JP3455852B2 - 洗眼液組成物 - Google Patents

洗眼液組成物

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JP3455852B2 JP2001391544A JP2001391544A JP3455852B2 JP 3455852 B2 JP3455852 B2 JP 3455852B2 JP 2001391544 A JP2001391544 A JP 2001391544A JP 2001391544 A JP2001391544 A JP 2001391544A JP 3455852 B2 JP3455852 B2 JP 3455852B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、涙液層の保護効
果を有する洗眼液組成物に関する。さらには、ヒアルロ
ン酸および/またはその塩を有効成分とし、かつ防腐剤
を含まないことを特徴とする、涙液層の保護効果を有す
る洗眼液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】 近年、コンタクトレンズ装用者および
眼科系に由来するアレルギー患者の増加に伴い、目を洗
うという行為(洗眼)が定着しつつある。実際に、市場
では数種類の商品が販売されており、売り上げも年々伸
びてきている。しかしながら、市場で販売されている大
部分の洗眼液は、塩化ベンザルコニウム等の防腐剤を含
有する。それゆえ、これら市販の洗眼液を用いて洗眼行
為を行った場合に、眼表面上の汚れや付着物を洗い流す
だけではなく、角膜上皮障害を引き起こすことが報告さ
れている(「日本眼科紀要」、第51巻第1号、p32
〜36、2001年)。
【0003】 この防腐剤を含有する洗眼液を使用した
場合に生じる角膜上皮障害の原因として、洗眼液に含有
される防腐剤が涙液層、特にムチン層を破壊する可能性
があることが報告されている。涙液層は、深部のムチン
層(糖蛋白質層)、水層(純粋の涙液層)および最表面
の脂質(油層)の3層から構成されており、その中のム
チン層は、外界からの病原菌の侵入に対し、非特異的に
その病原菌を捕獲し、角結膜上皮を感染から防御する。
また、ムチン層は疎水性の眼球表面と涙液の水層との間
にあり、上皮に由来するムチン層と杯細胞由来のムチン
層とが共同しあって、涙液が角結膜上皮の表面を広がり
やすくする機能を持つ。そのためムチン層が破壊される
と、涙液は目に留まることができなくなり、いわゆるド
ライスポットを生じてしまう。
【0004】 このドライスポットは、近年テレビや新
聞等でも大きく報道されているドライアイにおいても観
察される。ドライアイはコンタクトレンズを長年装用し
ている場合やアレルギー症状を起こしている場合などに
生じる現象であり、涙液層が減少する特徴を持つ。なお
ドライアイとは、涙液の分泌量を「涙液層破壊時間(以
下BUTとする)」を用いて検査した場合に、ドライス
ポットを10秒以下で生じる場合を示す。
【0005】 また、プール等での遊泳後に行う洗眼に
ついても、涙液層保護の観点より問題提起されつつあ
る。プールは通常塩素系の消毒剤が溶解してあるため、
その消毒剤により涙液層に影響を与えている可能性があ
る。さらに、通常遊泳後は水道水にて洗眼を行うことが
日常的である。しかしながら、水道水で洗眼すること
は、カルキ(次亜塩素酸)の影響や、アカントアメーバ
などの感染の可能性があるので、本来であれば好ましく
ない。現在のところ、涙液層に対する保護効果を有する
洗眼液は、未だ提供されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、涙
液層の保護効果を有する洗眼液組成物を提供することに
ある。さらに詳しくは、涙液層を破壊することなく洗眼
することができる洗眼液組成物を提供することにある。
さらには、プール等での遊泳後、遊泳により破壊された
涙液層を直ちに修復することができる洗眼液組成物を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明によれば、本発
明の上記目的および利点は、以下により達成される。 (1)ヒアルロン酸および/またはその塩を有効成分と
し、かつ防腐剤を含まないことを特徴とする、涙液層の
保護効果を有する洗眼液組成物。 (2)ヒアルロン酸および/またはその塩に加え、これ
ら以外の粘稠剤を含有することを特徴とする上記(1)
記載の洗眼液組成物。 (3)ヒアルロン酸および/またはその塩以外の粘稠剤
が、親水性高分子であることを特徴とする上記(2)記
載の洗眼液組成物。 (4)親水性高分子が、ヒドロキシエチルセルロース、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース・ナトリウム、ポリビニルピロリドン、メ
チルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシビ
ニルポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種で
あることを特徴とする上記(3)記載の洗眼液組成物。
【0008】
【発明の実施の形態】 本発明の洗眼液組成物は、涙液
層の保護効果に寄与する物質として、ヒアルロン酸およ
び/またはその塩を含有する。ヒアルロン酸の塩類の例
としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アミノ酸塩等が
挙げられる。本発明の洗眼液組成物に配合するヒアルロ
ン酸および/またはその塩は、0.001〜0.1w/
v%の濃度で含有するのが好ましく、さらには0.00
5〜0.05w/v%の濃度で含有するのが好ましい。
【0009】 本発明において、さらに涙液層の保護効
果に寄与する物質として、ヒアルロン酸および/または
その塩に加えて、他の粘稠剤を含有することができ、多
くの場合その方が好ましい。そのような粘稠剤として
は、例えば、親水性高分子、グリセリン、マクロゴー
ル、ソルビトール、マンニトール、ショ糖、トレハロー
ス、セルロースおよび/またはその誘導体、キトサンお
よび/またはその誘導体等が挙げられるが、そのうちの
親水性高分子が最も好ましい。好適な親水性高分子の例
としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース
・ナトリウム、ポリビニルピロリドン、メチルセルロー
ス、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー
等が挙げられる。上記の粘稠剤は、単独で使用してもよ
く2種以上組み合わせて使用してもよい。本発明の洗眼
液組成物中に配合する上記粘稠剤の濃度は、0.01〜
1.0w/v%が好ましく、さらには0.05〜0.5
w/v%が好ましい。
【0010】 本発明の洗眼液組成物において、涙液の
保護効果に寄与する物質(ヒアルロン酸および/または
その塩、他の粘稠剤)を配合した際の製剤の動粘度は、
製剤として5mm/s以下であることが好ましい。本
発明の洗眼液組成物の動粘度は、洗眼した際にネバネバ
感やベトベト感に由来する不快感が残らないようにする
ことを優先する。
【0011】 本発明の洗眼液組成物には、上記に示し
た涙液層の保護効果を有する成分以外に、緩衝剤および
等張化剤を配合することが好ましい。本発明の洗眼液組
成物に含有することができる緩衝剤としては、例えば、
リン酸系緩衝剤、ホウ酸系緩衝剤、トリス(ヒドロキシ
メチル)アミノメタン−塩酸の緩衝剤、酢酸系緩衝剤、
クエン酸系緩衝剤等が挙げられ、これらより選ばれる1
種以上を配合する。本発明の洗眼液組成物中に緩衝剤を
配合する場合、緩衝剤の濃度は0.001〜10.0w
/v%が好ましく、さらには0.01〜5.0w/v%
が好ましい。また、本発明の洗眼液組成物に含有するこ
とができる等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム等の塩類、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール等の多価アルコールが挙げら
れ、これらの群より適宜1種以上を配合する。本発明の
洗眼液組成物中に等張化剤を配合する場合、等張化剤の
濃度は、0.001〜10.0w/v%が好ましく、さ
らには0.01〜5.0w/v%が好ましい。
【0012】 本発明の洗眼液組成物は、その用法上、
直接目に入るため、上記に挙げた各成分を配合して、涙
液と等張とするのが好ましい。それゆえ、本発明の洗眼
液組成物を精製水等の溶媒に溶解した際のpHとして
は、6.0〜8.5となるようにするのが好ましく、ま
た浸透圧としては100〜600mOsm.、さらには
200〜400mOsm.となるようにするのが好まし
い。
【0013】 また、本発明の洗眼液組成物は、防腐剤
を含まないことを特徴と する。これは、上記に述べたよ
うに防腐剤を含有することにより、涙液層の破壊が起こ
るからである。
【0014】 本発明の洗眼液組成物には、必要に応じ
て、キレート化剤を含有することができる。このような
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢
酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、コハク酸、マロン
酸、ピロリン酸、トリリン酸、テトラリン酸、トリメタ
リン酸、テトラメタリン酸、マレイン酸およびそれらの
ナトリウム塩あるいはカリウム塩が挙げられるが、その
中でも特にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムが特に
好ましい。本発明の洗眼液組成物中にキレート化剤を配
合する場合、キレート化剤の濃度は、0.001〜5.
