JP3461132B2 - 内燃機関の点火プラグ用プラグキャップ - Google Patents
内燃機関の点火プラグ用プラグキャップInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として内燃機関
の点火プラグに被せられるプラグキャップの換気孔の防
水構造を改良した点火プラグ用プラグキャップに関す
る。 【0002】 【従来の技術】内燃機関の点火プラグ用プラグキャップ
は、シリンダヘッドにプラグホールを有しそのプラグホ
ール内に点火プラグが取り付けられている場合に用いら
れる。このようなプラグキャップは、高電圧を導く高圧
電線を支持するとともに、シリンダヘッド外側からプラ
グホール内に水が侵入しないようにプラグホールを密閉
するものである。このように水の侵入を防止する一方、
プラグホール内部の温度変化による熱膨張、収縮時の圧
力調整と、内部の湿気による錆の発生等を防止するため
に、プラグキャップには、例えば特開平9−7682号
公報に記載のもののように、換気孔が設けてある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記の換気孔は、プラ
グキャップの構造上、その上面に開口することが多い。
通常、換気孔はその目的に合わせて小径のものである
が、激しく被水した場合にはわずかではあるが侵入する
ことがある。水が侵入した場合には、高圧電流が漏洩
し、確実に点火が行えなかったり、錆が生じたりして、
運転状態が不安定になるとともに、耐久性が低下するこ
とがあった。 【0004】本発明は、このような不具合を解消するこ
とを目的としている。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するために、次のような手段を講じたものであ
る。すなわち、本発明に係る内燃機関の点火プラグ用プ
ラグキャップは、プラグホールと外部とを連通する換気
通路の外向きの開口部に、通気性を有し、かつ水分の通
過を阻止する濾過手段を取り付ける構成である。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明は、内燃機関のプラグホー
ルに取り付けられる点火プラグに装着されてプラグホー
ルを防水する点火プラグ用プラグキャップであって、プ
ラグホールと外部とを連通する換気通路を有してなるキ
ャップ本体と、その換気通路の外向きの開口部を構成す
るシール部材とからなり、キャップ本体が、プラグホー
ル内面に密着してプラグホールを密封する密封部と、そ
の密封部の上側に位置して通気性を有し、かつ水分の通
過を阻止する濾過手段を内蔵してなるシール部材が取り
付けられる凹部とを備え、密封部と凹部との間に切除部
が設けられることを特徴とする内燃機関の点火プラグ用
プラグキャップである。 【0007】このような構成のものであれば、外部から
換気通路を介してプラグホールへ侵入する水が、濾過手
段により確実に阻止され、しかも濾過手段が通気性を有
しているので十分な換気を実現することが可能になる。
したがって、内燃機関の温度変化により、プラグホール
内の空気が膨張収縮を繰り返しても、プラグホール内の
圧力が異常になることはない。また、水の侵入を阻止し
て換気するので、プラグホール内の湿度を低く保つこと
が可能になり、錆の発生を抑制することが可能になる。 【0008】また、濾過手段を内蔵してなるシール部材
が密封部の上側に位置する凹部に取り付けられ、密封部
と凹部との間に切除部が設けられるので、濾過手段の取
付を容易にするとともに、脱落を確実に防止することが
できる。 【0009】 【実施例】以下、本発明の一実施例を、図面を参照して
説明する。図1において、プラグキャップ1は、例えば
DOHC(タブルオーバーヘッドカム)型式のエンジン
のシリンダヘッド2に設けられるプラグホール3に装着
されるものである。このプラグキャップ1は、全体が略
円筒形状をしており、その上端から導出するハイテンシ
ョンコード(図示しない)がイグニッションコイルに接
続される構造で、ハイテンションコードとスパークプラ
グSPとの接続要素を内蔵して換気通路41を有するキ
ャップ本体4と、換気通路41を通気可能に、かつ水の
侵入を阻止して閉塞する濾過手段たるフィルター52を
内蔵し換気通路41の外向きの開口部を構成するシール
