JPH10312738A - 電子放出素子及びこれを用いた表示装置 - Google Patents

電子放出素子及びこれを用いた表示装置

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JPH10312738A
JPH10312738A JP12595697A JP12595697A JPH10312738A JP H10312738 A JPH10312738 A JP H10312738A JP 12595697 A JP12595697 A JP 12595697A JP 12595697 A JP12595697 A JP 12595697A JP H10312738 A JPH10312738 A JP H10312738A
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Japan
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electron
layer
metal thin
film electrode
thin film
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Application number
JP12595697A
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English (en)
Inventor
Takashi Chuma
隆 中馬
Kiyohide Ogasawara
清秀 小笠原
Nobuyasu Negishi
伸安 根岸
Shingo Iwasaki
新吾 岩崎
Takamasa Yoshikawa
高正 吉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pioneer Corp
Original Assignee
Pioneer Electronic Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子放出効率の高い電子放出素子を提供す
る。 【解決手段】 金属又は半導体からなる電子供給層、電
子供給層上に形成された絶縁体層及び絶縁体層上に形成
された金属薄膜電極からなり、電子供給層及び金属薄膜
電極間に電界を印加し電子を放出する電子放出素子であ
って、金属薄膜電極及び絶縁体層の少なくとも一方は金
属薄膜電極の仕事関数より低い仕事関数の元素を含む電
子放出領域を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子及び
これを用いた電子放出表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から電界電子放出表示装置のFED
(field emission display)が、陰極の加熱を必要とし
ない冷陰極の電子放出源のアレイを備えた平面形発光デ
ィスプレイとして知られている。例えば、spindt形冷陰
極を用いたFEDの発光原理は、冷陰極アレイが異なる
もののCRT(cathode ray tube)と同様に、陰極から
離間したゲート電極により電子を真空中に引出し、透明
陽極に塗布された蛍光体に衝突させて、発光させるもの
である。
【0003】しかしながら、この電界放出源は、微細な
spindt型冷陰極の製造工程が複雑で、その工程数が多い
ので、製造歩留りが低いといった問題がある。また、面
電子源として金属−絶縁−金属(MIM)構造の電子放
出素子がある。このMIM構造の電子放出素子は、基板
上に陰極としてのAl層、膜厚10nm程度のA123
絶縁体層、膜厚10nm程度の陽極としてのAu層を順
に形成した構造を有するものがある。これを真空中で対
向電極の下に配置して下部Al層と上部Au層の間に電
圧を印加するとともに対向電極に加速電圧を印加する
と、電子の一部が上部Au層を飛び出し対向電極に達す
る。しかしながら、MIM構造の電子放出素子を用いて
もまだ放出電子の量は十分とはいえない。
【0004】これを改善するために、従来のAl23
縁体層の膜厚を数nm程度薄膜化したり、極薄膜のAl
23絶縁体層の膜質及びAl23絶縁体層と上部Au層
の界面を、より均一化することが必要であると考えられ
ている。例えば、特開平7−65710号に記載の発明
のように、絶縁体層のさらなる薄膜化及び均一化のため
に陽極酸化法を用いて、化成電流を制御することにより
電子放出特性を向上させる試みがなされている。
【0005】しかしながら、このような方法で製造され
たMIM構造の電子放出素子でも、まだ放出電流は1×
10-5A/cm2程度で、放出電流比は1×10-3程度に
すぎない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の事情
に鑑みてなされたものであり、低い電圧で安定して電子
放出することのできる電子放出効率の高い電子放出素子
及びこれを用いた電子放出表示装置を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の電子放出素子
は、金属又は半導体からなる電子供給層、前記電子供給
層上に形成された絶縁体層及び前記絶縁体層上に形成さ
れた金属薄膜電極からなり、前記電子供給層及び前記金
属薄膜電極間に電界を印加し電子を放出する電子放出素
子であって、前記金属薄膜電極及び前記絶縁体層の少な
くとも一方は前記金属薄膜電極の仕事関数より低い仕事
関数の元素を含む領域を有することを特徴とする。
【0008】本発明の電子放出素子においては、前記領
域は前記金属薄膜電極及び前記絶縁体層の間に設けられ
