JP3459521B2 - 六角形セグメント及びその接合構造 - Google Patents

六角形セグメント及びその接合構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トンネル状壁体等
の構築に用いられる六角形状のセグメント、及び六角形
セグメントどうしの接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】トンネルを構築する方法の一つに、掘進
とセグメント組立てとを同時に行いながら施工しいく、
いわゆるシードル工法がある。従来、このようなシール
ド工法に用いられるセグメントとして、図8に示す六角
形セグメント10が知られている。
【0003】この六角形セグメント10は、互いに平行
な直線状の側部接合面10a,10bの両端に、傾斜接
合面10c,10dを角状に突き出してそれぞれ連設し
たもので、側面視において円弧状に湾曲しており、側部
接合面10a,10b間と、一方の側部接合面10bと
これに向き合う一方の傾斜接合面10cとの間に、貫通
孔10e,10fがそれぞれ形成され、また他方の傾斜
接合面10dにインサートナット10gが埋設されてい
る。
【0004】上記六角形セグメント10を長さ方向に複
数連結してリング状にするには、斜め方向に隣り合う2
枚の六角形セグメント10,10のそれぞれ1つの傾斜
接合面10c,10dどうしを互いに突き合わせ、一方
の六角形セグメント10の貫通孔10fに接合ボルトを
挿入して他方の六角形セグメント10のインサートナッ
ト10gに螺着することにより六角形セグメント10,
10どうしを接合し、また、リング間の接合は、2枚の
六角形セグメント10,10の側部接合面10a,10
bどうしを互いに突き合わせ、それらの貫通孔10e,
10eに接合ボルトを挿入して互いに螺着することによ
り行っている。なお、トンネル覆工の場合、図8で左が
坑口側であり、右が切羽側である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の六角形セグ
メントの接合構造は、トンネルの外部から中心に向かっ
て加わる土砂の圧力に対して十分な強度を有するが、ト
ンネルが水路の場合、特に被圧水を流す場合、その中心
から外方に向う水圧に対する接合力が弱く、漏水しやす
いという問題点がある。
【0006】本発明の1つの目的は、トンネルの中心か
ら外方に向う圧力に対して強い接合力が得られる六角形
セグメントを提供することである。
【0007】本発明の他の目的は、強固に接合された六
角形セグメントの接合構造を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る六角形セグメントは、互いにほぼ平
行な2つの側部接合面の両端に、2つの傾斜接合面が角
状に突き出してそれぞれ連設された六角形セグメントに
おいて、上記2つの傾斜接合面の角部に、挿通孔を有す
る接合片を上記傾斜接合面の突出し方向に突出して設
け、上記挿通孔に合致する透孔を有し他の六角形セグメ
ントの接合片を固定する受座を一方の側部接合面に設け
るとともに、他の六角形セグメントの接合片の挿通孔に
挿通されて別の六角形セグメントの受座に形成された透
孔に挿入される接合ピンを有する固定座を他方の側部接
合面に設けた構成とした。
【0009】接合片を、高さ方向を六角形セグメントの
厚さ方向に一致させて六角形セグメントの中央部に設け
られた中央プレートの端部とし、固定座を、側部接合面
を形成して設けられた縁プレートに設けた構成とするこ
とが好ましい。また接合ピンを先細りのテーパ状に形成
することが望ましい。
【0010】また、本発明に係る六角形セグメントの接
合構造は、上記の構成とされた六角形セグメントの接合
構造であって、第2の六角形セグメントを、接合片を第
1の六角形セグメントの受座に当接させるとともに1つ
の傾斜接合面を第1の六角形セグメントの1つの傾斜接
合面に突き合わせて設け、第3の六角形セグメントを、
固定座の接合ピンを第2の六角形セグメントの接合片の
挿通孔から第1の六角形セグメントの受座の透孔に挿入
した状態で固定座を上記接合片に当接させ、かつ1つの
側部接合面を第1の六角形セグメントの1つの側部接合
面に突き合わせるとともに、1つの傾斜接合面を第2の
六角形セグメントの1つの傾斜接合面に突き合わせて設
けた構成とした。
