JP3451032B2 - 自他識別能を有した紙 - Google Patents

自他識別能を有した紙

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JP3451032B2
JP3451032B2 JP11616399A JP11616399A JP3451032B2 JP 3451032 B2 JP3451032 B2 JP 3451032B2 JP 11616399 A JP11616399 A JP 11616399A JP 11616399 A JP11616399 A JP 11616399A JP 3451032 B2 JP3451032 B2 JP 3451032B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自他識別能を有し
た紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】紙や紙製品が市場に出荷され、末端ユー
ザーでトラブルを生じた場合に、これらの紙や紙製品が
自他識別能(紙や紙製品が自社の製品であることや、こ
れらを製造した時期を後で特定できる能力)があること
が好ましい場合がある。例えばOCR用紙は複数の会社
で製造されており、商品券の用途に使用されているが、
仮に偽造券が出回った場合に、偽造券に使用された用紙
を何らかの手段で分析し、用紙の出所を特定できる機能
を有していると犯罪に対して迅速に対応でき、また偽造
防止効果がより高まることとなる。
【0003】紙や紙製品に自他識別能を与える手段は、
基本的にはこれらに目に見えない何らかの一種のコード
をつけ、物理的若しくは化学的手段でこれを検知すれば
よい。例えば、特公昭54−36686号には、紙製品
の製造工程で1〜3μmの着色した微細な粒子を紙料若
しくは塗料に対し0.0001〜1%添加し、顕微鏡的
なコードをつけ紙製品の識別を容易にする方法が提案さ
れている。この方法は顕微鏡観察という物理的な手段で
紙製品中の着色微細繊維を検知できる特徴がある。
【0004】また、特公昭56−16238号には、蛍
光染色繊維を紙に対して50%以下、好ましくは5%以
下抄込む偽造防止用紙が提案されている。この方法は紫
外線の照射という物理的な手段で紙中の蛍光染色繊維の
発色を検知できる特徴がある。
【0005】また、特開昭63−182496号には、
紙の表面にロイコ染料とフェノール性物質、バインダー
を主成分とする発色層を設けた改ざん防止用紙が提案さ
れている。この方法は有機溶剤を紙へ浸透させることで
これらの薬品を化学的に反応させて発色させ、それを検
知できる特徴がある。
【0006】また、特公昭62−23120号には、ピ
レンスルホン酸金属塩系の反応性蛍光染料を紙中に含有
させ、インキ消しや弱アルカリで蛍光色を呈しせしめ、
用紙の出所を特定させる方法が提案されている。この方
法は化学的な手段で紙製品中の特定物質を検知できる特
徴がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれら従来技
術と異なった新規な自他識別能を有した紙を開発するこ
とを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の自他識別能を有
した紙は、耐水性を有する澱粉粒子複合体を紙中に含有
することを特徴とする。この紙は沃素を含む水溶液を滴
下するか、若しくは沃素を含む水溶液中に浸漬すること
によって、紙中に含まれている耐水性を有する澱粉粒子
複合体が、いわゆる「沃素−澱粉反応」によって着色さ
れることでその存在を検出でき、この特徴を生かして自
他を識別する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の耐水性を有する澱粉粒子
複合体の製造方法を以下に述べる。澱粉は植物の細胞中
に存在し、粒状構造をしている。これを澱粉粒と呼び、
その大きさは植物によって異なる。数例を挙げると、ト
ウモロコシでは10〜25μm、ジャガイモで15〜1
00μm、サツマイモで10〜25μm、小麦で2〜3
5μm、コメで3〜5μmである。
【0010】製紙工業では周知のように澱粉や化工澱粉
をクレーコーティングにおけるバインダー、内添用紙力
増強剤、塗工用紙力増強剤等の用途に大量に使用してい
るが、これらはいずれも澱粉や化工澱粉を水で糊化させ
た形で使用する。
