JP3458253B2 - 屋根瓦の固定構造 - Google Patents
屋根瓦の固定構造Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、平板状の屋根瓦を葺
いた屋根瓦の固定構造に関する。 【0002】 【従来の技術】この種の従来技術としては、建物の野地
板上の瓦桟を介して単に平坦で略四角形状となった平瓦
を所謂一文字葺き、即ち、桁行き方向に隣接して列をな
す平瓦を軒先から順次に棟側に向かって部分重ねする屋
根葺きが存するが、一般的には、この平瓦の固定の成さ
れ方としては、瓦釘を棟側に位置する上端の釘孔から挿
通して瓦桟に打ち込んで固定するようにしている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術によると、平瓦の上端に釘孔を穿設し、この釘
孔に瓦釘を挿通させて瓦桟に打ち込み、平瓦の上端と瓦
桟との双方を固定するものであるので、平瓦の桁行き方
向の両側端は固定状態になく、位置擦れや剥がれ落ち等
が生じ易い不安定な屋根葺きであるという問題点があ
る。この問題点については、平瓦の上下端及び両側端を
瓦釘で均等に固定すれば回避することが可能となるが、
この場合には、平瓦の上端から表出する釘頭は、段重ね
する上段の他の平瓦によって隠れるが、平瓦の下端及び
両側端から表出する釘頭は、隠れることなく外部に露出
する状態となるので、外観上での見栄えが悪くなるとい
う問題点が生じると共に、露出した釘頭の隙間から雨水
等が野地板上に流れ落ちて瓦桟等の腐食を速めるという
問題点も生じることになる。そのため、上記したよう
に、従来においては、瓦釘で固定するのは平瓦の上端に
限られているのが現状となっている。 【0004】この発明は、上記問題点を解決するため、
強固な葺き付けを可能にして屋根葺きの安定化を図り、
葺き付け後の屋根瓦の外観の見栄えを良好なものとする
屋根瓦の固定構造を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】この発明は上記目的を達
成するために、その手段として、建物屋根の野地板に配
した瓦桟上に、軒先側の下端にアンダーラップを有する
と共に、桁行き方向の一側端に係止片を有し、且つ、棟
側の上端と前記係止片の軒先側を除く周縁に流下止めの
水切りを有する平板状の屋根瓦を、上乗せされる平板瓦
のアンダーラップで部分的に下敷きする軒先側の平板瓦
を押えるようにして一文字葺きした屋根構造において、
前記屋根瓦の係止片上に桁行き方向に隣接する他の屋根
瓦の他側端が重合され、前記瓦桟上の屋根瓦の棟側に位
置する上端に穿設された釘孔に軸回転止め加工を施した
瓦釘が打ち込まれると共に、他の釘穴には、周面に周溝
が形成された直線状の杭部と、該杭部の一端に設けた一
方側に張り出す係止頭とを有する連結釘の係止頭が前記
屋根瓦の軒棟方向に部分的に段重ねされる他の屋根瓦の
係止片の水切りを係止するように打ち込まれることによ
って、野地板上に平板上の屋根瓦を固定することにあ
る。 【0006】 【作用】上記手段によって、建物の野地板上に瓦桟を介
して葺き付けられる平板状の屋根瓦は、その棟側に位置
する上端が瓦桟上に連結釘で固定されると共に、この連
結釘の係止頭が軒棟方向に部分的に段重ねされる他の屋
根瓦の係止片の水切りに係止されて強固な固定状態にあ
るが、それに加えて、部分的に下敷きされる平板状の屋
根瓦は、上乗せされる他の屋根瓦のアンダーラップによ
って押圧された状態となっている。このような屋根瓦の
固定構造においては、地震等によって屋根に揺れを生じ
させた場合や、強い雨力や風力等によって屋根瓦に位置
擦れや剥がれ落ち等を生じさせる力が加わった場合に