部材5とからなる。なお、プラグキャップ1の上部分
は、通常のものと同等でよいので、以下の説明では、プ
ラグキャップ1における換気通路41を含む部分につい
て詳述する。 【0010】キャップ本体4は、プラグホール3の内径
より小径の外径を有し、スパークプラグSPの頭部が嵌
入される円筒部42と、その円筒部42の長手方向の略
中央部の外側に形成されプラグホール3の内径と略同一
の外径を有する鍔部43と、円筒部42の長手方向の鍔
部43の上側の位置に外側に向かって円形状に開口する
凹部44と、円筒部42の外周面に沿うような位置にお
いて鍔部43の下面に下向きに開口する下側開口45a
を有し凹部44に開口する換気孔45とを具備してい
る。したがって、凹部44と換気孔45とにより換気通
路41が形成される。 【0011】円筒部42は、鍔部43より上側が鍔部4
3から下側より大径に形成してある。これにより、凹部
44の奥行きは、円筒部42の鍔部43より下側の外周
面42aの位置に略一致するものとなる。凹部44の下
方の円筒部42には、円筒部42の厚みを薄くした切除
部42bが設けてある。切除部42bは、図2に示すよ
うに、換気通路41が貫通するに十分な厚みを円筒部4
2の所定部位に残して、その部位を挟むようにして横方
向に直線的に設けてある。すなわち、切除部42bは、
換気通路41の両側部位に、シール部材5の取付部であ
る凹部44の下側の円筒部42の表面の肉厚を薄くした
ものである。それぞれの切除部42bは、後述する爪部
分44aの外面下側から鍔部43の間に形成してあり、
これらの切除部42bにより径方向に平行な平面が、円
筒部42の所定部位に形成される。切除部42bは、後
述するように、プラグキャップ1を抜き取る際に円筒部
42がわずかに湾曲する際に発生する応力を緩和するた
めのものであるので、この切除部42bにより円筒部4
2の剛性が変わるものではない。 【0012】また、凹部44は、その外向き開口44c
を、シール部材5の外形より小さく形成してあり、シー
ル部材5を掛止する4ヶ所に切れ目を有する環状の爪部
分44aが形成されるものである。さらに、この凹部4
4は、シール部材5の後面が当接せずに換気通路41と
なる凹陥部分44bを具備している。この凹陥部分44
bは、凹部44の奥側の内壁に設けられるもので、その
高さ寸法は、凹部44の下内面から、シール部材5の後
面側の開口の上縁に達する大きさに形成してある。 【0013】シール部材5は、環状のプレート51と、
プレート51の中央孔51aを横切って張設されるフィ
ルター52と、フィルター52をプレート51とにより
挟持するワッシャ53とからなる。プレート51とワッ
シャ53とは、例えば合成樹脂製であり、フィルター5
2は、通気性を有し、かつ水分の通過を阻止する素材、
例えば連続多孔質ポリ・テトラ・フロロ・エチレン(商
品名:ゴアテックス)からなる。プレート51は、外周
面の奥行き方向の略中央にフランジ部51bを有し、フ
ランジ部51bより奥側の外径が前側の外径より大きく
なっている。このフランジ部51bの位置は、シール部
材5がキャップ本体4の凹部44に嵌入された際に、凹
部44の下内面に開口する換気孔45を閉塞しない位置
に設定してある。また、このプレート51の中央孔51
aは、漏斗形状をしており、奥行き方向に縮径してい
る。プレート51の後面には、中央孔51aと連通しワ
ッシャ53が嵌合されてフィルター52が取り付けられ
る取付凹部51cが形成してある。取付凹部51cの内
径は、中央孔51aの前面側の開口内径より大きく設定
してある。ワッシャ53は、その前面にフィルター52
を押圧するための環状リブ53aと、その側面の外周壁
に全周にわたって形成される固定用リブ53bと、フィ
ルター52と一体にされた際にフィルター52の中央孔
51aに連続する中央孔53cとを備えている。このワ
ッシャ53の厚みは、プレート51の取付凹部51cの
奥行き寸法と略同じに設定してある。 【0014】このようなシール部材5は、まずプレート
51の取付凹部51c内にフィルター52を入れ、その
フィルター52を固定するためにワッシャ53を環状リ
ブ53cを取付凹部51cの前側にむけて、つまりフィ
ルター52の方向に向けて取付凹部51cに挿入する。
そして、ワッシャ53をフィルター52に当接させた
