JP3455662B2 - 硫酸カルシウムを添加配合したll麺およびその製造方法 - Google Patents

硫酸カルシウムを添加配合したll麺およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LL麺、特に、硫
酸カルシウムを添加配合したLL麺とその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】LL麺(ロングライフ麺)とは、ウェッ
トタイプの麺であり、常法によって作られた生麺を、茹
でてα化、または蒸してα化した後に、これを酸液に浸
漬または酸液を塗布して麺線のpHを酸性に調整し、密閉
容器に密封した後に、90〜100℃程度の加熱を経て得ら
れる。 そして、このようにして得られたLL麺は、常
温で数ヶ月以上の保存性を有し、熱湯を加えるだけで喫
食できるなど、簡便性に極めて優れていることを特徴と
する。 近年、消費者の本格志向と簡便化志向の高まり
も相俟って、LL麺の消費も拡大を続けている。
【0003】一方、これまで、栄養強化目的で麺類にカ
ルシウムを添加する場合、例えば、油揚げ麺等の即席麺
類には、通常、炭酸カルシウム(卵殻や貝殻の未焼成カ
ルシウムを含む)、第3リン酸カルシウム(骨未焼成、
骨焼成カルシウムを含む)等が使用されていた。 ま
た、そのカルシウム添加量は、厚生省が発表している日
本人のカルシウム所要量の600mg/dayを基準に、通常、1
00mg/1食程度であり、さらに、生体によるカルシウム
吸収性等の問題を加味して、強化タイプのもので、1日
所要量の約半分程度、すなわち、300mg/1食程度が製麺
原料に添加されている。 しかし、LL麺においては、
このような栄養成分面での改善例はほとんど報告されて
いなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、本発明者ら
は、LL麺でのカルシウム含量を増大すべく、油揚げ麺
等で用いられていた炭酸カルシウム、第3リン酸カルシ
ウム等を製麺用原料に加えてLL麺の作成を試みた。
しかしながら、このLL麺の作成の過程で、LL麺に通
常必要とされる保存性を得るべく酸処理を行うと、酸味
の強い違和感のある麺に変質してしまった。 これは、
LL麺の必須の製造工程である酸液処理時に、添加した
カルシウム塩が酸に対して緩衝作用を示すため、麺線pH
を所定値まで下げるには過剰量の酸を必要とすることに
よるものと考えられた。 また、このような過剰量の酸
の使用は、工業生産にあっては、酸液処理用の酸の使用
量が増大することを意味し、また酸液のpH調整作業も大
規模工程にならざるを得ないと考えられる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に対して、通常の即席油揚げ麺での添加量と同等もしく
は、それ以上の量のカルシウム、すなわち1食当たり10
0mg以上、好ましくは、カルシウムの1日所要量の半分
量の300mg以上を添加しても、LL麺の酸味に大きな影
響を与えないLL麺用の製麺原料と、これらカルシウム
を利用したLL麺用のカルシウム添加剤、および、これ
らを用いて製造したLL麺を実現すべく研究を行った。
【0006】まず、本発明者らは、各種カルシウム塩
を、100mg/1食、または300mg/1食のカルシウム量にな
るように添加して、LL麺を作成した。 その結果、L
L麺の保存性を付与する上で必須とされる麺線pH、すな
わち4.0〜4.5のpHに麺線をpH調整した場合、塩化カルシ
ウムと硫酸カルシウムが、得られるLL麺の酸味に対し
てほとんど影響を与えないことを見出した。 しかし、
塩化カルシウムの場合、100mgのカルシウム量で用いる
と、えぐみ(食欲を減退せしめる、喫食に適さない非常
に不快な味)のある麺ができてしまい、喫食に耐えない
ものとなった。
【0007】また、その他にも乳酸カルシウムを使用す
る場合、酸味がやや強くなるものの、添加量を少量にと
どめれば、使用可能であることも明らかとなった。
【0008】これに対して、硫酸カルシウムの場合、酸
味、えぐみといった好ましくない食味を呈さないのみな
らず、塩化カルシウム、乳酸カルシウムと比べて、麺線
の茹で時のカルシウム分の溶出量が非常に小さいことも
