JPH05271675A - 複合固体潤滑材 - Google Patents
複合固体潤滑材Info
- Publication number
- JPH05271675A JPH05271675A JP6000591A JP6000591A JPH05271675A JP H05271675 A JPH05271675 A JP H05271675A JP 6000591 A JP6000591 A JP 6000591A JP 6000591 A JP6000591 A JP 6000591A JP H05271675 A JPH05271675 A JP H05271675A
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- Japan
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- film
- mos
- solid lubricant
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- composite solid
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- Withdrawn
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- Sliding-Contact Bearings (AREA)
- Lubricants (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 優れた潤滑特性を示す複合固体潤滑材に関す
る。 【構成】 母材表面あるいは母材に被覆したセラミック
薄膜の表面にＭｏＳ2 膜を形成してなる固体潤滑材であ
って、ＭｏＳ2 膜と母材側材料との界面にイオン注入に
よりミキシング層を有している複合固体潤滑材。
る。 【構成】 母材表面あるいは母材に被覆したセラミック
薄膜の表面にＭｏＳ2 膜を形成してなる固体潤滑材であ
って、ＭｏＳ2 膜と母材側材料との界面にイオン注入に
よりミキシング層を有している複合固体潤滑材。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は複合固体潤滑材に関し、
特に航空宇宙機器や真空装置の各種軸受等や、油やグリ
ース潤滑が適用できず、寸法精度を要求される小型精密
機械の摺動面に有利に適用できる複合固体潤滑材に関す
る。
特に航空宇宙機器や真空装置の各種軸受等や、油やグリ
ース潤滑が適用できず、寸法精度を要求される小型精密
機械の摺動面に有利に適用できる複合固体潤滑材に関す
る。
【０００２】
【従来の技術】バインダーを用いない固体潤滑膜である
スパッタリング法によるＭｏＳ2 膜は、人工衛星の転が
り軸受などの固体潤滑膜として実績がある。しかし、宇
宙機器の摺動条件（面圧，速度等）の苛酷化、要求寿命
の延長により、さらに長寿命かつ高信頼性の固体潤滑膜
が要望されている。
スパッタリング法によるＭｏＳ2 膜は、人工衛星の転が
り軸受などの固体潤滑膜として実績がある。しかし、宇
宙機器の摺動条件（面圧，速度等）の苛酷化、要求寿命
の延長により、さらに長寿命かつ高信頼性の固体潤滑膜
が要望されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】ＭｏＳ2 のすぐれた固
体潤滑性（低摩擦性）は層状の結晶構造に起因している
わけであるが、真空中に比べて酸素及び湿度が存在する
大気中でＭｏＳ2 本来のすぐれた固体潤滑性を発揮でき
ない欠点をもっている。この欠点を克服するためにＭｏ
Ｓ2 とポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）の複合
膜がＴ．Spalvins〔 Thin Solid Films, 53, 285〜300
(1978) 〕によって提案され、さらに硫化物を結合層と
したＭｏＳ2 とＰＴＦＥの複合膜が提案されている。
（特願昭５７−１１３８０８）
体潤滑性（低摩擦性）は層状の結晶構造に起因している
わけであるが、真空中に比べて酸素及び湿度が存在する
大気中でＭｏＳ2 本来のすぐれた固体潤滑性を発揮でき
ない欠点をもっている。この欠点を克服するためにＭｏ
Ｓ2 とポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）の複合
膜がＴ．Spalvins〔 Thin Solid Films, 53, 285〜300
(1978) 〕によって提案され、さらに硫化物を結合層と
したＭｏＳ2 とＰＴＦＥの複合膜が提案されている。
（特願昭５７−１１３８０８）
【０００４】また、ＭｏＳ2 膜の改良（耐久性，信頼性
向上）として、ＡｕやＮｉなどの金属を複合させる方法
が提案〔Ｂ．Ｃ．Stupp ：Proc. 3rd Int. Canf. on So
lidLub. ASLe(1984)217, 及びＴ．Spalvins：Ｊ．Vac.
Sci. Technol. A5(2), Nar/Apr(1987)212〕されており
大気中の潤滑性向上には成功している。
向上）として、ＡｕやＮｉなどの金属を複合させる方法
が提案〔Ｂ．Ｃ．Stupp ：Proc. 3rd Int. Canf. on So
lidLub. ASLe(1984)217, 及びＴ．Spalvins：Ｊ．Vac.
