JP3455002B2 - 永久磁石式回転電機 - Google Patents

永久磁石式回転電機

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JP3455002B2 JP02694596A JP2694596A JP3455002B2 JP 3455002 B2 JP3455002 B2 JP 3455002B2 JP 02694596 A JP02694596 A JP 02694596A JP 2694596 A JP2694596 A JP 2694596A JP 3455002 B2 JP3455002 B2 JP 3455002B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超高速で回転可能
な永久磁石式回転電機に係り、特に回転軸に配設した永
久磁石の飛散を防止する保持環を備えた永久磁石式回転
電機に関する。
【0002】
【従来の技術】図13は従来の一般的な永久磁石式回転
電機の径方向の断面図を示している。同図に示す永久磁
石式回転電機は、ステータ1とロータ2との組合わせで
構成されている。ステータ1には電機子鉄心3に形成し
たスロット4にコイル5が配設され、ロータ2にはロー
タ鉄心6の外周表面に界磁となる永久磁石7が配設され
ている。
【0003】回転電機が20000rpm以上の超高速
永久磁石回転電機の場合、回転時にロータに作用する遠
心力はかなり大きくなる。誘導機や一般の回転界磁式の
同期機は、ロータにコイルが配設されているため、超高
速で回転させるとコイルの強度が遠心力に耐えることが
できない。また、ロータコイルにより発生した熱により
ロータが歪んだり、軸方向に伸びて高速回転が困難とな
る。
【0004】一方、図13に示すようにロータの界磁に
永久磁石を用いた回転電機の場合、ロータにはコイルが
ないために熱が発生しないので、超高速回転が比較的容
易である。しかし、ロータ鉄心6の表面に配設した永久
磁石7に大きな遠心力が作用するので、永久磁石7をロ
ータ鉄心6に固定している接着剤が高速回転時の遠心力
の引っ張り強度に耐えることができず永久磁石7が飛散
する可能性がある。したがって、永久磁石7をロータ鉄
心6に接着剤よりも強い引っ張り強度が得られる何等か
の方法で固定する必要があった。永久磁石7の遠心力に
よる飛散を防止する固定構造として図14に示すような
構造が提案されている。同図に示す固定構造は、SUS
304、インコネル等の非磁性鋼材で作られたかなりの
厚さを有する保持環9を永久磁石7の外周面に設けて、
永久磁石7をロータ鉄心6に強固に固定するものであ
る。または、タングステンワイヤ、ケプラ繊維等の線材
やエポキシガラステープ等を永久磁石7に巻き付けてロ
ータ鉄心6に固定する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような非磁性鋼材で作られた保持環で永久磁石7を固
定する構造、又は強度の強い線材等を永久磁石7に巻き
付けて固定する構造には以下のような解決すべき課題が
あった。 (1)超高速回転における課題(永久磁石の機械的固
定) 上記非磁性鋼材で作られた保持環または金属ワイヤ、ケ
プラ繊維等の線材やエポキシガラステープ等を、永久磁
石の外周に覆い又は巻き付けて固定する構造では、ステ
ータ1とロータ2との空隙部に非磁性材が配置され、磁
気的な空隙長が長くなるため空隙部間で起磁力が大きく
低下する。このことは空隙磁束密度が低下して回転電機
の出力が低下することを意味する。
【0006】また、上記非磁性鋼材で作られた保持環で
永久磁石を覆う固定構造では、永久磁石が保持環内で自
由に動かないようにするために寸法誤差がほぼ0の精度
で加工すると、組み立て時に保持環をロータに嵌め込む
作業が極めて困難になる。保持環がロータに強固に嵌め
込まれていなければ、高速回転時に過大な遠心力が保持
環に作用して保持環に周方向の伸びが生じるので、永久
磁石が回転中に自由に動きだして破損し又はロータのバ
ランスが崩れて回転が不安定になるなどの不具合が生じ
る。
【0007】なお、保持環を焼き嵌めしてロータに挿入
することにより、永久磁石の外径より小さな内径の保持
環を高温状態にして伸びがある状態で挿入して常温時に
縮んで永久磁石を締付けて強固に固定できる。しかし、
永久磁石は高温状態にすると特性が劣化することが知ら
れている。特に、永久磁石で構成される磁気回路の磁気
抵抗が高い状態で高温にさらされると不可逆減磁を起こ
す。ロータを組み立てる時は閉磁気回路の磁路となるス
テータが無いため、焼き嵌め時に高温の保持環に永久磁
石が接すると不可逆減磁をおこすので、回転電機の出力
は大幅に低下させる要因となる。特に、Nd−Fe−B
系の永久磁石は高いエネルギ積であり機器の小型、高出
力化に有効であるが、高温特性が悪い欠点があり、焼き
嵌めによる組み立て方法を採用することはできなかっ
た。 (2)高調波による損失 永久磁石式回転電機は、電機子鉄心3に歯8とスロット
4とが円周方向に交互に形成されているので、界磁(永
久磁石7)中心が電機子鉄心3の歯8に対向する位置と
スロット5に対向する位置(各ロータの回転位置)とで
空隙パーミアンスが変化し、空隙中に空間高調波が生じ