【0011】本発明の澱粉粒子複合体は、これら従来の
澱粉や化工澱粉の使用方法とは全く異なっている。即
ち、澱粉粒を造粒して澱粉粒子複合体を製造する際に、
抄紙工程で使用する水や抄紙機の乾燥ゾーンの熱水によ
って糊化しない、即ち澱粉粒子複合体の形状を保持でき
るだけの耐水性を澱粉粒子複合体に与える。
【0012】本発明者らは、鋭意研究の結果、澱粉粒を
アニオン性バインダーで造粒させ、これをさらにカチオ
ン性物質でコーティングするか、若しくは、澱粉粒をカ
チオン性バインダーで造粒させ、これをさらにアニオン
性物質でコーティングするか、または、澱粉粒をポリア
ミン・エピクロルヒドリン樹脂、水溶性アルキル化アミ
ノ樹脂、水溶性メチル化メラミン系樹脂から選ばれる1
種以上をバインダーとして造粒することにより耐水性の
澱粉粒子複合体が製造できることを発見した。
【0013】本発明に使用される澱粉粒子複合体は、澱
粉粒を通常行われている造粒法を用いて造粒したもので
あり、造粒法としては、転動造粒法、押出造粒法、噴霧
乾燥造粒法、流動層造粒法、圧縮造粒法、溶融造粒法、
破砕造粒法、撹拌造粒法が挙げられる。このうち、噴霧
乾燥造粒法は、小さい球形の粒が製造できるという特徴
がある。また、これらの方法で造粒・乾燥後、コーティ
ングが必要な場合は、上記造粒法で用いる造粒機の中で
コーティング処理を行なえるもの、あるいは乾燥機で乾
燥中に液体の噴霧が行なえるもの等、コーティング専用
機以外でもコーティング処理に用いることができるもの
も用いることができる。
【0014】本発明に使用できる澱粉粒としては、具体
的には馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、甘藷澱粉、タピオ
カ澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、アマランサス澱粉等の天然
澱粉、それらの化工澱粉(酸分解澱粉、酸化澱粉、エー
テル化、エステル化、架橋等の澱粉誘導体、湿熱処理澱
粉等)が挙げられる。
【0015】本発明では、澱粉粒子複合体の製造時に本
発明の目的を阻害しない範囲で有機、無機の他の粉状物
質を併用できる。例えば粉状有機物質としては、小麦
粉、コーンフラワー等の穀粉、粉末セルロース、バクテ
リアセルロース、微小繊維状セルロース、結晶セルロー
ス等の水不溶性の粉状セルロース、木粉等が挙げられ、
粉状無機物質としては、充填剤として知られる二酸化チ
タン、珪酸塩(カオリン、クレイ、ベントナイト、タル
ク、合成珪酸アルミ、合成珪酸カルシウム等)、珪酸
(珪藻土、珪石粉、含水微粉珪酸、無水微粉珪酸)、炭
酸カルシウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、カルシウ
ム・マグネシウム炭酸塩、水酸化アルミ、硫酸バリウ
ム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、酸化鉄等が挙
げられる。
【0016】これら紛状物質のうち、屈折率の大きな紛
状物質(例えば二酸化チタン)を使用すると、耐水性を
有した澱粉粒子複合体を紙中に含有させた場合に粒子複
合体が部分的に透明化するという問題点を減少すること
ができる。
【0017】本発明ではさらに、有機や無機の染顔料を
着色剤として併用できる。具体的には有機顔料として、
アゾ系、フタロシアニン系、チオインジゴ系、アントラ
キノン系等の顔料や、無機顔料として、カーボンブラッ
ク、ベンガラ(弁柄)、黄色酸化鉄、黄鉛、モリブデンオ
レンジ、クロムオレンジ、群青、雲母顔料等を併用する
こともできる。また染料としては、澱粉粒子複合体に含
有させた場合に水に溶出してこない染料を使用すること
が必要である。これらの着色剤のうち特に有機溶剤可溶
性の着色剤を使用すると、別の自他識別能を付与でき
る。即ち、特定の有機溶剤と接触することで着色剤が澱
粉粒子複合体から溶出し、紙をドット状に着色させる性
能を付与できる。
【0018】これら着色剤は造粒物が淡く着色されてい
る程度の添加量とすることが好ましい。この造粒物を含
んだ紙を用いて、例えば商品券のような偽造防止印刷物
を製造した場合、カラーコピー機で複写した場合にその
色相が再現しにくく、偽造防止効果が高まるからであ
る。
【0019】以上述べたこれらの粉状物質は単独で用い
ても良く2種以上を配合して用いても良い。また、これ