知見したのである。
【0009】すなわち、本発明は、原料粉1/12kgに
対し、カルシウムが100mg以上添加されたLL麺に関
するものであって、その要旨とするところは、前記カル
シウムのうち25mg以上のカルシウムが硫酸カルシウム
の添加に由来するものであるLL麺、及び当該LL麺の
製造方法にある。また、本発明の他の態様によれば、硫
酸カルシウムとカゼイン分解物の組み合わせを利用し
た、麺用カルシウム添加剤が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で使用される製麺用原料粉
としては、通常のLL麺等の麺類の製造において用いら
れる製麺用原料が使用可能である。 例えば、小麦粉、
そば粉等の穀粉や、各種澱粉類等の主原料の他、増粘
類、食塩、かんすい、色素等の「粉末」で添加できるも
のが原料粉に使用できる(本明細書での「原料粉」と
は、硫酸カルシウムと水以外の粉末状で添加される原料
を指す)。
【0011】本発明の必須構成要素である硫酸カルシウ
ムとは、精製した硫酸カルシウム、硫酸カルシウムを主
成分としたセッコウ(石膏)、もしくは、カルシウム吸
収促進作用を有する物質やビタミン等を混合したLL麺
用カルシウム添加剤(栄養強化剤)として、LL麺用の
製麺原料粉に添加する。 なお、硫酸カルシウムの添加
方法は、原料粉に添加してから混合しても、あるいは水
を加えて混練時に混練物に対して添加することもでき
る。 なお、硫酸カルシウムは、国際規格においては、
無水塩(CaSO4)と2水塩(CaSO4・2H2O)が食品添加物
として認められており、そのいずれもが本発明にも適用
可能である。 しかしながら、食品用栄養強化剤の用途
では、2水塩が一般的に使用されていることから、2水
塩を使用するのが好ましい。 なお、本明細書での「硫
酸カルシウム」とは、特に断りのない限り、硫酸カルシ
ウムの無水物のほか、2水和物、半水和物等も含むもの
とする。
【0012】硫酸カルシウムの添加量としては、カルシ
ウム量が1食当たり100mg(100mg/1食)以上、好まし
くは300mg/1食以上となるように添加する。 つまり、
硫酸カルシウムのみを添加する場合は、CaSO4としては3
40mg/1食以上、好ましくは、1000mg/1食以上、CaSO4
2H2Oとしては430mg/1食以上、好ましくは、1300mg/1
食以上添加することになる。 これを原料粉に対する添
加量に換算すると、通常のLL麺[レギュラーサイズ;
1kgの原料粉で12食を製造;麺の湿重量はラーメンタイ
プで約180g(水分約60%)、うどんタイプで約240g(水
分約70%)]の場合、原料粉1kgに対して、CaSO4で約4
g以上、好ましくは、約12g以上、CaSO4・2H2Oで約5g
以上、好ましくは、約15g以上を添加する。
【0013】ただし、他のカルシウム塩を併用する場合
は、食味に影響を与えない程度であれば、例えば、乳酸
カルシウムを併用して添加することもできる。 従っ
て、食味への影響が比較的小さい乳酸カルシウムを併用
する場合、カルシウム含有量が75mg程度の乳酸カルシウ
ムであれば、食味への影響が最小限に抑制できる(100mg
の添加量では多少酸味が増強される;後出の試験例3を
参照)ので、硫酸カルシウムによるカルシウム添加量と
しては、100−75=25mg以上、すなわち、原料粉1kg当
たり約1g以上のCaSO4、あるいは約1.3g以上のCaSO4
2H2Oの添加を行えばよい。
【0014】硫酸カルシウムの添加量の上限は、例え
ば、原料粉1kgに対し硫酸カルシウムを30重量%添加し
ても、食味に大きな変化を与えずに製麺することができ
る。
【0015】しかし、食品添加物の使用基準によれば、
「最終製品中でのカルシウム量が1.0%以下」に規定さ
れているので、通常、ラーメンタイプの場合、麺原料粉
1kgで12食製造した時の1食当たり麺の湿重量が約180
gとすると、原料粉1kgに対してCaSO4・2H2Oで93g、Ca
SO4で73gが上限値となる。 一方、うどんタイプの場
合、麺の湿重量を約240g(原料粉1kgで12食分)とす
ると、原料粉1kgに対して124gのCaSO4・2H2O、および9
8gのCaSO4となり、よって、いずれの場合でも約13重量
%以下の添加が望ましい。
