JP3457804B2 - 建設機械のエンジンカバー - Google Patents

建設機械のエンジンカバー

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JP3457804B2 JP12024096A JP12024096A JP3457804B2 JP 3457804 B2 JP3457804 B2 JP 3457804B2 JP 12024096 A JP12024096 A JP 12024096A JP 12024096 A JP12024096 A JP 12024096A JP 3457804 B2 JP3457804 B2 JP 3457804B2
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栄 竹田
一郎 平見
浩之 磯部
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建設機械のエンジン
カバーに係り、特に、低騒音化に好適な油圧ショベルな
どの建設機械のエンジンカバーに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、建設工事の現場周辺の生活環境
を保全し、建設工事を円滑に推進するため、エンジンか
ら放出される騒音を低減した油圧ショベル等の建設機械
が要望され、このような低騒音型の建設機械がすでにか
なり普及している。
【0003】図6はこの種の建設機械に備えられるエン
ジンカバーの従来例を内側から見た斜視図で、同図に示
すように、鉄板からなるカバー本体1は図示しないエン
ジンルームに装着され、その一端側に取付けたヒンジ4
により開閉可能に保持されている。このカバー本体1は
その内側に補強材2を溶接で固着することにより機械的
強度が補強されるとともに、内張り部材としてウレタン
フォームなどからなる板状の吸音材3が貼着され、図示
しないエンジンから発せられる騒音の伝達エネルギを吸
音材3で減衰させて吸収することにより、防音を図って
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の建設機械のエンジンカバーでは、カバー本体1を介
して周囲に放出される騒音をさらに下げる場合、吸音材
3の厚みをかなり増やすことが考えられるが、その場
合、厚くなった吸音材3と内部のエンジンとの接触を回
避するためのスペースが必要となるため、エンジンルー
ムが大型化することが懸念される。また、上記のように
吸音材3を厚くすると、騒音の低周波成分が減衰して吸
音率は向上するものの、騒音の中高周波成分はあまり減
衰せず、中高周波数域における吸音率が向上しないた
め、吸音材3のみでは低騒音化が難しいという問題があ
った。
【0005】本発明は、このような従来技術の実情に鑑
みてなされたもので、その目的は、カバー本体の内側の
内張り部材を厚くせずに、カバー本体から周囲に放出さ
れる騒音を効率良く低減できる建設機械のエンジンカバ
ーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、カバー本体
の内張り部材として、騒音を反射および遮断する遮音材
と、騒音を吸収する吸音材とを重ね合わせて設けるとと
もに、これら遮音材と吸音材との間に空間層を介設させ
こととする。このように、遮音材と吸音材とを重ね合
わせた内張り部材をカバー本体の内側に装着することに
より、エンジンから発せられた騒音の低周波成分が吸音
材で吸収されるとともに、騒音の一部が遮音材で反射し
遮断され、しかも、空間層によって騒音の反射率が向上
するため、内張り部材を厚くしなくても騒音の低周波成
分のみならず中高周波成分も抑制でき、カバー本体から
周囲に放出される騒音を効率良く低減することができ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の建設機械のエンジンカバ
ーでは、建設機械のエンジンの周囲に設けられたカバー
本体と、このカバー本体の内側に装着された内張り部材
とを有する建設機械のエンジンカバーにおいて、前記内
張り部材が、前記エンジンから発せられる騒音を反射お
よび遮断する板状の遮音材と、前記騒音を吸収する板状
の吸音材とを備え、これら遮音材および吸音材を重ね合
わせるとともに、これら遮音材と吸音材との間に空間層
を介設した構成にしてある。
【0008】また、前記遮音材および吸音材の少なくと
も一方の面を凹凸形状に形成すると、騒音を散乱させて
防音効果を高めることができる。
