JP3453930B2 - インクジェット記録用水溶性インクおよびその水溶性インクを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用水溶性インクおよびその水溶性インクを用いたインクジェット記録方法

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JP3453930B2
JP3453930B2 JP12666795A JP12666795A JP3453930B2 JP 3453930 B2 JP3453930 B2 JP 3453930B2 JP 12666795 A JP12666795 A JP 12666795A JP 12666795 A JP12666795 A JP 12666795A JP 3453930 B2 JP3453930 B2 JP 3453930B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばパソコン用ター
ミナルプリンタ、電卓用プリンタあるいはレジスター用
プリンタなどに用いられるインクジェット記録用水溶性
インクおよびその水溶性インクを用いて記録するインク
ジェット記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】画信号に応じてインク粒子を細かいノズ
ルから吐出し、飛跡を制御して普通紙等の紙面に付着さ
せて記録を得るインクジェット記録方式のプリンタに用
いられる水溶性インクの一例として、特開平2−255
774号、特開平6−25573号公報に開示された発
明があげられる。
【0003】特開平2−255774号公報に開示され
たインクジェット記録用水性インクは、水、水溶性染
料、乾燥防止剤および浸透剤を含有し、浸透剤として、
一般式
【0004】
【化4】
【0005】(式中、R1は水素原子、メチル基、メト
キシ基、塩素原子または臭素原子を表わし、nは1〜5
の整数を表わす)で表わされる化合物(以下、(1)の
化合物)、およびブチルアルコールのエチレンオキサイ
ド付加物で、エチレンオキサイドの付加モル数が1〜5
の範囲にある化合物(以下、(2)の化合物)を含有す
るもの、または、浸透剤としてさらにブチルアルコール
のプロピレンオキサイド付加物で、プロピレンオキサイ
ドの付加モル数が1〜5の範囲にある化合物(以下、
(3)の化合物)を含有するものであり、表面張力を3
0〜40ダインの範囲としたものである。
【0006】そして、このような各化合物等を混合した
インクを用いてドロップ・オン・デマンド方式ジェット
プリンタで連続吐出を行い、また、市販のコピー用紙に
印刷を行うと、安定なインクの吐出が長時間にわたって
可能となり、また、普通紙への浸透力が高く品質の良い
印刷画像が得られる。
【0007】また、特開平6−25573号公報に記載
されたインクジェット用インクは、染料と水と、含有量
が0.1〜20重量%の範囲である下記一般式
【0008】
【化5】
【0009】(式中、R2はアルキル基を表わし、nは
整数を表わす)で表わされる化合物(以下(4)の化合
物)と、チオジグリコール(以下(5)の化合物)、尿
素またはその誘導体(以下(6)の化合物)から構成さ
れ、係る構成によれば、普通紙に対して高速印字を行っ
てもブリーディング(bleeding:異なる色同士が隣接し
たときに、インクの未定着により引き起こされる異色の
混じりあい)がなく、色むらのない均一な画像を得るこ
とができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のイ
ンクジェット記録用水性インクは、(1)の化合物およ
び(2)の化合物を含有したもの、または浸透剤として
さらに(3)の化合物を含有したものであるので、プリ
ンタのノズルの目づまりを防止して安定性の高い吐出を
行い、品質の良い印刷が行える。また、(4)、
(5)、(6)の化合物を含むインクは、紙との濡れ性
が向上するため、ブリーディングを起こしにくいとされ
ている。
【0011】しかしながら、普通紙に比べ更に繊維の粗
密が大きい粗悪紙(例えば再生紙やレジスター用プリン
タに使用されるレジスター用紙など)に対しては、フェ
ザリング(feathering: 紙の繊維方向へのインクの染み
出し)が発生して、輪郭のはっきりした印刷画像が得ら
れない。
【0012】また、紙を構成する繊維(主材、主成分は
セルロース)やサイズ剤(紙表面を平滑にするもので、
主成分はデンプンやロジン)は油性物質であるので、親