0w/v%が好ましく、さらには0.01〜1.0w/
v%でが好ましい。
【0015】 本発明の洗眼液組成物には、さらに必要
に応じて、一般に市販されている洗眼液に含まれる各種
成分を含有することもできる。そのような成分として
は、血管収縮剤、消炎・収斂剤、抗ヒスタミン剤、アミ
ノ酸類、非イオン性界面活性剤、ビタミン類および通常
のコンタクトレンズ用ケア製品および人工涙液の成分と
して用いられている成分などが挙げられる。
【0016】 本発明の洗眼液組成物において配合する
ことができる血管収縮剤としては、例えば、塩酸テトラ
ヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、
塩酸エフェドリン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸フェ
ニレフリン、塩酸メトキサミン、オキシメタゾリン、エ
ピネフリンおよびこれらの塩類等が挙げられ、それらの
群から適宜1種類以上を配合する。それらの中でも眼科
用剤として使用実績のある塩酸テトラヒドロゾリンが特
に好ましい。血管収縮剤を配合する場合、洗眼液中に、
0.0001〜1.0w/v%、好ましくは0.001
〜0.5w/v%の濃度で配合される。血管収縮剤は、
アレルギー等により充血した目の赤みを除去する事を目
的として配合することができる。
【0017】 本発明の洗眼液組成物において配合する
ことができる消炎・収斂剤としては、例えば、グリチル
リチン酸二カリウム、硫酸亜鉛、メチル硫酸ネオスチグ
ミン、イプシロン−アミノカプロン酸、アラントイン、
塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、乳酸亜鉛、塩化リゾ
チーム、アズスレンスルホン酸ナトリウム等が挙げら
れ、それらの群から適宜1種類以上を配合する。それら
の中でも眼科用剤として使用実績のある、グリチルリチ
ン酸二カリウムおよび/または硫酸亜鉛が特に好まし
い。消炎・収斂剤を配合する場合、洗眼液中に、0.0
001〜1.0w/v%、好ましくは0.001〜0.
5w/v%の濃度で配合される。消炎・収斂剤は、目の
充血などの目の不快症状を改善することを目的として配
合することができる。
【0018】 本発明の洗眼液組成物において配合する
ことができる抗ヒスタミン剤としては、例えば、マレイ
ン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、フ
マル酸クレマスチンおよびメキタジン等が挙げられ、そ
れらの群から適宜1種類以上を配合する。それらの中で
も、製剤的に安定で、取扱い易く、かつ眼科用剤として
使用実績のあるマレイン酸クロルフェニラミンが特に好
ましい。抗ヒスタミン剤を配合する場合、洗眼液中に、
0.0001〜1.0w/v%、好ましくは0.001
〜0.5w/v%の濃度で配合される。抗ヒスタミン剤
は、目の炎症、特に目の掻痒感を除去することを目的と
して配合することができる。
【0019】 本発明の洗眼液組成物において配合する
ことができるアミノ酸類としては、例えば、L−アスパ
ラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム、
L−アスパラギン酸カリウムマグネシウム(等量混合
物)、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、コンドロ
イチン硫酸ナトリウム、イプシロン−アミノカプロン
酸、L−グルタミン酸、L−グルタミン酸ナトリウム、
リジン、ヒスチジン、ロイシン、メチオニン、フェニル
アラニン、グリシン、L−グルタミン、L−ヒスチジン
等が挙げられる。
【0020】 また本発明の洗眼液組成物において配合
することができる非イオン性界面活性剤としては、例え
ば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロッ
ク共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキ
シエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエ
チレン硬化ヒマシ油、脂肪酸モノグリセリド、プロピレ
ングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸ショ糖エステルお
よびポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンエチレ
ンジアミン縮合物などが挙げられる。
【0021】 ビタミン類としては、例えば、ビタミン
Aおよびその誘導体(酢酸レチノール、パルミチン酸レ
チノール等)、ビタミンB1およびその誘導体(ビスイ
ブチアミン等)、ビタミンB2およびその誘導体(フラ
ビンアデニンジヌクレオチドナトリウム等)、ビタミン
B6およびその誘導体(ピリドキシンおよびピリドキサ
ールの塩等)、ビタミンB12およびその誘導体(ヒド
ロキシコバランミン、シアノコバラミン等)、ビタミン
Cおよびその誘導体(アスコルビン酸塩等)、ビタミン
Eおよびその誘導体(酢酸トコフェロール等)、パンテ
ノール、ニコチン酸塩、パントテン酸塩、ビオチン等が
挙げられる。
【0022】 また、これらの各成分は必要に応じ適宜
1種類以上が配合される。本発明の洗眼液組成物におい
ては、上記に挙げた各成分を配合する場合、涙液層に対
する保護効果を予め確認して組み合わせを選定するのが
適当である。
【0023】 本発明の洗眼液組成物は、水溶液とする
のが好ましい。本発明の組成物のうち、ヒアルロン酸お
よび/またはその塩、およびその他の粘稠剤は水に溶解
しにくい傾向にあるため、以下の2方法による調製が好
ましい。すなわち、第1の調製方法は、初めに粘稠剤を
適当量の水に完全に溶解させたのちに、該液に他の成分
を溶解させ、最後に水にて容量を調整する方法である。
また、第2の調製方法は、第1の容器にて、粘稠剤を適
当量の水に溶解させる一方で、別の第2の容器にて、他
の成分を適当量の水に溶解させる。完全に溶解した第1
の容器内の溶液を、完全に溶解した第2の容器内の溶液
に注入して混合し、最後に水にて容量を調整する方法で
ある。なお、上記の方法にて調整した洗眼液のpHにつ
いては、各成分を配合するだけで、目的のpHとなるよ
うに成分を決定するのがよいが、最後に、水酸化ナトリ
ウムまたは塩酸を加えてpHを調整してもよい。
【0024】 上記の方法にて調製した洗眼液組成物
は、1回の洗眼を行う際に必要な量を、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカ
ーボネート等の材質よりなる容器に無菌充填するのが好
ましい。該容器の容量は、1回の洗眼で使い切る量であ
るのが好ましいため、5〜30mLの容量とするのが好
ましい。
【0025】 本発明の洗眼液組成物は、上記の各成分
を組み合わせた成分とするが、なかでも、次の各成分を
含有する水溶液が特に好適である。 ヒアルロン酸ナトリウム 0.005〜0.05w/v
% 粘稠剤(親水性高分子) 0.05〜0.5w/v% 緩衝剤 0.01〜5.0w/v% 等張化剤 0.01〜5.0w/v%
【0026】 本発明の洗眼液組成物の使用方法につい
て説明すると、例えば、本発明の洗眼液組成物を目の形
に合うようにした洗眼用容器内に注ぎ入れ、該容器を目
にフィットさせて、容器内の溶液に眼球が触れるように
し、そのまま上を向いた状態で数回瞬きをすることで片
眼づつ洗眼する方法(第1の使用方法)が挙げられる。
なお、この方法を用いる場合には、片眼を洗眼した溶液
で残りの他眼も洗眼するのは望ましくないため、片眼の
洗眼後には、容器内の溶液を捨てた後、容器を軽く水道
水等ですすぎ洗いし、新しい洗眼液を注ぎ、残りの他眼
を洗眼することが好ましい。さらに、洗眼終了後は、該
容器を水道水にてすすぎ洗いし、水が切れるような状態
にて自然乾燥させることが望ましい。また別の使用方法
(第2の使用方法)としては、洗眼液を直接目に噴射す
る形で使用する方法が挙げられる。この場合、目の形状
にあうようにした廃液用容器を目の下に添えることが望
ましい。この方法の場合は、眼の周辺に付着する化粧品
等が眼に入る危険性がない。
【0027】 本発明の洗眼液組成物は、目の洗浄およ
び眼病予防を目的として使用することができる。具体的
には、アレルギー・花粉症等で目が痒いとき、目にごみ
やホコリが入ったとき、コンタクトレンズをはずしたあ
とで目の汚れが気になるとき、目がゴロゴロするとき、
目の乾燥が気になるとき、目やにをとりたいとき等に使
用できる。またプール等での遊泳後に行う洗眼時にも使
用することができる。なお1日に行うことができる洗眼
回数は特に制限はないが、3回〜6回とするのが好まし
い。
【0028】
【実施例】 以下、本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】 実施例1 上記に記載した第1の調製方法に従って、表1に記載し