た中間層であることを特徴とする。本発明の電子放出素
子においては、前記領域は前記金属薄膜電極の電子放出
側の表面に設けられた電子放出層であることを特徴とす
る。本発明の電子放出素子においては、前記領域は前記
金属薄膜電極内部に分散されて設けられたことを特徴と
する。
【0009】本発明の電子放出素子においては、前記領
域は前記絶縁体層内部に分散されて設けられたことを特
徴とする。また、本発明の電子放出素子を用いた表示装
置は、真空空間を挾み対向する一対の第1及び第2基板
と、前記第1基板に設けられた複数の電子放出素子と、
前記第2基板内に設けられたコレクタ電極と、前記コレ
クタ電極上に形成された蛍光体層と、からなる電子放出
表示装置であって、前記電子放出素子の各々は、金属又
は半導体からなる電子供給層、前記電子供給層上に形成
された絶縁体層及び前記絶縁体層上に形成された金属薄
膜電極からなり、前記金属薄膜電極及び前記絶縁体層の
少なくとも一方は前記金属薄膜電極の仕事関数より低い
仕事関数の元素を含む領域を有することを特徴とする。
【0010】以上の構成により、本発明の電子放出素子
は、低い電圧でも安定して電子放出することができるの
で、例えば表示素子に本発明の電子放出素子を用いた場
合、安定して高輝度が得られ、駆動電流の消費及び素子
の発熱を抑制でき、さらに駆動回路への負担を低減でき
る。本発明の電子放出素子では、絶縁体層は厚い膜厚を
有するのでスルーホールが発生しにくいので製造歩留ま
りが向上する。
【0011】さらに、本発明の電子放出素子は、画素バ
ルブの発光源、電子顕微鏡の電子放出源、真空ミクロエ
レクトロニクス素子などの高速素子に応用でき、さらに
面状又は点状の電子放出ダイオードとして、赤外線又は
可視光又は紫外線の電磁波を放出する発光ダイオード又
はレーザダイオードとして動作可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参
照しつつ説明する。 (合金中間層を有する電子放出素子)図1に示すよう
に、本発明の電子放出素子は、素子基板10上に例えば
A1からなるオーミック電極11を形成し、さらに金属
又はSiなどの半導体からなる電子供給層12、SiO
2などからなる絶縁体層13及び真空空間に面するAu
などの金属薄膜電極15からなり、さらに絶縁体層13
と金属薄膜15との間にAl−Li合金などの中間層1
4が設けられて構成される。この電子放出素子の対向す
る一対の第1及び第2基板10,1は真空空間を挾んで
保持される。第2基板1の内面にはコレクタ電極2と蛍
光体層3R,G,Bとが設けられる。
【0013】電子放出素子に用いられる金属薄膜電極1
5の抵抗は低いものが選ばれるが、Au,Ag,Al,
Cuなどの金属は仕事関数が4(eV)以上と高いもの
である。中間層14は、金属薄膜電極15の仕事関数よ
り低い材料が選ばれる。絶縁体層13は誘電体からなり
50nm以上の極めて厚い膜厚を有するものである。電
子放出素子は、表面の金属薄膜電極15を正電位Vdと
し裏面オーミック電極11を接地電位としたダイオード
である。オーミック電極11と金属薄膜電極15との間
に電圧Vdを印加し電子供給層12に電子を注入する
と、ダイオード電流Idが流れ、絶縁体層13は高抵抗
であるので、印加電界の大部分は絶縁体層13にかか
る。電子は、金属薄膜電極15側に向けて絶縁体層13
内を移動する。金属薄膜電極15付近に達した電子は、
そこで強電界により一部は中間層14と金属薄膜電極1
5をトンネルし、外部の真空中に放出される。
【0014】このトンネル効果によって薄膜電極15か
ら放出された電子e(放出電流Ie)は、対向したコレ
クタ電極(透明電極)2に印加された高い加速電圧Vc
によって加速され、コレクタ電極2に集められる。コレ
クタ電極に蛍光体3が塗布されていれば対応する可視光
を発光させる。電子放出素子の電子供給層の材料として
はSiが特に有効であるが、ゲルマニウム(Ge)、炭
化シリコン(SiC)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リ
ン化インジウム(InP)、セレン化カドミウム(Cd
Se)など、IV族、III-V族、II-VI族などの単体半
導体及び化合物半導体が、用いられ得る。
【0015】又は、電子供給材料としてAl,Au,A
g,Cuなどの金属でも有効であるが、Sc,Ti,C
r,Mn,Fe,Co,Ni,Zn,Ga,Y,Zr,
Nb,Mo,Tc,Ru,Rh,Pd,Cd,Ln,S
n,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Tl,Pb,
La,Ce,Pr,Nd,Nd,Pm,Sm,Eu,G
d,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luなども
用いられ得る。
【0016】絶縁体層の誘電体材料としては酸化珪素S
iOx、(xは原子比を示す)が特に有効であるが、L
iOx,LiNx,NaOx,KOx,RbOx,SsOx
BeOx,MgOx,MgNx,CaOx,CaNx,Sr
x,BaOx,ScOx,YOx,YNx,LaO x,La
x,CeOx,PrOx,NdOx,SmOx,EuOx
GdOx,TbO x,DyOx,HoOx,ErOx,Tm
x,YbOx,LuOx,TbOx,DyO x,HoOx
ErOx,TmOx,YbOx,LuOx,TiOx,Ti
x,ZrO x,ZrNx,HfOx,HfNx,ThOx
VOx,VNx,NbOx,NbNx,TaOx,TaNx
CrOx,CrNx,MoOx,MoNx,WOx,WNx
MnOx,ReOx,FeOx,FeNx,RuOx,Os
