JP3451244B2 - 食品組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、皮膚保水性改善機
能、肌荒れ改善機能を有する食品組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】皮膚は生体と外界とのインターフェイス
であり、水分の体外喪失を防ぎ、また外界からの微生物
やアレルゲンなど生体障害物質の侵入を阻止する皮膚バ
リア機能を有している。角層においてセラミドを中心と
した角質細胞間脂質や皮脂、天然保湿因子ＮＭＦがこれ
らの機能を担っていると言われている。角層が正常な機
能を果たし健康な状態を保つには１０−２０％の水分を
含むことが必要とされている。皮膚バリア機能によって
角層に水分が保持され、皮膚の柔軟性・弾力性を保って
いる。以下、皮膚バリア機能のうち、水分の喪失を防ぐ
機能を、皮膚水分バリア機能と称する。

【０００３】角層の水分量が減少すると柔軟性が失われ
て硬くなり、ひびわれや落屑の発生の原因になる。角層
水分量の主要な決定因子は角層中のＮＭＦ、特にアミノ
酸類であり、この生成は角化の状態と密接な関連があ
る。皮紋の消失あるいは不鮮明な肌荒れ皮膚では、角層
水分量は有意に低下する。

【０００４】肌荒れした皮膚は見栄えが悪いという美容
だけの問題ではなく、皮膚疾患を惹起する準備段階であ
るという点でさらに重要な病態的意義を有する。また肌
荒れ状態を改善することにより、がさがさした皮膚表面
がすべすべした滑らかな皮膚になることで微細なしわの
改善につながる。

【０００５】皮膚水分バリア機能の低下した角層では、
皮膚からの水分の消失が健康な状態に比べて盛んである
ことが知られており、いわゆる経皮水分蒸散量（transe
pidermal water loss、以下ＴＥＷＬ）の増加が認めら
れる。このＴＥＷＬは角層のバリア機能や保湿機構と密
接に関連しており、皮膚水分バリア機能の指標として汎
用されている。

【０００６】皮膚水分バリア機能の低下に対しては、従
来、保湿成分の塗布で皮膚の乾燥状態を防ぎ潤いを持た
せることが試みられてきた。また最近では食品成分であ
るキシリトール、エリスリトール、リブロース、プシコ
ース、ガラクトース、マンニトールが、皮膚に塗布する
ことにより皮膚水分バリア機能の回復を促進する成分と
して報告されている（特開2000-103728）。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、肌荒れ
防止のため、皮膚に塗布するものは、一時的な機能であ
ったり、発汗、紫外線による効果低減、入浴、洗顔、手
指の洗浄により、その効果は低減したり消失したりする
ことは当然であった。また、元来、肌荒れを気にする人
は、アレルギー症状を持つことも多く、皮膚へ塗布する
ことによる副作用も考慮しなくてはならず、肌の荒れ防
止に塗布することが、逆に、その副作用により肌荒れを
促進する可能性も残されている。そこで、本発明の目的
は、肌に塗布するのではなく、経口摂取することにより
内面からの肌荒れの改善・予防や皮膚水分バリア機能の
改善が可能で、かつ医薬品のように、副作用を懸念する
ことなく摂取できる食品を提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者等はこれら課題
を解決するために鋭意検討し、メリビオースまたはメリ
ビオースを部分構成糖とする糖類を経口摂取することに
より、内面から美肌効果を発現させることができること
を見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、メリ
ビオース、ラフィノース又はスタキオースを含有するこ
とを特徴とする食品組成物である。好ましくはメリビオ
ースを含有する食品組成物である。

【０００９】メリビオースに、これを経口摂取すること
により、皮膚水分バリア機能を向上させ、皮膚の保水性
を改善し、肌荒れを防止し、皮膚に潤いを与え、皮膚の
滑らかさ、弾力性を向上させる効果、即ち美肌効果があ
るという報告はこれまでになく、本発明者らの研究にお
いて初めて見出された機能である。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下本発明を詳述する。本発明に
用いるメリビオースは、グルコースとガラクトースが
１：６結合した6-[α-d-ガラクトピラノシル]-d-グルコ
ピラノース構造を持つ。天然糖類でありラフィノース、
スタキオースの部分構成糖として知られる。その製造方
法の一例を示すと、ラフィノース、スタキオースをイン
ベルターゼで加水分解し、除蛋白してメリビオースを得
る事ができる。または、ラフィノース溶液をパン酵母で
発酵させることにより、ラフィノースのフラクトース部
分のみを資化することにより得る事ができる。メリビオ
ースは甘味度３５％（対スクロース）で還元性を有し、
メイラード反応を起こす。また、ビフィズス菌増殖活性
を有することが知られている。結晶は、白色粉末結晶、
水溶液は透明、比旋光度＋１１２〜＋129度を示す。

【００１１】メリビオースを摂取すると、ＴＥＷＬの増
加が改善され、皮膚保水性が向上し、肌荒れが改善され
る。これは本発明者が見出した全く新しい知見である。
また、メリビオースを部分構成糖としてなるラフィノー
ス、スタキオースにもメリビースよりも弱いながらも同
じ効果がある。これらの知見も過去には報告されておら
ず、新しい知見である。

