JPH09194822A - 湿式摩擦材 - Google Patents
湿式摩擦材Info
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- JPH09194822A JPH09194822A JP8008066A JP806696A JPH09194822A JP H09194822 A JPH09194822 A JP H09194822A JP 8008066 A JP8008066 A JP 8008066A JP 806696 A JP806696 A JP 806696A JP H09194822 A JPH09194822 A JP H09194822A
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- friction material
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 pH調整剤として用いられるアミン類と層間
化合物を形成した粘土鉱物を含有し、従来の摩擦材に比
べてより高い摩擦安定性を有する湿式摩擦材を提供する
こと。 【解決手段】 繊維材、無機充填剤および摩擦調整剤か
らなる繊維質基材中に、アミン類と層間化合物を形成し
た粘土鉱物を含有することを特徴とする湿式摩擦材。
化合物を形成した粘土鉱物を含有し、従来の摩擦材に比
べてより高い摩擦安定性を有する湿式摩擦材を提供する
こと。 【解決手段】 繊維材、無機充填剤および摩擦調整剤か
らなる繊維質基材中に、アミン類と層間化合物を形成し
た粘土鉱物を含有することを特徴とする湿式摩擦材。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用のクラッチ
等に用いられる湿式摩擦材に関し、さらに詳細には、p
H調整剤として用いられるアミン類と層間化合物を形成
した粘土鉱物を含有する湿式摩擦材に関し、特に従来の
摩擦材に比べてより高い摩擦安定性を有する湿式摩擦材
に関する。
等に用いられる湿式摩擦材に関し、さらに詳細には、p
H調整剤として用いられるアミン類と層間化合物を形成
した粘土鉱物を含有する湿式摩擦材に関し、特に従来の
摩擦材に比べてより高い摩擦安定性を有する湿式摩擦材
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、湿式クラッチは自動車、二輪
車および農業機械等の原動機からの出力を伝達する媒体
の一つとして多く使用されている。近年、自動車の分野
では自動変速機の開発が進み、伝達容量の増大、メンテ
ナンスフリー化等、各部品に要求される基準が高いもの
となってきている。湿式摩擦材は、クラッチの摩擦部分
に具備されており、その多孔質構造により潤滑油の出入
りを行い、スムースな駆動力伝達や摩擦面で発生する熱
の拡散を行っている。
車および農業機械等の原動機からの出力を伝達する媒体
の一つとして多く使用されている。近年、自動車の分野
では自動変速機の開発が進み、伝達容量の増大、メンテ
ナンスフリー化等、各部品に要求される基準が高いもの
となってきている。湿式摩擦材は、クラッチの摩擦部分
に具備されており、その多孔質構造により潤滑油の出入
りを行い、スムースな駆動力伝達や摩擦面で発生する熱
の拡散を行っている。
【0003】湿式摩擦材は、繊維(有機質繊維、無機質
繊維)、無機充填剤および摩擦調整材よりなる繊維質基
材に樹脂(フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹
脂等)を含浸硬化させて製造されている。湿式摩擦材に
使用される無機充填剤としては、ケイソウ土、炭酸カル
シウムおよびシリカ等の粘土鉱物があり、これらは摩擦
材の油保持機能などのために添加されるものである。ま
た、湿式摩擦材に使用される繊維材料としては、摩擦係
数を安定させたり、その構造を保持するため主としてセ
ルロース繊維、アラミド繊維およびアクリル繊維等が利
用されている。
繊維)、無機充填剤および摩擦調整材よりなる繊維質基
材に樹脂(フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹
脂等)を含浸硬化させて製造されている。湿式摩擦材に