油性が低い従来の水性インクの浸透剤では、図1(a)
に示すように、用紙Pに着滴したインクIが用紙Pに浸
透しにくいため、印字ドット径d1が小さくなってしま
い、鮮明な印刷画像が得られない。これを改善するた
め、親油性を高くしようとすると、浸透剤等が水に溶け
なくなってしまったり、溶けても非常に泡立ちやすくな
って、安定した吐出(一定量、一定速度のインク液滴が
連続して吐出される状態)が得られない。
【0013】一方、インクジェットプリンタにおいて
は、例えば比較的小型なワイヤドットプリンタのプリン
トヘッドの重量は約60g程度であることから、1つの
目安としてインクの重量(記録ヘッド、カートリッジを
除く)は50g程度以下であれば、安価でかつ小型のプ
リンタの駆動機構をそのままインクジェットプリンタに
流用することが可能であり、また、インクジェットプリ
ンタを様々な用途に対応させるには、既存のワイヤドッ
トプリンタのインクリボンの寿命から鑑みて、インク重
量50g以下で1000万文字の印刷が可能であること
が望ましい。しかしながら、従来の水性インクでは、文
字を見えやすくするために多くのインクを消費しなけれ
ばならないので、インク重量が50g以上となってしま
ってインクジェットプリンタが大型化されてしまうおそ
れがあり、インク重量を50g以下に抑えようとする
と、インクジェットカートリッジ等を頻繁に交換しなけ
ればならないなど、使い勝手等においても問題があっ
た。
【0014】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、普通紙だけでなく粗悪紙など各種
用紙において、インク消費量が少なくかつ印字ドット径
の大きい優れた品質の印刷画像を得ることのできるイン
クジェット記録用水溶性インクおよびその水溶性インク
を用いたインクジェット記録装置を提供することを目的
としたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係るインクジェ
ット記録用水溶性インクは、水と、水溶性染料と、湿潤
剤と、界面活性剤とを含有するインクジェット記録用水
溶性インクにおいて、前記界面活性剤は、少なくとも
【0016】
【化6】
【0017】(式中、Rはハロゲン元素またはアルキル
基を表わし、nは正の整数を表わす)で表わされる化合
物、および、
【0018】
【化7】
【0019】で表わされる化合物からなるものである。
【0020】更に、上記の構成に加え、
【0021】
【化8】
【0022】で表わされる化合物を含有してもよい。
【0023】また、本発明に係るインクジェット記録用
水溶性インクの、構造式(A)の化合物のRは、元素の
周期表第VIIIB族に属するハロゲン原子(フッ素原子
F,塩素原子Cl,臭素原子Br,ヨウ素原子I,アス
タチン原子At)、ないしは、炭素数4〜20のアルキ
ル基である。この中で好ましいハロゲン原子は、F,C
l,Br,I、より好ましくは、Clである。好ましい
アルキル基は、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、
ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリ
デシル基、テトラデシル基であり、より好ましくは、オ
クチル基、ノニル基である。付加モル数nは、2〜10
0の範囲、より好ましくは10〜20の範囲にあるもの
である。
【0024】構造式(A)の化合物の好ましい例として
は、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシ
エチレンドデシルフェニルエーテルがある。
【0025】さらに、構造式(A)の化合物の含有量は
0.01〜10重量%、より好ましくは0.01〜1重
量%、更に好ましくは0.1〜0.5重量%のそれぞれ
範囲内にあり、構造式(B)の化合物の含有量は1〜1
0重量%、より好ましくは1〜5重量%のそれぞれ範囲
内にあり、構造式(C)の化合物の含有量は0.01〜
1重量%、より好ましくは0.01〜0.3重量%、更
に好ましくは0.1〜0.3重量%のそれぞれ範囲内に
あるものである。
【0026】また、更に本発明に係るインクジェット記
録用水溶性インクは、含窒素複素環式化合物を含有して
もよい。好ましい含窒素複素環式化合物として、1,3
−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−
ピロリドン、または2−ピロリドンが挙げられる。含窒
素複素環式化合物の好ましい含有量は、重量比において
