JP3452468B2 - ターボ分子ポンプ - Google Patents

ターボ分子ポンプ

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JP3452468B2 JP23543897A JP23543897A JP3452468B2 JP 3452468 B2 JP3452468 B2 JP 3452468B2 JP 23543897 A JP23543897 A JP 23543897A JP 23543897 A JP23543897 A JP 23543897A JP 3452468 B2 JP3452468 B2 JP 3452468B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速回転する回転
翼及び/又はねじ溝ロータにより気体の排気を行うよう
にしたターボ分子ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】ターボ分子ポンプの従来の一般的な構造
を図6に示す。これは、主軸10及びこれと一体に回転
する回転筒状部12とを有するロータRと、主軸10を
取り囲む固定筒状部14を有するステータSと、回転筒
状部12を取り囲む筒状のケーシング16とがベースB
上に組み上げられて構成されている。このような構成の
ターボ分子ポンプの上流側には、排気すべき装置との間
にコンダクタンス調整弁100と、開閉弁(ゲートバル
ブ)110とが設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の技術においては、それぞれの弁装置の駆動機
構が弁に近接して設けられており、そのために各弁装置
が肥大化して、これらの弁を含むターボ分子ポンプの全
体の構造が大きくなってしまうという課題があった。一
方、弁装置をターボ分子ポンプと一体化することも考え
られるが、弁の駆動機構が粒子による汚染を招く可能性
がある。
【0004】本発明は、上記課題に鑑み、弁装置を含め
た全体をコンパクトに構成することができ、しかも弁の
駆動機構による汚染を防止することができるターボ分子
ポンプを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、ケーシング内にロータとステータが収容され、これ
らのロータ及びステータの間に排気流路が構成されたタ
ーボ分子ポンプにおいて、前記ケーシングに設けられた
吸気口を開閉自在に覆う弁体と、前記ロータ及び/又は
ステータに形成された貫通孔を挿通する弁体支持部材を
介して前記弁体を駆動する弁駆動機構と、該弁体支持部
材を非接触で支持する磁気軸受装置を有することを特徴
とするターボ分子ポンプである。これにより、弁装置を
含めた全体をコンパクトに構成することができるととも
に、弁体を安定に支持しつつ、しかも支持機構からの粒
子発生による汚染が防止される。
【0006】請求項2に記載の発明は、前記ロータはロ
ータ磁気軸受により非接触で支持され、前記ロータと前
記ステータの間には前記排気流路と前記ロータ磁気軸受
との間のガスの流通を抑制するねじ溝シール機構が設け
られていることを特徴とする請求項1に記載のターボ分
子ポンプである。これにより、腐食性のある排気ガスが
ロータ磁気軸受に流入しにくいので、これらの部材を腐
食することが防止され、耐用性の高いターボ分子ポンプ
が提供される。
【0007】請求項3に記載の発明は、前記ロータと前
記ステータの間の所定位置に、不活性ガスを供給するガ
ス供給路が設けられていることを特徴とする請求項1に
記載のターボ分子ポンプである。これにより、ロータ磁
気軸受側の不活性雰囲気を維持して、腐食性のある排気
ガスがロータ磁気軸受へ流入するのを防止し、耐用性の
高いターボ分子ポンプを提供する。
【0008】請求項4に記載の発明は、前記吸気口及び
/又は前記弁体を加熱して吸気口と前記弁体の接触部分
におけるガス成分の析出を防止する析出防止手段が設け
られていることを特徴とする請求項1に記載のターボ分
子ポンプである。これにより、弁体の密閉機能が維持さ
れ、安定な動作が確保される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1の実施の形態のターボ分子ポ
ンプは、主軸10及びこれと一体に回転する回転筒状部
12とを有するロータRと、主軸10を取り囲む固定筒
状部14を有するステータSと、回転筒状部12を取り
囲む筒状のケーシング16と、ベースB上に組み上げら
れて構成されている。そして、ケーシング16の吸気口
18を開閉自在に覆う弁体20が設けられている。
【0010】主軸10と固定筒状部14の間には駆動用
モータ22が配置され、この駆動用モータ22の上下に
磁気軸受(上部ラジアル軸受)24及び磁気軸受(下
部ラジアル軸受)26が設けられている。そして、主軸
10の下部には、主軸10の下端のターゲットディスク
28と、ステータS側の上下のコイル30からなる磁気
軸受(アキシャル軸受)32がそれぞれ配置されてい
る。これによって、駆動用モータ22の駆動に伴ってロ