る。このため、ロータが高速回転したとき高調波により
永久磁石表面に渦電流が発生して加熱され磁気特性が低
下する。特に、Nd−Fe−B系永久磁石は、図9の減
磁曲線に示すように100℃以上で特性が大きく低下す
る。このことは回転電機の出力が低下することを意味す
る。さらに各磁石表面を局部的にみると、スロット4と
歯8との位置により永久磁石7の動作点が大きく変化す
る。そのため、永久磁石7はヒステリシス損が発生し、
磁石自身が加熱して上記のように特性が低下する。ま
た、永久磁石式回転電機にインバータ電源を接続して電
動機として駆動した場合、インバータ電源の出力電圧に
含まれる高調波によっても永久磁石に渦電流が発生し加
熱されることになる。特に、回転電機が大容量の場合
は、この渦電流は無視できない量となる。 (3)広範囲の可変速特性 永久磁石式回転電機は、界磁に永久磁石を用いているた
め界磁磁束は一定である。従って、電機子コイルと鎖交
する磁束量は一定であり、ロータの回転数に比例して誘
起電圧は大となり、回転電機の端子電圧も大となる。
【0008】一方、電気自動車等の電気推進システムや
コンプレッサ等に使用するモータは低速領域は定トルク
運転であるが、高速領域は定出力運転を行う。したがっ
て、定トルク領域では端子電圧は回転数にほぼ比例して
大きくなるが、定出力領域ではトルクは小さくなるため
電流も少なくてよいことから電圧は一定に近い値となる
ことが望ましい。
【0009】しかし、このシステムに永久磁石式回転電
機を適用すると、高速回転領域では誘起電圧は回転数に
比例して高くなり、ついには誘起電圧がインバータの電
圧に一致して回転が不可能となる。高速回転を可能とす
るには単純にインバータの電圧を大きくすればよいが、
インバータ電圧を上げるとインバータの皮相電力が大き
くなり、インバータかが大型化し、また、効率も悪くな
る。
【0010】このようなことから、界磁磁束と逆方向に
作用する電機子反作用のd軸成分の電機子電流を流すこ
とにより電機子コイルと鎖交する界磁磁束を低下させる
技術(弱め界磁)が考えられている。しかし、永久磁石
の比透磁率は真空の比透磁率(1.0)に近い値(1.
1)であり、電機子側からロータの界磁をみると磁気的
空隙長は永久磁石厚みと機械的空隙長の和となり、非常
に大きくなる。したがって、弱め界磁の効果を得るには
d軸の電機子電流をかなり大きくしなければならず、効
率的、温度的に実用上問題がある。また、永久磁石自身
にも電機子反作用により反磁界が直接加わり、特性が劣
化する(減磁)おそれがある。
【0011】本発明は、以上のような実情に鑑みてなさ
れたもので、径方向の電機子コイルと鎖交する界磁の磁
束量を僅かな低下に抑え、装置自体を大型化すること無
く、かつ永久磁石の特性を劣化させること無く永久磁石
をロータ鉄心に機械的に強固に固定でき、製作も容易な
永久磁石式回転電機を提供することを目的とする。
【0012】また、本発明はスロットとインバータ電源
による高調波により発生する渦電流等の損失を抑制し、
永久磁石による電機子コイルの鎖交磁束量を効果的に調
整することができ低速から高速回転までの広範囲の運転
を可能とする永久磁石式回転電機を提供することを目的
とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために以下のような手段を講じた。請求項1に対
応する本発明は、互いに空隙を介して対向する電機子及
び界磁からなり、電機子鉄心に電機子巻線を巻いて構成
したステータと、ロータ鉄心の円周表面に界磁の永久磁
石を配置し、かつ該永久磁石の空隙側表面に磁気回路を
形成可能な材料でできた保持環を配置して構成したロー
タとを備える。
【0014】保持環は、磁気回路を形成可能な材料とし
て、金属、磁性材、低透磁率の磁性材、SUS630の
いずれか一つの材料、又はそれらから形成されたリング
状の薄板である。
【0015】本発明の永久磁石式回転電機によれば、ロ
ータ鉄心の外周面に配置された永久磁石の特性を劣化さ
せること無く保持環をロータ鉄心に焼嵌めできる。保持
環を金属、磁性材、低透磁率の磁性材、SUS630の
いずれかで構成することから、耐力が約100kgf/
mm2 以上の金属で加工することができ、十分な強度を
確保できる。
【0016】永久磁石は保持環によりロータ鉄心に強固
に固定されるので、永久磁石をロータ鉄心表面に固定す
るのに接着剤を使用する必要がなく、接着剤の使用不可
能な高温環境においても使用でき、耐高温の永久磁石回
転電機を実現できる。
【0017】回転電機の界磁として永久磁石を使用した
場合、回転電機の小形・高出力のため、保持環が無いと
仮定した状態で永久磁石が発生する空隙の磁束密度を
0.8%〜1(T)近傍になるよう磁気設計される。
【0018】本発明では、磁束密度0.8(T)近傍で
は保持環の比透磁率を100以上にすることができ、磁
極部分の径方向においては保持環が磁気的な空隙となら
ず保持環による磁束密度の低下も僅かに抑えることがで
きる。
【0019】一方、周方向磁界では磁性材の保持環によ
り保持環に沿って周方向に磁束が漏れるが、極間部に近
づくにつれて磁石表面より保持環を通して漏れた磁束が
集まってくるため、磁束量が増え、磁束密度は磁石の周
方向端部付近の保持環で1.6(T)以上となり、極間