は、屋根瓦を固定する連結釘に脱落させる力が作用する
が、連結釘の脱落方向への移動は、連結釘の杭部に形成
した周溝部分が瓦桟内に確固に係止されているので阻止
され、その結果、連結釘の係止頭が屋根瓦の係止片の水
切りへの係止状態を維持することになる。 【0007】また、屋根瓦の棟側の上端及び桁行き方向
の一側端に設けた係止片の水切りは、連結釘で強固に固
定されているが、屋根瓦の葺き付け後は、これら連結釘
の釘頭は桁行き方向に隣接する他の屋根瓦や、上乗せさ
れる他の屋根瓦によって覆い隠されて外部に露出しない
状態となり、外観上では非常に見栄えが良い。 【0008】更に、屋根瓦上に雨水等が降水し、又は、
積雪した場合には、雨水等が屋根瓦の勾配に沿って流れ
落ちるが、桁行き方向に隣接する屋根瓦の相互間に形成
される隙間に雨水等が流入した場合には、屋根瓦の棟側
の上端及び桁行き方向の一側端に設けた係止片の軒先側
を除く周縁に流下止めの水切りを設けているので、下敷
きされる他の屋根瓦上に流下した雨水等は、屋根瓦の上
端の水切りを越えて野地板上に流れ落ちることはない。
また、雨水等が屋根瓦の桁行き方向の一側端側へ流れた
場合には、屋根瓦の係止片上に流下することになるが、
その係止片上に流下した雨水等は周縁の水切りを越えて
野地板上に流れ落ちることなく、水切りを設けていない
係止片の開口から下敷きされる他の屋根瓦上に流れ落ち
ることになる。一方、雨水等が屋根瓦の桁行き方向の他
側端側へ流れた場合には、隣接する他の屋根瓦の係止片
上へと流下することになるが、この場合も同様に、他の
屋根瓦の係止片上に流下した雨水等は周縁の水切りを越
えて野地板上に流れ落ちることなく、水切りを設けてい
ない係止片の開口から下敷きされる他の屋根瓦上に流れ
落ちることになる。 【0009】 【実施例】以下、この発明に係る一実施例について、図
に基づいて説明する。 【0010】この発明に係る屋根瓦1の固定構造として
は、例えば、図1及び図2に示すように、建物の野地板
2上に防水材3が敷かれ、この防水材3上に瓦桟4を配
した上で、折曲されて一方側に張り出した係止頭5を有
し、且つ、周面に複数条の周溝6が形成された杭部7を
有する略7形形状の連結釘8と、必要に応じて使用する
瓦釘9とを用いて、軒先側の下端にアンダーラップ10
を有すると共に、桁行き方向の一側端に係止片11を有
する平板状の屋根瓦1を一文字葺きすることに係るもの
である。 【0011】ここで使用する連結釘8は、図3に詳細す
るように、ステンレス等の金属棒材の一端付近を矩折り
して一方側に張り出す係止頭5と直線状の杭部7とを一
体的に成形したものであるが、その係止頭5の先端には
斜め下方に折曲された折曲部5aが設けられている。そ
して、杭部7には、上記したように、脱落防止用の多数
条の周溝6が形成されているが、この周溝6は、例え
ば、図4に詳細するように、各周溝6を構成する傾斜部
6aと引っ掛け部6bとから成り立っている。具体的に
は、杭部7の軸心に対する直交線pを基準にすると、傾
斜部6aのなす角度が比較的に大きくなされているのに
対して、引っ掛け部6bのなす角度は極めて小さく又は
略一致している。このようにするのは、瓦桟4への打ち
込み方向に対して摩擦抵抗を小さくすると共に、瓦桟4
から脱落する方向への摩擦抵抗を大きくするためであ
る。 【0012】そして、上記の平板状の屋根瓦1として
は、例えば、図5に詳細するように、略四角形状で平板
状となった屋根瓦1の桁行き方向の一側端に略長方形の
係止片11を設けると共に、軒先側の下端にアンダーラ
ップ10を設け、そして、棟側に位置する上端と、係止
片11の軒先側を除く周縁とにそれぞれ若干に立ち上が
った流下止めの水切り12を設けたものであって、その
上端の水切り12付近には、連結釘8及び瓦釘9を挿通