x,CoOx,RhOx,IrOx,NiOx,PdOx
PtOx,CuOx,CuNx,AgOx,AuOx,Zn
x,CdOx,HgOx,BOx,BNx,AlOx,Al
x,GaOx,GaNx,InOx,TiOx,TiNx
SiNx,GeOx,SnOx,PbOx,POx,PNx
AsOx,SbOx,SeOx,TeOxなどの金属酸化物
又は金属窒化物でもよい。
【0017】また、LiAlO2,Li2SiO3,Li2
TiO3,Na2Al2234,NaFeO2,Na4SiO
4,K2SiO3,K2TiO3,K2WO4,Rb2Cr
4,CS2CrO4,MgAl24,MgFe24,M
gTiO3,CaTiO3,CaWO4,CaZrO3,S
rFe1219,SrTiO3,SrZrO3,BaAl2
4,BaFe1219,BaTiO3,Y3Al512,Y3
Fe512,LaFeO3,La3Fe512,La2Ti2
7,CeSnO4,CeTiO4,Sm3Fe512,E
uFeO3,Eu3Fe512,GdFeO3,Gd3Fe5
12,DyFeO3,Dy3Fe512,HoFeO3,H
3Fe512,ErFeO3,Er3Fe5 12,Tm3
512,LuFeO3,Lu3Fe512,NiTi
3,Al2TiO3,FeTiO3,BaZrO3,Li
ZrO3,MgZrO3,HfTiO4,NH4VO3,A
gVO3,LiVO3,BaNb26,NaNbO3,S
rNb26,KTaO3,NaTaO3,SrTa26
CuCr24,Ag2CrO4,BaCrO4,K2MoO
4,Na2MoO4,NiMoO4,BaWO4,Na2WO
4,SrWO4,MnCr24,MnFe24,MnTi
3,MnWO4,CoFe24,NnFe24,FeW
4,CoMoO4,CoTiO3,CoWO4,NiFe
24,NiWO4,CuFe24,CuMoO4,CuT
iO3,CuWO4,Ag2MoO4,Ag2WO4,ZnA
24,ZnMoO4,ZnWO4,CdSnO3,Cd
TiO3,CdMoO4,CdWO4,NaAlO2,Mg
Al24,SrAl24,Gd3Ga512,InFeO
3,MgIn24,Al2TiO5,FeTiO3,MgT
iO3,Na2SiO3,CaSiO3,ZrSiO4,K2
GeO3,Li2GeO3,Na2GeO3,Bi2Sn
39,MgSnO3,SrSnO3,PbSiO3,Pb
MoO4,PbTiO3,SnO2−Sb23,CuSe
4,Na2SeO3,ZnSeO3,K2TeO3,K2
eO4,Na2TeO3,Na2TeO4などの金属複合酸
化物、FeS,Al23,MgS,ZnSなどの硫化
物、LiF,MgF2,SmF3などのフッ化物、HgC
l,FeCl2,CrCl3などの塩化物、AgBr,C
uBr,MnBr2などの臭化物、PbI2,CuI,F
eI2などのヨウ化物、又は、SiAlONなどの金属
酸化窒化物でも絶縁体層の誘電体材料として有効であ
る。
【0018】さらに、絶縁体層の誘電体材料としてダイ
ヤモンド,フラーレン(C2n)などの炭素、或いは、Al
4C3,B4C,CaC2,Cr3C2,Mo2C,MoC,NbC,SiC,TaC,T
iC,VC,W2C,WC,ZrCなどの金属炭化物も有効である。
なお、フラーレン(C2n)は炭素原子だけからなりC60
代表される球面篭状分子でC32〜C960などがあり、ま
た、上式中、Ox,Nxのxは原子比を表す。以下、同じ。
【0019】絶縁体層の厚さは、50nm以上、好まし
くは 100〜1μmさらに好ましくは100〜 700nm程度
である。電子放出側の金属薄膜電極15の材料としては
Pt,Au,W,Ru,Irなどの金属が有効である
が、Al,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,
Ni,Cu,Zn,Ga,Y,Zr,Nb,Mo,T
c,Rh,Pd,Ag,Cd,Ln,Sn,Ta,R
e,Os,Tl,Pb,La,Ce,Pr,Nd,P
m,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,T
m,Yb,Luなども用いられ得る。
【0020】絶縁体層13と金属薄膜電極15との間に
設けられる中間層14の材料は、例えば、Ag,Al,
Au,Ba,C,Ca,Cd,Cu,Fe,K,Li,
Mg,Mo,Na,Nb,Ni,Pb,Pt,Sb,S
i,Sn,Sr,Ta,Ti,Th,W,Zr,Zn,
などの金属、Al−Li,In−Li,Mg−Sr,A
l−Sr,Th−Wなどの合金、BaO,SrO,Th
2などの酸化物、BaSrO2などの複合酸化物、La
6,CaB6,SrB6,などのホウ化物、ZrCなど
の炭化物、またはITO(InO2−SnO2)などの導
電性材料である。ここで、中間層14の材料を決定する
に際しては、金属薄膜電極15の仕事関数より低いもの
が選ばれる。
【0021】素子基板10の材質はガラスの他に、Al
23,Si34、BN等のセラミックスでも良い。また
これらの製法としては、スパッタリング法が特に有効で
あるが、真空蒸着法、CVD(chemical vapor deposit
ion)法、レーザアプレイション法、MBE(molecular
beam epitaxy)法、イオンビームスパッタリング法で
も有効である。
【0022】具体的に、本発明の電子放出素子を作製し
特性を調べた。Alオーミック電極をスパッタリング法
により膜厚 300nmで形成したガラス基板である素子基
板10の電極表面に、シリコン(Si)の電子供給層1
2をスパッタリング法により膜厚5000nmで形成した。
かかるSi基板を多数用意した。
【0023】次に、スパッタリング法により、かかるS
i基板の電子供給層13上に膜厚を0〜 500nmに変化
