足る厚さ
で、0.1〜50μmが適当である。また、この表示装
置の駆動方式としては単純マトリクス方式又はアクティ
ブマトリクス方式が適用できる。さらに、本発明の電子
放出素子は、画素バルブの発光源、電子顕微鏡の電子放
出源、真空マイクロエレクトロニクス素子などの高速素
子に応用でき、さらに面状又は点状の電子放出ダイオー
ドとして、赤外線又は可視光又は紫外線の電磁波を放出
する発光ダイオード又はレーザダイオードとして動作可
能である。なお、実施例では説明の簡便化の為、熱伝導
層を一層で説明したが、熱伝導層は複数あってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子放出素子の概略断面図であ
る。
【図2】本発明による電子放出表示素子における電子放
出電流のSi02 層膜厚依存性を示すグラフである。
【図3】本発明による電子放出表示素子における電子放
出効率のSi02 層膜厚依存性を示すグラフである。
【図4】本発明による電子放出素子のバンド構造を示す
図である。
【図5】本発明による電子放出素子による時間に対する
温度変動の関係を示すグラフである。
【図6】本発明による電子放出素子による時間に対する
放出電流変動と寿命の関係を示すグラフである。
【図7】本発明による実施例の電子放出表示装置を示す
概略斜視図である。
【符号の説明】
1・・・透明基板 2・・・コレクタ電極 3R,3G,3B・・・蛍光体層 4・・・真空空間 11・・オーミック電極 12・・電子供給層 13・・絶縁体層 14・・熱伝導層 15・・金属薄膜電極 16・・バス電極 17・・第2絶縁体層 18・・インシュレータ層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属又は半導体からなる電子供給層、前
    記電子供給層上に形成された50nm以上の膜厚を有する
    絶縁体層及び前記絶縁体層上に形成された金属薄膜電極
    からなり、前記電子供給層及び前記金属薄膜電極間に電
    界を印加し電子を放出する電子放出素子であって、前記
    絶縁体層内に、1層以上の熱伝導層を有することを特徴
    とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 真空空間を挟み対向する一対の第1及び
    第2基板と、前記第1基板内面に設けられた複数の電子
    放出素子と、前記第2基板内面に設けられたコレクタ電
    極と、前記コレクタ電極上に形成された蛍光体層と、か
    らなる電子放出表示装置であって、前記電子放出素子の
    各々は、前記第1基板上に形成された金属又は半導体か
    らなる電子供給層、前記電子供給層上に形成された50
    nm以上の膜厚を有する絶縁体層、及び前記絶縁体層上に
    形成され前記真空空間に面する金属薄膜電極からなり、
    前記絶縁体層内に、1層以上の熱伝導層を有することを
    特徴とする電子放出表示装置。
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