らの粉状物質はバインダーをコーティングするときにコ
ーティング液に添加することもできる。
【0020】本発明で用いるアニオン性バインダーとし
ては、アルギン酸、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチ
ルセルロース、カルボキシメチルスターチ、カルボキシ
メチルグアーガム、カルボキシメチルキサンタンガム、
カルボキシメチルタラガム、低メトキシルペクチン、カ
ラギーナン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ等
のアニオン性基を有する多糖類またはアニオン性基を有
する合成高分子が挙げられる。このアニオン性バインダ
ーに耐水性を付与するために造粒後コーティングするカ
チオン性物質としては、多価金属イオンの塩を用いるこ
とができる。例えば、カルシウム、マグネシウム、バリ
ウム、ボロン、アルミニウム、チタニウム等の塩酸塩、
硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、乳酸塩、水酸化物が挙げら
れる。
【0021】また、本発明で用いるカチオン性物質とし
ては、カチオン性の水溶性高分子物質も用いることがで
きる。カチオン性の水溶性高分子物質としては、例え
ば、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミ
ン、ポリビニルピロリドン、カチオン性ポリアミド樹
脂、ポリアリルアミン、カチオン性ポリマーグラフト化
澱粉、カチオン化澱粉、カチオン化グアーガム、カチオ
ン化キサンタンガム、カチオン化タラガム等が挙げられ
る。
【0022】本発明で用いるカチオン性バインダーとし
ては、カチオン性の水溶性高分子物質を用いることがで
きる。カチオン性の水溶性高分子物質としては、例え
ば、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミ
ン、ポリビニルピロリドン、カチオン性ポリアミド樹
脂、ポリアリルアミン、カチオン性ポリマーグラフト化
澱粉、カチオン化澱粉、カチオン化グアーガム、カチオ
ン化キサンタンガム、カチオン化タラガム等が挙げられ
る。このカチオン性バインダーに耐水性を付与するため
に造粒後コーティングするアニオン性物質としては、ア
ルギン酸、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロ
ース、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルグ
アーガム、カルボキシメチルキサンタンガム、カルボキ
シメチルタラガム、低メトキシルペクチン、カラギーナ
ン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ等のアニオ
ン性基を有する多糖類またはアニオン性基を有する合成
高分子が挙げられる。
【0023】以上、澱粉粒をアニオン性バインダーで造
粒させ、これをさらにカチオン性物質でコーティングす
る本発明に使用する耐水性を有する澱粉粒子複合体の製
造方法、または、澱粉粒をカチオン性バインダーで造粒
させ、これをさらにアニオン性物質でコーティングする
本発明に使用する耐水性を有する澱粉粒子複合体の製造
方法において用いることができるアニオン性バインダ
ー、カチオン性物質、カチオン性バインダー、アニオン
性物質を例示した。
【0024】さらに、本発明に使用する耐水性を有する
澱粉粒子複合体の製造方法として、耐水性のない澱粉粒
をポリアミン・エピクロルヒドリン樹脂、水溶性アルキ
ル化アミノ樹脂、水溶性メチル化メラミン系樹脂から選
ばれる1種以上をバインダーとして造粒させたときは、
これらのバインダーのみで耐水性を有する澱粉粒子複合
体が得られ、コーティングの工程が不要となる。
【0025】上記の種々の造粒法において澱粉粒を造粒
するには、それぞれの方法において常用されている方法
・条件でバインダーとして上記のものを用い造粒するこ
とができる。代表的な例は実施例において詳しく説明す
るが、押出造粒においては、上記バインダーの種類や用
いる量により異なるが、造粒性が悪いときには上記バイ
ンダー以外にヒドロキシプロピルセルロース、メチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、酸化澱粉、デキストリン等の
バインダーから選ばれる1種以上を同時に添加し、混練