する複数の釘孔1a、1bが穿設されている。なお、屋
根瓦1の棟側の上端の水切り12と、桁行き方向の一側
端に設けた係止片11の軒先を除く周縁の水切り12と
は、下記に詳細するように、屋根瓦1の表面上に流れる
雨水等や、屋根瓦1の係止片11の表面上に流れる雨水
等が、それら水切り12を越えて野地板上に流下するの
を防止するものである。また、屋根瓦1のアンダーラッ
プ10は、部分的に下敷きされる他の屋根瓦1を押圧し
て剥離等を防止するためのものである。 【0013】次に、具体的な固定構造を述べると、平板
状の屋根瓦1の係止片11上には桁行き方向に隣接する
他の屋根瓦1の他側端が重合され、瓦桟4と屋根瓦1の
棟側の上端とが、その上端の釘孔1bに打ち込まれる軸
回転止め加工等を施したステンレス等からなる瓦釘9で
固定されると共に、その上端の他の釘孔1aには連結釘
8が打ち込まれている。この連結釘8の打ち込みは、瓦
桟4に打ち込んだ際に杭部7の周溝6の引っ掛け部6b
の摩擦抵抗力を小さくしているので容易となっている。
そして、この連結釘8の折曲部5aを有する係止頭5が
前記の屋根瓦1に上乗せされる他の屋根瓦1の係止片1
1の水切り12に係止されており、屋根瓦1が前記瓦桟
4に部分的な段重ね状態で固定されている。また更に
は、それに加えて、下敷きされる屋根瓦1は、上乗せさ
れる他の屋根瓦1のアンダーラップ10によって押圧さ
れた状態となっている。 【0014】このような屋根瓦1の固定構造において
は、地震等の天災によって建物に強い揺れを生じさせた
場合や、強い風力や雨力が屋根瓦1に作用した場合に
は、屋根瓦1に位置擦れや剥がれ落ち等を起こさせる事
態が生じ得るが、屋根瓦1は棟側の上端とその一側端に
設けた係止片11とが連結釘8及び瓦釘9で強固に固定
されているため、そのような事態を生じさせないか、又
は、最小限度に抑えることが可能となる。特に、連結釘
8の杭部7が瓦桟4内から脱落する方向へ移動させられ
る状態となったとき、その杭部7の周溝6を構成する引
っ掛け部6bが大きい摩擦抵抗力を発揮し、連結釘8自
身は脱落することなく屋根瓦1の安定状態を維持させ
る。瓦釘9は、軸回転止め加工が施されているので、瓦
釘9自体の軸回転は抑制され、その結果、脱落等が防止
されている。 【0015】また、屋根瓦1の棟側の上端及び一側端に
設けた係止片11の水切り12は、連結釘8で強固に固
定されているが、屋根瓦1の葺き付け後は、これら連結
釘8の釘頭は桁行き方向に隣接する他の屋根瓦1や上乗
せされる他の屋根瓦1によって覆い隠されて外部に露出
しない状態となり、外観上では非常に見栄えの良いもの
となっている。 【0016】更に、屋根瓦1上に雨水等が降水し、又
は、積雪した場合には、雨水等が屋根瓦1の勾配に沿っ
て流れ落ちるが、桁行き方向に隣接する他の屋根瓦1の
相互間に形成される隙間に水等が流入した場合には、屋
根瓦1の棟側の上端及び桁行き方向の一側端に設けた係
止片11の軒先側を除く周縁に流下止めの水切り12を
設けているので、下敷きされる他の屋根瓦1上に流下し
た水等は、屋根瓦1の上端の水切り12を越えて野地板
2上に流れ落ちることはない。また、雨水等が屋根瓦1
の桁行き方向の一側端側へ流れた場合には、屋根瓦1の
係止片11上に流下することになるが、その係止片11
上に流下した雨水等は水切り12を越えて野地板2上に
流れ落ちることなく、水切り12を設けていない係止片
11の開口、即ち、軒先側から下敷きされる他の屋根瓦
1上に流れ落ちることになる。一方、雨水等が屋根瓦1
の桁行き方向の他側端側へ流れた場合には、桁行き方向
に隣接する他の屋根瓦1の係止片11上へと流下するこ
とになるが、この場合も同様に、他の屋根瓦1の係止片