使用される無機充填剤としては、ケイソウ土、炭酸カル
シウムおよびシリカ等の粘土鉱物があり、これらは摩擦
材の油保持機能などのために添加されるものである。ま
た、湿式摩擦材に使用される繊維材料としては、摩擦係
数を安定させたり、その構造を保持するため主としてセ
ルロース繊維、アラミド繊維およびアクリル繊維等が利
用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の湿式摩擦材にあっては、長期間の高温や高摺
動下において潤滑油の酸化劣化により発生した酸により
繊維の劣化を引き起こし、摩擦材の機能を低下させる可
能性がある。摩擦材には長期間にわたってスムーズに駆
動力を伝達すること、およびその多孔質構造を保持する
ということが要求される。このためには耐酸性を更に向
上させる必要があり、これが課題となっていた。
うな従来の湿式摩擦材にあっては、長期間の高温や高摺
動下において潤滑油の酸化劣化により発生した酸により
繊維の劣化を引き起こし、摩擦材の機能を低下させる可
能性がある。摩擦材には長期間にわたってスムーズに駆
動力を伝達すること、およびその多孔質構造を保持する
ということが要求される。このためには耐酸性を更に向
上させる必要があり、これが課題となっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の課題は、
繊維材、無機充填剤および摩擦調整剤からなる繊維質基
材中に、アミン類と層間化合物を形成した粘土鉱物を含
有することを特徴とする湿式摩擦材により達成された。
繊維材、無機充填剤および摩擦調整剤からなる繊維質基
材中に、アミン類と層間化合物を形成した粘土鉱物を含
有することを特徴とする湿式摩擦材により達成された。
【0006】以下、本発明について更に詳細に説明す
る。本発明で用いられるアミンとしては、アンモニアの
他に、脂肪族アミン、例えば Cn H2n+1NH2 ・HC1 Cn H2n+1N(CH3)3 ・Br (Cn H2n+1)2N(CH3)2 ・C1 で表されるような、n=1〜18のものを用いることが
できる。具体的には、ジエチルアミン塩酸塩、アミルア
ミン臭酸塩、ドデシルアミン塩酸塩、ステアリルアミン
塩酸塩およびジドデシルジメチルアミン臭酸塩等が挙げ
られる。また、C 6 H5 NH2 、C6 H4 (NH2)2 等
の芳香族アミンも用いることができる。
る。本発明で用いられるアミンとしては、アンモニアの
他に、脂肪族アミン、例えば Cn H2n+1NH2 ・HC1 Cn H2n+1N(CH3)3 ・Br (Cn H2n+1)2N(CH3)2 ・C1 で表されるような、n=1〜18のものを用いることが
できる。具体的には、ジエチルアミン塩酸塩、アミルア
ミン臭酸塩、ドデシルアミン塩酸塩、ステアリルアミン
塩酸塩およびジドデシルジメチルアミン臭酸塩等が挙げ
られる。また、C 6 H5 NH2 、C6 H4 (NH2)2 等
の芳香族アミンも用いることができる。
【0007】粘土鉱物は、アミン類と層間化合部が形成
できるものであれば良く、例えばモンモリロナイト、テ
ニオライト、ヘクトライトおよびバーミキュライトを使
用することができ、その粒径は特に限定されない。
できるものであれば良く、例えばモンモリロナイト、テ
ニオライト、ヘクトライトおよびバーミキュライトを使
用することができ、その粒径は特に限定されない。
【0008】この粘土鉱物をアミン水溶液で処理し、そ
の層間陽イオンの20%以上をアミン類と置換する。ア
ミン類との置換が20%未満になると、アミン類と層間
化合部を充分に形成することができない。また、粘土鉱
物を繊維質基材中に5〜40重量%の範囲で含有する湿
式摩擦材とすることにより、粘土鉱物中の層間化合した
アミンが構成繊維の周囲で極所的に油の劣化により発生
する酸に対して中和の役割を果たし、繊維の劣化を低減
させることができる。粘土鉱物を繊維質基材中の比率が
5重量%未満になると、このような添加効果が充分に発
揮されない。逆に、40重量%を超えると他の物性の低
下を招く。
の層間陽イオンの20%以上をアミン類と置換する。ア
ミン類との置換が20%未満になると、アミン類と層間
化合部を充分に形成することができない。また、粘土鉱