し、押出造粒機にて造粒すると改善される。また、押出
造粒したものは、その後整粒機にかけて整粒するのが一
般的なプロセスである。本発明で用いるバインダーの種
類や用いる量により異なるが、整粒性が悪いときには界
面活性剤、潤滑剤を添加し整粒性を改良することができ
る。
【0026】「沃素−澱粉反応」とは、澱粉が沃素によ
って青紫〜褐色に呈色する現象をいう。この反応は極め
て鋭敏な反応であり、本発明の耐水性を有した澱粉粒子
複合体も沃素で呈色反応を示しその存在を検知できる。
【0027】紙中に含まれた澱粉粒子複合体は「沃素−
澱粉反応」によって呈色させた後、顕微鏡観察あるいは
目視観察でその存在を確認できるが、簡便さの点で目視
で観察できるようにすることが好ましい。このためには
澱粉造粒物の粒径が50μm以上あることが必要であ
り、これ未満であるとその存在を目視で確認することが
困難になる。澱粉造粒物の粒径が大きくなると紙に含有
させた場合にざらざらとした感触を与えるようになるの
で、本発明に於いては500μm未満であることが好ま
しい。
【0028】以上、本発明で使用する耐水性を有する澱
粉粒子複合体の製造方法を述べたが、これを使用した自
他識別能を有した紙について以下に述べる。本発明の自
他識別能を有した紙は、針葉樹晒クラフトパルプ(NB
KP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹
晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカル
パルプ(TMP)等の製紙用パルプを主体とし、これに
必要に応じて、コットン、麻、竹、ワラ、ケナフ等の非
木材パルプや合成繊維を適宜併用し、これに乾燥紙力増
強剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、歩留り向上
剤、濾水性向上剤、消泡剤、染料、着色顔料などを適宜
添加して紙料を調製し、この紙料にチェスト等で耐水性
を有する澱粉粒子複合体を添加して、通常フリーネス5
50〜250mlC.S.F.で長網抄紙機や円網抄紙
機等の公知の抄紙機を使用して抄紙することにより製造
することができる。
【0029】本発明では、前記のように紙料中に予め耐
水性を有する澱粉粒子複合体を添加しておく方法の他
に、長網抄紙機や円網抄紙機の紙料の流送途中で添加し
抄紙する方法を採用することもでき、あるいは円網抄紙
機のバット中に澱粉粒子複合体を流送して抄紙したり、
ワイヤ上の紙匹にノズルを使用して澱粉粒子複合体を間
欠的にまたはストライプ状に振りかける方法も採用でき
る。この際、抄紙途上で紙面に澱粉、ポリビニルアルコ
ール、各種表面サイズ剤等をサイズプレス装置等で塗工
することも可能である。さらに必要に応じてマシンカレ
ンダー処理やスーパーカレンダー処理を施し、表面平滑
性を向上させることも適宜行える。
【0030】また、本発明の自他識別能を有した紙は、
いわゆる塗工法によっても製造できる。すなわち、耐水
性を有する澱粉粒子複合体を澱粉、ポリビニルアルコー
ル、合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョン等の慣
用的な塗工用バインダーに添加して蛍光発色粒子入りの
塗工液を調製し、あるいはこれらバインダーとカオリ
ン、炭酸カルシウム等の塗工用白色顔料を主体とした塗
工液を調製し、この塗工液を紙の表面にエアナイフコー
ター等の公知の塗工機を使用して塗工すればよい。ま
た、ストライプ塗工機を使用して澱粉粒子複合体入りの
塗工液を用紙の表面にストライプ状に塗工することもで
きる。
【0031】さらに、和紙などの薄紙に、粒径の小さな
多量の澱粉粒子複合体とバインダー等で構成される塗工
液を塗工し、これを細片化して用紙に抄き込むことによ
っても澱粉粒子複合体入りの自他識別能を有した紙を製
造することができる。この場合には細片を抄き込んだ部
分のみが細片の形状、例えば円形、正方形、長方形、星
形等に沃素で発色し、拡大観察では個々の粒子が着色し
て見えるという特異な効果を有した紙となる。
【0032】また、本発明の自他識別能を有した紙はい
わゆる印刷法によっても製造できる。すなわち、澱粉粒
子複合体を適当なビヒクルに混合してスクリーン印刷機
やグラビア印刷機等の公知の印刷機を用いて紙の表面に
印刷すればよい。この場合の印刷は、紙の全面に施して