構造式(A)の化合物の含有量と構造式(C)の化合物
の含有量との合計量の20倍程度以上である。
【0027】本発明に係るインクジェット記録方法は、
上述のインクジェット記録用水溶性インクを用いて記録
るものである。さらに、インク滴を吐出するインクジ
ェットヘッドのノズルピッチに応じた解像度の印刷画像
を記録する上記方法において、前記インク滴の1ドット
当たりの吐出インク量が、記録紙上に形成される印字ド
ットの直径及び解像度の関係: 解像度 印字ドット径 1)低解像度:φ0.28mm〜φ0.4mm、 2)中解像度:φ0.13mm〜φ0.18mm、 3)高解像度:φ0.06mm〜φ0.09mm、 を満足する印字ドットの大きさに相当する吐出インク量
に予め設定されたインクジェットヘッドを有することを
特徴とする。
【0028】
【作用】本発明に係るインクジェット記録用水溶性イン
クは、上記構造式(A)の化合物と上記構造式(B)の
化合物が所定の配合量で含有される界面活性剤を用いる
ことにより、紙を構成する繊維やサイズ剤に対するイン
クの親和性が向上し、インクが紙に浸透しやすくなる。
【0029】故に、粗悪紙に対しても、均一に浸透し、
フェザリングによる印刷画像の劣化が生じにくい。ま
た、強い浸透力を持つため、比較的少量のインク滴で印
刷を行っても、各種用紙上に印刷された印字ドットは、
大きく形成され、インクの消費が抑えられ、効率的な印
刷が可能である。
【0030】また、上記構造式(C)の化合物を含有す
ることにより、より大きな印字ドットが得られ、さら
に、含窒素複素環式化合物を含有することにより、保存
安定性の低下を抑えることができる。
【0031】上記構造式(A)の化合物の付加モル数n
は10〜20、構造式(A)の化合物の含有量を0.0
1〜1重量%、構造式(B)の化合物の含有量を1〜5
重量%、構造式(C)の化合物の含有量を0.01〜
0.3重量%のそれぞれ範囲内とすることにより、各種
用紙において大きな印字ドットが形成され、50g以下
のインク量で1000万文字の印刷を可能とする。
【0032】
【実施例】次に、実施例および比較例を挙げて本発明を
具体的に説明する。なお、文中等の「%」は「重量%」
を表わす。また、化合物(A)は上述した構造式(A)
で表わされるポリオキシエチレンフェニルエーテル、化
合物(B)は上述した構造式(B)のアセチレン型ジオ
ール界面活性剤、化合物(C)は上述した構造式(C)
のアセチレン型ジオール界面活性剤、DMIは1,3−
ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−Pは2−ピロリ
ドンをそれぞれ表わす。
【0033】まず、表1に実施例1〜9および比較例1
〜3のインクの成分表を示す。
【0034】
【表1】
【0035】そして、表1の成分表に基づいて、上記の
各成分を天秤で秤量して混合し、70℃〜80℃で1時
間攪拌して十分溶解させた後、0.8ミクロンのメンブ
ランフィルターでろ過を行い、実施例1〜9および比較
例1〜3のインクジェット記録用水溶性インクを精製し
た。各組成のインクを、以下の項目に基づいて評価し
た。
【0036】(1)インクの表面張力をウィルヘルミー
式表面張力計で測定した。
【0037】(2)1本のノズルから吐出される1回当
たりの吐出インク量が、0.1μg/ドットに、ノズル
ピッチ(隣接するノズル間の距離)が、解像度90ドッ
ト/インチに相当するピッチに予め設定されたインクジ
ェットプリンタ(図2、図3において構造および作用を
説明する)で、市販の普通紙(例えば富士Xerox製
のPPC用紙)およびレジスター用紙(例えば王子製紙
製の45kgレジ紙)において印字を行い、各用紙の印
字ドットの直径を金属顕微鏡で測定した。なお、ドット
の直径はドットの縦の長さと横の長さを測定して、その
単純平均値とした。
【0038】(3)吐出インク量を変えて普通紙および
レジスター用紙において印字を行って吐出インク量と印
字ドット径との関係をグラフ化した。グラフから、低解
像度の印刷出力を行うプリンタに適した印字ドット径
(φ0.28mm)を実現する吐出インク量と、中解像
度の印刷出力を行うプリンタに適した印字ドット径(φ
0.13mm)を実現する吐出インク量を読み取った。
【0039】一般にプリンタは、その用途によって、要
求される印刷画像の解像度が異なる。例えば、キャッシ
ュレジスタやプリンタ付き電卓の場合、主に、数字、ア
ルファベット等の文字の印刷を行うため、出力される画
像の解像度はたかだか90ドット/インチ(1インチあ
たり90ドット並ぶ解像度)程度あれば十分である。漢