物を繊維質基材中に5〜40重量%の範囲で含有する湿
式摩擦材とすることにより、粘土鉱物中の層間化合した
アミンが構成繊維の周囲で極所的に油の劣化により発生
する酸に対して中和の役割を果たし、繊維の劣化を低減
させることができる。粘土鉱物を繊維質基材中の比率が
5重量%未満になると、このような添加効果が充分に発
揮されない。逆に、40重量%を超えると他の物性の低
下を招く。
【0009】本発明においては、請求項1記載の構成、
すなわち、繊維材、無機充填剤および摩擦調整剤からな
る繊維質基材中に、アミン類と層間化合物を形成した粘
土鉱物を含有した湿式摩擦材としたことにより、アミン
がpH調整剤の役割をするため、摩擦材の耐久性が向上
するという効果を得ることができる。
すなわち、繊維材、無機充填剤および摩擦調整剤からな
る繊維質基材中に、アミン類と層間化合物を形成した粘
土鉱物を含有した湿式摩擦材としたことにより、アミン
がpH調整剤の役割をするため、摩擦材の耐久性が向上
するという効果を得ることができる。
【0010】また、請求項2においては、アミン類はア
ンモニア、または炭素数1〜18である脂肪族アミンも
しくは芳香族アミンとしたことにより、粘土鉱物の層間
陽イオンを置換することができるという効果がある。
ンモニア、または炭素数1〜18である脂肪族アミンも
しくは芳香族アミンとしたことにより、粘土鉱物の層間
陽イオンを置換することができるという効果がある。
【0011】さらに、請求項3においては、粘土鉱物は
層間陽イオンの20〜100%をアミン類と置換した構
成としたことにより、置換したアミンのpH調整の効果
を発揮することができる。
層間陽イオンの20〜100%をアミン類と置換した構
成としたことにより、置換したアミンのpH調整の効果
を発揮することができる。
【0012】加えて、請求項4においては、繊維質基材
中に粘土鉱物が5〜40重量%の範囲で含有させた構成
としたことにより、pH調整剤としての効果と充填剤の
効果とを両立させることができる。
中に粘土鉱物が5〜40重量%の範囲で含有させた構成
としたことにより、pH調整剤としての効果と充填剤の
効果とを両立させることができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、本発明はこれによって限定されるものではな
い。
明するが、本発明はこれによって限定されるものではな
い。
【0014】実施例1 モンモリロナイトの層間ナトリウムイオンに対して、
1.2倍のドデシルアミンの水溶液(25m mol/20
0ml)を調製し、これに粘土鉱物を加えて室温で2時間
スターラーにて攪拌した後、テフロンフィルターで濾過
し、水洗した。これを40℃にて3日間乾燥させ、粘土
鉱物の層間イオンの約80%をドデシルアミンと置換さ
せた。これらの粘土鉱物と共に、繊維質基材の構成材料
としてセルロース繊維55重量%、芳香族ポリアミド繊
維5重量%、ケイソウ土10重量%、モンモリロナイト
25重量%および摩擦調整剤(カシュー株式会社製,商
品番号:H102)5重量%を水に分散し、抄紙して繊
維質基材とした。この基材に対して40重量%のフェノ
ール樹脂/メタノール溶液を含浸し、硬化させて実施例
1の湿式摩擦材を得た。
1.2倍のドデシルアミンの水溶液(25m mol/20
0ml)を調製し、これに粘土鉱物を加えて室温で2時間
スターラーにて攪拌した後、テフロンフィルターで濾過
し、水洗した。これを40℃にて3日間乾燥させ、粘土
鉱物の層間イオンの約80%をドデシルアミンと置換さ
せた。これらの粘土鉱物と共に、繊維質基材の構成材料
としてセルロース繊維55重量%、芳香族ポリアミド繊
維5重量%、ケイソウ土10重量%、モンモリロナイト
25重量%および摩擦調整剤(カシュー株式会社製,商
品番号:H102)5重量%を水に分散し、抄紙して繊
維質基材とした。この基材に対して40重量%のフェノ
ール樹脂/メタノール溶液を含浸し、硬化させて実施例
1の湿式摩擦材を得た。
【0015】実施例2 粘土鉱物をモンモリロナイトに代えてバーミキュライト
を用いた他は、実施例1と全く同様にして実施例2の湿
式摩擦材を得た。
を用いた他は、実施例1と全く同様にして実施例2の湿
式摩擦材を得た。