させてSiO2の絶縁体層13を成膜し、かかるSiO2
絶縁体基板を多数用意した。SiO2絶縁体層13は、
スパッタリング法をとおして、Ar,Kr,Xeあるい
はそれらの混合ガス、又はこれらの希ガスを主成分とし
2,N2などを混入した混合ガスを用いてガス圧 0.1〜
100mTorr好ましくは0.1〜20mTorr、成膜レート 0.1
〜1000nm/min好ましくは 0.5〜 100nm/minのスパッタ条
件で成膜されている。スパッタリング装置のターゲット
やスパッタ条件を適宜変えることにより、絶縁体層13
の単層又は多層、アモルファス相、粒径、原子比は制御
され得る。
【0024】実施例のSiO2絶縁体層13について、
X線回折法で分析したところアモルファス相によるハロ
ー強度Iaが観測された。このことから絶縁体層のSi
2はアモルファス相であると推定できる。最後に、各
基板のアモルファスSiO2層の表面上にAl−Li合
金をスパッタリング法などにより10〜 100nmの厚さ
に成膜した後、Auの金属薄膜電極15を膜厚10nm
でスパッタリング法で成膜し、素子基板を多数作成し
た。
【0025】一方、透明ガラス基板1の内面にITOコ
レクタ電極2が形成されたものや、各コレクタ電極上
に、R,G,Bに対応する蛍光体からなる蛍光体層3を
常法により形成した透明基板を作成した。これら素子基
板及び透明基板を、金属薄膜電極15及びコレクタ電極
2が向かい合うように平行に10mm離間してスベーサ
により保持し、間隙を10-7Torr又は10-5Paの
真空になし、電子放出素子を組立て、作製した。
【0026】その後、多数の得られた素子について各S
iO2層膜厚に対応したダイオード電流Id及び放出電
流Ieを測定した。この結果、 200V以下の電圧を加え
ることにより、SiO2層膜厚50nm以上で1×10
-6A/cm2以上の放出電流、1×10-3以上の電子放出
効率が、膜厚300nm以上で最大放出電流1×10-3
A/cm2、最大放出効率1×10-1程度が得られた。よ
って、膜厚50nm以上好ましくは、100nm以上の
SiO2誘電体層を有する素子から得られることが判明
した。
【0027】また、蛍光体を塗布したコレクタ電極2及
び金属薄膜電極15の間に約4kVの電圧を印加した状
態では、SiO2層膜厚50nm以上の素子で薄膜電極
に対応する形の均一な蛍光パターンが観測された。この
ことは、アモルファスSiO 2層からの電子放出が均一
であり、直線性の高いことを示し、電子放出ダイオード
として、赤外線又は可視光又は紫外線の電磁波を放出す
る発光ダイオード又はレーザダイオードとして動作可能
であることを示している。
【0028】スパッタリングで成膜した絶縁体層の表面
をSEMで観察したところ、20nm程度の粒塊からな
ることを特徴としていることが判った。50nm以上の
膜厚を有しながらトンネル電流が流れるといった特異な
現象はこの特徴に起因すると考えられる。すなわち、図
2に示すように、SiO2は本来絶縁体であるが、粒塊
あるいは、その近傍に発生しやすい結晶欠陥や不純物な
どによりポテンシャルの低いバンドが多数現れる。電子
はこのポテンシャルの低いバンドを介し次々にトンネリ
ングし、結果として50nm以上の膜厚をもトンネルす
るのであると推定される。
【0029】このように、絶縁体層13の膜厚を50n
m以上とすることで、スルーホールが発生しにくく、製
造歩留まりが向上する。電子放出素子の放出電流は1×
10 -6A/cm2を越え1×10-3A/cm2程度であり、放
出電流比は1×10-1が得られるので、この電子放出素
子を表示装置に用いた場合、高輝度で駆動電流の消費及
び発熱を抑制でき、さらに駆動回路への負担を低減でき
る。 (電子放出素子における低仕事関数の元素又は化合物を
含む領域)発明者は、上記中間層における低仕事関数の
元素又は化合物を含む領域に着目し、電子放出素子の機
能の改善、電子放出特性向上、安定性向上を課題とし
て、上記領域の条件を変えて多くの他の素子を作成し、
測定したところ、金属薄膜電極、絶縁体層及び電子供給
層を順に積層した素子の安定した電子放出を達成するた
めには、金属薄膜電極上若しくは中に、又はこれと絶縁
体層との界面、或いは、絶縁体層中に、仕事関数の低
い、I族(アルカリ金属)やII族(アルカリ土類金属)
やランタノイド系(希土類)の元素又はそれらの化合物
からなる領域を設けるべき、ことを知見した。金属薄膜
電極と絶縁体層との界面に設ける場合は上記実施例の場
合である。
【0030】I族、II族及びランタノイド系の元素は他
の元素に較べて仕事関数が低いので、上記領域として用
いる。これらを、以下に元素記号(仕事関数)としてよ
り具体的に示す。I族は、Li(2.39),Na
(2.27),K(2.15),Rb(2.13),C
s(1.89)である。II族は、Be(3.37),M
g(3.46),Ca(2.76),Sr(2.3
5),Ba(2.29)である。
【0031】ランタノイド系は、La(3.5),Ce
(2.7),Pr(2.7),Nd(3.1),Pm,
Sm(2.7),Eu(2.5),Gd(2.7),T
b(2.6),Dy(2.2),Ho(2.3),Er
(2.4),Tm,Yb,Lu(3.3)である。本発
明における低仕事関数の元素又は化合物は、以上の元
素、単体又は少なくとも1つ以上の元素を含む化合物、
例えば、Ia族では、LiO2,LiI,Li2SiO3,Li2TiO3,N
a2O,NaI,NaFeO2,Na4SiO4,K2O,KI,K2TiO3,K2W
O4,Rb2O,RbBr,Rb2CrO4,Cs2O,CsBr,CsCrO4であ