後、ワッシャ53の後面とプレート51の後面とが略面
一になるまで取付凹部51c内にワッシャ53を押し込
み、ワッシャ53の環状リブ53aと取付凹部51cの
内側前面との間でフィルター52が挟持固定させる。こ
の後、ワッシャ53の固定用リブの全周をプレート51
に溶着して、ワッシャ53をプレート51に固定する。 【0015】このようにして組み立てたシール部材5
を、キャップ本体4の凹部44に嵌入してその周囲を接
着する。凹部44は、爪部分44aを有しているので、
シール部材5を凹部44内に嵌入するとこの爪部分44
aがフランジ部51bに当接して、シール部材5が凹部
44から脱落するのを阻止する。シール部材5が凹部4
4に嵌入して接着されると、シール部材5のフランジ部
51bより後側の外周面と凹部44との間の間隙Gによ
り、キャップ本体4の換気孔45とシール部材5の各中
央孔51a,53cとが連通し、迷路状に換気通路41
が形成される。すなわち、キャップ本体4の換気孔45
は凹部44の下内面に開口しており、シール部材5がフ
ランジ部51bで凹部44内に支持されているので、凹
部44下内面とシール部材5との間には間隙G2が形成
される。この間隙G2は、凹部44の凹陥部分44bに
連通するものとなる。しかも、凹陥部分44bは、シー
ル部材5の中央孔53cの後面側の開口と連通している
ので、換気孔45は、シール部材5のフィルター52を
介して外部と連通することとなる。このように、シール
部材5と凹部44と換気孔45とで構成される換気通路
41は、その途中で折れ曲がることになり、外部から水
が入りにくい構造となる。 【0016】このようなプラグキャップ1を、エンジン
のプラグホール3内に取り付けられたスパークプラグS
Pに装着すると、プラグキャップ1の鍔部43がプラグ
ホール3内面に密着して、鍔部43より下側のプラグホ
ール3を密封することになる。この状態で、鍔部43の
下面に換気孔45が開口していることから、鍔部43よ
り下側のプラグホール3の空間は、換気孔45を含んで
構成される換気通路41により鍔部43より上のプラグ
ホール3と連通するものとなる。したがって、エンジン
の温度が上昇しても、プラグホール3内で膨張した空気
は、フィルター52を介して換気通路41により外部に
排出され、鍔部43より下側のプラグホール3空間内で
圧力が上昇することはない。しかも、換気通路41の大
部分を構成する換気孔45が、キャップ本体4内で直線
的に形成されていることから、換気通路41が複雑に折
曲する構造とはならず、製造が容易になるとともに効率
のよい換気性能を得ることができる。 【0017】一方、洗車等によりエンジンに水がかかっ
た場合、その水がプラグホール3内に侵入しても、プラ
グキャップ1の鍔部43によりプラグホール3が閉塞さ
れるので、直接スパークプラグSPに接触することはな
い。しかも、換気通路41はあるものの、換気通路41
の実質的に外側の開口となるシール部材5にはフィルタ
ー52が取り付けてあるので、この換気通路41を介し
てプラグホール3上側からの水が鍔部43より下側のプ
ラグホール3内に侵入することはない。この結果、外部
からの水の侵入で、スパークプラグSPを固定している
ナットやシリンダブロック等を錆させることを防止する
ことができる。 【0018】スパークプラグSPの点検あるいは交換等
の作業を行う場合、プラグキャップ1をスパークプラグ
SPから外す必要がある。この場合、プラグキャップ1
の引っ張り方向によっては、キャップ本体4がわずかに
湾曲することがある。キャップ本体4が湾曲すると、環
状の爪部分44aの下部を引っ張り、シール部材5周囲
の接着部分に引っ張り力を作用させるところととなる
が、同部位には切除部42bが設けてあるので、爪部分
44a下部を変形させることはない。 【0019】すなわち、切除部42bが設けられていな
い場合、キャップ本体4の湾曲により、爪部分44a下
部は湾曲しているにもかかわらず、湾曲前の状態を保つ
ように歪み、逆に爪部分44aの上側は上方に引き上げ
られるように歪むことがある。これにより、凹部44の
開口44cが大きく開くように変形して、シール部材5
と爪部分44aとの接着部分に引っ張り力が作用する。 【0020】しかしながら、キャップ本体4が湾曲して
局部的に歪む場合に、切除部42bが設けてあるため、