11上に流下した雨水等は水切り12を越えて野地板2
上に流れ落ちることなく、水切り12を設けていない係
止片11の開口から下敷きされる他の屋根瓦1上に流れ
落ちることになる。 【0017】 【発明の効果】この発明に係る屋根瓦の固定構造におい
ては、屋根瓦の棟側の上端のみならず、桁行き方向の一
側端をも固定するものであるので、屋根瓦の固定強度の
増大化を図ることができ、位置擦れや剥がれ落ち等の心
配のない安定した屋根葺きを行える。そして、葺き付け
後の平板状の屋根瓦の上端から表出する各釘頭は、段重
ねする上乗せの他の平板状の屋根瓦によって隠れると共
に、平板状の屋根瓦の係止片から表出する連結釘の釘頭
は桁行き方向に隣接する他の平板状の屋根瓦によって隠
れるので、外観上での見栄えがより一層良好なものとな
る。また、屋根瓦の釘孔と連結釘との間から雨水等を導
いて野地板上への流下を防止でき、瓦桟等の早期な腐食
を防止することができる。更に、屋根瓦の上端及び係止
片の軒先側を除く周縁にはそれぞれ流下止めの水切りを
設けているので、屋根瓦の上端及び係止片の水切りを越
えて野地板上に雨水等が流下することなく、平板状の屋
根瓦上での雨水等の流れ落ちを一定方向に方向付けるこ
とができるので、この水切りによって瓦桟等の早期な腐
食の防止がより一層図られている。又、下敷きされる屋
根瓦は、上乗せされる他の屋根瓦のアンダーラップによ
って押圧されて剥離等を防止している。更に又、屋根瓦
は前記連結釘に加えて、軸回転止め加工が施された瓦釘
で固定されているので、瓦釘自体の軸回転は抑制され、
その結果、脱落等が防止される。
いた屋根瓦の固定構造に関する。 【0002】 【従来の技術】この種の従来技術としては、建物の野地
板上の瓦桟を介して単に平坦で略四角形状となった平瓦
を所謂一文字葺き、即ち、桁行き方向に隣接して列をな
す平瓦を軒先から順次に棟側に向かって部分重ねする屋
根葺きが存するが、一般的には、この平瓦の固定の成さ
れ方としては、瓦釘を棟側に位置する上端の釘孔から挿
通して瓦桟に打ち込んで固定するようにしている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術によると、平瓦の上端に釘孔を穿設し、この釘
孔に瓦釘を挿通させて瓦桟に打ち込み、平瓦の上端と瓦
桟との双方を固定するものであるので、平瓦の桁行き方
向の両側端は固定状態になく、位置擦れや剥がれ落ち等
が生じ易い不安定な屋根葺きであるという問題点があ
る。この問題点については、平瓦の上下端及び両側端を
瓦釘で均等に固定すれば回避することが可能となるが、
この場合には、平瓦の上端から表出する釘頭は、段重ね
する上段の他の平瓦によって隠れるが、平瓦の下端及び
両側端から表出する釘頭は、隠れることなく外部に露出
する状態となるので、外観上での見栄えが悪くなるとい
う問題点が生じると共に、露出した釘頭の隙間から雨水
等が野地板上に流れ落ちて瓦桟等の腐食を速めるという
問題点も生じることになる。そのため、上記したよう
に、従来においては、瓦釘で固定するのは平瓦の上端に
限られているのが現状となっている。 【0004】この発明は、上記問題点を解決するため、
強固な葺き付けを可能にして屋根葺きの安定化を図り、
葺き付け後の屋根瓦の外観の見栄えを良好なものとする
屋根瓦の固定構造を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】この発明は上記目的を達
成するために、その手段として、建物屋根の野地板に配
した瓦桟上に、軒先側の下端にアンダーラップを有する
と共に、桁行き方向の一側端に係止片を有し、且つ、棟
側の上端と前記係止片の軒先側を除く周縁に流下止めの
水切りを有する平板状の屋根瓦を、上乗せされる平板瓦
