JPH0776627A - 湿式摩擦材 - Google Patents

湿式摩擦材

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JPH0776627A
JPH0776627A JP22336393A JP22336393A JPH0776627A JP H0776627 A JPH0776627 A JP H0776627A JP 22336393 A JP22336393 A JP 22336393A JP 22336393 A JP22336393 A JP 22336393A JP H0776627 A JPH0776627 A JP H0776627A
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JP
Japan
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resin
liquid crystal
friction material
thermoplastic liquid
fiber
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JP22336393A
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Inventor
Shunichi Shinohara
俊一 篠原
Kazuyuki Oya
和行 大矢
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温での耐久性、耐薬品性を向上させた湿式
摩擦材、特に油中使用の摩擦材に関する。 【構成】 有機系繊維補強基材 20〜70重量部、結合剤
20〜50重量部、および摩擦摩耗調整材 5〜40重量部を
含む摩擦材料において、該有機系繊維補強基材の一部も
しくは全部が熱可塑性液晶樹脂であることを特徴とする
耐熱性に優れた湿式摩擦材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、車両、産業用
機械等のブレーキや、クラッチ、差動装置、防振装置に
用いられる湿式摩擦材であり、特に油中使用の摩擦材に
関し、高温での耐久性、耐薬品性を向上させたものであ
る。
【0002】
【従来の技術】湿式摩擦方式(一般に、油中)で使用さ
れる摩擦材は、気中で使用されるものに比較して一般に
耐久性に優れているため、その用途は急激に拡大してい
る。その例としては、第一に自動車用オートマチックト
ランスミッションがあり、第二に、近年需要の増加して
いる4輪駆動自動車用差動装置がある。その他、ディー
ゼル・エンジン等の振動防止装置、密閉式湿式ブレーキ
材が今後使用される状況にある。しかし、最近の自動車
の高速化、エンジンの高性能化、トランスミッションの
多段化に伴う小型化は、摩擦面に高負荷となり、必然的
に油温の上昇を伴い、局部的に300℃に達するため、
従来のリンターパルプ、麻パルプ等の植物系繊維を繊維
補強基材とし、フェノール樹脂等の結合剤及び摩擦調整
材を主成分とする油中摩擦材では、耐熱性や、強度の面
で、自動車の高性能化や機器の小型化に対応できない状
態となってきた。更に潤滑油の温度上昇は、添加材であ
るスルフォネート、フェネート、ジアルキルジチオりん
酸亜鉛等の熱分解による酸性成分を生じ、摩擦材の劣化
を招いている。
【0003】上記の対策として、繊維補強基材として
は、従来植物系繊維若しくはアスベスト繊維が使用され
ていたが、最近ではより耐熱性や耐久性に優れた芳香族
アラミド繊維のパルプが使用されてきている。しかし芳
香族アラミド繊維は、一般に水分含有率が4〜6重量%
と高く、摩擦材製造時にはフェノール樹脂、ビスマレイ
ミド・トリアジン樹脂等の結合剤との親和性に優れない
ことがあるほか、使用時には水分の放出により、摩擦材
表面のうねり、油の劣化等を生じ、摩擦係数の変動を生
じることがある。また、芳香族アラミド繊維のパルプを
含んだ含浸布は、トムソン型等による打ち抜きが難し
い。
【0004】また、特公昭64−4541公報において
は、溶融液晶性ポリエステルを使用した摩擦材料が提案
されているが、その発明はガラス繊維を必須成分として
いる。そのため用途は、乾式クラッチ用フェーシング、