このような歪みをその切除部42bにより吸収すること
ができる。したがって、剛性の高いシール部材5が変形
しなくとも、爪部分44aに湾曲による不要な力が作用
せず、爪部分44aはシール部材5との係合を保持し、
シール部材5が凹部44から脱落することはない。この
ように、切除部42bを設けることにより、プラグキャ
ップ4を抜き取る際にプラグキャップ4が湾曲しても、
シール部材5の接着部分が引っ張られることがなく、確
実にシール部材5の脱落を防止することができる。 【0021】なお、本発明は以上に説明した実施例に限
定されるものではない。上記実施例にあっては、プラグ
キャップ1単体をを説明したが、例えば、イグニッショ
ンコイルを上端に設けたイグニッションコイルアッセン
ブリの下端部分を構成するものであってもよい。つま
り、プラグキャップ1とイグニッションコイルとが一体
にされたものの、プラグキャップ1部分を構成するもの
に適用されるものであってもよい。 【0022】また、フィルター52については、通気性
を有して水の進入を阻止するものではあれば、上記した
ものに限定されるものではない。その他、各部の構成は
図示例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱
しない範囲で種々変形が可能である。 【0023】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、外部か
ら換気通路を介してプラグホールへ侵入する水を、濾過
手段により確実に阻止することができるとともに、しか
も濾過手段が通気性を有しているので十分にプラグホー
ル内を換気することができる。したがって、内燃機関の
温度変化により、プラグホール内の空気が膨張収縮を繰
り返しても、プラグホール内の圧力の異常を防止するこ
とができる。また、水の侵入を阻止して換気するので、
プラグホール内の湿度を低く保つことができ、錆の発生
を抑制することができ、耐久性を高くすることができ
る。 【0024】また、濾過手段が、換気通路の外向きの開
口部を構成するシール部材に内蔵されており、そのシー
ル部材の取付部下方の部位に切除部を設けてなるもので
あれば、濾過手段の取付を容易にするとともに、脱落を
確実に防止することができる。
の点火プラグに被せられるプラグキャップの換気孔の防
水構造を改良した点火プラグ用プラグキャップに関す
る。 【0002】 【従来の技術】内燃機関の点火プラグ用プラグキャップ
は、シリンダヘッドにプラグホールを有しそのプラグホ
ール内に点火プラグが取り付けられている場合に用いら
れる。このようなプラグキャップは、高電圧を導く高圧
電線を支持するとともに、シリンダヘッド外側からプラ
グホール内に水が侵入しないようにプラグホールを密閉
するものである。このように水の侵入を防止する一方、
プラグホール内部の温度変化による熱膨張、収縮時の圧
力調整と、内部の湿気による錆の発生等を防止するため
に、プラグキャップには、例えば特開平9−7682号
公報に記載のもののように、換気孔が設けてある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記の換気孔は、プラ
グキャップの構造上、その上面に開口することが多い。
通常、換気孔はその目的に合わせて小径のものである
が、激しく被水した場合にはわずかではあるが侵入する
ことがある。水が侵入した場合には、高圧電流が漏洩
し、確実に点火が行えなかったり、錆が生じたりして、
運転状態が不安定になるとともに、耐久性が低下するこ
とがあった。 【0004】本発明は、このような不具合を解消するこ
とを目的としている。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するために、次のような手段を講じたものであ
る。すなわち、本発明に係る内燃機関の点火プラグ用プ
ラグキャップは、プラグホールと外部とを連通する換気
通路の外向きの開口部に、通気性を有し、かつ水分の通
過を阻止する濾過手段を取り付ける構成である。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明は、内燃機関のプラグホー
ルに取り付けられる点火プラグに装着されてプラグホー
ルを防水する点火プラグ用プラグキャップであって、プ