り、IIa族では、BeO,,BeY2O4,BeNb2O4,BeIn2O4,Be
Ta2O6,MgO,Mg2Ag,MgY2O4,MgNb2O4,MgIn2O4,MgTa2
O6,CaO,Ca 2Cu,CaY2O4,CaNb2O4,CaIn2O6,CaTa
2O6,SrO,SrS,SrY2O4,SrNb2O6,SrIn2O4,SrTa2O6
BaO,BaTiO3,BaY2O4,BaNb2O4,BaIn2O6,BaTa2O6であ
り、ランタノイド系では、La2O3,BeLa2O4,MgLa2O4,C
aLa2O4,SrLa2O4,BaLa2O4,Ce2O 3,BeCe2O4,MgCe
2O4,CaCe2O4,SrCe2O4,BaCe2O4,Pr2O3,BePr2O4,Mg
Pr2O4,CaPr2O4,SrPr2O4,BaPr2O4,Nd2O3,BeNd2O4
MgNd2O4,CaNd2O4,SrNd2O4,BaNd2O4,Sm2O3,BeSm
2O4,MgSm2O4,CaSm2O4,SrSm2O4,BaSm2O4,Eu2O3,Be
Eu 2O4,MgEu2O4,CaEu2O4,SrEu2O4,BaEu2O4,Gd2O3
BeGd2O4,MgGd2O4,CaGd2O 4,SrGd2O4,BaGd2O4,Tb
2O3,BeTb2O4,MgTb2O4,CaTb2O4,SrTb2O4,BaTb2O4
Dy2O3,BeDy2O4,MgDy2O4,CaDy2O4,SrDy2O4,BaDy
2O4,Ho2O3,BeHo2O4,MgHo2O4,CaHo2O4,SrHo2O4,Ba
Ho2O4,Er2O3,BeEr2O4,MgEr2O4,CaEr2O4,SrEr 2O4
BaEr2O4,Tm2O3,BeTm2O4,MgTm2O4,CaTm2O4,SrTm
2O4,BaTm2O4,Yb2O3,BeYb2O4,MgYb2O4,CaYb2O4,Sr
Yb2O4,BaYb2O4,Lu2O3,BeLu2O4,MgLu2O4,CaLu2O4
SrLu2O4,BaLu2O4である。ただし、この場合の化合物と
は、酸化物、窒化物、複合酸化物、合金、塩、無機化合
物の全てを含める。また、化合物の仕事関数は仕事関数
の低い方の元素によって決定されるので化合物でも良
い。また、上記実施例に挙げた物質も本発明における低
仕事関数の元素又は化合物も含める。 (合金中間層を有する電子放出素子の他の実施例)低仕
事関数の元素又は化合物の領域を、金属薄膜電極と絶縁
体層の間に中間層として積層する。この場合、中間層は
I族、II族又はそれの合金となっている。中間層は化合
物として補強され、層もアイランド状で積層可能であ
り、絶縁体層から金属薄膜電極への電子の移動を円滑に
する働きをなす。
【0032】中間層成膜方法としては、一例としてスパ
ッタリングが有効である。スパッタリングガスにはA
r,Kr,Xeなどを用い、ガス圧は1〜20mTor
rの間が望ましい。スパッタリングレートは0.1〜1
0nm/secとし、成膜時間により膜厚を制御する。この場
合できた中間層を分析すると島状に成長しており、層状
になっていない事もあるが、それでも十分な効果が得ら
れる。
【0033】具体的に中間層素子の他の実施例として、
低仕事関数材料をTb47とし及び中間層成膜時のスパ
ッタリング条件を変えた以外は、上記実施例同様に電子
放出素子を組立て、作製した。この時のTb47中間層
の平均膜厚は1nmである。成膜条件はArガス圧5m
Torr,成膜レート 0.5nm/secで成膜時間が2秒であ
る。 その後、多数の得られた素子について各SiO2
層膜厚に対応したダイオード電流Id及び放出電流Ie
を測定した。
【0034】図3及び図4は、作製した電子放出素子に
駆動電圧Vdを0〜100Vで印加したときのSiO2
層膜厚に対する、各膜厚における最大の放出電流Ieの
関係並びに最大の電子放出効率(Ie/Id)の関係を
示す。図3及び図4から明らかなように、膜厚50nm
から有効な放出電流Ie及び効率が、SiO2層膜厚4
00〜700nmの素子で最大放出電流1×10-3A/
cm2、最大放出効率1×10-1程度が得られた。
【0035】図5は、中間層14がある場合(A)と中
間層14がない場合(B)について、放出電流Ieと駆
動電圧Vdとの関係を示したものである。図5において
中間層を設けない以外は、上記実施例同様に電子放出素
子を組立て、作製した比較例の放出電流Ieと駆動電圧
Vdとの関係をも示してある。比較例の曲線Bのよう
に、放出電流が発生するために必要な印加電圧Vdは約
70V以上であるのに対し、中間層を設けた場合、曲線
Aのように、印加電圧Vdは約55V程度という低い電
圧で放出電流が発生する。 (最表面に電子放出層を有する電子放出素子)図6は、
最表面に電子放出層を有する実施例の電子放出素子の概
略部分拡大断面図である。この実施例においては、図1
に示す素子の中間層14に代えて、上記領域を、金属薄
膜電極15の上最表面(真空空間に面する)に10nm
以下の膜厚で電子放出層14aとして積層する。この場
合、電子放出層は、膜というよりもむしろ島状に分散し
ている状態である。電子放出層14aにより表面のポテ
ンシャル障壁を低くすることができる。
【0036】電子放出層14aに仕事関数が低い層を用
いて、その下層に金属薄膜電極15を用い、その下層に
絶縁体層13がある構造の場合、I族、II族、ランタノ
イド系又はそれらの化合物の膜厚は10nm以下が望ま
しい。それ以上であると電子が散乱され、エネルギーを
失い、結果として放出電流が下がるからである。電子放
出層14aの成膜方法としては、一例としてスパッタリ
ングがある。このときのスパッタリングガスにはAr,
Kr,Xeなどを用い、ガス圧は1〜20mTの間が望
ましい。スパッタリングレートは 0.1〜10nm/secと