【0016】すなわち、硫酸カルシウムの添加量として
は、他のカルシウム塩と併用する場合は原料粉の0.1重
量%以上、硫酸カルシウムのみの添加とする場合で0.4
重量%以上、好ましくは1.2〜13重量%とするのが望ま
しい。
【0017】これを、LL麺の乾燥重量ベースで換算す
ると、原料粉中の、特に、小麦粉、澱粉は通常約14%の
水分を含んでいるので、この水分量を差し引いて換算す
ると、LL麺中の硫酸カルシウム(この場合は乾燥重量
であるので無水塩)の含有量は、他のカルシウム塩と併
用する場合で0.12重量%以上、硫酸カルシウムのみの添
加とする場合で0.47重量%以上、好ましくは、1.4〜12
重量%とする。
【0018】また、硫酸カルシウムの他に、カルシウム
の生体への吸収性を高めることが知られているカゼイン
分解物を添加することができる。 例えば、太陽化学株
式会社のCCP(商品名)や明治製菓株式会社のCPPIII
(商品名)などのカゼイン分解物を用いる場合、カルシ
ウム量の35重量%以上、すなわち、硫酸カルシウム(Ca
SO4)量の8重量%以上の量を混合してLL麺用カルシウ
ム添加剤とすることが好ましい。 その他、栄養改善の
目的で、ビタミンB群、C等を、このLL麺用カルシウ
ム添加剤にさらに添加することもできる。
【0019】本発明のLL麺の製造工程としては、上記
製麺用原料と硫酸カルシウムを水と共に混練し、得られ
た混練物を圧延した後に切り出すか、押し出しや引き延
ばし等の常法によって麺線とする。 圧延時に複数の麺
帯を重ね合わせて得た多層麺帯の任意の層に、本発明の
硫酸カルシウムを添加して多層麺とすることもできる。
特に、カルシウムを含む層を多層麺の内層に限定的に使
用すれば、カルシウムの溶出を抑える上で効果的であ
る。
【0020】麺線を得た後、これを蒸してα化、または
茹でてα化する。 そして、麺線のα化後またはα化と
同時に、麺線を酸液で処理して麺線pHを酸性域に調整す
る。
【0021】酸処理の方法としては、麺線を酸液に浸漬
する方法や、麺線に酸液を噴霧する方法等がある。 こ
の酸液としては、有機酸の水溶液が好ましく、酢酸、乳
酸、クエン酸、酒石酸等の水溶液が使用できる。 麺線
のpHは酸性域に調整されるが、pH域は、静菌性を考慮し
て、一般的には4.5以下とする。 しかし、pHを下げる
ことで酸味が強くなるので、pHは4.0以上、好ましく
は、4.0〜4.5とする。
【0022】pH調整した麺線は、パウチ等の密封容器に
密封して、90〜100℃で、数分〜10数分程度、加熱殺菌
する。 また、加熱殺菌時や保存時に麺線が結着するの
で、この結着を防ぐために、通常は、油脂等を添加して
加熱する。 加熱処理された密封容器入り麺線は、スー
プ、具材等と一緒に容器、袋等の外包装材で包装され、
製品として出荷・流通される。
【0023】これらの製造工程を経ることで、常温で数
ヶ月間の長期保存性を有し、熱湯を添加するだけで喫食
できるLL麺を得ることができる。 特に、硫酸カルシ
ウムを新たに添加したことで、カルシウム成分が強化さ
れ、かつ食味等に優れたLL麺を提供することができ
る。
【0024】
【実施例】以下に、本願発明を具体的に説明するが、本
願発明はこれら実施例の開示に基づいて限定的に解釈さ
れるべきではない。
【0025】実施例1:LLうどん[硫酸カルシウム添
加] 小麦粉900g、澱粉80g、食塩20gを混合して、約1kg
の原料粉とした(1kgで12食分の原料とする)。 これ
に、1食当たりのカルシウム量が300mgになるように、1
5.5gの硫酸カルシウム2水塩を添加した(約15.5g/原
料粉kgのCaSO4・2H20=1食当たりのカルシウム量約300m
g)。 これに360mlの水を加え、よく混練した後、ロー
ル圧延機で圧延して、最終的に厚さ2.7mmの麺帯とし、
角刃10番で切り出して麺線とした。 切り出された麺線
を、熱湯で10分間茹で、液切りし、冷却し、次いで、1
食分ずつ12等分した。 そして、保存性を付与すべく、
麺線pHが4.0〜4.2になるように乳酸水溶液(乳酸濃度;
1.0%(W/V))を調製し、この液に30秒間浸漬し、麺線のp
Hを調整した。 次に、pH調整した麺線をよく液切り
し、レトルト用パウチ袋に白絞油約5mlと共に入れ、密