ラグホールと外部とを連通する換気通路を有してなるキ
ャップ本体と、その換気通路の外向きの開口部を構成す
るシール部材とからなり、キャップ本体が、プラグホー
ル内面に密着してプラグホールを密封する密封部と、そ
の密封部の上側に位置して通気性を有し、かつ水分の通
過を阻止する濾過手段を内蔵してなるシール部材が取り
付けられる凹部とを備え、密封部と凹部との間に切除部
が設けられることを特徴とする内燃機関の点火プラグ用
プラグキャップである。 【0007】このような構成のものであれば、外部から
換気通路を介してプラグホールへ侵入する水が、濾過手
段により確実に阻止され、しかも濾過手段が通気性を有
しているので十分な換気を実現することが可能になる。
したがって、内燃機関の温度変化により、プラグホール
内の空気が膨張収縮を繰り返しても、プラグホール内の
圧力が異常になることはない。また、水の侵入を阻止し
て換気するので、プラグホール内の湿度を低く保つこと
が可能になり、錆の発生を抑制することが可能になる。 【0008】また、濾過手段を内蔵してなるシール部材
が密封部の上側に位置する凹部に取り付けられ、密封部
と凹部との間に切除部が設けられるので、濾過手段の取
付を容易にするとともに、脱落を確実に防止することが
できる。 【0009】 【実施例】以下、本発明の一実施例を、図面を参照して
説明する。図1において、プラグキャップ1は、例えば
DOHC(タブルオーバーヘッドカム)型式のエンジン
のシリンダヘッド2に設けられるプラグホール3に装着
されるものである。このプラグキャップ1は、全体が略
円筒形状をしており、その上端から導出するハイテンシ
ョンコード(図示しない)がイグニッションコイルに接
続される構造で、ハイテンションコードとスパークプラ
グSPとの接続要素を内蔵して換気通路41を有するキ
ャップ本体4と、換気通路41を通気可能に、かつ水の
侵入を阻止して閉塞する濾過手段たるフィルター52を
内蔵し換気通路41の外向きの開口部を構成するシール
部材5とからなる。なお、プラグキャップ1の上部分
は、通常のものと同等でよいので、以下の説明では、プ
ラグキャップ1における換気通路41を含む部分につい
て詳述する。 【0010】キャップ本体4は、プラグホール3の内径
より小径の外径を有し、スパークプラグSPの頭部が嵌
入される円筒部42と、その円筒部42の長手方向の略
中央部の外側に形成されプラグホール3の内径と略同一
の外径を有する鍔部43と、円筒部42の長手方向の鍔
部43の上側の位置に外側に向かって円形状に開口する
凹部44と、円筒部42の外周面に沿うような位置にお
いて鍔部43の下面に下向きに開口する下側開口45a
を有し凹部44に開口する換気孔45とを具備してい
る。したがって、凹部44と換気孔45とにより換気通
路41が形成される。 【0011】円筒部42は、鍔部43より上側が鍔部4
3から下側より大径に形成してある。これにより、凹部
44の奥行きは、円筒部42の鍔部43より下側の外周
面42aの位置に略一致するものとなる。凹部44の下
方の円筒部42には、円筒部42の厚みを薄くした切除
部42bが設けてある。切除部42bは、図2に示すよ
うに、換気通路41が貫通するに十分な厚みを円筒部4
2の所定部位に残して、その部位を挟むようにして横方
向に直線的に設けてある。すなわち、切除部42bは、
換気通路41の両側部位に、シール部材5の取付部であ
る凹部44の下側の円筒部42の表面の肉厚を薄くした
ものである。それぞれの切除部42bは、後述する爪部
分44aの外面下側から鍔部43の間に形成してあり、
これらの切除部42bにより径方向に平行な平面が、円
筒部42の所定部位に形成される。切除部42bは、後
述するように、プラグキャップ1を抜き取る際に円筒部
42がわずかに湾曲する際に発生する応力を緩和するた
めのものであるので、この切除部42bにより円筒部4
2の剛性が変わるものではない。 【0012】また、凹部44は、その外向き開口44c
を、シール部材5の外形より小さく形成してあり、シー
ル部材5を掛止する4ヶ所に切れ目を有する環状の爪部
分44aが形成されるものである。さらに、この凹部4
4は、シール部材5の後面が当接せずに換気通路41と
なる凹陥部分44bを具備している。この凹陥部分44
bは、凹部44の奥側の内壁に設けられるもので、その