【0011】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態を実施例に基づ
き図面を参照して説明する。図1ないし図3は本発明に
係る六角形セグメントの一実施例を示す。この六角形セ
グメント1は、図8に例示した従来の六角形セグメント
10と基本構造が同一で、互いに平行な直線状の側部接
合面1a,1bの両端に、傾斜接合面1c,1dを角状
に突き出してそれぞれ連設したものであり、側面視にお
いて円弧状に湾曲している。
【0012】そして、側部接合面1a,1bの中間、つ
まり鉄筋コンクリート版2の中央には、鋼等の金属製の
中央プレート3が埋設され、また両側部には鋼等の金属
製の縁プレート4,5が設けられている。
【0013】中央プレート3は、その厚さの中心を六角
形セグメント1の中心に一致させた状態でその高さ方向
を六角形セグメント1の厚さ方向に一致させるととも
に、両端3aを傾斜接合面1c,1dの角部から傾斜接
合面1c,1dの突出し方向に突出させて設けられてい
る。中央プレート3の両端3aは接合片とされ、複数
(図の実施例では4個)の挿通孔3bを有する。
【0014】また、縁プレート4,5は、その外面で側
部接合面1a,1bを形成して設けられている。側部接
合面1aを形成した一方の縁プレート4の両端部には固
定座4aが形成されている。固定座4aは他の六角形セ
グメント1の接合片3aが嵌め付けられる凹所とされて
おり、接合片3aの挿通孔3bに挿通される接合ピン4
bを挿通孔3bと同数、同一位置に有する。
【0015】側部接合面1bを形成した他方の縁プレー
ト5の両端部には受座5aが形成されている。受座5a
は他の六角形セグメント1の接合片3aが嵌め付けられ
る凹所とされており、接合片3aの挿通孔3bに挿通さ
れた接合ピン4bを挿入させる透孔5bを接合ピン4b
及び挿通孔3bと同数、同一位置に有する。
【0016】固定座4aと受座5aの深さの合計値は接
合片3aの厚さとほぼ同一(厳密には接合片3aの厚さ
よりも僅かに大きい。)とされ、2枚の六角形セグメン
ト1,1の固定座4aと受座5aの間に他の六角形セグ
メント1の接合片3aをゆるみなく挟み込むことができ
るようになっている。
【0017】中央プレート3と縁プレート4,5にはジ
ベル筋が溶接され、コンクリート版2との結合を強化し
ている。中央プレート3にはH型鋼やI型鋼を、そのウ
ェブの高さ方向にコンクリート版2の厚さ方向に一致さ
せて用いることができる。この場合、接合片3aは、フ
ランジを取り除いたウェブとされる。また縁プレート
4,5には溝型鋼を用いることができる。この時は、フ
ランジをコンクリート版2に埋め込むようにして溝型鋼
をコンクリート版2に固定する。中央プレート3と縁プ
レート4,5とは六角形セグメント1の強度を十分に高
めている。
【0018】図2と図3では、中央プレート3と縁プレ
ート4,5の高さがコンクリート版2の厚さと同一とな
っているが、図4に示すように、中央プレート3と縁プ
レート縁プレート4,5の1以上の高さをコンクリート
版2の厚さよりも小さくすることができる。また、接合
ピン4bは、図1と図5のように、面取りした先端を除
くほぼ全長を同一径としたストレート形状であってもよ
いが、図6に示すように、先細りのテーパ形状とするこ
とが好ましい。接合ピン4bをテーパ状とした場合は、
挿通孔3bと挿入孔5bも図6のように接合ピン4bの
形状に合わせてテーパ状とすることが好ましい。接合ピ
ン4bは、通常、溶接等によって固定座4aに一体に取
り付けるが、固定座4aに孔を穿ちこれに挿入して取り
付けてもよい。
【0019】六角形セグメント1には、図8の従来の六
角形セグメント10の貫通孔10fとインサートナット
10gに相当する貫通孔1fとインサートナット1gが
設けられ、また必要があれば、六角形セグメント10の
貫通孔10eに相当する貫通孔が設けられる。六角形セ
グメント1の外周に溝を1以上設け、該溝に止水パッキ
ンを嵌め込んで止水性を高めることができる。
【0020】図5は、上記の構成とされた3枚の六角形
セグメント1の接合構造の一例を示す。すなわち、図5
において上が坑口側、下が切羽側であり、まず、図5
中、右の第2の六角形セグメント1(B)を、接合片3
aを左上の第1の六角形セグメント1(A)の受座5a
に当接させるとともに1つの傾斜接合面1cを第1の六
角形セグメント1(A)の1つの傾斜接合面1dに突き
合わせて設け、次いで左下の第3の六角形セグメント1