のアンダーラップで部分的に下敷きする軒先側の平板瓦
を押えるようにして一文字葺きした屋根構造において、
前記屋根瓦の係止片上に桁行き方向に隣接する他の屋根
瓦の他側端が重合され、前記瓦桟上の屋根瓦の棟側に位
置する上端に穿設された釘孔に軸回転止め加工を施した
瓦釘が打ち込まれると共に、他の釘穴には、周面に周溝
が形成された直線状の杭部と、該杭部の一端に設けた一
方側に張り出す係止頭とを有する連結釘の係止頭が前記
屋根瓦の軒棟方向に部分的に段重ねされる他の屋根瓦の
係止片の水切りを係止するように打ち込まれることによ
って、野地板上に平板上の屋根瓦を固定することにあ
る。 【0006】 【作用】上記手段によって、建物の野地板上に瓦桟を介
して葺き付けられる平板状の屋根瓦は、その棟側に位置
する上端が瓦桟上に連結釘で固定されると共に、この連
結釘の係止頭が軒棟方向に部分的に段重ねされる他の屋
根瓦の係止片の水切りに係止されて強固な固定状態にあ
るが、それに加えて、部分的に下敷きされる平板状の屋
根瓦は、上乗せされる他の屋根瓦のアンダーラップによ
って押圧された状態となっている。このような屋根瓦の
固定構造においては、地震等によって屋根に揺れを生じ
させた場合や、強い雨力や風力等によって屋根瓦に位置
擦れや剥がれ落ち等を生じさせる力が加わった場合に
は、屋根瓦を固定する連結釘に脱落させる力が作用する
が、連結釘の脱落方向への移動は、連結釘の杭部に形成
した周溝部分が瓦桟内に確固に係止されているので阻止
され、その結果、連結釘の係止頭が屋根瓦の係止片の水
切りへの係止状態を維持することになる。 【0007】また、屋根瓦の棟側の上端及び桁行き方向
の一側端に設けた係止片の水切りは、連結釘で強固に固
定されているが、屋根瓦の葺き付け後は、これら連結釘
の釘頭は桁行き方向に隣接する他の屋根瓦や、上乗せさ
れる他の屋根瓦によって覆い隠されて外部に露出しない
状態となり、外観上では非常に見栄えが良い。 【0008】更に、屋根瓦上に雨水等が降水し、又は、
積雪した場合には、雨水等が屋根瓦の勾配に沿って流れ
落ちるが、桁行き方向に隣接する屋根瓦の相互間に形成
される隙間に雨水等が流入した場合には、屋根瓦の棟側
の上端及び桁行き方向の一側端に設けた係止片の軒先側
を除く周縁に流下止めの水切りを設けているので、下敷
きされる他の屋根瓦上に流下した雨水等は、屋根瓦の上
端の水切りを越えて野地板上に流れ落ちることはない。
また、雨水等が屋根瓦の桁行き方向の一側端側へ流れた
場合には、屋根瓦の係止片上に流下することになるが、
その係止片上に流下した雨水等は周縁の水切りを越えて
野地板上に流れ落ちることなく、水切りを設けていない
係止片の開口から下敷きされる他の屋根瓦上に流れ落ち
ることになる。一方、雨水等が屋根瓦の桁行き方向の他
側端側へ流れた場合には、隣接する他の屋根瓦の係止片
上へと流下することになるが、この場合も同様に、他の
屋根瓦の係止片上に流下した雨水等は周縁の水切りを越
えて野地板上に流れ落ちることなく、水切りを設けてい
ない係止片の開口から下敷きされる他の屋根瓦上に流れ
落ちることになる。 【0009】 【実施例】以下、この発明に係る一実施例について、図
に基づいて説明する。 【0010】この発明に係る屋根瓦1の固定構造として
は、例えば、図1及び図2に示すように、建物の野地板
2上に防水材3が敷かれ、この防水材3上に瓦桟4を配
した上で、折曲されて一方側に張り出した係止頭5を有
し、且つ、周面に複数条の周溝6が形成された杭部7を
有する略7形形状の連結釘8と、必要に応じて使用する
瓦釘9とを用いて、軒先側の下端にアンダーラップ10
を有すると共に、桁行き方向の一側端に係止片11を有
する平板状の屋根瓦1を一文字葺きすることに係るもの