【0009】
【0010】
【実施例】実施例について図面を参照して説明すると、
図1は本発明の第1実施例に係る建設機械のエンジンカ
バーの斜視図、図2は図1のA−A線に沿う断面図で、
前述した図8に示すものと同等のものには同一符号を付
してある。
【0011】図1に示すように、本実施例に係るエンジ
ンカバーでは、カバー本体1の内側の内張り部材とし
て、騒音を吸収する板状の吸音材5と、騒音を反射およ
び遮断する遮音材6とが重なり合った状態で設けられて
いる。吸音材5は例えば板状のウレタンフォームなどか
らなり、遮音材6は騒音の中高周波域で特に遮音効果を
発揮する材料、例えば塩化ビニール系の素材から形成さ
れたゴム状板からなっている。図2に示すように、この
遮音材6は平坦面6a,6bを有し、表側(図2の左
側)の平坦面6aがカバー本体1の裏面に貼着されてい
る。また、吸音材5は凹凸面5aおよび平坦面5bを有
し、表側の凹凸面5aの突部が遮音材6の平坦面6bに
貼着され、裏側の平坦面5bに難燃性の被膜7が形成さ
れている。さらに、これら吸音材5および遮音材6の間
には空間層8が介設されている。
【0012】このような第1実施例では、吸音材5の内
側に位置するエンジン9から騒音が発せられたとき、ま
ず吸音材5を透過する際に騒音の伝達エネルギを減衰さ
せることにより騒音の一部を吸収した後、吸音材5より
空間層8に入射する際に、凹凸面5aで騒音を散乱させ
る。次いで、空間層8で騒音の伝達エネルギを減衰させ
た後、騒音の他の一部を遮音材6の平坦面6bで反射さ
せるとともに、遮音材6で騒音の伝達エネルギを遮断す
る。次いで、前記の反射した騒音が再び空間層8を介し
て吸音材5に入射するので、この吸音材5で再び騒音を
吸収する。一方、前記の遮音材6を透過した騒音は、カ
バー本体1から周囲に放出される。
【0013】このように構成した第1実施例では、音源
であるエンジン9から発せられた騒音の低周波成分を吸
音材5で吸収するとともに、騒音の一部を遮音材6で反
射し遮断することにより、騒音の低周波成分のみならず
中高周波成分も抑制できるので、カバー本体1から周囲
に放出される騒音を効率良く低減でき、カバー本体1の
内張り部材を厚くせずに済む。また、吸音材5から空間
層8に入射する際に騒音が凹凸面5aで散乱するため、
遮音材6までの入射距離が長くなり、空間層8での騒音
の減衰効果が高められる。
【0014】また、本実施例では、吸音材5の平坦面5
bに難燃性の被膜7が形成されているので、吸音材5へ
の油の浸透を防止して吸音材5の耐久性を向上できると
ともに、火災の類焼を防止できる。また、カバー本体1
の裏面に遮音材6が貼着されているので、カバー本体1
の振動を抑制することにより振動に伴う騒音を低減で
き、この点からも低騒音化を図ることができる。
【0015】なお、上記実施例では、カバー本体1の裏
面に遮音材6を貼着し、この遮音材6に吸音材5を貼着
した場合について説明したが、本発明はこれに限られ
ず、カバー本体1の裏面に吸音材を貼着し、この吸音材
に遮音材を貼着することもできる。また、上記実施例で
は、吸音材5の凹凸面5aを規則的な凹凸形状に形成し
たが、必要に応じて不規則的な凹凸形状に形成してもよ
い。
【0016】図3は本発明の第2実施例に係る建設機械
のエンジンカバーの断面図で、前述した図1,図2およ
図6に示すものと同等のものには同一符号を付してあ
る。
【0017】図3に示す実施例では、前述した図2に示
す第1実施例と比べて、平坦面10aおよび凹凸面10
bを有する遮音材10を備えた点が異なっており、その
他の構成は同様である。前記平坦面10aはカバー本体
1の裏面に貼着され、前記凹凸面10bは吸音材5の凹
凸面5aに貼着されている。
【0018】このような第2実施例でも、前述した図2
に示す第1実施例と基本的に同様の効果が得られる。ま
た、特に本実施例では、騒音が空間層8から遮音材10
に入射する際に凹凸面10bで乱反射されるので、乱反
射した騒音が空間層8を通過して吸音材5に再び入射さ
れるまでの距離が長くなり、空間層8での騒音の減衰効
果を高められる。
【0019】図4は本発明の第3実施例に係る建設機械
のエンジンカバーの断面図で、前述した図1〜図3およ
図6に示すものと同等のものには同一符号を付してあ
る。
【0020】図4に示す実施例では、前述した図2に示
す第1実施例と比べて、平坦面11aおよび凹凸面11
bを有する吸音材11を備えた点が異なっており、その
他の構成は同様である。前記平坦面11aは遮音材6の