(C)を、固定座4aの接合ピン4bを第2の六角形セ
グメント1(B)の接合片3aの挿通孔3bから第1の
六角形セグメント1(A)の受座5aの透孔5bに挿入
した状態で固定座4aを接合片3aに当接させ、かつ1
つの側部接合面1aを第1の六角形セグメント1(A)
の1つの側部接合面1bに突き合わせるとともに、1つ
の傾斜接合面1cを第2の六角形セグメント1(B)の
1つの傾斜接合面1dに突き合わせて設ける。
【0021】上記操作の適当な時機に、六角形セグメン
ト1(B)の貫通孔1f(図1)に接合ボルトを挿し込
んで六角形セグメント1(A)のインサートナット1g
に螺着し、同様に六角形セグメント1(C)の貫通孔1
fに接合ボルトを挿し込んで六角形セグメント1(A)
のインサートナット1gに螺着する。また、六角形セグ
メント1に図8の貫通孔10eに相当する貫通孔が設け
られている場合には、六角形セグメント1(C)の貫通
孔に接合ボルトを挿し込んで、六角形セグメント1
(A)の貫通孔に挿通された接合ボルトに従来同様に螺
着する。接合ボルトによる六角形セグメント1,1どう
しの接合は、場合によっては省略することができる。六
角形セグメント1(A),1(B),1(C)のトンネ
ル覆工順序は、1(A)、1(B)、1(C)の順であ
り、その覆工状態を図7に示す。
【0022】接合ピン4bをテーパ状にした図6の場合
も接合操作は上記と同じであるが、テーパ状接合ピン4
bのセグメント引寄せ作用により、六角形セグメントど
うしの接合がより緊密になる。
【0023】本発明の六角形セグメントの接合構造は、
非常に強い接合強度を得ることができるので、トンネル
が水路で各六角形セグメント1にトンネルの中心から外
方に向う水圧がかかることがあっても、これに十分に耐
え、漏水を防止することができる。
【0024】本発明は上記の実施例に限られるものでは
なく、例えば、下記のように変更することもできる。
【0025】接合片3aと固定座4a及び受座5aの2
以上が露出しているような場合においてはそれらの溶接
を併用することができる。固定座4aの深さを大きくし
て受座5aを平らにしたり、逆に受座5aの深さを大き
くして固定座4aを平らにすることも可能である。この
ようにした場合は、中央プレート3の一側の面が六角形
セグメント1の中央位置とされる。
【0026】六角形セグメント1は、通常、プレキャス
トコンクリート体とされるが、主要部の材質はコンクリ
ートに限らず、他の材質、例えば鋼板等であってもよ
い。
【0027】図の実施例の六角形セグメントは、正六角
形を互いに向き合う2つの角部の突出し方向に長く伸ば
した形状となっているが、基本的な形状が六角形であれ
ば、上記以外の形状、例えば側部接合面1a,1bが正
確に平行でないような六角形であってもよい。また平版
状で円弧状に湾曲していなくてもよい。したがって本発
明のゼグメントはトンネル覆工以外にも、擁壁ブロック
や床版などとして使用可能である。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る六角
形セグメントは、互いにほぼ平行な2つの側部接合面の
両端に、2つの傾斜接合面が角状に突き出してそれぞれ
連設された六角形セグメントにおいて、上記2つの傾斜
接合面の角部に、挿通孔を有する接合片が上記傾斜接合
面の突出し方向に突出して設けられ、上記挿通孔に合致
する透孔を有し他の六角形セグメントの接合片を固定す
る受座が一方の側部接合面に設けられるとともに、他の
六角形セグメントの接合片の挿通孔に挿通されて別の六
角形セグメントの受座に形成された透孔に挿入される接
合ピンを有する固定座が他方の側部接合面に設けられた
構成とされているので、強い接合が得られ、したがって
水路とされるトンネルの覆工に利用することができる。
【0029】接合片を、高さ方向を六角形セグメントの
厚さ方向に一致させて六角形セグメントの中央部に設け
られた中央プレートの端部とし、固定座を、側部接合面
を形成して設けられた縁プレートに設けた構成とする
と、六角形セグメント自体の強度と接合強度が高められ
る。また、接合ピンを先細りのテーパ状に形成した場合
は、接合が緊密になる。
【0030】また、本発明に係る六角形セグメントの接
合構造は、上記の構成とされた六角形セグメントの接合
構造であって、第2の六角形セグメントが、接合片を第
1の六角形セグメントの受座に当接させるとともに1つ
