JP3459927B2 - 固体潤滑転がり軸受 - Google Patents

固体潤滑転がり軸受

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JP3459927B2
JP3459927B2 JP05731893A JP5731893A JP3459927B2 JP 3459927 B2 JP3459927 B2 JP 3459927B2 JP 05731893 A JP05731893 A JP 05731893A JP 5731893 A JP5731893 A JP 5731893A JP 3459927 B2 JP3459927 B2 JP 3459927B2
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正孝 菊池
正隆 野坂
眞教 田尻
博光 近藤
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宇宙開発事業団
独立行政法人航空宇宙技術研究所
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明はロケットエンジンの液
体酸素ターボポンプ用軸受など、極低温の酸素が共存す
る条件で用いられる固体潤滑転がり軸受に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、汎用の転がり軸受は、その内部
にグリースを充填して転動体や内・外輪の転動面などの
摩擦面を潤滑するようにしている。しかし、液体窒素、
液体酸素または液体水素などに接する装置に組み込まれ
て、極低温下で使用される軸受では、前記グリースが固
化して所期の潤滑機能を発揮しないため、その摩擦面に
金属や自己潤滑性のある合成樹脂などの固体潤滑剤をコ
ーティングしている。 【0003】特に、液体燃料ロケットエンジンの液体酸
素ターボポンプ用軸受は、軸受材としてステンレス鋼材
(SUS440C)を使用したもので、液体酸素により
潤滑被膜が酸化して起こる酸化摩耗の軽減と被膜の潤滑
性の改善を図るため、摩擦面の表面に金のイオンプレー
ト膜を形成し、さらにその上に四フッ化エチレン樹脂
(以下、PTFEと略記する。)の被膜をスパッタリン
グによって形成していた。 【0004】このような軸受では、常温で摩耗し易いP
TFEが、極低温下では硬化して実用に耐える耐摩耗性
を発揮するが、PTFE被膜が損傷をうけた場合には、
前記金膜が露出して摩擦面を潤滑する。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、固体潤滑剤と
なる金膜は比較的軟らかく、またステンレス鋼材(たと
えばSUS440C)からなる軸受材との付着性が弱い
ため、液体酸素ターボポンプの過酷な運転条件下では早
期に摩耗し、剥離し易いという問題点がある。また金膜
は、液体または気体状の酸素の共存下で使用した場合、
PTFE被膜に比べて耐酸化性の点では優れているもの
の、潤滑性の点では若干劣るという問題点もある。 【0006】そこで、この発明は、上記した問題点を解
決し、固体潤滑転がり軸受を、その摩擦面に、下地材と
の付着性、潤滑性および耐摩耗性の改良された金被膜を
有するものとして、特に極低温下で液体または気体状の
酸素に接する条件での使用にも充分に耐えるものとする
ことを課題としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、液体酸素に接する条件で使用
される転がり軸受の摩擦面に、金を主要成分として、
銅、コバルトおよびニッケルから選ばれる1の他元素を
添加した二元合金被膜を形成してなり、選ばれた他元素
の合金比率が銅15〜35重量%、コバルト1〜3重量
%、ニッケル2〜7重量%である液体酸素接触部用の固
体潤滑転がり軸受としたのである。 【0008】 【0009】 【作用】この発明に係る固体潤滑転がり軸受は、その摩
擦面に形成された潤滑被膜を、金を主要成分として銅、
コバルトまたはニッケルを添加した二元合金被膜とした
ので、金本来の潤滑性を維持しており、しかも、金単独
の被膜に比べてその被膜の硬度および軸受材との付着性
が高く、すなわち耐摩耗性および耐剥離性にすぐれた潤
滑被膜を有して極低温下でも耐久性の優れた所期の潤滑
性を発揮するものとなる。この傾向は、特に銅、コバル
トまたはニッケルを所定の合金比率として顕著である。 【0010】 【実施例】この発明に用いる転がり軸受は、特にその構
造を限定するものでなく、低温下で使用する装置に適当
なトルクおよび回転数を許容するものであれば、玉軸受
の他、ニードルベアリングなどを採用することもでき
る。 【0011】このような転がり軸受において、潤滑被膜