部付近の保持環では2(T)以上となる。
【0020】本発明では、保持環は磁束密度1.6
(T)以上で比透磁率が100以下にすることができ、
極間部ではさらに比透磁率が低下して、極間部の磁気抵
抗はかなり大となるため、周方向の磁束の漏れは小量で
飽和する。
【0021】また、ヒステリシス損失及びコギングトル
クに関しては、界磁の永久磁石表面に厚みのある磁性材
等の保持環があるため、電機子鉄心の歯を通る磁束は保
持環内でなめらかに分布する。これより、回転に伴うパ
ーミアンス変化も小となり、回転に伴う永久磁石の磁気
特性曲線(B−H特性)上の動作点の変化は小となりヒ
ステリシス損失が低減される。同時に空隙パーミアンス
変化により生じるコギングトルクも低減される。
【0022】請求項1、2に対応する発明は、前記保持
環の空隙側外周に配置されたリング状の薄板である積層
リングを備える。積層リングは、金属、磁性材、電磁鋼
板、マレージング鋼、又は珪素鋼板のいずれか一つの材
料から形成されたリング状の薄板であり、前記保持環の
空隙側外周に配置され軸方向に電気抵抗を形成する。
【0023】本発明の永久磁石式回転電機によれば、ロ
ータの空隙表面に設けられた積層リングにより、軸方向
に大きな電気抵抗が形成されるので高調波による渦電流
を抑制することができ、これにより永久磁石の加熱を抑
制できる。
【0024】また、電機子からロータをみたときロータ
の外周には磁性体からなる保持環と積層リングがあるた
め磁気的空隙長は機械的空隙長と等しくなり、電機子に
よる電機子反作用磁界は強くなる。
【0025】また、図4に示すように電機子反作用磁界
により永久磁石が発生する磁束の一部は反発し、積極的
に保持環と積層リングを磁路として隣極と磁気回路を形
成し、電機子コイルと鎖交する界磁磁束は効果的に減少
する。
【0026】また、永久磁石の円周表面に配置された保
持環と該保持環の空隙側に配置された前記積層リング
の間に隙間を設けたので、保持環とリングとの間に僅か
な隙間があるため遠心力により保持環に作用した応力の
一部が積層リングに直接作用するのを軽減できる。
【0027】保持環をSUS630で構成し、積層リン
を珪素鋼板(例えば50HST70T)で構成すれ
ば、保持環は1175N/mm2の耐力があり積層リン
を構成する珪素鋼板は637N/mm2の耐力があるの
で、積層リングは自分自身に作用する遠心力のみに耐え
れば良く、十分に耐えられる。積層リングをマレージン
グ鋼で構成すれば、1500N/mm2の耐力を持たせる
ことができる。
【0028】請求項3に対応する本発明は、主磁束を作
る界磁の永久磁石の極間に補助的な補助永久磁石を配置
し、この極間に配置した補助永久磁石の磁化方向が主界
磁の永久磁石の端部側面とほぼ直交する方向に磁化され
ている永久磁石式回転電機である。
【0029】この永久磁石式回転電機によれば、保持環
及び又は積層リングについては上記作用効果を奏し、さ
らに永久磁石について次のような作用効果を奏する。す
なわち、極間部の永久磁石の磁束は永久磁石の端部側面
へ磁束が向いているため、保持環に沿った永久磁石の漏
れ磁束は補助永久磁石の磁束と逆方向となる。したがっ
て、漏れようとする磁束は、補助永久磁石に反発され、
空隙を通り電機子巻線と鎖交し、有効磁束量がさらに増
加する。
【0030】請求項4〜7に対応する本発明は、主磁束
を作る界磁の永久磁石が多数の分割された磁石で一つの
極を構成している永久磁石式回転電機である。この永久
磁石式回転電機によれば、保持環及び又は積層リング
ついては上記作用効果を奏し、さらに永久磁石について
次のような作用効果を奏する。すなわち、主磁束を作る
界磁の永久磁石が多数の分割された磁石で一つの極を構
成することにより、分割磁石の配置の組み合わせをかえ
るのみで極数の異なる界磁ができる。したがって、一つ
の永久磁石の型で極数の異なる回転電機の界磁を作るこ
とができる。
【0031】主磁束を作る界磁の永久磁石が多数の分割
された磁石で一つの極を構成し、磁極中心部の分割磁石
よりも大きな磁気エネルギ積である分割磁石を磁極端部
に配置する。このようにすれば、磁極端部の分割磁石の
磁気エネルギ積は中央の分割磁石よりも大であるので、
漏れによる落ち込み分を補うことができ、トルクリプル
を小さくするのに好適な矩形波が得られる。
【0032】主磁束を作る界磁の永久磁石が多数の分割
された磁石で一つの極を構成し、磁極中心部に温度特性
の良い分割磁石を配置し、磁極の端部側に温度特性が低
下するが磁気エネルギ積が大である分割磁石を配置す
る。このようにすれば、減磁界の強い磁極の中央部には
保磁力が高く温度特性の良い分割磁石を配置し、磁極の
端部側では高エネルギ積であるが温度特性が比較的悪い
分割磁石を用いることにより、高温状態でも特性の良い
永久磁石回転電機を実現できる。
【0033】請求項8に対応する本発明は、前記永久磁
石、該永久磁石の外周面に巻かれた保持環が、又はさら
に保持環の外周面に巻かれた積層リング、が軸方向に多
数分割されている永久磁石式回転電機である。
【0034】この永久磁石式回転電機によれば、金属又
は磁性材からなる保持環が軸方向に分割されるので保持
環をロータ鉄心に嵌め込む際に作用する磁気吸引力が小
さなものとなり作業性が向上する。