ータRが5軸の能動制御を受けながら高速回転するよう
になっている。
【0011】回転筒状部12の上部外周には回転翼34
が一体に設けられ、一方、ケーシング16の内面には、
回転翼34と交互に配置される固定翼38が設けられて
いる。これによって、高速回転する回転翼34と静止し
ている固定翼38との相互作用によって排気を行う翼排
気部40が形成されている。
【0012】更に、回転筒状部12には、固定筒状部1
4の外周に沿って下方に延出するねじ溝部42が一体に
設けられ、このねじ溝部42の外周面にねじ溝44が設
けられている。一方、ステータSには、このねじ溝部4
2の外周を囲繞するねじ溝部スペーサ46が配置されて
いる。これによって、高速回転するねじ溝部42のねじ
溝44のドラッグ作用によって排気を行うねじ溝排気部
48が翼排気部40と排気口49の間に形成されてい
る。
【0013】主軸10、回転筒状部12及びベースBに
は、弁体20を開閉させる弁棒50を挿通させるための
貫通孔52が形成されている。ケーシング16の下部に
は、弁体20を弁棒50を介して軸方向に駆動するアク
チュエータ54が設けられている。吸気口18には弁体
20に接する位置に吸気口18を気密に閉鎖するO−リ
ング56が設けられている。ケーシング16とアクチュ
エータ54の連結部にも所定のシール機構が設けられて
いる。
【0014】この弁棒50は、吸気口18の内側及びベ
ースBに設置された上下の磁気軸受70,72によって
摺動可能に支持されている。上部磁気軸受70は、吸気
口18の内側中央部に向けてケーシング16から延びる
複数のアーム74の先に設けられた支持部材76により
支持されている。この吸気口直下の中央部には、ロータ
Rの回転筒状部12に凹所78が形成されており、支持
部材76はこの凹所78の中に収容されている。
【0015】この実施の形態では、上下の磁気軸受7
0,72により弁棒50が安定に支持されて弁体20が
位置ずれすることなく、開閉が円滑に行われる。また、
磁気軸受70,72は非接触で弁棒50を支持するの
で、摩耗による粒子の生成が起こりにくく、従って、被
排気側が汚染されることもない。
【0016】アクチュエータ54の作動により弁体20
の開閉が行われ、また、弁体20を所定位置に開くこと
により、コンダクタンスを調整することもできる。この
ターボ分子ポンプは、排気対象である装置のダクト58
等に図4に示すような弁装置を介することなく、直接に
取り付けることができる。また、アクチュエータ54は
弁体をロータの主軸の方向に沿って開閉駆動させるの
で、弁装置の構造や駆動機構が大幅に簡単になる。従っ
て、全体としてコンパクトなターボ分子ポンプを提供す
ることができ、クリーンルームのような狭いスペースを
有効に利用することができる。
【0017】図2は、この発明の第2の実施の形態を示
すもので、支持部材76の外面と回転筒状部の上側の凹
所78の内面、及び回転筒状部12のねじ溝部42の内
側面と固定筒状部14の外面の間に、それぞれねじ溝シ
ール部80,82が形成されているものである。これら
のねじ溝シール部80,82では、ロータRが回転する
と中央の貫通孔52へガスが侵入しないように作用す
る。
【0018】すなわち、上側のねじ溝シール部80で
は、ロータRが回転すると、図において下から上へガス
を排気するように、この例では支持部材76の外面にね
じ溝84が形成されている。これにより、吸気口18か
らのガスが貫通孔52、ロータRの下端部を経由してロ
ータRとステータSの間に到達することを防止する。従
って、腐食性のガスを排気する場合でもここに構成され
た磁気軸受70,72や駆動用モータ22の腐食を防止
することができる。
【0019】同様に、下側のねじ溝シール部82では、
ロータRが回転すると、図において上から下へガスを排
気するように、この例では固定筒状部14の外面にねじ
溝84が形成されているので、排気口49からのガスが
回転筒状部12のねじ溝部42の内側面と固定筒状部1
4の外面の間を経由してロータRとステータSの間に到
達することを防止する。なお、この実施の形態では、2
つのねじ溝シール部82,84が構成されているが、場
合に応じて一方のみとしてもよい。
【0020】図3は、この発明の第3の実施の形態を示
すもので、ここでは、図2の実施の形態に加えて、貫通
孔52を経由して腐食性のガスがターボ分子ポンプの磁
気軸受26,24,32や駆動用モータ22を腐食する
のを防止するためのパージガス供給路86,88が形成
されている。すなわち、第1の供給路86は、図4に示
すように、吸気口18の近傍のケーシング16からアー
ム74の内部を支持部材76に向かって延び、下降して
支持部材76の下面に開口している。また、第2の供給
路88は、ステータSの下部側面から内側に向かい、固
定筒状部14を上昇してねじ溝排気部84の上部で開口
する。この開口は実施例では、ねじ溝排気部84の上部
に設けたが、ねじ溝排気部84の中部でも下部でもかま
わない。またロータ軸受部を直接パージするようにして
もよい。さらにこの開口は、1箇所でも複数箇所に設け