字を含む文字、簡単な図形等を印刷するファクシミリ等
では200ドット/インチ程度、カラー画像、微細なグ
ラフィックスを印刷するビデオプリンタでは400ドッ
ト/インチ以上の解像度が要求される。
【0040】印刷物の濃さ(記録画像の鮮明度)は、解
像度(ドット密度)と印字ドットの大きさと印字ドット
の濃さ(OD値)で決まり、解像度別の最適なドット径
の範囲は、低解像度(90ドット/インチ):φ0.2
8mm〜φ0.4mm、中解像度(200ドット/イン
チ):φ0.13mm〜φ0.18mm、高解像度(4
00ドット/インチ):φ0.06mm〜φ0.09m
mである。
【0041】(4)レジスター用紙(粗悪紙)に100
万文字印字するための必要なインク量と、1000万文
字印字するための必要なインク量とを(3)の結果から
計算して求めた。
【0042】(5)インクをガラス製のサンプル瓶に収
容し、50℃、80℃または−20℃に設定した恒温槽
または冷凍庫に入れて7日間放置し、放置直後およびさ
らに常温で1日放置した時のインクの保存安定性を以下
の基準で判定した。7日間放置直後に成分の分離等がな
く、さらに常温で1日放置した後のインクの物性(イン
クの粘度、表面張力)に変化がない場合は「○」、7日
間放置直後に分離があるが、さらに常温で1日放置した
後の物性に変化がない場合は「△」、常温で1日放置し
た後も分離し、物性にも変化がある場合は「×」と判定
した。
【0043】このようにして行った試験の結果を表2に
示す。
【0044】
【表2】
【0045】まず、実施例2、3および比較例1,2に
おいて、表2からわかるように、化合物(A),(B)
がそれぞれ単独に含有されたインク(比較例1,2)
は、印字ドット径が小さくなっており、特にレジスター
用紙においては、その傾向が顕著であることがわかる。
実施例2、3は、化合物(A)+(B)が含有されたイ
ンクであり、これらの場合、レジスター用紙において
も、比較的大きな印字ドット径(φ0.18mm)が得
られた。
【0046】これにより、化合物(A)もしくは化合物
(B)のいずれか一方を含有する界面活性剤では、所望
の効果が得られず、インクの浸透力を向上させるために
は、化合物(A)と化合物(B)の両者を含有する界面
活性剤が必要であることがわかる。
【0047】また、実施例5において、化合物(A)+
(B)を含有したインクに化合物(C)を更に加えるこ
とにより、より大きな印字ドット径が得られることがわ
かる。しかし、印字ドット径を大きくするという効果を
出すために、化合物(A),(B),(C)それぞれの
含有量を多くすると、保存安定性が低下するおそれがあ
る。そこで、例えば2−Pなどの含窒素複素環式化合物
(助溶剤)を添加することにより保存安定性の低下を抑
えられることが実施例1,6からわかる。このように、
化合物(C)を加えることにより、印字ドット径を大き
くし、さらに助溶剤を添加することにより、化合物
(A),(B),(C)の含有量を増やすことができ、
一層効果を高めることができる。
【0048】比較例3において、化合物(A),
(B),(C)と助溶剤とを含有したインクを用いた
時、比較的大きなドット径が得られた。しかしながら、
化合物(A)の付加モル数nが9であるため、保存安定
性がやや低下していることがわかる。これは、付加モル
数nが10未満になると水溶性が低下し、保存安定性も
低下するためである。また、付加モル数nを20より大
きくすると、分子形状が大きくなるので用紙への浸透性
が低下し、印字ドット径が小さくなる傾向がある。した
がって、化合物(A)の付加モル数nの最も効果のある
範囲は10〜20である。
【0049】実施例8と比較例2の結果の比較から、化
合物(A)が、例えば「0.01%」程度の少量でも含
有されていれば、(化合物(A)の含有量は「0%」で
なければ、)インクの浸透力が強まる効果が得られるこ
とがわかる。しかし、化合物(A)を「1%」以上加え
ると水溶性が低下し、保存安定性が低下するおそれがあ
るため、化合物(A)の含有量は0.01%〜1%の範
囲であることがより望ましい。
【0050】また、化合物(B)に関しては、化合物
(A)の含有量1%の時、所望の効果(ドット径の大き
さ)を得るには1%以上の化合物(B)が必要となる。
また、化合物(B)を5%以上含有すると、水溶性が低
下し、保存安定性が低下するおそれがある。したがっ
て、化合物(B)の含有量は1%〜5%の範囲であるこ
とがより望ましい。
【0051】また、化合物(A),(B)の含有量が最