【0035】請求項9に対応する本発明は、保持環をロ
ータに焼嵌め方法により嵌込んだ永久磁石式回転電機で
ある。本発明によれば、保持環が金属、磁性材、低透磁
率の磁性材、SUS630のいずれか一つの材料、又は
それらから形成されたリング状の薄板であるので、焼嵌
め作業時に保持環を介して磁路が形成され、永久磁石が
高温にさらされた際に生じる不可逆減磁を防止できる。
したがって、ロータ鉄心の外周面に配置された永久磁石
の特性を劣化させること無く保持環をロータ鉄心に焼嵌
めできる。
【0036】請求項10に対応する本発明は、積層リン
が保持環に熱間静水圧加工(HotIsostatic Pressin
g)で接合されている永久磁石式回転電機である。保持
環はSUS630で構成することができ、積層リングは
珪素鋼板で構成することができる。
【0037】この永久磁石式回転電機によれば、空隙側
で上層部の積層リングの部分では高抵抗であるので渦電
流を抑制でき、下層部では高強度の金属等で構成された
保持環により強度を向上でき、回転電機の高速化、低損
失化が実現される。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。 (第1の実施形態)図1は第1の実施形態となる永久磁
石式回転電機の径方向断面を示している。
【0039】この永久磁石式回転電機は、所定の鉄心厚
を有する円筒状の電機子11と、この電機子11の内部
空間に空隙を介して同心状に配置された円柱状の界磁1
2とを組合わせて構成されている。以下、電機子11を
ステータ、界磁12をロータとして説明する。
【0040】ステータ11はケイ素鋼板を積層した電機
子鉄心13を備えている。電機子鉄心13の内周面に周
方向に連続してスロット14と歯15とが交互に形成さ
れ、電機子鉄心13の歯15にコイル16を巻いて電機
子を構成している。
【0041】ロータ12は中心軸となるロータ鉄心17
の円周表面に異極の関係である2個のNdFeBからな
る主界磁永久磁石18A,18Bが配置されている。ロ
ータ鉄心17はS45Cまたは高強度の3.5Ni−M
o−Vの磁性材で構成することができる。主界磁永久磁
石18A,18Bの両端の極間部に補助永久磁石19
A,19Bがそれぞれ配置されている。主界磁永久磁石
18A,18Bと補助永久磁石19A,19Bとを区別
しないときは単に「永久磁石18」と呼ぶこととする。
永久磁石18の外周を囲むようにして高張力で低透磁率
の磁性材であるSUS630からなる保持環20が配置
され、保持環20の外周に高張力のケイ素鋼板である5
0HST70Tの電磁鋼板を積層した積層リング21が
配置されている。
【0042】ここでは、保持環20を焼嵌めしてロータ
に取り付けている。保持環20を高温状態にして伸びが
ある状態で挿入して常温時に縮んで強固に固定されるも
のとなる。
【0043】ここで、保持環20を構成している磁性材
であるSUS630の磁気特性は、磁束密度が0.5〜
0.8(T)で比透磁率が100以上であり、かつ、磁
束密度が1.6(T)以上で比透磁率が10近くであ
る。また、SUS630の材料強度を示す耐力は117
5N/mm2 である。一方、積層リング21を構成して
いる磁性材である50HST70Tからなる電磁鋼板の
材料強度は637N/mm2 である。
【0044】次に、以上のように構成された永久磁石式
回転電機の作用効果について説明する。 (耐超高速回転・耐高温)保持環20の材料であるSU
S630の耐力は、上記した通り1175N/mm2
あるので、他の金属材料と比較してもその強度は十分に
大きなものとなっている。したがって、保持環20は超
高速回転時に発生する磁永久磁石18の遠心力に耐える
ことができ、永久磁石18をロータ鉄心17表面に強固
に固定できる。
【0045】また、保持環20が永久磁石18をロータ
鉄心17に対して固定するので、永久磁石18をロータ
鉄心17に固定する接着剤が不要となる。したがって、
接着剤の使用不可能な高温環境においても保持環20で
永久磁石18をロータ鉄心17に機械的に固定でき、高
温環境下においても高速回転することができる耐高温の
永久磁石回転電機を実現できる。
【0046】また、保持環20を焼嵌めしてロータに取
り付けているので、加工精度の低い永久磁石の外周に強
固に嵌込むことができロータの組み立てが容易である。
Nd−Fe−B系永久磁石は、磁気回路の磁気抵抗が高
い状態で高温にさらされると不可逆減磁をおこすことが
知られているが、本実施形態ではこの不具合は解消され
ている。本実施形態では、保持環20は磁性材であるた
め永久磁石は保持環20を磁路として閉磁気回路を形成
するため、高温状態でも不可逆減磁がおきない。
【0047】図11は耐高温タイプのNd−Fe−B系
永久磁石の動作時の減磁特性を示している。非磁性の保
持環をもつロータが単体で開磁気回路の状態としたとき
に約140℃以上の雰囲気にさらされると不可逆減磁を
おこしていることが示されている。例えば、180℃の
雰囲気にさらされると、動作点は高温時でO点になり、
常温環境に戻しても動作点はO′点となり不可逆減磁を
おこしている。このような不可逆減磁をおこしているロ
ータをステータに組み込むと、動作点はO′′点とな
り、焼嵌めを行うと磁束密度が大幅に低下することが分