高さ寸法は、凹部44の下内面から、シール部材5の後
面側の開口の上縁に達する大きさに形成してある。 【0013】シール部材5は、環状のプレート51と、
プレート51の中央孔51aを横切って張設されるフィ
ルター52と、フィルター52をプレート51とにより
挟持するワッシャ53とからなる。プレート51とワッ
シャ53とは、例えば合成樹脂製であり、フィルター5
2は、通気性を有し、かつ水分の通過を阻止する素材、
例えば連続多孔質ポリ・テトラ・フロロ・エチレン(商
品名:ゴアテックス)からなる。プレート51は、外周
面の奥行き方向の略中央にフランジ部51bを有し、フ
ランジ部51bより奥側の外径が前側の外径より大きく
なっている。このフランジ部51bの位置は、シール部
材5がキャップ本体4の凹部44に嵌入された際に、凹
部44の下内面に開口する換気孔45を閉塞しない位置
に設定してある。また、このプレート51の中央孔51
aは、漏斗形状をしており、奥行き方向に縮径してい
る。プレート51の後面には、中央孔51aと連通しワ
ッシャ53が嵌合されてフィルター52が取り付けられ
る取付凹部51cが形成してある。取付凹部51cの内
径は、中央孔51aの前面側の開口内径より大きく設定
してある。ワッシャ53は、その前面にフィルター52
を押圧するための環状リブ53aと、その側面の外周壁
に全周にわたって形成される固定用リブ53bと、フィ
ルター52と一体にされた際にフィルター52の中央孔
51aに連続する中央孔53cとを備えている。このワ
ッシャ53の厚みは、プレート51の取付凹部51cの
奥行き寸法と略同じに設定してある。 【0014】このようなシール部材5は、まずプレート
51の取付凹部51c内にフィルター52を入れ、その
フィルター52を固定するためにワッシャ53を環状リ
ブ53cを取付凹部51cの前側にむけて、つまりフィ
ルター52の方向に向けて取付凹部51cに挿入する。
そして、ワッシャ53をフィルター52に当接させた
後、ワッシャ53の後面とプレート51の後面とが略面
一になるまで取付凹部51c内にワッシャ53を押し込
み、ワッシャ53の環状リブ53aと取付凹部51cの
内側前面との間でフィルター52が挟持固定させる。こ
の後、ワッシャ53の固定用リブの全周をプレート51
に溶着して、ワッシャ53をプレート51に固定する。 【0015】このようにして組み立てたシール部材5
を、キャップ本体4の凹部44に嵌入してその周囲を接
着する。凹部44は、爪部分44aを有しているので、
シール部材5を凹部44内に嵌入するとこの爪部分44
aがフランジ部51bに当接して、シール部材5が凹部
44から脱落するのを阻止する。シール部材5が凹部4
4に嵌入して接着されると、シール部材5のフランジ部
51bより後側の外周面と凹部44との間の間隙Gによ
り、キャップ本体4の換気孔45とシール部材5の各中
央孔51a,53cとが連通し、迷路状に換気通路41
が形成される。すなわち、キャップ本体4の換気孔45
は凹部44の下内面に開口しており、シール部材5がフ
ランジ部51bで凹部44内に支持されているので、凹
部44下内面とシール部材5との間には間隙G2が形成
される。この間隙G2は、凹部44の凹陥部分44bに
連通するものとなる。しかも、凹陥部分44bは、シー
ル部材5の中央孔53cの後面側の開口と連通している
ので、換気孔45は、シール部材5のフィルター52を
介して外部と連通することとなる。このように、シール
部材5と凹部44と換気孔45とで構成される換気通路
41は、その途中で折れ曲がることになり、外部から水
が入りにくい構造となる。 【0016】このようなプラグキャップ1を、エンジン
のプラグホール3内に取り付けられたスパークプラグS
Pに装着すると、プラグキャップ1の鍔部43がプラグ
ホール3内面に密着して、鍔部43より下側のプラグホ
ール3を密封することになる。この状態で、鍔部43の
下面に換気孔45が開口していることから、鍔部43よ
り下側のプラグホール3の空間は、換気孔45を含んで
構成される換気通路41により鍔部43より上のプラグ
ホール3と連通するものとなる。したがって、エンジン
の温度が上昇しても、プラグホール3内で膨張した空気
は、フィルター52を介して換気通路41により外部に
排出され、鍔部43より下側のプラグホール3空間内で
圧力が上昇することはない。しかも、換気通路41の大
