JP3460730B2 - 摩擦材 - Google Patents

摩擦材

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は自動車、産業用機械のク
ラッチフェーシング、ブレーキライニング等として使用
される摩擦材に関するもので、特に、その樹脂結合剤と
して特定の変性クレゾールレゾールを用いた摩擦材に関
するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、自動車のクラッチフェーシン
グ、ブレーキライニングなどの摩擦材には、耐熱性、耐
摩耗性が要求されると共に、フェード時等においても摩
擦係数の変化の少ない安定した摩擦特性(耐フェード
性)などが要求される。 【0003】そこで、これらの各種の特性を満足するた
めに、摩擦材は複合材として構成されている。すなわち
摩擦材は、骨格を形成する繊維基材、この繊維基材を結
合保持する樹脂結合剤、及びこれらの繊維と結合剤との
マトリックス中に分散して充填される各種の充填剤から
一般に構成されている。そして、繊維基材としては、ガ
ラス繊維などの無機質繊維、アラミド繊維などの有機繊
維、スチール繊維などの金属繊維、等が使用され、ま
た、樹脂結合剤としては、フェノール系樹脂などの熱硬
化性樹脂、あるいは架橋性ゴムが使用され、更に、充填
剤としては、硫酸バリウムなどの体質充填剤、固体潤滑
剤、摩擦調整剤あるいはその他の添加剤等が使用されて
いる。 【0004】これらの中で、樹脂結合剤は、摩擦材の耐
熱性を左右するだけでなく、摩擦特性や耐摩耗性などに
も大きな影響を及ぼす。このような樹脂結合剤として
は、古くからフェノール系樹脂が一般に使用されてい
る。このフェノール系樹脂は、フェノール類とアルデヒ
ド類とをアルカリ性触媒下で反応させたレゾール型の熱
硬化性樹脂であり、機械的強度が高く、また繊維基材に
対する接着性も優れている。しかし純粋なフェノール系
樹脂は耐フェード性が悪いなどの欠点を有し、そのた
め、樹脂結合材として使用されるこのフェノール系樹脂
は、変性によって改質して用いられるのが一般的であ
る。 【0005】そして、そのような変性のための材料また
は化合物は、例えば、カシューナットオイル、ポリビニ
ルブチラール、植物油、メラミン、エポキシ化合物など
である。また、特開昭56−94038号公報では、炭
素数4〜20のモノアルキルフェノールの使用を、特開
昭58−217577号公報では、キシレン樹脂のよう
な芳香族炭化水素樹脂とトリアジン系化合物とによる変
性を、また特開昭59−77139号公報では、ポリビ
ニルアセタール樹脂の単独かまたはこれと芳香族炭化水
素樹脂とを併用した変性を、それぞれ開示している。 【0006】このように、樹脂結合剤として種々の変性
フェノール系樹脂の使用が知られている。しかし、これ
らの中でも、メラミンで変性されたフェノール系樹脂
は、摩擦特性の安定性(耐フェード性)と耐摩耗性とに
おいて特に優れている。そのために、メラミン変性フェ
ノール系樹脂は、摩擦材の樹脂結合剤に好適なものとし
て今でも一般に汎用されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところで特に近年で
は、自動車の高性能化、長期保証化に伴い、自動車用の
クラッチフェーシングなどの摩擦材には、軽負荷、中負
荷から高負荷に至るまで幅広い条件で適合でき、しかも
長寿命であることが強く望まれている。 【0008】ところが、樹脂結合剤としてのメラミン変
性フェノール樹脂は、軽負荷、中負荷域での摩擦特性の
安定性、及び耐摩耗性には優れているものの、高負荷域
では、樹脂自体の耐熱性の不足により、摩擦係数μが低
下し、また耐摩耗性も悪化するという問題があった。 【0009】本発明者は、この問題点に鑑み、フェノー
ル系樹脂の変性について種々の模索と検討を重ねてきた
が、その結果、変性剤としてメラミン、ジシアンジアミ
ン、及び芳香族炭化水素変性マレイミド樹脂化合物を併
用して用い、しかもこれらをそれぞれ特定の割合で変性
することによって、メラミン変性による特長を維持しな
がらその欠点である耐熱性を上げることができ、上記の
問題点が有利に解決できることを見出した。 【0010】よって本発明は、樹脂結合剤の耐熱性を上
げることによって、高負荷域においても安定した摩擦特
性と耐摩耗性が得られる摩擦材を提供することを課題と
するものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明の摩擦材は、繊維
基材と、樹脂結合剤と、充填剤を含み、樹脂結合剤とし
て、15〜30重量%のメラミン、10〜25重量%の
ジシアンジアミド、及び5〜20重量%の芳香族炭化水
素変性マレイミド樹脂化合物で変性されたクレゾールレ
ゾールからなる熱硬化性樹脂を含有するものである。 【0012】ここで、クレゾールレゾールは、クレゾー
ルとホルムアルデヒドなどのアルデヒド類とをアルカリ
触媒で縮合させて得られる液状樹脂であり、加熱によっ
て硬化する熱硬化性樹脂である。このようなレゾールに
は普通フェノールが用いられるが、本発明では、硬化
性、柔軟性に優れているために、特にクレゾールのレゾ
ールが用いられる。そして本発明において、このクレゾ
ールレゾールからなる熱硬化性樹脂は、メラミン、ジシ
アンジアミド、及び芳香族炭化水素変性マレイミド樹脂
化合物で変性されたものが使用される。なお、重量%で
示されるこれらの変性化合物の変性量は、変性クレゾー
ルレゾールからなる熱硬化性樹脂全体(固形分)に対す
る割合である。 【0013】メラミンは、主に摩擦特性の熱的安定性
(耐フェード性)の向上のために用いられる。そして、
その変性量は15〜30重量%が好ましい。メラミンの
変性量が増加するにつれて、摩擦特性の安定性を示す最
少摩擦係数μは高くなる傾向にあるが、その反対に樹脂
の耐熱性が低下し摩耗率は上昇する傾向にある。そして
変性量が15重量%未満では摩擦材の耐フェード性を向
上させる効果が一般に少なく、また30重量%を越える
と十分な耐摩耗性が得られない。 【0014】ジシアンジアミドは、主に変性レゾールの
硬化の促進のために用いられる。そして、その変性量は
10〜25重量%が好ましい。10重量%未満では樹脂
の硬化促進効果が一般に少なく、耐フェード性が悪くな
る。また逆に、25重量%を越えるとジシアンジアミド
が析出し易くなり、また樹脂の耐熱性の低下が著しく、
耐摩耗性が悪化する。より好ましくは、このジシンジア
ミドの変性量は15〜20重量%の範囲である。 【0015】芳香族炭化水素変性マレイミド樹脂化合物
は、マレイン酸のイミド化合物であって、これは例えば
次のようにして得ることができる。ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素とホルムアルデヒド
などのアルデヒド類を強酸性下で反応させて得られた芳
香族炭化水素の樹脂状化合物と、メタフェニレンジアミ
ン、パラフェニレンジアミン、2,2’−ビス(4−ア
ミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニ
ルメタンなどの芳香族ジアミンとを酸触媒の存在下で反
応させる。次いでこの反応物を無水マレイン酸と反応さ
せて、マレイミドの樹脂化合物を形成する。ここで、無
水マレイン酸は、無水メチルマレイン酸(無水シトラコ
ン酸)、またはその異性体である無水イタコン酸などの
不飽和ジカルボン酸無水物であることもでき、それらの
不飽和基はクレゾールレゾールとの反応に寄与する。ま
た、芳香族炭化水素の樹脂状化合物としては、キシレン
樹脂としてよく知られたキシレンホルムアルデヒド樹脂
化合物を好適に用いることができる。 【0016】この芳香族炭化水素変性マレイミド樹脂化
合物によるクレゾールレゾールの変性は、その熱硬化性
樹脂の耐熱性を向上させ、耐摩耗性を増大させる作用を
有する。そして変性量が多くなる程、摩擦材の摩耗率は
低下する傾向が見られる。しかし最小摩擦係数μはそれ
と共に一旦上昇するものの、硬化性が低下するために、
13重量%程度をピークとして再び低下する傾向にあ
る。この硬化性の低下は、ジシアンジアミドの変性量を
多くすることによってある程度補うことはできるが、そ
れにも限度がある。このため、この樹脂化合物の変性量
は、5〜20重量%が好ましく、より好ましくは、10
〜15重量%である。 【0017】これらの変性化合物による変性は、それ自
体よく知られているように、任意の方法で行うことがで
きる。メラミンとジシアンジアミドは、変性剤としてそ
のままでも、また予めアルデヒド類と反応させたもので
も使用できる。また、これらはクレゾールレゾールの製
造時に同時に反応させても、あるいはクレゾールレゾー
ルの生成後に配合し反応させても、いずれでもよい。芳
香族炭化水素変性マレイミド樹脂化合物についても、ク
レゾールレゾールの製造時に配合し反応させても、ある