かる。
【0048】一方、実施の形態では磁性の保持環により
動作点はC点となり、焼嵌め後に常温になると動作点は
C点に復帰する可逆減磁である。このようなロータをス
テータに組み込むと動作点はC′′点となり焼嵌め後も
磁束密度は高い状態を維持する。
【0049】したがって、実施の形態では高速時の伸び
を考慮して保持環の内径を小さくしても高温で十分な焼
嵌めにより保持環を永久磁石の外周に嵌込むことができ
る。これにより、永久磁石が回転中に自由に動いて破損
したり、ロータのバランスがくずれて回転が不安定にな
る不具合は防止できる。
【0050】以上により回転時に発生する遠心力による
永久磁石の飛散を防止でき、かつ永久磁石の特性を劣化
させること無く永久磁石外周に保持環20を強固に嵌込
むことができる。
【0051】(保持環を持った回転電機の小形化)図2
にSUS630とS45Cの比透磁率と磁束密度の関係
を示している。一般に、回転電機の界磁として永久磁石
を使用した場合、回転電機の小形・高出力化を実現する
ためには、保持環が無いと仮定した状態で永久磁石18
が発生する空隙の磁束密度が0.8〜1(T)近傍にな
るように磁気設計される。
【0052】図2に示すように、本実施形態において使
用している保持環20の材料であるSUS630は、磁
束密度0.8(T)における比透磁率は120である。
したがって、磁極部分の径方向においては保持環20が
磁気的な空隙とならず、磁束密度の低下も僅かである。
【0053】一方、周方向磁界についてみると磁性材か
らなる保持環20により保持環20に沿って周方向に磁
束が漏れるが、極間部に近づくにつれて磁石表面より保
持環20を通して漏れた磁束が集まってくる。そのた
め、極間部において磁束量が増え、磁束密度が永久磁石
18の周方向端部付近の保持環20で1.6(T)以上
となり、極間部付近の保持環20では2(T)以上とな
る。しかし、保持環20に使用しているSUS630
は、図2に示すように磁束密度1.6(T)以上で比透
磁率が10近くまで低下するので、極間部の保持環20
の磁気抵抗はかなり大となるため、周方向の磁束の漏れ
は小量で磁気的に飽和する。
【0054】このことを検証するために実施した磁界解
析結果を図3、図4に示す。図3は、本実施形態と同様
に磁性保持環を適用したときの回転電機の磁束線図、図
4は従来の非磁性材の保持環を適用した場合の磁束線図
を示している。
【0055】この解析では、保持環によるロータからの
磁束の漏れを検討するに当たり、電機子鉄心のスロット
は省き、コアのみとした。また、磁束分布は磁極の中心
で対称であるため1極の半分で実施している。
【0056】その結果、本実施形態と同様の磁性保持環
を適用した回転電機の磁束密度は0.889(T)、従
来の非磁性材の保持環を適用した回転電機の磁束密度は
0.71(T)であった。すなわち、本実施形態による
回転電機の方が従来のものに比べて磁束密度が1.25
倍程度大きくなっている。
【0057】したがって、本実施形態のように磁性保持
環を用いることにより、径方向のステータと鎖交する界
磁の磁束量を僅かな低下に抑えることができるため、回
転電機を大型化すること無く、永久磁石18をロータ鉄
心17に機械的に強固に固定することができる。
【0058】(高調波損失、ヒステリシス損失の低減)
空隙パーミアンスの変化による高調波により永久磁石表
面に発生した渦電流により永久磁石が加熱され、また永
久磁石の動作点の変化により永久磁石に発生したヒステ
リシス損により永久磁石が加熱されるのは上述した通り
である。また、インバータ電源の出力電圧に含まれる高
調波によって永久磁石に発生した渦電流によっても永久
磁石は加熱されていた。
【0059】本実施形態ではロータ12の空隙表面に設
けられた積層リング21により積層方向に大きな電気抵
抗が形成されるので高調波による渦電流を抑制すること
ができる。これにより高調波により発生する渦電流によ
る永久磁石18の加熱を抑制できる。
【0060】また、磁性材からなる保持環20により、
図5に示すようにバイパスの磁路(漏れ磁束が通る磁
路)が追加して形成され、永久磁石18からみた外部パ
ーミアンスは大となり、永久磁石18のパーミアンス係
数が高くなって温度上昇による減磁特性が向上する。
【0061】また、磁性材からなり厚みのある保持環2
0を永久磁石18の表面に配置したので、電機子鉄心1
3に形成した歯15を通る磁束は保持環20内でなめら
かに分布する。これより、回転に伴うパーミアンス変化
も小さくなり、回転に伴う永久磁石18の磁気特性曲線
(B−H特性)上の動作点の変化も小さくなりヒステリ
シス損失が低減される。同時に空隙パーミアンス変化に
より生じるコギングトルクも低減される。
【0062】(可変速特性)永久磁石式回転電機は、電
機子から界磁側をみたときNdFeB永久磁石の比透磁
率は1.05であり、真空と同等であるため磁気的空隙
長は非常に大きなものとなる。このため、負のd軸電流
の電機子反作用により永久磁石の磁束を低減させて端子
電圧を調整する等価弱め界磁制御法では、永久磁石の磁
束量を低減させるのに大きな電機子電流を必要としてい
る。
【0063】本実施形態では、ステータ11からロータ
12をみたときロータ12の外周には磁性体からなり厚