た各サンプルを作成した。洗眼液1〜4は本発明の洗眼
液であり、比較例1は本発明の要件を満足しない洗眼液
である。また、比較例2として市販品「アイボン」(小
林製薬社製)、比較例3として市販品「ロートZi F
lush」(ロート製薬社製)および比較例4として市
販品「ロートCキューブビタフラッシュ」(ロート製薬
社製)を用いた。本発明品である洗眼液1〜4および比
較例1は防腐剤を含有せず、市販品(比較例2〜4)
は、防腐剤である塩化ベンザルコニウムや非イオン界面
活性剤等の添加物を含有している。
【0030】
【表1】
【0031】 涙液層における保護効果を、日本白色家
兎を用いて、以下の評価法に従って調べた。はじめに日
本白色家兎に点眼麻酔を施し、次に上述した第1の使用
方法に従い、各サンプル(洗眼液1〜3および比較例1
〜4)を用いて家兎眼を30秒間洗眼した後、強制的に
瞬目させた。その後、微風をあてた状態で30秒後の涙
液層を、ドライアイ観察装置(興和社製)を用いて観察
し、観察像をビデオにて録画した。観察像は画像解析ソ
フトである「NIH image(バージョン1.5
3)」を用いて解析し、ドライスポットの面積を算出し
た。
【0032】 洗眼液1〜3および比較例1を用いて洗
眼した場合の結果を図1に、洗眼液1および比較例2〜
4を用いて洗眼した場合の結果を図2に示した。図の縦
軸は、ドライスポットの面積(mm/mm)、横軸
は各サンプル名を示す。図1に示すように、本発明に係
る洗眼液1〜3は、ヒアルロン酸塩および親水性高分子
を含有しない比較例1と比べて、ドライスポット面積が
少なく、涙液層の保護効果を有することが明らかとなっ
た。また、図2に示すように、防腐剤や非イオン性界面
活性剤等の添加物を含有しない洗眼液1は、これらの添
加物を含有する比較例2〜4と比べて、ドライスポット
面積が有意に軽減された。また逆に、防腐剤や非イオン
性界面活性剤等の添加物を含有することにより、涙液層
に対して影響を及ぼすことが分かった。
【0033】 実施例2 防腐剤が涙液層に与える影響、および粘稠剤存在下にお
いて防腐剤が涙液層に与える影響について調べた。各サ
ンプルの基剤として、「ISO10344」で規定され
たリン酸緩衝生理食塩水を用い、涙液層保護成分として
ヒアルロン酸ナトリウム(以下Na−HAと略す)、防
腐剤として塩化ベンザルコニウム(以下BAKと略す)
を用いた。各配合成分は以下に示すとおりである。 洗眼液5:基剤+0.01(w/v)%Na−H 比較例5:基剤+0.01(w/v)%Na−HA+
0.005(w/v)%BAK 比較例6:基剤+0.01(w/v)%Na−HA+
0.0075(w/v)%BAK 比較例7:基剤のみ 比較例8:基剤+0.0025(w/v)%BAK 比較例9:基剤+0.005(w/v)%BAK 比較例10:基剤+0.0075(w/v)%BAK
【0034】 洗眼液ならびに比較例5〜10を用い
て、防腐剤が涙液層に与える影響を、実施例1に記載し
た方法に従って調べた。得られた結果を図3に示した。
図の縦軸はドライスポットの面積(mm/mm
を、横軸は各サンプル名を示す。
【0035】 実施例3 洗眼液1〜4と比較例1を用いて、本発明の洗眼液にて
洗眼した場合の使用感について、粘稠剤の濃度による使
い心地を調べた。10人のモニターに、各人に各サンプ
ル全てを用いて、上記記載の第1の使用方法にて洗眼を
実施してもらい、それらの使用感(嗜好性)を集計し
た。なお、使用感(嗜好性)の集計にあたって用いた指
標は以下のとおりである。 非常に良い:一番使用感が良かったもの。 良い:よい使用感を感じたもの。 良くない:不快に感じたもの。 普通:どれにも当てはまらなかったもの。
【0036】 上記の結果を図4に示した。縦軸は嗜好
性を、横軸はサンプル名を示す。結果、洗眼液3および
洗眼液4では、全員が「良い」以上の結果を示し、粘稠
剤を含有しない比較例1と比較して、良好な使用感を示
すことが分かった。また、洗眼液1および洗眼液2で
は、各人の好みにより一部「良くない」との感想も得ら
れたが、「普通」以上の使用感が全体の過半数を超え、
本発明の洗眼液の使用感に問題がないことが分かった。
【0037】 実施例4 洗眼液3、比較例2、比較例3および水道水を用い、プ
ールでの遊泳後に行う洗眼での涙液層の保護効果につい
て調べた。ます、日本白色家兎眼に次亜塩素酸ナトリウ
ム(有効塩素濃度として1ppm)を含有する水道水を
用いて、前眼部灌流を10mL/分・60分間行った。