を形成する摩擦面は、転動体、外輪または内輪の転動
面、保持器などのいずれか、またはこれらの1以上の部
品であってよく、また、摩擦面以外の転がり軸受の各部
品表面を含むものであってもよい。 【0012】また、二元合金被膜の形成方法について
は、特に限定するものではないが、たとえばイオンプレ
ーティング法、スパッタリング法などは均質な薄膜を形
成するので好ましい方法であるといえる。さらに、前記
イオンプレーティング法として、熱電子活性化方式(以
下、A方式という。)または、Mattox方式(以
下、B方式という。)が代表例として挙げられる。この
うち、B方式を採用する場合には、蒸発原の成分ごとの
蒸発速度に差が生じないように、抵抗加熱原の電流値を
かなり大きくして、短秒時に合金材料を蒸発させること
が望ましい。 【0013】また、前記他元素としての銅(以下、Cu
と記す。)の合金比率は、15〜35重量%であり、コ
バルト(以下、Coと記す。)の合金比率が1〜3重量
%であり、ニッケル(以下、Niと記す。)の合金比率
が2〜7重量%が好ましい。なぜなら、図1のグラフに
示すように、Cu,Co,Niの合金比率が増加するほ
ど被膜(0.6μm、基板硬度Hk(0.098N)=
1100)の硬度(ヌープ硬度)は増加し、その傾向は
前記所定の合金比率の範囲で顕著であるが、前記所定量
を越える合金比率では、逆に潤滑性が低下または摩擦係
数の不安定化が起こるので好ましくないからである。 【0014】〔実施例1〜4〕蒸発源の坩堝に、金に対
して、Cu,Co,Niから選ばれる1の金属をそれぞ
れ表1に示した所定の比率で調合し、神港精機社製:イ
オンプレーティング装置、AI−850SBに前記坩堝
をセットして真空排気を行ない、SUS440C製の円
盤に対して、A方式によるイオンプレーティングを行な
った。すなわち、真空度が10-7Torr台に達した
後、電子ビームによって前記調合した蒸発物質を溶解
し、さらに蒸発イオン化させ、基板電圧400V、イオ
ン化電流値10Aの条件で膜厚0.6μmにコーティン
グした。 【0015】 【表1】 【0016】〔比較例1〜7〕蒸発源の坩堝に、金に対
して、Cu,Co,Niから選ばれる1の金属をそれぞ
れ表2に示した所定の比率で調合した以外は、実施例1
〜4と全く同様にしてイオンプレーティングを行なっ
た。 【0017】 【表2】 【0018】実施例1〜4および比較例1〜7の液相ま
たは気相の酸素中での摩擦・摩耗特性を調べるため、以
下のような実験を行い、この結果を図2〜図6のグラフ
に示した。 【0019】〔実験例1〕ステンレス鋼(SUS440
C)製の円盤(Hrc=56)形試験片の表面を鏡面に
仕上げると共に、この表面に、実施例1〜4または比較
例1〜7と全く同様にして表1または表2に示す合金比
率で膜厚0.6μmの潤滑被膜を形成し、ピン/円盤型
の公知の摩擦・摩耗試験機(尾池 他;潤滑、30,6
(1985)452)を用い、ピンとしてステンレス鋼
(SUS440C)製鋼球(直径7.938mm) を用い
て、荷重9.8N、摩擦速度0.1m/秒、液体酸素中
または常温の気相の酸素雰囲気内の条件にて摩擦係数を
測定し、それぞれ図2〜4の(a)、(b)に示した。
なお、ブランクとして、ステンレス鋼(SUS440
C)製の円盤形試験片とピンを用いた場合の摩擦係数を
図2中に併記した。 【0020】図2(a)のグラフから明らかなように、
液体酸素中(−183℃)では、ブランク(★印)の摩
擦係数は約0.8とかなり高く、Au単体被膜の比較例
1(□印)では、早期に摩耗して摩擦回数の初期から摩
擦係数が不安定な変動を示した。比較例2(■印)で
は、摩擦回数が3.5×103 回以上で不安定な変動を
示した。また、Cuの合金比率が所定範囲を越える比較
例3(●印)および比較例4(☆印)では、摩擦回数が
3.5×103 回以上で潤滑性が悪くなる傾向がみられ
た。一方、Cuの合金比率が所定範囲の実施例1(○
印)では、摩擦係数は安定して低い値であった。 【0021】図2(b)のグラフから明らかなように、
気体酸素中(室温)では、実施例1(○印)ばかりでな
く、比較例2〜4でも試験中安定した摩擦係数を示し
た。なお、実験後の実施例1および比較例2〜4の全て
の摩擦面にかなりの合金被膜が残存しており、X線分析
を行なったところ摩擦面に酸素の存在が強く確認され
た。このことから、Auに添加したCuが摩擦中に温度
が高い酸化雰囲気下で酸化し、Cu酸化膜の形成により
被膜の潤滑性および耐摩耗性が向上したものと推定され
た。 【0022】次に、図3(a)のグラフから明らかなよ
うに、液体酸素中では比較例5(●印)の摩擦係数の変
動は、実施例2(○印)に比べて安定していた。しか
し、気体酸素中(室温)においては、図3(b)のグラ