である。 【0011】ここで使用する連結釘8は、図3に詳細す
るように、ステンレス等の金属棒材の一端付近を矩折り
して一方側に張り出す係止頭5と直線状の杭部7とを一
体的に成形したものであるが、その係止頭5の先端には
斜め下方に折曲された折曲部5aが設けられている。そ
して、杭部7には、上記したように、脱落防止用の多数
条の周溝6が形成されているが、この周溝6は、例え
ば、図4に詳細するように、各周溝6を構成する傾斜部
6aと引っ掛け部6bとから成り立っている。具体的に
は、杭部7の軸心に対する直交線pを基準にすると、傾
斜部6aのなす角度が比較的に大きくなされているのに
対して、引っ掛け部6bのなす角度は極めて小さく又は
略一致している。このようにするのは、瓦桟4への打ち
込み方向に対して摩擦抵抗を小さくすると共に、瓦桟4
から脱落する方向への摩擦抵抗を大きくするためであ
る。 【0012】そして、上記の平板状の屋根瓦1として
は、例えば、図5に詳細するように、略四角形状で平板
状となった屋根瓦1の桁行き方向の一側端に略長方形の
係止片11を設けると共に、軒先側の下端にアンダーラ
ップ10を設け、そして、棟側に位置する上端と、係止
片11の軒先側を除く周縁とにそれぞれ若干に立ち上が
った流下止めの水切り12を設けたものであって、その
上端の水切り12付近には、連結釘8及び瓦釘9を挿通
する複数の釘孔1a、1bが穿設されている。なお、屋
根瓦1の棟側の上端の水切り12と、桁行き方向の一側
端に設けた係止片11の軒先を除く周縁の水切り12と
は、下記に詳細するように、屋根瓦1の表面上に流れる
雨水等や、屋根瓦1の係止片11の表面上に流れる雨水
等が、それら水切り12を越えて野地板上に流下するの
を防止するものである。また、屋根瓦1のアンダーラッ
プ10は、部分的に下敷きされる他の屋根瓦1を押圧し
て剥離等を防止するためのものである。 【0013】次に、具体的な固定構造を述べると、平板
状の屋根瓦1の係止片11上には桁行き方向に隣接する
他の屋根瓦1の他側端が重合され、瓦桟4と屋根瓦1の
棟側の上端とが、その上端の釘孔1bに打ち込まれる軸
回転止め加工等を施したステンレス等からなる瓦釘9で
固定されると共に、その上端の他の釘孔1aには連結釘
8が打ち込まれている。この連結釘8の打ち込みは、瓦
桟4に打ち込んだ際に杭部7の周溝6の引っ掛け部6b
の摩擦抵抗力を小さくしているので容易となっている。
そして、この連結釘8の折曲部5aを有する係止頭5が
前記の屋根瓦1に上乗せされる他の屋根瓦1の係止片1
1の水切り12に係止されており、屋根瓦1が前記瓦桟
4に部分的な段重ね状態で固定されている。また更に
は、それに加えて、下敷きされる屋根瓦1は、上乗せさ
れる他の屋根瓦1のアンダーラップ10によって押圧さ
れた状態となっている。 【0014】このような屋根瓦1の固定構造において
は、地震等の天災によって建物に強い揺れを生じさせた
場合や、強い風力や雨力が屋根瓦1に作用した場合に
は、屋根瓦1に位置擦れや剥がれ落ち等を起こさせる事
態が生じ得るが、屋根瓦1は棟側の上端とその一側端に
設けた係止片11とが連結釘8及び瓦釘9で強固に固定
されているため、そのような事態を生じさせないか、又
は、最小限度に抑えることが可能となる。特に、連結釘
8の杭部7が瓦桟4内から脱落する方向へ移動させられ
る状態となったとき、その杭部7の周溝6を構成する引
っ掛け部6bが大きい摩擦抵抗力を発揮し、連結釘8自
身は脱落することなく屋根瓦1の安定状態を維持させ
る。瓦釘9は、軸回転止め加工が施されているので、瓦
釘9自体の軸回転は抑制され、その結果、脱落等が防止
されている。 【0015】また、屋根瓦1の棟側の上端及び一側端に