Sci. Technol. A5(2), Nar/Apr(1987)212〕されており
大気中の潤滑性向上には成功している。
【０００５】上記のように、酸素及び湿度の存在する大
気中でも適用できる固体潤滑膜の開発には成功している
ようである。一方、長寿命真空用固体潤滑膜として、本
発明者は、特願平１−１７７０８３号において、基板表
面に硬質のＴｉＮ膜を形成させた複合固体潤滑膜を提案
したが、さらに飛躍的な寿命向上が望まれている。
気中でも適用できる固体潤滑膜の開発には成功している
ようである。一方、長寿命真空用固体潤滑膜として、本
発明者は、特願平１−１７７０８３号において、基板表
面に硬質のＴｉＮ膜を形成させた複合固体潤滑膜を提案
したが、さらに飛躍的な寿命向上が望まれている。
【０００６】本発明は上記技術水準に鑑み、更に潤滑性
に優れた複合固体潤滑材を提供しようとするものであ
る。
に優れた複合固体潤滑材を提供しようとするものであ
る。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明は （１）母材表面あるいは母材に被覆したセラミック薄膜
の表面にＭｏＳ2 膜を形成してなる固体潤滑材であっ
て、上記ＭｏＳ2 膜と母材側材料との界面にイオン注入
によるミキシング層を有してなることを特徴とする複合
固体潤滑材。
の表面にＭｏＳ2 膜を形成してなる固体潤滑材であっ
て、上記ＭｏＳ2 膜と母材側材料との界面にイオン注入
によるミキシング層を有してなることを特徴とする複合
固体潤滑材。
【０００８】（２）母材表面あるいは母材に被覆したセ
ラミック薄膜の表面にイオン注入し得る深さ以下の厚さ
のＭｏＳ2 膜を形成し、該膜にイオン注入を行ってＭｏ
Ｓ2 膜と母材側材料との界面にミキシング層を形成する
と共に、更に該ＭｏＳ2 膜外表にＭｏＳ2 膜を積層させ
てなることを特徴とする複合固体潤滑材。である。
ラミック薄膜の表面にイオン注入し得る深さ以下の厚さ
のＭｏＳ2 膜を形成し、該膜にイオン注入を行ってＭｏ
Ｓ2 膜と母材側材料との界面にミキシング層を形成する
と共に、更に該ＭｏＳ2 膜外表にＭｏＳ2 膜を積層させ
てなることを特徴とする複合固体潤滑材。である。
【０００９】本発明によって注入できるイオンとして
は、Ｎ，ＳのほかＡｒ，Ｋｒ，Ｘｅなどのイオンがあげ
られる。
は、Ｎ，ＳのほかＡｒ，Ｋｒ，Ｘｅなどのイオンがあげ
られる。
【００１０】
【作用】被覆母材の表面にイオン注入し得る深さ以下の
厚さのＭｏＳ2 膜にイオン注入を行うことにより、密着
性が向上し、この結果長寿命、高信頼性が得られる。
厚さのＭｏＳ2 膜にイオン注入を行うことにより、密着
性が向上し、この結果長寿命、高信頼性が得られる。
【００１１】また、高硬度なセラミックスあるいはセラ
ミックス薄膜をコーティングした金属材料は被覆母材と
して用い、前述のイオン注入を行うことでさらに、飛躍
的な寿命向上が実現できる。
ミックス薄膜をコーティングした金属材料は被覆母材と
して用い、前述のイオン注入を行うことでさらに、飛躍
的な寿命向上が実現できる。
【００１２】本発明は被覆母材とＭｏＳ2 膜の界面にイ
オン注入によるミキシング層を介在させて被覆母材とＭ
ｏＳ2 膜の密着性を向上させたものであるが、ミキシン
グ層の膜厚は一般的に０．２〜０．３μｍと薄いので摺
動部材として十分な摩耗寿命をもたせるためには、その
ミキシング層の上に更にＭｏＳ2 膜を形成させたものが
好ましい。
オン注入によるミキシング層を介在させて被覆母材とＭ
ｏＳ2 膜の密着性を向上させたものであるが、ミキシン
グ層の膜厚は一般的に０．２〜０．３μｍと薄いので摺
動部材として十分な摩耗寿命をもたせるためには、その
ミキシング層の上に更にＭｏＳ2 膜を形成させたものが
好ましい。
【００１３】
（例１）被覆母材として、ＳＵＳ４４０Ｃステンレス鋼
あるいはＴｉ６Ａｌ４Ｖ合金を用い、投入電力２００
Ｗ、アルゴンガス圧力２０mmTorrの条件でのスパッタリ
ング法により約０．３μｍのＭｏＳ2 膜を形成し、窒素
イオンを加速エネルギ９０KeＶ、注入量２×１０17／cm
2 にてイオン注入後、さらに膜厚約１．５μｍまでＭｏ
Ｓ2 膜を形成した。比較材として、イオン注入を行って
いないＭｏＳ2 膜も作製した。