し、成膜時間により膜厚を制御する。この場合できた膜
を分析すると島状に成長しており、層状になっていない
事もあるが、それでも効果としては十分に得られる。他
の成膜法として、真空蒸着法も同等に有効で、他、CV
Dレーザアブレイション,MBE,イオンビームスパッ
タでも有効である。
【0037】具体的に図6の電子放出素子として、低仕
事関数材料をTb47とし及び成膜時のスパッタリング
条件を変えた以外は、上記実施例同様に電子放出素子を
組立て、作製した。この時のTb47の平均膜厚は1n
mである。成膜条件はArガス圧5mT,レート 0.5nm
/secで成膜時間が2秒である。多数の得られた素子につ
いて各SiO2層膜厚に対応したダイオード電流Id及
び放出電流Ieを測定した。
【0038】図7及び図8は、作製した電子放出素子に
駆動電圧Vdを0〜100Vで印加したときのSiO2
層膜厚に対する、各膜厚における最大の放出電流Ieの
関係並びに最大の電子放出効率(Ie/Id)の関係を
示す。図7及び図8から明らかなように、膜厚50nm
から有効な放出電流Ie及び効率が、SiO2層膜厚4
00〜700nmの素子で最大放出電流1×10-3A/
cm2、最大放出効率1×10-1程度が得られた。
【0039】図9は、電子放出層がある場合(A)と電
子放出層がない場合(B)について、放出電流Ieと駆
動電圧Vdとの関係を示したものである。図9において
電子放出層を設けない以外は、上記実施例同様に電子放
出素子を組立て、作製した比較例の放出電流Ieと駆動
電圧Vdとの関係をも示してある。比較例の曲線Bのよ
うに、放出電流が発生するために必要な印加電圧Vdは
約70V以上であるのに対し、中間層を設けた場合、曲
線Aのように、印加電圧Vdは約50Vという低い電圧
で放出電流が発生する。 (薄膜電極内部に上記領域を有する電子放出素子)図1
0は、薄膜電極内部に上記領域を有する実施例の電子放
出素子の概略部分拡大断面図である。この実施例におい
ては、図1に示す素子の中間層14に代えて、上記領域
14bである低仕事関数の物質を、金属薄膜電極15中
にドーパントとして分散させる。この場合、領域14b
は、表面のポテンシャル障壁を低くするとともに、絶縁
体層から金属薄膜電極への電子の移動を円滑にする働き
も兼ねる。
【0040】絶縁体層13上に形成された金属薄膜電極
15内部に仕事関数の低い材料14bを分散させる電子
放出素子においては、金属薄膜電極母材15は一定の面
積に均一電界をかける層薄膜であり、そのためには10
-3Ωcm以下の電気抵抗率が必要である。よってその材
料としては、Al,Au,Pt,Cu,Pd,Ag,N
i,W,Ir,Fe,Co,Tiなどの電気抵抗率が、
10-6Ωcm代の低抵抗の金属を主成分として、そこに
仕事関数の低い上記材料14bを混ぜることになる。混
合比としては、混合する材料の電気抵抗率にもより、一
様に上限を決められないが、混合物にしたときに、先の
10-3Ωcm以下となることが条件となる。
【0041】上記領域14bを内包する金属薄膜電極1
5の成膜方法の一例としてスパッタリング法がある。こ
の場合あらかじめ上記混合物のターゲットを用いる方法
や、主成分のターゲットの一部に混合させる材料を配置
させた複合ターゲットを用いる方法、あるいは主成分の
ターゲットと混合させる材料のターゲットを別に用意し
2元スパッタ(コスパッタ)により混合物を作る方法な
どがあり、いずれも有効である。
【0042】具体的に図10の電子放出素子として、A
uを主成分とし低仕事関数材料をTb47とし及び成膜
時のスパッタリング条件を変えた以外は、上記実施例と
同様である領域14bを内包する金属薄膜電極15から
なる電子放出素子を組立て、作製した。スパッタリング
はコスパッタ法で、金属薄膜電極の電気抵抗率は2×1
-5Ωcmであった。
【0043】その後、多数の得られた素子について各S
iO2層膜厚に対応したダイオード電流Id及び放出電
流Ieを測定した。図11及び図12は、作製した電子
放出素子に駆動電圧Vdを0〜100Vで印加したとき
のSiO2層膜厚に対する、各膜厚における最大の放出
電流Ieの関係並びに最大の電子放出効率(Ie/I
d)の関係を示す。図11及び図12から明らかなよう
に、膜厚50nmから有効な放出電流Ie及び効率が、
SiO 2層膜厚400〜700nmの素子で最大放出電
流1×10-3A/cm2以上、最大放出効率1×10-1
上が得られた。
【0044】図13は、仕事関数の低いドーパント即ち
上記領域を分散させて金属薄膜電極に設けた電子放出素
子の場合(A)とそれがない場合(B)について、放出
電流Ieと駆動電圧Vdとの関係を示したものである。
図13おいて仕事関数の低い物質を金属薄膜電極にドー
プしない以外は、上記実施例同様に電子放出素子を組立
て、作製した比較例の放出電流Ieと駆動電圧Vdとの
関係をも示してある。比較例の曲線Bのように、放出電
流が発生するために必要な印加電圧Vdは約70V以上
であるのに対し、中間層を設けた場合、曲線Aのよう
に、印加電圧Vdは約50Vという低い電圧で放出電流
が発生する。
【0045】図14と図15は、仕事関数の低いドーパ
ントの分散がある場合とない場合の放出電流の時間変動
をそれぞれ表している。図14のように仕事関数の低い
ドーパントの分散がある場合は、図15の仕事関数の低
いドーパントがない場合と比べて放出電流の時間変動は
非常に小さく、放出電流が安定していることがわかる。
このことは、仕事関数の低いドーパント即ち上記領域を
分散させて金属薄膜電極に設けることにより、印加電圧
Vdによって電子供給層からの電子は金属薄膜電極を容
易に通過できるので、仕事関数の低いドーパントがない