【0016】実施例3〜5 粘土鉱物中に層間化合させるアミンの種類をそれぞれ、
ジエチルアミン、ジドデシルメチルアミンおよびアニリ
ンに代えた他は、実施例1と全く同様にして、実施例
3、実施例4および実施例5の湿式摩擦材を得た。
ジエチルアミン、ジドデシルメチルアミンおよびアニリ
ンに代えた他は、実施例1と全く同様にして、実施例
3、実施例4および実施例5の湿式摩擦材を得た。
【0017】実施例6,7 粘土鉱物中に層間化合させるアミンの置換比率を変える
ためモンモリロナイトの前処理時間を、それぞれ1時間
および5時間に変えた他は、実施例1と全く同様にして
実施例6および7の湿式摩擦材を得た。
ためモンモリロナイトの前処理時間を、それぞれ1時間
および5時間に変えた他は、実施例1と全く同様にして
実施例6および7の湿式摩擦材を得た。
【0018】実施例8 ケイソウ土25重量%およびモンモリロナイト10重量
%に変えた他は、実施例1と全く同様にして実施例8の
湿式摩擦材を得た。
%に変えた他は、実施例1と全く同様にして実施例8の
湿式摩擦材を得た。
【0019】実施例9 ケイソウ土を用いず、モンモリロナイト35重量%に変
えた他は、実施例1と全く同様にして実施例9の湿式摩
擦材を得た。
えた他は、実施例1と全く同様にして実施例9の湿式摩
擦材を得た。
【0020】実施例10 粘土鉱物中に層間化合させるものをアンモニアとした他
は、実施例1と全く同様にして実施例10の湿式摩擦材
を得た。
は、実施例1と全く同様にして実施例10の湿式摩擦材
を得た。
【0021】比較例1 アミン類を層間化合させた粘土鉱物、すなわちモンモリ
ロナイトを用いず、繊維質基材の構成材料としてセルロ
ース繊維55重量%、芳香族ポリアミド繊維5重量%、
ケイソウ土35重量%および摩擦調整剤(カシュー株式
会社製、商品番号:H102)5重量%を水に分散、抄
紙し繊維質基材とした他は、実施例1と全く同様にして
比較例1の湿式摩擦剤を得た。
ロナイトを用いず、繊維質基材の構成材料としてセルロ
ース繊維55重量%、芳香族ポリアミド繊維5重量%、
ケイソウ土35重量%および摩擦調整剤(カシュー株式
会社製、商品番号:H102)5重量%を水に分散、抄
紙し繊維質基材とした他は、実施例1と全く同様にして
比較例1の湿式摩擦剤を得た。
【0022】比較例2 粘土鉱物中に層間化合させるアミンの比率を変えるため
モンモリロナイトの前処理時間を10分とした他は、実
施例1と全く同様にして比較例2の湿式摩擦材を得た。
モンモリロナイトの前処理時間を10分とした他は、実
施例1と全く同様にして比較例2の湿式摩擦材を得た。
【0023】比較例3 粘土鉱物中に層間化合させるアミンの比率を変えるため
モンモリロナイトの前処理時間を10分とし、ケイソウ
土33重量%およびモンモリロナイト2重量%にした他
は、実施例1と全く同様にして比較例3の湿式摩擦材を
得た。
モンモリロナイトの前処理時間を10分とし、ケイソウ
土33重量%およびモンモリロナイト2重量%にした他
は、実施例1と全く同様にして比較例3の湿式摩擦材を
得た。
【0024】比較例4 粘土鉱物中に層間化合させるアミンの比率を変えるため
モンモリロナイトの前処理時間を10分とし、ケイソウ
土を用いず、セルロース繊維40重量%、モンモリロナ
イト50重量%にした他は、実施例1と全く同様にして
比較例4の湿式摩擦材を得た。
モンモリロナイトの前処理時間を10分とし、ケイソウ
土を用いず、セルロース繊維40重量%、モンモリロナ
イト50重量%にした他は、実施例1と全く同様にして
比較例4の湿式摩擦材を得た。
【0025】〔試験評価〕各実施例および比較例で得ら
れた湿式摩擦材について圧縮疲労耐久試験を行い、剥離
までのサイクル数を評価した。各試験片を5000〜1
0000サイクル毎に観察し剥離状況を観察した。 温度:140℃ 荷重:100Kgf /cm2 入力条件:0.1Hz
れた湿式摩擦材について圧縮疲労耐久試験を行い、剥離
までのサイクル数を評価した。各試験片を5000〜1
0000サイクル毎に観察し剥離状況を観察した。 温度:140℃ 荷重:100Kgf /cm2 入力条件:0.1Hz
【0026】実施例1および2ではアミン類との層間化
合ができる粘土鉱物として、スメクタイト族であるモン