ブレーキパッドあるいはブレーキライニングのような、
気中での使用に限定され、本発明のごとき湿式、特に油
中での使用は、摩耗により生じたガラス粉末が液中へ分
散し、摩擦材の摩耗を促進するほか、液の汚染を招き、
ベアリング、ギヤ類の破損や摩耗につながる事、特にオ
ートマッチクミッションは油圧制御のため油圧回路の異
常をきたすため、致命的問題であり、湿式摩擦材とはな
り得ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した湿式摩擦材料の課題、特に、従来の繊維補強基材の
欠点を解消した、水分吸収率が低く、結合剤との親和性
の高い繊維補強基材を見いだし、これを用いた摩擦特性
に優れた湿式摩擦材を提供することにある。更に、本発
明の湿式摩擦材は、製造時においては芳香族アラミド繊
維のパルプを含んだ含浸布に比べトムソン型等の打ち抜
きが容易で、使用時においては、四輪駆動車に用いられ
るリミテッド・スリップ・デフ(LSD)や湿式ブレー
キの場合に瞬間的に生じる短時間の表面温度250℃以
上や、短時間の部分的油切れにも耐え得る事のできる湿
式摩擦材を提供する事が可能となる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機系繊維補
強基材 20〜70重量部、結合剤 20〜50重量部、および
摩擦摩耗調整材 5〜40重量部を含む摩擦材料において、
該有機系繊維補強基材の一部もしくは全部が熱可塑性液
晶樹脂であることを特徴とする耐熱性に優れた湿式摩擦
材である。又、本発明の好ましい実施態様においては、
該熱可塑性液晶樹脂が、パルプ状繊維の形状であるこ
と、溶融開始温度が 250℃以上であることであり、更に
熱処理にて溶融開始温度を上昇させてなるものであるこ
と、または不融化したものであることを特徴とする湿式
摩擦材である。
【0007】以下、本発明を説明する。本発明で使用す
る有機系繊維補強基材である熱可塑性液晶樹脂は、溶融
状態で異方性を形成する。異方性溶融相の形成の有無は
試料を加熱しながら観察できる装置を装着した光学顕微
鏡を用いて、偏光状態で試料を観察することにより容易
に判断することができる。
【0008】熱可塑性液晶樹脂は、芳香族ジカルボン
酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸等を
主成分として組み合わせ、必要に応じて脂肪族あるいは
脂環族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン等を用いて重
縮合して合成される。一般に、この熱可塑性液晶樹脂の
重量平均分子量は 2,000〜200,000 の範囲で、示差走査
熱量計(DSC) による溶融開始温度(固体から液晶状態へ
の転移温度)は 250℃以上である。本発明では、重量平
均分子量が 15,000 以上のものが好ましく、DSCによる
溶融開始温度は 250℃以上のものが好ましい。
【0009】このような熱可塑性液晶樹脂としては、日
本石油化学(株)製のザイダー SRT-300、ポリプラスチ
ックス(株)製のベクトラ A-950等がある。これ以外の
熱可塑性液晶樹脂には USP-3,637,595、USP-3,804,805
、USP-4,067,852 、USP-4,161,470 、特開昭57-177020
、特開昭63-39918、特開平1-236231および特開平3-915
34 などが例示されるが、本発明はこれらの熱可塑性液
晶樹脂に限定されるものではない。
【0010】また本発明に供せられる熱可塑性液晶樹脂
は、適宜、触媒等を用いて熱処理を行うことにより、上
記DSCによる溶融開始温度を向上させたもの、または
不融化したものがより好適に使用できる。熱処理は該溶
融開始温度より0〜30℃低い温度にて加熱処理して該
溶融開始温度を上昇させ、必要に応じて、熱処理温度を
この上昇した溶融開始温度に合わせて上昇させることに
より行うものである。この熱処理は、多段階に渡るステ
ップ処理、溶融開始温度の上昇に応じて連続的に熱処理
温度を上昇させる方法でもよい。熱処理の雰囲気は、空
気存在下、不活性気体存在下および減圧下のいずれでも
可能である。
【0011】ステップ熱処理の一例は下記である。 1.該溶融開始温度より 0〜30℃低い温度において、0.