いはクレゾールレゾールの生成後に配合し反応させても
よい。あるいは更に、そのレゾールに添加するだけでも
よく、その場合レゾールの加熱硬化時に反応する。 【0018】そして、この変性クレゾールレゾールから
なる熱硬化性樹脂は、適当な溶剤、例えばN−メチル−
2−ヒロリドン、ジメチルホルムアミドなどの非プロト
ン性極性溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケ
トン類あるいはジオキサンに溶解することにより、均一
な液状レジンとして使用することができる。また、他の
汎用溶剤を併用してもよい。 【0019】そして本発明の摩擦材において、このメラ
ミン、ジシアンジアミン、及び芳香族炭化水素変性マレ
イミド樹脂化合物で変性されたクレゾールレゾールから
なる熱硬化性樹脂は、単独で、または他の樹脂結合剤と
組合わせて、摩擦材総量に対して一般に3〜50重量%
含有することができる。ただし、架橋性ゴムが樹脂結合
剤として使用されるクラッチフェーシングの場合、この
熱硬化性樹脂の含有量は3〜20重量%であることが好
ましい。その含有量が多いほど摩耗率は低下するが、多
すぎると加熱成形時の硬化性が悪くなり、耐フェード性
も低下する傾向にあるからである。そしてより好ましく
は、8〜15重量%の含有量で使用される。 【0020】また、本発明の摩擦材において、繊維基材
としては、ガラス繊維、ロックウール、シリケート繊
維、アルミナ繊維、カーボン繊維、チタン酸カリウム繊
維、スラグウール等の無機繊維、スチール繊維、ステン
レススチール繊維、銅繊維等の金属繊維、アラミド繊
維、ノボロイド繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維等の
有機繊維などを挙げることができる。そして、これらは
単独で、または適宜組み合わせて、摩擦材の具体的種類
または用途に応じて使用することができる。 【0021】充填剤としては、硫酸バリウム、炭酸カル
シウム等の体質充填剤、グラファイト、二硫化モリブデ
ン等の固体潤滑剤、カシューダスト等の有機質粉、シリ
カ等のアブレッシブ剤、あるいはその他の摩擦性能向上
剤など、適宜使用することができる。また、これらの充
填剤以外の種々の添加剤も、必要に応じて使用すること
ができる。 【0022】なお本発明は、樹脂結合剤として前述の変
性クレゾールレゾールからなる熱硬化性樹脂を用いるも
のであるが、他の樹脂結合剤も必要に応じて併せて使用
することができる。そしてそのような樹脂結合剤として
は、その他の変性フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、
メラミン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹
脂、またSBR、NBR等のゴムなどを挙げることがで
きる。 【0023】そして、本発明の摩擦材は、これらの材料
の配合から、クラッチフェーシング、ブレーキパッドあ
るいはライニングなどとして、所定の形状または形態に
加熱成形することによって製造される。 【0024】 【作用】本発明の摩擦材においては、樹脂結合剤として
のクレゾールレゾールからなる熱硬化性樹脂は、特に芳
香族炭化水素変性マレイミド樹脂化合物で変性されてい
ることによってその耐熱性が高められ、しかもメラミ
ン、ジシアンジアミドと共にバランスよく変性されてい
る。このため、樹脂結合剤の耐熱性の不足に基づく摩擦
係数の低下と耐摩耗性の悪化とが軽減され、高負荷下に
おいても安定した摩擦特性(耐フェード性)と良好な耐
摩耗性が得られる。 【0025】 【実施例】以下、本発明をクラッチフェーシングに適用
した実施例について説明する。 【0026】先ず、本発明で使用する変性クレゾールレ
ゾールと比較のためのメラミン変性クレゾールレゾール
の製造について説明する。 【0027】[変性クレゾールレゾールの製造]本発明
で使用する変性クレゾールレゾールを、以下の工程で製
造した。 【0028】(工程1.キシレン変性芳香族ポリアミン
樹脂化合物の製造)4,4’−ジアミノジフェニルメタ
ン3000部、キシレンホルムアルデヒド樹脂(ニカノ
ールG、三菱瓦斯化学(株)製)300部を撹拌装置、
還流冷却器及び温度計を備えたフラスコに入れ、内温を
110℃まで加熱し、4,4’−ジアミノジフェニルメ
タンが完全に溶解した時点でパラトルエンスルホン酸4
0部を添加し、更に昇温し還流下で2時間反応させた。