封した後、蒸気滅菌庫で、庫内温度98℃で、30分間加熱
して、標記のLLうどんを得た。 冷却したこのLLう
どんに350mlの熱湯を加え、試食したところ、品質、味
に問題はなかった。
【0026】比較例1:LLうどん[炭酸カルシウム添
加] 実施例1と同様に、1食当たりのカルシウム量が300mg
になるように、硫酸カルシウムの代わりに、炭酸カルシ
ウムを9g(約9g/原料粉kgのCaCO3=1食当たりのカ
ルシウム量約300mg)を添加して、LLうどんを作っ
た。 このうどんは、極めて酸味が強く、違和感があっ
た。 また、このpH調整(pH4.1)に要した乳酸水溶液
の濃度は7.5%(W/V)であり、実施例1よりはるかに高い
濃度の酸液が必要であった。
【0027】試験例1:カルシウムの形態による影響 各種カルシウム塩を、LL中華麺において1食(湿重量
約180g)当たりのカルシウム量が100mg、300mgあるい
は1800mg(1重量%)になるように製麺用原料に添加し
て、同一濃度の酸液に、同時間浸漬した時の麺線pHの変
化を測定し、麺線pHに対する各種カルシウム塩の影響を
調べた。 pHの低下が大きいものほど静菌性の面で好ま
しく、pHの低下が小さい場合、同一pHにした時の酸度が
高くなり、また酸味も強くなる。
【0028】まず、小麦粉980g、食塩20g、カンスイ
2g、重合リン酸塩1gを混合して、約1kgの原料粉と
した(1kgで12食分の原料とする)。 これに各種カルシ
ウム塩を、最終的に1食当たりのカルシウム量が100m
g、300mgあるいは1800mgになるように、1.2g、3.6gあ
るいは21.6gのカルシウム量相当分を添加した(各カル
シウム塩の添加量は表1に記載の通り)。 これに水330
mlを加え、よく混練した後、ロール圧延機で圧延して最
終的に厚さ1.4mmの麺帯とし、この麺帯を角刃20番で麺
線に切り出した。 切り出された麺線を連続蒸し器で12
0秒間蒸煮し、液切りし、冷却して1食分ずつ12等分し
た。 これを、1.5%乳酸水溶液に30秒間浸漬し、麺線
のpH調整を行った。 この条件は、カルシウム塩無添加
の一般的な麺において、pHを4.0〜4.2に調整するに十分
な条件に相当する。 pH調整した麺線をよく液切りし、
レトルト用パウチ袋に白絞油約5mlと共に入れ、密封し
た後、蒸気滅菌庫で庫内温度98℃で、30分間加熱した。
加熱後、自然冷却して得たLL中華麺の麺線pHを測定
し、また、得られたLL中華麺(約180g)に即席麺用粉
末スープと熱湯350mlを加え、試食して官能評価を行っ
た。 なお、生地pH、酸処理後の麺線pHは、それぞれの
サンプルを蒸留水で10倍に希釈した後にホモジナイズし
て測定した(pHの測定方法は、以後の実施例でも同
じ)。
【0029】
【表1】
【0030】表1に記載の結果の通り、麺線pHが目的と
するpH4.5より低くなった事例は、硫酸カルシウム、塩
化カルシウムおよび乳酸カルシウム(100mgのカルシウ
ム添加区)であった。 しかし、乳酸カルシウムは、硫
酸カルシウムと塩化カルシウムに比べて、pHの下がり幅
が小さかった。 また、塩化カルシウムを添加したもの
は、いずれも「えぐみ」のある麺となり、喫食に不向き
であった。 これに対して、硫酸カルシウムを添加した
LL麺では、酸味の増強は無く、また、食味、食感への
影響も無く、良好に喫食できた。
【0031】試験例2:カルシウム塩の茹で液への溶出 硫酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウムを添
加した麺の茹で時におけるカルシウム溶出量について、
茹でうどんを作成して下記の通り検討した。
【0032】小麦粉900g、澱粉80g、食塩20gを混合
して、約1kgの原料粉とした(1kgで12食分の原料とす
る)。 これに上記カルシウム塩を、最終的に1食当た
りのカルシウム量が300mgになるように、3.6gのカルシ
ウム量相当分を添加した(各カルシウム塩の添加量は表
2参照)。 これに水360mlを加え、よく混練した後、
ロール圧延機で圧延して最終的に厚さ2.7mmの麺帯と
し、この麺帯を角刃10番で麺線に切り出した。 切り出
された麺線を1食分(12等分)に切断し、熱湯で約10分間
茹でた。
【0033】麺線に残存するカルシウムの量を測定し、