部分を構成する換気孔45が、キャップ本体4内で直線
的に形成されていることから、換気通路41が複雑に折
曲する構造とはならず、製造が容易になるとともに効率
のよい換気性能を得ることができる。 【0017】一方、洗車等によりエンジンに水がかかっ
た場合、その水がプラグホール3内に侵入しても、プラ
グキャップ1の鍔部43によりプラグホール3が閉塞さ
れるので、直接スパークプラグSPに接触することはな
い。しかも、換気通路41はあるものの、換気通路41
の実質的に外側の開口となるシール部材5にはフィルタ
ー52が取り付けてあるので、この換気通路41を介し
てプラグホール3上側からの水が鍔部43より下側のプ
ラグホール3内に侵入することはない。この結果、外部
からの水の侵入で、スパークプラグSPを固定している
ナットやシリンダブロック等を錆させることを防止する
ことができる。 【0018】スパークプラグSPの点検あるいは交換等
の作業を行う場合、プラグキャップ1をスパークプラグ
SPから外す必要がある。この場合、プラグキャップ1
の引っ張り方向によっては、キャップ本体4がわずかに
湾曲することがある。キャップ本体4が湾曲すると、環
状の爪部分44aの下部を引っ張り、シール部材5周囲
の接着部分に引っ張り力を作用させるところととなる
が、同部位には切除部42bが設けてあるので、爪部分
44a下部を変形させることはない。 【0019】すなわち、切除部42bが設けられていな
い場合、キャップ本体4の湾曲により、爪部分44a下
部は湾曲しているにもかかわらず、湾曲前の状態を保つ
ように歪み、逆に爪部分44aの上側は上方に引き上げ
られるように歪むことがある。これにより、凹部44の
開口44cが大きく開くように変形して、シール部材5
と爪部分44aとの接着部分に引っ張り力が作用する。 【0020】しかしながら、キャップ本体4が湾曲して
局部的に歪む場合に、切除部42bが設けてあるため、
このような歪みをその切除部42bにより吸収すること
ができる。したがって、剛性の高いシール部材5が変形
しなくとも、爪部分44aに湾曲による不要な力が作用
せず、爪部分44aはシール部材5との係合を保持し、
シール部材5が凹部44から脱落することはない。この
ように、切除部42bを設けることにより、プラグキャ
ップ4を抜き取る際にプラグキャップ4が湾曲しても、
シール部材5の接着部分が引っ張られることがなく、確
実にシール部材5の脱落を防止することができる。 【0021】なお、本発明は以上に説明した実施例に限
定されるものではない。上記実施例にあっては、プラグ
キャップ1単体をを説明したが、例えば、イグニッショ
ンコイルを上端に設けたイグニッションコイルアッセン
ブリの下端部分を構成するものであってもよい。つま
り、プラグキャップ1とイグニッションコイルとが一体
にされたものの、プラグキャップ1部分を構成するもの
に適用されるものであってもよい。 【0022】また、フィルター52については、通気性
を有して水の進入を阻止するものではあれば、上記した
ものに限定されるものではない。その他、各部の構成は
図示例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱
しない範囲で種々変形が可能である。 【0023】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、外部か
ら換気通路を介してプラグホールへ侵入する水を、濾過
手段により確実に阻止することができるとともに、しか
も濾過手段が通気性を有しているので十分にプラグホー
ル内を換気することができる。したがって、内燃機関の
温度変化により、プラグホール内の空気が膨張収縮を繰
り返しても、プラグホール内の圧力の異常を防止するこ
とができる。また、水の侵入を阻止して換気するので、
プラグホール内の湿度を低く保つことができ、錆の発生
を抑制することができ、耐久性を高くすることができ
る。 【0024】また、濾過手段が、換気通路の外向きの開
口部を構成するシール部材に内蔵されており、そのシー
ル部材の取付部下方の部位に切除部を設けてなるもので
あれば、濾過手段の取付を容易にするとともに、脱落を
確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の要部を示す正面図。