も、あるパターンを形成して施してもよい。この場合に
は印刷部分のみが印刷パターンに応じて沃素で発色する
という特異な効果を有した紙となる。
【0033】さらにまた、本発明の自他識別能を有した
紙は、いわゆる含浸法によっても製造できる。すなわ
ち、澱粉粒子複合体を合成ゴムラテックスや合成樹脂エ
マルジョン等の公知のバインダーに添加して、これを紙
に含浸させればよい。
【0034】本発明の自他識別能を有した紙を製造する
にあたっては、紙料調製時に併用する紙力増強剤やサイ
ズプレス装置等で塗工する表面強度向上剤、あるいはバ
インダー等に澱粉あるいは化工澱粉を使用しないで、ポ
リアクリルアミド樹脂や合成ゴムラテックス、合成樹脂
エマルジョンのような非澱粉系の薬品を使用することが
好ましい。澱粉系の薬品が紙に含まれていると、後に
「沃素−澱粉反応」で澱粉粒子複合体を呈色反応で検知
する場合に、粒子以外の所も弱く発色し粒子を検知しに
くくなるからである。
【0035】以下、耐水性を有する澱粉粒子複合体の製
造例を挙げる。 製造例1 コーンスターチ100重量部に水30重量部を添加し、
これにアルギン酸ソーダ1重量部、ヒドロキシプロピル
セルロース1重量部を溶かした糊液と潤滑剤としてポリ
オキシエチレンステアリルエーテル1重量部を添加し、
10分間混合撹拌した。この混練物を押出造粒機(「ド
ームグラン」、不二パウダル株式会社製造)を使用して
直径0.5mmの円柱状の澱粉造粒物を押出し造粒し
た。この澱粉造粒物を整粒機(「マルメライザー」、不
二パウダル株式会社製造)を使用して、L/D=3以下
の球形乃至繭形に整粒し、その後乾燥を行なった。この
澱粉造粒物を上記「マルメライザー」に投入し、転動さ
せながら5%塩化カルシウム水溶液25重量部をスプレ
ーコーティングし、その後乾燥を行なった。この粒状物
50重量部を水100重量部に分散し、回転速度300
rpmで10分間攪拌したが崩壊しなかった。
【0036】製造例2 球形細粒状澱粉(商品名「グラフローM」、日澱化學株
式会社製造)100重量部にカオリン20重量部とヒド
ロキシプロピルセルロース1重量部を水40重量部に分
散した液を遠心流動型コーティング造粒装置(「C
F」、フロイント産業株式会社製造)を使用してスプレ
ーし、細粒状澱粉表面にコーティングした。続いてこの
カオリン層の上にポリアミン・エピクロルヒドリン樹脂
(商品名「WS564」、日本PMC株式会社製造)2
重量部、コーンスターチ5重量部、10%水酸化ナトリ
ウム水溶液1重量部を水50重量部に分散したコーティ
ング液を同様にコーティングし、粒径200〜400μ
mの粒状物を得た。この粒状物50重量部を水100重
量部に分散し、回転速度300rpmで10分間攪拌し
たが崩壊しなかった。
【0037】製造例3 コーンフラワー100重量部をポリエチレンイミン(商
品名「エポミンP−1000」、日本触媒株式会社製
造)10重量部をバインダーにしてスプレー乾燥し、細
粒状澱粉を得た。この細粒状澱粉を流動層造粒コーティ
ング装置(「フローコーター」、フロイント産業株式会
社製造)を使用して、カルボキシメチルスターチ2重量
部を水80重量部に分散したコーティング液を流動層コ
ーティングし、粒径200〜500μmの粒状物を得
た。この粒状物50重量部を水100重量部に分散し、
回転速度300rpmで10分間攪拌したが崩壊しなか
った。
【0038】製造例4 結晶セルロース(商品名「アビセル」、旭化成工業株式
会社製造)100重量部と酸化亜鉛10重量部をヒドロ
キシプロピルスターチ(商品名「パイオスターチH」、
日澱化學株式会社製造)の10重量%糊液30重量部を
バインダーにして、「ハイスピードミキサー」(深江工
業株式会社製造)を使用して造粒し乾燥した。この造粒
物を核にして「ハイスピードミキサー」でコーティング
液(水溶性メチル化メラミン系樹脂(商品名「SUMU
TEX RESIN M−3」、住友化学株式会社製
造)10重量部を水30重量部に分散したもの)を噴霧
してコーティングし、粒径300〜1000μmの粒状
物を得た。この粒状物50重量部を水100重量部に分
散し、回転速度300rpmで10分間攪拌したが崩壊
しなかった。
【0039】製造例5 小麦粉100重量部と炭酸カルシウム15重量部をヒド
ロキシプロピルセルロース(商品名「HPC−L」、日
本曹達株式会社製造)の10重量%糊液30重量部をバ
インダーにして、流動層造粒・コーティング装置(「ニ