残存率を計算した。 なお、カルシウム残存量の測定方
法は、最終製品の1食分全量を灰化させ、原子吸光測定
法によって行った。
【0034】
【表2】
【0035】表2に記載の結果の通り、硫酸カルシウム
の溶出量は、塩化カルシウム、乳酸カルシウムよりはる
かに少なく、食味も良好であった。
【0036】試験例3:乳酸カルシウムの使用量上限 試験例1の結果より、硫酸カルシウムと塩化カルシウム
が麺線pHに対してほとんど影響を与えず、また、乳酸カ
ルシウムもこれらに次いで影響が小さいことが認められ
た。 そこで、乳酸カルシウムが食味に影響を与えない
添加量の上限について検討を行った。
【0037】小麦粉980g、食塩20g、かんすい2gを
混合し、約1kgの原料粉とした(1kgで12食分の原料と
する)。 これに乳酸カルシウムを、最終的に1食当た
りのカルシウム量が、100mg、75mg、50mgになるように
製麺用原料に添加し(C6H10CaO6・5H2Oを原料1kg当たり
それぞれ、9.2g、6.9g、4.6g)、さらに、硫酸カルシ
ウムを、カルシウム量が0mg、25mg、50mgになる量だけ
添加して(CaSO4・2H20を原料1kg当たりそれぞれ、0
g、1.3g、2.6g)、1食当たりのカルシウム量がそれ
ぞれ 100mgになるように調整した。
【0038】これに水330mlを加え、よく混練した後、
ロール圧延機で圧延して最終的に厚さ1.4mmの麺帯と
し、この麺帯を角刃20番で麺線に切り出した。 切り出
された麺線を、連続蒸し器で120秒間蒸煮し、液切り
し、冷却して、そして、1食分(12等分)に切断した。
これを、麺線pHが4.0〜4.2になるように濃度調整した
乳酸水溶液に、30秒間浸漬し、麺線のpH調整を行った。
この時に必要とした乳酸水溶液の乳酸濃度を、以下の
表3に示した。
【0039】
【表3】
【0040】pH調整した麺線をよく液切りし、レトルト
用パウチ袋に白絞油約5mlと共に入れ、密封した後、蒸
気滅菌庫で、庫内温度98℃で、30分間加熱した。 加熱
後に自然冷却して得たLL中華麺に、熱湯350mlを加
え、試食を行い、酸味の評価を行った。
【0041】その結果、乳酸カルシウム添加量が、1食
当たりのカルシウム量が75mg程度ならば、酸味の増強作
用は特に気にならなかったが、100mgの添加量では明ら
かに酸味の増強が感じられた。 従って、LL麺にカル
シウムを、1食当たり100mg以上添加する場合、硫
酸カルシウムは、カルシウム量で25mg以上、すなわ
ち、原料粉1kg当たり、硫酸カルシウム2水塩(CaSO4・2
H20)で約1.3g以上、硫酸カルシウム無水塩(CaSO4)で約
1g以上添加することが望ましい。
【0042】実施例2:LL中華麺[LL麺用カルシウ
ム添加剤使用] 100gの硫酸カルシウム2水塩に、CCP(太陽化学株式会
社製)11.6gを添加して粉体のままよく混合して、「L
L麺用カルシウム添加剤」を得た。
【0043】小麦粉980g、食塩20g、カンスイ2g、
重合リン酸塩1gを混合して約1kgの麺原料とし(1kg
で12食分の原料とする)、これに前記LL麺用カルシウ
ム添加剤17.5gを添加した(約15.5gのCaSO4・2H20=1
食当たり約300mgのカルシウム)。 これに、水340mlを
加え、よく混練した後、ロール圧延機で圧延して最終的
に厚さ1.4mmの麺帯とし、この麺帯から角刃20番で麺線
を切り出した。 切り出された麺線を連続蒸し器で120
秒間蒸煮し、液切りし、冷却して1食分ずつ12等分し
た。 これを、1.0%(W/V)乳酸水溶液に30秒間浸漬し、
麺線のpHを4.2とした。 pH調整した麺線をよく液切り
し、レトルト用パウチ袋に白絞油約5mlと共に入れ、密
封し、蒸気滅菌庫で、庫内温度98℃で、30分間加熱し
た。 これを常温で1週間保存した後、得られたLL中
華麺(約180g)に即席麺用粉末スープを加え、熱湯350
mlを注加して、試食したところ、品質、味に問題は認め
られなかった。
【0044】実施例3:三層LLうどん[内層にカルシ
ウム添加] 小麦粉900g、澱粉80g、食塩20gを混合して約1kgの
原料粉とし(1kgの原料粉で24食分の内層用原料とす
る)、この原料粉に、硫酸カルシウム2水塩を31g添加