小値であっても、例えば0.01%程度の少量の化合物
(C)を加えることによって、印字ドットを大きくする
効果が得られることが、実施例9よりわかる。しかし、
化合物(C)を0.3%以上加えると、水溶性が低下
し、保存安定性が低下するおそれがある。したがって、
化合物(C)の含有量は0.01%〜0.3%の範囲で
あることがより望ましい。
【0052】また、含窒素複素環式化合物の含有量が化
合物(A)と化合物(C)の含有量の合計量の約20倍
程度以上の場合、保存安定性が低下することはみられな
かった。したがって、含窒素複素環式化合物の含有量が
化合物(A)と化合物(C)の含有量の合計量の約20
倍程度以上であることが望ましい。
【0053】インクの表面張力はインクの吐出特性に対
して与える影響は小さい。しかし、不適当に表面張力の
小さいインクは、紙に滲みすぎて、印刷画像を劣化させ
る場合があり、不適当に表面張力の大きいインクは用紙
に浸透せず、印字ドットが小さくなって文字がはっきり
見えなくなる場合がある。したがって、表面張力は25
〜35mN/mの範囲であることが望ましい。
【0054】このように、水への溶解性が大きくかつ親
油性の大きい界面活性剤を上述の範囲内で組成した実施
例1〜9のインクは、用紙Pへの浸透性、親和性が高い
ため、図1(b)に示すように、用紙Pに着滴したイン
ク滴Iは、特に用紙の横方向に均一に浸透し、ドット径
d2の大きな、丸い、しかもフェザリングが発生しない
ドットが、用紙P上に形成される。
【0055】また、様々な条件下においても保存安定性
が良く泡立ちにくいので、良質でかつ吐出の安定性の高
いインクを得ることができる。さらに、各種用紙におい
ても印字ドット径が大きいので、普通紙はもちろんのこ
と、レジスター用紙などの粗悪紙においても50g以下
のインク量で1000万文字の印刷を可能とすることが
でき、これにより、ランニングコストを低減し、インク
ジェットカートリッジを小型化かつ軽量化してプリンタ
の全体構造の小型化を計ることができる。
【0056】なお、上述の実施例では、含窒素化合物と
して、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、また
は2−ピロリドンを用いたが、N−メチル−2−ピロリ
ドンを用いても所望の効果(保存安定性の確保)が得ら
れる。
【0057】また、染料としてC.I.ダイレクトブラ
ック154を使用し、3.0%と3.5%の配合量の場
合を説明したが、これに限定するものではない。染料と
しては、酸性染料、塩基性染料、直接染料、反応性染
料、分散染料、食品用色素等で水溶性のものであれば必
要に応じて選択可能であり、その具体例は、特開平2−
255774号公報に開示されている。水溶性染料の含
有量は0.1〜10%、好ましい範囲は1〜5%、より
好ましい範囲は2〜4%である。
【0058】また、湿潤剤としてグリセリンを使用した
場合を示したが、例えばエチレングリコール、プロピレ
ングリコール等のグリコール類、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリ
コール類、エチレングリコールモノメチルまたはエチル
エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類
などの低蒸気圧の水溶性有機溶剤であれば適宜変更する
ことができる。その含有量は1〜70%、好ましい範囲
は2〜40%、より好ましい範囲は10〜25%であ
る。
【0059】図2は上述のインクジェット記録用水溶性
インクを用いた本発明の一実施例に係るインクジェット
プリンタの分解図、図3は図2のインクジェットプリン
タをモータ側から見た斜視図である。インクジェットプ
リンタは、図に示すように、プリンタ本体10と紙送り
ユニット50とから構成されている。プリンタ本体10
は、記録ヘッド11aおよびインク袋(図示せず)を搭
載したインクジェットカートリッジ11を備えており、
インク袋には上述のインクジェット記録用水溶性インク
が充填される。
【0060】記録ヘッド11aは、インク液滴を吐出す
るノズル、ノズルに連通する圧力発生室(以下記録ヘッ
ド11aの内部は不図示)、圧力発生室にインクを供給
するインク供給路からなり、圧力発生室には、駆動信号
に応じて撓む振動板が設けられている。、圧力発生室の
容積、振動板の撓み量、ノズル、インク供給路の径を適
切な値に設定することにより、所望のインク吐出量得ら
れるように予め設定されている。即ち、本実施例の場
合、記録紙上に形成される1ドットの径がφ0.28m