更に、常圧脱水状態で2時間反応させ、冷却しながらメ
チルセルソルブ1000部添加し、芳香族ポリアミン溶
液4250部を得た。このものの25℃における粘度は
200cps、135℃、1時間後での不揮発分は72
重量%であった。 【0029】(工程2.キシレン変性マレイミド樹脂化
合物の製造)アセトン1952部を上記と同様の反応装
置に入れ、無水マレイン酸600部を添加し完全溶解
後、40℃以下に保ちながら工程1で得られた芳香族ポ
リアミン溶液825部を90分かけて滴下し、滴下終了
後同温度で1時間保った。その後、トリエチルアミン1
65部、酢酸ニッケル4水和物19.5部を加え、更に
無水酢酸800部を加え、還流温度で2時間反応させ
た。反応終了後真空下で溶剤を速やかに留出し、70℃
10分間撹拌混合した。その後、静置し上澄みの水槽を
除去した。その後、この操作を2回繰返した後、メタノ
ール500部を添加し、70℃で10分間撹拌後、上澄
みを除去し、減圧下で脱水脱溶剤しながら内温を120
℃まで上昇させた。この時点でジメチルホルムアミド4
110部を添加溶解し、液状樹脂5480部を得た。こ
のものの25℃における粘度は3cps、135℃、1
時間後での不揮発分は25重量%であった。 【0030】(工程3.クレゾールレゾールの製造)上
記と同様の反応装置にクレゾール1000部、37重量
%ホルマリン1200部及び水酸化ナトリウム5部を仕
込み、徐々に昇温し温度が100℃に達してから1時間
還流反応を行った。ついで系内を680mmHgの真空下で
脱水を行いながら、系内の温度を70℃まで昇温させ
た。この時点でメタノール1000部を添加溶解し、液
状樹脂2400部を得た。このものの25℃における粘
度は150cps、135℃、1時間後での不揮発分は
45重量%であった。 【0031】(工程4.メラミン、ジシアンジアミドに
よる変性)上記と同様の装置にメラミン1000部、8
0重量%パラホルムアルデヒド900部、メタノール1
100部及び水酸化ナトリウム10部を仕込み、徐々に
昇温し温度が75℃に達してから90分間還流反応を行
った。ついでメタノール2500部、ジシアンジアミド
670部及び水酸化ナトリウム10部を添加し70℃で
1時間反応した後、工程3で得られたクレゾールレゾー
ルを2800部添加し60℃1時間反応し、液状樹脂9
000部を得た。このものの25℃における粘度は8c
ps、135℃、1時間後での不揮発分は40重量%で
あった。 【0032】(工程5.キシレン変性マレイミド樹脂化
合物による変性)上記と同様の反応装置に工程4で得ら
れた変性レゾール1000部、工程2で得られたキシレ
ン変性マレイミド樹脂化合物240部、メチルエチルケ
トン565部及びジメチルホルムアミド920部を仕込
み、80℃で1時間反応させて、液状樹脂2720部を
得た。このものの25℃における粘度は2cps、13
5℃、1時間後での不揮発分は20重量%であった(変
性量:キシレン変性マレイミド樹脂化合物=13.0重
量%。メラミン=24.1重量%。ジシアンジアミド=
16.2重量%)。 【0033】[メラミン変性クレゾールレゾールの製
造]また、比較のためのメラミン変性クレゾールレゾー
ルを、以下のように製造した。 【0034】上記と同様の反応装置にメラミン1000
部、80重量%パラホルムアルデヒド900部、メタノ
ール1100部及び水酸化ナトリウム10部を仕込み、
徐々に昇温し温度が75℃に達してから90分還流反応
を行った。次いで、メタノール3000部及び水酸化ナ
トリウム10部を添加し70℃で1時間反応した後、工
程3で得られたクレゾールレゾールを800部添加し6
0℃で1時間反応し、液状樹脂6800部を得た。この
ものの、25℃における粘度は3cps、135℃、1
時間後での不揮発分は30重量%であった(変性量:メ
ラミン=49.0重量%)。 【0035】[クラッチフェーシングの作成]以上によ
って製造された変性クレゾールレゾールを使用して、実
施例及び比較例のクラッチフェーシングを作成した。 【0036】まず、本発明の実施例としてのクラッチフ
ェーシングを、次のように作製した。 【0037】かさ高加工された6μmのガラス繊維30
重量部に、前述のメラミン、ジシアンジアミド、及びキ
シレン変性マレイミド樹脂化合物で変性されたクレゾー
ルレゾール(単に、本発明変性クレゾールレゾールとい
う)を固形分で10重量部含浸させ、次いで、黄銅線3
重量部を合わせた。そしてこれに、ゴム(SBR)20