ューマルメライザー」、不二パウダル株式会社製造)を
使用して流動層造粒し、続いてこの造粒物を核にしてポ
リアミン・エピクロルヒドリン樹脂(商品名「WS56
4」、日本PMC株式会社製造)2重量部、米澱粉10
重量部、10重量%水酸化ナトリウム水溶液1重量部を
水50重量部に分散したコーティング液を同様に流動層
コーティングし、粒径200〜400μmの粒状物を得
た。この粒状物50重量部を水100重量部に分散し、
回転速度300rpmで10分間攪拌したが崩壊しなか
った。
【0040】製造例6(淡く黄色に着色した澱粉粒子複
合体の製造例) コーンスターチ100重量部、黄色酸化鉄0.5重量
部、水溶性メチル化メラミン系樹脂(商品名「SUMU
TEX RESIN M−3」、住友化学株式会社製
造)10重量部、水30重量部およびポリオキシエチレ
ンステアリルエーテル1重量部を添加し、10分間混合
撹拌した。この混練物を押出造粒機(「ドームグラ
ン」、不二パウダル株式会社製造)を使用して直径0.
5mmの円柱状の澱粉造粒物を押出し造粒した。この澱
粉造粒物を整粒機(「マルメライザー」、不二パウダル
株式会社製造)を使用して、L/D=3以下の球形乃至
繭形に整粒し、その後乾燥を行なった。この粒状物50
重量部を水100重量部に分散し、回転速度300rp
mで10分間攪拌したが崩壊しなかった。
【0041】製造例7(淡く赤色に着色した澱粉粒子複
合体の製造例) 結晶セルロース(商品名「アビセル」、旭化成工業株式
会社製造)100重量部、酸化亜鉛10重量部、有機溶
剤に可溶で水に不溶の赤色の有機錯塩型染料(商品名
「カヤセットレッド K−BL」、日本化薬株式会社製
造)0.1重量部、水溶性メチル化メラミン系樹脂(同
上)10重量部をヒドロキシプロピルスターチ(商品名
「バイオスターチH」、日澱化學株式会社製造)の10
重量%糊液25重量部をバインダーにして、「ハイスピ
ードミキサー」(深江工業株式会社製造)を使用して粒
径300〜500μmに造粒し乾燥した。この粒状物5
0重量部を水100重量部に分散し、回転速度300r
pmで10分間攪拌したが染料は溶出せず、また粒子は
崩壊しなかった。
【0042】
【実施例】実施例1〜5 NBKP20重量部、LBKP80重量部を250ml
C.S.F.に叩解し、これに白土10重量部、紙力増
強剤(商品名「ポリストロン191」、荒川化学工業株
式会社製造)0.3重量部、サイズ剤(商品名「サイズ
パインE」、荒川化学工業株式会社製造)1.0重量
部、硫酸バンド適量を加え紙料を調製した。この紙料に
前記製造例1〜5で得られた耐水性を有する澱粉粒子複
合体を紙に対して0.2重量%となるように添加して、
長網抄紙機を使用して坪量100g/m2の自他識別能
を有する紙を常法により製造した(乾燥ゾーン通過後に
マシンキャレンダー処理した)。
【0043】実施例6 NBKP20重量部、LBKP80重量部を250ml
C.S.F.に叩解し、これに白土10重量部、紙力増
強剤(商品名「ポリストロン191」、荒川化学工業株
式会社製造)0.3重量部、サイズ剤(商品名「サイズ
パインE」、荒川化学工業株式会社製造)1.0重量
部、硫酸バンド適量を加え紙料を調製した。この紙料に
前記製造例6で得られた耐水性を有する澱粉粒子複合体
を紙に対して0.3重量%となるように添加して、長網
抄紙機を使用して坪量100g/m 2の自他識別能を有
する紙を常法により製造した(乾燥ゾーン通過後にマシ
ンキャレンダー処理した)。
【0044】実施例7 NBKP20重量部、LBKP80重量部を250ml
C.S.F.に叩解し、これに白土10重量部、紙力増
強剤(商品名「ポリストロン191」、荒川化学工業株
式会社製造)0.3重量部、サイズ剤(商品名「サイズ
パインE」、荒川化学工業株式会社製造)1.0重量
部、硫酸バンド適量を加え紙料を調製した。この紙料に
前記製造例7で得られた耐水性を有する澱粉粒子複合体
を紙に対して0.3重量%となるように添加して、長網
抄紙機を使用して坪量100g/m2の自他識別能を有
する紙を常法により製造した(乾燥ゾーン通過後にマシ
ンキャレンダー処理した)。
【0045】実施例1〜5の紙は、室内照明下で、紙中
に含まれる澱粉粒子複合体は視認できなかったが、実施
例6の紙は澱粉粒子複合体が淡く黄色に着色して見え
た。また、実施例7の紙は澱粉粒子複合体が淡く赤色に
着色して見えた。水1000mlに、沃化カリウム5.