あるいはＴｉ６Ａｌ４Ｖ合金を用い、投入電力２００
Ｗ、アルゴンガス圧力２０mmTorrの条件でのスパッタリ
ング法により約０．３μｍのＭｏＳ2 膜を形成し、窒素
イオンを加速エネルギ９０KeＶ、注入量２×１０17／cm
2 にてイオン注入後、さらに膜厚約１．５μｍまでＭｏ
Ｓ2 膜を形成した。比較材として、イオン注入を行って
いないＭｏＳ2 膜も作製した。
【００１４】以上の方法で作製した試験片を回転させ、
これにＳＵＳ４４０Ｃステンレス鋼製の球圧子を押しつ
けるボール／ディスク型摩擦試験により潤滑特性を評価
した。試験雰囲気は１０-5Ｐａ台の超高真空とし、試験
荷重は５Ｎあるいは１０Ｎとした。
これにＳＵＳ４４０Ｃステンレス鋼製の球圧子を押しつ
けるボール／ディスク型摩擦試験により潤滑特性を評価
した。試験雰囲気は１０-5Ｐａ台の超高真空とし、試験
荷重は５Ｎあるいは１０Ｎとした。
【００１５】摩擦試験では摩擦力の経時変化を計測し、
摩擦力が急増し、摩擦係数が０．１５に到達するまでの
ディスクの総回転数をＭｏＳ2 膜の寿命とした。図１に
摩擦試験結果を示す。図からわかるように、ＳＵＳ４４
０Ｃ、Ｔｉ６Ａｌ４Ｖ合金のいずれを被覆母材とした場
合でも、窒素イオン注入の効果が認められる。
摩擦力が急増し、摩擦係数が０．１５に到達するまでの
ディスクの総回転数をＭｏＳ2 膜の寿命とした。図１に
摩擦試験結果を示す。図からわかるように、ＳＵＳ４４
０Ｃ、Ｔｉ６Ａｌ４Ｖ合金のいずれを被覆母材とした場
合でも、窒素イオン注入の効果が認められる。
【００１６】（例２）被覆母材として、ＳＵＳ４４０Ｃ
ステンレス鋼を用い、投入電力２００Ｗ、アルゴンガス
圧力２０mmTorrの条件でのスパッタリング法により約
０．３μｍのＭｏＳ2 膜を形成し、硫黄イオンを加速エ
ネルギ２００KeＶ、注入量２×１０17／cm2 にてイオン
注入後、さらに膜厚約１．５μｍまでＭｏＳ2 膜を形成
した。以上の方法で作製した試験片を例１に記載の摩擦
試験に供し、潤滑特性を評価した。
ステンレス鋼を用い、投入電力２００Ｗ、アルゴンガス
圧力２０mmTorrの条件でのスパッタリング法により約
０．３μｍのＭｏＳ2 膜を形成し、硫黄イオンを加速エ
ネルギ２００KeＶ、注入量２×１０17／cm2 にてイオン
注入後、さらに膜厚約１．５μｍまでＭｏＳ2 膜を形成
した。以上の方法で作製した試験片を例１に記載の摩擦
試験に供し、潤滑特性を評価した。
【００１７】図２に摩擦試験結果を示すが、試験荷重５
Ｎ，１０Ｎのいずれの場合でも効果が認められる。な
お、図１に示した窒素イオンよりも硫黄イオンの方がよ
り大きな効果が得られる。
Ｎ，１０Ｎのいずれの場合でも効果が認められる。な
お、図１に示した窒素イオンよりも硫黄イオンの方がよ
り大きな効果が得られる。
【００１８】（例３）被覆母材として、反応性イオンプ
レーティング法により約０．５μｍのＴｉＮ膜を形成し
た高速度鋼（ＳＫＨ２）を用い、例１に記載した方法で
約０．３μｍのＭｏＳ2 膜を形成し、摩擦試験を行っ
た。なお、比較材として高速度鋼（ＳＫＨ２）を被覆母
材とし、イオン注入を行っていないＭｏＳ2 膜も作製し
た。
レーティング法により約０．５μｍのＴｉＮ膜を形成し
た高速度鋼（ＳＫＨ２）を用い、例１に記載した方法で
約０．３μｍのＭｏＳ2 膜を形成し、摩擦試験を行っ
た。なお、比較材として高速度鋼（ＳＫＨ２）を被覆母
材とし、イオン注入を行っていないＭｏＳ2 膜も作製し
た。
【００１９】図３に示した摩擦試験結果からわかるよう
に、この例の製品は従来品に比べて、著しい長寿命を発
揮している。また、例１〜３に示したいずれの本発明の
実施例製品も摩擦係数は０．０２程度と非常に低い値で
あった。
に、この例の製品は従来品に比べて、著しい長寿命を発
揮している。また、例１〜３に示したいずれの本発明の
実施例製品も摩擦係数は０．０２程度と非常に低い値で
あった。
【００２０】
【発明の効果】以上、実施例によって詳述したように、
本発明の複合固体潤滑材は従来品に比べて、すぐれた真
空中潤滑特性を示しており、航空宇宙機器や真空装置な
ど巾広い分野へ適用可能な固体潤滑材を提供するもので
ある。
本発明の複合固体潤滑材は従来品に比べて、すぐれた真
空中潤滑特性を示しており、航空宇宙機器や真空装置な