場合に比べて多くの電子を安定して金属薄膜電極に到達
させることができるからであると推察される。
【0046】図16は、実施例の仕事関数の低いドーパ
ントを金属薄膜電極に分散させて設けた電子放出素子の
ダイオード電流Idと駆動電圧Vdとの関係を放出電流
Ieの変化と共に示したものである。図16おいてダイ
オード電流Idの変化はヒステリシス特性を有すること
が分る。放出電流開始の駆動電圧から電圧降下が生じ、
良好に放出電流が上昇することが分る。 (絶縁体層内部に上記領域を有する電子放出素子)図1
7は、絶縁体層内部に上記領域を有する実施例の電子放
出素子の概略部分拡大断面図である。この実施例におい
ては、図1に示す素子の中間層14に代えて、領域14
cである低仕事関数の物質を、絶縁体層13中にドーパ
ントとして分散させる。この場合も、絶縁体層13から
金属薄膜電極15への電子の移動を円滑にする働きをな
す。低仕事関数の物質14cを絶縁体層13の金属薄膜
電極15に近い方に高くなる密度勾配を設けて分散させ
てもよい。
【0047】この絶縁体層13に低仕事関数の物質14
cを混合する場合の絶縁体層の成膜法は、上記の図10
に示す素子の場合と同様である。このように、金属薄膜
電極、絶縁体層及び電子供給層を積層した本発明の電子
放出素子においては、金属薄膜電極上若しくは中に、又
はこれと絶縁体層との界面、或いは、絶縁体層中に、仕
事関数の低い、I族やII族やランタノイド系(希土類)
の元素又はそれらの化合物からなる領域を設けることに
より、低い電圧でかつ安定した放出電流を得ることがで
きる。
【0048】図18に実施例の電子放出表示装置を示
す。実施例は、一対の透明基板1及び素子基板10から
なり、基板は真空空間4を挾み互いに対向している。図
示する電子放出表示装置において、表示面である透明ガ
ラス基板1すなわち透明基板の内面(背面板10と対向
する面)には、例えばインジウム錫酸化物(いわゆるI
TO)、酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などか
らなる透明なコレクタ電極2の複数が互いに平行に形成
されている。また、コレクタ電極2は一体的に形成され
ていてもよい。放出電子を捕獲する透明コレクタ電極群
は、カラーディスプレイパネルとするために赤、緑、青
のR,G,B色信号に応じて3本1組となっており、そ
れぞれに電圧が印加される。よって、3本のコレクタ電
極2の上には、R,G,Bに対応する蛍光体からなる蛍
光体層3R,3G,3Bが真空空間4に面するように、
それぞれ形成されている。
【0049】一方、真空空間4を挾み透明ガラス基板1
に対向するガラス等からなる素子基板10すなわち素子
基板内面(透明ガラス基板1と対向する面)にはインシ
ュレータ層18を介してそれぞれ平行に伸長する複数の
オーミック電極11が形成されている。インシュレータ
層18は、SiO2,SiNx,Al23,AlNなど
の絶縁体からなり、素子基板10から素子への悪影響
(アルカリ成分などに不純物の溶出や、基板面の凹凸な
ど)を防ぐ働きをなす。オーミック電極の上に上記実施
例の電子放出素子Sの複数が形成され、隣接する金属薄
膜電極を電気的に接続しその一部上に、オーミック電極
に垂直に伸長して架設され、それぞれが平行に伸長する
複数のバス電極16が設けられている。電子放出素子S
はオーミック電極上に順に形成された電子供給層12、
絶縁体層13及び金属薄膜電極15からなる。そして、
図示しないが、金属薄膜電極15上には上記電子放出層
が、又は、金属薄膜電極15内部には上記ド−パント領
域が、又は、金属薄膜電極15と絶縁体層13との間に
は上記中間層が、又は、絶縁体層13内部には上記ド−
パント領域が、設けられている。金属薄膜電極15は真
空空間4に面する。また、金属薄膜電極15の表面を複
数の電子放出領域に区画するため、開口を有した第2絶
縁体層17が成膜される。この第2絶縁体層17はバス
電極16を覆うことで不要な短絡を防止する。
【0050】オーミック電極11の材料としては、A
u,Pt,Al,W等の一般にICの配線に用いられる
材料で、各素子にほぼ同電流を供給する均一な厚さであ
る。電子供給層12の材質は、シリコン(Si)が挙げ
られるが、本発明の電子供給層はシリコンに限られたも
のではなく他の半導体又は金属であり、アモルファス、
多結晶、単結晶のいずれでも良い。
【0051】薄膜電極15の材質は、電子放出の原理か
ら仕事関数φが小さい材料で、薄い程良い。電子放出効
率を高くするために、薄膜電極15の材質は周期律表の
I族、II族の金属が良く、たとえばCs,Rb,Li,
Sr,Mg,Ba,Ca等が有効で、更に、それらの合
金であっても良い。また、薄膜電極15の材質は極薄化
の面では、導電性が高く化学的に安定な金属が良く、た
とえばAu,Pt,Lu,Ag,Cuの単体又はこれら
の合金等が望ましい。また、これらの金属に、上記仕事
関数の小さい金属をコート、あるいはドープしても有効
である。
【0052】バス電極16の材料としては、Au,P
t,Al等の一般にICの配線に用いられる物で良く、
各素子にほぼ同電位を供給可能ならしめるに足る厚さ
で、 0.1〜50μmが適当である。また、本発明の表示
装置の駆動方式としては単純マトリクス方式またはアク
ティブマトリクス方式が適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による薄膜電極及び絶縁体層間の中間
層を有する実施例の電子放出素子の概略断面図である。
【図2】 本発明による電子放出素子の動作を説明する
動作説明図である。
【図3】 本発明による他の実施例の電子放出表示装置