平坦面6と対向し、前記凹凸面11bはエンジン9と対
向し、難燃性の被膜12で覆われている。
【0021】このような第3実施例でも、前述した図2
に示す第1実施例と基本的に同様の効果が得られる。ま
た、特に本実施例では、エンジン9からの騒音が吸音材
11に入射する際に凹凸面11bで散乱するので、散乱
した騒音が吸音材11を透過する距離が長くなり、この
吸音材11での騒音の減衰効果を高められる。
【0022】図5は本発明の第4実施例に係る建設機械
のエンジンカバーの断面図で、前述した図1〜図4およ
図6に示すものと同等のものには同一符号を付してあ
る。
【0023】図5に示す実施例では、前述した図2に示
す第1実施例と比べて、凹凸面13aおよび凹凸面13
bを有する吸音材13を備えた点が異なっており、その
他の構成は同様である。前記凹凸面13aは遮音材6の
平坦面6bに貼着され、前記凹凸面13bはエンジン9
と対向し、難燃性の被膜14で覆われている。
【0024】このような第4実施例でも、前述した図2
に示す第1実施例と基本的に同様の効果が得られる。ま
た、特に本実施例では、エンジン9からの騒音が吸音材
13に入射する際に凹凸面13bで散乱するので、散乱
した騒音が吸音材13を透過する距離が長くなり、この
吸音材13での騒音の減衰効果を高められる。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
音源であるエンジンから発せられた騒音の低周波成分を
吸音材で吸収するとともに、騒音の一部を遮音材で反射
し遮断することにより、騒音の低周波成分のみならず中
高周波成分も抑制でき、しかも、空間層によって騒音の
反射率が向上するため、カバー本体から周囲に放出され
る騒音を効率良く低減することができ、カバー本体の内
側の内張り部材を厚くせずに済む。
【0033】また、遮音材および吸音材の少なくとも一
方の面を凹凸形状に形成したため、この凹凸面で騒音を
散乱させて透過距離を長くすることにより、騒音をさら
に減衰させることができ、したがって、防音効果を高め
られる。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る建設機械のエンジン
カバーの斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る建設機械のエンジン
カバーの断面図である。
【図4】本発明の第3実施例に係る建設機械のエンジン
カバーの断面図である。
【図5】本発明の第4実施例に係る建設機械のエンジン
カバーの断面図である。
【図6】建設機械のエンジンカバーの従来例を示す斜視
である。
【符号の説明】
1 カバー本体 5 吸音材 5a 凹凸面 5b 平坦面 6 遮音材 6a、6b 平坦面 7 被膜 8 空間層 9 エンジン 10 遮音材 10a 平坦面 10b 凹凸面 11 吸音材 11a 平坦面 11b 凹凸面 12 被膜 13 吸音材 13a,13b 凹凸面 14 被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 祐一 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機 株式会社 土浦工場内 (56)参考文献 実開 平1−61250(JP,U) 実開 昭49−62613(JP,U) 実開 平5−90597(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02F 9/00 E02F 9/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建設機械のエンジンの周囲に設けられた
    カバー本体と、このカバー本体の内側に装着された内張
    り部材とを有する建設機械のエンジンカバーにおいて、 前記内張り部材が、前記エンジンから発せられる騒音を
    反射および遮断する板状の遮音材と、前記騒音を吸収す
    る板状の吸音材とを備え、これら遮音材および吸音材を
    重ね合わせるとともに、これら遮音材と吸音材との間に
    空間層を介設したことを特徴とする建設機械のエンジン
    カバー。
  2. 【請求項2】 請求項1の記載において、前記遮音材お
    よび前記吸音材の少なくとも一方の面が凹凸形状に形成
    されていることを特徴とする建設機械のエンジンカバ
    ー。
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