モリロナイト、バーミキュライト族であるバーミキュラ
イトを用いたものであるが、いずれもアミン類との層間
化合をした粘土鉱物を使用していない比較例1に比べ
て、耐久性が向上しているのが認められる。
合ができる粘土鉱物として、スメクタイト族であるモン
モリロナイト、バーミキュライト族であるバーミキュラ
イトを用いたものであるが、いずれもアミン類との層間
化合をした粘土鉱物を使用していない比較例1に比べ
て、耐久性が向上しているのが認められる。
【0027】正の電化を持った有機物の場合には膨張性
2:1型鉱物の負の層電荷によって、層間に引き込まれ
て複合体ができる。そしてこの有機イオンの吸着量はほ
ぼ粘土の陽イオン交換量に等しくなる。このとき、炭素
数の多い大型の有機イオンの場合には限られた層表面面
積に対して空間的な制約を受けるため層間で鎖が斜めに
立ち上がって相関化合することとなる。実施例3,4,
5,10ではそれぞれアミンがジエチルアミン(n=
2)、ジドデシルジメチルアミン(n=12)、アニリ
ン(芳香族アミン)、アンモニアであるときの使用例を
示した。なお、使用するアミンの種類については炭化水
素連鎖が19以上のものは市販されていないのとともに
層間化合物を生成する能力が比較的低いため、これにつ
いては1〜18までのアミンとした。
2:1型鉱物の負の層電荷によって、層間に引き込まれ
て複合体ができる。そしてこの有機イオンの吸着量はほ
ぼ粘土の陽イオン交換量に等しくなる。このとき、炭素
数の多い大型の有機イオンの場合には限られた層表面面
積に対して空間的な制約を受けるため層間で鎖が斜めに
立ち上がって相関化合することとなる。実施例3,4,
5,10ではそれぞれアミンがジエチルアミン(n=
2)、ジドデシルジメチルアミン(n=12)、アニリ
ン(芳香族アミン)、アンモニアであるときの使用例を
示した。なお、使用するアミンの種類については炭化水
素連鎖が19以上のものは市販されていないのとともに
層間化合物を生成する能力が比較的低いため、これにつ
いては1〜18までのアミンとした。
【0028】実施例6および7は粘土鉱物のアミン置換
率を変化させたものである。比較例2のように粘土鉱物
のアミン置換率が20%未満の場合には、その性能はア
ミンを使用していない比較例1と同等であるが、実施例
6および7のように20%以上(それぞれ約50%、1
00%)を置換すれば効果が得られる。
率を変化させたものである。比較例2のように粘土鉱物
のアミン置換率が20%未満の場合には、その性能はア
ミンを使用していない比較例1と同等であるが、実施例
6および7のように20%以上(それぞれ約50%、1
00%)を置換すれば効果が得られる。
【0029】実施例8および9では、アミン類を層間化
合した粘土鉱物の湿式摩擦材に使用できる繊維質基材中
の重量%について示した。比較例4のように粘土鉱物が
繊維質基材に対し5%未満の場合については、その性能
はアミンを使用していない比較例1と同等であり、添加
の効果が見られない。また、比較例4のように粘土鉱物
が繊維質基材に対し40%をこえる場合については、基
材に対する充填剤の比率が大きすぎて、多孔質特性の低
下ならびに摩擦材表面への析出のため耐久性を落として
しまう。実施例8および9のように5〜40重量%(そ
れぞれ10%、35%)を使用することによりその効果
が得られることとなる。
合した粘土鉱物の湿式摩擦材に使用できる繊維質基材中
の重量%について示した。比較例4のように粘土鉱物が
繊維質基材に対し5%未満の場合については、その性能
はアミンを使用していない比較例1と同等であり、添加
の効果が見られない。また、比較例4のように粘土鉱物
が繊維質基材に対し40%をこえる場合については、基
材に対する充填剤の比率が大きすぎて、多孔質特性の低
下ならびに摩擦材表面への析出のため耐久性を落として
しまう。実施例8および9のように5〜40重量%(そ
れぞれ10%、35%)を使用することによりその効果
が得られることとなる。
【0030】実施例1〜10および比較例1〜4で得ら
れた湿式摩擦材の構成内容と評価結果を表1に示す。
れた湿式摩擦材の構成内容と評価結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