ど巾広い分野へ適用可能な固体潤滑材を提供するもので
ある。
【図１】本発明の一実施例の複合固体潤滑部材の摩擦試
験結果を示す図表。
験結果を示す図表。
【図２】本発明の他の実施例の複合固体潤滑部材の摩擦
試験結果を示す図表。
試験結果を示す図表。
【図３】本発明の更に他の実施例の複合固体潤滑部材の
摩擦試験結果を示す図表。
摩擦試験結果を示す図表。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ１０Ｎ 40:02 50:08 60:00 60:10
Claims (2)
- 【請求項１】 母材表面あるいは母材に被覆したセラミ
ック薄膜の表面にＭｏＳ2 膜を形成してなる固体潤滑材
であって、上記ＭｏＳ2 膜と母材側材料との界面にイオ
ン注入によるミキシング層を有してなることを特徴とす
る複合固体潤滑材。 - 【請求項２】 母材表面あるいは母材に被覆したセラミ
ック薄膜の表面にイオン注入し得る深さ以下の厚さのＭ
ｏＳ2 膜を形成し、該膜にイオン注入を行ってＭｏＳ2
膜と母材側材料との界面にミキシング層を形成すると共
に、更に該ＭｏＳ2 膜外表にＭｏＳ2 膜を積層させてな
ることを特徴とする複合固体潤滑材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6000591A JPH05271675A (ja) | 1991-03-25 | 1991-03-25 | 複合固体潤滑材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6000591A JPH05271675A (ja) | 1991-03-25 | 1991-03-25 | 複合固体潤滑材 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05271675A true JPH05271675A (ja) | 1993-10-19 |
Family
ID=13129545
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP6000591A Withdrawn JPH05271675A (ja) | 1991-03-25 | 1991-03-25 | 複合固体潤滑材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05271675A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP0801144A1 (de) * | 1996-04-12 | 1997-10-15 | Hauzer Holding B.V. | Bauteil mit Verschleissschutzschicht und Verfahren zu dessen Herstellung |
| US7067191B2 (en) * | 1998-04-29 | 2006-06-27 | Unaxis Trading Ag | Method to increase wear resistance of a tool or other machine component |
-
1991
- 1991-03-25 JP JP6000591A patent/JPH05271675A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP0801144A1 (de) * | 1996-04-12 | 1997-10-15 | Hauzer Holding B.V. | Bauteil mit Verschleissschutzschicht und Verfahren zu dessen Herstellung |
| US7067191B2 (en) * | 1998-04-29 | 2006-06-27 | Unaxis Trading Ag | Method to increase wear resistance of a tool or other machine component |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19980514 |