m〜φ0.4mmの範囲内の径になるように、インク吐
出量が設定されている。また、本実施例のインクジェッ
トプリンタの出力画像の解像度90ドット/インチであ
り、ノズルは、その解像度に相当するピッチで配列され
ている。
【0061】前述の範囲に対し、1ドットの径が低減値
(φ0.28mm)未満では、画像全体から、コントラ
ストが不足したイメージ(いわゆる印字がうすい)をう
け、また、上限値(φ0.4mm)を越えると、隣合う
ドットが重なりすぎ文字(画像)が潰れるばかりでな
く、いたずらに必要以上にインクを消費してしまうこと
になる。上述した範囲内のドット径が得られるように、
インク吐出量を調整することにより、インクの消費量を
抑えるとともに、鮮明な画像、文字を印刷することが可
能となる。
【0062】インクジェットカートリッジ11はキャリ
ッジ12に取り付けられている。このキャリッジ12は
フレーム13に設けられた一対のガイド棒14によりそ
の軸方向に移動自在に支持されている。キャリッジ12
を駆動するための駆動源となるモータ15は例えば直流
モータが設けられ、これは一定方向に回転駆動される。
モータ15の回転はギヤ16に伝達され、このギヤ16
はそれに係合したギヤ17および駆動輪18を回転させ
ることによりタイミングベルト19を回動駆動させる。
この回動により従動輪20が回転してそれに連結された
ギヤ21を回転させる。タイミングベルト19にはキャ
リッジ12を往復動させるための駆動ピン(図示せず)
が設けられており、タイミングベルト19の一方向の回
転駆動によりキャリッジ12が往復動する。
【0063】従動輪20側のギヤ21にはギヤ22が係
合しており、このギヤ22は伝達軸23の一端に設けら
れ、また、他端にもギヤ24が設けられている。ギヤ2
2の回転により伝達軸23およびギヤ24を介して、紙
送りユニット50に対する駆動源が供給される。また、
プリンタ本体10には、モータ15の回転を検出するた
めのエンコーダ25が設けられており、これはモータ1
5の回転軸と直接連結されている。さらに、プリンタ本
体10には、モータ15、センサ(図示せず)等を駆動
し、あるいは信号を取り出すための制御線26、および
記録ヘッド11aを駆動するための制御信号を入力する
制御線27が接続されている。
【0064】紙送りユニット50はプリンタ本体10の
伝達軸23の他端に設けられたギヤ24と係合するギヤ
群51が設けられており、このギヤ群51は一対の紙送
りロータ(図示せず)と連結されており、インクジェッ
トカートリッジ11が一方向に移動して印字処理を行
い、次にその反対方向に移動してホームポジションに戻
るときに、挿入された用紙を1行分送り出す。紙送りユ
ニット50は、プリンタ本体10のフレーム13を直角
に上方に折り曲げたガイド面13aにねじ止めされてプ
リンタ本体10に固着される。
【0065】上記のように構成されたインクジェットプ
リンタは、制御線26を介してモータ15やセンサの制
御電圧等が供給され、また、制御線27を介してインク
ジェットカートリッジ11に搭載されている記録ヘッド
11aに制御信号が供給される。そして、モータ15の
回転駆動によりタイミングベルト19が回動しそれに伴
って駆動ピンが移動し、駆動ピンはキャリッジ12をガ
イド軸14に沿って移動させる。この時、記録ヘッド1
1aからは制御信号に応じて上述のインクジェット記録
用水溶性インクが例えばレジスター用紙に吐出され、印
字処理がなされる。そして、1行分の印字処理が終了す
ると、紙送りユニット50には伝達軸23を介して紙送
りのための駆動力が伝達され、紙送りユニット50の紙
送りローラが回転することによりレジスター用紙が1行
分送り出される。以上の動作は印字の行数分繰り返され
る。
【0066】
【発明の効果】以上のように本発明に係るインクジェッ
ト記録用水溶性インク組成物によれば、普通紙に限らず
粗悪紙など各種用紙において、少ないインク量で印字ド
ット径の大きいフェザリンクのない優れた品質の印字画
像を得ることができるとともに、良質でかつ吐出の安定
性と保存安定性の高いインクを得ることができる。
【0067】したがって、この水溶性インクをインクジ
ェット記録装置に適用した場合には、ランニングコスト
を低減することができるとともに、インクジェットカー
トリッジを小型化かつ軽量化することが可能となり、装
置の全体構造の小型化を計ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は従来のインクジェット記録用水性イン
クの作用説明図である。(b)は本発明に係るインクジ