における電子放出電流のSiO2層膜厚依存性を示すグ
ラフである。
【図4】 本発明による他の実施例の電子放出表示素子
における電子放出効率のSiO2層膜厚依存性を示すグ
ラフである。
【図5】 本発明による他の実施例の電子放出素子にお
ける印加駆動電圧Vdと電子放出電流の関係を示すグラ
フである。
【図6】 最表面に電子放出層を有する実施例の電子放
出素子の概略部分拡大断面図である。
【図7】 図6に示す実施例の電子放出表示装置におけ
る電子放出電流のSiO2層膜厚依存性を示すグラフで
ある。
【図8】 図6に示す実施例の電子放出表示素子におけ
る電子放出効率のSiO2層膜厚依存性を示すグラフで
ある。
【図9】 図6に示す実施例の電子放出素子における印
加駆動電圧Vdと電子放出電流の関係を示すグラフであ
る。
【図10】 薄膜電極内部に上記領域を有する実施例の
電子放出素子の概略部分拡大断面図である。
【図11】 図10に示す実施例の電子放出表示装置に
おける電子放出電流のSiO2層膜厚依存性を示すグラ
フである。
【図12】 図10に示す実施例の電子放出表示素子に
おける電子放出効率のSiO2層膜厚依存性を示すグラ
フである。
【図13】 図10に示す実施例の電子放出素子におけ
る印加駆動電圧Vdと電子放出電流の関係を示すグラフ
である。
【図14】 図10に示す実施例の電子放出素子の放出
電子流の時間変動を示すグラフである。
【図15】 上記領域を有さない比較例の電子放出素子
の放出電子流の時間変動を示すグラフである。
【図16】 図10に示す実施例の電子放出素子におけ
る印加駆動電圧Vdとダイオード電流の関係を示すグラ
フである。
【図17】 絶縁体層内部に上記領域を有する実施例の
電子放出素子の概略部分拡大断面図である。
【図18】 本発明による実施例の電子放出表示装置を
示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 コレクタ電極 3R,3G,3B 蛍光体層 4 真空空間 10 素子基板 11 オーミック電極 12 電子供給層 13 絶縁体層 14 中間層 15 金属薄膜電極 16 パス電極 17 第2絶縁体層 18 インシュレータ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩崎 新吾 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号パイ オニア株式会社総合研究所内 (72)発明者 吉川 高正 埼玉県鶴ヶ島市富士見6丁目1番1号パイ オニア株式会社総合研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属又は半導体からなる電子供給層、前
    記電子供給層上に形成された絶縁体層及び前記絶縁体層
    上に形成された金属薄膜電極からなり、 前記電子供給層及び前記金属薄膜電極間に電界を印加し
    電子を放出する電子放出素子であって、 前記金属薄膜電極及び前記絶縁体層の少なくとも一方は
    前記金属薄膜電極の仕事関数より低い仕事関数の元素を
    含む領域を有することを特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 前記領域は前記金属薄膜電極及び前記絶
    縁体層の間に設けられた中間層であることを特徴とする
    請求項1記載の電子放出素子。
  3. 【請求項3】 前記領域は前記金属薄膜電極の電子放出
    側の表面に設けられた電子放出層であることを特徴とす
    る請求項1記載の電子放出素子。
  4. 【請求項4】 前記領域は前記金属薄膜電極内部に分散
    されて設けられたことを特徴とする請求項1記載の電子
    放出素子。
  5. 【請求項5】 前記領域は前記絶縁体層内部に分散され
    て設けられたことを特徴とする請求項1記載の電子放出
    素子。
  6. 【請求項6】 真空空間を挾み対向する一対の第1及び
    第2基板と、 前記第1基板に設けられた複数の電子放出素子と、 前記第2基板内に設けられたコレクタ電極と、 前記コレクタ電極上に形成された蛍光体層と、からなる
    電子放出表示装置であって、 前記電子放出素子の各々は、金属又は半導体からなる電
    子供給層、前記電子供給層上に形成された絶縁体層及び
    前記絶縁体層上に形成された金属薄膜電極からなり、 前記金属薄膜電極及び前記絶縁体層の少なくとも一方は
    前記金属薄膜電極の仕事関数より低い仕事関数の元素を
    含む領域を有することを特徴とする電子放出表示装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7095040B2 (en) * 2000-01-13 2006-08-22 Pioneer Corporation Electron-emitting device and method of manufacturing the same and display apparatus using the same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7095040B2 (en) * 2000-01-13 2006-08-22 Pioneer Corporation Electron-emitting device and method of manufacturing the same and display apparatus using the same

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