5 時間〜数時間加熱して、該溶融開始温度を 5〜30℃上
昇させる。 2.熱処理温度を、上記1.により上昇した溶融開始温
度に略相当する温度分上昇させ、同様に熱処理する。 3.熱処理温度を、直前の熱処理により上昇した溶融開
始温度に略相当する温度分上昇させ、同様に熱処理する
ことを適宜繰り返す。
【0012】熱可塑性液晶樹脂が不融化させてなるもの
を使用した場合、油切れ等により摩擦材の温度が通常よ
りも上昇した場合においても、摩擦材同士の融着を防止
する事ができ、摩擦材用繊維補強基材としてさらに好ま
しい。熱可塑性液晶樹脂の不融化は、上記の熱処理のみ
でも生じる場合があるが、適宜触媒等を併用して上記の
熱処理を行い、重合度を大幅に上昇させると共に結晶の
成長を促進すること、あるいは分子間に架橋構造を導入
することにより行うものである。例えば、特願平5-1201
74号公報には、熱可塑性液晶樹脂にピッチを添加した
後、熱処理することにより該熱可塑性液晶樹脂の不融化
を達成している。また特開平1-207358号公報に、鉄、ク
ロム、コバルトの金属及び金属化合物を触媒として熱処
理することにより該熱可塑性液晶樹脂の不融化が開示さ
れている。
【0013】本発明に用いられるのパルプ状繊維は、通
常、ペレット状の熱可塑性液晶樹脂脂を湿式摩砕機や気
流併用乾式打潰式分砕機等により摩砕あるいは粉砕して
製造するが、溶融紡糸により繊維を製造し、これをパル
プ化する方法でもよい。粉砕あるいは摩砕による場合、
湿式摩砕機が好適である。この方法は、熱可塑性液晶樹
脂の直径1mm以下の小径ペレットあるいは通常のペレ
ットを粗粉砕して1mm以下としたものを用い、水と共
に摩砕機に投入し、摩砕後、スラリー状となったパルプ
混合液を遠心分離機にて脱水分離し、さらに乾燥するこ
とによる。
【0014】本発明は、上記した熱可塑性液晶樹脂もし
くは該熱可塑性液晶樹脂を不融化した樹脂を繊維補強基
材の一部もしくは全部として用いることを特徴とするも
のであり、結合剤(バインダー)、その他アスベストを
除く繊維質補強基材、摩擦摩耗調整剤などは、従来のも
のを適宜使用できるものである。
【0015】結合剤としては、フェノール樹脂、シアン
酸エステル系樹脂(USP-4,944,373)、その他湿式摩擦材
用のもの、油・ゴム・エポキシ樹脂、等により改質され
た変性フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、
アクリロニトリルブタジエンゴム、フッ素ゴムなど、そ
の他多環芳香族ピッチを配合したシアン酸エステル系樹
脂、フェノール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹
脂ノボラックエポキシ樹脂、フェノール変性芳香族炭化
水素ホルムアルデヒド樹脂ノボラックエポキシ樹脂/シ
アン酸エステル系樹脂の組成物などが挙げられ、適宜、
硬化触媒、成形用の離型剤等を添加できるものである。
【0016】熱可塑性液晶樹脂以外の有機系繊維質補強
基材としては、リンターパルプ、麻パルプ、木材パル
プ、アクリル繊維、ポリ(ベンズイミダゾール)繊維の
ごとき有機繊維などが挙げられる。本発明では、熱可塑
性液晶樹脂のパルプ状繊維を主体とし、これにリンター
パルプを使用することが好ましい。
【0017】摩擦摩耗調整剤としては、ケイソウ土、グ
ラファイト、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、カシュー
レジン・ダスト(硬化樹脂粉末)、BTレジン・ダスト
(硬化樹脂粉末)、二硫化モリブデン、三酸化アンチモ
ン、カーボン短繊維、鉄、ステンレス、銅、黄銅等の金
属短繊維もしくは粉体等従来公知のものが挙げられ、こ
れらを適宜組み合わせる事により所定の動摩擦係数が達
成される。
【0018】なお、BTレジン・ダストは、芳香族炭化
水素・ホルムアルデヒド樹脂とフェノール類とを反応さ
せてなるフェノール変性芳香族炭化水素ホルムアルデヒ
ド樹脂ノボラックをエポキシ化してなるフェノール変性
芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂ノボラック・エポ
キシ樹脂とシアン酸エステルマレイミド樹脂(三菱瓦斯
化学製、BTレジン)との混合物を硬化させ粉砕してな
るものである。
【0019】本発明の湿式摩擦材は、上記成分を用いて
製造する。この方法としては、湿式摩擦材用の組成物を
適宜、リボン・ミキサー、ニーダー、撹拌機などにより
混合する方法、その他手段にて均一に混合することによ
り調製し、これを通常の湿式摩擦材の製法である抄紙法
により、ウエットシートを造り、乾燥し、溶剤を減少さ