【００１２】本発明による効果は、不明であるが、メリ
ビオースは、エラスチンとエラスチンレセプタの結合を
阻害することにより、結果としてエラスターゼの働きを
抑制する活性を持つことにより、皮膚へ塗布した場合、
皮膚の老化が防止されることは見出されているが、飲用
の場合、この効果が発現した事は考えにくい。また、ビ
フィズス菌の増殖活性を持つことから、腸内環境を整え
たり、ビフィズス菌による免疫強化が発揮された結果、
肌荒れ防止機能が発揮されることもあるが、他のオリゴ
糖では本発明の効果がないことから、本発明によるメリ
ビオース、またはメリビオース構成糖の効果は、特有の
ものであると考えられる。

【００１３】本発明の食品組成物は、飲料、菓子、ゼリ
ー等任意の食品とすることができ、その種類に特に制限
はない。また、例えば、顆粒状、ハードカプセル、ソフ
トカプセルなど加工の形態を問わない。さらにコラーゲ
ン、ムコ多糖、ヒアルロン酸、グルコサミン、セラミド
など一般に皮膚に良いとされる成分を同時に配合しても
何ら差し支えない。

【００１４】摂取量は食品であるため特に制限がない
が、美肌効果を期待するには、メリビオース、ラフィノ
ースまたはスタキオースの摂取量が１食あたり、０．１
ｇから２０ｇの範囲にあるように食品の処方設計を行え
ばよい。これ以下であると、美肌効果が期待しにくく、
これ以上では、摂取しても、効果は変わらない。

【００１５】

【実施例】次に本発明を実施例を挙げてさらに詳細に説
明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定
されるものではない。 実施例１ 常法に従い、下記の配合で飲料を作成した。

【００１６】処方１ メリビオース ２ｇ グルコース ８ｇ クエン酸 １ｇ 香料 0.1g 精製水にて全量50gとし、茶褐色ビンに充填後加熱殺菌
した。

【００１７】処方２ メリビオース １ｇ ラフィノース 0.5ｇ スタキオース 0.5g グルコース ８ｇ クエン酸 １ｇ 香料 0.1g 精製水にて全量50gとし、茶褐色ビンに充填後加熱殺菌
した。

【００１８】比較処方１ グルコース 10ｇ クエン酸 １ｇ 香料 0.1g 精製水にて全量50gとし、茶褐色ビンに充填後加熱殺菌
した。

【００１９】実施例２ 日ごろ慢性的に乾燥肌で肌荒れ傾向のある女性１５名を
無作為に実施例１の処方１，処方２、比較処方の３群に
分け、６週間摂取させた。摂取期間前後に以下の３項目
の評価を行なった。洗顔後、室温２１℃／湿度３６％の
恒温室で一時間安静にした後測定を行なった。

【００２０】皮膚水分バリア機能の測定 経皮水分蒸散量（ＴＥＷＬ）の値が高い程角層の水分バ
リア機能が低下し、肌荒れを起こしていることを示して
いる。従って、このＴＥＷＬの値を測定することによ
り、本発明の皮膚保水性改善剤の皮膚水分バリア機能を
検討することができる。測定にはＴＥＷＡメーター（Ｃ
＋Ｋ社）を用い、頬を測定した。

【００２１】肌荒れ改善効果の測定 肌荒れを観察し、下記表１の評価基準に従って肉眼判定
した。

【００２２】

【表１】

【００２３】皮膚保水性改善効果の測定 頬の水分量をＳＫＩＣＯＮ−２００（ＩＢＳ社）にて測
定した。測定値は電気伝導度（μＳ）で表し、この値が
大きいほど水分量が多い。以上の結果を、摂取前を表
２、摂取後を表３に示した。なお、結果は平均値±標準
偏差で示した。

【００２４】メリビオース含有した食品、またはラフィ
ノース、スタキオースを含有している食品は、水分蒸散
量が減少、角質水分量が増加、肌荒れスコアが低下して
いることが認められ、美肌効果が高まっていることが認
められた。

【００２５】

【表２】

【００２６】

【表３】

【００２７】

【発明の効果】蒸気の如く、本発明のメリビオース、ラ
フィノース、スタキオースを含む食品組成物は肌荒れ改
善、皮膚保水性の改善効果を有する。

フロントページの続き (72)発明者 松嶋 信幸 神奈川県横浜市戸塚区上品濃12番13号 株式会社ファンケル中央研究所内 (72)発明者 有塚 勉 東京都中央区京橋２丁目３番13号 日本 甜菜製糖株式会社内 (72)発明者 菊地裕人 北海道帯広市稲田町南９線西13番地 日 本甜菜製糖株式会社 総合研究所内 (56)参考文献 特開 平４−218362（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−79747（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−231966（ＪＰ，Ａ) 日本食品工業学会誌，Ｖｏｌ．38，Ｎ ｏ．８（1991），ｐ．681−683 日本農芸化学会誌，Ｖｏｌ．66，Ｎ ｏ．２（1992），ｐ．127−135 (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A23L 1/27 - 1/308 A23L 2/00 ＪＩＣＳＴファイル（ＪＯＩＳ)

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 メリビオースを食品１００ｇ当たり２ｇ
   以上含有することを特徴とする食品組成物（ただし、食
   酢、クロレラエキス又は食用ビール酵母を含むものは除
   く）。
2. 【請求項２】 食品組成物が皮膚保水性改善用の機能を
   有するものである請求項１記載の食品組成物。
3. 【請求項３】 食品組成物が肌荒れ改善の機能を有する
   ものである請求項１記載の食品組成物。