てもかまわない。これらの供給路86,88の外側の開
口に窒素ガス等の不活性ガス配管が接続される。
【0021】このような構成により、吸気口18又は排
気口49からターボ分子ポンプの磁気軸受26,24,
32や駆動用モータ22に連通する経路にパージガスを
供給することにより、前記のねじ溝シール部80,82
の作用と相俟って、これらの領域に腐食性の排気ガスが
流入することが防止される。この例では、パージガス供
給路86,88とねじ溝シール部80,82の双方を設
けているが、勿論パージガス供給路を単独で設けてもよ
く、また、吸気側、排気側の一方側にのみパージガス供
給路を設けてもよい。
【0022】図5に示すのは、この発明の第4の実施の
形態であり、弁体20が吸気口18に接触する部分にお
けるガス成分の析出を防止して、弁体20が吸気口18
を確実に密閉することができるようにしたものである。
すなわち、吸気口18の近傍のケーシング16には、こ
の部分を加熱するヒータ90が設けられている。この例
では、電熱ヒータであるが、適宜のものを用いることが
できる。この実施の形態では、ヒータ90を作動させる
とケーシング16及びフランジ部17が加熱され、従っ
て、排気ガス中の成分がこの部分に析出するのを防止
し、あるいは抑制する。
【0023】この実施の形態では、さらに弁駆動装置5
4のアクチュエータの所定箇所に、弁棒を加熱するヒー
タ92が設けられている。これにより、ヒータ92の熱
が弁棒50を介して弁体20に伝わり、さらに弁体20
の中央から縁部に伝わり、弁体20とフランジ部17の
接触部分を所定温度に保つ。従って、この部分において
排気ガス中の成分が析出するのを防止して、安定な開閉
動作を維持する。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
弁装置とターボ分子ポンプを一体化して、弁装置を含め
た全体をコンパクトに構成することができるとともに、
弁体を安定に支持しつつ、しかも支持機構からの粒子発
生による汚染が防止され、クリーンルーム等の狭い空間
を有効に利用することができる実用性の高いターボ分子
ポンプを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のターボ分子ポンプ
を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態のターボ分子ポンプ
を示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態のターボ分子ポンプ
を示す断面図である。
【図4】図3のターボ分子ポンプの要部を拡大して示す
断面図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態のターボ分子ポンプ
を示す断面図である。
【図6】従来のターボ分子ポンプを示す断面図である。
【符号の説明】
16 ケーシング 18 吸気口 20 弁体 50 弁体支持部材 52 貫通孔 54 弁駆動機構 70,72 磁気軸受装置 80,82 ねじ溝シール機構 R ロータ S ステータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中澤 敏治 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目1番1号 株式会社 荏原電産内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04D 19/04 H02K 7/09

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシング内にロータとステータが収容
    され、これらのロータ及びステータの間に排気流路が構
    成されたターボ分子ポンプにおいて、 前記ケーシングに設けられた吸気口を開閉自在に覆う弁
    体と、前記ロータ及び/又はステータに形成された貫通
    孔を挿通する弁体支持部材を介して前記弁体を駆動する
    弁駆動機構と、該弁体支持部材を非接触で支持する磁気
    軸受装置を有することを特徴とするターボ分子ポンプ。
  2. 【請求項2】 前記ロータはロータ磁気軸受により非接
    触で支持され、前記ロータと前記ステータの間には前記
    排気流路と前記ロータ磁気軸受との間のガスの流通を抑
    制するねじ溝シール機構が設けられていることを特徴と
    する請求項1に記載のターボ分子ポンプ。
  3. 【請求項3】 前記ロータと前記ステータの間の所定位
    置に、不活性ガスを供給するガス供給路が設けられてい
    ることを特徴とする請求項1に記載のターボ分子ポン
    プ。
  4. 【請求項4】 前記吸気口及び/又は前記弁体を加熱し
    て吸気口と前記弁体の接触部分におけるガス成分の析出
    を防止する析出防止手段が設けられていることを特徴と
    する請求項1に記載のターボ分子ポンプ。
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