せる。更に所望形状に金型により打ち抜き、セパレータ
ーとともに連ねて、治具の棒とともに、乾燥し、Bステ
ージ化を計る。次に、あらかじめリング状芯鉄板の両面
に接着剤を塗布し、乾燥する。この接着剤を塗布したリ
ング状芯鉄板の両面に、上記のリング状摩擦基材を張り
合わせ、ホットプレスにより、加圧加熱し、目的の湿式
摩擦材を得た。ウエットシートの打ち抜きの切断端は、
溶剤にて溶解し、新規の基材、結合材摩擦摩耗調製材を
加え、次の抄紙に備える。
【0020】
【実施例】以下、下記実施例により本発明を具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例のみには限定されな
い。なお、実施例中の「部」および「%」は特に断らな
い限り重量基準である。 実施例1 熱可塑性液晶樹脂は、特開平3-91534 号公報に記載の実
施例1に従って (p-ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノ
ン、2,6-ナフタレンジカルボン酸、N,N'-(4,4'−ジフェ
ニルエーテル)-ビス-3,4−ジカルボキシミド安息香酸を
モノマーとする)重合、ペレット化した。得られたペレ
ットは、溶融開始温度 310℃であった。これを窒素流通
下で、溶融しないように 290℃/1時間+ 310℃/30分
のステップ熱処理をした後、湿式摩砕機により摩砕し、
水分を分離し、乾燥してパルプ状繊維を得た。得られた
パルプ状繊維は直径 5〜20μm、長さ 50μm〜4mm の
繊維を主体としていた。吸水率は、23℃, 湿度 50%平
衡状態において 0.03 %であった。
【0021】上記で得た熱可塑性液晶樹脂のパルプ状繊
維を用い、その他に下記成分を使用して、湿式摩擦材用
の抄込紙を製造した。これにキシレンホルムアルデヒド
樹脂変性フェノール・レゾール樹脂(*1)を含浸させ、 1
20℃, 15分の熟成により樹脂含有量 33%, 0.5mm 厚の
プリプレグを得た。得られたプリプレグをトムソン型に
より、打ち抜き、所望の形状を得た。 ・熱可塑性液晶樹脂のパルプ状繊維 15部 ・リンターパルプ 30部 ・カーボン・ファイバー*2 7部 ・けいそう土 30部 ・黒鉛 8部 ・カシューレジン・ダスト 10部 注)*1 ;三菱ガス化学(株)製、ニカノール PR-1440
M *2 ; 900〜1000℃の焼成によるピッチ系カーボン短繊
【0022】打ち抜き加工した後、脱脂し、サンド・シ
ョット加工法により表面加工し、再び脱脂した後、さら
に両面にブチラールフェノール接着剤を塗布し、 120
℃, 15分乾燥し、接着層を形成した鉄板を金型にセット
した。この鉄板の上に、上記のプリプレグを重ね、圧力
50kg/cm2、温度 160℃で30分プレス成形した後、金型
から取り出し 200℃/8時間のアト硬化を行い、その摩
擦材面を20μm程度研削し、フェーシング・プレートを
得た。このフェーシング・プレートを用いて試験した結
果を表1、2に示した。
【0023】実施例2 シアン酸エステル樹脂(2,2-ビス(4−シアナトフェニ
ル)プロパン : 三菱瓦斯化学(株)製、BT-2060) 44
部に、フェノール変性キシレンホルムアルデヒド樹脂ノ
ボラック・エポキシ樹脂(数平均分子量 520〜620 、酸
素含有量 14〜16%のキシレンホルムアルデヒド樹脂と
フェノール、ホルマリンからなるノボラックをエポキシ
化したもの、エポキシ当量(WPE) 270 、軟化点 80℃、
重量平均分子量 1300:三菱瓦斯化学(株)製、テトラッ
ドG) 11部をメチルエチルケトン(MEK) 45部に50℃にて
撹拌溶解させた。冷却した後、触媒としてオクチル酸亜
鉛 0.2部、2-エチル−4-メチルイミダゾール 0.1部を M
EK 7部に溶解し、撹拌槽にて、樹脂と触媒を均一に混練
して、結合用ワニスを製造した。
【0024】下記成分を使用して、湿式摩擦材の抄込紙
を製造した。これに上記の結合用ワニスを含浸し、 145
℃, 15分乾燥し、樹脂含量 33%で 0.5mm厚のプリプレ
グを得た。得られたプリプレグをトムソン型により、打
ち抜き、所望の形状を得た。 ・熱可塑性液晶樹脂のパルプ状繊維 45部 ・カーボン・ファイバー*2 7部 ・けいそう土 30部 ・黒鉛 8部 ・BTレジン・ダスト*3 10部 注)*3:フェノール変性キシレン・ホルムアルデヒド
樹脂ノボラックエポキシ樹脂/BTレジン=7/3の硬
化物からなる 200〜100 メッシュ粉末(三菱瓦斯化学
(株)製、BT-8486D)
【0025】鉄板より打ち抜き加工した後、脱脂し、サ
ンド・ショット加工法により表面加工し、再び脱脂した
後、更に両面に耐熱BT接着剤(三菱瓦斯化学(株)