設けた係止片11の水切り12は、連結釘8で強固に固
定されているが、屋根瓦1の葺き付け後は、これら連結
釘8の釘頭は桁行き方向に隣接する他の屋根瓦1や上乗
せされる他の屋根瓦1によって覆い隠されて外部に露出
しない状態となり、外観上では非常に見栄えの良いもの
となっている。 【0016】更に、屋根瓦1上に雨水等が降水し、又
は、積雪した場合には、雨水等が屋根瓦1の勾配に沿っ
て流れ落ちるが、桁行き方向に隣接する他の屋根瓦1の
相互間に形成される隙間に水等が流入した場合には、屋
根瓦1の棟側の上端及び桁行き方向の一側端に設けた係
止片11の軒先側を除く周縁に流下止めの水切り12を
設けているので、下敷きされる他の屋根瓦1上に流下し
た水等は、屋根瓦1の上端の水切り12を越えて野地板
2上に流れ落ちることはない。また、雨水等が屋根瓦1
の桁行き方向の一側端側へ流れた場合には、屋根瓦1の
係止片11上に流下することになるが、その係止片11
上に流下した雨水等は水切り12を越えて野地板2上に
流れ落ちることなく、水切り12を設けていない係止片
11の開口、即ち、軒先側から下敷きされる他の屋根瓦
1上に流れ落ちることになる。一方、雨水等が屋根瓦1
の桁行き方向の他側端側へ流れた場合には、桁行き方向
に隣接する他の屋根瓦1の係止片11上へと流下するこ
とになるが、この場合も同様に、他の屋根瓦1の係止片
11上に流下した雨水等は水切り12を越えて野地板2
上に流れ落ちることなく、水切り12を設けていない係
止片11の開口から下敷きされる他の屋根瓦1上に流れ
落ちることになる。 【0017】 【発明の効果】この発明に係る屋根瓦の固定構造におい
ては、屋根瓦の棟側の上端のみならず、桁行き方向の一
側端をも固定するものであるので、屋根瓦の固定強度の
増大化を図ることができ、位置擦れや剥がれ落ち等の心
配のない安定した屋根葺きを行える。そして、葺き付け
後の平板状の屋根瓦の上端から表出する各釘頭は、段重
ねする上乗せの他の平板状の屋根瓦によって隠れると共
に、平板状の屋根瓦の係止片から表出する連結釘の釘頭
は桁行き方向に隣接する他の平板状の屋根瓦によって隠
れるので、外観上での見栄えがより一層良好なものとな
る。また、屋根瓦の釘孔と連結釘との間から雨水等を導
いて野地板上への流下を防止でき、瓦桟等の早期な腐食
を防止することができる。更に、屋根瓦の上端及び係止
片の軒先側を除く周縁にはそれぞれ流下止めの水切りを
設けているので、屋根瓦の上端及び係止片の水切りを越
えて野地板上に雨水等が流下することなく、平板状の屋
根瓦上での雨水等の流れ落ちを一定方向に方向付けるこ
とができるので、この水切りによって瓦桟等の早期な腐
食の防止がより一層図られている。又、下敷きされる屋
根瓦は、上乗せされる他の屋根瓦のアンダーラップによ
って押圧されて剥離等を防止している。更に又、屋根瓦
は前記連結釘に加えて、軸回転止め加工が施された瓦釘
で固定されているので、瓦釘自体の軸回転は抑制され、
その結果、脱落等が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す一部省略した斜視
図。 【図2】この発明の一実施例を示す一部省略した断面
図。 【図3】この発明の一実施例に使用する連結釘を示した
全体図。 【図4】この発明の一実施例に使用する連結釘の要部断
面図。 【図5】この発明の一実施例に使用する平板状の屋根瓦
を示す斜視図。 【符号の説明】 1 屋根瓦 1a 釘孔 2 野地板 4 瓦桟 5 係止頭 6 周溝 7 杭部 8 連結釘 10 アンダーラップ 11 係止片 12 水切り
図。 【図2】この発明の一実施例を示す一部省略した断面
図。 【図3】この発明の一実施例に使用する連結釘を示した
全体図。 【図4】この発明の一実施例に使用する連結釘の要部断