7g、沃素5gを溶解した液を準備して、前記実施例1
〜7で得られた自他識別能を有した紙に滴下したとこ
ろ、澱粉粒子複合体が存在するところで青〜青褐色に濃
く呈色した。
【0046】実施例7の紙にそれぞれ、メタノール、ア
セトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルを滴下したと
ころ、澱粉粒子複合体中に含まれた染料が溶出し、粒子
が存在するところが赤色に呈色した。
【0047】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、攪拌等の剪断力を受けても崩壊しない耐水性を有す
る澱粉粒子複合体を紙中に含有させることで、今までに
ない自他識別能を有する紙が製造できる。即ち沃素を含
む水溶液を紙に滴下するか、紙をこの水溶液中に浸漬す
ることで紙中に含まれた澱粉粒子複合体が発色するか否
かで自他を識別する。
【0048】耐水性を有する澱粉粒子複合体を製造する
場合に有機溶剤に可溶の着色剤を併用し、この澱粉粒子
複合体を紙に含有させると、沃素を含む水溶液での検知
が可能であると共に、この紙をこの有機溶剤中に浸漬す
るか有機溶剤を紙に滴下すると紙中に含まれた澱粉粒子
複合体が発色するので、別の自他識別能を付与できる。
【0049】この特性を生かして、本発明の自他識別能
を有する紙は、例えば、商品券、株券、紙幣、身分証明
書、各種チケット類、パスポート等、出所を要求される
偽造防止印刷物の分野に有効に利用できる。また、澱粉
粒子複合体の粒径を変化させたり添加量を変化させるこ
とで、紙の製造ロット毎に目に見えない一種のコードを
付与することが可能となるので、上質紙、アート紙、コ
ート紙、各種工業用紙、等の種類を選ばず、その製造年
月日を特定する用途等に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−65608(JP,A) 特開 昭63−219698(JP,A) 特開 平2−6682(JP,A) 特開 平9−31897(JP,A) 特開 昭62−184199(JP,A) 特開 平9−183802(JP,A) 特開 平11−200281(JP,A) 特開 平10−266095(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42 B42D 15/10

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐水性を有する澱粉粒子複合体を紙中に
    含有することを特徴とする自他識別能を有した紙。
  2. 【請求項2】 該澱粉粒子複合体の粒径が50〜500
    μmであることを特徴とする請求項1記載の自他識別能
    を有した紙。
  3. 【請求項3】 該澱粉粒子複合体が着色されていること
    を特徴とする請求項1または2に記載の自他識別能を有
    した紙。
  4. 【請求項4】 該澱粉粒子複合体がカラーコピー機でそ
    の色相を再現できない程度に淡く着色されていることを
    特徴とする請求項3記載の自他識別能を有した紙。
  5. 【請求項5】 有機溶剤に可溶の着色剤で着色されてい
    ることを特徴とする請求項3または4に記載の自他識別
    能を有した紙。
  6. 【請求項6】 澱粉粒子複合体以外に紙中に澱粉、化工
    澱粉が含まれていないことを特徴とする請求項1〜5の
    いずれか1項記載の自他識別能を有した紙。
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