灌流終了後、各サンプルにて30秒間洗眼した後、0〜
6時間後にドライアイ観察装置(興和社製)を用いて角
膜中央部の涙液層をドライアイ観察装置(興和社製)を
用いて観察し、観察像をビデオにて録画した。観察像は
画像解析ソフトである「NIH image(バージョ
ン1.53)」を用いて解析し、ドライスポットの面積
を算出した。得られた結果を図5に示した。
【0038】 次亜塩素酸含有水道水による灌流により
涙液層が壊れることが明らかであり、プールでの裸眼に
よる遊泳は涙液層を破壊することが明らかとなった。ま
た、涙液層は灌流後に各サンプルで洗眼することにより
修復するが、水道水で洗眼した場合、洗眼直後はさらに
悪化することが分かった。また比較例2、比較例3およ
び水道水での洗眼ではゆっくりとした修復を示すのに対
し、本発明の洗眼液3では洗眼直後に急速な修復を示
し、涙液層に対して優れた修復機能を有することが分か
った。
【0039】
【発明の効果】 本発明は、ヒアルロン酸および/また
はその塩を有効成分とし、かつ防腐剤を含まないことを
特徴とする、涙液層の保護効果を有する洗眼液組 成物を
提供できる。また、ヒアルロン酸および/またはその
、さらには必要に応じ他の粘稠剤を含有し、かつ防腐
剤を含まないことを特徴とする洗眼液組成物を用いるこ
とで、涙液層を破壊することなく洗眼できる。さらに、
プール等での遊泳に伴う涙液層の破壊に対して、優れた
涙液層の修復機能を有する洗眼液組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】洗眼液1〜3および比較例1を用いて日本白色
家兎眼を洗眼したのち、家兎眼に微風を30秒間当てて
ドライアイ症状を惹起させた状態における、家兎眼の涙
液層におけるドライスポットの面積を示すグラフであ
る。
【図2】洗眼液1ならびに比較例2〜4を用いて日本白
色家兎眼を洗眼したのち、家兎眼に微風を30秒間当て
てドライアイ症状を惹起させた状態における、家兎眼の
涙液層におけるドライスポットの面積を示すグラフであ
る。
【図3】洗眼液ならびに比較例5〜10を用いて日本
白色家兎眼を洗眼したのち、家兎眼に微風を30秒間当
ててドライアイ症状を惹起させた状態における、家兎眼
の涙液層におけるドライスポットの面積を示すグラフで
ある。
【図4】洗眼液1〜4および比較例1を用いて、人が洗
眼したときの使用感のテストを実施した結果を示すグラ
フである。
【図5】洗眼液3、比較例2、比較例3および水道水を
用いて、プールでの遊泳による涙液層の破壊に対する涙
液層の修復効果について示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61P 27/04 A61P 27/04 (56)参考文献 特開2002−104959(JP,A) 特開2002−104971(JP,A) 国際公開99/026637(WO,A1) 国際公開00/028998(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/728 A61H 35/00 A61K 9/08 A61K 47/32 A61K 47/38 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒアルロン酸および/またはその塩を有
    効成分とし、かつ防腐剤を含まないことを特徴とする、
    涙液層の保護効果を有する洗眼液組成物。
  2. 【請求項2】 ヒアルロン酸および/またはその塩に加
    え、これら以外の粘稠剤を含有することを特徴とする請
    求項1記載の洗眼液組成物。
  3. 【請求項3】 ヒアルロン酸および/またはその塩以外
    の粘稠剤が、親水性高分子であることを特徴とする請求
    項1記載の洗眼液組成物。
  4. 【請求項4】 親水性高分子が、ヒドロキシエチルセル
    ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボ
    キシメチルセルロース・ナトリウム、ポリビニルピロリ
    ドン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カル
    ボキシビニルポリマーからなる群から選ばれる少なくと
    も1種であることを特徴とする請求項3記載の洗眼液組
    物。
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