の傾斜接合面を第1の六角形セグメントの1つの傾斜接
合面に突き合わせて設けられ、第3の六角形セグメント
が、固定座の接合ピンを第2の六角形セグメントの接合
片の挿通孔から第1の六角形セグメントの受座の透孔に
挿入した状態で固定座を上記接合片に当接させ、かつ1
つの側部接合面を第1の六角形セグメントの1つの側部
接合面に突き合わせるとともに、1つの傾斜接合面を第
2の六角形セグメントの1つの傾斜接合面に突き合わせ
て設けられた構成とされているので、水路特に被圧水を
流す水路とされたトンネルの水圧に耐えて漏水を防止す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る六角形セグメントの一実施例を
示す正面図である。
【図2】 図1の六角形セグメントの側面図である。
【図3】 図1の(III−III)断面図である。
【図4】 六角形セグメントの他の実施例の断面図であ
る。
【図5】 本発明に係る六角形セグメントの接合構造の
一実施例を示す断面図である。
【図6】 他の実施例の接合準備状態を示す断面図であ
る。
【図7】 本発明の六角形セグメントによるトンネル覆
工状態を示す図である。
【図8】 従来の六角形セグメントの接合構造の説明図
である。
【符号の説明】
1,1(A),1(B),1(C) 六角形セグメント 1a,1b 側部接合面 1c,1d 傾斜接合面 1f 貫通孔 1g インサートナット 2 コンクリート版 3 中央プレート 3a 接合片 3b 挿通孔 4,5 縁プレート 4a 固定座 4b 接合ピン 5a 受座 5b 透孔
フロントページの続き (72)発明者 染谷 洋樹 東京都中央区八重洲2丁目6番21号 石 川島建材工業株式会社内 (72)発明者 橋口 彰夫 東京都中央区八重洲2丁目6番21号 石 川島建材工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−4191(JP,A) 特開 平9−158691(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21D 11/08 E21D 11/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いにほぼ平行な2つの側部接合面の両
    端に、2つの傾斜接合面が角状に突き出してそれぞれ連
    設された六角形セグメントにおいて、上記2つの傾斜接
    合面の角部に、挿通孔を有する接合片が上記傾斜接合面
    の突出し方向に突出して設けられ、上記挿通孔に合致す
    る透孔を有し他の六角形セグメントの接合片を固定する
    受座が一方の側部接合面に設けられるとともに、他の六
    角形セグメントの接合片の挿通孔に挿通されて別の六角
    形セグメントの受座に形成された透孔に挿入される接合
    ピンを有する固定座が他方の側部接合面に設けられたこ
    とを特徴とする六角形セグメント。
  2. 【請求項2】 接合片は、高さ方向を六角形セグメント
    の厚さ方向に一致させて六角形セグメントの中央部に設
    けられた中央プレートの端部とされ、固定座は、側部接
    合面を形成して設けられた縁プレートに設けられたこと
    を特徴とする請求項1記載の六角形セグメント。
  3. 【請求項3】 接合ピンが先細りのテーパ状に形成され
    たことを特徴とする請求項1又は2記載の六角形セグメ
    ント。
  4. 【請求項4】 請求項1,2,3のいずれかに記載の六
    角形セグメントの接合構造であって、第2の六角形セグ
    メントが、接合片を第1の六角形セグメントの受座に当
    接させるとともに1つの傾斜接合面を第1の六角形セグ
    メントの1つの傾斜接合面に突き合わせて設けられ、第
    3の六角形セグメントが、固定座の接合ピンを第2の六
    角形セグメントの接合片の挿通孔から第1の六角形セグ
    メントの受座の透孔に挿入した状態で固定座を上記接合
    片に当接させ、かつ1つの側部接合面を第1の六角形セ
    グメントの1つの側部接合面に突き合わせるとともに、
    1つの傾斜接合面を第2の六角形セグメントの1つの傾
    斜接合面に突き合わせて設けられたことを特徴とする六
    角形セグメントの接合構造。
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