みのある保持環20が配置されているため、磁気的空隙
長は機械的空隙長とほぼ等しくなり、電機子11による
電機子反作用磁界は強くなる。また、図5に示すよう
に、負のd軸電流の電機子反作用磁界により永久磁石1
8が発生する磁束の一部は反発し、強制的に保持環20
と積層リング21を磁路として隣極と磁気回路を形成す
る漏れ磁束を生じ、電機子コイル16と鎖交する界磁磁
束は効果的に減少する。
【0064】実際の各回転速度領域では次のように作用
させることができる。低・中速回転で負荷がある領域ま
たは定トルク領域において、トルクを発生するため電機
子電流(q軸電流)を流す。このとき界磁磁束だけでな
く、電機子の作る磁束も保持環20を主に通るため保持
環20の透磁率が下がり、保持環20に沿って周方向へ
漏れる磁束が少なくなり、コイル16の鎖交磁束は増加
する。一方、高速回転領域では、負のd軸電流を流すこ
と(弱め界磁)により、電機子反作用により、界磁磁束
は保持環20と積層リング21を磁路として隣極へと積
極的に流れ、電機子コイル16と鎖交する界磁磁束は有
効に減少することができる。これにより、モータの端子
電圧を低下させることができ、高速回転領域を拡大する
ことが可能となる。
【0065】また、上記の負のd軸電機子電流による電
機子反作用を利用した等価弱め界磁を行うとき、減磁界
により空隙磁束分布は歪んで高調波成分が生じ、高調波
による永久磁石に渦電流が発生することが予想される。
これらの高調波磁界に関しては、ロータ12の空隙表面
に設けられた積層リング21により積層方向に大きな電
気抵抗が形成されるので高調波による渦電流を抑制する
ことができる。これにより永久磁石18の加熱を抑制で
きる。
【0066】また、本実施形態では、主界磁永久磁石1
8A,18Bの極間部に補助永久磁石19A,19Bを
配置している。補助永久磁石19A,19Bの磁化方向
は主磁束を形成する主界磁永久磁石18A,18Bの磁
化方向とほぼ直角方向とし、主界磁永久磁石18A,1
8Bの空隙面側の極と主界磁永久磁石18A,18Bと
接する側の補助永久磁石19A,19Bの極とが同極と
なるようにしている。
【0067】補助永久磁石19A,19Bの磁束は主界
磁永久磁石18A,18Bの端部側面へ磁束が向いてい
るため、保持環20に沿った主界磁永久磁石18A,1
8Bの漏れ磁束は補助永久磁石19A,19Bの磁束と
逆方向となる。したがって、漏れようとする磁束は極間
部磁石19A,19Bに反発され、空隙を通り電機子コ
イル16と鎖交し、有効磁束量がさらに増加する。
【0068】図6は、このような作用を検証するために
実施した解析結果を示している。同図に示すように、漏
れようとする磁束が極間磁石19A,19Bに反発され
て、電機子鉄心13と鎖交している。また、本実施形態
による回転電機の磁束密度値は0.921(T)であ
り、従来と比較して磁束密度は1.30倍大きくなって
いる。
【0069】このように、従来の回転電機よりも有効磁
束量がさらに増加するので、回転電機の小形・軽量化が
可能となる。 (第2の実施形態)図7及び図8は第2の実施形態に係
る永久磁石式回転電機におけるロータ部分の断面構成を
示している。なお、第1の実施形態と同一部分には同一
符号を付している。
【0070】第2の実施形態の永久磁石式回転電機は、
主磁束を作る界磁の永久磁石を多数の磁石31に分割し
て一つの極を構成している。図7に示す例では、7つの
分割磁石31で1つの極を形成しており、全体の極数は
2極となっている。極間には第1の実施形態と同様に補
助永久磁石19A,19Bを配設している。
【0071】このように主磁束を作る界磁の永久磁石を
多数の分割磁石31で構成することにより、分割磁石3
1の配置の組み合わせをかえるのみで極数の異なる界磁
ができる。図7に示す例は2極であるが、同一の分割磁
石の配置をかえると図8に示すように4極にすることが
できる。したがって、1つの永久磁石の型で極数の異な
る回転電機の界磁を作ることができる。
【0072】また、ロータ鉄心の断面形状が多角形であ
るので、突発的に過大な力(接線方向成分の力)が永久
磁石に作用しても、永久磁石が周方向にずれるのを防止
できる。
【0073】(第3の実施形態)本実施形態の永久磁石
式回転電機は、第2の実施形態と同様に、主磁束を作る
界磁の永久磁石を多数の磁石31に分割して一つの極を
構成し、磁極中心に温度特性の良い分割磁石を配置し、
磁極の端部側は温度特性が低下するが磁気エネルギ積が
大きい分割磁石を配置して構成される。その他の構成は
第1の実施形態と同じである。
【0074】高速回転時に発生する誘起電圧を低下させ
るため負のd軸電流を与えて電機子反作用を利用した等
価弱め界磁制御を行うと、大きな減磁界が永久磁石の磁
極中央に作用する。
【0075】一方、NdFeB永久磁石は高温時に磁気
特性が低下し、特に高エネルギ積の磁石は温度特性が悪
くなる。図9にそのB−H特性を示す。100℃で永久
磁石の動作点がA点にある状態で減磁界が作用して動作
点がB点に移動する。この後、減磁界がなくなっても動
作点はA点に戻らずにA′点に移動し、高温状態では不
可逆減磁することがわかる。
【0076】本実施形態では、減磁界の強い磁極の中央
部には温度特性の良い永久磁石(例えば、NdFeB永