【図2】同実施例の要部の斜視図。
【図3】同実施例のスパークプラグに装着した状態を示
す断面図。 【図4】同実施例の換気通路の構成を拡大して示す断面
図。 【図5】図1におけるI−I線に沿った断面図。 【図6】同実施例のシール部材の分解斜視図。 【符号の説明】 1…プラグキャップ 3…プラグホール 41…換気通路 52…フィルター
す断面図。 【図4】同実施例の換気通路の構成を拡大して示す断面
図。 【図5】図1におけるI−I線に沿った断面図。 【図6】同実施例のシール部材の分解斜視図。 【符号の説明】 1…プラグキャップ 3…プラグホール 41…換気通路 52…フィルター
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フロントページの続き
(72)発明者 石田 芳道
大阪府池田市桃園2丁目1番1号 ダイ
ハツ工業株式会社内
(56)参考文献 特開 平8−144917(JP,A)
特開 平9−106878(JP,A)
特開 平9−158820(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
F02P 15/00
F02P 13/00
H01R 13/52
H01T 13/06
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】内燃機関のプラグホールに取り付けられる
点火プラグに装着されてプラグホールを防水する点火プ
ラグ用プラグキャップであって、プラグホールと外部と
を連通する換気通路を有してなるキャップ本体と、その
換気通路の外向きの開口部を構成するシール部材とから
なり、キャップ本体が、プラグホール内面に密着してプ
ラグホールを密封する密封部と、その密封部の上側に位
置して通気性を有し、かつ水分の通過を阻止する濾過手
段を内蔵してなるシール部材が取り付けられる凹部とを
備え、密封部と凹部との間に切除部が設けられることを
特徴とする内燃機関の点火プラグ用プラグキャップ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35681098A JP3461132B2 (ja) | 1998-07-13 | 1998-12-15 | 内燃機関の点火プラグ用プラグキャップ |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10-197205 | 1998-07-13 | ||
JP19720598 | 1998-07-13 | ||
JP35681098A JP3461132B2 (ja) | 1998-07-13 | 1998-12-15 | 内燃機関の点火プラグ用プラグキャップ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000087837A JP2000087837A (ja) | 2000-03-28 |
JP3461132B2 true JP3461132B2 (ja) | 2003-10-27 |
Family
ID=26510235
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35681098A Expired - Fee Related JP3461132B2 (ja) | 1998-07-13 | 1998-12-15 | 内燃機関の点火プラグ用プラグキャップ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3461132B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006011552A1 (ja) * | 2004-07-28 | 2006-02-02 | Hitachi, Ltd. | 内燃機関用点火コイル装置 |
-
1998
- 1998-12-15 JP JP35681098A patent/JP3461132B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000087837A (ja) | 2000-03-28 |
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