した。 これに、水360mlを加え、よく混練した後、ロ
ール圧延機で圧延して厚さ5mmの麺帯とし、得られた麺
帯を三層麺の内層用麺生地とした。
【0045】次に、小麦粉900g、澱粉100g、食塩20g
を混合して約1kgの原料粉とした(1kgの原料粉で24食
分の外層用原料とする)。 この原料粉に水350mlを加
え、よく混練した後、ロール圧延機で圧延して厚さ5mm
の麺帯とし、得られた麺帯を三層麺の外層用麺生地とし
た。
【0046】上記麺帯を外層麺帯・内層麺帯・内層麺帯
・外層麺帯の順で4層に重ね、更にロールでこれらを圧
延して、内層と外層の比が1:2:1の麺帯厚2.7mmの三層麺
帯とし、角刃10番で麺線を切り出した。 切り出された
麺線を熱湯中で10分間茹で、液切りし、冷却して1食分
ずつ12等分した。 これを、1.0%(W/V)乳酸水溶液に30
秒間浸漬し、麺線のpHを4.1とした。 pH調整した麺線
をよく液切りし、レトルト用パウチ袋に白絞油約5mlと
共に入れ、密封した後、蒸気滅菌庫で、庫内温度98℃
で、30分間加熱した。 これを常温で1週間保存した
後、得られたLLうどん(約240g)に即席麺用粉末ス
ープを加え、熱湯350mlを注加して、試食したところ、
品質、味に問題は認められなかった。 なお、この方法
によって作成した麺では、茹で液中にカルシウムがほと
んど流出しなかった。
【0047】
【発明の効果】本発明によって、所期の目的であった、
食感、食味等に影響を与えずに、LL麺でのカルシウム
添加量の増大が可能となった。
【0048】そして、本発明に従って、カルシウム成分
の強化目的で硫酸カルシウムを用いることで、炭酸カル
シウム等の使用時に認められたLL麺の酸液処理に起因
する極めて強い酸味の発現が防止でき、また、酸液の使
用量を低減でき、さらには、酸液処理工程での酸液のpH
調整作業も容易になるなど、製造効率上ならびに食品と
しての魅力を高めるなどの様々な効果を相乗的に奏する
のである。
【0049】加えて、本発明に従って、LL麺の構成要
素として硫酸カルシウムを用いることで、例えば、塩化
カルシウムを用いて得られたLL麺で認めらえた「えぐ
み」の発現も解消され、また、茹で時のカルシウム溶出
量も劇減するなどの効果もある。
【0050】さらに、栄養改善効果を目的に、麺類に通
常添加されるビタミンB群や、カルシウム吸収効果を高
めることが知られているカゼイン分解物を、硫酸カルシ
ウムと共に混合してLL麺用カルシウム添加剤とすれ
ば、LL麺の栄養成分(組成)も一層改善され、消費者
の需要・要望を満たすLL麺の実現が図れることにな
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/16 A23L 1/10 A23L 1/304

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料粉1/12kgに対し、カルシウムが
    100mg以上添加されたLL麺であって、 前記カルシウムのうち25mg以上のカルシウムが硫酸カ
    ルシウムの添加に由来するものであるLL麺。
  2. 【請求項2】 前記カルシウムのうち100mg以上のカ
    ルシウムが硫酸カルシウムの添加に由来するものである
    請求項1に記載のLL麺。
  3. 【請求項3】 少なくとも硫酸カルシウムとカゼイン分
    解物の組み合わせを含むことを特徴とするLL麺用カル
    シウム添加剤。
  4. 【請求項4】 LL麺の製造方法であって、下記の工
    程、すなわち; (a)製麺用原料粉と水を混練して混練物を調製し、 (b)該混練物を圧延後に切り出して、あるいは押し出
    して麺線を調製し、 (c)該麺線をα化処理し、および (d)前記麺線をα化処理と同時あるいはα化処理後に
    酸液処理して、麺線pHを酸性域に調整する、工程を含
    むLL麺の製造方法において、 前記工程(a)において、前記原料粉1/12kgに対
    し、カルシウムを100mg以上添加し、前記カルシウム
    のうち25mg以上のカルシウムを硫酸カルシウムで添
    加する、ことを特徴とするLL麺の製造方法。
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