層間陽イオンの約20%以上をアミン類と置換し層間化
合させた粘土鉱物を繊維質基材中に5〜40重量%の範
囲で含有させた湿式摩擦材とすることにより、アミンが
pH調整の役割をするため、耐久性が向上し、摩擦材の
長寿命化が図れるという優れた効果が得られる。
層間陽イオンの約20%以上をアミン類と置換し層間化
合させた粘土鉱物を繊維質基材中に5〜40重量%の範
囲で含有させた湿式摩擦材とすることにより、アミンが
pH調整の役割をするため、耐久性が向上し、摩擦材の
長寿命化が図れるという優れた効果が得られる。
【0033】また、各実施例で使用した粘土鉱物はそれ
ぞれ上記共通の効果に加えて、油保持性も有しており、
油の長寿命化が図れると共に無機充填剤として摩擦材の
機械的特性も向上させることができる。
ぞれ上記共通の効果に加えて、油保持性も有しており、
油の長寿命化が図れると共に無機充填剤として摩擦材の
機械的特性も向上させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 誠 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】 繊維材、無機充填剤および摩擦調整剤か
らなる繊維質基材中に、アミン類と層間化合物を形成し
た粘土鉱物を含有することを特徴とする湿式摩擦材。 - 【請求項2】 アミン類がアンモニア、または炭素数1
〜18である脂肪族アミンもしくは芳香族アミンである
ことを特徴とする請求項1記載の湿式摩擦材。 - 【請求項3】 粘土鉱物が層間陽イオンの20〜100
%をアミン類と置換していることを特徴とする請求項1
または2記載の湿式摩擦材。 - 【請求項4】 繊維質基材中に粘土鉱物が5〜40重量
%の範囲で含有されていることを特徴とする請求項1乃
至3記載の湿式摩擦材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00806696A JP3438455B2 (ja) | 1996-01-22 | 1996-01-22 | 湿式摩擦材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00806696A JP3438455B2 (ja) | 1996-01-22 | 1996-01-22 | 湿式摩擦材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09194822A true JPH09194822A (ja) | 1997-07-29 |
JP3438455B2 JP3438455B2 (ja) | 2003-08-18 |
Family
ID=11682983
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP00806696A Expired - Fee Related JP3438455B2 (ja) | 1996-01-22 | 1996-01-22 | 湿式摩擦材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3438455B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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WO2009057414A1 (ja) * | 2007-10-29 | 2009-05-07 | Showa Highpolymer Co., Ltd. | 湿式摩擦材 |
CN108368902A (zh) * | 2015-12-01 | 2018-08-03 | 舍弗勒技术股份两合公司 | 湿式工作-摩擦衬片 |
WO2021202334A1 (en) * | 2020-04-02 | 2021-10-07 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Wet friction material with quaternary ammonium salts |
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