製、BT-A304 、固形分60% MEK溶剤)を塗布し、風乾し
た後、更に 140℃/15分間乾燥し、接着層を形成したプ
レートを金型にセットし、上記のプリプレグをその上に
重ね、圧力 50 kg/cm2、温度 175℃で15分間プレス成形
した後、金型から取り出し、離型剤を塗布したアルミ板
のセパレーターに連ねて、治具と共に、 180℃/1時間
+ 200℃/1時間+ 230℃/8時間のアト硬化を行い、
その摩擦材面を20μm程度研削し、フェーシング・プレ
ートを得た。このフェーシング・プレートを用いて試験
した結果を表1、2に示した。
【0026】実施例3 熱可塑性液晶樹脂を不融化した樹脂は、特願平5-120174
号公報に記載の実施例にしたがい、参考例2 (p-ヒドロ
キシ安息香酸、ヒドロキノン、2,6-ナフタレンジカルボ
ン酸、N,N'-(4,4'−ジフェニルエーテル)-ビス−3,4-ジ
カルボキシミド安息香酸をモノマーとする熱可塑製液晶
樹脂)、参考例4(ナフタレンの縮合によるピッチ)に
したがって、熱可塑性液晶樹脂を重合後、ピッチと混練
してペレット形状とし、これを粉砕によりパルプ状繊維
とした後、空気流通下において、280℃から 400℃まで1
0℃刻みに各々10分間ずつ保持しながら昇温し、不融化
したパルプ状繊維を得た。得られたパルプ状繊維は、 5
00℃まで DSC観察による吸熱が観察されず、酸素中のガ
スバーナーによる燃焼製試験では溶融せず炭化しながら
燃焼した。該パルプ状繊維の形状は、直径 5〜20μm、
長さ 50μm〜4mmの繊維を主体としていた。吸水率
は、23℃, 湿度50%の平衡状態において0.10%であっ
た。フェーシング・プレートの製法は実施例2におい
て、熱可塑性液晶樹脂のパルプ状繊維にかえて、不融化
したパルプ状繊維を用いる他は同様とした。このフェー
シング・プレートを用いて試験した結果を表1、2に示
した。
【0027】比較例1 実施例1において、熱可塑性液晶樹脂のパルプ状繊維に
変えて、リンターパルプを用いる他は同様とした。この
フェーシング・プレートを用いて試験した結果を表1、
2に示した。
【0028】試験法は、TP摩擦試験機を用い、作動油
(TF500) を所定の温度に加熱し、摩擦試験部分に添加し
た。ディスク・プレート材としては FC250より加工し、
フェーシング・プレートは、実施例及び比較例より得た
ものを加工した。試験条件は、油温 40〜160 ℃、テス
トサイズ 46φ×12φ×3.0t (mm) 、回転数 1500 r.p.
m.、慣性モーメント 0.5 kgf m s2 、面圧 30 kg/cm2
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】以上の発明の詳細な説明及び実施例など
から明瞭なように、本発明の湿式摩擦材料は、有機系繊
維補強基材の一部もしくは全部に熱可塑性液晶樹脂を用
いることにより、結合剤樹脂との親和性に優れ、耐熱
性、他の一般的性能が優れたものであると共に、吸水性
が小さく、吸湿による温度上昇時の膨れ、その他異常が
著しく改善されたものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機系繊維補強基材 20〜70重量部、結
    合剤 20〜50重量部、および摩擦摩耗調整材 5〜40重量
    部を含む摩擦材料において、該有機系繊維補強基材の一
    部もしくは全部が熱可塑性液晶樹脂であることを特徴と
    する耐熱性に優れた湿式摩擦材。
  2. 【請求項2】 該熱可塑性液晶樹脂がパルプ状の繊維で
    ある請求項1記載の湿式摩擦材
  3. 【請求項3】 該熱可塑性液晶樹脂の溶融開始温度が 2
    50℃以上である請求項1記載の湿式摩擦材
  4. 【請求項4】 該熱可塑性液晶樹脂が、熱処理にて溶融
    開始温度を上昇させてなるものである請求項1記載の湿
    式摩擦材
  5. 【請求項5】 該熱可塑性液晶樹脂が、熱処理にて不融
    化させてなるものである請求項1記載の湿式摩擦材
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09194822A (ja) * 1996-01-22 1997-07-29 Nissan Motor Co Ltd 湿式摩擦材
US20110297041A1 (en) * 2009-02-17 2011-12-08 Christina Jagar Method for producing a brake lining and brake lining

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