久磁石、Sm2Co17永久磁石)を用い、磁極の端部側
では高エネルギ積であるが温度特性が比較的悪いNdF
eB永久磁石を用いることにより、高温状態でも特性の
良い永久磁石回転電機を実現している。
【0077】(第4の実施形態)本実施形態の永久磁石
式回転電機は、第2の実施形態と同様に、主磁束を作る
界磁の永久磁石を多数の磁石31に分割して一つの極を
構成し、磁極中心の分割磁石よりも大きな磁気エネルギ
積である分割磁石を磁極端部に配置して構成されてい
る。その他の構成は第1の実施形態と同じである。
【0078】高速回転時にはインバータのスイッチング
素子の応答に限界があり、PWM制御が困難となるの
で、矩形波の電流で駆動することになる。このとき、ト
ルクリプルを小とするため永久磁石が作る空隙磁束分布
は矩形波が望まれる。また、体積当たりのトルクを大と
するには矩形波の空隙磁束分布が良い。
【0079】一般的には磁極の端部では磁束の漏れによ
り矩形波を得ることができないが、本実施形態では磁極
端部の永久磁石の磁気エネルギ積を中央の永久磁石より
も大きく設定しているので漏れによる落ち込み分を補う
ことができ、矩形波の空隙磁束分布が得られる。
【0080】(第5の実施形態)本実施形態に係る永久
磁石式回転電機は、図10に示すように永久磁石表面に
ある高張力の保持環20と保持環20の空隙側に配置し
た積層リング21との間に隙間22を設けるように構成
されている。
【0081】超高速回転時には過大な遠心力で保持環2
0が膨らむことが考えられる。保持環20と積層リング
21のはめあいがしまりばめで組み立てられていれば、
保持環20に作用した応力の一部が強度の弱い積層リン
グ21にかかる場合がある。
【0082】本実施形態では、保持環20,積層リング
21間に僅かな隙間22が形成されているため過大な遠
心力による応力が積層リング21に直接かかることはな
い。したがって、超高速回転時にも強度の弱い積層リン
グ21に過大な応力が加わるのを防止することができ
る。
【0083】(第6の実施形態)本実施形態に係る永久
磁石式回転電機は、図12に示すように永久磁石、保持
環及び積層リングが軸方向に多数に分割されている。大
容量機または軸方向に長い回転電機の場合、永久磁石の
磁気吸引力が大きいため、永久磁石に磁性の保持環を焼
き嵌めするときに大きな磁気吸引力が永久磁石と保持環
との間に作用する。このため、この吸引力に対抗しなが
ら保持環を挿入することとなるので、作業性が悪く、ま
た吸着時の衝撃により永久磁石を破損するおそれがあ
る。実施の形態では、永久磁石及び保持環、積層リング
は軸方向に分割されているので、分割された個々の保持
環に作用する磁気吸引力は小さくなり、作業性が向上
し、吸着時の破損も容易に防止できる。
【0084】以上の説明では、回転電機を2極とした
が、多極の永久磁石回転電機や永久磁石式のリニアモー
タでも同様に可能である。本発明は上記実施形態に限定
されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内
で種々変形実施可能である。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、径
方向の電機子コイルと鎖交する界磁の磁束量を僅かな低
下に抑え、装置自体を大型化すること無く、かつ永久磁
石の特性を劣化させること無く永久磁石をロータ鉄心に
機械的に強固に固定でき、製作も容易な永久磁石式回転
電機を提供することを目的とする。
【0086】本発明によれば、スロットとインバータ電
源による高調波により発生する渦電流等の損失を抑制
し、永久磁石による電機子コイルの鎖交磁束量を効果的
に調整することができ低速から高速回転までの広範囲の
運転を可能とする永久磁石式回転電機を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る永久磁石式回転
電機の径方向断面図である。
【図2】第1の実施形態における保持環であるSUS6
30と一般的に使用される磁性材であるS45Cの透磁
率と磁束密度の関係を示す図である。
【図3】第1の実施形態における保持環と積層リングを
用いたときの永久磁石式回転電機の磁界解析結果である
磁束線図である。
【図4】非磁性材の保持環を用いたときの従来の永久磁
石式回転電機の磁界解析結果である磁束線図である。
【図5】第1の実施形態における負のd軸電流の電機子
反作用による減磁界(逆磁界)があるときの磁性リング
の作用を示す図である。
【図6】第1の実施形態における保持環と積層リングと
極間磁石を用いたときの永久磁石式回転電機の磁界解析
結果である磁束線図である。
【図7】第2の実施形態に係る2極形の永久磁石式回転
電機のロータ部分の断面図である。
【図8】第2の実施形態に係る4極形の永久磁石式回転
電機のロータ部分の断面図である。
【図9】NdFeB永久磁石の各温度における減磁特性
と動作点の変化のようすを示す図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係る永久磁石式回
転電機の径方向断面図である。
【図11】Nd−Fe−B系永久磁石の磁気特性と焼嵌
め前後の動作点を示す図である。
【図12】本発明の第6の実施形態に係る永久磁石式回