フから明らかなように、比較例5に比べて実施例2の方
が摩擦特性が優れていた。 【0023】図4(a)のグラフから明らかなように、
Niの合金比率が所定範囲内の合金被膜を形成した実施
例3(○印)、実施例4(□印)の摩擦特性は優れてい
るが、所定範囲外の比較例6(■印)では摩擦係数の変
動が大きく、比較例7(●印)ではかなり潤滑性が悪く
なった。その理由として、Auに対する所定量以上のN
i合金比率のものは、AuとNiが固相分離すると考え
られた。また、図4(b)のグラフから明らかなよう
に、気体酸素中(室温)でも上記した同じ傾向がみられ
た。 【0024】次に、被膜の潤滑性と、軸受材を想定した
ステンレス鋼材の耐久性を調べるため、上記実験と並行
して、ピンの比摩耗量を調べ、この結果を図5および図
6に示した。 【0025】図5(a)の結果から明らかなように、液
体酸素中ではAuに対して、Cu,Co,Niを前記所
定の合金とした場合にピンの摩耗量が減少し、軸受材の
耐久性も向上するものと推定された。図5(b)の結果
からCo,Niの添加は、逆にピンの摩耗量を増加させ
るが、気体酸素中(室温)では、Au−Cu膜の潤滑性
が特に優れていた。これは、Co,Niに比べてCuが
酸化し易く、酸化雰囲気下の潤滑性を高めるためと推定
された。 【0026】〔実験例2〕液体酸素または液体窒素(−
196℃)を用いる以外は、実験例1と全く同様にして
実施例1〜3、比較例1およびブランクについてピンの
比摩耗量(mm3 /N)を調べ、結果を図6に示した。 【0027】図6の結果から明らかなように、液体窒素
中ではピンの摩耗量と添加される合金の種類による違い
が殆どみとめられず、金を主要成分とする二元合金被膜
であれば、酸化雰囲気中の被膜の酸化により潤滑性およ
び耐摩耗性が改善されることが判明した。 【0028】 【効果】この発明は、以上説明したように、その摩擦面
に形成された潤滑被膜を、金を主要成分として銅、コバ
ルトまたはニッケルを添加した二元合金被膜としたの
で、金本来の潤滑性を維持しており、しかも、金単独の
被膜に比べて下地材との付着性、潤滑性および耐摩耗性
の改良された潤滑被膜を有するものとなり、特に極低温
下で液体または気体状の酸素に接する条件での使用にも
充分に耐えるものとなる利点がある。
【図面の簡単な説明】 【図1】二元合金被膜の他元素含有量とヌープ硬度の関
係を示すグラフ 【図2】(a)は、実施例1と比較例1〜4の液体酸素
中の摩擦係数と摩擦回数の関係を示すグラフ (b)は、実施例1と比較例1〜4の気体酸素中の摩擦
係数と摩擦回数の関係を示すグラフ 【図3】(a)は、実施例2と比較例5の液体酸素中の
摩擦係数と摩擦回数の関係を示すグラフ (b)は、実施例2と比較例5の気体酸素中の摩擦係数
と摩擦回数の関係を示すグラフ 【図4】(a)は、実施例3および4と比較例6および
7の液体酸素中の摩擦回数と摩擦係数の関係を示すグラ
フ (b)は、実施例3および4と比較例6および7の気体
酸素中の摩擦回数と摩擦係数の関係を示すグラフ 【図5】(a)は、液体酸素中の二元合金被膜の他元素
含有量とピンの比摩耗量の関係を示すグラフ (b)は、気体酸素中の二元合金被膜の他元素含有量と
ピンの比摩耗量の関係を示すグラフ 【図6】液体酸素中または液体窒素中のピンの比摩耗量
を示すグラフ
フロントページの続き (72)発明者 田尻 眞教 桑名市蓮花寺611番地の102 (72)発明者 近藤 博光 桑名市大字東方日物谷2218番地の1 (56)参考文献 特開 昭54−93741(JP,A) 特開 昭54−85127(JP,A) 特開 昭54−85126(JP,A) 特開 昭54−15430(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16C 19/00 - 19/56 F16C 33/30 - 33/66 C23C 14/00 - 30/00 C25D 1/00 - 7/12

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 液体酸素に接する条件で使用される転が
    り軸受の摩擦面に、金を主要成分として、銅、コバルト
    およびニッケルから選ばれる1の他元素を添加した二元
    合金被膜を形成してなり、選ばれた他元素の合金比率が
    銅15〜35重量%、コバルト1〜3重量%、ニッケル
    2〜7重量%である液体酸素接触部用の固体潤滑転がり
    軸受。
JP05731893A 1993-03-17 1993-03-17 固体潤滑転がり軸受 Expired - Lifetime JP3459927B2 (ja)

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