重量部、充填剤等からなる添加剤32重量部、加硫剤
(硫黄)5重量部からなる配合ゴムを付着させた(総量
100重量部)。 【0038】次に、これをリング状に巻き取り、金型内
に配置して圧力160kg/cm2 、温度165℃の条件で
加熱加圧成形し、熱処理した後、所定の厚さに研磨して
クラッチフェーシングを得た。このクラッチフェーシン
グの組成(重量%)を図1に示す。 【0039】また同様にして、本発明の変性クレゾール
レゾールに代え、前述のメラミン変性クレゾールレゾー
ルを同じ重量割合で用いて比較例のクラッチフェーシン
グを作成した。この比較例のクラッチフェーシングの組
成(重量%)は、図1に示されるように、変性クレゾー
ルレゾール以外は実施例と同じである。 【0040】[摩擦試験]このように作成した実施例と
比較例のクラッチフェーシングについて、摩擦試験を行
い、それぞれの最少摩擦係数μと摩耗率とを測定した。 【0041】なお摩擦試験は、クラッチフェーシングを
フルサイズダイナモ試験機に装着し、次に示す条件で実
施した。 【0042】回転数 :1800rpm 慣性量 :0.5kg・m ・ sec2 係合回数:2000回 温度 :200℃ 測定結果を図1の下欄に示す。 【0043】図1に示されるように、摩擦特性の安定性
を示す最小摩擦係数μは、従来技術に相当する比較例で
は0.20であったのに対し、本発明の変性クレゾール
レゾールを使用した実施例では0.32であり、摩擦係
数μの低下はかなり少なかった。 【0044】また、摩耗率(×10-4mm3 /kg・m)に
ついては、比較例が14.1であったのに対し、実施例
では6.6であり、かなりの摩耗率の低下を示した。 【0045】これらの測定結果から、本発明の変性クレ
ゾールレゾールを用いることによって、高負荷域におい
ても、摩擦係数の低下が少なく、また摩耗率の小さいク
ラッチフェーシングを得ることができることが確認され
た。 【0046】 【発明の効果】以上のように、本発明の摩擦材は、樹脂
結合剤として、15〜30重量%のメラミン、10〜2
5重量%のジシアンジアミド、及び5〜20重量%の芳
香族炭化水素変性マレイミド樹脂化合物で変性されたク
レゾールレゾールからなる熱硬化性樹脂を含有するもの
である。したがって、クレゾールレゾールからなる熱硬
化性樹脂は、特に芳香族炭化水素変性マレイミド樹脂化
合物で変性されていることによって耐熱性が高められ、
しかもメラミン、ジシアンジアミドと共にバランスよく
変性されているので、これを樹脂結合剤として含有する
本発明の摩擦材は、軽負荷、中負荷域のみならず、高負
荷域においても、安定した摩擦特性(耐フェード性)と
耐摩耗性とを兼ね備えることができる。そしてこれによ
って、本発明の摩擦材は自動車のクラッチフェーシング
等として有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】図1は本発明の実施例及び比較例におけるクラ
ッチフェーシングの組成(重量%)と、最小摩擦係数及
び摩耗率の測定結果とを示す表図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−113000(JP,A) 特開 平5−117630(JP,A) 特開 昭56−94038(JP,A) 特開 昭49−5497(JP,A) 特開 昭63−66231(JP,A) 特開 昭54−130652(JP,A) 特開 昭55−104378(JP,A) 特開 昭59−77139(JP,A) 特開 平1−288639(JP,A) 特開 平5−163366(JP,A) 特開 昭61−258885(JP,A) 実公 昭46−21852(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 3/14 530 F16D 69/02

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 繊維基材と、樹脂結合剤と、充填剤を含
    む摩擦材において、前記樹脂結合剤として、15〜30
    重量%のメラミン、10〜25重量%のジシアンジアミ
    ド、及び5〜20重量%の芳香族炭化水素変性マレイミ
    ド樹脂化合物で変性されたクレゾールレゾールからなる
    熱硬化性樹脂を含有することを特徴とする摩擦材。
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