転電機の一部断面図である。
【図13】従来の汎用の永久磁石回転電機の径方向断面
図を示す図である。
【図14】従来の非磁性の保持環を使用した超高速の永
久磁石回転電機を示す図である。
【符号の説明】
11…電機子(ステータ)、12…界磁(ロータ)、1
3…電機子鉄心、14…スロット、15…歯、16…コ
イル、17…ロータ鉄心、18A,18B…主界磁永久
磁石、19A,19B…補助永久磁石、20…保持環、
21…積層リング、22…隙間。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−163072(JP,A) 特開 平6−284610(JP,A) 特開 平7−231589(JP,A) 特開 昭58−99251(JP,A) 特開 昭55−56456(JP,A) 特開 昭62−81958(JP,A) 特開 昭57−49359(JP,A) 実開 昭51−52809(JP,U) 実開 平7−20051(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 1/27 H02K 21/14

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに空隙を介して対向する電機子及び
    界磁からなり、電機子鉄心に電機子巻線を巻いて構成し
    たステータと、ロータ鉄心の円周表面に界磁の永久磁石
    を配置したロータと、金属、磁性材、低透磁率の磁性
    材、SUS630のいずれか一つの材料、又はその材料
    から形成されたリング状の薄板であり前記永久磁石の空
    隙側表面に配置された保持環と、前記保持環の空隙側外
    周に配置されたリング状の薄板である積層リングとを具
    備したことを特徴とする永久磁石式回転電機。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の永久磁石式回転電機にお
    いて、 前記積層リングは、金属、磁性材、電磁鋼板、マレージ
    ング鋼、又は珪素鋼板のいずれか一つの材料から形成さ
    れたリング状の薄板であり、前記保持環の空隙側外周に
    配置され軸方向に電気抵抗を形成する ことを特徴とする
    永久磁石式回転電機。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の永久磁石式
    回転電機において、 主磁束を作る界磁の永久磁石の極間に補助的な補助永久
    磁石を配置し、この極間に配置した補助永久磁石の磁化
    方向が主界磁の永久磁石の端部側面とほぼ直交する方向
    に磁化されている ことを特徴とする永久磁石式回転電
    機。
  4. 【請求項4】 請求項1又は請求項2記載の永久磁石式
    回転電機において、 主磁束を作る界磁の永久磁石が多数の分割された磁石で
    一つの極を構成している ことを特徴とする永久磁石式回
    転電機。
  5. 【請求項5】 請求項又は請求項2記載の永久磁石式回
    転電機において、 主磁束を作る界磁の永久磁石が多数の分割された磁石で
    一つの極を構成し、前記分割磁石の磁気エネルギ積を配
    置位置に応じて異ならせた ことを特徴とする永久磁石式
    回転電機。
  6. 【請求項6】 請求項1又は請求項2記載の永久磁石式
    回転電機において、 主磁束を作る界磁の永久磁石が多数の分割された磁石で
    一つの極を構成し、前記分割磁石からなる磁極は、磁極
    中心部に温度特性の良い分割磁石を配置し、磁極の端部
    側に温度特性が低く、かつ磁気エネルギ積が大きい分割
    磁石を配置した ことを特徴とする永久磁石式回転電機。
  7. 【請求項7】 請求項1又は請求項2記載の永久磁石式
    回転電機において、 主磁束を作る界磁の永久磁石が多数の分割された磁石で
    一つの極を構成し、前記分割磁石からなる磁極は、磁極
    中心部の分割磁石よりも大きな磁気エネルギ積である分
    割磁石を磁極端部に配置した ことを特徴とする永久磁石
    式回転電機。
  8. 【請求項8】 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記
    載の永久磁石式回転電機において、 前記永久磁石、該永久磁石の外周面に巻かれた保持環及
    び該保持環の外周面に巻かれた積層リングが軸方向に多
    数分割されている ことを特徴とする永久磁石式回転電
    機。
  9. 【請求項9】 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記
    載の永久磁石式回転電機において、 前記保持環は、前記ロータに焼嵌め方法により嵌込まれ
    ことを特徴とする永久磁石式回転電機。
  10. 【請求項10】 請求項1〜請求項9のいずれか1項に
    記載の永久磁石式回転電機において、 前記積層リングは、前記保持環に熱間静水圧加工で接合
    されている ことを特徴とする永久磁石式回転電機。
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