面図。 【図5】この発明の一実施例に使用する平板状の屋根瓦
を示す斜視図。 【符号の説明】 1 屋根瓦 1a 釘孔 2 野地板 4 瓦桟 5 係止頭 6 周溝 7 杭部 8 連結釘 10 アンダーラップ 11 係止片 12 水切り
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(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
E04D 1/34
E04D 1/12
E04D 1/16
E04D 3/36
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 建物屋根の野地板に配した瓦桟上に、軒
先側の下端にアンダーラップを有すると共に、桁行き方
向の一側端に係止片を有し、且つ、棟側の上端と前記係
止片の軒先側を除く周縁に流下止めの水切りを有する平
板状の屋根瓦を、上乗せされる平板瓦のアンダーラップ
で部分的に下敷きする軒先側の平板瓦を押えるようにし
て一文字葺きした屋根構造において、前記屋根瓦の係止
片上に桁行き方向に隣接する他の屋根瓦の他端側が重合
され、前記瓦桟上の屋根瓦の棟側に位置する上端に穿設
された釘孔に軸回転止め加工を施した瓦釘が打ち込まれ
ると共に、他の釘穴には、周面に周溝が形成された直線
状の杭部と、該杭部の一端に設けた一方側に張り出す係
止頭とを有する連結釘の係止頭が前記屋根瓦の軒棟方向
に部分的に段重ねされる他の屋根瓦の係止片の水切りを
係止するように打ち込まれることによって、野地板上に
屋根瓦を固定することを特徴とする屋根瓦の固定構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08569895A JP3458253B2 (ja) | 1995-04-11 | 1995-04-11 | 屋根瓦の固定構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08569895A JP3458253B2 (ja) | 1995-04-11 | 1995-04-11 | 屋根瓦の固定構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08284324A JPH08284324A (ja) | 1996-10-29 |
JP3458253B2 true JP3458253B2 (ja) | 2003-10-20 |
Family
ID=13866057
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08569895A Expired - Fee Related JP3458253B2 (ja) | 1995-04-11 | 1995-04-11 | 屋根瓦の固定構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3458253B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011162976A (ja) * | 2010-02-08 | 2011-08-25 | Kmew Co Ltd | 釘及び屋根材の施工構造 |
-
1995
- 1995-04-11 JP JP08569895A patent/JP3458253B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08284324A (ja) | 1996-10-29 |
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