ェット記録用水溶性インクの作用説明図である。
【図2】本発明の一実施例に係るインクジェットプリン
タの分解図である。
【図3】図2のインクジェットプリンタをモータ側から
みた斜視図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保村 陽一 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイ コーエプソン株式会社内 (72)発明者 向井 啓 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイ コーエプソン株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−24123(JP,A) 特開 昭63−139964(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 11/00 B41J 2/49 B41M 5/00 C09D 11/02

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水と、水溶性染料と、湿潤剤と、界面活
    性剤とを含有するインクジェット記録用水溶性インクに
    おいて、 前記界面活性剤は、少なくとも 【化1】 (式中、Rはハロゲン元素またはアルキル基を表わし、
    nは正の整数を表わす)で表わされる化合物、および、 【化2】 で表わされる化合物からなることを特徴とするインクジ
    ェット記録用水溶性インク。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のインクジェット記録用水
    溶性インクにおいて、更に、 【化3】 で表わされる化合物を含有することを特徴とするインク
    ジェット記録用水溶性インク。
  3. 【請求項3】 さらに含窒素複素環式化合物を含有する
    ことを特徴とする請求項1または2記載のインクジェッ
    ト記録用水溶性インク。
  4. 【請求項4】 構造式(A)の化合物のRは、オクチル
    基またはノニル基であることを特徴とする請求項1記載
    のインクジェット記録用水溶性インク。
  5. 【請求項5】 構造式(A)の化合物の付加モル数n
    は、10〜20の範囲であることを特徴とする請求項1
    または4記載のインクジェット記録用水溶性インク。
  6. 【請求項6】 構造式(A)の化合物の含有量は0.0
    1〜1重量%、構造式(B)の化合物の含有量は1〜5
    重量%、構造式(C)の化合物の含有量は0.01〜
    0.3重量%のそれぞれ範囲内にあることを特徴とする
    請求項1乃至5記載のインクジェット記録用水溶性イン
    ク。
  7. 【請求項7】 含窒素複素環式化合物は、1,3−ジメ
    チル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリ
    ドン、または2−ピロリドンのいずれかであることを特
    徴とする請求項3記載のインクジェット記録用水溶性イ
    ンク。
  8. 【請求項8】 含窒素複素環式化合物の含有量は、重量
    比において構造式(A)の化合物の含有量と構造式
    (C)の化合物の含有量との合計量の20倍程度以上で
    あることを特徴とする請求項3または7記載のインクジ
    ェット記録用水溶性インク。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載のイ
    ンクジェット記録用水溶性インクを用いて記録すること
    を特徴とするインクジェット記録方法
  10. 【請求項10】 インク滴を吐出するインクジェットヘ
    ッドのノズルピッチに応じた解像度の印刷画像を記録す
    る請求項9記載のインクジェット記録方法において、前
    記インク滴の1ドット当たりの吐出インク量が、記録紙
    上に形成される印字ドットの直径及び解像度の関係: 解像度 印字ドット径 1)低解像度:φ0.28mm〜φ0.4mm、 2)中解像度:φ0.13mm〜φ0.18mm、 3)高解像度:φ0.06mm〜φ0.09mm、 を満足する印字ドットの大きさに相当する吐出インク量
    に予め設定されたインクジェットヘッドを有することを
    特徴とするインクジェット記録方法
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